[内分]の記事一覧

2009年05月20日

生活環境の変化で精子数が40%も減少している。

イスラエル男性の精子数、10年前に比べて40%減

 イスラエルの精子銀行に保存されている精液を調べたところ、最近の精子の数が10年前の精液に比べて40%も減少していることが分かった。

 イスラエル紙ハーレツによると、同国の科学者が精子銀行に保存されている1990年代後半の精液と、2004−08年に保存された精液との精子の数を調べたところ、後者のほうが40%も少なかった。

 調査の中心となった科学者は、主な原因は生活環境に存在するエストロゲン(卵胞ホルモン)の増加ではないかと指摘している。飲料水に含まれるエストロゲンの濃度が高くなっており、大地に含まれるエストロゲンも増加して果物や野菜が汚染されているという

 生物学者は2年前に、イスラエルのオスの魚が川に含まれるエストロゲン量の増加の影響でメス化しているのを発見したが、イスラエルの男性にも同じような兆候があることが分かったのは初めてだという。



 女性ホルモンが蔓延してるんですねえ。ただでさえ男性不妊といわれているのに、これでは…。かといって環境からエストロゲンを取り除くのは不可能に近いですが…。

 男性にとっては他人事ではない話でした。大事に扱っていきましょう。

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牛乳がけシリアルは運動後の回復に役立つ最適な食材。

牛乳がけシリアルは高価なスポーツ飲料並みに運動後の回復に役立つ-米テキサス大

 研究チームは、運動後にスキムミルクを掛けた小麦フレークを食べたアスリートが、筋肉に水分と栄養を補うと謳う最近の栄養ドリンクを飲んだ場合と同様の回復を示すことを発見した

 彼らは、伝統的な朝食が、いわゆる栄養ドリンクと比べ、血中の糖分やインシュリンのレベルを回復では同程度、蛋白質の産生については勝っていることを発見した。さらに、牛乳は、運動後の硬直を引き起こす血中の乳酸の濃度を引き下げるのにも有効とのことである

 テキサス大の運動生理学者Lynne Kammerは「我々の研究結果は、牛乳がけシリアルが運動後の蛋白質の合成や筋肉の再構成によいことを示しています。牛乳に含まれる蛋白質を考えれば想像出来ることでしょう」「しかし、最も驚くべきは、スポーツドリンクに比べ、牛乳がけシリアルを摂取した後の方が、血中の乳酸が著しく低下していたことです。これは素晴らしい発見です」としている。

 研究チームは、8人の男性と4人の女性に、12時間絶食した後、据え置きの自転車を2時間漕がせるというメニューを、5日以上の間隔を空けて実施させた。各試行の運動後に、被験者は、スキムミルクをかけた小麦100%のシリアルか、一般的な、炭水化物を含んだスポーツドリンクを摂取した。

 ドリンクとシリアルの両条件で、血中の糖やインシュリンのレベルが健康的に上昇した。しかし、回復の過程で、シリアル条件の方が、インシュリンの上昇が有意に大きく、血中の乳酸の上昇も有意に鈍らせた。

 International Society of Sports Nutrition誌にこの研究を発表したMiss Kammer氏「スキムミルク掛けシリアルは、スポーツドリンクより安いのです」「牛乳は、蛋白質の合成や運動後の適応に向いた、消化しやすく質の高い蛋白質の材料を提供するので、自宅で回復を図る人たちの回復手段に向いていると言えるでしょう」と述べている。

 彼らは、アマチュアのアスリートや、体型を維持するために体をよく動かす人にとって、台所でスキムミルクを掛けたシリアルを一杯食べることの方が、高価なスポーツドリンクに投資するよりも賢い選択かも知れない、と結論付けている。



 へぇ。スポーツドリンクって一般的なスポーツドリンクのことでしょうか。それともプロテイン飲料?

 日本で言うところのスポーツドリンクは、発汗して失われた水分を補うのに適しています。筋肉の増強を目的としたものではないですねぇ。もしプロテイン飲料のことだとしたら、確かにシリアル&ミルクのほうが安価です。

 でもすぐお腹空くんですよね、シリアルって。

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2009年04月30日

母乳を与えた女性は、心臓発作などの心血管障害の危険性が減る

母乳を与えることは母親の心臓疾患の危険性も減らす=米の研究

 21日に発表された米国の研究で、母乳を吸わせて赤ん坊を育てたことのある女性は心臓発作や卒中、その他の心臓血管の障害を引き起こす危険性が減ることが分かった。

 研究は閉経後の女性13万9681人を対象に行われ、少なくとも1カ月間、子供に母乳を与えた女性は血圧やコレステロール値が低く、糖尿病にもかかりにくいことが判明した。授乳期間が長いほどこの傾向は顕著で、1年以上授乳したことのある女性は心臓血管障害が出る危険性が10%減少した。

 研究の中心となったシュワルツ医学博士は、母乳を与えることが赤ん坊にとっていいことだとはずっと以前から分かっていたが、この研究によって、赤ん坊と母親双方の健康にとって重要であることが証明されたと述べている。



 母親にも効果があるとは。やはり母乳を与える、という自然な営みの中には、それ相応のメリットがあるものなんですね。

 母乳を与えているときというのは母親にとっても至福の時だと言われます。そのときに分泌されるホルモンによるものなのか、それとも母乳を与えることで母子のつながりが強調され、後々ストレスのかからない育児が出来るのかはわかりませんけれど、やはり母乳育児を推奨したいところですね。

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2009年04月15日

エストロゲンは記憶力や学習能力を改善させる効果がある

エストロゲン:血流増え記憶や学習能力改善に効果…理研

 女性ホルモンのエストロゲンに、脳の血管を広げて血流を増やし、記憶や学習の能力を改善させる効果があることを、理化学研究所(理研)がマウス実験で発見した。老化に伴い、血流が減って起こる記憶障害の予防や治療薬の開発につながる成果で、10日付の米科学誌プロス・ワンに発表した。

 研究チームは、遺伝子操作で慢性的に脳の血流量が減少するマウスを作った。すると、エストロゲンを分泌する卵巣を切除した雌と雄だけ、神経細胞の周囲にあるアストロサイトという細胞が膨張して、神経細胞同士のつながりを邪魔し、記憶障害が起きた。

 また、遺伝子操作で血流が減った雄に、正常な雌の分泌量と同程度のエストロゲンを投与すると、脳の血管が拡張して血流が回復し、神経細胞のつながりが正常に戻った。さらに迷路を使った実験で記憶や学習の能力が回復したことを確認した。

 ただし、エストロゲンには女性化や乳がん発症の危険性を高める作用があり、そのままでは薬として使えない。理研の山田真久ユニットリーダー(神経生物学)は「アストロサイトの膨張を防ぐ薬を開発できれば、脳機能の改善に役立つのではないか」と話す。



 ホルモンが足りなければホルモンを投与すればいい、と思われがちですが、意外とそういうわけにもいかないんですよね。ホルモンは身体じゅうのあらゆるところでバランスを整えているので、実際に補充しようとすると副作用が出てしまう危険性もあります。

 記憶力など、脳の血流を改善する目的でエストロゲンを投与しても記事中にあるような副作用が出てしまうでしょう。より脳血管に特異的なものが開発されれば、治療薬として使えそうです。

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2009年04月14日

膵臓細胞に、甘味を感じる受容体が存在することを突き止める

おいしい糖尿病薬に道? 膵臓細胞に甘さ感知機能

 血糖値を下げるインスリンを分泌する膵臓の「ベータ細胞」に、甘味を感じる受容体が存在することを、小島至群馬大生体調節研究所長らのチームがマウスの実験で突き止め、米科学誌に7日付で発表した。

 受容体が甘味を感知すると、ベータ細胞がインスリンを分泌することも確認されたという。甘味がインスリン分泌を促すことが分かったのは初めて。

 糖分のない人工甘味料を使って、この受容体に働く薬を作れば、味は甘く、しかもインスリン分泌も促すため、糖尿病患者に朗報となりそうだ

 チームは、マウスの膵臓内に島状に点在するランゲルハンス島(膵島)を取り出し、中にあるベータ細胞に甘味受容体の遺伝子があることを確認。試験管内で、膵島にスクラロースなどの人工甘味料を添加すると、インスリン分泌が増加した。



 面白い。膵臓の受容体すらも「甘み」を感じることができる、とは。甘味って味なわけですから、糖分を摂取するために舌でしか感じないものかと思っていました。まさかの膵臓という臓器に甘味受容体があるとは。内分泌、計り知れないです。

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2009年04月09日

自身の皮下脂肪の細胞で血管を再生し、閉塞性動脈疾患を治す

脂肪の細胞で血管再生 信大医学部が共同臨床試験着手へ

 信大医学部(松本市)は国内で初めて、患者の皮下脂肪にある幹細胞を血管再生に使う臨床試験を始める。4月中に厚生労働省の審査委員会に申請し、承認され次第着手する。現在は骨髄細胞を使う手法が主流だが、患者の体にかかる負担が大きいことが課題だった。皮下脂肪ならば比較的容易に採取できる上、治療効果も高いと期待されている。実現すれば、再生医療の普及に弾みがつきそうだ。

 臨床試験は、信大、名古屋大(愛知県)、熊本大(熊本県)、福岡徳洲会病院(福岡県)の4施設で行う。いずれも糖尿病などで手足の末梢血管が詰まる「末梢閉塞性動脈疾患」の重症患者を対象にする。

 患者の皮下脂肪100−300グラムを採取し、共同研究者である米サイトリ・セラピューティクス社が開発した機器で「脂肪組織由来幹細胞(ADSC)」を分離。病気で血液が流れなくなった部分の筋肉数10カ所に注射器で移植する。脂肪採取から移植終了まで数時間で済む。

 信大は2003年以降、骨髄細胞による血管再生を26例行った。骨髄採取には全身麻酔が必要で、患者への負担が大きい。一方、皮下脂肪は局所麻酔だけで簡単に採取できる点がメリットだ。

 さらに、共同研究者の室原豊明・名古屋大医学部教授(循環器内科)は「マウスを使った動物実験の結果によると、ADSCによる血管再生の効果はヒトでもかなり期待できる」とみている。

 臨床試験は、希望する患者を対象に実施。3年間で各施設10人ずつ計40人に行い、安全性や有効性を見極める。効果が確認されればさらに参加施設を増やし、将来は骨髄細胞による血管再生と同様、「高度先進医療」として医療保険適用を目指す。4月中にも、厚労省の「ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会」に申請する予定だ。

 信大は、付属病院の循環器内科、形成外科、心臓血管外科、先端細胞治療センターがチームを組む。池田宇一教授(循環器内科)は「ADSCは骨髄細胞に置き換わり、血管再生にとどまらず、再生医療の中心的な『細胞源』になる可能性がある」としている。



 骨髄を採取して血管を再生するのも凄いと思いますが、脂肪を採取して、血管を再生できるようになれば、まさしく画期的治療法となるでしょう。

 糖尿病などで末梢の血管が閉塞してしまうと、そこの部分に血流がいかなくなるわけですから、足の指などが壊死してしまいます。血管を再生してやることで、壊死を防ぐことができるようになるわけです。

 いずれは国の保険適用となってほしいぐらいの素晴らしい技術。成功を祈ります。

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2009年03月31日

マゴットセラピー、通常の治療法と効果に大差はない。

うじ虫療法、通常の治療と効果に大差なし=英研究

 「マゴットセラピー」として知られる、うじ虫に壊死した細胞を食べさせる傷口の治療法は、傷口を素早くきれいにすることはできても、傷を早く治すことにはならないことが、初の比較臨床試験で明らかになった。

 英ヨーク大学が実施したこの試験は、静脈性下腿潰瘍の患者267人に対し、マゴットセラピーか、ハイドロゲルを使った治療のいずれかを行い、比較したもの。 

 それによると、治療の結果や費用に大差はなく、マゴットセラピーを受けた患者の中には、通常の治療よりも苦痛を感じると訴えた人もいた

 マゴットセラピーは、古くはナポレオンの軍医などが用いた治療法として知られ、南北戦争や第1次世界大戦中にも使われてきた。

 最近では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)など危険性の高い感染症の治療に役立つ可能性があるとして、再び注目を集めていた。



 壊死した細胞だけを食べてくれる、というだけでも十分マゴットセラピーをやる意義はあると思うんですけどね。

 でもどうやらウジを用いるほうが、治療が早く進む、という程度の効果はなかったようです。うーん。

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2009年03月27日

昆虫は毒草を食べて寄生虫を自己駆除する。

毒草を食べて寄生虫を自己駆除する毛虫

 今回の研究には、クマケムシと呼ばれる毛に覆われたガの幼虫が使われた。研究を率いたアリゾナ大学のエリザベス・ベルナイス氏によると、昆虫が自己治療を行うことが明確に示されたのはこれが初めてだという。

 春になると、寄生性のハエがクマケムシの体内に卵を産む。卵がかえると、ハエの幼虫は宿主の体を食べ進み、最終的には腹を破って外に出る。しかし、寄生された幼虫がセネキオをはじめとする植物の葉を食べると、腹の中がアルカロイドという薬物でいっぱいになる。人間にとって身近なアルカロイドは、カフェインやモルヒネ、コカインなどだ。

 アルカロイドが寄生虫を直接攻撃するのか、それともクマケムシの免疫機能をなんらかの形で高めているかはわかっていない。しかし、アルカロイドを含む葉が幼虫たちを治療するのは確かだ。

 ベルナイス氏らは寄生虫の有無でクマケムシを分け、寄生されている方が有毒のアルカロイドを含む葉を多く食べていることを明らかにした。健康なクマケムシもアルカロイドを摂取するが、こちらはごく少量にすぎない。寄生虫が嫌う味になることが目的のようだ。

 また、寄生虫がいないにもかかわらずアルカロイドを大量に摂取するクマケムシは、適量に押さえる個体より死ぬ確率が高いことも示された「一歩間違えば、命取りになる」とベルナイス氏は言う。

 これまで、自己治療を行うのは、学習能力がある比較的知能の高い生物に限られると考えられてきた。その一例が霊長類だ。例えば、チンパンジーは自分の病気を治すために摂取すべき薬を覚え、その知識を他者に伝えることができる。

 昆虫の場合はおそらく、はるかに単純な仕組みだ。ベルナイス氏によれば、クマケムシは寄生されると免疫系が反応する。具体的には、味覚の受容体が変化しアルカロイドを欲するようになるという。「昆虫のシステムは脳の認知能力ではなく、味覚の変化に基づいている」とベルナイス氏は説明した。



 生物って凄いなぁ・・・。昆虫レベルであっても、寄生虫が体内に入ったときにどのようにしたらいいか、脳から刺激が出て対応するわけですよね。しかも味覚を変化させて通常なら食べないアルカロイドを含む毒草を食べるようになる・・・。凄いことです、これ。

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2009年03月20日

骨粗鬆症に、ジャンプ運動が効果を挙げている。

<骨粗しょう症 ジャンプ運動が発症抑制に効果>

 骨粗しょう症の予防対策づくりに取り組む東北大と仙台大、フィンランド・オウル大などの共同研究グループは27日、仙台市青葉区のアエルで記者会見し、ジャンプを加えた運動の継続が骨密度の向上と発症の抑制に大きな効果があるとの研究成果を発表した。

 研究グループは、既に同様の研究をしたオウル大の運動プログラムを参考に、2006年11月から1年間、仙台市内で実験を実施。平均年齢39歳の女性90人を2班に分け、運動が骨に及ぼす関係を調べた。

 2班とも約十分の軽運動を週2、3回継続し、1年後の骨密度の変化を測定。運動メニューにジャンプを組み入れなかった班は大腿骨の骨密度が約1%低下したのに対し、100回のジャンプを組み込んだ班は0.7%程度上昇した

 国内の骨粗しょう症の患者は約1000万人で、およそ70%が女性。骨を維持する働きを持つ女性ホルモンの分泌が減ると病気になりやすく、更年期後に発症する例が多い。転倒し大腿骨を骨折するケースも目立つという。

 東北大大学院医学系研究科の永富良一教授(運動学)は「食事や薬などの治療法はあったが、予防のための指針はなかった。骨に一定の負荷を与える運動を繰り返すことで、発症を遅らすことができる」と強調した。

 研究グループは3月、年齢に合わせた運動プログラムのDVDを制作する予定。広く市民に予防対策を浸透させるため、販売も検討している。

 共同研究は仙台市産業振興事業団と、オウル市の産学官共同事業体「オウル・イノベーション社」が750万円ずつ支援。3月22日、オーストラリア・シドニーである国際骨ミネラル学会で研究結果を報告する。



 骨に負荷をかける運動を行うことで、骨粗鬆症を予防できるらしい、です。若い人は背を伸ばすためにも骨に負荷のかかる運動をしたほうが伸びるらしいですけれど、骨粗鬆症の人は今の骨量を維持するためにもこういった運動は必要なんでしょうね。

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2009年02月18日

キスをするとオキシトシンによってストレスが無くなる。

キス、それは化学反応の問題=米研究

 キスをすると一連の複雑な化学反応が引き起こされるとの研究結果を、米研究者が発表した。ニュージャージー州にあるラトガーズ大学の人類学者、ヘレン・フィッシャー氏は14日、シカゴで開催された米国化学振興協会の会合で「キスは相手を評価するための仕組みである」と話した。

 フィッシャー氏は記者会見で、キスは人間社会の90%以上でされている行為だが、その科学的意味は解明され始めたばかりだと述べた。

 キスに関するある理論は、結びつきを強めることを意図しているとする。ペンシルバニア州のラファイエット・カレッジの研究者、ウェンディー・ヒル氏は学生を対象に行った調査結果を会合で発表した。

 調査ではもともと、性的な喜びなどに関連がある「愛の」ホルモン、オキシトシンの変化を予想していたという。また、オキシトシンはストレスホルモンのコルチゾールの減少をもたらすことが知られているため、コルチゾールの値にも注目することにしたという。

 大学のヘルスセンターで行われた同調査は、18─22歳の15組の異性愛者の大学生カップルを対象に、部屋の中で15分間、キスをする、もしくはただ手を握り会話をするよう指示する方法で実施。

 血液と唾液のテスト結果は、キスをしたグループの男性はオキシトシンが急増したが、同じグループの女性では同ホルモンが減少した。ヒル氏は「コルチゾールのレベルはすべての人で減少した」と報告した。

 フィッシャー氏は、キスは脳の異なる部分を刺激する別々の化学反応を起こすと考えている、としている。



 なんで男女で違った結果になったんでしょう。キスの感じ方が男女で異なる?

 なんか最近オキシトシンブームですね。愛のホルモンの名は伊達じゃない。

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2009年02月15日

糖尿病の人にとって、酢が重要な要因となってくるかも。

命の燃料、酢が肝心 東大チーム解明

 極度の飢餓状態にある人や糖尿病患者にとって、酢がかなり重要なようだ。東京大先端科学技術研究センターの酒井寿郎教授(代謝学)らがマウスで明らかにした。3日付米科学誌セル・メタボリズム(電子版)に掲載される。

 体内では、代謝によってできるATP(アデノシン三リン酸)が、体を動かしたり体温を維持したりするエネルギー源となっている。ATPを生み出すには、瞬発系の運動ではブドウ糖を、持久系の運動だと脂肪酸やケトン体を主に使うことが知られている

 チームはATPをつくる代謝経路に酢酸も関係していることに着目。遺伝子操作し、ブドウ糖や脂肪酸は代謝できるが酢酸は代謝できないマウスをつくった。このマウスと正常なマウスで、エサを与えた場合と48時間絶食させた場合を比較。酢酸を代謝できないマウスだけが、絶食状態のときに著しく体温と持久力が低くなることがわかった。

 酒井教授は「ブドウ糖の吸収、利用が極端に低い糖尿病患者に、血糖値を上げないエネルギー源として酢が役立つかもしれない」としている。



 へえー。糖尿病に酢が応用できるかもしれないと。酢が身体に良いことは以前から知られていることですが、エネルギー源として応用できれば、血糖値をおちつかせることができるようになるかも。

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2009年02月01日

名前をつけてもらった牛のほうが牛乳生産量は多くなる

名前をつけてもらっている牛は乳の出が良い、英大学研究

 「デイジー」「ガートルード」「バターカップ」などの名前をつけてもらっている牛は、名前をつけてもらっていない牛よりも乳の出が良いとする研究結果が、28日の英学術誌「Anthrozoos」オンライン版に発表された。

 英ニューカッスル大学(Newcastle University)の研究チームは、酪農家516人への聞き取り調査の結果をまとめたところ、名前をつけてもらっている牛では年間で最大500パイント(約284リットル)も多く乳を出していることが分かった。

 研究を指揮したキャサリン・ダグラス(Catherine Douglas)氏は、「牛も人間同様、個人的な親しみを持って接してもらえればより幸せだし、リラックスもする。牛を名前で呼んだり、常にふれ合うなどして『個』を大切にすると、牛の幸福感は増し、人にもなれるばかりか、乳を良く出すようにもなる」と分析している。

 ところで、調査した酪農家のうち、牛に名前をつけていると答えた人はほぼ半数の46%だった。ニューキャッスル郊外の酪農家、デニス・ギブ(Dennis Gibb)さんは、「牛1頭1頭を大切にすべき。牛は単なる家畜ではなく、家族の一部なのだから」と話している。



 犬とか猫とかみてると不思議なんですけど、人間の言語を理解していないにもかかわらず、自分の名前は覚えてるわけですよね。すごいですよね。

 挙句の果てにはお手とかお座りとかも覚えるわけで。えさをもらうための反射能力とはいえ、なかなか面白いもんです。

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週7分運動するだけで血糖値をコントロールし糖尿病予防に。

糖尿病予防、週に7分の運動で効果=英研究

 たった数分間でも激しい運動をすれば、血糖値をコントロールし糖尿病を予防するのに役立つ可能性があるとの研究結果を、英国の専門家らが28日、ジャーナル「BioMed Central Endocrine Disorders」で発表した。

 ヘリオット・ワット大のエクササイズ・バイオロジスト、ジェームス・ティモンズ氏の研究チームは、20代前半の男性ボランティア16人のグループを対象にした実験で、週当たりわずか7分間の運動がインスリンの管理に役立つことを確認した

 どちらかというと体調が良くない以外は健康という男性らに、エクササイズバイクで約30秒の全力疾走を含む運動をしてもらったところ、2週間後には体内の血糖値を下げるインスリンの働きが23%改善したという



 たった30秒の全力疾走でいいなら誰でも出来そうです。

 まあとにかく運動すりゃいいわけですよね、週数分なんて誰でもやってそうなイメージはあるものの、糖尿病の患者だとその数分の運動すらやってなさそうなイメージもあるにはあります。

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2009年01月30日

体調の良い人が適度に飲酒をすると健康を維持することができる

中高年は適度のアルコールで健康維持を 米研究

 50歳以上で体調の良好な人が適度の飲酒を続けると、健康維持の効果が得られるとの研究報告が、米国でこのほど発表された。米国人男女4200人のデータを分析した結果、明らかになったという。

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校で高齢者医療を研究するアルン・カーラマングラ博士らが、専門誌「米疫学ジャーナル(AJE)」の最新号に報告した。それによると、チームは米衛生当局が実施した全米健康栄養調査(NHANES)から、中高年層の追跡データを抽出。自己申請に基づく飲酒の状況と、健康状態との関係を調べた。

 この結果、日常的に少量または中程度のアルコールを摂取していた人は、まったく飲まないグループや大量に飲むグループと比べ、5年以内に介護が必要となるなどの障害を負ったり死亡したりする率が23%低いことが分かったという。ただし、健康効果が確認されたのは、体調が「良好」と答えていたグループのみで、「良くない」「まあまあ」と回答したグループでは、アルコール摂取による変化は見られなかった。

 「少量または中程度」とは、週に15杯未満、1日に5杯未満(女性の場合は4杯未満)の酒を飲むグループ。過去1年間に飲んだのが12杯未満だった人は「まったく飲まない」、週に15杯以上または1日に5杯以上飲む人は「大量に飲む」と分類された。調査対象者は白人が約92%を占め、平均年齢は60歳だった。

 適度な飲酒に健康効果があるとする説は、これまでにも多数の研究者が報告している。その理由には諸説があるが、カーラマングラ博士は「アルコールには動脈硬化を抑えたり、いわゆる善玉コレステロールを増加させたりする作用があるといわれている」と指摘。「体に良いからといってつらいことを我慢するのではなく、楽しみながら続けられる」と、飲酒の利点を強調する。博士自身も毎晩1杯のワインを楽しみ、患者らにも適度の飲酒を勧めているという。



 タバコと違って、お酒のメリットは結構報告されていますからね。

 ただ、健康的に飲むためには量を適量にすることが大事です。アルコールで肝障害などを負う人は大抵、かなりの量を飲んでいますから。

 お酒は楽しく、節度を保って飲みましょう。

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2009年01月28日

新疾患「IgG4関連リンパ増殖性多臓器疾患」

難病の一部、実は新疾患 金沢医科大・正木准教授ら確認

 金沢医科大の正木康史准教授(血液免疫制御学)らの研究グループは二十三日までに、免疫性の難病シェーグレン症候群の一部とされていた中に、抗体タンパク質の増殖で発症する新たな別の疾患が含まれていることを突き止めた。今後、適切な診断法を確立し、早期に症状の進行を防ぐ。研究成果をまとめた論文は英科学誌ネイチャーなどに紹介された。

 シェーグレン症候群は口や目が乾燥し、重度になると肺や肝臓などの内臓疾患も併発する難病で、国内の患者数は十万―二十万人といわれている。同症候群の中にはミクリッツ病と呼ばれ、特に涙腺や耳下腺の腫れがひどくなる疾患があるが、従来は同症候群の一部と考えられていた。

 正木准教授らは、ミクリッツ病が同症候群とは別の疾患ではないかと考え、二〇〇四(平成十六)年に金大や富大を含む全国の専門家による検討会を設置。全国の病院から八十四症例を集めて解析した結果、同症候群と比べ、「IgG4」と呼ばれる抗体タンパク質と、それをつくる細胞の増殖が分かった

 さらに、別の疾患である自己免疫性膵炎の中でも特に「IgG4」の数の多くなる症例があるため、これらをまとめて新たに「IgG4関連リンパ増殖性多臓器疾患」として提唱することにした。

 同検討会によると、同疾患はステロイドの投与により、腺機能の荒廃や多臓器不全の進行を防げるという。一方、副作用に注意が必要で、同検討会は適切な投与量や時期などを研究し、治療法の確立を目指す。



 シェーグレン症候群は、もともと、関節リウマチに乾燥性角結膜炎を合併した疾患として報告されていましたが、70年ほど前にシェーグレン症候群として分類されました。

 そして今回、そのシェーグレン症候群の1つと思われていたものから、「IgG4関連リンパ増殖性多臓器疾患」として分類されることになりました。膠原病はもともと原因不明のものが多いので、新たな発見によって別の疾患であるといえたわけです。

 シェーグレン症候群は、唾液腺や涙腺などの外分泌腺で、自己免疫によって炎症細胞の浸潤が起こり、外分泌腺の腺房が破壊され、分泌機能が低下する疾患です。

 よって症状としては口の乾燥、眼の乾燥などの他、腺外症状としてはリンパ節腫脹や間質性肺炎、原発性胆汁性肝硬変、遠位尿細管性アシドーシス、橋本病(慢性甲状腺炎)などを合併します。

 また、シェーグレン症候群は関節リウマチや全身性エリテマトーデス、全身性強皮症といった膠原病を合併します。すなわち多関節炎やレイノー現象などの症状もみられます。

 特徴的な検査は、自己免疫疾患による高γグロブリン血症、リウマトイド因子陽性、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体の出現などです。眼の乾燥を調べるSchirmerテスト、唾液腺の分泌を調べるガムテストなどがあります。

 乾燥症状だけだとステロイドは適応となりませんが、腺外型などに対しては必要に応じてステロイドを投与します。今回挙げられた疾患であるIgG4関連リンパ増殖性多臓器疾患でもステロイドの投与が治療法の1つになっていますね。

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相手への信頼感や絆を強めるホルモン「オキシトシン」について

見つめ合いでホルモン上昇 人と犬、きずな強める

 愛犬に見つめられると、相手への信頼感やきずなを強める働きのあるホルモン「オキシトシン」が飼い主の体内で増加することを、麻布大と自治医大の研究グループが24日までに確認した。

 オキシトシンは、哺乳類の母子関係や夫婦のきずな形成に関係しているとされるが、異種間での作用が確かめられたのは初めて。「見つめる」という行為がオキシトシン増加を招くことについて永沢美保・麻布大助教(比較認知科学)は「『目は口ほどに物を言う』と言われるが、人間と犬の間でも視線が重要なのだろう」と話している。

 研究グループは、55組の飼い犬と飼い主で実験。室内で1組ずつ、30分間触れ合ってもらい、実験前後の飼い主の尿に含まれるオキシトシンの濃度を測定した。

 すると、事前アンケートで犬との関係が「良好」と判断された飼い主13人では実験後に濃度が大きく上昇したが、「普通」の42人では変化が無かった。良好群の実験後の濃度は、普通群の約1・5倍と高かった。

 良好群の実験を撮影した映像を分析すると、犬が「遊ぼうよ」と飼い主を見つめたのをきっかけに交流した回数が多いほど、実験後の濃度が高くなっていた。

 一方、犬に顔を見せないよう飼い主が壁を向いたまま触れ合う実験では、55組すべてで濃度変化は表れなかった。



 へぇー。かわいいものをみてキュゥーンとする感覚の時に分泌されているんでしょうか。

 リラックマのぬいぐるみを見つめてかわいいーと撫で回すのとはやっぱり違うんですかね。反応のある動物だからこそのオキシトシン分泌なんでしょうか。

 いやもしかしたらぬいぐるみを可愛いーと思ってぎゅっとするのもオキシトシン分泌による反応なのかもしれませんけれど。

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2009年01月19日

ホルモン療法で思考力や記憶力が減退するかもしれない。

ホルモン療法で記憶や思考力が減退か、米研究が警告

 更年期障害の治療で一般的に行われているホルモン療法が、脳の萎縮を加速し、記憶や思考力を減退させるらしいと、12日に発表された米大学の2種類の研究結果が警告した。

 65歳以上の女性を対象にした1番目の研究では、ホルモン療法を受けた人の場合、平均よりも脳組織の喪失が大きかった

 過去の研究で、プロゲステロン(黄体ホルモン)の合成化合物であるプロゲスチンを使用した製剤が、思考能力や記憶力を衰弱させ、認知症の罹患率を高め、脳機能に障害を生じやすくすることは知られていた。

 その原因について医師らは長年、ホルモン療法により脳が萎縮し、脳内に微小な血管病変を発生させ、血管障害が起こるためと考えていた。

 しかし今回、磁気共鳴映像(MRI)スキャナーでホルモン療法を受けた女性たちの脳を検査したところ、脳内の記憶をつかさどる領域で脳組織の減少がみられた。

 1番目の論文の主執筆者である同大のローラ・コーカー(Laura Coker)氏は「更年期障害の治療でホルモン療法を受けたことのある高齢の女性で、認知症のリスクが高くなることの説明の一つになりうる」と語っている。

 もう一つの研究では、ホルモン療法経験者の脳では、前頭葉および海馬の体積が通常よりもやや小さいことが明らかになった。前頭葉と海馬はどちらも思考力や記憶力をつかさどる領域だ。

 論文は「この発見から、ホルモン療法は通常の記憶機能の維持に重要とされる脳構造に、悪影響を与えていることが示唆される」と指摘した。しかし、「こうした悪影響は、ホルモン療法を受ける以前に、記憶に一定の障害を持っていたとみられる女性において最も顕著だった」と但し書きを付けた。

 2番目の研究は、過去に4〜6年間にわたりホルモン療法を経験したことのある71歳から89歳の女性1400人を対象とした。

 これらの結果から、更年期障害に対するホルモン療法は、絶対不可欠を考えられる場合にのみ使用されるべきで、その際には投与するホルモン量を最低限に抑え、治療期間はできる限り最短にすべきだという提言が導き出される。



 体にホルモンを入れるということは、体自身がもっているバランスを崩すことに他なりません。副作用も当然出てきます。

 どうしてもやらなければつらい、というような場合でしたら、やったほうがいいとは思います。ですが安易にやってはいけないものかもしれませんね。強力な作用を持つ反面、デメリットも大きい。うまく使えば記憶力などに影響しないのかもしれませんけれども。

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2008年12月17日

睡眠時間が人によって大きく異なるのは、進化の過程によるもの

睡眠は3時間で充分?! 睡眠サプリの第一人者に聞く

 必要な睡眠時間は、人によって大きく異なる。長く眠らないと調子が悪い人もいれば、毎日2時間で平気だという人もいる。睡眠をサポートする味の素のサプリメント「グリナ」の開発に携わった東京大学名誉教授・高橋迪雄さん(同社顧問)は、今、睡眠は2サイクル(3時間)でいいと実感しているという。違いはどこにあるのだろう。高橋さんに睡眠の不思議について聞いた。

 人は、ノンレム睡眠とレム睡眠が組み合わさった睡眠サイクルを繰り返すが、高橋さんは「最初の1、2回が勝負どころ」と強調する。1サイクルで良質な睡眠が取れる人は短時間でいいが、1サイクルがなかなか成立しない場合は、長い時間が必要になる。毎日ごく短い時間しか眠らなかったと言われるナポレオンは、すばやく良質な睡眠が取れていたのかもしれない。

 一方で、「16時間も覚醒を続けられる動物は人間だけです」と高橋さん。チンパンジーやゴリラも短時間で寝たり起きたりを繰りかえしているという。歴史上、長きにわたって集団で狩りや採集をしてきた人間は、みんなと一緒に活動できる人が能力が高いことになる。日中に寝たり起きたりしている人は進化の過程ではじかれてしまったのだろうと推測する。

 生まれたばかりの赤ちゃんは、短時間の睡眠を繰り返す。年を重ねて認知症になると、再び寝たり起きたりを繰り返すようになる。このことから、人間も動物と同じように、分割された睡眠がベースにあると考えられるという。高橋さんは、皆と同じように眠れない人に向けて、「じたばたしなくてもいいじゃないですか」とエールを送る。

 高橋さんによると、睡眠中は外部の刺激を遮断して脳の整備をしているという。自動車整備に例えると、まずは個々の部品を調整し、その上で「試運転」をする。部品調整は「ノンレム睡眠」(深い睡眠)で、試運転の段階が「レム睡眠」(浅い睡眠)になる。試運転の時は、実際には動かないように脱力しているため、随意筋(意識して動かせる筋肉)が動かない。そのため、泥棒に遭遇して逃げなきゃいけないという夢を見ても、声も出ないし動けない。

 しかし、誰かを殴る夢を見て、実際に隣に寝ていた人を殴ってしまうケースもあるらしい。これはパーキンソン病の「前触れ」症状と言われ、同病の病変がある部位は睡眠に関係していると高橋さんは説明する。寝ている隣の夫(妻)に殴られたら、要注意かもしれない。

★★★

 −−続けて起きているのは人間だけなのですか?

 人間のように、16時間も覚醒状態を続けられる動物はいません。動物は短時間で寝たり起きたりを繰り返す「スプリット(分割)」された眠りで、ゴリラやチンパンジーなど、人間に比較的近い類人猿もそうです。ネズミは昼間の睡眠量が夜間の2倍になります。人間が起きていられるのは、そのための進化が起きたからだと考えられますが、相当「無理」をしているんじゃないかと思う。

 −−無理な進化を?

 長く寝ていても平気なのは、安全なところに住んでいる動物です。オオコウモリの睡眠時間は約20時間、アルマジロは17時間。一方、キリンや馬は睡眠時間が3〜4時間です。危険な場所に住む動物は、短い睡眠の方が適応性が高いのです。

 −−人間は?

 人は草原で狩りをしていましたから、危なくて長く眠れないグループに入ります。一方で、脳が非常に発達してしまったために、体を休める「レム睡眠」と脳の機能を再調整する「ノンレム睡眠」を組み合わせた睡眠が必要になった。それで、夜間にまとめて寝て、日中に最大のパフォーマンスを発揮させるように「努力して」進化したと考えています。

 −−努力の結果、まとめて眠るようになった。

 生まれたばかりの赤ちゃんは、短時間の睡眠を繰り返しますね。まとめて寝るようになるのは幼稚園に行く年ごろです。そして高齢になって認知症になると、再び寝たり起きたりを繰り返すようになる。このことから考えると、人間も動物と同じように、短い時間に分かれた睡眠がベースにあるんだろう。努力して、短い睡眠の人が“弾かれた”進化の歴史があるんじゃないかと疑っています。

 −−なぜ、除外されたのでしょう。

 人類は、歴史上多くの時間、集団で採集狩猟をして生活してきた。1人で獲物を捕らえることができないので、食物を得るために昼間、集団で狩りをする。そうすると、狩りをする時間に寝たり起きたりしている人は、パフォーマンスが悪いということになる。約600万年にわたって、昼間寝る人が排除されてきた結果、我々は、まとめて寝るように進化したんです。でも、皆と一緒でないからといって、じたばたしなくてもいいじゃないですか。

 −−2時間くらいしか寝なくても平気な人もいます。

 睡眠というのは、覚醒からノンレム睡眠(深い睡眠)、レム睡眠(浅い睡眠)にいたるサイクルを約90分で繰り返します。90分より短い睡眠時間で毎日生きている人は例がありません。1サイクルがなかなか成立しない人は睡眠を取るのに時間がかかる。10時間眠らないと3サイクルにならない人もいるし、270分で3サイクルになる人もいる。

 −−人によって違う?

 僕の実感では、年を取ると2サイクルでいい。毎日2時間で平気な人は、1サイクルで良質な睡眠が成立するのでしょう。昔は明るい時間に活動して、暗くなったら休む生活だった。電気も何もありませんでしたからね。その一部分で寝ていたんです。就寝していることがイコール睡眠ではなく、90分のサイクルを3、4回繰り返すことが睡眠。最初に良い睡眠が取れるかどうかが大事で、1回目、2回目のサイクルが勝負どころです。そこが就寝時間とシンクロしている人はハッピーなの。

 −−もう数百万年経ったら、元に戻るかもしれませんね。

 個人の活動だけで社会が成立するようにネットワークが発達すれば、みんなが勝手に寝るようになって、短時間に分けて寝る人が出てくるかもしれない。僕本人が寝ていても、残像か何かで他人とコミュニケーションできるツールがあれば、取材があっても起きていなくてもいいわけです。今のところはツールがないので、やはり皆と同じ時間帯に起きていましょうということになるね。



 なるほどねー。赤ん坊と年寄りの話は分かりやすいですね。確かに日中も分割して寝るため、朝は早かったりしますもんね。

 自然に短眠を行える、ナチュラルショートスリーパーは、進化の過程で寝ないで良いようになった人たちということでしょうか。訓練して眠りの質を深くすることが出来れば、ショートスリーパーにはなれるかもしれませんが、生まれつき長い眠りをとるようなタイプの人は無理だ、と。

 私も長い睡眠を必要とするタイプで、もったいないなぁと思っていましたけど、結局は人それぞれだ、ということですね。睡眠が短いとか長いとかで、気の持ちようだとか色々言われますけど、自分に合った睡眠をしっかりとれるような生活スタイルにしたほうが良さそうです。

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2008年11月26日

腎臓移植と血液透析と腹膜透析について

「人工透析で疲れました」と猟銃自殺

 23日午後10時45分ごろ、埼玉県越谷市南越谷5丁目の公園で、男性が倒れているのを近くの住民が発見、110番した。男性は既に死亡しており、遺体のわきに猟銃と遺書があった。「警察に迷惑を掛け申し訳ない。人工透析で疲れました」と書いてあった。越谷署は男性が頭を撃ち自殺したとみている。

 調べでは、越谷市内で1人暮らししている無職の57歳男性で、東京都公安委員会から猟銃所有の許可は得ていたという。



 うああ。

 人工透析というのは、血液透析のことでしょうかね。週3回、4時間ほどかけて血液を機械にかけて、綺麗にする技術です。本来なら腎臓がやってくれます。ですので腎臓というのは、かなり大事な臓器なんです。

 透析をやっていない、腎臓が健常な方、あなたがもし明日から透析をしないと死ぬとしたら、血液透析をやらざるをえません。週3回、1回4時間。仕方ないにしても、、、透析で疲れてしまう気持ちも分かるかと思います。

 ですので本来なら腎臓移植をしたいところなんですが、日本では残念ながら伸びません。どうも日本人は移植に抵抗を示すようです。脳死移植(脳死になったときに腎臓を提供すること)、献腎移植(死んだときに腎臓を提供すること)、色々ありますが、どれも数は伸びていません、残念ながら。

 最近では生体腎移植のほうがスムーズですね。術後成績もいいですし。でも出来ることならば、脳死移植や献腎移植のほうの数が増えてくれることを望みます。

 また、透析にはもう1つ、「腹膜透析」というものがあります。この技術は欧米ではかなり広がっていますし、韓国でも広くやられていますが、日本ではまだまだといったところです。腹膜透析のいい点は、血液透析のように週3回病院に通って4時間拘束されなくてもいいというところです。具体的には、おなかのなかに透析液を入れて、老廃物を液に出して、その液を交換すればいい。朝液を入れて会社へ行き、昼交換し、夜交換するということもできれば、夜の間じゅう液の交換を自動的に行うだけの方法もあります。画期的な治療法ですが、腹膜透析の知識をもった医師がなかなかいないのが残念なところ。

 腹膜透析にも当然弱点はあります。これは、何十年も行える治療ではないということが挙げられます。腹膜を介して老廃物の除去を行うため、長期に渡って行うと、被嚢性腹膜硬化症などの合併症が出現する可能性もあります。こういった合併症が起こる前に血液透析へ移行するのも、大事なことです。

 移植を行うか、血液透析を行うか、それとも腹膜透析を行うか。これらは患者さんの状態や今後やりたいこと、生活の質などと絡めて決定されるものです。そのことを把握した上で、十分に情報提供をし、選んでもらいたいと思います。

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2008年11月23日

肝臓に刺激を与えると膵臓β細胞が増えることを東北大が発見

インスリンつくる細胞が増えた 東北大などマウスで成功

 インスリンをつくる膵臓のβ細胞を増やすことに、東北大の片桐秀樹教授(代謝学)、岡芳知教授(同)らがマウスの実験で成功した。肝臓を刺激すると、神経を通してこの刺激が膵臓に伝わり、β細胞が増えた。糖尿病の新たな治療法につながる成果だ。21日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 片桐教授らは、遺伝子導入でマウスの肝臓に特定のたんぱく質をつくらせると、肝臓が「肥満状態」だと感知これが刺激となり、膵臓でβ細胞が増えることを見つけた

 刺激がどのように伝えられるのかを調べるため、肝臓と脳をつなぐ神経の働きを妨げたり、脳と膵臓をつなぐ神経を切ったりしたところ、β細胞は増えず、肝臓から膵臓に神経を通して刺激が伝わり、β細胞を増やす仕組みがあることがわかった。

 インスリンの分泌を悪くした「糖尿病マウス」の肝臓を遺伝子導入で刺激したら、インスリン分泌が増え、治療に効果があることも確かめた。

 糖尿病は、インスリンの分泌が減ったり、インスリンの効きが悪くなったりして、血糖値が下がりにくくなる。また、一般に肥満になるとインスリンの効きが悪くなる。

 片桐教授は「肝臓が肥満状態を感知し、神経を通してβ細胞を増やす仕組みが体に備わっていることがわかった。この仕組みを利用して治療につなげたい」と話す。



 身体は、各臓器同士で連絡しているのかもしれませんね。確かに血糖をコントロールしている膵臓と、糖を出したり保存したりしている肝臓には密接な関わりが・・・。

 肝臓に肥満状態だと誤解させてやることで、膵臓がヤバイヤバイとβ細胞をつくる仕組み。作りすぎるとまた低血糖になってしまうので、そこらへんのさじ加減をうまくすれば臨床応用もはやそうですね。

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