2008年10月19日

救急車をタクシー代わりにした男に実刑1年2ヶ月。控訴も棄却

1審判決を支持 救急車タクシー男の控訴を棄却

 救急車をタクシー代わりに使ったとして、業務妨害の罪に問われた男の控訴審で、広島高等裁判所は懲役1年2カ月とした1審判決を支持し、控訴を棄却しました。

 この裁判は、広島市西区鈴が峰町の無職、H被告が、去年2月から4月まで3回にわたり、「殺傷事件が起きた」などとウソの通報をし、救急車を出動させたとして、業務妨害の罪に問われているものです。

 1審の広島地裁は今年5月、懲役1年2カ月の実刑判決を言い渡しましたが、「腹痛を訴えての行動であり、業務妨害にはあたらない」などとして、被告が控訴していました。きょうの判決公判で楢崎康英裁判長は、「1審判決に誤りはなく、ウソをついて救急車を呼ぶことが許されないという社会的常識を被告人も認識していた」として、控訴を棄却しました。



 まぁ当然か。にしても実刑を与えるほどとは。流石ですな。どんどん厳しく取り締まってもらいたい。

 しかしこの記事の書き方だと、単なるイタ電になってしまうので、逮捕当時のニュースを。

不要な119番通報繰り返した無職男逮捕

 調べによると、広野昌人容疑者は今年2月から4月にかけて、4回にわたり、救急車を呼ぶ必要がないのに「腹が痛い。救急車を回してくれ」などとウソの119番通報したり、県警本部に「傷害事件だ」と通報して救急車を出動させたりした疑いが持たれている。

 病気を患っていた広野昌人容疑者は、これまでにも度々トラブルを起こしており、酒を飲んでは電話をかけ救急車が自宅近くに駆けつけると本人がおらず、最大1時間40分もの間、救急隊員を足止めするなど救急業務を妨害したこともあった。


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2008年10月13日

カンボジアから救急医療を学ぶために研修医が来日。

カンボジアから研修医、知事を訪問 抱負語る 香川

 救急医療技術などを学ぶため香川県を訪れたカンボジアの医師2人が8日、県立中央病院などでの研修を前に県庁に法兼義信・知事公室長を訪ね、受け入れに謝意を表すとともに研修に臨む抱負などを語った。

 2人は、オク・ナリスさん(39)とソク・サムアーさん(44)。いずれもプノンペン市内の公立病院に勤務する救急医療の専門医。

 法兼公室長が「香川県の医療技術が(カンボジアのために)役立てばうれしい」と歓迎。オクさんは「カンボジアは内戦で疲弊し、医療分野は非常に遅れている。香川の優れた医療システムを学び、国をよくしたい」と意欲を語った。

 研修は、同県が平成13年度から独立行政法人国際協力機構(JICA)と共同で実施している国際協力事業の一環。カンボジアとの医療分野での事業は今回が初めて。カンボジアで長年、救急医療のため活動を続けている高松市のNPO法人「セカンドハンド」などの協力で実現した。研修期間は1カ月間を予定している。



 全国レベルでの医療技術でいえば世界トップクラスにある日本ですが、何といってもそれを担っているのは国民皆保険制度の存在でしょう。誰もがどこでも良質な医療を受けることができる、素晴らしいことです。

 でもその良質な医療も、やはりお金がないとなんとも出来ないわけで。難しいところです。日本より不安定なカンボジアでも、当然医療は必要とされているわけで・・・。命に違いなんてないとはいえ、今こうして存在している国の違いによっての、医療の質で生死に差が出てしまうというのは何ともいえませんね。そういうものを変えていくにはやはり政治なのかもしれません。ですが医療従事者は現場で「直接」命を追うのが使命なのです。政治家は現場を考慮しつつ国を変えていってほしいですね。
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2008年09月14日

妊婦は原則としてシートベルトを着用すべきである。

妊婦もベルト着用を=指導を開始へ−警察庁

 警察庁は11日、妊婦にもシートベルトを着用するよう警察官が指導する取り組みを始めると発表した。

 現行法令で、妊婦は場合によってベルト着用が免除されているため、着用を控える人が多かったが、専門家の見解を踏まえ、広報啓発や安全教育に乗り出す。取り締まりではなく、原則として指導にとどめる。

 今月中にも、交通ルールやマナーを解説した交通教則を改正し、都道府県警に通達を出す。



 免許取得時によくある問題でシートベルトはいかなる場合でも着用せねばならない、マルかバツか、というのがありましたね。答えはバツなんですけど。

 ただ時代は移り変わりまして、医学的にも、妊婦はシートベルトをしたほうがいいらしいです。

 「おなかを圧迫すると思った」。宇都宮市で昨年7月、妊娠21週を迎えた主婦、上田淳子さん(23)は夫峻也さん(20)運転の乗用車でスーパーに買い物に出かけた。おなか回りは約80センチ。知人から「必要ない」と聞いていたため、シートベルトをせず助手席に乗った。

 交差点を右折中、対向車線を直進してきたワンボックス車と衝突。上田さんはダッシュボードの下でおなかを抱えうずくまったまま気を失った。左気胸など重傷を負ったが、胎児は無事だった。済生会宇都宮病院の飯田俊彦産婦人科医長は「胎児、子宮に影響がなかった。奇跡です」と驚く。

 同12月、3105グラムの男の子を無事出産。上田さんは「よく生きていたと思う。妊婦には着用を呼びかけたい」と話す。


 シートベルトをすると腹部を圧迫するわけですから良くないような気もしますけれど、事故にあったときに助からない可能性が高いという致命的なリスクを負うわけです。これは厳しい。

 医学的に研究された方がいるようですのでご紹介。案外知られていないことですが、こういう分野でも法医学は大活躍します。遺体ばかり診ているだけではなく、事故や怪我の程度を把握することも法医学では重要なのです。

 妊婦の安全とシートベルトの関係を研究してきた独協医大の一杉正仁准教授(法医学)は「正しく着用すれば胎児への影響を軽減できる」と断言する。昨年、妊婦のダミー人形のおなかに3リットルの水を入れ、妊娠30週の妊婦が運転中に時速30キロで追突された場合に受ける衝撃を測定した。シートベルトを着用していれば、おなかへの衝撃を未着用時の3分の1に軽減できることが判明した。

 また妊娠30週の妊婦20人に運転席に座ってもらい、おなかとハンドルの間隔を測ると平均14・5センチだった。妊娠していない人と比べ約10センチハンドルに近いが、人形を利用した追突実験で、シートベルトを着用していれば衝突時にハンドルとおなかの間にすき間ができることが確認された。

 着用が義務づけられている米国では、妊婦の着用率は8割以上で、英国でも7割超。一方、別の研究者が94年に実施した調査では日本での着用率は32%と低い。多くの妊婦が「法的義務がないから」と回答したという。

 妊婦がシートベルトを嫌う理由の一つはおなかへの圧迫感だ。一杉准教授によると、ベルトを肩と腰に固定し、腰回りのベルトを大きくなったおなかの下に通せば解消される。日本産科婦人科学会と産婦人科医会も、近く「産科医療に関するガイドライン」で同様の着用方法を呼びかける。


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2008年08月27日

胚性肝細胞(ES細胞)から大量の赤血球を作ることに成功する。

ES細胞から大量の赤血球を生成、輸血用血液の無限供給も可能か

 米マサチューセッツ(Massachusetts)州ウスター(Worcester)を拠点とする米企業、Advanced Cell Technology(ACT)の研究員らが専門誌「Blood」(電子版)で、ヒトの胚性幹細胞から大量の赤血球を生成することに成功したと発表した。今回の成功で、輸血用の血液を無限に供給できる可能性が出てきた。

 ACTのRobert Lanza氏は「血液の供給に制限があることは、大量の失血をしている患者にとって生命を落としてしまうことにつながりかねない」とした上で、「ES細胞は、治療に必要な赤血球を供給する細胞を無限に増殖させることができる新たな細胞源の役割を果たす」と語った。

 同氏は「われわれは現在、6ウェルプレートの培地1つで培養したES細胞から、10-1000億の赤血球を生成することができる」と述べるとともに、「幹細胞株を『Oマイナス』の血液型に合わせれば、どの血液型にも合致する『万能供血者』の血液を生成することができるだろう」と強調した。O型の血液は、どの血液型の人にも輸血することが可能な唯一の万能血液型だとされている



 これの続編のようなニュース?

 医学処:ES細胞から赤血球を量産することに成功する

 実際に赤血球を生み出すことに成功したということです。どこまで臨床応用できるか。実際に出来れば、血液不足で悩むことはなくなるかも?理想をいえばどの血液型でも献血で賄えるのが一番ではありますが・・・。

関連:人工多能性幹細胞を使って鎌状赤血球症を治そう
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2008年08月22日

福島大野病院事件、加藤克彦医師に無罪判決が出る。

大野病院医療事件:帝王切開の医師に無罪判決 福島地裁

 福島県大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開手術中に患者の女性(当時29歳)が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医(休職中)、加藤克彦被告(40)に対し、福島地裁は20日、無罪(求刑・禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。鈴木信行裁判長は、最大の争点だった胎盤剥離を途中で中止し子宮摘出手術などへ移行すべきだったかについて「標準的な医療水準に照らせば、剥離を中止する義務はなかった」と加藤医師の判断の正当性を認め、検察側の主張を退けた。

 加藤医師は04年12月17日、帝王切開手術中、はがせば大量出血する恐れのある「癒着胎盤」と認識しながら子宮摘出手術などに移行せず、クーパー(手術用はさみ)で胎盤をはがして女性を失血死させ、医師法が規定する24時間以内の警察署への異状死体の届け出をしなかったとして起訴された。

 争点の胎盤剥離について、判決は大量出血の予見可能性は認めたものの、「剥離を中止して子宮摘出手術などに移行することが、当時の医学的水準とは認められない」と判断した。医師法21条については「診療中の患者が、その病気によって死亡したような場合は、届け出の要件を欠き、今回は該当しない」と指摘した。

 医療行為を巡り医師が逮捕、起訴された異例の事件で、日本医学会や日本産科婦人科学会など全国の医療団体が「結果責任だけで犯罪行為とし、医療に介入している」と抗議声明を出すなど、論議を呼んだ。公判では、検察、被告側双方の鑑定医や手術に立ち会った同病院の医師、看護師ら計11人が証言に立っていた。

 ★癒着胎盤 一般に分娩後、胎盤は自然に子宮壁からはがれるが、胎盤の絨毛が子宮筋層に入り、胎盤の一部または全部が子宮壁に癒着して胎盤がはがれにくくなる疾患。発生率は数千〜1万例に1例と極めて低い。


 福島県警刑事総務課の佐々木賢課長は「県警としては捜査を尽くしたが、コメントは差し控えたい。細かい争点については(裁判所の判断が)まだ分からないので何とも言えない。県警は医師に注意義務があるとして検察へ送ったが裁判所はそう認定しなかった」と話した。

 吉村泰典・日本産科婦人科学会理事長は「被告が行った医療の水準は高く、医療過誤と言うべきものではない。癒着胎盤は極めてまれな疾患であり、最善の治療に関する学術的な議論は現在も続いている段階だ。学会は、今回のような重篤な症例も救命できる医療の確立を目指し、今後も診療体制の整備を進める。医療現場の混乱を一日も早く収束するため、検察が控訴しないことを強く要請する」との声明を出した。



無罪の加藤医師が会見 「ほっとした」 大野病院事件

 20日午後、福島市霞町 無罪判決を受けた加藤克彦医師(40)は20日午後、福島市内で記者会見し、「ほっとした」と胸の内を率直に語り、「今後は、地域医療の現場で患者にできることを精いっぱいやっていきたい」と、現場復帰の意思を明らかにした。

 加藤医師は会見の冒頭、涙を浮かべながら、死亡した女性に「信頼して受診してもらったのに、亡くなるという最悪の結果になり、申し訳ありませんでした」と謝罪した

 加藤医師は逮捕からの月日を「何もしたくないという日々。長く嫌な2年6カ月だった」と振り返った。無罪判決については「裁判所にしっかりした判断をしていただいた」と少し表情を緩ませ、「今後は僕のような人が出ないことを祈りたい」と語った。

 さらに、「子供をあやす顔が忘れられない」「きちんとした罰を受けてほしい」と公判で意見陳述した遺族の言葉にも触れ、「グサッときた。生涯忘れられない言葉」と神妙な面持ちで話した。

 主任弁護人の平岩敬一弁護士は判決を評価するとともに、「医師に不安が広まったことや、産科医の減少といった悪影響がなくなればいい」と話した。



大野病院事件「妥当な判決」 日産婦学会が声明

 大野病院事件の無罪判決を受け、声明を読み上げる日本産科婦人科学会の吉村泰典理事長=20日正午、東京都文京区本郷 福島地裁の無罪判決を受け、日本産科婦人科学会の吉村泰典理事長は20日昼、記者会見し「実地医療の困難さとリスクに理解を示した妥当な判決」と判決を評価。「控訴しないことを強く要請する」と、検察側に控訴断念を求めた。

 争点となった癒着胎盤について吉村理事長は「極めてまれな疾患であり、診断も難しく、最善の治療についての学術的議論は現在も学会で続けられている」とし、加藤克彦被告に対しては「専門医としていった医療の水準は高く、まったく医療過誤と言うべきものではない」と、同学会の声明を読み上げた。

 同学会医療問題ワーキンググループ委員長を務める岡井崇理事は「今回のケースは逮捕する理由がなかった。たとえ患者への説明が不十分だったとしても、医師に刑事罰を与えることにはつながらない。医療を知らない警察が最初に捜査を行ったことが問題。まず、専門家が第三者機関を設けて調査すべきだと事件を通じて率直に感じた」と訴えた。



大野病院医療事故:捜査見直し発言も 無罪判決に反響 /福島

 県立大野病院(大熊町)の医療事故を巡る公判で、福島地裁が20日に無罪判決を出したことを受け、21日も吉村博人・警察庁長官が今後の医療事故の捜査に慎重姿勢を打ち出すなど反響が広がった。

 福島地裁は判決で検察側の立証の甘さを指摘し、被告の加藤克彦医師(40)に無罪を言い渡した。吉村長官は21日の会見で、「判決を踏まえながら医療事故の捜査について慎重かつ適切に対応していく必要がある」と述べた。

 今回の事故では、手術での医療判断に刑事責任が問われ、医師の身柄が拘束されたことに医療界が強く反発した。捜査当局は「証拠がほとんどなく関係者の証言が頼りで、口裏合わせの可能性もあった」と逮捕の理由を語っていたが、元長崎地検次席検事の郷原信郎・桐蔭横浜大法科大学院教授(経済刑法)は「いつでも身柄を取れるというのは捜査機関の独善的な考え方。医師は患者を抱えており、明白な過失がないなら身柄を拘束すべきでない。今回のケースは捜査機関の介入自体に無理があったのではないか」と指摘した。

 医療界からは、日本産科婦人科学会が20日に「重篤な疾患を扱う実地医療の困難さに理解を示した妥当な判決。医療現場の混乱を一日も早く収束するよう、検察が控訴しないことを強く要請する」との声明を出した。全国保険医団体連合会も同日、「無罪判決に敬意を表する。医療事故の被害を速やかに救済するため、第三者機関の設立と無過失補償制度の創設を改めて要望する」とコメントを発表した。



地域の妊婦「みんな不安」 医師、現場復帰の思いも

 女性が出産直後に死亡、産婦人科医が逮捕された福島県立大野病院事件。患者の評判が良かった産科医は現場復帰を望む一方、女性の遺族は不信感を募らせる。医師不在となった地元の影響は深刻で「妊婦はみんな不安」との声も。関係者は二十日、さまざまな思いで判決を迎えた。

 産婦人科医の父を持ち、幼いころから同じ道を目指していた被告の加藤克彦かとう・かつひこ医師(40)。約千二百人の分娩ぶんべんに立ち会い、大野病院の一人医長として「丁寧」と評判も良かった

 公判では遺族に謝罪した上で「できる限りのことはした」と無罪を主張。「また地域医療の一端を担いたい」と現場復帰への思いも吐露した。

 「ちっちゃい手だね」。死亡した女性=当時(29)=は長女出産後に笑顔を見せたが、帰らぬ人に。三歳になった長女は長男(7)とともに女性の両親らと暮らす。

 長女誕生と女性死亡が重なった一日を「天国から地獄」と表現した両親らは公判を欠かさず傍聴した。父親は法廷で「大野病院でなかったら亡くさずに済んだ命。許さない」と涙ぐみ、女性の夫は「言い訳をしないでミスを受け止めてほしい」と加藤医師に注文した。

 大野病院は産婦人科の休診が今も続き、ほかの診療科も医師の退職が相次いだ。

 「里帰り出産を断念」「妊娠中の出血で百キロ近く離れた病院に搬送」。加藤医師の診察で出産した同県大熊町の女性(34)の周囲にはこんな話が絶えない。「早産などの時にどうしたらいいのか。みんな不安がっている」と女性はつぶやく。

 福島県立病院の産婦人科も、医師不足のためすべて分娩ぶんべんの取り扱いを中止した。神奈川県とほぼ同じ面積を持つ南会津地方は、常勤の産婦人科医がいる病院が皆無になり「妊婦が山道のハンドルを握り、遠方の病院へ通うのは珍しくない



「検察は控訴すべきでない」−自民・世耕氏

 自民党の世耕弘成参院議員は8月20日、福島市内で開かれた「福島大野事件が地域産科医療にもたらした影響を考える」のシンポジウムで、「福島県立大野病院事件」で加藤克彦医師に無罪判決が言い渡されたことについて、「検察は控訴すべきでない」と述べた。

 超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」(会長・尾辻秀久自民党参院議員)のメンバーである世耕議員は、次のように語った。

 「判決は高く評価したい。4月の超党派議連のシンポジウムでも、『もし変な判決が出たらメスを置く』という先生がいて、大変なことになると心配していたが、無罪判決が出てほっとした。判決が出るまでは司法への介入になってはいけないと、発言を我慢していたが、判決が出た上は、検察は控訴すべきではないと、政治家として申し上げる」



大野病院事件判決要旨 福島地裁

 福島県立大野病院事件で、産婦人科医加藤克彦被告を無罪とした20日の福島地裁判決の要旨は次の通り。

 【出血部位】

 胎盤はく離開始後の出血の大部分は、子宮内壁の胎盤はく離部分からの出血と認められる。

 はく離中に出血量が増加したと認められる。具体的な出血量は、麻酔記録などから胎盤べん出時の総出血量は2555ミリリットルを超えていないことが、カルテの記載及び助産師の証言などから遅くとも午後3時までに出血量が5000ミリリットルに達したことが認められる。

 【因果関係】

 鑑定は、死因ははく離時から子宮摘出手術中まで継続した大量出血によりショック状態に陥ったためとしており、死因は出血性ショックによる失血死と認められる。

 総出血量の大半が胎盤はく離面からの出血であることからすれば、被告の胎盤はく離行為と死亡には因果関係がある。

 【胎盤の癒着】

 胎盤は、子宮に胎盤が残存している個所を含む子宮後壁を中心に内子宮口を覆い、子宮前壁に達していた。子宮後壁は相当程度の広さで癒着胎盤があり、少なくとも検察側鑑定で後壁の癒着胎盤と判断した部分から、弁護側鑑定が疑問を呈した部分を除いた部分は癒着していた。

 【予見可能性】

 手術に至るまでの事実経過に照らすと、被告は手術直前には癒着の可能性は低く、5%に近い数値であるとの認識を持っていたと認められる。

 被告は用手はく離中に胎盤と子宮の間に指が入らず、用手はく離が困難な状態に直面した時点で、確定的とまではいえないものの、患者の胎盤が子宮に癒着しているとの認識を持ったと認められる。

 癒着胎盤を無理にはがすことが大量出血、ショックを引き起こし、母体死亡の原因となり得ることは被告が所持していたものを含めた医学書に記載されている。従って癒着胎盤と認識した時点においてはく離を継続すれば、現実化する可能性の大小は別としても、はく離面から大量出血し、ひいては患者の生命に危機が及ぶ恐れがあったことを予見する可能性はあったと解するのが相当である。

 【被告の義務】

 被告が胎盤が子宮に癒着していることを認識した時点では、ただちに胎盤はく離を中止し子宮摘出手術などに移行することは可能だった。移行した場合の出血量は相当に少ないであろうということは可能であるから、結果回避可能性があったと解するのが相当である。

 検察官は、ただちに胎盤はく離を中止し子宮摘出手術などに移行することが本件当時の医学的準則で、被告は胎盤はく離を中止する義務があったと主張し、根拠として検察側証人の医師の鑑定を引用する。

 弁護人は、用手はく離を開始した後は出血していても胎盤はく離を完了させ、子宮の収縮を期待するとともに止血操作を行い、それでもコントロールできない大量出血をする場合に子宮摘出をするのが臨床医学の医療水準だと反論する。

 本件では、胎盤はく離を開始後にはく離を中止し、子宮摘出手術などに移行した具体的な臨床症例は検察側からも被告側からも示されていない。検察側証人の医師のみが検察官と同じ見解を述べるが、同医師は腫瘍が専門で癒着胎盤の治療経験に乏しく、主として文献に依拠している。

 他方、弁護側証人の医師は臨床経験の豊富さ、専門知識の確かさがくみ取れ、臨床での癒着胎盤に関する標準的な医療措置に関する証言は医療現場の実際を表現していると認められる。

 そうすると、弁護側証人の医師の鑑定や証言から、用手はく離を開始した後は、出血をしていても胎盤はく離を完了させ、子宮の収縮を期待するとともに止血操作を行い、それでもコントロールできない大量出血の場合には子宮を摘出することが、臨床上の標準的な医療措置と解するのが相当である。

 医師に義務を負わせ、刑罰を科す基準になる医学的準則は、臨床に携わる医師のほとんどがその基準に従っているといえる程度の一般性がなければならない。現場で行われている措置と、一部医学書の内容に食い違いがある場合、容易かつ迅速な治療法の選択ができなくなり、医療現場に混乱をもたらし、刑罰が科せられる基準が不明確になるからだ。

 検察官は、一部の医学書と検察側証人の鑑定による立証のみで、それを根拠付ける症例を何ら提示していない

 検察官が主張するような、癒着胎盤と認識した以上ただちに胎盤はく離を中止し子宮摘出手術に移行することが当時の医学的準則だったと認めることはできない。被告が胎盤はく離を中止する義務があったと認めることもできず、注意義務違反にはならない。起訴事実は、その証明がない。

 【医師法違反】

 医師法21条にいう異状とは、法医学的に見て普通と異なる状態で死亡していると認められる状態にあることで、治療中の疾病で死亡した場合は異状の要件を欠く。本件は癒着胎盤という疾病を原因とする、過失なき診療行為によっても避けられなかった結果であり、異状がある場合に該当するとは言えない。起訴事実は証明がない。



 いやー・・・

 本当に嬉しい

 「当たり前」の判決ですし、「むしろ裁判を起こされた段階で引っ掻き回されたこと」ではありますが、無罪という判決が出たことを喜びたいと思います。

 しかし・・・加藤医師一人が逮捕され、長い間医療に携わることができなかっただけで、大きな損失でしょう。現場復帰していただけるようですが、疑心暗鬼に陥らず、以前と同じように頑張っていただけたら、と思います。

 医療ミスがあれば裁かれるべきだし、隠すのはもっての他、それは当たり前です。

 しかし医師が正しい医療行為を行い、全力を尽くしても助けられなかったことに対して、怒りの矛先を医師に向けるのは、恥ずべきことではないでしょうか。そしてそういう事態から医師を護るのは、社会の務めだと思います。

 この事件で失ったものはあまりにも大きいです。ですがこの事件をきっかけにより考えられるようになったのも事実です。過去は戻せない、ならばこれからの医療社会をより良くしていくために、国を揚げて対策を講じる必要があると思います。

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2008年07月31日

電源の入らないAED2万台を回収する。

AED2万台回収へ、過去最大規模

 自動体外式除細動器(AED)の電源が入らなくなる恐れがあるとして、医療機器輸入販売会社「日本メドトロニック」(東京都港区)は29日、全国の公共施設や医療機関などに販売した2万682台を自主回収すると発表した。

 国内に設置された12万9475台(2007年末)のAEDの1割強にあたり、都によると、AEDの自主回収としては過去最大規模。



 一般に広く普及してきたAEDですが、まだまだ使い方という面でいうと、認知されていないのが現状だと思います。

 まず基本は「胸骨圧迫心臓マッサージを出来るだけ長く続けること」です。1分間に100回のリズム(ドラえもんのEDの『あったまてっかって〜か』のリズムなど)で30回強く押し、人工呼吸を1秒に1回のペースで2回吹き込むこと。

 たとえAEDを身体に設置するときでも、移動させるときでも、心臓マッサージを止めてはいけません。ここポイント。10秒以上マッサージを止めないように動かないといけないのです。

 さて、AEDに関してですが、まずは到着したら電源を入れます。そしてパットを身体に貼ります。体が濡れていたらパットを貼る部分だけ水を拭きます。貼り薬があったら取ります。

 パットを貼ったらコネクターをAED本体につけましょう。コネクターをつける前にパットを貼るのがポイントです。すると心電図を勝手に解析してくれます。この一連の動作の間はマッサージを続けること。

 心電図解析のために「体から離れてください」とアナウンスされてからはじめて、マッサージを止めます。

 ショックが不要、とアナウンスされたら、すかさず心臓マッサージを行います。救急隊が到着するまで、これをずっと繰り返すのです。

関連
医学処:救急蘇生法に人工呼吸は不要。心臓マッサージだけで良い。
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2008年06月29日

血小板と成長因子をフリーズドライすることに成功する。

☆画期的な「血小板フリーズドライ法」、米研究者が開発

 血小板を「フリーズドライ(凍結乾燥)処理」する方法が開発された―細胞分裂を促進するなどの働きがある「成長因子」も保存されるため、粉末状の血小板を傷口に直接塗布したり、包帯などに用いたりすることができるという。

 血液中に含まれ、止血や傷の治癒において重要な役割を果たする血小板。医療現場での血小板の需要は高い。しかし血小板は温度の変化に弱く、冷凍保存することができない。

 そのため研究者の中では血小板の「フリーズドライ」に注目が集まっていたという。しかし、これまでに開発されてきたいくつかの方法については、実用性の面での難点、効果面での問題が指摘されてきた。

 米カリフォルニア大学デービス校のFern Tablin博士は、血漿から取り出した血小板を凍結乾燥することに成功。充てん剤としてポリエチレン・グリコールなどの高分子化合物、さらにトレハロースなどのオリゴ糖を加えたという。

 粉末状の血小板には成長因子が保存されているため、傷口に直接塗布、あるいは包帯やばんそうこうに応用することで、止血・傷の治癒に高い効果を発揮するとされる。

 この画期的な「血小板フリーズドライ法」によって、医療機関はもちろん、戦場や災害地など輸血が困難な環境でも負傷者の早急な治療が可能になるとして期待が高まっている。



 おおお。これは画期的な。

 身体の中で血小板が集合して、血の流れを止めるだけでなく、外からでも、しかもお手軽に血小板と成長因子を塗布することが出来るなんて、ねぇ。

 傷ドライやら絆創膏やらありますけれど、医療品として、フリーズドライ血小板配合の絆創膏が出てきても全く不思議ではないですね。むしろ希望。

関連
医学処:自分の血小板を用いて、テニス肘の痛みを改善することに成功
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2008年06月27日

未だに救急車をタクシー代わりに使っている人々。

救急車を足代わりに利用、全国で増加…読売調査

 救急車を病院までのタクシー代わりに利用しようとする119番が、全国各地で相次いでいることが、主要51都市の消防本部を対象にした読売新聞の調査で明らかになった。

 急病でないにもかかわらず、「病院での診察の順番を早めたい」という理由で、救急車を呼ぶケースも目立つ。昨年1年間の救急出動件数の5割は軽症者の搬送で、110番に続き119番でも、非常識な要請が広がっている傾向が裏付けられた形だ。

 都道府県庁所在地と政令市にある計51の消防本部(東京は東京消防庁)を対象に、最近の119番の内容を尋ねたところ、37消防本部がタクシー代わりの利用など、明らかに緊急性のない要請があると回答。大都市、地方都市とも同じ傾向がみられた。

 例えば、「119番でかけつけると、入院用の荷物を持った女性が自ら乗り込んできた」(甲信越地方)ケースや、「119番で『○月○日の○時に来てほしい』と救急車を予約しようとする」(関西地方)事例が多い。症状を偽る人もおり、甲信越地方の60歳代の男性は「具合が悪くて動けない」と救急車を呼びながら、実際は緊急の症状はなく、あらかじめ病院に診察の予約を入れていた。

 風邪程度なのに、「救急車で行けば、早く診てもらえる」と思って119番する事例も、28消防本部で確認された。

 病院では救急外来の患者の重症度をまず看護師が判断する場合が多い。しかし、山陽地方では、切り傷で搬送された患者と家族が、診察の順番を待つよう告げられ、「救急車で来たのだから、優先的に診察するのが当然だろう」と詰め寄った。

 診察待ちをしている人が、病院を抜け出して119番するケースも7消防本部であった。

 関東地方では、50歳の男性を病院に搬送すると、先ほどまで待合室にいたことが判明。男性は「順番が来ずにイライラし、救急車で運ばれれば早まると思った」と語った。

 51消防本部で昨年1年間に救急車が出動した約232万件のうち、安易な要請も含めた軽症者の搬送は約117万件。厳しい財政事情から救急隊の増員が進まず、重症者への対応が遅れるなど支障も出ている。



 何も変わってないのか、この国は…。

 メディアでも、救急車の過剰要請が酷すぎると以前から報道されてきているものの、一般人の意識は全く変わってません。単なる便利な乗り物のような認識なのでしょう。

 しかしもうそろそろ救急車もお金がかかるようにしないと、本当に破綻してしまうかもしれませんね。その地域ごとに限りのある救急車を出動させている以上、その間に他の重症な疾患が早急に搬送できなくなる可能性もあります。

 そういうことを少しでも考慮していれば、安易に救急車を呼ぶなんて出来ませんけれどね。

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2008年06月26日

飛行機内で救命措置を行った女性が、乗客の撮影でPTSDに

飛行機内で救命中、傍観乗客の視線と写真撮影でPTSDに

 航空機内で心肺停止した男性に蘇生措置をして助けた女性が、やじ馬状態のほかの乗客に写真を撮影され、恐怖心などから心的外傷後ストレス障害(PTSD)になった。

 女性を診察した国保旭中央病院(千葉県)の大塚祐司医師によると、女性は会社員。救急法の指導員資格があり、機内で倒れた男性に独りで人工呼吸や心臓マッサージをした。男性は呼吸が戻り、規則的な心拍も回復して命を取り留めた。

 この間、多くの中高年の日本人男性乗客らが「テレビと同じ」「やめたら死ぬんでしょ」と携帯やビデオで撮影。女性は中年男性が集まる場所で過呼吸症状が出るように。カメラのシャッター音が怖く携帯のカメラも使えなくなった。「やじ馬の罵声と圧力の怖さは忘れないと思う」と話しているという。

 客室乗務員は手伝わず、AEDを頼んだが、持ってこなかったという



 何が起こったんだ・・・。

 一番腹立つのは携帯で撮影よりも「やめたら死ぬんでしょ」と救護者にプレッシャーをかけている点です。そんなこと言うぐらいなら手伝えと。心臓マッサージがどれだけ重労働か分かっているんでしょうか。

 幸いにも呼吸も戻り、心拍も正常ということですので、命が救われたわけです。飛行機に乗っていた何百人という乗客の力ではなく、たった1人の女性のおかげで。

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2008年06月15日

秋葉原通り魔事件で救急トリアージは成功したのか。

惨劇のアキバ、救命最前線は…搬送順位、迫られた選別

 わずか5分の間に17人もの死傷者を出した東京・秋葉原の無差別殺傷事件には、東京消防庁の救急隊20隊に加え、複数の医療チームが初めて同時出動した。混乱する現場で迅速、適切に対応できたのか。

 発生直後に現場に居合わせた医師は、「横たわっている人のうち少なくとも2人は、既に心肺停止状態だった」と、当時の惨劇を振り返る。傷は深く、一目で肝臓などに達しているとみられるケースもあった。

 まさに“戦場”の中で、現場に先着した救急隊員らは、患者の負傷の程度によって搬送の優先順位を決める「トリアージ」を迫られた。トリアージとは「選別」の意味で、助かる可能性のある患者を優先的に搬送する行為だ

 「亡くなった方には気の毒だが、トリアージは機能したのでは」と語るのは、救急医療が専門の山本保博・東京臨海病院院長(66)。死亡した7人の搬送先を見ると、すべて1病院1人ずつになっており、山本院長は「1人の重篤者が搬入されるだけで多くの救急スタッフがかかり切りになる。トリアージの精度が高く、分散搬送ができたのではないか」とみている。

 重篤状態で搬送された男性(54)は、一命を取り留め、呼びかけに反応するまでに回復した。

 今回、災害以外では初めて複数のチームが投入された「DMAT(災害医療支援チーム)」も「比較的連携がスムーズにいった」(石原哲・白鬚橋病院長)との声もある。

 今回の事件では日本医科大付属病院(文京区)、白鬚橋病院(墨田区)、都立広尾病院(渋谷区)、東京医科大付属病院(新宿区)の4病院の4チームに出動要請がかかった。一番早く現場に着いたのは日医大のチームで、東京消防庁の要請から12分後。次いで東京医大が16分だった。

 昨年4月から12月の都内の平均DMAT到着時間は21分。事件発生が、交通量の少ない休日で、駆けつけやすい都心部だったとはいえ、平均よりかなり早かったといえる。一方で、都立広尾病院は28分、白鬚橋病院は30分かかった。

 一般人も救急活動に参加した。DMATの一員、日本医科大の横堀将司医師(33)は、「心臓マッサージや止血などの知識が広範囲に伝わっているのを実感した」と振り返る。

 DMAT(Disaster Medical Assistance Team)

 災害現場に駆けつけ、現場で救命措置を行う医師や看護師らのチーム。2004年8月に東京都が全国で初めて設置した。都内では現在17の指定病院に約550人がいる。これまで04年10月の新潟県中越地震や、07年6月の渋谷の温泉施設の爆発事故などに出動している。

現場で救助なら血液感染に注意
 
 今回の事件では、群衆が携帯電話のカメラで現場を撮影する場面がある一方、救命措置に積極的に協力する市民の姿も目立った。だが、被害者の一人がB型肝炎ウイルスの感染者だったことが判明し、救助にあたった人に感染の不安も出ている。同じような場面に出くわした時、どう対応すべきか――。

 「救助の際、血にはなるべく触れないで」とアドバイスするのは奥村徹・佐賀大学医学部教授(救急・災害医学)。B型肝炎は血液を通じて感染する病気で、C型肝炎より感染力が強い。ただ、「救助する人が手などに傷を負っていなければ、それほど心配する必要はない」とも。あればゴム手袋、なければスーパーの買い物袋で手を覆うだけでも感染防止に有効だ。

 救助のポイントは、「脳に血液を送り続けること」。負傷者が出血していても基本は同じだ。

 意識や呼吸がない場合は、人工呼吸や心臓マッサージが必要。心臓マッサージは、硬い床の上で、あおむけの負傷者の胸に両手を重ねて置き、両ひじを伸ばしたまま垂直に体重をかけて行う。心臓マッサージだけでも十分効果的だという。(十時武士)

 おおむね評価が高かった今回の救助活動だが、課題も残った。

 現場では止まった心臓に電気ショックを与える自動体外式除細動器(AED)も利用されたが、横堀医師によると、現場付近で見つからず、約200メートル離れたJR秋葉原駅付近まで走って取ってきてもらったケースもあったという。

 千代田区によると、AEDが街のどこに、どれだけ設置されているのか全体像はわからないのが実情だという。区が秋葉原地区で把握しているのは区の出張所と図書館、警視庁万世橋署の3か所だけ。地元の秋葉原電気街振興会も「個々の店で設置しているかもしれないが、詳細は知らない」という。

 秋葉原電気街振興会では2年前、通り魔などを想定して危険な目にあった子供などが駆け込める「110番の家」設置を検討したことがある。近年、オタク文化の発信地として知名度があがるにつれ、事件発生が増えるなど治安への不安が出てきたためだ。ところが、「追いかけてきた不審者に店員が襲われてケガをしたらどうするか」と制度導入に慎重な声も多く、実現できなかったという。

 大手家電量販店やアニメやゲームソフトを扱う店、飲食店などが増え、加盟率が「全体の5割以下」(同振興会)に落ち込んでいることも、地域ぐるみの取り組みを難しくしているという。



 わずか12分とは。さすがですね。見事なまでにトリアージが成功した点も、早期に導入した点も、評価できることだと思います。

 現場では市民が救命処置を行っていました。日本はほかの国より平和とはいえ、こういった事件や事故には誰でも遭遇する可能性を持っています。そのため、救命処置のマスターだけでなく、さらに一歩進んだ知識(血液に触れないようにするなど)の自己防衛の知識をも身につけてほしいと思います。その場に居合わせた人の力で、人は救われるのです。わずか12分といえどその間になにもしなければ、間違いなく亡くなっていたでしょうね。

 あとは秋葉原の街がどのように変わっていくのか、どうか。地域ぐるみの付き合いをしろとは強要しませんが、少なくとも街を担う一角である以上、AED設置や、事件発生時の対策などは一緒に話し合うべきだと思います。欲望を吐き出すだけの街で終わってもらいたくはないですね。

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医学処:救急車の必要性に順位をつける「トリアージ制」を導入する
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2008年06月12日

秋葉原通り魔事件での被害者。

手術成功、「胸なで下ろした」=重傷タクシー運転手の上司

 タクシー運転手湯浅洋さん(54)は右脇下を刺され重傷を負ったが、手術で辛うじて一命を取り留めた。湯浅さんの会社の上司牛久恭文さん(42)は9日午後、手術の成功を振り返り、「胸をなで下ろした」と話した。

 湯浅さんは8日午後、秋葉原を走行中に異変に気付き、車を降りたところを襲われた。傷は肺や肝臓などに達するほど深く、すぐに病院に搬送された。

 連絡を受けた牛久さんは、病院に駆け付け、手術の終了を待った。同日午後6時ごろ、医師から手術成功の一報。牛久さんは、湯浅さんの家族と喜びを分かち合った。



「彼女のために祈って」=漏れるすすり泣き−犠牲者搬送の病院

 死亡した武藤舞さん(21)=東京都北区=が搬送された東京医科歯科大付属病院(文京区)には8日午後8時ごろ、親族とみられる男女の姿があった。女性はすすり泣き、男性は必死に歯を食いしばっていた。

 武藤さんの体には、右脇腹から肝臓に達する深い刺し傷があり、同日午後4時半ごろ、死亡が確認された。

 知人とみられる男性は消え入るような声で「彼女のために祈って」と言い、病院を後にした。待合室では、涙を流しながら警視庁の捜査員の説明を聞く人の姿もあった。



 秋葉原通り魔事件。ただ自分の屈折した鬱憤をはらすために多くの人が傷つけられた陰惨な事件。当然、鬱屈が溜まっていたからといってやっていいことではありません。容疑者には死刑宣告をして、その後80年ほど生かしておくのが一番いいと思います。文字通り、死ぬほど後悔して、生き続けなければなりません。

 亡くなった方のご冥福を、お祈り申し上げます。
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2008年06月09日

大阪府済生会茨木病院が、術後の体調不良を放置し死亡させる。

4時間半、診察遅れ死亡 大阪・済生会茨木病院

 大阪府済生会茨木病院(茨木市、曽根春男病院長)で昨年11月、入院中の男性患者=当時(34)、同府吹田市=が首の椎間板ヘルニアの手術後に体調不良を訴えたのに約4時間半も医師の診察がなく、重体となって17日後に死亡したことが7日、分かった。

 病院は「放置とは考えていないが診察が遅れたのは確か。手術の後遺障害の認識が低かった」としている。茨木署は業務上過失致死の疑いもあるとみて捜査している。

 調べや病院の説明によると、男性は昨年11月7日午前9時半から午後1時の間、手術を受けた後、呼吸不全などを訴えた。看護師が血圧を測り、その記録などから担当の男性医師(39)は緊急性がないと判断、予定されていた別の手術に取り掛かった

 男性が息苦しさを訴え続けたため、医師は約4時間半後の午後5時半ごろ、エックス線撮影して詳しく調べ、首にできた血腫が気管を圧迫していることが判明。男性は間もなく容体が悪化し、心肺停止状態になった。

 緊急手術を受けて心拍は回復したが、意識は戻らないまま、同月24日に低酸素脳症で死亡した。



 う〜む。忙しかったのは分かりますが、術後管理の点からすれば失態だと思います。
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2008年06月04日

自民党が救急医療基本法を提言してる。

自民党が「救急医療基本法」を提言

 自民党の「救急医療と搬送に関するプロジェクトチーム」は30日、救急患者のたらい回し防止など、救急医療体制を再構築する「救急医療基本法(仮称)」の制定を求める提言をまとめた。

 政府に早期の法制化と必要な予算の確保を要請する。

 高度な専門知識を備えた救急医を育成するセンターの設置が必要と明記。すべての救急患者を受け入れて初期診療を行った上で、専門の診療科に速やかに振り分ける米国の「ER方式」の日本版の導入についても、検討を進めるなどとしている。



 なんだかなあ。まるで今の救急医療が駄目みたいな。

 いや勿論必要なんですけれど、法律を制定するからには、救急医療に携わる人たちの今の地獄のような労働環境も改善してくれるんでしょうか。

 救急医を優遇するようにして、更に医療従事者を増やすような策をとれば、何もわけのわからん育成センターを設置しなくても、高度な知識を備えた救急医が数多く育って、文字通り「全ての救急患者を受け入れることができる」ようになると思いますけれど。

 過労な職場、しかも医療従事者が不足しており、ベッド数すら足りないような状況で、どうやって全ての急患を受け入れるというのか。机上の空論とはまさにこのことではないですかね。

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2008年06月02日

フリーランスの医師の日給について。

フリー医師「1日20万円」 なぜそんなにもらえるのか

医師不足の中で、人材紹介会社に登録する非常勤の医師が、急速に増えている。完全なフリーランスの医師もおり、数千万円の年収がある人もいるという。収入がいいからフリーが増えるのか。

麻酔科医は1日あたり10〜20万円が相場

 「非常勤のお医者さん」と題した求人サイトをのぞくと、ビックリするような数字が目に飛び込んでくる。それは、医師の高額給与ベスト5を特集するランキング表においてだ。

「日勤 1日当り 200,000円」

 これは、東京・新宿のある美容外科で非常勤の医師に1日で与えられる給与の額だ。このほか、東京・葛飾の皮膚科で15万円、千葉の整形外科で12万円と続く。

 このサイトを運営しているのは、医師の人材紹介会社「リンクスタッフ」。同社によると、給与額は専門分野の内容に合わせて高額になる。医師紹介事業部の部長は、「健康診断などに比べ、生きるか死ぬかという場に居合わせ、時間もかかる麻酔科などの医師の方が給与は高くなります」と話す。給与がトップクラスの麻酔科医では、1日あたり10〜20万円が相場になるという。

 リンクスタッフによると、登録する医師の数は、年々増えている。理由の一つが、研修医の制度が2004年に変わったこと。研修医が自由に病院を選べるようになり、病院側が求人に頼るようになったためだ。現在の登録者数は、約1万人で、04年に比べて倍以上になったという。この中には、非常勤の仕事もこなす勤務医や完全なフリーランスも含まれている。

 非常勤の医師が高収入なのは、医師不足という事情もある。登録者が増えている理由の一つは、この高収入にあるとみられるが、リンクスタッフ医師紹介事業部の部長は、別の理由を指摘する。

 「一つには、女性医師が増えていることがあります。主婦や子育てもしている場合、非常勤でないと勤めにくい。また、激務続きの常勤で疲れ果ててという場合もあります」

 特に高収入の麻酔科医は、完全なフリーランスの人も現れ始め、メディアで脚光を浴びるようになった。

 毎日放送(大阪市)は、5月21日放送の番組で、勤務医時代に比べて収入が倍近くになったというフリー麻酔科医の男性を取り上げた。この男性医師は、掛け持ちした10か所以上の病院を飛び回る毎日。勤務は週4日だが、人手不足で緊急依頼も多く、休日も携帯電話を手放せない。「昼間でも時間関係なく手術が入ってくるんですよね」と男性医師。収入も倍になったが、仕事も倍になった

 なぜ麻酔科医がそれほど不足していて、引っ張りだこなのか。

 医師紹介大手のメディカル・プリンシプルの広報担当者は、以前は外科医が代行する場合が多かったが、最近は麻酔科医の資格が求められるようになってきたことを挙げる。

 さらに、麻酔科医のなり手がいない事情があるようだ。「登録者には、内科が一番多いのですが、外科や麻酔科よりも皮膚科や眼科の方が多いんですよ。当直業務もありませんし、人が死にません。産婦人科のように医療過誤の訴訟が増えているということもありません。つまり、手術のようなものは敬遠されつつあるということです」(広報担当者)。

 ただ、完全なフリーランスは、まだごくまれにしか見られないという。メディカル・プリンシプルによると、登録医師は、時間のあるときに働く勤務医がほとんどだ、としている。

 医療関係者の間では、非常勤やフリー医師は、必ずしも医師不足の解決策にはならない、と指摘する声も強い。常勤より非常勤の方がコスト高になることや、非常勤の場合、人数を多くしなければならず、不安定でもあるからだ。地方では、常勤が減ったために、閉鎖に追い込まれる病院も相次いでいる。



 スキマ産業なんですよね、フリー医師って。かけもちして、値段の割高な場所(オイシイところ)をうまく手繰り寄せていく。

 基本、地方の病院で当直すれば10万は貰えます。しかし自分の睡眠時間を削っているわけですし、日中業務は当然こなさなければいけませんから、オイシイかというとそういうわけではないでしょう。大きな病院だと当直しても1万程度と、かなり安くなりますし、それでもこなしている先生方には本当に頭の下がる想いです。彼らがいるから、日本の医療の水準は深夜でも保たれているわけです。

 麻酔科医の給料が高いのは、いいと思うんですよね、個人的に。全身麻酔をかけている間中、傍で管理していなければならないわけですから、1つ手術に入ると6時間とか12時間とか傍で見てるだけという。『やり甲斐』、という面で、なり手が少ないのが最大の実情だと思いますからね。

 と書いている間にも救急車の音。救急隊員の方、当直している医療従事者の方、お疲れ様です。
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2008年05月13日

赤十字マークの無断使用は違法。マークの意味を考えよう。

赤十字マーク:日赤が誤使用防止呼び掛け

 赤十字マークの無断使用は違法です−−。8日の「世界赤十字デー」に合わせ、日本赤十字社(本社・東京都港区)が病院・薬局、企業などに、マークの誤使用防止を呼び掛けている。

 白地に赤の十字は、日本を含む194カ国が批准するジュネーブ条約で「軍隊の衛生部隊などが付ける戦場での中立を表す印」と規定されている。同条約や日本の「赤十字の標章と名称の使用制限法」などは、マークの無許可使用を禁じており、違反すると6月以下の懲役か30万円以下の罰金が科せられる。

 しかし日赤によると、日本では地図やイラスト、病院や薬局の看板などで、赤十字が単に「医療」や「救急」を表すマークとして誤って使われ、年間10〜20件の違反の情報が寄せられるという。これだけ乱用が広がっているのは世界的にも珍しいという。全国に赤十字病院があることや、国土地理院の「病院」の地図記号が黒色の十字を使っていることなどが、一因とみられる。

 啓発のパンフレットを3000部作った日赤総務課は「世界の紛争地帯では近年、赤十字施設が攻撃を受けるケースが報告されている。誤用が定着してしまうと、赤十字の理念が忘れられる恐れがある」と話す。違反が発覚した場合、ただちに告発などの措置は取らないが、使用の自粛を求めていくという。



 しかし世間にとっては一番「病院」のイメージが強いのも現状ですね。それだけ知名度が高いというのはいいことなのかもしれませんが、確かに有事の際に困ることになったりするのかも。

 そもそも赤十字とは、「人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性」の7原則を掲げて、世界各国に存在する人道的活動団体だそうで。主要任務は、紛争や災害時における傷病者への救護活動、戦争捕虜に対する人道的救援(捕虜名簿作成、捕虜待遇の監視、中立国経由による慰問品配布や捕虜家族との通信の仲介など)などの他、平時における災害対策、医療保健、青少年の育成等の業務などまでやっているらしいです。

関連
医学処:熊本赤十字病院の皮膚科医が全員退職し急患に対応できなくなる
医学処:日本赤十字社の血液事業、赤字に
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2008年04月13日

医学ちょっといい話

命つないだ橋

 5日に架橋10年を迎えた明石海峡大橋に特別な思いを抱く父親がいる。開通半年後、保育園児だった長女が生体肝移植を受けるために徳島市から京都市まで「特例措置」で橋を渡って救急搬送された。一命をとりとめた長女は、絵を描いたりピアノを弾いたり、懸命に生きたが、4年後に10歳で亡くなった。この時の搬送を機に消防は広域搬送の基準を見直した。娘が生きたのと同じ年月を経た橋に、父親は「たとえ数年でも娘の命をつないでくれた橋にお礼を言いたい」と語りかける。

 阿南市羽ノ浦町、スーパー経営平圭介さん(41)。1998年9月、6歳だった長女の菜子ちゃんは、劇症肝炎と診断され、入院先の徳島大病院(徳島市)で「あとわずかの命」と宣告された。望みをかけた血漿交換の手術もかなわず、両親は実績のある京都大病院(京都市)で生体肝移植を受けることを決意した。

 病院からの再三の要請に、徳島市消防局は規定外の県外搬送を「特例」として認め、救急車で明石大橋を渡って約3時間で京都に到着。約12時間に及ぶ手術は成功し、医師は圭介さんらに「あと1時間遅れていたら危なかった」と話した。

 菜子ちゃんは、地元の小学校に無事入学。絵を描いたり、詩を書いたりするのが好きで、周りの友達と仲良く学校生活を送った。ピアノも始め、発表会では上手に独奏を披露し、圭介さんを驚かせた。

 しかし、肝機能が悪化するたびに入退院を繰り返さなければならず、小学4年生になった2002年2月、京都大病院に再入院したが、亡くなった。

 同消防局は、菜子ちゃんの「特例」を機に、県内での治療が困難な患者を県外の医療機関へ救急搬送できるよう、広域搬送の出動基準を策定した

 「菜子は10年という短い命でした 半分の5年は病気と闘いました それでも弱音を吐くこともなく明るくかわいい子でした――」

 圭介さんは昨年、菜子ちゃんの短い一生を詩に記し、命の大切さを語り継ごうと地元ボランティアグループと朗読会を開催した。

 菜の花が咲く4月7日生まれなので「菜子」。徳島は今、菜の花が満開だ。圭介さんは話す。

 「この橋を通るたびに娘を思い出す。手術後、京都からの帰り、橋から見た夕日は本当にきれいだった。今もあの子が『命の大切さをみんなに教えて』と導いてくれているような気がするんです」。
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2008年04月09日

心停止で倒れている人をみつけたら、とにかく胸を押して下さい。

心停止、とにかく胸押して 救急医ら調査、指針見直しへ

 心停止状態で倒れている成人を助けるには、胸を押し続けて圧迫するだけでも、人工呼吸を加えた方法と同じ蘇生効果があることが、日本の二つのグループの調査でわかった。調査を受けて米心臓協会(AHA)は、この「圧迫」を蘇生法として市民に勧める見解を発表。日本でも指針が見直される見通しだ。

 心臓発作などで倒れた場合、命を大きく左右するのは早期の心肺蘇生。蘇生法は、胸の真ん中を押す「胸骨圧迫」と人工呼吸を交互に行うのが原則で、海外でも同じ。ただ、第一発見者の多くはたまたま居合わせた人。他人に口をあわせる人工呼吸に抵抗感があるのが課題だった

 ところが京都大の石見拓・助教や大阪府の救急医らの調査で、人工呼吸を省いても効果が変わらないことがわかった。調査対象は、98〜03年に心臓病で心停止して倒れたが、近くに人がいた大阪府民の事例約4900件。倒れて1年後に、後遺症なく社会復帰できた率を調べた。

 すると、倒れて15分以内に救急隊が到着したケースでは、居合わせた人から基本蘇生法を受けた場合の「後遺症なし復帰率」は4.1%。胸骨圧迫のみは4.3%で、ほぼ同じ効果がみられた。首都圏の医師らの調査でも同様の傾向だった。

 日本救急医療財団心肺蘇生法委員長の坂本哲也・帝京大教授は「手法の難しい人工呼吸を無理にするより、圧迫だけでもたくさんの人に取り組んでもらえれば、より多くの命を救える」と話す。



 呼吸も大事ですけど、何よりも命が大事なので。一番優先すべきなのは、血液を酸素化することよりも、脳に血流を送ることなのです。

 確かに口をつけることは抵抗があるでしょう。そういう場合には、しなくてもいいから、ガンガン圧迫してくれ、と。それだけでだいぶ違うみたいです。ほんの少しの勇気があれば、助かる命もあるんですよね。人の命を救うのは医者だけじゃなく、人、なのです。



 人工呼吸の手技は仕方ないとして、口をつけることに抵抗があるんでしたら、なんかよくティッシュを該当で配ってるじゃないですか。人工呼吸用の、「フェイスシールド」っていう、空気だけ通すフィルターみたいのがあるんですけど、あれを入れて配ったらどうでしょうかね。もしくはコンドーム無料配布みたいにして、財布の中に忍ばせてもらうとか。

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医学処:こんにゃく入りゼリーで窒息になった場合の対処法を紹介。
医学処:救急蘇生法に人工呼吸は不要。心臓マッサージだけで良い。
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2008年04月05日

ER緊急救命室、ついにラストシーズンへ。

「ER 緊急救命室」ついに完結

 米NBCのロングラン作品「ER 緊急救命室」が15年目のシーズンに突入する。また、本シーズンで終了することも明らかになった。

 同社と、「ER〜」を製作するワーナー・ブラザースTVは、来シーズンに向けて新たな19話を制作することで合意。条件面は明らかにされていないが、ライセンス料においてワーナー側が大幅な譲歩をしたものとみられている。

 10年前まで、ワーナーは1話あたり1300万ドルのライセンス料をNBCに請求していたが、最近の視聴率ダウンに比例し、ライセンス料も下落していた。

 視聴率が低下したとはいえ、今シーズンの平均視聴者は950万人。とくに18歳から49歳までの女性に人気が強く、NBCで第3位の人気番組となっていることから、ワンシーズン延長することを決定した。

 1994年に放送スタートした同ドラマは、かつての視聴率ナンバーワン番組として知られ、小児科医ダグ・ロス役のジョージ・クルーニーをスターダムにのし上げた。また、日本でもシーズン1から幅広い層の支持を受けていた。



 15年。医療ドラマで長寿って凄いですね。

 ERは日本でもかなり人気で、医療従事者や医学生でERが好き、という人は結構いると思います。私の友人でも大のERファンが。

 実は私はあまり見てないんですよね。たまーにテレビで放映していたのを観たぐらいで。暇が出来たらシーズン1から見てみたいなぁと思いますが……前回の「暇」は同じく医療ドラマのグレイズアナトミーにどっぷりでした…。面白いですね、これ。

関連
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2008年03月27日

全国で初めて、救命救急センターが廃止される。

全国初の救命救急センター廃止 室蘭の日鋼病院

 北海道室蘭市の日鋼記念病院の救命救急センターが、31日付で廃止となることが25日までに決まった。生命に危険のある救急患者を治療する救命救急センターの廃止は、全国で初めて

 日鋼記念病院は、昨年10月ごろから運営方針などをめぐって医師が相次いで退職。医師不足から救命救急センターの機能が維持できなくなり、12月に道に廃止を申し出ていた。

 道は地元の3市3町や国と相談の上、近隣の医療機関で重症患者の受け入れが可能と判断し、廃止を決めた。



 病院の運営方針と医師が対立…。具体的に何が争点だったのかは分かりません。しかし医師と病院の運営側が対立するとなると…おそらく病院側はより利益を出そうとし(それでも大赤字でしょうけれど)、対して医師は労働条件の改善を求めたというところでしょうか…。憶測ですが。

 いずれにせよ今日本で起こっている問題の多くは、医師不足、医療費削減問題に絡んだものですからねぇ…。国ももう少し認識していただきたい。このままでは医療水準が…世界最高の医療が…。
 

関連:本日、救命救急センターが2つ開設
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2008年03月14日

機内の心肺停止を、2年目の看護師が救う。

機内で心肺停止、看護師が救う

 インドネシア・バリ島行きの旅客機内で、心肺停止状態になった男性客を乗客の女性看護師が心臓マッサージなどの緊急措置をして一命をとりとめていたことが、分かった。機内で急病患者が出た場合、乗客の医師などに協力を求めるケースは多いが、日本航空は「心肺停止ほどの重篤患者は珍しく、とても感謝している」と話している。

 男性客を救ったのは、滋賀県栗東市の済生会滋賀県病院に勤務する柴田育英さん(23)。

 先月28日、妹(21)とバリ旅行のため関空発の日航機に乗っていた。夜勤明けの疲れで機内で眠っていたが、斜め前の座席で60歳代の男性が倒れた物音に気付き、目をさました。

 呼吸音から、舌がのどに詰まる舌根沈下の状態であることに気づき、駆け付けたが、男性はすでに心肺停止状態。気道を確保しながら心臓マッサージを始めたところ、機内に乗り合わせていた別の女性看護師2人も協力し、男性はまもなく息を吹き返した。

 意識を回復した男性は、家族に付き添われてバリ島の病院で、改めて治療を受けたという。

 柴田さんは看護師になって2年目。救急医療に苦手意識があるといい、その分、積極的に勉強会に出席するなど努力を重ねていた。機内でのことについて「とっさの行動でしたが、研修で身につけた技術が役立ってよかった」と振り返る。



 素晴らしい。看護師になって2年目。見事に生かされていますね。

 舌根沈下というのは、舌が奥のほうに入ってしまって、気道がふさがれてしまう状態ですので、気道を広げてやらなければいけません。そのために傷病者の額に手を当てて、もう一方の手で顎を持ち上げ、頭を後屈させる「頭部後屈顎先挙上法」が気道確保のために用いられます。

 迅速な行動、適切な対応で救われる命って結構あると思います。AEDも普及してきましたし、色んな機会で一般の方でも救命方法を習うことが増えてきたと思いますので、あとは「勇気」の1つだけ。

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posted by さじ at 02:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急
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