2013年09月22日

熊本大学病院の肺がん取り違え事件から学ぶ

<熊大付属病院>検体取り違え手術 50代女性の肺一部摘出

 熊本大学医学部付属病院(熊本市中央区)は20日、50代の女性の肺から採取した検体を肺がんの80代男性患者の検体と取り違え、手術する必要がなかった女性を肺がんと誤認し、右肺の約3分の1を摘出していたと発表した。取り違えられた80代男性は肺がんだったが「悪性細胞なし」と診断していた。

 付属病院によると、女性は呼吸機能が低下する可能性があるが、日常生活に支障はないという。病院は医師や弁護士を含む調査委員会を設置し、詳しい経緯を調べる一方、2人に事情を説明して謝罪したという。谷原秀信病院長は「調査委員会の結論が出たら速やかに2人に説明したい」と述べたが、2人の対応については「控えたい」と明らかにしなかった。

 病院によると、2人は肺がんの疑いがあったため、6月下旬の同じ日に付属病院で肺の組織検査を受けた。病理部の技師が2人から採取した肺の組織を固めてブロックにし、一部を薄く切ってスライドガラスに貼り標本を作製したが、その際、男性の検体を貼るスライドガラスに女性の検体を、女性の検体を貼るスライドガラスに男性の検体を貼ったとみられるという。

 他の技師や医師もミスに気付かず、後日の検査で女性を肺がん、男性を「がんなし」と診断した。

 病院は8月中旬、女性の右肺の約3分の1を摘出。摘出部位からがん細胞が見つからなかったため、標本と残りのブロックを照合し、9月10日に取り違えていたことに気付いた。

 男性はミス発覚後の再検査で肺がんと診断された。病院はその時点で「検査時の6月からがんの進行はなかった」としている。男性は治療を受けているという。



 かなり衝撃的なニュースです。肺生検をやったということは、女性のほうもそれなりの疑いのある病変があったと思うのですが、良性だったのでしょう。逆に80代のほうもショックですよね、年齢がある程度ご高齢で、癌の進行がなかったというのが救いか。

 ミスを糾弾するだけでなく、全国の病院で、実際にこういうことが起こるのだ、と念頭に置いて、徹底する必要があります。
posted by さじ at 09:55| Comment(0) | 呼吸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

カネボウ美白化粧品の白斑、タクロリムスが有効か

<カネボウ「白斑」問題>治療法研究 時間と共に改善の可能性

 カネボウ化粧品の美白化粧品で肌がまだらに白くなる「白斑」の健康被害が出ている問題。カネボウや日本皮膚科学会による実態把握・原因究明が進むにつれ、症状の改善例を基に治療法が少しずつ明らかになってきた。同学会は現状での治療法を公表するなど情報提供に努めている。

 原因や治療法の調査・研究は、日本皮膚科学会が組織した特別委員会(委員長・松永佳世子藤田保健衛生大教授)が中心となって進められている。その関連情報は同学会のウェブサイト(http://www.dermatol.or.jp/)に掲載され、発症者らを対象とした資料「患者さんの質問にお答えします」を更新するなどしている。

 同特別委は医師から集めた調査票を分析し、9月7日に中間報告を公表した。それによると、ロドデノール入り化粧品使用者のうち、白斑の発症者は約2%。化粧水と乳液など複数のロドデノール入り製品を重ね塗りしているケースが多いという。白斑発症のメカニズムは分かっていないが、松永委員長は「原因はロドデノールと考えていい」と述べた。

 また、白斑症状が出た使用者のうち、使用中止後6カ月以上たった50人をみると、58%にあたる29人の白斑が小さくなったり、治ったりしていた。時間が経過するにつれて症状の改善する人が増えるとみられ、同特別委は「1〜2年かけて症状を見ていくことが必要だ」としている。

 カネボウの調べでも、ロドデノール入り化粧品の使用をやめると白斑症状が改善することが分かってきている。発症者400人に使用中止から回復し始めるまでの期間を聞いたところ、235人が「3カ月まで」に、121人が「4〜6カ月まで」に回復し始めたことが分かった=グラフ<左>。

 ロドデノール入り化粧品の使用をやめると、白斑のまわりが黒くなり、かえって目立つケースも同学会に報告されている。白斑の部分に色素が戻ってきている途中の状態とされ、同特別委メンバーの錦織千佳子神戸大医学部教授は「時間がたてば周囲と同じ色に落ち着くと考えていい」としている。

 一方、薬を使用することで、改善が早まる可能性も出てきた。最も効果が期待できるのは、アトピー性皮膚炎の治療薬としてよく使われる「タクロリムス軟こう」だ。同学会が医師から集めた調査票には、この軟こうを白斑部分につけると早く改善するケースが報告されているという。市販薬でないため、医師の処方が必要だ。

 また、ステロイド外用薬については、かゆみや赤みには効くが、白斑の改善に効果があるかは不明という。レーザー治療も効果が分かっていない。



 人に見られるところの部分、それも美白を行おうと思って塗っている部分のまだらですからね、被害としては深刻でしょう。タクロリムスが効くということで、実際有効なのかどうかを見出してほしいいですね。
posted by さじ at 09:51| Comment(0) | 皮膚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月13日

再建術が発達したため、最近は乳房温存術をむしろやらないらしい。

乳房温存、減る傾向に 乳がん手術、再建の技術向上で

 乳がん手術で、乳腺の一部だけを切除する「乳房温存術」を選ぶ患者の割合が減少傾向に転じた。日本乳癌学会の調べでわかった。人工乳房の普及などで、全摘しても乳房をきれいに再建できるようになったことが背景にある。

 先進的な乳がん治療を進めるがん研有明病院(東京)ではここ数年で温存が2割減り、全摘と温存がほぼ同じ割合になった。7月には人工乳房で公的医療保険が使えるようになり、さらに全摘が増えそうだ。

 日本では1980年代に乳房温存が本格的に始まった。毎年新たに乳がんになる約6万人のうち8割を登録する乳癌学会の調査では、2004年に温存が全摘を抜き、08年には59・7%まで増えた。温存率の高さが優秀な病院の指標と考えられたこともあった。



 へー。

 まあ、確かに、全然わかんないぐらいになりますもんね。

 女性にとっては最も大切な場所の1つですから、癌の術後のサポートも、より手厚く、より寄り添う形で提供していきたいものです。
posted by さじ at 20:30| Comment(2) | がん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

減胎手術を施行し、発表した医師に拍手を。

減胎手術の半数は08年以降…長野の産科医

 主に不妊治療による双子や三つ子の多胎妊娠で、異常のある胎児を選んだ減胎手術を行ったことがわかった諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長は8日、大分県別府市で開かれた日本受精着床学会で、実施例の詳細を発表した。

 胎児の異常を理由に行った36件のうち18件(半数)が、日本産科婦人科学会(日産婦)が、体外受精での多胎予防を強化した2008年以降の5年間に行われていた。

 超音波検査などの出生前診断の普及で、胎児の異常が見つかるケースが増えていることが背景と考えられる。

 発表によると、同クリニックは1986年から2013年2月末までに1001件の減胎手術を実施した。921件(92%)は、他施設で多胎妊娠がわかり、受診したケースだった。



 こういう医師としての志し高い人は好き。

 問題を棚置きして、倫理だ何だと言って、なーんにも進んでないのは、愚の骨頂ですからね。

 多胎妊娠して、片方に異常が見つかって、両方とも生かしておくと母子ともに危険ならば、現実的に、特に現場の当事者家族や医師からすれば、やらざるをえないでしょう。それを咎めるほど、人間は達観しちゃいませんわな。

 この件も、生み分けだ何だと批判されてるんでしょうか。批判してる人がいるとすると、その人の優先順位は一体何なのか、非常に興味深いです。
posted by さじ at 20:24| Comment(0) | 生殖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

脳死となった10代少女の心臓を、10代少年に提供する手術、成功。

10代少女の心臓、同年代の少年へ 移植手術成功 東大

 長崎大病院で脳死と判定された10代前半の少女の臓器摘出手術が10日行われ、心臓は東京大学病院で10代少年に移植された。東大病院によると、手術は成功し、少年の容体は安定しているという。肺、肝臓、膵臓、腎臓も摘出され、移植する医療機関に運ばれた。

 東大病院によると、少女から摘出した心臓はチャーター機と消防ヘリなどで、10日午前8時半すぎ、病院に到着。拡張型心筋症で入院中の10代の少年に移植され、手術は午後2時過ぎに終わった。



 10代同士。脳死となった臓器が、他の必要としている身体で受け入れられ、命を長らえるのであれば、脳死臓器移植というのは必要な技術のように思います。

 提供して下さった方のご冥福をお祈り申し上げます。
posted by さじ at 19:07| Comment(0) | 循環 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月07日

高齢者の熱中症対策、今年はいつも以上に念入りに。

ギラギラ熱中症、今年は倍の勢い…搬送4千人超

 熱中症で救急搬送された人が6月末までに全国で4200人を超え、昨年の倍のペースで増えている。

 暑さが厳しくなる7月は例年、患者が急増する傾向があり、政府は今年初めて7月を「熱中症予防強化月間」に指定し、「こまめに水分補給を」と呼びかけている。

 総務省消防庁によると、5月27日から6月30日の搬送人数は4278人で、昨年同時期の2・2倍。6月中旬、関西を中心に暑い日が続いたのが主な原因とみられる。昨年も7〜9月に4万3864人が搬送され、2008年の調査開始以来、2番目に多かった。

 気象庁はこの週末、関東地方を中心に気温が上昇すると予測。7日は、埼玉県熊谷市で37度、東京で34度になるとして注意するよう呼びかけている。



 特に高齢者の場合は、何が問題かというと「喉が渇いた」と感じにくいところにつきますね。

 甘くないタイプの経口補水液も最近ではコンビニでも売られるようになってきていますし、是非「朝起きたら水を飲む」「散歩する前に水を飲む」習慣づけをお願いしたい。

 おそろしいほどの猛暑ですから、いわゆる「28度にしてエアコンをつけておく」習慣も必要です。
posted by さじ at 13:38| Comment(0) | 循環 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月19日

世界卓球2013パリ大会で光る、松平賢二の卓球

世界卓球2013パリ大会5日目D 男子複3回戦、張・松平が中国を撃破

 ロッテルダム大会ベスト8の実力者ペアが再びベスト8入りをかけて中国ペアと対戦した。高い打球点で先に攻めた日本ペアが第1ゲームを先行。しかし、十分な体勢で打たれると1発の威力では中国ペアに軍配が挙がる。得意のラリー戦で思うように点が取れない日本は1-3と窮地に立たされる。第5ゲームも3-9と離され絶対絶命かと思われたが、ここから気が緩んだか中国がミスを連発し、日本ペアはこのゲームを逆転。第6ゲームも2-6から日本ペアが挽回すると、陳杞が後輩の方博に強く当たるなど中国ペアに不協和音が。最終ゲームは張、松平がスーパープレーを見せる一方で、中国は凡ミスを繰り返す。会場のムードも日本のホームのように盛り上がり、日本ペアは岸川・水谷に続きメダルへの挑戦権を獲得した。

■張一博・松平賢二インタビュー
「途中で相手のミスが多くなったので、そのすきに僕らはちょっと一息できたのでよかったです。(リードされたときは)厳しいと思ったんですけど、とりあえず1点ずつ、できる限り点数を多く取ろうと思いました。最後は中国チームが緊張してきて、逆に僕らは勢いに乗って、スーパーボールも何回も決めて、流れも変わったと思います」と張。

「5ゲーム目3対9で、6ゲーム目も2対6でしたが、相手の凡ミスでぽろぽろと点数を取れたので、また追いついたときにこっちがビビらないように心がけてやりました。台上はすごく感覚がよくて、あとバックハンドもいつになくいいので、いつもはフォアで回るところを今日は我慢してバックハンドを振ろうと思いました。ミックスダブルスのときはフォアで回り込んで(台から)距離が離れてミスが多くなりました。ダブルスは前につくのが1番、男子ダブルスでもそんなにボールが飛んでこないことがあるので。前についてやるためにはやはり両ハンドで構えることを心がけました。(最終ゲームも)出るか出ないかのボールもバックでいけたのでよかったです。(次の試合は)台上でしっかり先手を取ることを考えます。ラリーになれば僕らも負けていないと思うので、まずは台上でしっかり先手を取れるようにがんばります」と松平賢二。

張、松平賢組はメダル届かず マッチポイント逃し逆転され

 男子ダブルスの張、松平賢組はメダルにあと一歩届かなかった。3回戦で第3シードの中国ペアを破って勢いに乗り、準々決勝では第6ゲームの11−10でマッチポイントの好機を迎えたが、このゲームを落とすと最終ゲームも7−4から逆転された。

 終盤に消極的なプレーが目立った松平賢は「リードしていたのに勝ちきれなかった。(敗因は)気持ちの面じゃないですか」と肩を落とした。日本男子で3番手ペアは2大会連続の8強入りで選手層の厚さを示したが、大一番での試合運びに課題が残った。



 いやー、松平健太が怒濤の勢いで勝ち抜いています。

 あまりのイケメンっぷりでメディア露出も多いですね。

 その兄の松平賢二も、この世界卓球で非常に輝いていました。

 もともとかなりの実力者ではあるのですが、水谷、岸川、松平健太、丹羽くんと、実力的に上のシングルス勢が多く、なかなか話題を独占することはありませんでした。

 matsu1.jpg

 しかしもともとセンス抜群の卓球スキルの持ち主で、二段モーションフリックなどは松平賢二の「伝家の宝刀」として知られています。

 今大会でも張とのダブルスが凄かった。台湾の荘が強すぎて惜しくもメダルには届きませんでしたけれど、すごく良い試合をしていました。張一博も松平賢二も、ダブルスなのにあんな凄いドライブやバックドライブをラリーで打ち続けるのが凄い。非常に見応えのある試合でした。

 試合はittvで見る事ができます。

 Men's Doubles Quarter Finals
 CHAN Kazuhiro JPN/MATSUDAIRA Kenji JPN vs CHEN Chien-An TPE/CHUANG Chih-Yuan TPE

 がオススメです。



 そんな賢二お兄ちゃんなのですが、弟の松平健太が男子シングルスでベスト8まで勝ち抜き、オリンピックチャンピオンなどを倒して「あっぱれ」を頂戴するほどになっています。顔もイケメンですし一躍人気者なのですが、お兄ちゃんがこんなツイートを。 

 松平賢二 ‏@kenji19890406
おはようございます!道端、会場内で200回くらい健太に間違われてます。けんただと思い込み、ワクワクしながらサインを求める子供たち…ゴメンね。けんじだよ。笑 よし健太対許シン、死ぬ気で応援します!どんなとこからでも吠えます!皆さん日本時間の8時からです!一緒に応援しましょう!!


 医学処は松平賢二を応援しています。
posted by さじ at 20:55| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月15日

抗不安薬の排水で魚の反社会性が高まることが判明する

抗不安薬の排水混入で魚の性格が一変、大胆に 米学会発表

 排水に混入した抗不安薬によって、自然環境にすむ魚の性質が大胆になり反社会性が高まることが分かったと、スウェーデンの研究チームが14日に発表した。深刻な生態学的結果を招きかねないと警鐘を鳴らしている。

 スウェーデンのウメオ大学の研究チームは、抗不安薬のオキサゼパム製剤にさらされた淡水魚の一種パーチが、群れを離れて1匹だけで生きる傾向が高くなることを発見した。オキサゼパムは他のさまざまな薬剤と同様、人間の排泄物に含まれて自然環境に排出される。

 15日の米科学誌サイエンスに掲載される論文で、主著者である生態学者のトーマス・ブローディン氏は「通常、パーチは用心深く、群れで餌を追う。これは、よく知られている存続と繁栄をかけた戦略だ。しかし、オキサゼパム(が混入した水)の中を泳いでいるパーチは著しく大胆さを増す」と説明。群れを離れることによって、捕食者に食べられてしまう危険性が増すと指摘している。



 痛みっていうのは、生きる上で大事な機能です。痛みを感じるからこそ人体に負担のかからないように生活できるわけです。痛みを感じない子供が飛び降りたり歯を抜いたりとしてしまう症例をみると、痛みを感じる機能が備わっているからこそ動物は生存出来るんだなと実感します。

 不安も同様に、なくしていいものではありません。高度に発達した知能をもつからこそ、社会で生きる上でリスクを減らすために、不安は存在します。人間が生きて行く上で、不安を感じないなどありえない、誰しもが不安を抱きながら、それでも何とか生活しているんです。

 抗不安薬は日常生活に支障を出るほどの過度の不安がある場合に使用します。しかし日本では、やたらと処方されているのが実情です。うまく使えば良い薬なのですが、不安を無くしてしまうかの如く乱用することで、「依存」と「耐性」が生まれます。どうしても、という必要時以外は処方しないほうがいいですし、内服しないほうがいいですね。
posted by さじ at 02:32| Comment(0) | 精神 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする