[内分]の記事一覧

2011年05月10日

フェロモンは実際に人にも作用しているのか。研究で明らかになる。

ヒトは無意識に異性を「嗅ぎ分ける」

 最新の研究によると、ヒトは男女を問わず、無臭のフェロモンによって異性を「嗅ぎ分けて」いるという。ヒトも他の動物と同様に、これまで考えられていた以上に多くの情報を嗅覚から得ているとする根拠はいくつも報告されている。今回の発見もそうした事例の1つだ。

 「動物の意思疎通に最もよく使われるのが化学シグナルであることは知られているが、ヒトの場合化学シグナルはほとんど使われないと考えられている」と、今回の研究を率いた中国科学院心理研究所のチョウ・ウェン(Zhou Wen)氏は話す。「だが、われわれの研究から言えるのは、ヒトは今なお化学シグナルの影響を受けており、そのことを明確に意識していないということだ」。

 最近の実験では、被験者に異性のフェロモンと考えられる物質を嗅がせたところ、不明瞭な人影を見て異性だと判断する傾向が高くなったという。しかも、被験者には何の匂いを嗅いでいるかの自覚はなかった。

 フェロモンは性的な情報をやり取りできる化学物質で、動物の世界では広く利用されている。ヒトも無意識のうちにフェロモンを利用しているとする研究もある。

 チョウ氏らのチームは、動く光の点によるビデオを使って、動作を見るヒトの目を惑わせた。実験に使ったビデオは、実際の人物にモーションキャプチャ用スーツを着せて撮影された。このスーツは各関節にLED電球が付いており、映画で特殊効果の撮影に使われているものに近い。こうして撮影された光の点を数学的に操作して、「人影」の歩く動作が男性的とも女性的とも言えないようにした。

 研究チームは男女各20名の被験者に対し、この不明瞭な人影のビデオアニメーションと、もっとはっきり男女の分かるビデオを見せた。ビデオを見せている間、被験者にはクローブ油に男性ホルモンのアンドロスタジエノンまたは女性ホルモンのエストラテトラエノール、化粧品の基剤によく使われる一般的な油脂をそれぞれ添加したものの匂いを嗅がせた。

 女性のフェロモンを嗅いだ男性被験者は、フェロモンを添加していないクローブ油を嗅いだ被験者に比べて、男女どちらとも言えない人物の歩く映像を女性と判断する傾向が高くなった。さらに、比較的はっきりと男性であることが分かる映像を見ても、女性と判断する傾向が高かった

 男性ホルモンを嗅いだ女性被験者の場合も同じ傾向が見られた。つまり、ホルモンを添加していない一般的な油脂を嗅いだ女性被験者に比べて、不明瞭な人影を男性と判断することが多かった。

 エストラテトラエノールは女性に対しては影響がなく、アンドロスタジエノンは男性に対して影響を与えなかった



 面白い。実際微々たる効果といえどあるのならば、フェロモン系の香水というのも理にかなっている話か。

 視覚より匂いのほうが優先されているというのも面白い話だなぁ。

 鼻で感じるということは、別ににおいそのものがしなくてもいいってことですかね。鼻が詰まってたらさすがに難しいでしょうけれども。

医学処:男性の性的な汗のにおいは女性の脳で判別されている。
医学処:フレグランスは本当に効果があるのか?
医学処:体臭をどう感じるかは、受け手側の遺伝子に起因する。
医学処:話題の体臭改善ガム「オトコ香る。」を実際に食べてみた。
医学処:体臭を克服するスレのまとめ
医学処:メスの尿の性フェロモン「キヌレニン」はオスを興奮させる


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慢性腎疾患の進行をより正確に予測する検査法、シスタチンC測定に基づくGFR

慢性腎疾患者の進行をより正確に予測する新しい検査法

 腎不全や死亡に進行しやすい慢性腎疾患患者を予測する上で、より正確性の高い2つの新しい検査法が米国医師会誌「JAMA」4月20日号に掲載されるとともに、カナダ、バンクーバーで開催された世界腎臓病学会議(WCN)で報告された。これは、最も治療を必要とする患者に対する治療の効率化につながることが期待される。

 米サンフランシスコ・VAメディカルセンターのCamen A. Peralta氏らは、現行の標準検査法となっているクレアチニンの血中濃度測定に基づく糸球体濾過率(GFR)に加えて、やはり腎臓経由で体外に排泄される蛋白であるシスタチンcystatin C測定に基づくGFRと蛋白尿(アルブミン尿)という2つの測定値を追加した新しい検査法を考案した

 Peralta氏らは、クレアチニンに基づくGFR単独の場合と3つのマーカーを用いた場合を比較した結果、3つのマーカーを組み合わせることで、患者2万6,643例のうち腎不全や死亡に進行する可能性の高い患者をより正確に予測することができた。多くの組織では、すでに蛋白尿検査を新しいガイドランに追加しているという。

 2件目の研究では、米タフツ大学メディカルセンター(ボストン)のNavdeep Tangri博士らが、いくつかの一般的な臨床検査データを組み合わせて、中等度〜重度の腎疾患患者における腎不全の短期リスクを正確に予測するモデルを考案し、新しい検査法を開発した。

 この新しい検査法を用いて、腎疾患を有する計8,500人近くのカナダ人男女2群を対象に検討。その結果、年齢、性差、推定GFR、蛋白尿、カルシウム、リン、重炭酸塩、アルブミンの血中濃度という8つの変数を考慮に入れたモデルは、年齢、性差、GFR、蛋白尿のみを考慮に入れた4因子のモデルよりも短期リスクの予測がより正確であった。Tangri氏は「すでにオンライン電卓やスマートフォン用のアプリケーションを開発済みで、医師がこのモデルを診療で使用可能である。これらは通常の受診時に行う臨床検査であるため幅広く利用することができる」と述べている。

 米ノースショア・ロングアイランド・ユダヤ人ヘルスシステムNorth Shore-Long Island Jewish Health System(ニューヨーク州)のErnesto P. Molmenti博士は、「新しいマーカーにより、末期前の腎疾患に対処できる機会が得られ、早期治療により生活の質(QOL)が向上し、生存率も高まる可能性がある」と指摘。一方、米ネブラスカ大学メディカルセンター(オマハ)のTroy Plumb博士は「これらの検査法を臨床現場へ導入する前に、妥当性の確認された臨床試験が必要である」と述べている。シスタチンC測定については、現状ではすぐに日常臨床に用いるのは難しいとみられている。



 腎臓は、大事ですからねぇ。。。できることなら腎機能は保ったままいきたいところ。

 こういうマーカーに異常が生じた場合、すぐに投薬や生活習慣の見直しなどで改善の見通しがつきますからね。透析にまで進行してしまう前に未然に防ぐことが腎臓内科としては大事なところでしょうか。
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2011年05月07日

骨新生を促進する作用のある破骨細胞抑制剤テリパラチドが骨粗鬆症治療薬に

骨形成促進薬で転換期迎える骨粗鬆症治療

 2010年に骨形成を促進する薬剤が登場したことで、骨粗鬆症の治療は大きな転換期を迎えた。以前からの骨吸収抑制薬についても、服薬コンプライアンスを高めるために投与間隔を長くするなどの工夫を凝らした薬剤が相次いで発売予定だ。骨粗鬆症診療の変化をリポートする。

 「骨形成促進薬という全く新しい治療薬の登場は、標準治療薬の一つとなっているビスホスホネート製剤の登場時と同等のインパクトがある」─。新潟大学整形外科学教授の遠藤直人氏は、2010年10月から発売となったテリパラチドについてこう話す。

 現在、骨粗鬆症治療の主役であるビスホスホネート製剤をはじめとする骨吸収抑制薬は、破骨細胞の活性を低下させ、骨吸収を抑制して新たな骨破壊を抑制する。しかし、骨吸収を抑制することで骨芽細胞の分化も少なくなり、骨形成が同時に抑制されてしまうという負の側面があった

 これに対し、テリパラチドは前駆細胞の骨芽細胞への分化を促進し骨芽細胞のアポトーシスを抑制することで骨新生を促進する。東京大学整形外科学准教授の田中栄氏は、「骨を鉄筋コンクリートに例えれば、今まで周囲のセメントを作る作業しかできなかったのに対し、これからは鉄筋自体を作ることができるようになったといえる」と骨形成促進薬の登場を歓迎する。

 では、テリパラチドの登場によって、骨粗鬆症治療はどのように変化するのだろうか。

 田中氏は、「まずは、これまで治療が困難だった、骨密度が非常に低く骨折リスクの高い重症骨粗鬆症患者や骨代謝回転が大きく抑制されているステロイド性骨粗鬆症患者にテリパラチドを積極的に使用したい」と期待を込める。

 鳥取大学保健学科教授の萩野浩氏はこれに加えて、「ビスホスホネート製剤には、手術後の患者の骨癒合が遅くなる傾向があるという問題があった。一度骨折した患者が再度骨折を来すリスクが高いことを考えると、骨折後の患者への使用も適しているだろう」と話す。

 テリパラチドは、ビスホスホネート製剤を上回る腰椎骨密度の増加や骨折発生率の抑制が示されている。さらに、海外ではテリパラチドによって背部痛発生リスクが低下したとの報告もあり、除痛効果にも関心が高まっている。

 もちろん、テリパラチドにも幾つか残された課題はある。まず、現在発売中のものは1日1回の皮下注射剤で、インスリン注入器と似たペン型注入器による患者の自己注射が必要ということだ

 製造販売元である日本イーライリリーでは、患者の不安を少しでも取り除こうと、自己注射の方法を説明したわかりやすい冊子やDVDの配布、患者への電話サポートなどを行っている。



 画期的。

 自己注射型というのがネックではありますけれど、糖尿病の患者さんでも行えていることなので時間が経てば安心かなと。骨粗鬆症が酷くなるよりも行いたいという人は大勢いるでしょう。
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2011年05月06日

糖尿病治療薬のチアゾリジン誘導体が何故浮腫を起こすのかを解明する

経口糖尿病薬の副作用による浮腫発症のメカニズムを同定

 経口糖尿病薬として知られるチアゾリジン誘導体は、細胞核内の受容体であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)に結合し、代謝に関連する遺伝子の転写を調節してインスリン作用を増強させます。この働きによってインスリン抵抗性が改善し血糖値も下がるため、糖尿病の治療に広く使用されています。

 しかし副作用として体液貯留を伴う浮腫を生じることがあり、また心不全が悪化することもあるため、心機能が著しく低下している場合には使用できません。チアゾリジン誘導体による浮腫発症のメカニズムとして、腎臓の遠位尿細管ナトリウム輸送体遺伝子の発現が増加することが原因の一つと考えられてきましたが詳細は不明でした。

 この度、東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科 講師 関常司と 教授 藤田敏郎らのグループは、近位尿細管では遠位尿細管と異なり、PPARγに結合したチアゾリジン誘導体が遺伝子転写の調節を介さずに速やかに腎臓のナトリウム再吸収を亢進させることを発見しました(米国雑誌Cell Metabolism オンライン版にて日本時間5 月4 日午前1 時に発表)。

 この発見は、これまで主に遺伝子転写調節を介して働くと考えられてきたPPARγ の新たな生理機能を明らかにしたもので、チアゾリジン誘導体による浮腫発症の予防や、浮腫を起こさない新しい糖尿病薬の開発につながることが期待されます。



 近位尿細管のほうが圧倒的にナトリウムを吸収する力が強いということですね。

 人間の体液の量というのは、ナトリウムによります。水(真水)はナトリウムにくっついて動くからです。

 ポカリスエットなどのスポーツドリンクにナトリウムが多く含まれているのはそういうわけです。失った水分をすぐに体液として補充するために存在します。逆に汗をかいたときにミネラルウォーターを飲んでも、ナトリウムが汗として失われているために、体の中に水を引きつけておくことができず、尿としてすぐに排出されてしまうのです。

 で、浮腫というのは体の水分が過剰な状態を指しますが、このチアゾリジン誘導体の薬を飲むと、ナトリウムが過剰に体内に吸収されてしまうため、いらない水分までも引きつけてしまって、体液過剰となるわけです。

 ということは併せて近位尿細管のナトリウム吸収を阻害する薬を飲めば、浮腫がなくなると。そういう合剤ができるかもしれませんね。
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2011年04月27日

ネフローゼ症候群の関与遺伝子を東大が発見。治療に光。

ネフローゼ症候群の治療に道−関与遺伝子を特定

 東京大学の野入英世准教授らは、体に必要なたんぱく質が尿に漏れ出す(たんぱく尿)などの症状が出るネフローゼ症候群に関わる遺伝子を発見した。細胞表面にあり細胞の増殖や分化などに関わる糖たんぱく質「GPC5」を作る遺伝子に着目。血液中の不要な成分のみを尿として出す、腎臓のフィルター構造を維持するために、GPC5遺伝子が関わることを明らかにした。

 ネフローゼ症候群の新しい治療法や予防法などの開発が期待できる。理化学研究所と福島県立医科大学との共同研究で、成果は米科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に28日掲載される。

 これまで家族性ネフローゼ症候群の発症に関わる遺伝子は発見されていたが、ネフローゼ症候群全体に共通する病態のメカニズムはわかっていなかった。



 ネフローゼもつらいですからね・・・。体から蛋白が出てしまうという、腎臓障害があると全身に影響してしまいますので・・・。
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2011年04月20日

シークヮーサーに含まれるβカリオフィレンが内臓脂肪増殖を抑制する

シークヮーサー メタボ抑制効果 大分大・伊波准教授ら確認

 県産かんきつ類の機能性調査について共同研究した大分大学医学部の伊波英克准教授、琉球大学農学部の和田浩二教授らは25日、県庁で会見し、シークヮーサーの外果皮に含まれるβカリオフィレンに、内蔵脂肪細胞を増やすタンパク質「NF―kB」の異常活性の抑制作用を確認したと発表した。

 伊波准教授らがシークヮーサーの果皮の精油に抗腫瘍、抗炎症作用があることに着目。マウスを使った実験で、βカリオフィレンを摂取したマウスは、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の原因の一つとされる内蔵脂肪の増加量が半分に抑えられたという。

 伊波准教授は「この結果を基に、沖縄の伝統的な食文化を見直すきっかけにしたい」と説明。今後、マウスへの長期的な投与で安全性を確認した上で、抗メタボ効果や人体への具体的な効果を検証していく。

 調査はシークヮーサーの消費拡大に向け、沖縄科学技術振興センターが県産業振興基金事業を活用して実施した。



 ご当地モノ、きましたね。

 もう柑橘系食べてればとりあえず健康なんじゃないか。笑

ザクロから前立腺癌を抑制する成分が発見される
レモンを摂取することでメタボリックシンドロームを予防しよう
スダチの果皮に長寿物質のレスベラトロール作用がある。
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2011年04月18日

あすか製薬、チラーヂンの代用薬「サンド」を緊急出荷する。

チラーヂン代替品86万錠を出荷開始−あすか製薬

 東日本大震災で福島県いわき工場が被災し、甲状腺ホルモン剤チラーヂンS錠の供給が困難になったあすか製薬は4月8日から、ノバルティスの後発品部門のサンド社がドイツから緊急輸入した同成分のレボチロキシンNa錠50μg「サンド」86万800錠の出荷を開始した。今後、サンドの協力を得て、国内月間使用数量に相当する約5000万錠を5週間以内に出荷できる体制を整える。

 あすか製薬は、代替となる緊急輸入品を使用する際の注意事項として、▽使用期限は15か月であること▽国内製造品とは使用している添加物が異なること▽輸入品には外国語の添付文書が封入されているが、貼付している既承認国内製造品の添付文書を参照すること-を挙げている。

 あすか製薬では、4月下旬までにはいわき工場でチラーヂンS錠50の生産体制を通常通りに復帰できるよう計画を進めており、チラーヂンのほかの規格(S錠25、S錠100、S散)についても早期に生産体制を整えられるよう最善を尽くすとしている。



 甲状腺機能に関わってくる薬っていうのは定期的に内服しないといけないものですからね。

 ステロイド、や補液剤、栄養剤に加えて、工場に打撃のあったチラーヂンも今後どうなるかと心配していましたが、これなら安心。しかし「サンド」という名称はなかなか今までの日本になかったものですねぇ。
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被災地の子供の甲状腺被曝検査、全員問題なしと判明。

甲状腺被曝検査、福島の子ども946人「問題なし」

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、国の原子力災害現地対策本部は2日、福島県川俣町と飯舘村に住む15歳以下の946人について、甲状腺の被曝線量を調べた結果、「いずれも問題なかった」との見解を発表した。

 対象は3月28〜30日に調べた946人。のど付近に検出器をあてて放射線量を測ったところ、全員が、国の原子力安全委員会が定める基準値(1時間あたり0.2マイクロシーベルト)を下回った。最高でも、毎時0.07マイクロシーベルトだった。

 このほか、26、27日にいわき市で、15歳以下の137人に実施した調査でも、毎時0.2マイクロシーベルトを下回った。

 放射性ヨウ素は子どもの甲状腺にたまりやすく、がんの原因になるため、影響がないか調べている。

 調査地は、福島第一原発の30キロ圏外だが、緊急時迅速放射能影響予測(SPEEDI)の試算で、甲状腺の被曝線量が比較的高いとされていた。

 国の原子力災害現地対策本部によると、子どもの甲状腺被曝の調査では、3月25日以降、安全とされる基準が全身の健康を評価する毎時2マイクロシーベルトから、甲状腺だけを対象にした安全基準の毎時0.2マイクロシーベルトに変更になった。



 良かったねぇ。放射性物質に関する知識があるからこそ、未来を生きる子供だけは、守らなきゃいけない。
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2011年04月17日

加齢男性性機能低下症候群(LOH症候群)とは何でしょうか

LOH症候群って、何でしょう

 「7年前にうつ病を発症してずるずる引きずっています。精神障害の認知度も高まっていますが、うつ病、更年期障害、LOH(ロー)症候群は別々の病気で、対処法も変わるのでしょうか」

 山形県の50代男性からは「友人がうつ病と診断され治療中です。テレビでLOH症候群の紹介がありましたが、彼の言動からはLOH症候群のような気がします。この病気の問題点、内容を教えてください」というご質問をいただきました。

 埼玉県の方が示す3つの病気は、もちろん内容も診療科も違います。うつ病は毎日沈んだ気分でやる気が出ず、不眠などが続く精神科の病気です。今回の震災で、家族が亡くなられたり、職をなくされたり、などのショックを受けた方は、どなたでもうつ状態になる可能性がありますので、周囲のサポートが必要です。

 脳の神経伝達物質のセロトニンとドーパミンのアンバランスが原因と思います。更年期障害は月経が終わった女性の女性ホルモン(エストロゲン)欠乏症。ほてりやイライラ、めまいなどの自律神経失調症の症状で、婦人科が専門です。

 最後のLOH症候群は日本語名が「加齢男性性機能低下症候群」。いわば、更年期障害の男性版で男性ホルモン(テストステロン)欠乏症とされる新しい泌尿器科の病気です。主な症状は、倦怠感、めまい、イライラ、睡眠障害、うつ、精神不安、勃起不全、やせる、など。

 女性の更年期障害と違い、ホルモン関連は勃起不全だけで、他はうつ病の症状に近いものです。実際、この病気の「診断の手引き」には「うつ病は類似しており、鑑別は難しい」と書かれているほどです。

 本来のうつ病はなかなか立ち直れないものですが、科学的な基準を持たない精神科医は、早い段階でうつ病と診断して患者さんに薬を飲ませます。さらに軽い状態でも「新型うつ病」などの病名をつける場合があります。多くの方が、本当は必要がないのにうつ病の治療を受けていると思います。

 私には、LOH症候群は、退職された男性が家庭で居場所がないようなとき、退屈で元気をなくし、時々イラつく状態と同じ程度のものに見えます。男性ホルモン剤を注射するような治療は、有り余る時間の有効な使い方を考えた後でも大丈夫と思います。



 何度も警笛を鳴らしているように、心療内科クリニックの怖いところは、「本当に精神科医としての修行を積んだかどうか分からない」点です。楽に稼げる開業として、ただの内科や、酷いときには外科が心療内科を掲げて治療することもあるでしょうねぇ。そういう医師にかかってしまうと、たとえ鬱病でなくても、他に原因があるとしても、抗うつ薬を出されるだけで終わってしまうかもしれません。

 しかしこのLOH症候群。日本ではなじみがないものですねぇ。実際、医師の中でも知っている人は少ないのでは。しかしこういう鑑別もあるんだ、ということも念頭において治療しなければなりませんね。
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2011年02月21日

人間は、疲れたり睡眠不足だと余計なものを食べてしまう

人間は疲れると余計なものを食べてしまうという研究結果

 心理系ブログメディア「Psychology Today」で、Courtney Hutchinson氏が日内変動と食事の相関関係について書いていました。最近は(今に始まったことではないと思いますが)、どうでもいい仕事に手こずらされて長時間労働させられた挙げ句、疲れ切っている人が多いです。睡眠不足によって引き起こされる問題は多々ありますが、不健康な食事を避けようとする判断力も、睡眠不足によってかなり落ちてしまうのだそうです

 シカゴ大学の研究によると、人間は眠い時の方が明らかに間食が増えるのだそうです。2週間の睡眠時間制限の後では、通常は健康的な食事を摂っている人でも、間食によって1日に200キロカロリー以上を摂取してしまう、という結果が。しかも、間食の内容は炭水化物や糖分中心の食べ物で、ほとんどが夜7時〜朝7時の間という最悪の時間帯に摂取されていました。食べる必要のまったく無い時間に、余計なものを食べてしまうなんて、太るために食べているようなものです。

 ところが、この問題は睡眠不足だけが原因ではありません。その上に、脳に過度の負荷やストレスが掛かったことも原因です。ですから、働き過ぎて睡眠が十分に取れないような状況では、無駄に太ってしまう人が多いのです。

 痩せるために食生活を変えるのは難しいですが、「食事を制限する」のではなく「睡眠を多く取る」という風に意識を変えると、結果として間食が減り、体重も減るのではないかと思います。睡眠不足と過労のせいで肥満にまでなってしまったら、本当に不健康まっしぐらですから、まずは睡眠時間の確保から始めてみてはいかがでしょうか。



 なるほど。納得。

 納得づくめ。

 だって眠いとき、特に酒飲んで眠いときなんて、食べますもん。カップラーメンとか。

 ダイエットの基本は「生活リズムを整えること」。

 睡眠をしっかりとることで、摂取カロリーをおさえることもできるかも。
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2010年12月31日

糖尿病まっしぐらコース“朝抜き、昼ソバ、夜ドカ食い”

糖尿病 血縁者、食後血糖値に要注意 やせていても発病

 予備群を含めると40代以上の4人に1人が罹患しているといわれる2型糖尿病(生活習慣病)。無症状で進行して、5年、10年たつと神経障害、網膜症、腎症と合併症を引き起こす。チェックリストに複数該当するようなら血糖値の管理、生活改善を必ず実行しよう。

 発症原因に食事内容や運動不足など生活習慣の乱れが強調される。が、絶対的に注意が必要な人は祖父母や親兄弟に糖尿病の発症者がいる人だ。

 糖尿病学会専門医・指導医である「加藤内科クリニック」(東京・高砂)の加藤光敏院長は「発症には遺伝的因子が大きく関係する。血縁者に糖尿病の方がいる人は、注意していなければ遅かれ早かれ発症すると覚悟が必要」と忠告する。

 日本人は“やせ形糖尿病”が多いのも特徴。欧米人に比べて遺伝的にインスリンの分泌が少なく、太り過ぎる前に発症してしまうのだ。

 健診でも『空腹時血糖値』(110を超えると予備群)ばかりに目をとらわれていたら“隠れ糖尿病”を見逃しやすい。

 加藤院長は「糖尿病発症の7−10年前から食後血糖値の高値がはじまっている。遺伝的因子をもつ人は『ブドウ糖負荷試験』(2時間値が140を超えると予備群)を一度早めに受けて生活に注意すべき」とアドバイスする。

 今年の夏から糖尿病の診断基準に、1−2カ月前からの血糖状態が分かる『ヘモグロビンA1c』(正常基準値4・3−5・8%)が検査項目に加わっているが、「やや肥満の人で5・2%を超えていたら、すでに食後血糖値が高い方が多い」(加藤院長)という。

 発症予防で注意することは、まずは腹8分目で食べ過ぎないこと。炭水化物は体内でブドウ糖に変換されるので、よく食事全体に占めるご飯の割合を極端に減らす人がいるが、「炭水化物は全体の55−60%摂った方がいい。おかずばかりだと塩分を摂り過ぎるし、腎臓に負担がかかる」(同院・加藤則子管理栄養士)。

 それから、欠食、間食はしない。少量でも3食きちんと分けて摂ること。

 定番の最悪なコースは“朝抜き、昼ソバ、夜ドカ食い”だ

 「しっかり運動」も耳にタコができる言葉だが、目的は摂取カロリーの消費だけでないという。

 加藤院長は「体の最大の筋肉群である脚の筋肉を維持することが大事。筋肉がないと糖が取り込めず、食後血糖値が上昇しやすい。同時に脂肪肝の人は改善を」と強調し、1日のノルマを「最低30分は歩く。通勤時にでも片道15分は歩いてもらいたい」と念を押す。

 発症すれば一生つき合うことになる糖尿病、肝に銘じておこう。

★「糖尿病」チェックリスト

□血縁者に糖尿病の人がいる
□親兄弟に心臓病や脳梗塞になった人がいる
□運動不足と感じている
□20歳の時より体重が10キロ以上多い
□夜遅く食事して、すぐ寝る生活
□喫煙習慣がある
□野菜不足、外食を頻繁にする
□糖分入りのコーヒー、炭酸飲料を1日5缶(本)以上飲む
□尿がベトつく感じがする

 ※該当項目が多いほど糖尿病または予備群の可能性が高い。加藤内科クリニック(東京・高砂)/加藤光敏院長作成



 こうやって表にされると2つほど当てはまってしまうものですね…。

 糖尿病はホント怖いんで、今わかめの人がいたら、絶対に予防したほうがいいです。
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2010年11月29日

ポリフェノール含有量と1日に摂取する量の目安

ポリフェノールの平均摂取量、理想より3割以上不足

 健康を保つ上で大切な働きをする成分と考えられているポリフェノール。日本人はどのくらいポリフェノールを摂っているのだろうか。

 ネスレ日本とイードの共同調査によると、ポリフェノールを知っているという人は89.6%と、認知度は非常に高いようだ。

 ポリフェノールは緑茶(100ミリリットル当たり116ミリグラム)やコーヒー(同200ミリグラム)、赤ワイン(同230ミリグラム)などに多く含まれる成分で、理想的とされる1日の摂取目安量は1500ミリグラム。しかし、回答者の飲食傾向から1日のポリフェノール摂取量を算出したところ、平均摂取量は1010ミリグラムと、理想の量と比較して490ミリグラム(32.7%)も少なかった。

 「ポリフェノールの摂取頻度はどのくらいが理想的だと思いますか?」と聞くと、「1日1回」(45%)と「1日2回」(40%)がそれぞれ4割ほどを占め、「5〜6時間に1回」(12%)が続いた。

 ポリフェノールを研究しているお茶の水女子大学大学院の近藤和雄教授は「ポリフェノールは水溶性で体に蓄積されないため、1000〜1500ミリグラムの摂取目安量を2〜3時間に1回程度に分けて、こまめな摂取を行うのが理想的」とコメントしている。

 インターネットによる調査で、対象は20〜60代男女461人。調査期間は9月4日から6日。1日の摂取量を算出した調査は近藤和雄教授とネスレ日本が共同で行った研究成果(日本栄養・食糧学会2010年5月発表など)を応用したもので、同じ調査はWebサイト「ネスカフェ ポリフェノール診断」で受けられる。



 摂取目安、なかなか高いですね。コーヒーでいうと4,5杯か。

 
 水分量なども加えると、お茶が一番現実的かも。
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2010年08月29日

民間療法ホメオパシーは全く効果がない荒唐無稽な療法

ホメオパシーは「荒唐無稽」

 通常の医療とは異なる民間療法「ホメオパシー」について、日本学術会議(会長=金沢一郎東大名誉教授)は24日、「科学的な根拠は明確に否定され、荒唐無稽」とし、医療従事者が治療で使わないよう求める会長談話を発表した。山口市の女児ら死亡例が出たことを重視。通常医療から患者を遠ざける懸念があるとして、一般に広まる前に、医療現場から排除する必要があると判断した。科学者の代表機関が、特定の療法を否定するのは極めて異例だ。

 金沢会長が会見で発表した。日本医師会や日本歯科医師会、日本獣医師会など6団体も談話に賛同し、会員に周知する方針だ。厚生労働省は、普及団体について、医師法や薬事法などの観点から注目し、情報収集を始めた。

 会長談話では「ホメオパシーが医療関係者の間で急速に広がり、養成学校までできていることに強い戸惑いを感じる」とした上で、「治療効果は明確に否定されている」と指摘した。さらに「今のうちに、医療現場から排除されないと『自然に近い安全で有効な治療』という誤解が広がり、深刻な事態に陥ることが懸念される」として、医療関係者が治療に使うことは厳に慎むよう呼びかけた。一方で、「十分理解した上で、自身のために使用することは個人の自由」としている。

 学術会議の唐木英明副会長は「(ホメオパシー治療で使うのは)『ただの水』で『副作用はない』のはもちろんだが、科学的に全否定されているものを医療従事者が使えば、患者を通常の医療から遠ざけかねず危険だ。『ホメオパシーは効かない』というメッセージを伝えることが重要と考えた」と説明した。

 日本学術会議は、約84万人の科学者の代表として選ばれた210人の会員と、約2千人の連携会員からなる日本の「頭脳集団」。政府に対する政策提言や社会への啓発などを行う。

 皇室医務主管で神経内科医の金沢会長や、東大名誉教授(毒性学)の唐木副会長らが約1年半前から、この問題を議論してきたという。今年に入り、ホメオパシーを受けている人の中で通常の医療を拒否して、死亡したり症状が悪化したりした疑いの濃い例が相次いで表面化した

 山口地裁では5月、新生児が一般に投与されるビタミンKを与えられず死亡したとして、ビタミンK投与の代わりにホメオパシー療法を行った助産師を相手取り損害賠償を求める裁判も起きている。こうしたことを受けて、学術会議では急きょ、会長談話を出すことを決めた。

 談話の根拠として、2005年に英医学誌ランセットで発表された治療上の効果はないとする論文などを重視した。「物質が存在した記憶を水が持っている」などの主張も荒唐無稽だと指摘。英国下院科学技術委員会が出した科学的根拠がないとする勧告や、英国医学会が出した「ホメオパシーは魔術」という宣言も参考にした。

 国内では主に1990年代後半から、日本ホメオパシー医学協会など複数の団体が実践、普及を進めている。同協会は、この療法を指導、指示するホメオパシー療法家の養成学校を北海道から沖縄まで全国7カ所に設置している。利用者数など詳しい実態は分からないが、食品添加物や農薬など化学物質を避けようという「自然派」志向の女性らの間で広がっている。雑誌などで「効果」をPRする著名なタレントや歌手、俳優もいる。治療に導入している大学病院もある。医学協会は、計20以上の診療所や歯科医院、動物病院と提携している。

 会長談話について、日本ホメオパシー医学協会は「ホメオパシーの治癒効果は世界中で広く認められている。きちんと調査することもなく、荒唐無稽と断定する極めて非科学的な態度にあきれている。世界的にも普及しており、日本学術会議の見解、認識は世界の情勢と著しく乖離している」などとするコメントを寄せた。



 とてもわかりやすい、ホメオパシーについて書かれた記事はこちら

 別に西洋医学が全てとは思いませんけれど、ホメオパシーに関して言えば「全く効かない」と思いますね。そもそもホメオパシーの原理が「何かの成分の分子がなくなるぐらいに薄めた水を砂糖玉にしみこませる」というものですから、仮に効果があったとしてもプラセボでしょう。

 プラセボ効果というのは医学的に「効いた」とは言いません。それは「ほっとけば治る」と同じレベルのものが治った程度で、医療行為が必要な段階を治療するのとは意味がほど遠いです。

 はっきり言ってある程度の医学知識を有した人からすればホメオパシーなんぞ信じるに値するはずがありません。「胡散臭い」とかいう次元を大きく下回るほど、意味のない行為だと思います。

 もしもホメオパシーに効果があるというのなら、ホメオパシー療法を実践したがん患者や糖尿病患者の何パーセントが完治して何パーセントが死亡したのかというデータを客観的に出してほしい。そしてそれが出るまでは一般人を巻き込まないでほしい。自分が信じて自分でやるのは勝手ですけれど、それを他人に吹聴するのはやめてほしい。

【ホメオパシー療法】

 植物や昆虫、鉱物などの成分を限りなく薄めた水にして砂糖玉に染み込ませた「レメディー」を、飲み薬のようにして使う民間療法。がんや皮膚病、精神疾患などほぼすべての病気を治療できる、と普及団体は主張している

 欧州では200年の歴史があり、一部の国では公的医療保険も適用されてきた。しかし、治療上の効果はないとする研究が相次いで発表された。ドイツでは2004年から保険適用をやめた。
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2010年08月28日

2型糖尿病にアルツハイマー病発症のリスクがある。

インスリン抵抗性を伴った2 型糖尿病にアルツハイマーのリスク、九大研究

インスリン抵抗性を伴った2 型糖尿病患者は、アルツハイマー病の発症に関係があるとされるプラークが形成されるリスクが高いとの論文が、25日の米国神経学会(American Academy of Neurology)の学会誌で発表された。

 九州大学(Kyushu University)の研究チームは福岡県久山(Hisayama)町の135人(平均年齢67歳)を対象に研究を行った。対象者に血糖値の検査を行い、その後10〜15年間にわたってアルツハイマーの兆候がないか観察した。

 研究期間中に対象者の約16%がアルツハイマーを発症した。対象者の死後に研究チームが脳を調べたところ、65%にプラークが見られたという。研究チームは、血糖値の異常が認められた患者には、プラークが形成されるリスクが高いとの結果をまとめた

 論文を執筆した九州大学の佐々木健介氏は、インスリン抵抗性がプラーク形成の原因と結論するにはさらに研究を進める必要があるものの、糖尿病をコントロールすることによってアルツハイマーを予防できる可能性があると指摘した。



 脳のメインの栄養は糖ですからね。糖尿病となって糖をうまく利用できないようになってしまうとそれなりの障害が出やすいというところでしょうか。

 しっかりコントロールすれば良いとのことですので、大変だとは思いますが治療をしっかりと、というところですね・・・。
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2010年08月22日

生理前のむくみを治そう。

生理前のむくみ 半身浴で汗出すと楽に

 まぶたが腫れぼったかったり、ふだんのデニムがきつかったり。生理前のむくみは、憂うつだ。「そういうもの」とあきらめていたけれど、毎月のことだもの、症状を軽くすることはできないのだろうか。

 ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック(東京都中央区)の対馬ルリ子医師(産婦人科)は、ここ10年余り、生理前のむくみを訴える働く女性が増えたと感じている。「症状が年々ひどくなっています」

 20歳代から30歳代の47人を対象にした日清オイリオ中央研究所などの2002年の調査でも、生理前のさまざまな不快症状について重症度を尋ねたところ、「むくみ」は、「食欲が増す」「眠くなる」に次いで3番目に深刻だった。

 対馬さんによると、生理の10日前ごろからむくみやすくなるのは自然なこと。排卵後に分泌が増える黄体ホルモンが、体内に水分をため込もうとするためだ。しかし、スカートがまったく入らなくなる、生理前後で体重が5キロ以上増減するなど、生活に支障をきたすような例もある。

 「女性ホルモンのバランスが乱れると、むくみがひどくなります」

 ストレスが大きな原因と考えられるという。生理前でも、ふだん通りにスーツを着て多くの人と会い、忙しく働くよう求められる女性がむくみやすいのは当然だと話す。目安として、体重が2キロ以上増えるようなら、婦人科などを受診したほうがよいそうだ。

 治療には通常、低用量ピルが使われる。ホルモンバランスが整い、たいていは3カ月ほどで症状が和らぎ、半年後には、服用を止めても軽いむくみで済むようになる

 漢方薬も一つの手だ。東京女子医大東洋医学研究所(東京都北区)の木村容子副所長は「生理前のむくみは血液とも関係するので、水と血のめぐりをよくする漢方薬を処方します」と説明する。

 五苓散や桂枝茯苓丸、当帰芍薬散などが使われ、2、3カ月ほどで効果を感じるという。

 「生理の周期に合わせ、食事や生活習慣に気をつけるだけでも、症状はずっと楽になる」と木村さん。

 利尿作用のある豆類や海藻類をとったり、半身浴をしたりするのもいい。「38〜40度くらいのぬるめの湯で。10分間でもいい。尿だけでなく、汗で水分を出すことも大事です」。水分のめぐりを妨げる冷え対策にもなる。

 木村さんは「夏はシャワーだけという患者さんが、週に3日、湯船につかるようにしただけで、薬を一度も飲まずにむくみが改善したこともありました」と話している。



 漢方薬に関してはこちらをご覧下さい。

参考:漢方薬と漢方医学についての知識を身につけよう

 女性はホルモンバランスとの戦いがありますね。生理の周期にあわせたこのような症状だけでなく、閉経後もホルモンバランスの崩れがあります。

 対症療法にしかならないといってしまえばそれまでですが、むくみの症状を取る、ということでしたら上記記事内の事柄を実践してみるのが有効だと思います。
posted by さじ at 03:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

2010年08月16日

甲状腺の刺激で長寿効果がある

「甲状腺刺激で長寿効果も」 浜松医大など研究グループが機能解明

 食事の摂取カロリー量を抑えると活性化するタンパク質が、甲状腺刺激ホルモンの分泌を調節していることを、浜松医科大の瀬藤光利教授(分子解剖学)らの研究グループが突き止めた。甲状腺は体温や免疫機能など全身の代謝を制御することが知られている。このタンパク質を活性化することで代謝を高め、長寿につながることが期待されるという。

 このタンパク質「SIRT1」が脂肪や筋肉の代謝を調節することは知られていたが、仕組みは分かっていなかった。

 研究グループはまずSIRT1が、脳下垂体にある甲状腺刺激ホルモンを生み出す細胞上に多く現れていることを発見した。

 SIRT1を活性化すると、細胞膜を構成する特定の脂質の量が増えるなどして、甲状腺刺激ホルモンの分泌を促すことが分かった。

 瀬藤教授は「この研究により、全身の代謝を制御する新たな仕組みが明らかになった。今回の成果が老化防止や長寿に役立つといい」としている。

 今回の研究は宮崎大、米マサチューセッツ工科大などが携わり、成果が23日付の米科学誌プロスワンに掲載された。



 代謝は高まったほうが長寿になるのか。まぁそりゃそうか…。代謝が良いということは老廃物を溜めない、ということですもんね。

 これは甲状腺ブームくるかも?
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2010年08月05日

ビールを飲めるアルコール依存症治療施設

ビールのほろ酔いで依存症の克服を目指す、オランダの治療施設

 アルコール依存症の女性、ジャネッタ・ヴァン・ブリュッヘンさん(51)は、クリニックの椅子にゆったり腰掛けるとタバコに火をつけ、キンキンに冷やした霜つきのビアマグから、ぐいっとビールを飲んだ−−朝食から6杯目だ。以前は人の目を盗んでは、1日にワイン2リットル、ビール3リットルを飲むこともあった。

 ブリュッヘンさんのほかに20代中盤から50代後半の男性15人、女性4人の計19人が、この画期的なオランダのクリニックでアルコール依存症の治療に取り組んでいる。全員、10年以上のアルコール依存症歴。飲むことを禁止はせず、量を管理してほろ酔い状態を保ちながら依存症からの脱却を目指すクリニックだ

 クリニック内の簡易バーではビール500ミリリットルに0.4ユーロ(約45円)をソーシャルワーカーに払う。バーカウンターの冷蔵庫には缶ビールのストックがあり、洗剤の泡が浮いたバケツにはビアマグが漬かっている。そのカウンターの内側でスタッフが、記録帳にあるブリュッヘンさんの名前の横に印をつける。

 09年10月の開設以来、ここオランダ中部アメルスフォールトのアルコール依存症治療施設、マリーバーン・センターでは入院するリハビリ患者たちに、1時間に1回以下、1回500ミリリットルを条件に1日5リットルまでのビールをセンター内で飲むことを認めている。センターが購入するビールは1か月に500ミリリットル缶で4000本。卸売で仕入れて、そのままの値段で売る。資金的にはおおかたを市の予算に頼っている。

 「飲み過ぎを止めること、これが目標です。本人のためにも、周りの人のためにもそのほうがいい」。おそらく欧州初の試みだろうと、同センターの精神科医ユージン・スハウテン(Eugene Schouten)医師は言う。目標を達成するため、「ビールしか飲ませていない」という。

 センターが対象としているのは「最悪の状況」、つまり家族も仕事も住む家もなく、酒を止めたいとも思わないアルコール依存症者だ。

 チームリーダーのピーター・ピュアイク氏は説明する。「アルコール依存症の人は朝起きると、まず不快感を覚えます。それでその不快感がなくなるまで飲むのです。朝食を待たずに、マティーニやポルト酒のボトルをあっという間に飲みきってしまうことさえあります。そうやって酔っ払い、周りの人間の迷惑にもなる。物を盗んだりケンカをしたり、大声で怒鳴ったり。それに飲み過ぎは、肝臓や脳、心臓にも深刻な害を与えます」。

 センターでは午前7時半から500ミリリットルのビールをオーダーできる。「これで朝の不快感をなくせます」。ラストオーダーは午後9時半だが、1度飲んだら1時間我慢しないと次のオーダーはできない決まりだ。「これで血中のアルコール濃度を『ほろ酔い』程度に保てます。頭はクリアなので、医師や精神科医と会ったりもできるし、食事もシャワーもできます。何よりも自分で自分の行動をコントロールできる範囲です」

 1日3回の食事のほかにセンターではビタミン剤や、アルコール量を減らしていくことで夜間に現れる禁断症状を抑える薬も支給する。ホームレスとしての行政への届け出や医療給付を受ける手続きも支援している。

 治療に取り組む人たちは一緒にビリヤードやトランプをして遊んだり、テレビを見たり、マグカップを手におしゃべりを楽しんだりできる。ピュアイク氏は「飲みたいという欲求はいつでもつきまといます。色々な活動や治療、食事などを提供することで、その欲求は和らぎます。ここには平和がある。警察や嫌がらせをする住民に見下されることもない。トラブルに巻きこもうという人間がいないので、仲間との交流を楽しめます」。入所者のマリアン・クロイハ(Marjan Kryger、45)さんも「朝ビールを飲んでいても、誰にも笑われたり、とがめられたりしないから、ここは安心よ」と言う。

 しかし「家にいるような気分になっちゃいけないと思う。出ていけなくなるからね」と言うのは、ボブ・ヴァン・ドブレンさん(28)。家と子どもが欲しいというドブレンさんは、「酒を完全に止めるのではなく、酒量を減らしたい」と思っている。

 最初は依存症者にビールを飲ませるというコンセプトが理解できなかったというソーシャルワーカーのケース・デ・ブロインさん(24)も今では納得している。センターでいくら禁止しても、外で飲むのを止めさせることはできないからだ。「人間に強制はできない。ここにはそれがない。その結果、みんな飲む量が減ってきているし、前よりも節操あるマナーで飲むようになっている。健康状態も良くなっている」

 スハウテン医師は言う。「ここにいる人たちは模範的な市民だとか、働き者の納税者とは呼べないかもしれない。けれど、ここでやっているような方法で人生にもっと喜びが増えれば、周りに迷惑をかけることは少なくなるし、健康にもなる」。ピュアイク氏が続ける。「ここでやろうとしていることは、かれらに尊厳をもってもらうこと。人間なのですから」



 禁止、という抑圧の方向から、自制・節制というコントロールの領域に。

 依存症との闘い方はそれぞれですが、少なくとも酒量を減らすコントロールが出来れば日常生活を営めます。それを目標とすることもアリなのではないでしょうか。リベラルな国だからこそ出来ることではありますが。
posted by さじ at 03:09 | Comment(1) | TrackBack(0) | 内分

2010年04月05日

寝不足でも寝過ぎでも内臓脂肪はたまる一方に

寝不足でも、寝過ぎでも、内臓脂肪たまる傾向

 寝不足の人も寝過ぎの人も、肥満になったり、内臓脂肪が蓄積したりする。そんな傾向が、米ウェークフォレスト大などの研究で示された。生活習慣病につながる内臓脂肪の蓄積は、食生活の影響が大きいと思われているが、睡眠の影響も無視できないようだ。「暁を覚えず」の季節。お寝坊もほどほどに……。

 専門誌「スリープ」3月号の論文によると、18〜81歳のアフリカ系アメリカ人とヒスパニックの男女計1107人に睡眠時間を尋ね、脂肪の蓄積をCTで調べた。その結果、夜の睡眠時間が5時間より短い人は、肥満がちで内臓脂肪の蓄積も明らかに多かった8時間以上の人も、程度は低いものの同様の傾向があった。これらは40歳未満の人に見られた特徴だった。

 同大のクリスティン・ヘアストン助教は「寝不足だと食欲を高めつつ代謝を減らすホルモンが増え、寝過ぎると体を動かす時間が少なくなっている可能性がある。一般的には毎晩6〜8時間の睡眠を取るべきだ」と言っている。

 ただ今回の研究は、肥満や生活習慣病が比較的多いアフリカ系アメリカ人とヒスパニックが対象。、日本人に同じことがいえるかどうかは、まだはっきりしていない。



 体としては、睡眠時間が足りなくても、「ヤバイヤバイ」と思い、貯蓄エネルギーを増やす方向に働きますし、睡眠時間が多すぎても、身体を動かしていないため貯蓄エネルギーが増えると。

 要するに健康な生活を営むこと、が一番大事だということですけどね。おそらく日本人にも同じことはいえると思います。
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2010年03月03日

慢性疾患に苦しむ患者の7割が医療費に負担を感じている

<慢性疾患>生涯ローン…7割が「医療費重い」 東大調査

 がんや糖尿病などの治療を継続している患者らのうち、約7割が医療費の支払いに負担を感じていることが、東京大医科学研究所の研究チームの調査で分かった。医療費の高さなどを理由に治療の中止を考えたことがある患者らは約4割いた。年齢や所得に応じて治療費の支払いを抑える国の高額療養費制度の自己負担上限額が徐々に引き上げられたのに加え、景気悪化に伴う収入減が追い打ちをかけているとみられる。

 研究チームは、慢性疾患の患者会約300団体と患者個人にアンケートへの協力を依頼。昨年12月から今年1月までに回答のあった計77種類の疾患患者ら227人分を分析し、5年前と比較した。

 「先の見えない慢性疾患は、生きている限り続く生涯ローン」「安心して(病気の)子どもを残し他界できない」。アンケートから治療費負担にあえぐ患者の困窮ぶりが浮かんだ。

 5年前に比べ年間医療費は平均30万円と変わらなかったが、世帯総所得は09年が平均430万円で5年前から20万円減少した。医療費の支払いに負担を感じている割合は09年が69%。5年前に既に発症していた患者ら(227人中144人)のうち当時負担を感じていた割合は49%で、約1.4倍に増えた。全体の38%は治療中止を考えたことがあり、そのうち83%が医療費の高さを理由に挙げた。

 高額療養費制度を利用している患者らは全体の51%いたが、そのうち自己負担の上限額が「大変高額」「やや高額」と答えた割合は計92%に達し、90%は上限額を「引き下げてほしい」と答えた。月々に支払える金額を尋ねると、1万円が最も多く、5000円、2万円などが続いた。

 一方、国の高額療養費制度は70歳未満の一般所得者の場合、最低でも月4万4400円で、患者らが無理なく負担できる金額とは隔たりがある。制度ができた73年、自己負担上限額は3万円だったが収入の増加などと共に引き上げられてきた。

 血糖値を下げるインスリンを体内で作れず、インスリン注射をしなければ数日で昏睡状態に陥る1型糖尿病患者の千葉県の女性(34)は夫と2人暮らし。「医療費が家計を圧迫していて、子供を産んでもかわいそう。(糖尿病による)合併症が増える一方なのに、働かなければ生きてゆけない」とつづった。

 乳がん患者も化学療法などのため治療費が高くなる傾向がある。夫と子どもと3人で暮らす栃木県の女性(50)は治療のため退職した。「長生きしたいと思うことが、家族の負担になることがつらい」と嘆いた。

 調査した同研究所の児玉有子特任研究員は「国は上限額引き下げなど負担軽減に向けた議論を早急に始めるべきだ」と話している。



 国民皆保険制度を導入している日本でもこんな現状ですからね…。

 凄く難しい問題だと思います。

 慢性疾患で完治する見込みのない疾患と付き合い続けなければいけない場合、毎月の出費は相当なものになるでしょう。

 これが現状なんです。

 しかし国は医療費を削減する方向にいる。メタボリックシンドロームの概念の導入によって生活習慣病を減らし、疾患の予防をすることは正しい行いですが、今早急に医療費を減らすことは出来ません。

 むしろ確実に増える医療費に対応するように、公共事業費を減らすなどの「無駄な税金投入」を医療費に注ぐぐらいしないと、医療は成り立たないというか、国民全員に平等な医療を提供するということは出来なくなってしまうのではないでしょうか。

 今まで国がやってきたことは、医療従事者や各病院に負担を強いる、という意味不明な政策ですからね。。。

 いずれはヨーロッパのような、福祉重視型の税金投入になるんでしょうけれど、国民が国を倒し監視してきた歴史が全くといっていいほどない日本では、そうなるまでに時間がかかるかもしれません。
posted by さじ at 07:20 | Comment(1) | TrackBack(0) | 内分

2010年03月02日

ランニングはやり方を間違えると身体に害となる

「走る=健康」じゃない!?ランニングブームの落とし穴

 2009年は、皇居ランを始めとする空前のランニングブームだった。今週末行われる東京マラソンでも、参加希望者の倍率が8.9倍と高倍率だったほか、女性誌でランニング特集が組まれ、オシャレなランニングウエアを着た女性ランナーも増え続けている。理由は“痩せたい”“健康になりたい”などさまざまだが、一方で慣れない運動に体を壊す人も増えているという。

 話を聞いたのは、東京クリニックの笹沼仁一先生。一般的に「走ること=健康」だと思われがちですが、逆に体を壊す人も多いとは、一体どのような理由なのでしょうか。

 「特に女性ですが、ダイエット目的で節食をされた方は、骨密度や体の筋肉量が低くなりがち。その状態の人が急にランニングを始めることで、膝や腰を痛める例も多くあります。走る前に自分の筋肉量を把握することが重要ですね」。

 また、平日の夜18時〜21時に約4500人が走っている(※千代田区調べ)人気の皇居ランには、こんな落とし穴も。

 「皇居周辺は、車の通行が多いため大量の排気ガスが出ています。排気ガスと紫外線、それにランニングによる激しい運動で、体には活性酸素が発生するんです。活性酸素とは、酸化ストレスと言われ、いわゆる“さび”と呼ばれる体のストレスダメージ度。そのストレスに対抗する“抗酸化力”が備わっていないと、ランニングをしたことで逆に健康を損なってしまうんです」。

 ランニングをしたことで、逆に体がさびてしまうなんて恐ろしい! それでは、走らない方がいいんですか?

 「そんな事はないです! 適度な運動は、体はもちろん、心にもいい影響を及ぼす事があります。現に走っている方の“気持ちが前向きになった”“毎日が楽しい”という声もよく聞きます」。

 やっぱり、ランニングは健康の第一歩のよう。それでは、体を壊さず楽しく走るためにはどうしたらいいでしょうか?

 「今は、ランナーズドックといって、骨の丈夫さや筋肉量を計測したり、身体の抗酸化力が分かる体内環境チェックが増えてきています。気軽に受けて自分の体を知って、ケガのないようにランニングを楽しんでください!」。



 なんだか「美味しんぼ」に出てきそうな話ですが・・・

 確かに「ブーム」とはいえ、いきなり過度の負担をかけるのは身体によくありません。

 日々ランニングしている人は問題ないのでしょうけれど、ブームに乗って走ろうとした人はご注意を。

 まずは今までどれだけ運動してきたのか、どれほどまでなら運動できるのか、自分の身体を見つめて、それに合わせた負荷から始めたほうがよさそうです。骨密度の測定などは病院で簡単にやってもらえますからね。インストラクターなどの走る専門家に指導してもらうのもいいかもしれません。走るフォームなども重要ですし。
posted by さじ at 07:41 | Comment(1) | TrackBack(0) | 内分