[生殖]の記事一覧

2007年06月26日

福島県立医大のサークル「DearPeer」が避妊の大切さを指導する。

福島県立医大「DearPeer」 なぜ避妊?中高生と考える

 福島県立医大のサークル「DearPeer」(ディアピア)のピアカウンセラー(通称ピアっ子)の一人、看護学部2年の大堀幸恵さん(19)の場合、避妊がなぜ必要か、大人は教えてくれなかったという

 サークル名は「親愛なる仲間」の意味で、結成は00年。約20人のピアっ子がいて、厚生労働省作成のカリキュラムでしっかり研修を受ける。昨年12月から県内各地の中学や高校へ出向き、生徒たちとグループワークなどを始めた。

 生徒たちが書き出した人生設計や夢の実現のために今何が大切か、同じ目線で話し合う。どうして避妊が必要なのか一緒に考えながら、相手を尊重することの大切さを知るきっかけにしてほしいと願う。

 ピアっ子たちに「彼氏との付き合い方は上手になった?」と尋ねると、「彼氏いなーい」「しばらく恋してないなあ」……。彼女たちの人生設計も始まったばかりのようだ。

 <メモ> 福島県でのピアカウンセラーの養成は00年、県北保健福祉事務所で始まった。10代の人工妊娠中絶実施率が全国4位の13.6%(05年度)と高いことに危機感を感じ、新たな性教育を模索し始めた。現在、県立医大の学生を中心にボランティア活動が続いている。



 しかしへそ曲がりで傍若無人かつ自分のことを神だと思っている中高生に「何で避妊をしなきゃいけないのか」を教えるのは一苦労でしょうね。そもそも中高生で何故避妊をしなければいけないのかが分からない時点で、かなりの阿呆だと思います。多分小学生でも知ってます。

 記事中の「相手を尊重することの大切さを知るきっかけにしてほしい」という言葉が、切実さを醸し出しています。阿呆だからほっとけ、という問題ではなくなってくるのです。世の中の中高生の1割程度が阿呆だとすれば深刻な問題、つまり相手を尊重することができない人という人格的な問題も絡んでくるということです。勿論精神異常のカテゴリに分類されるものではなく、「正常な人の異常な行動」に近いものだとは思いますが。

 「何で避妊しないの?」「えーだってぇ、彼が生がいいって言うからぁ…」「彼氏に相談しても無理?」「無理ー。」「じゃあピル飲む?」「お金ないしぃー」

 という連鎖が瞬時に思いつきましたけど、堕胎のほうが金かかるんだっつーの!というツッコミが入り終了。相手のことを考えられない人に惚れるというのがどうも良く分からないので、何故避妊しないのかについては解決策を出せないでいます。すみません。

関連
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2007年06月19日

煙草の煙は、精子のDNAに変異を起こし、永久的な変化をもたらす。

喫煙は精子を損傷、子孫のDNAに悪影響も=カナダ研究

 喫煙によって精子が損傷を受ける可能性があり、遺伝子を通じて子供へも悪影響があるという研究結果が報告された。カナダ保健省の研究者が今週発行の学術誌「Cancer Research」で発表した。

 マウスを使って実験を行った同研究によると、たばこの煙が精子の細胞のDNAに変異を起こすことが分かったという。こういった突然変異は、遺伝情報に永久的な変化をもたらすとされている。

 同研究の責任者で、保健省の環境職業毒性学担当のキャロル・ヨーク氏は、「これらの変異が遺伝したら、子孫の遺伝的構成物の中に不可逆変化として存続します」と指摘。「母親の喫煙が胎児に悪影響することは周知のことですが、父親による喫煙の方も、それが母親と出会う前であれ、子供に悪影響を与える可能性が示されました」と述べた。



 良いことなんか何一つありませんな。精子レベルの話になると、吸っている当人は別にQOLが変化するわけではありませんが、その子どもは明らかに被害を被るわけです。自分の遺伝子を受け継ぐ息子のことを考えるのか、考えないのか。考えないような自己中心的な人が喫煙をするとどうなるのか。

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2007年06月16日

出産した30代女性の13.8%が不妊治療を受けていたと回答する。

30代出産女性「不妊治療受けた」13%・日経調査

 不妊治療を受ける女性が増えている。日本経済新聞社が、2006年に出産した30代女性を対象に5月下旬に実施した調査で、「不妊治療を受けていた」との答えが13.8%あった。少子化対策として不妊治療費の負担軽減が必要と指摘する声も43.8%に上った。出産数の過半数を占める30代女性の間で、不妊治療に抵抗感が薄れ、期待が大きいことがわかった。

 調査は06年の合計特殊出生率が1.32と、6年ぶりに回復したことをきっかけに実施した。妻の受診率13.8%に対し、「夫が受けていた」と回答したのは3.5%だった。不妊治療を受けた回答者のうち、勤務先企業や自治体の助成制度を利用したのは15.1%にとどまった。



 ちゃんと性行為を行っているにもかかわらず2年間妊娠しないことを「不妊」と定義したと思います。そして不妊症の人は全夫婦の10%。13.8%というのは妥当な数字ではないでしょうか。最近は認知度も上がっていますし、不妊治療を受けて頑張ろうという女性同士の共有意識が芽生えてきたような気もします。

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医学処:不妊に悩む女性の1/3が、他人の受精卵による出産を認められないと主張
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2007年06月13日

不妊に悩む女性の1/3が、他人の受精卵による出産を認められないと主張

不妊悩む女性は血縁重視?3人に1人「第三者受精卵」ダメ

 不妊に悩む女性の3人に1人が、第三者の夫婦から受精卵の提供を受けて妻の子宮に移植するなど、親と血のつながりがない子供が生まれる不妊治療法は社会的に認められないと考えていることが、民間調査研究機関の第一生命経済研究所の調査でわかった。

 一方で、第三者の女性の子宮に、夫婦の受精卵を移植して子どもを産んでもらう「代理出産」を認められないと答えた女性は18・2%にとどまり、生まれた子と両親の血縁関係が維持される代理出産を否定的にとらえる女性は少なかった

 調査は昨年12月から今年1月まで、不妊で悩む人らで作るNPO法人「Fine」と共同で実施。352人の女性が回答した。

 日本産科婦人科学会が会告(指針)で禁止している不妊治療法のうち、「やはり社会的に認められない」と思う治療法を尋ねたところ、他人の夫婦から受精卵の提供を受けて、妻の子宮に移植して妊娠させる体外受精が、38・9%で最も高かった。続いて、夫の精子を第三者の女性の子宮に入れて妊娠させる「代理母」が37・5%だった。

 第三者から受精卵や卵子、精子の提供を受けて体外受精する不妊治療法のうち、一つでも認められないと答えた137人に、理由を尋ねたところ、54・7%が「血がつながらないから」と回答、血縁重視が分かった。



 やはり、日本人的な考え方に落ち着くようですね。かく言う私も、他人から受精卵の提供を受けるよりも代理出産のほうが「親子」だろうという気はします。遺伝的な繋がりのあるなしで子と認識するほうが「簡単」だと思いますしね。

 だからといって、他者の受精卵による出産を親子関係と認めないかというとそういうわけではありません。法整備さえ徹底すれば、遺伝的な親子以上に親子関係を築けると思います。不妊治療を行った夫婦は、往々にして子どもを大事にするものですからね。結局親子の繋がりって、血ではなく、「ふれあい」によって成り立つものだと思います。

関連
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医学処:友人の卵子を用いた体外受精が倫理委員会で認められる
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2007年05月30日

筋ジストロフィーの患者の38%が、着床前診断に賛成している。

筋ジス患者38%が着床前診断に賛成

 生命の選別につながると賛否両論がある「着床前診断」について、筋ジストロフィー患者の約4割が、賛成していることが、日本筋ジストロフィー協会が2005年に実施した調査でわかった。

 筋ジストロフィーは、遺伝子の異常による病気で、全身の筋力が衰える。日本産科婦人科学会は、筋ジストロフィーの中でも「デュシェンヌ型」などは、遺伝子を調べ正常な受精卵を選んで子宮に戻す着床前診断の実施を承認している。

 調査では、回答した1292人の患者のうち、着床前診断に賛成は38・0%、反対は16・9%。「わからない」が39・9%おり、態度を決めかねている人も多い。



 反対だけは17%か…。着床前診断全体の反対意見も似たような割合では?筋ジストロフィー患者だけに当てはまらず。

 実際、その病気を持っている人にとっては「わからない」とするのが正直なところだと思います。自分と同じ病気になってほしくないという思いと、何で自分だけがという思いが二相性に働いていると思います。ただ、そうした中でも賛成のほうが多いということは、やはり着床前診断は各人の自由であるといえそうです。勿論、病気になってしまった場合は国、社会が全力でサポートしていかねばなりませんが。

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2007年05月07日

赤ちゃんポストの設備が完成。まずは情報交換と相談を。

赤ちゃんポスト 熊本・慈恵病院が設備公開

 熊本市の慈恵病院(蓮田太二理事長)の「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」が1日完成し、同日午後、マスコミなどに設備を公開した。

 扉の内側には保温器付きのベッドが置かれた新生児相談室がある。扉が開くと同時にセンサーが作動。スタッフにブザーと青い回転灯で知らせ、カメラが新生児の様子を映し出す。スタッフはすみやかに相談室に駆けつけ、新生児を保護する。

 扉の横に電話などによる相談を呼びかけるメッセージが書かれているほか、病院の敷地内には行政機関の相談窓口を知らせる看板なども設置されている。

 蓮田理事長は「預けることが問題解決にはならない。相談してもらえば、道が開ける。お母さんの心に将来残る悲しみや苦しみが減り、赤ちゃんにとっても幸せにつながる。(相談する)勇気を持ってほしい」と話した。今後、市や県とも毎月1度は情報交換をしたいとしている


慈恵病院に相談相次ぐ=訪問など約30件、県外からも−赤ちゃんポスト・熊本

 国内初の「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)ができた熊本市内の慈恵病院には、「生まれたら預けたい」などという相談が既に寄せられている。「捨て子助長につながる」と批判も強いポストは運用開始まで約1週間。蓮田太二理事長は「極力使われないよう相談で解決したい」とする一方で、家庭環境や経済的事情で育児が困難な女性の多さに驚きを隠さない。

 慈恵病院は昨年11月、赤ちゃんポスト設置の計画を発表。これ以降、出産直前に相手の男性が姿を消し途方に暮れるなど、県内外から同病院に相談に訪れたり、電話をかけてきたりした女性の深刻な相談件数は約30件に上る。



 なんというか、これを見て捨て子を助長するとか言っている人と、病院内スタッフとの間で、精神性の高さの違いが伺える。病院でこうのとりのゆりかごを信じている人たちは、子は親が育てるもの、ということなんぞ当たり前だと踏まえた上で、虐待や捨て子の現状を真摯に考えているんだと思う。だからこそ「まずは相談で解決したい」と言っているわけで。

関連:
医学処 親が養育できないとした新生児を受け入れる「赤ちゃんポスト」
医学処 慈恵病院の赤ちゃんポスト設置を熊本市が認可する方向へ。
医学処 安倍首相「親が匿名で子供を置き去りにすることは許されない」
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2007年05月01日

友人の卵子を用いた体外受精が倫理委員会で認められる

友人の卵子体外受精へ…西日本のクリニック

 西日本の不妊クリニックが、友人から提供を受けた卵子を使う不妊治療を計画していることが29日、わかった。

 日本産科婦人科学会が会告(指針)で禁じている方法だが、この施設を含む20の不妊治療施設で作る「日本生殖補助医療標準化機関」の倫理委員会が先月、実施を認めたという。

 厚生労働省の審議会部会が2003年にまとめた報告書では、匿名を条件に他人からの卵子提供を認めるとし、同学会の倫理審議会も同様の答申を出している。だが、今回のケースは、友人からの提供のため匿名性は守れない

 同機関理事長で「広島HARTクリニック」院長の高橋克彦医師によると、卵子の提供を受けないと妊娠できない女性がいることを、学会や厚生労働省に改めて認識してもらうことが目的だという。

 同様の不妊治療では、1998年に諏訪マタニティークリニック(長野県)の根津八紘院長が、妹から卵子提供を受けた体外受精の実施を公表。同学会は、指針に違反したとして根津院長を除名処分にした。高橋医師は「国や学会が結論を出さないまま時間だけが経過している」としている。



 卵子提供ぐらいはいいかなぁって気もしますし、倫理委員会で認められたのなら構わないのでは?

 しかし友人の卵子を用いるって、凄い話ですね。家族ならまだ分かりますが…。よほど仲良くないとできない芸当。

関連:
医学処 未婚でも白血病治療を受ける前に卵子を凍結保存しておける
医学処 キヤノンが、社員の不妊治療費を100万円分補助する。
医学処 諏訪マタニティークリニックで、死んだ夫の精子による出産を公表
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2007年04月22日

妊婦向けに毛髪中の水銀濃度を検査するサービスを開始

ら・べるびぃ予防医学研究所、妊婦向けに毛髪中の水銀濃度検査を開始

 妊婦の魚介類の食事を通じた水銀摂取は胎児に影響を与えるということで、厚生労働省より平成15年、17年と2回にわたり、注意事項が発表されています。特に17年の発表では妊婦・妊娠の可能性のある方を対象に1日のメチル水銀耐容摂取量を体重1kgあたり0.292μgとし、具体的な摂食量目安も公表しています。(例えばクロマグロやキンメダイであれば1週間に刺身1人前(80g程度)の範囲)

 これまで妊婦の体内水銀蓄積量を知る簡易な手段がなく、産科での具体的な摂食指導が難しい状況でした。当研究所では、その具体的指標として、妊婦用に毛髪中水銀濃度の検査を開始いたします

 毛髪中の水銀濃度は血中水銀濃度や水銀摂取量を反映することは、既に世界各国で実証されており、水俣病の際にも毛髪が、体内水銀指標として用いられました。熊本大学学術資料調査研究推進室の資料では、妊婦の毛髪中水銀濃度が1ppmの場合、日々の水銀摂取量は0.11μgであり、この値以下であれば充分安全とし、10ppmを超える毛髪中水銀濃度の場合、生れた子どもに神経発達の異常が見られ始めるとしています。

 厚生労働省では、妊娠と気付いてから胎盤が完成する妊娠4ヶ月目までに食生活に気をつければ大丈夫としていることから、当研究所では妊娠と診断された時点で、毛髪水銀検査を受検することで、胎児の水銀リスクへの対応が可能になると考えております。

 当研究所は2000年5月より日本で初めて質量分析器(ICP−MS)による毛髪ミネラル検査を開始し、アンチエイジング(抗加齢医療)、デトックス、栄養代替療法を実施する医療機関350院を中心に必須ミネラルも含め26種類のミネラルの測定と検査結果に基づく栄養アドバイスを提供し約6万人の検査実績があります。

 今回提供する、妊婦用の毛髪水銀検査は、正式名称「有害ミネラル検査」とし水銀以外にもカドミウム・鉛・砒素・ベリリウム・アルミニウムの6種類の有害金属に特化し、より低廉な価格(検査価格 6,300円)で産科医院向けに検査サービスを提供するものです。



 妊婦以外はおそらく気にする必要はありませんが、妊婦さんはやはり少し気をつけたほうがいいかもしれません。一応、厚生労働省も基準値を提示しているぐらいなので。

関連:
医学処 中国製の美白クリームに、基準の2万倍の水銀が含有
医学処 魚を食べるリスクよりも、身体に良い効能のほうが上回る。
医学処 日本のイルカは水銀汚染されており妊婦は食べないほうがいいかも
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2007年04月21日

体外受精は、胎盤や臍帯に異常が発生する可能性が高くなる

「リスク告げるべき」体外受精、妊娠異常多い

 体外受精による妊娠は、胎盤や臍帯に異常が発生する頻度が自然妊娠を大幅に上回るとの調査結果を、聖路加国際病院(東京)の酒見智子医師らがまとめた。京都市で開催中の日本産科婦人科学会で16日、発表する。

 それによると、胎盤が子宮から早くはがれてしまい、胎児に危険が大きい「胎盤早期はく離」は自然妊娠の約5倍。酒見医師は「体外受精をするカップルに、こうしたリスクがあることを知らせるべきだ。医師も経過を慎重に観察する必要がある」としている。

 調査は、同病院で平成15年8月から18年3月に出産した、自然妊娠の2454人(妊婦は平均約33歳)と、体外受精による妊娠195人(同約38歳)が対象。同病院での体外受精は40人で、残りは外部での実施だった。

 胎盤早期はく離は自然妊娠の0・53%に対し体外受精では2・56%。通常は子宮の上部にある胎盤が下の方にできてしまう「前置胎盤」は、同0・57%に対し5・64%。へその緒が胎盤ではなく、卵膜につく「臍帯卵膜付着」という異常は、0・53%に対し5・67%だった。

 体外受精の妊婦の方が高齢のため、その影響もあり得るが、年齢差を補正して分析しても異常は体外受精の方が多かったという。

 妊娠異常をめぐっては米疾病対策センターが今年3月、約16万人の調査で、体外受精では胎盤早期はく離の割合が自然妊娠の約4倍との結果を発表。酒見医師は「日本もほぼ同じ傾向であることが今回示された」と話している。



 うーむ、年齢を補正しても異常が多いということは、技術的な問題なんでしょうね。ただ人工的に注入するだけなのに、それでも自然妊娠とは異なるのか…。人体の神秘。胎盤早期剥離は母体側にも危険が及ぶ可能性もあるので、母体側のリスクともなります。

関連:
医学処 多胎妊娠を防止するため、体外受精の受精卵数を減らす方向に。
医学処 夫の死後に精子を体外受精しても、夫の子とは認知しない
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2007年04月17日

諏訪マタニティークリニックの根津院長を学会が処分

根津院長 学会が処分へ

 長野県下諏訪町の諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長が、「代理出産」のボランティアの公募や、亡夫の精子で女性が妊娠・出産する「死後生殖」を行った問題などをめぐり、日本産科婦人科学会(理事長・武谷雄二東大病院長)は14日、京都市で開いた臨時理事会で、根津院長を厳重注意することを決めた。

 根津院長は「(処分に)憤りを感じる」と反発している。

 代理出産について、同学会は2003年に会告(指針)で禁止。死後生殖も14日午後開く総会で禁止する予定だ。

 根津院長は昨年10月、子宮のない女性に代わって実母が「孫」を産む代理出産を実施したことを公表。さらに今月、死後生殖の実施や代理母の公募も表明。理事会は、これらがいずれも会告に抵触すると判断し、今後実施しないよう厳重注意することにした。

 決定について、根津院長は「困っている人がいる実態を調べもせず、学会の価値観を押しつける姿勢そのものが問題だ」と批判。「私のもとに、代理出産のボランティアに応じたいとのメールが約20件届いている。困っている人がいて助けたいという人がいる。これは助け合いの精神の根幹ではないか」と話している。

 根津院長は1998年に同学会を除名されたが、03年に会告を順守することなどを条件に和解し、04年に再入会している。



 産婦人科領域ではさまざまな問題が起こっておりますが、大抵医者のせいにされています。そういったこともあって学会側としては、なるべく穏便に事を済ませたいと思っているのでしょう。勿論患者のためになることであっても、社会的に混乱を招きかねないことはしたくない、というのが本音でしょう。まぁ、医行為を行うということは、責任は全て医者にあるわけですからね。諏訪マタニティークリニックは患者個人を考え、学会は医療全体を考え、というところでしょうか。両方とも正しい姿勢ではあると思うんで、どこかで妥協すべく法整備をするしかないですね。

関連:
医学処 おばあちゃんが娘の卵子と婿の精子で代理出産。
医学処 諏訪マタニティークリニックで、死んだ夫の精子による出産を公表
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2007年04月14日

諏訪マタニティークリニックで、死んだ夫の精子による出産を公表

亡夫の凍結精子で体外受精、出産を公表 長野の根津院長

 諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長は11日、死亡した夫の凍結保存精子を使い、体外受精させる「死後生殖」を2例実施していたと公表した。1例は04年に出産したが、もう1例は妊娠しなかったという。死後生殖について最高裁は06年、生まれた子どもと亡夫との親子関係を認めない判断を示している。日本産科婦人科学会も14日、死後生殖を禁じる指針を総会で了承する。

 根津院長によると、1例目は西日本に住む当時30代の女性で、亡夫の母親と来院した。別の医療機関で不妊治療のため凍結しておいた精子を持参してもらい、03年に妻の卵子と体外受精させた。子どもは別の医療機関で出産したという。

 根津院長は、夫が生前、死後生殖に同意していたことを実施の条件としているというが、02年のケースは「夫の同意は、状況から推定できる」と判断したという。もう1例はその後、別の女性に実施したが妊娠しなかった。

 死後生殖をめぐっては、凍結精子を用いて生まれた子どもの認知を求める3件の訴訟で、最高裁は06年9月、いずれも請求を退けている。

 根津院長が死後生殖の実施を公表したのは、日本産科婦人科学会が14日に京都市で開く総会で、死後生殖の禁止を指針に盛り込むことへの抗議という。「国民の選択肢を奪う学会の指針は理解できない。目の前の患者を救う気持ちがない」と根津院長は話している。



 まー…確かに一個人のニーズにはこたえているわけですが、それって医療といえるんでしょうか。倫理を無視するならばES細胞を用いての、自分と同じ細胞をもった臓器を生成したり、移植したりすることも可能でしょうし、クローンだって当然できるわけです。だから軽んじることはできないものだなと思うわけです。

 まぁこの病院のように、そういったことをあえて実行することで、社会の法整備を加速させようという試みもアリなのかもしれませんが、もし法整備が進まなかった場合、その患者さんが不幸になりますよね。そこらへんのインフォームドコンセントが難しそうです。おそらく親も覚悟の上なのでしょうけれど。

関連:死んだ夫の精子で体外受精→子の親として認知できる?できない?
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2007年04月12日

夫の死後に精子を体外受精しても、夫の子とは認知しない

死後生殖:医療の進展に司法追い付けず 長野の出産公表

 夫の精子を凍結保存し、死後に体外受精して子どもをもうける死後生殖について、最高裁は昨年までに3度、夫の子として認知しない判断を示している。民法は死後生殖を想定しておらず、「法的父子関係を認めることはできない」ためだ。

 死後生殖は夫を亡くした妻の希望をかなえるが、生まれながらにして父のいない子を誕生させることは子の福祉に反するとの考え方が背景にある。判決を受け、日本産科婦人科学会(武谷雄二理事長)は昨年末の理事会で、本人が死亡した場合は凍結保存精子を廃棄するとの指針案を作成。14日の総会で正式決定することにしていた。

 諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長が死後生殖の実施を公表したのは、学会に問題提起するためという。確かにこの問題を巡っては、世界的にも対応が分かれている。フランスやドイツ、オーストラリアは死後生殖を認めない一方、米英では認められている。

 国内でも高松高裁は04年、父子認知を認める判決を出したが、最高裁は昨年9月に認知請求を棄却した。ただし「法整備が望まれる」との補足意見が付けられた。

 生殖補助医療の進展に伴い、法が想定しない親子関係があちこちで生まれている。タレントの向井亜紀さん夫妻は、代理出産で生まれた子どもとの親子関係を最高裁に認められなかった。

 科学史家の米本昌平さんは「生殖補助医療技術の進展に伴う変化に、社会がきちんと判断できない状況になっている。死後生殖をはじめ、生殖補助医療技術をめぐるルールづくりには、技術を評価し、判断材料を国民に提示する調査機関が必要だ。腰を落ち着けた議論が必要になっている」と話す。



 んー…。これもまた…。

 さすがに死後の精子で認めるのは…ねぇ。遺伝子の問題ではないですよねこれは。子の福祉に反するといっても、単に戸籍上父親がいないだけで、この写真の人がお父さんなんだよーって感じでおしえりゃいいじゃないですか。そんなに拘ることですかね。

 向井さんの代理出産は、日本の「血族&分娩」の既存の概念を打ち砕こうとしたのに対し、この件はむしろ血こそすべて的な考え方がありますよね。後者は正直固定観念にとらわれすぎなのでは。それとも日本という国は、そこまで片親に厳しい国なんでしょうか。

関連:医学処 死者の精子で体外受精した子供の「認知」は認めない判決。
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代理出産を認められなかった向井夫婦と最高裁

「がっかり、怒り覚えた」=落胆隠せぬ向井さん夫妻−最高裁決定受け・代理出産

 代理出産で生まれた双子の男児との親子関係を認めなかった先月23日の最高裁決定を受け、タレント向井亜紀さん(42)が11日、夫の元プロレスラー高田延彦さん(44)とともに東京都港区のホテルで記者会見し、「決定文を何回も読んだ。がっかりしたし、怒りも覚えた」と落胆を隠せない様子で語った。高田さんを父として日本国籍を取得する出生届は提出せず、当面米国籍のまま育てるという。

 向井さんによると、出生届は同日が提出期限とされたが、母親の欄は代理出産した米国人女性としなければならない。女性との契約などで、母親と記載することはできないため、提出を断念した。

 最高裁決定では3裁判官が補足意見で「特別養子縁組」の可能性を指摘した。しかし、女性との契約問題などがあり、ハードルが高いことが分かったという。向井さんは「せっかくの指摘なのに、家裁で『大ざっぱなアドバイス』と言われた」と話した。

 向井さんは「時間と労力を掛けたスケールの大きな社会科見学だった。得るものはなかった」ときっぱり。高田さんは「(親子関係を認めた)高裁の決定は、死ぬまでお守りであり、宝物。(最高裁で破棄されても)幻ではない」と述べた。



 うーん。代理母出産も難しい問題です。日本ではそもそも代理出産制度が自主規制されているので、向井さんたちにとっては厳しい闘いだったわけですが。

 「遺伝子によって親子関係を決定する」のか、「分娩という事実をもって親子と認定する」のか、大きな違いがあると思います。こう、個人情報とはいえ、精子も卵子も体外に出して色々利用できる世の中になってきたわけじゃないですか。そうすると、遺伝子だけで親子関係、というのも微妙な気がするんですよね。後々いろんな社会問題になりそうな予感が。アメリカは、養子という制度も十分理解されているんで、代理出産も当然のように受け入れられているんじゃないですかね。

 法整備されれば、代理出産も認められてしかるべきだと思うんですけど、その法整備がいったいいつになることやら。ベビーM事件などの過去の事件のことも考えると、頭を捻らないとまとまりそうにありません。

関連:
医学処 代理出産などの生殖補助医療に関する法整備が始まる。
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2007年04月07日

助産に関して、看護師による内診を認めない方針を貫く

看護師の内診認めず・無資格助産で厚労省が通知

 堀病院(横浜市)の無資格助産事件で元院長らが起訴猶予になったのを受け、厚生労働省は2日までに、出産時の看護師の業務について「自らの判断で分娩の進行管理は行うことができない」と明記した医政局長名の通知を都道府県に出した。

 同省が2002、04年に鹿児島、愛媛両県に出した内診禁止の通知で内診の定義に挙げた「子宮口の開大、児頭の下降度などの確認、分娩進行の状況把握」などは「今回の通知にある『分娩の進行管理』に当たる」(看護課)としており、看護師による内診は認められないとする従来の見解を追認している

 看護師等の業務については「医師または助産師の指示監督の下、診療または助産の補助を担い、産婦の看護」と説明、具体的には内診以外の妊産婦の体調管理、各種モニターの数値チェックなどが想定されるという。

 同省は「医師、助産師、看護師等が互いの業務を尊重し連携することで医療体制の整備につなげてほしい」(看護課)としている。



 助産師という資格がある以上テリトリーに踏み込むなということですかね。なら産科医療に関する規制をもう少し緩和してもらわないと、ただでさえ助産師も看護師も不足しているというのに…。規則ばかりあっても実際にお産できる現場が減ってしまいますよ。規則違反とはいえちゃんとお産を年に何件も行っていた堀病院のほうが現状としては立派、ということにもなってしまいます。

 厚生労働省の皆さん、なにとぞ現状をよくする工夫を。例えばこれからの看護学生には内診に関することも教えるとか…。テリトリー争いをするより、行き詰っている産科医療を良くする方向に動かないといけません。

関連:
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2007年04月06日

安倍首相「親が匿名で子供を置き去りにすることは許されない」

首相「赤ちゃんポスト認められない」

 親が育てられない新生児を引き受ける「赤ちゃんポスト」設置を熊本市が認可したことについて、安倍晋三首相は5日、「お父さんお母さんが匿名で子供を置き去りにすることは、私は許されないと思う」と強い疑念を表明した。熊本市の認可についても「政府としては、こうしたことを認めることはない」と述べ、厚生労働省などを通じて認可について再考を促す可能性を示唆した。

 首相は2月に厚労省が設置を事実上容認した際にも「子供を産むからには親として責任を持つことが大切。そういうお子さんに対応する施設もある。匿名で子供を置いていけるものを作るのに大変抵抗を感じる」と述べていた。

 塩崎恭久官房長官も5日の記者会見で「赤ちゃんは親が育てるのが基本だ。特殊な事情によりそうしたことが困難な状況にある方に対しては、相談体制の強化などによって支援すべきだ」と述べた。



 こちらを受けての首相の発言。

 そんな中学生でもいえるような当たり前のコメントを発言する首相というのも頼りないものです。

 安倍首相について詳しく知らないんですが、いいところのお坊ちゃんなんでしょうか。世の中にはイレギュラー的な事象は数多くあるわけでして、「親が子を育てる」という自然界において常識ともいえることに則らない場合も数多くあるんですわ。

 どうも匿名ということに引っかかっているようなんですが、匿名だからこそ、子供の命を救うことができるんだと考えられないものでしょうか。

 思うんですけど、日本って欧米の文化を取り入れて成長してきている割には、養子縁組に関しては未だマイノリティですよね。なんかそこらへん、おかしいなと思うんですが。子供は親が育てるもの、これは当たり前です。でも成長する過程においては社会が育てるものだという認識が薄い気がします。養子とか里親制度とかに関しては、結構日本人て偏見の目で見ますよね。「血」にこだわるあまり、虐待や子殺しなどの社会問題を無視して、やれ親子の関係がどうとか、子供を置き去りにするのはいかんとかにばかり固執しているのでは?かな〜り優先順位を間違えていると思います。

関連:
医学処 親が養育できないとした新生児を受け入れる「赤ちゃんポスト」
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2007年04月05日

「こうのとりのゆりかご」の設置を熊本市が許可する

赤ちゃんポスト設置、熊本市が許可

 親が養育できない新生児を匿名で託す「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」について、熊本市は5日午後、設置を申請していた同市の慈恵病院(蓮田晶一院長)に設置を許可した

 幸山政史市長は市役所で記者会見し、発表した。

 ゆりかごを巡っては、昨年11月9日に病院が設置計画を明らかにして以降、「失われる命が救われる」「養育放棄を助長する」と賛否の声が出ている。

 病院は許可を受けて直ちに設置工事に着手し、1か月後には運用を始める予定。



 市長GOOD JOB!ようやく実行できそうですね。大きな一歩だと思います。もし捨て子が増えてもこれは市長や病院の責任ではありません。むしろ子供を救う救世主といっても過言ではない。子供たちの将来にも大きく貢献するでしょう。

関連:
医学処 親が養育できないとした新生児を受け入れる「赤ちゃんポスト」
医学処 赤ちゃんポスト設置申請が難航しており、慈恵病院が会見を開く
医学処 慈恵病院の赤ちゃんポスト設置を熊本市が認可する方向へ。
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2007年04月03日

出産直前に医療機関を受診する「飛び込み分娩」が増加中

県内の「飛び込み分娩」増加

 妊婦健診を受けずに出産直前に医療機関を受診する「飛び込み分娩」が県内の医療機関で目立っている。八戸市民病院では二〇〇六年、十二件で前年の四倍となった。妊婦の意識の問題、社会・経済的問題などが要因として挙げられるが、「医療事故を懸念する民間医療機関から“飛び込み”を断られた妊婦が、公立病院に集中する」という指摘もある。また、一部関係者は「一回の健診費用が六千円前後と妊婦の経済負担が重く、それが健診を受けないままの“飛び込み”の一因になっている。自治体は補助拡大を」と訴える。

 八戸市の飛び込み分娩の現状は三月、青森市で開かれた産科医療フォーラムで八戸市民病院の助産師が報告した。同病院の〇六年の飛び込み分娩は十二件で、〇五年度の三件から、大幅に増えた。〇七年も三月十一日現在で既に四件とハイペースで推移している。

 この理由について、八戸市内の複数の医療関係者は「飛び込みで民間医療機関を受診しても、医療事故を避けるため、受け付けない。断られた人たちが市民病院に流れているのではないか」と分析。現に八戸市内の開業医は「福島県・大野病院の逮捕事例などで産科医は委縮している。リスクが高いケースは受け付けず、総合病院へ送るようになった」と話す。また「四月から産婦人科を休診した青森労災病院の影響で、さらに“飛び込み”が市民病院へ集中するのでは」と危惧する医療関係者の声もある。

 青森市民病院は年五−十件の“飛び込み”はあるが、特別、増える傾向はないという。ただ、関係者は「社会的・経済的に許されない妊娠のため、飛び込みで来るケースがある」と言う。

 一方、弘前市の公立病院でも年間十件前後の飛び込みがあり、同病院の医師は「ほとんどが経済的な問題。妊婦健診はお金が掛かる。弘前市の無料券は二回だけ。もっと補助を拡大してほしい」と説明する。



 ものすごい悪循環ですねぇ。しかし……妊婦検診を行う費用すらないのに子育てができるのか?という気もするんですが。そりゃ「できてしまった」のは仕方がないとしても、だからといって子供をちゃんと育てられないのは無責任です。

 病院側としてもいきなり受診されて、異常があったとして、赤ん坊が障害を持ってうまれた場合に、訴訟されてン千万、のようにばかばかしいリスクを背負いたくはないでしょうし……。

 経済的に検診を受けられないほどでも赤ん坊をほしがっているのは少子化の日本にとってはいい傾向なのですから、今の時代限定で国がお金出してもいいんじゃないですかね。そのほうが妊娠初期から栄養面での良いアドバイスが可能なわけですし。

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2007年03月23日

妊婦の出産のうち250件に1件は、重篤な状態に陥る。

重篤は死亡妊産婦の70倍 厚労省調査、250件に1人

 出産時の大量出血などで、一時でも「生命に危険がある」と判断される重篤な状態に陥った妊産婦は、実際の死亡者数の70倍以上、出産約250件に1人の割合に上るとみられることが、厚生労働省研究班(主任研究者・中林正雄愛育病院院長)などの全国調査で20日までに分かった。

 2000−05年の国内の妊産婦死亡は出産10万件当たり4−7人程度で、一般には比較的まれな現象と受け止められてきたが、死に至る危険は多くの妊婦にあった実態が明らかになった。

 調査に参加した専門家は「妊娠・出産の本当のリスクは、これまで考えられていたより高い」と指摘。産科医の減少が懸念される中、母親と新生児を守る周産期医療体制の充実を訴えている。

 研究班は日本産科婦人科学会周産期委員会と共同で昨年、全国の産婦人科病院など998施設を対象にアンケートを実施。333施設から、04年の実績で国全体の11%に当たる約12万5000件の出産について回答を得た。

 それによると、大量出血や常位胎盤早期はく離、頭蓋内出血などで死亡したのは計32人。

 だが、血管内凝固症候群などで一時でも生命に危険があると判断された妊産婦を含めると計2325人で、実際の死亡数の約73倍だった

 この割合を、全国で62人が死亡した05年に当てはめて推計したところ「生命の危険あり」は約4500人となり、出産約250件に1人の割合であることが明らかになった。



 つまり妊娠、そして出産というのはそれだけでリスクが高いということです。死亡していたかもしれない人を助けて、実際の死亡者数を73分の1にしているというのは凄いことだと思いますが。

 でも訴訟訴訟と声高に叫ばれるようになって、本当に死んでしまった場合に、すぐ訴訟、そしてン千万の賠償というコースに乗っているのが日本の現状です。訴訟リスクを73分の1に減らしても、一発KO間違いなしです。

 そんなの、やるせないですよね。何で頑張っている医者までリスクを背負わなければいけないのか。そりゃ産科医も減りますわ。

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2007年03月20日

若い産婦人科医は半分以上が女性だが、10年後半数が辞めてしまう。

中堅女性産婦人科医、半数がお産の現場去る 学会調査

 キャリア10年超の中堅の女性産婦人科医の半数がお産の現場から離れている――。産婦人科医不足が問題になる中、日本産科婦人科学会の調査で19日、女性医師の現場離れが進んでいる実態が明らかになった。特に子どもがいる医師にその傾向が強い。若い産婦人科医は半分以上が女性。長時間労働など働く環境が改善されないと、第一線で働き続けることは難しく、お産の担い手不足がさらに深刻化することが予想される。

 調査は昨年12月〜今年2月、全国の大学病院の産婦人科105施設を対象に実施、87施設から回答があった。

 各施設に所属する医師の勤務先が、お産を扱う施設か、不妊治療などその他の婦人科診療のみを行う施設かを、経験年数ごとにみると、女性の場合、5年目までは82%がお産を扱う施設だったが、6〜10年は61%、11〜15年だと52%に下がった。男性はいずれの経験年数でも80%以上。

 子どもの有無でみると、子どもがいない女性医師がお産を扱っている割合は4分の3だが、子どもがいると半数を割り、子育てがお産の現場から離れる要因となっていることがわかった

 産婦人科医は若い世代ほど女性の割合が高く、同学会の会員のうち、30歳未満で7割、30〜39歳も5割を占める。調査を担当した東京都立府中病院の桑江千鶴子医師は「この状況が続けば産婦人科医療は持たなくなる。子育ての環境整備、働き方の見直しなどの対策を、社会全体で考えていかなければならない」と指摘している。



 子育てしつつ、あの過酷な現場で働き続けるのはやはり「燃え尽き」てしまうでしょうねぇ…。

 記事中にもありますように、若い産婦人科医には女性も増えてきました。おそらく、今の医学生の中でも産婦人科志望の女性は多いと思います。やはり本能や母性の関係もあるのでしょう。

 しかし残念ながら、産婦人科の現状は女性医師にとっては余りにも過酷。男性医師であれば、診療報酬を改定するとかで、何とかメンタル的に持つかもしれませんが、女性医師の体力を考慮すると恐らく診療報酬改定程度では解決にならないと思います。

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2007年03月19日

多胎妊娠を防止するため、体外受精の受精卵数を減らす方向に。

体外受精 多胎妊娠防止へ学会指針 受精卵数40歳未満は2個以下

 不妊治療専門医の団体である日本生殖医学会(岡村均理事長)は16日、母子への危険が大きい多胎妊娠を減らすため、体外受精の際に子宮へ移植する受精卵の数を、35歳未満の患者に対する初回の移植では1個に制限することなどを内容とする指針を決定した

 これを受けて、日本産科婦人科学会も4月から、従来の指針の見直しに着手する。

 産科婦人科学会は1996年に、体外受精の際に移植する受精卵は3個以内とする指針を決めた。生殖医学会の指針では、それに加えて、多胎妊娠の危険性が高い40歳未満は2個以下に、とくに35歳未満の初回患者は1個に制限するとした

 移植する受精卵を減らすのは世界的な流れ。この指針に強制力はないが、生殖医学会のホームページに掲載して、医師や患者などに周知を図る。産科婦人科学会も、今回の指針を参考にしながら、96年に定めた指針の見直しを進める。

 生殖医学会倫理委員会委員長の石原理・埼玉医科大教授は、「医療現場では、妊娠の可能性を高めたい患者側が、移植する受精卵を増やすように要望する例が多い。医師だけでなく患者にも、多胎妊娠の危険性についてよく考えてほしい」と話している。



 2個でも3個でも、着床する確率は確か変わらなかったと思います。そういうデータがあるために、減少傾向にあるのでしょう。

 なるべく母体に負担を強いらず、それでいて確率の高い妊娠を行っていかねばなりませんね。

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