[内分]の記事一覧

2006年08月30日

命の危険があっても痩せたいと願う思春期やせ症を追う

思春期やせ症 発見の遅れ 命取りに

 思春期のやせ願望から、無理なダイエットをしたり、食べても吐いたりするなどの異常な食行動を続ける「思春期やせ症」の子どもが増えている。厚生労働省研究班が予防、早期発見などの診療指針を作成し、早期の発見と対処を呼びかけている。

 成長期なのに体重が大きく減る状態を経験したことがある女子は、中学3年で5・5%、高校3年では13・2%にも上る。学校、家庭、友人関係など、思い通りにならないストレスを抱える中で、「芸能人のようにスリムになりたい」「細身の服を着たい」といったささいな自己実現への欲求が、無理なダイエットに走るきっかけになるとされる。

 一般には拒食症と言われるが、特に思春期の子どもは、将来の健康に及ぼす影響が大きいことから、思春期やせ症(神経性食欲不振症)と呼ぶ。男女比は1対10で女性が圧倒的に多い。

 極端にやせると、栄養失調から、血液中の糖分が不足し、元気が出ず、不眠や疲労感が現れる。脳の働きが低下し、精神的に不安定になったり、ホルモンバランスが乱れ、成長障害や不妊の原因になったりする。

 少ない栄養で生きのびようとするため、心拍が遅くなり、心不全の危険も招く。このため、死亡率は国内外の研究で6〜10%にも上る。深刻な病気で、ゆがんだ食習慣や自分の体のイメージを修正していく地道な努力が必要だ。

 厚労省研究班は、早期発見し医療機関を受診する基準として、〈1〉身長などから算出する肥満度がマイナス15%以下〈2〉身長体重の変化をグラフにした成長曲線で、体重が前年より1段階以上(おおむね5キロ・グラム)減少〈3〉安静時の脈拍が1分間に60回を下回る――を目安としている。

 本人が進んで医療機関を受診することはほとんどない。やせることが心地良く、他人から見たイメージも良いと思いこむからだ。健康なら空腹感や体の不調は苦痛だが、脳内麻薬物質の分泌により心地良いと錯覚している。このため、体重が20キロ・グラム台になるまで平気な場合も少なくない。

 「早期発見しないと生命に危険が及ぶばかりでなく、完治させるのが非常にやっかい。学校、地域の小児科医らの連携が欠かせない」と、厚労省研究班班長で慶応大小児科講師の渡辺久子さんは言う。

 治療では、ゆっくり時間をかけながら、十分な栄養を取れるようにする。親子関係のすれ違いなどから、子どもの心の奥の孤独や自信のなさを親が理解していないことも多いことから、親など家族の心理支援も必要になる。重症の場合は1年以上の入院が必要な場合も珍しくない。

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 思春期やせ症というのはどうも違和感があるというか、おそらく一般的にも神経性食欲不振症(神経性無食欲症)のほうが有名だと思います。

 やせ願望の強い女性というのは、他者が言っても聞かないことが多いですね。やせて美しくなるというより、グラフ上の、自分の体重が減っていくのが快感でしょうがないのでしょう。貯金をして何か買おうという購買欲よりも、ただ貯金額が上がっていくのを見ているのが快感、という感じと同じイメージです。

 心の問題ですが、生き物が食べ物を食べないとどうなるのか、それは自明です。ですがそれ以上に痩せることを望む女性に対して、我々はどうすれば良いのか。難しい。身近な人が少しずつ、歩み寄るしかないのが現状です。無理に食えというのではなく、もっと心の奥の部分を。決して「押し」てはだめだと思います。まぁ素人判断するより専門家(精神科医)に連れて行くのが一番です。世間体やらを気にするより、まず病院へ。一生のことですよ。


posted by さじ at 02:10 | Comment(1) | TrackBack(0) | 内分

2006年08月15日

早食いをすると、食べる量が同じでも肥満になる。

早食いは肥満のもと 名大グループ調査

 早食いをすると、それだけで肥満を招きやすくなることが、名古屋大グループの調査でわかった。早食いで太るのは、満腹感を感じないうちに食べる量が増えてしまうのが主因だと考えられてきたが、ゆっくり食べる人たちと同じ量をとったという前提で計算し直しても同様の結果だった

 玉腰浩司助教授(公衆衛生学)、大学院生の大塚礼さんらが、愛知県内に住む35〜69歳の男性3737人、女性1005人から、身長や体重、食事内容や運動習慣といったデータを集めた。食べる速さは「かなり遅い」「やや遅い」「ふつう」「やや速い」「かなり速い」の5段階で申告してもらった。

 データを分析すると、食べるのが速い人は食べる量も確かに多かったが、グループは、食べる量の違いが体重に与える効果を統計的に除去。同様に運動習慣の効果も消し、純粋に食べる速さと肥満との関係を求めた。

 その結果、食べる速さが「ふつう」の男性の平均的な身長である168.3センチで見ると、「ふつう」の人(体重64.8キロ)に対し、「かなり速い」人は3.9キロ重く、「かなり遅い」人は3キロ軽い計算となった。

 女性では、156.6センチで「ふつう」の人(52.8キロ)に対し、「かなり速い」は3.2キロ重く、「かなり遅い」は2.7キロ軽かった。

 早食いそのものが肥満を招く理由はまだよくわかっていない。早食いだと、エネルギーの取り込みを促進するホルモン、インスリンが過剰に分泌される可能性などが考えられるという。

 グループの豊嶋英明教授は「早食いのくせは若いうちに身についているようだ。よくかんでゆっくり食べる習慣を、子どものころから身につけてほしい」と話す。

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 なんと。私も、早食い=満腹中枢を刺激しにくいから摂取する量が多い=太るだと思っていました。しかし実際は違うようです。やはりエネルギーとして体内に摂取される割合が変化するのでしょうか。早く食べてるから、吸収も沢山しなきゃいけないほど切羽詰ってるんだ、と体が判断するとか。
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2006年08月10日

アンギオテンシンIIは破骨細胞を活性化させて骨粗鬆症を引き起こす

骨粗鬆症に降圧薬有効 阪大チーム「高血圧と同じ原因」

 骨がもろくなる骨粗鬆症の多くのケースは、高血圧を招くのと同じ体内ホルモン物質「アンジオテンシンII」が原因になっていることを、大阪大大学院医学系研究科の森下竜一教授(臨床遺伝子治療学、加齢医学)らのチームが解明した。ラットを使った実験で、同ホルモンを抑える血圧の降圧薬が骨粗鬆症に効くことも証明されたといい、画期的な治療法になりそうだ。

 骨粗鬆症の患者は推定で国内約1000万人。特に、ホルモンバランスが変わる更年期以降の女性が患者となる「閉経後骨粗鬆症」が多い。この病気では高血圧を伴う人が目立つことも知られているが、原因は分かっていなかった。

 森下教授らは、こうした典型的な患者と同じ状況をつくるため、メスのラットから卵巣を摘出して実験。まずアンジオテンシンIIを投与したところ、高血圧になっただけでなく、閉経後骨粗鬆症の患者と同様、骨組織を破壊する「破骨細胞」が増殖・活性化し、骨の密度が低くなることが確認された。

 この結果を受け、今度は、もともと高血圧のラットを選んで卵巣を摘出。何もしないラットは骨の密度が30%程度低くなったのに対し、アンジオテンシンIIを抑える受容体拮抗薬「オルメサルタン」を投与したラットの場合、破骨細胞の増殖と活性化が止まり、骨の密度も低くならなかったという。

 森下教授によると、閉経後骨粗鬆症の患者は、骨をつくる「骨芽細胞」は健全な場合がほとんど。アンジオテンシンIIを抑えて破骨細胞の増殖と活性化を弱めれば、一度減った骨の密度を元の状態に近づけることは可能。降圧薬であるアンジオテンシンII受容体拮抗薬オルメサルタンが、新しい治療薬になる可能性は高いという。

 骨芽細胞が減少する「老人性骨粗鬆症」や男性の骨粗鬆症でも、アンジオテンシンIIが影響している可能性もあり、今後も研究を続ける。

 森下教授は「高血圧で骨粗鬆症という人はかなりの人数で、1つの薬で両方の治療になるケースは多い。オルメサルタンは副作用も少ないので有効な治療法になる」と話している。

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 ほー。アンギオテンシンIIは、レニン-アンギオテンシン系といわれる経路によって分泌されるホルモンで、血管平滑筋細胞の受容体に結合して収縮を起こし、血圧を上昇させます。

 今回のニュースで、アンギオテンシンIIには破骨細胞を活性化する作用があるということが判明しました。骨粗鬆症の治療薬としてはビスホスホネートなどの副作用の強いものがありましたが、それらにとってかわる新しい治療法として確立されるかもしれません。
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2006年08月08日

太っている原因は、単に食べすぎと運動不足だけではないことを認識しろ

肥満の要因、食べすぎと運動不足だけにあらず!

 肥満の要因は食べすぎと運動不足だけではない―と3カ国、20人の研究者たちが別に10項目を挙げた。

 (1)睡眠不足=食欲を制御するホルモンの分泌を狂わせるから
 (2)食品、樹脂、殺虫剤などに含まれる人工の化学物質=体重を制御するホルモンの異常
 (3)エアコン=カロリー消費を少なくする
 (4)禁煙
 (5)避妊薬、ステロイド・ホルモン、糖尿病治療薬、抗うつ剤、高・低血圧治療薬などの医薬品
 (6)中年、アフリカ系女性、ヒスパニックなど年齢や人種による特性
 (7)高齢出産
 (8)遺伝
 (9)多出産傾向のある肥満体質者
 (10)肥満者同士の結婚―だ。

 体重管理センターのネリー・ウィクソンさんは「消費エネルギー以上に食べれば太るという熱力学を無視してはいけない」という。

 ロチェスター・ゼネラル病院のダニエル・ガルビン肥満症治療学教授は「家庭でのしつけ、うぬぼれ、肥満が多い環境、不健康な食品、ソフト・ドリンクなどの影響が大きい。食べる量を減らし運動を増やすのが改善の第一歩。やる気になれば必ずできる」と話す。

 同学部のフラビア・ガスマノ教授は「忙しいことと運動量を混同している人が多い。ストレスや抑圧から逃れるために食べる習慣はやめなければならない」という。

 (3)のエアコンについては、暑さや寒さの中で動く方が消費エネルギーは大きいということだが、皮肉にもエアコンを持てない低所得者層に肥満は多い

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 個人的にはやはり(1)と(8)と(10)が大きいかなあと。そして中でも改善できるのは(1)と(10)。意識さえあれば痩せることはできるんです。理屈ならべてやらないだけで自己管理の問題はありますね。

 FBIでは太っている人を採用してくれないそうです。「ノースモーキング、ダイエット」は自己管理の基準ですから、それを守れない人は重要なポストにつけないよということなんでしょう。

関連:日本人はアメリカ人より内臓脂肪が溜まりやすいので非常に危険
posted by さじ at 19:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

血糖値を下げる働きを強める新しいタイプの糖尿病治療薬

万有製薬と小野薬品、糖尿病治療薬治験の最終段階を開始

 米メルク子会社の万有製薬と小野薬品工業は4日、糖尿病治療薬「シタグリプチン」(一般名)の臨床試験(治験)で最終段階の第三相を始めたと発表した。人が本来持つ血糖値を下げる働きを高めて糖尿病を治療する新しいタイプの薬剤で、製造販売承認取得後は両社で共同販売する予定。

 食後に血糖値が上がるとGLP―1と呼ぶホルモンが働き、膵臓からのインスリン分泌を促したり肝臓が糖を作るのを抑えたりして血糖値の上がりすぎを抑える。同薬はGLP―1を分解する酵素「DPP―4」の働きを抑えることで血糖値をコントロールする。メルクが開発した物質で、米国で同社が承認申請中。

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 糖尿病治療に有用な薬。分解酵素を抑制するということはすなわちGLP-1がずっと受容体に結合しているということです。つまり効果が続きっぱなし。
posted by さじ at 00:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

2006年08月04日

日本人はアメリカ人より内臓脂肪が溜まりやすいので非常に危険

内臓脂肪、ウエスト同じでも日本男性は米より「多め」

 内臓脂肪がたまり、さまざまな病気の遠因となるメタボリック症候群をめぐって、日本人男性は腰回りのサイズが同じでも、米国の白人男性より内臓脂肪のたまりやすいことが、滋賀医科大と米ピッツバーグ大の住民調査で分かった。日本人は米国人ほど極端に太らず、少し太っただけでも糖尿病などの生活習慣病にかかりやすいといわれているが、その理由は分かっていなかった。

 滋賀県草津市と、米ペンシルベニア州で40〜49歳の男性それぞれ239人、177人のウエストサイズを測り、コンピューター断層撮影(CT)で腹部の内臓脂肪などの断面積を調べた。

 全体の平均では、ウエストは日本人が85.3センチ、白人95.4センチ。体脂肪の量も白人の方が上回っていた。だが、内臓脂肪は、日本人の方が多い傾向がみられた

 例えば、ウエストが88.9〜96.8センチの層を比べてみると、皮下脂肪の断面積は白人の方が日本人より7平方センチ上回ったが、逆に内臓脂肪は日本人が101.7平方センチと、白人の85.5平方センチを上回った。この傾向は体格にかかわらず見られるという。

 体脂肪は皮下脂肪と内臓脂肪に分かれ、内臓脂肪が多いとホルモンの分泌が異常になるなどして、生活習慣病を招きやすくなる。100平方センチを超えると病気になるリスクが高まるとされ、メタボリック症候群と判断する材料になっている。

 研究をまとめた門脇崇・滋賀医大助手(公衆衛生学)は「内臓脂肪がたまりやすいことが、糖尿病や高脂血症のリスクがより高いとされる理由かも知れない。日本人は一層、肥満に注意する必要がありそうだ」としている。

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 これは日本人なら危機感を感じずにはいられません。アメリカ人のほうが確実に太っているから将来危うそうに見えますが、実際はアレは皮下脂肪である意味たいしたことないんだよ、と。日本人のほうが内臓脂肪溜まりやすいから危険だよ、ということです。

 痩せているからといって安心せず、きちんとした自己管理をしないといけないようですね。私も反省しなければなりません。最近炭水化物ばかりで…えぇ。栄養の偏りが一番危うい。
posted by さじ at 23:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

2006年07月09日

ラブホルモン「オキシトシン」が夫婦の危機を救う

「愛のホルモン」で夫婦間ストレスが減少

 「love hormone(愛のホルモン)」と呼ばれるオキシトシンに、夫婦げんかを鎮める効果があるという。オキシトシンは、人間関係や他人との心理的境界を健全に保つ能力に関係があると考えられているが、緊迫した状況でのストレスを軽減させるはたらきもあることが示され、ピッツバーグで開催された国際神経内分泌学会で報告された。

 米エモリー大学(ジョージア州)精神学行動科学のBeate Ditzen氏らは、50組のカップルのうち半数にはオキシトシンの含まれる鼻腔スプレー薬を投与し、残りにプラセボ(偽薬)を投与した後、それぞれの抱える未解決の問題について模擬的に口論をさせた。唾液中のコルチゾル(ストレスの多い条件下で増大するホルモン)の濃度が測定され、カップルは自分たちの関係を評価するアンケートに回答した。

 この結果、オキシトシン群では、プラセボ群に比べコルチゾル濃度に有意な減少がみられたという。さらにオキシトシン群の夫婦は、マイナスの感情もプラスの感情も素直に表現することができた。「心理学的見地からいえば、これはまさに争いを解決しようとする行動」だとDitzen氏は述べている。

 オキシトシンは脳で産生され下垂体から分泌されるホルモンで、人を信じる能力や互いをいたわる能力に関わりがあるとされている。昨年(2005年)秋に実施された日本と米国による共同研究では、オキシトシンを与えずに育てた雌マウスが仔マウスの世話をしないことがわかっている。このホルモンが、自閉症など一部の精神障害の治療にも有用である可能性を指摘する専門家もいる。

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 下垂体後葉から分泌されるホルモン、オキシトシン。射乳反射や子宮収縮などを起こす頑張りやさんです。

参考:オキシトシン
posted by さじ at 23:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

2006年07月06日

害虫の脱皮を止めるホルモンから、農薬を作ろう

脱皮のメカニズム発見

 農業生物資源研究所と東京大などの研究グループは、昆虫の脱皮・変態にかかわる二種類のホルモンの働きとメカニズムを発見した。ホルモンの分泌量に応じて脱皮を進めたり止めたりする機能があり、害虫を脱皮させずに殺す新たな農薬の開発に役立つと期待されている。

 昆虫が成長する過程では、幼虫が脱皮を繰り返して大きくなり、さらに幼虫からサナギ、サナギから成虫へと変態する。この時、体内で「脱皮ホルモン」が合成されることは知られていた。

 脱皮ホルモンは、昆虫の胸部にある「前胸腺」と呼ばれる組織で合成される。前胸腺には、脳から数本の神経がつながっているが、これまでその役割は分かっていなかった。

 研究グループはカイコを使って実験した結果、脱皮ホルモンの合成を制御するペプチドホルモンが、この神経を通って前胸腺に直接運ばれていることを突き止めた。さらに、その量が増えると、脱皮ホルモンの合成を抑える関係にあることも分かった。

 幼虫が脱皮できないままだと、餌を食べなくなり、やがて死ぬ。

 ペプチドホルモンは、昆虫によって種類が異なるため、特定の害虫を退治する農薬の有効成分となる可能性があるという。 

ここがミソ

 昆虫の脱皮は、古い皮膚を脱ぐ行動と、新しい皮膚を作ることが一緒になっている。脱皮ホルモンは、新しい皮膚を作らせる働きを担っている。

 脱皮は昆虫の生死に直結するだけに、体内の別の器官に影響が出ないことや、反応の早さなど厳密なホルモン分泌の制御が欠かせない。神経がその経路だったことは当然だろう。

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 おお凄い。脱皮させないと自然に死んでしまうことを利用して農薬を開発しようとは。その脱皮ホルモンとやらが本当に無害なのかどうか疑問ですが…笑
posted by さじ at 01:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

2006年07月04日

インドネシア伝統食「テンペ」に、糖尿病や動脈硬化を予防する効果あり

インドネシアの伝統食「テンペ」、生活習慣病予防に効果

 インドネシアの伝統食で、日本でも普及し始めた発酵食品「テンペ」に糖尿病や動脈硬化など生活習慣病を予防する効果のあることが、岡山大医歯薬学総合研究科の松浦栄次助教授らの研究で分かった。

 こうした効果に注目し、新たな商品開発に乗り出す企業なども現れている。

 テンペは、ハイビスカスなどの葉の表面に付着したテンペ菌を、煮た大豆に混ぜて発酵させた食品。クリに似た風味で、インドネシアでは揚げ物や炊き込みご飯の食材に用いられている。

 松浦助教授らは、男女56人に大豆テンペを50グラムずつ4週間食べさせ、摂取前後の血液を比較したところ、すべての人で糖尿病に近付いた程度を示す物質が減少し、テンペの摂取をやめた後も効果は2週間続いた。悪玉コレステロール代謝物も男性で平均3・3から0・5に、女性で同2・9から0・7に低下した。松浦助教授は「大豆イソフラボンの効果は男性だけだが、テンペは女性にも有効」と話す。

 大手スーパー「イトーヨーカ堂」を傘下に持つ「セブン&アイ・ホールディングス」は、約120店舗で販売している。リピーターも多く、「口コミで需要が広がっている」(広報センター)という。茨城県常陸太田市の納豆製造会社「くめ・クオリティ・プロダクツ」では、板状に加工し、真空パックに詰めた商品を考案した。

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 アメリカではちょっと前からブームの「テンペ」。納豆菌でなくテンペ菌を用いて大豆を発酵させます。納豆のような独特の匂いがないことが人気の秘密かもしれません。

参考:JA岡山
posted by さじ at 02:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

2006年06月29日

若い頃カルシウムを摂らず股関節骨折になる人が激増

股関節骨折が世界的に大発生の兆し

 加齢による骨粗鬆症の増加に伴い、世界的に股関節骨折がまん延する危機が迫っているという見解が英医学誌「Lancet」6月17日号に掲載された。オーストラリア王立ノースショア病院のPhilip Sambrook博士および英サウサンプトン大学のCyrus Cooper氏らによると、発症率が変わらなければ2050年には世界で630万人が股関節骨折を来すと推定され、仮に発症率が毎年1%増大すれば、2050年には患者数は820万人に上る。

 しかし適切な予防策をとれば、この傾向を覆すことができるという。米ニューヨーク大学関節疾患専門病院のJoseph Fetto博士によると、体内のカルシウム量は比較的若い時期(20歳代)にピークに達することがわかっており、現在の若年層が食事や栄養補助食品(サプリメント)からカルシウム、マグネシウム、亜鉛およびビタミンDを十分に摂取すれば、股関節骨折のまん延を防ぐことができると考えられる。

 骨粗鬆症による骨折の治療コストは安くはない。1997年の全世界での股関節骨折の治療費用は、推定で1,315億ドル(約15兆円)に上った。より最近の数値では、米国で年間200億ドル(約2兆3,000億円)、欧州連合(EU)諸国で300億ドル(約3兆4,500億円)と推定されている。これは入院や股関節置換術による部分が大きく、Fetto氏によると、米国で毎年25万〜30万例の股関節置換術が実施され、年間約150万例の股関節骨折が治療されているという。

 この数は、薬剤による骨量低下予防などの代替治療を利用すれば減少可能という専門家の指摘もあり、また、小さな骨折を迅速に治療すれば大きな骨折リスクを減少できるという。米国整形外科学会(AAOS)などの医療団体は現在、小さな骨折への迅速な治療を徹底するためのプログラムを作成中とのこと。

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 要は「老後確実に衰えるんだから、若いうちにたくさんカルシウム蓄えとけ」っていうことですね。ですが最近の若年層はダイエット、それも運動ではなくただ食事制限をするダイエットを行うために、カルシウム不足は深刻です。

 治療は薬剤(ビスホスホネート剤やエストロゲン製剤など)になってくるでしょうが、やはり予防できるものは早い段階から予防しておきたいところです。
posted by さじ at 16:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

エストロゲンは動脈硬化の進行を遅らせる

ホルモンが動脈硬化を抑制 酵素が関係と名大チーム

 女性ホルモンのエストロゲンが、酵素の働きを抑え、動脈硬化の進行を遅らせていることを井口昭久名古屋大病院長らのチームがウサギの実験で突き止め27日、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。動脈硬化の新しい治療法や薬の開発につながる可能性があるという。

 研究チームは、エストロゲンを作る卵巣を摘出したウサギを2つのグループに分け、一方には高コレステロールの餌だけを、もう一方は同じ餌にエストロゲンを混ぜて15週間飼育した。

 その結果、ウサギはともに高脂血症の状態になったが、エストロゲンを混ぜた餌を食べたウサギの大動脈では、餌だけのウサギよりも動脈硬化が起きた面積が7割も少なかった。また、エストロゲンを摂取したウサギでは、アルギナーゼという酵素の働きが抑えられていた。

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 アルギナーゼとは、アルギニンを尿素回路内でオルニチンと尿素に分解します。30歳を過ぎると、脳下垂体からのアルギニンの分泌が完全に停止するため、以降は食事などで外部から補給します。

参考:wikipedia
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2006年06月27日

糖尿病性ケトアシドーシスを放置され両手足麻痺&視力障害

県こども病院医療過誤訴訟:県の敗訴が確定 1億8900万円支払い命令 /千葉

 中学生時代に県こども病院(千葉市緑区)で受けた治療が不適切だったため重度の後遺症が残ったとして、千葉市の男性(24)と両親が、病院を運営する県に約5億4600万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(津野修裁判長)は23日、県の上告を退ける決定を出した。県に約1億8900万円の支払いを命じた1、2審判決が確定した。

 1、2審判決によると、男性は14歳だった96年4月、おう吐や腹痛が続いたことから同病院に入院。糖尿病が原因で代謝機能が失われる「糖尿病性ケトアシドーシス」と診断されたが、病院が集中治療室に運ぶなどの措置を怠ったため、入院した当日に呼吸停止となった。後遺症で両手足がまひしたほか、視力に重大な障害が残った

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 糖尿病性ケトアシドーシスと診断しておいて何もしなかったのは落ち度がありますなぁ。ケトアシドーシスとは、脂肪を燃料として使ったときに作られる物質「ケトン」によって体が酸性になることです。そのまま放っとくと細胞が損傷を受け、重大な病気や時によっては死を招く可能性もありますのでご注意を。
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2006年06月22日

睡眠ホルモンとして、プロスタグランジンD2が働いている

自然な眠りを導く脳内物質を確認 大阪バイオ研

 脳を覆うくも膜でつくられる睡眠物質「プロスタグランジンD2(PGD2)」が、自然な眠りを調節する「睡眠ホルモン」として働いていることを、早石修・大阪バイオサイエンス研究所理事長らのグループがラットの実験で確かめた。副作用の少ない睡眠薬や居眠り防止薬の開発につながる成果で、京都市で開催中の「国際生化学・分子生物学会議」で21日に発表した。

 PGD2は脳脊髄液中に分泌される。早石さんらは82年、微量で強い睡眠作用を持つことをラットの実験で発見した。

 今回は脳内での働きをさらに詳しく調べた。PGD2が脳に働く量を減らすと、睡眠が抑制されることがわかった。

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 今現在の睡眠薬はこの機序ではないかもしれません。主流となっている「ベンゾジアゼピン系」の睡眠薬よりも自然で、副作用も少なく、強力な睡眠を得られる日も近い、かも。
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2006年06月14日

睡眠不足と肥満は関連している

睡眠不足が体重増加と関連

 夜きちんと睡眠をとることで、十分な休息が得られるばかりでなく、加齢に伴う体重増加を抑えることができるらしいという研究結果が、サンディエゴで開催された米国胸部学会(ATS)国際会議で報告された。これは米ケースウエスタンリザーブ大学(オハイオ州)医学部助教授Sanjay Patel博士らによる研究で、明確な因果関係は示されていないものの、睡眠不足と体重増加との間に有意な関連性がみられるという。

 今回、調査対象となったのは、6万8,000人以上の女性を16年間追跡したNurses Health Studyに参加した女性の一部。被験者は、2年ごとに各自の体重と生活習慣について報告した。期間終了時、睡眠時間が5時間の女性は、7時間の女性に比べ、33ポンド以上(約15キロ以上)の大幅な体重増加の認められた率が32%高く、肥満になった率は15%高かった。また、睡眠時間が6時間の女性は、7時間睡眠の女性よりも大幅な体重増加が12%多く、肥満は6%多かった。

 「睡眠不足の人は概して健康に対する意識が低いことは確かだが、食生活の貧しさや運動不足など、いずれの因子についてもこの体重差の原因になっているという根拠はみられない」とPatel氏は述べている。実際、毎日7時間以上睡眠をとる女性は5時間しかとらない女性よりも食事量が多く、運動の習慣については、両グループの間にほとんど差がみられなかった。

 この結果については、いくつかの説明が考えられるという。睡眠不足によって体のカロリー代謝効率が低下することが考えられるほか、両グループ間の運動の方法や食事の傾向に実際には差があった可能性もある。さらに、睡眠にあてる時間の少なさが、例えば子どもをもつというような大きな生活の変化を反映しているとも考えられる。子どもの数が多いほど睡眠時間は少なくなり、雑事に追われるため、ファストフードなど便利さ優先の食生活になりやすいとPatel氏は指摘している。別の研究では、強いいびきや夜間覚醒などの睡眠障害が体重に影響していることも示唆されている。

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 やはり食事量が問題なのではなく、代謝能力が焦点なんですね。食べる量は多いけど太らない長眠者(ロングスリーパー)は、寝ることによって代謝能力が向上するため、太りにくい体質になる。

 対して肥満に陥る人は、食生活もファーストフードなどに頼りがちな他、無理して短眠にしているために代謝能力も落ち、身体のほうに蓄えるエネルギー量が多くなってしまう、というわけですね。

 無理しない短眠法もありますが、それはいずれ取り上げたいと思います。でも結構厳しいですよ。
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2006年06月10日

糖尿病による低血糖で事故を起こす人は結構いるらしい

【第49回糖尿病学会年次学術集会速報】糖尿病患者の0.5%が低血糖での自動車事故

 糖尿病患者の0.5%が、低血糖による自動車事故を経験している実態が明らかになった。5月25日〜27日に開催された第49回日本糖尿病学会年次学術集会で、松波総合病院(岐阜県笠松町)生活習慣病センターのセンター長(岐阜大名誉教授)の安田圭吾氏と、同院副院長の林慎氏が発表した。事故予防に関し、医療者側の指導が十分でないことも示された。

 臨床において厳格な血糖コントロールが求められ、低血糖の頻度が増す傾向にある中、低血糖に起因する自動車事故に対する社会的関心が増している。安田氏らは、岐阜県と愛知県で糖尿病専門外来を有する17病医院に通院中で、日常的に車を使用している糖尿病患者を対象に、自動車事故の実態について調べた。回答を得た1009人の患者の性別は男性749人、女性260人(平均年齢58.3歳)で、年間平均走行距離は6400kmだった。病型は1型糖尿病118人、2型糖尿病862人(29人は不明)。556人がインスリンを使用しており、経口薬服用者が423人、食事・運動療法を受けている患者が27人で、平均HbA1cは7.3%だった。

 過去2年間に自動車事故を経験した患者が全体の14.4%(145人)で、8割が自損・対物事故、対人事故は全体の1.2%(12人)だった。事故と病型・治療法に関連は認めなかったが、過去2年間の低血糖の発症有無が、事故の発生と有意に関連しており(p<0.035)、1009人中、低血糖経験者は45%(450人)で、うち約2割(93人)が運転時低血糖の経験があった。93人の患者背景として、病型(1型糖尿病)と治療法(インスリン療法)が事故発生と有意に関連していた。さらに、運転時低血糖で自動車事故を起こしたことのある人が5人おり、全体の約0.5%を占めた(うち2人は人身事故)。

 事故に至らないが、信号無視や横断歩道に気付かないなど、いわゆる“ヒヤリハット"経験者も23%(21人)いた。これらの運転時低血糖経験者における事故や“ヒヤリハット”の発生には、低血糖回数、運転距離、意識障害を伴う低血糖の有無やグリコへモグロビン値−−といった因子が有意に影響していた。さらに、全体の75%の患者は運転していることを主治医に伝えていたが、大半は運転距離や運転時間など細かい運転状況まで知らせていなかった。

 また、低血糖対策として携帯している糖質も、あめ57%、ブドウ糖49.6%、ジュース22%と様々で、低血糖時に服用するブドウ糖量については「分からない」と答えた患者が41%を占めた(複数回答)。運転時低血糖の経験のある患者の中で運転前に血糖自己測定をしている人は15%のみで、運転時の低血糖予防について主治医から指導を受けたことある人も約半数にとどまった。

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 ううむ…自分の症状をよく理解して、常に甘いものを携帯しておくことが重要ですね。ヤバいな、と思う前にブドウジュースを飲んでおくとか。お互いしっかり認識していれば防げるのが「事故」ですから、そこらへん、うまくやっていきましょうや。
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体内でコエンザイムQ10の合成量が減った場合、どうすればよいのか

スタチン投与で体内のCoQ10が減少  サプリメントによる補充の要否は今後の課題

 金沢大大学院医学系研究科脂質研究講座教授の馬渕宏氏らは、高コレステロール血症患者にスタチンを投与すると体内でコエンザイムQ10(CoQ10)の合成量が減るが、CoQ10サプリメントの摂取によってそれを補充できることを二重盲検比較試験で示した。この結果を、5月19日、東京都内で開催された第6回日本抗加齢医学会総会で発表した。

 試験では、スタチン未投与の高コレステロール血症患者49人をCoQ10群24人とプラセボ群25人に分けた。全被験者にアトルバスタチン10mg/日を投与した上で、CoQ10群にのみCoQ10を100mg/日投与し、その効果をプラセボ群と比較した。

 12週間後の患者の血清コレステロール値は、CoQ10群では275±42mg/dLから192±26mg/dL、プラセボ群では282±36mg/dLから180±26mg/dLになり、ともに有意に低下した。一方、血清CoQ10に関しては、CoQ10群は0.964±0.384μg/mLから2.191±0.757μg/mLとなり有意に増加(127%増)したが、プラセボ群は1.022±0.244μg/mLから0.598±0.203μg/mLと有意に減少(41%減)していた。2群間の血清AST、ALT、CKに有意な差はなかった。

コレステロールとCoQ10の代謝の一部は共通

 コレステロールは体内で、アセチルCoA→HMG-CoA(3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA)→メバロン酸→ファルネシルピロリン酸→スクアレン→コレステロールといった流れで代謝合成される。アトルバスタチンなどのスタチン類は、HMG-CoA→メバロン酸の反応を進める「HMG-CoA還元酵素」を阻害することによって、その下流の代謝物であるコレステロールを減少させる薬剤だ。

 スタチン投与でCoQ10が減少したのは、CoQ10の代謝経路が途中までコレステロールと共通のためだ。ファルネシルピロリン酸までは同じで、そこから一部がコレステロール、一部がCoQ10へと代謝される。スタチンでHMG-CoA還元酵素を阻害すると、CoQ10の合成量も減少してしまう。この点については、生化学的な視点から以前より指摘されていた。それを馬渕氏が今回、高コレステロール血症患者で臨床的に確かめた。さらにCoQ10を外部から経口摂取すれば、血中のCoQ10が補充されることも示したわけだ。

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 まとめると、スタチン製剤は、コレステロールの合成経路を阻害する。と、同時に、CoQ10の合成も阻害する。そのため高コレステロール血症の患者にスタチンを投与すると、CoQ10も減ってしまい、心臓が弱くなってしまったりしていた。のだが、金沢大の今回の研究により、CoQ10をサプリメントで補えば問題のないことがわかった、ということですかね。
posted by さじ at 12:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

思春期の女の子の肥満は高アンドロゲン血症と関連する

思春期の肥満は高アンドロゲン血症を引き起こす

 7-17歳の少女76人を対象にして体重、ホルモンレベル、思春期ステージの関連を調べた結果、思春期の肥満は高アンドロゲン血症と関連すると分かりました。

 調査の結果、正常体重の少女に比べて肥満少女では総テストステロンレベルと遊離テストステロンがそれぞれ2.1倍、3倍高値を示しました。また、正常体重の少女に比べて肥満女性では性ホルモン結合グロブリンレベルが50%低くなっていました。

 初期思春期に限って解析した場合、遊離テストステロンレベルは正常体重の女性よりも5倍高くなっていました。

 この結果から、思春期の肥満と高アンドロゲン血症が関連し、その関連は初期思春期において顕著であると分かりました。

 高アンドロゲン血症は男性的な特徴の発現を促します。また、思春期の高アンドロゲン血症により、後に多嚢胞性卵巣症候群を発現するリスクが上昇します。多嚢胞性卵巣症候群では、不妊、肥満、異常な月経サイクル、体毛の過度の成長等を伴います。

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 なるほど。だから多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)では肥満を合併することが多くなるのか。専門的すぎてイマイチ消化しきれませんがこういう事実があるということで。
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2006年05月25日

コエンザイムQ10の扱いに困る食品安全委員会

<健康食品>コエンザイムQ10の評価は困難 食品安全委

 老化防止に効果があるとして人気のある健康食品の「コエンザイムQ10」について、食品安全委員会(寺田雅昭委員長)は25日、データ不足のため、食品として摂取する際の上限量の評価は難しいものの、厚生労働省の諮問に対する評価書は作成する方針を決めた。

 コエンザイムQ10は、医薬品として成人1日あたり30ミリグラムの使用が認可されている。一方、健康食品として60〜100ミリグラムの摂取を勧める商品が多いため、厚労省が食品としての上限量の設定を諮問した。

 同委員会は、評価に不可欠として、厚労省に対し人体への影響に関する新たな情報や、健康被害との因果関係などに関する質問状を出していた。しかし、同省からの回答には、新たな情報がほとんどなく、委員からは「医薬品と食品の整理が不明確」などの意見が出された。

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 まぁ正直言ってあんまり効くとは思えませんけどね。アガリクスよりは効果が期待できるんじゃないかなーって感じです。個人的なアレですが。

 何はともあれ、サプリメントとして摂取する以上、「過剰摂取」を念頭に入れねばなりません。沢山取ったって害ですよ害。
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2006年05月20日

大人の成長ホルモン分泌不全の患者への注射治療が認可される

成長ホルモン製剤治療認可 大人の重症分泌不全対象に

 大人で重症の成長ホルモン分泌不全の患者に、成長ホルモン製剤(製品名ヒューマトロープ)を注射する治療が認可された。対象患者は国内に1万人程度いるとみられる。

 成長ホルモンは子どもの身長が伸びるのに欠かせないが、成人して身長の伸びが止まっても、少量の分泌は続く。分泌量が極端に少なくなると、疲れや体力低下、内臓脂肪の増加による肥満、骨量の減少などを引き起こす。

 成長ホルモン分泌不全の患者に、この製剤を毎日注射すると、ホルモンバランスの改善、内臓脂肪の減少などの効果があるという。患者の体重で投与量が決められるが、薬価が高いことから、薬剤の自己負担(3割)は一般に月数万円以上になる。

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 ようやく承認。よかったです。

 大人になって成長ホルモンがなくなると、生活習慣病になりやすくなるといわれています。成長ホルモンとインスリンに因果関係があるからだと思われますが、ホルモンはバランスによって成り立っていますからねぇ。
posted by さじ at 00:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

世界一の身長を持つ女性は脳下垂体の瘤による成長ホルモン過剰分泌

治療せずには1年以上生きられない、世界一の女性巨人が上海で受診

 身長が2.36メートルある姚徳芬さんは、スポーツ学校に通ったこともあり、自然に成長すれば、バスケットボールの夢を持って国民の誇りになった可能性もあったが、「世界一の女性巨人」である身長は、脳下垂体の瘤のため成長ホルモンの過剰分泌が原因だった。

 18日、姚さんは瑞金病院の内分泌科に行った。1999年、初めて手術を受けた後、身長の伸びを抑えたが、内臓が成長は抑制することができない。治療しないと、命は1年しかもたない恐れがある。

 関係者によると、成長ホルモン瘤の発病率は百万分の一である。瑞金病院副院長、内分泌代謝科主任の寧光教授は、現在、姚さんは数種の合併症があるため、命が危うい可能性もあるという。

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 ホルモンはバランスを取るのが難しいんですよ。このように過剰になっただけで全身ガタガタになってしまうことも。男性ホルモンや女性ホルモンも同様の理由で、あまり人為的にどうこうするものではありませんね。
posted by さじ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分