遺伝子変異が抗うつ治療への反応の予測に有用
セロトニントランスポーター遺伝子であるSLC6A4の複数の変異が、シタロプラム治療を受けている非ヒスパニック系白人成人のうつ症状寛解に関係している。この知見は、医師がこの抗うつ薬に反応する患者を判定するのに役立ち、ヨーロッパ起源の者におけるその他の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に関するこれまでの知見に沿うものである。
この研究は、「Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression (STAR*D)」臨床試験の被験者1,914例のDNA遺伝子解析に基づいており、『American Journal of Medical Genetics Part B (Neuropsychiatric Genetics)』7月10日号オンライン版に掲載されている。
「我々はこの遺伝子の複数の部位を調べた。すると、プロモーター領域のみが重要なのではなく、それ以外の調節領域も重要であることが解った。これは、薬物への患者の反応を向上させるのに薬理遺伝学検査が重要であることを示す新たな例である」と筆頭著者であるメイヨークリニック(ミネソタ州ロチェスター)の精神・心理科長であるDavid Allen Mrazek, MDがMedscape Psychiatryに語った。
薬理遺伝学検査(特定の薬物への反応を予測するために患者の遺伝子構成を調べる)は急速に進歩しており、2004年に実用化されて以来、すでに精神科医がこの検査を採用している、とMrazek博士は言う。
「精神科医がこうした検査法になじんで、上手に行えるようになるにつれ、やがては精神科患者の治療に標準的に組み込まれていくようになるだろう」と博士は予測している。
「平均的な精神科医がこうした検査法を自然に利用できるようになるにはあと5年かかるかもしれないが、すぐにそうなるだろう」とも博士は言う。
今回の論文によれば、抗うつ薬の使用は広く普及しているにもかかわらず、臨床試験で治療を受けたうつ病患者のうち症状が完全に寛解するものは50%未満である。薬理遺伝学検査は、患者が特定の薬物に反応するかどうかを、試行錯誤ではなく判定することを目的のひとつにしている。
これまでの研究により、SLC6A4遺伝子のプロモーター領域に特定の変異を持つヨーロッパ人患者は、その変異を持たない患者よりもSSRI治療で大きなベネフィットを得られることが示されている。
抗うつ剤の効果には個人差があり、現状では何週間・何ヶ月スパンで具合をみて調節していくのが普通です。しかし時間がかかりすぎますし、何より患者さんの主観で判断しなければいけないので、なかなかに難しいところがあります。
この技法が一般化すれば、あらかじめ適した薬を使うことが出来るため、確実です。遺伝子を調べるとなると結構大掛かりな検査になってしまうとは思いますけれど、精神科領域で活躍する検査になると思われます。
2008年08月13日
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