[薬理]の記事一覧

2010年02月26日

プラセボの治療効果はかなり高いことが判明する

偽薬に高い治療効果、自然治癒力引き出す 豪大研究

 一般的に病気は薬で治すものだ。だが、医師の患者への気遣いや知恵だけで治る場合もあることを指摘したオーストラリアの科学者らによるプラシーボ(偽薬)の研究結果が19日、英医学誌ランセット(Lancet)に掲載された。

 シドニー大学のダミアン・フィニス氏が主導する国際研究チームは、新薬の有効性を試すために治験で用いられてきたプラシーボの効果を科学検証した論文を、古くは18世紀までさかのぼって調べた。

 その結果、プラシーボには薬を投与するといった初歩的な医療行為などと同様の治癒効果があることが分かった。患者の精神に働きかけることで、体が持つ自然治癒力を高めるとみられる。

 プラシーボ効果は、さまざまな症状の患者において習慣的に投与することで得られ、強い治癒効果があることが分かったという。

 研究チームが検証した論文のなかには、鎮痛剤を投与されていた患者が、投与薬がプラシーボに切り替わってからも鎮痛効果を得ていたことが脳スキャンから確認された例が多数あったという

 また、薬をコンピューター制御式ポンプで投与するよりも、医師が注射した方が効果的であることが分かった。

 フィニス氏は、AFPの取材に対し、「プラシーボ効果を得るために、偽薬を投与する必要はない」とし、重要なのは治療のあり方だと説明した。一方、ほとんど医師を信頼しようとしない患者の場合についてフィニス氏は「仮説としてだが、プラシーボ効果はあまり得られないだろう」と語った。



 プラセボ効果、結構あるようです。

 ただどういう人にどういうタイミングでプラセボを行うか、というのは、それこそ信頼関係とか患者さんの見極めとかが必要ですが。

 まぁ薬を使わずに効果が得られるんですから、良いものではありますね。医師の腕次第か。


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2010年02月19日

薬の飲み忘れを防ぐためのセンサーやキャップを販売

薬の飲み忘れ対策に無線技術 極小センサーや光るふた

 医師の指示通りに服薬を続けなければならないのに、うっかり飲み忘れたり、飲んだかどうか自体を忘れてしまったり――。そんな失敗の予防策として、最先端の無線技術を取り入れた製品が次々と開発されている。極小サイズのセンサーを埋め込んだ錠剤や、光で服薬の時間を知らせる薬瓶のふたも登場した。

 米カリフォルニア州の新興企業プロテウス・バイオメディカルが開発したのは、患者が飲む薬にセンサーチップを搭載させる技術だ。同社のアンドリュー・トンプソン最高経営責任者(CEO)によると、チップは非常に小さく、食品とビタミン類から作られているため安全性が高い。錠剤の中に埋め込んでおけば、胃酸の作用でスイッチが入った状態となり、患者の皮膚に張ったパッチに無線で信号を送る。パッチは心拍数や姿勢、体温、睡眠の状態などを測定。これらのデータを見れば、服薬状況や薬の効果、副作用を把握することができる。

 パッチを張った患者から半径約6メートル以内の位置に電話があれば、暗号化されたデータがプロテウスに転送される。同社がこれを解読し、携帯メッセージや電子メールの形で本人、家族らに送信するという仕組みだ。患者本人の許可があれば、データを担当医らに送ることも可能になるという。

 トンプソン氏によると、すでに心臓病、高血圧、結核の患者を対象に、この錠剤を使った臨床試験が始まっている。さらに精神疾患についても、近く試験が開始される予定。2011年後半の発売を目指しているという。

 一方、米マサチューセッツ州の新興企業バイタリティは、薬瓶のふたに注目した。「グローキャップ(光るふたの意味)」はその名の通り、薬の時間になるとオレンジ色に発光して患者に知らせてくれる。夜間の服薬のため、無線でつながれた付属のランプも同時に点灯する。1時間以内に薬を飲まなければメロディが流れ、さらに数時間後には電話や文字メッセージで警告が入る。服薬状況の記録は、登録しておいた家族らにも自動送信される。グローキャップはインターネット上の通販サイトなどを通し、9000円前後の価格で販売されている。

 世界保健機関(WHO)の調査によると、慢性病患者が医師の指示通り服薬を続ける率は先進国でも50%にとどまり、途上国ではさらに低いと推定される。米ニューイングランド医療研究所(NEHI)によると、服薬の指示に従わない患者のために、年間約2900億ドル(約26兆円)の医療費が失われている計算だ。こうした事態の改善に向け、先端技術の果たす役割に期待がかかっている。



 これは・・・便利すぎますね。

 意外と、毎日飲まなければいけない薬でも、飲み忘れてしまうものです。

 しかし1日飲まないだけでも身体の血液中の薬物濃度が変動してしまうため、飲み忘れは極力なくさなければなりません。でもなかなか難しい。結局自己管理になっていますからね。

 記事にある、チップ入りの錠剤は凄いですね。まさに完璧、という感じです。

 が、アメリカならではのお金持ち向けの医療だなぁという感じもしますね。これは日本では絶対に無理でしょう。国民皆保険制度ですから…。

 キャップのほうは、まだ買いやすいですね。これは日本でも売り出せば爆発的に売れるのではないか?というようなキラーアイテムな気がします。もう東急ハンズとかで売ってたりするんでしょうか?物凄い数が売れると思うんですれども。
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2009年12月26日

漢方薬と西洋医学の共存に向けて環境整備へ。

がん治療に漢方 東西両医学で環境整備へ

 今や、がん治療の側面支援にも使われる漢方薬。しかし、漢方への理解は医師の中でも浸透しておらず、政府の行政刷新会議の事業仕分けでは財務省資料にも上がるほどだ。危ぶまれた保険適用は無事に継続の見通しとなる中、東洋医学、西洋医学の専門家らの間では協力して漢方治療の環境を整えようとの機運が高まっている

 東京都内に住む男性会社員(46)は5年前、悪性リンパ腫と診断された。抗がん剤などによる治療法はあるが、再発率は高いタイプ。会社員は抗がん剤治療を受けながら、要所要所で漢方薬も使用した。「今、自分の命があるのは病原を攻撃する西洋医学と、患者の免疫力を上げる東洋医学の双方の力による。特に、抗がん剤投与後の免疫力や体力の回復では、漢方の助けに負うところが大きい」という。

 しかし、治療の過程では悩んだ。東洋医学と西洋医学の両方を提供してくれる医師はほとんどいない。この会社員も、がん治療を行う医師からは「漢方の使用を止めはしないが、勧めもしない」と言われた。漢方医からは抗がん剤治療に理解が得られず、真逆のアドバイスを受けたことも。

 「患者はただでさえ不安なのに、不完全な情報の中で難しい決断を迫られる。漢方の専門医らは科学的根拠をより充実させて多くの人に効用を理解してもらい、東西両医学の良いところを生かせる医師を多く育ててほしい」という。

 こうした声に応える形で慶応大学の漢方医学センターとNPO健康医療開発機構、医療志民の会は今月10日、「漢方・鍼灸を活用した日本型医療を考える」と題するフォーラムを開いた。

 パネルディスカッションで司会進行に当たった国際医療福祉大学の黒岩祐治教授は、父親が肝臓がんの末に漢方治療を受けた。腫瘍が格段に小さくなり、マーカーも下がった体験を紹介しながら、黒岩教授は「西洋医学の先生は『たまたま効く人もいるかもしれないけどね』と聞く耳持たずでしたよ」と不満をもらした。

 これに対し、いわば西洋医学の“代表”として壇上に並んだ土屋了介国立がんセンター病院長は「西洋医学はがんを根治させるという意味では限界がある。がんが全身に広がっていれば外科治療では難しいし、抗がん剤は固形がんを根絶やしにする力はない」としたうえで、「医者が患者を見ず、がんだけを見ると、抗がん剤の効果がない時点で『できることがない』となってしまう。AかBかではなく、いいところを合体してCを生み出す方法を考えることが重要」と応じた。

 癌研有明病院では、星野惠津夫消化器内科部長が4年前から週2日、「漢方サポート外来」を行っている。患者は院内各科からの紹介の他、外部からの紹介もあり、日に30人に上る。

 星野部長は「カルテが電子化され、院内すべての医師が私の診療内容を見ることができる。紹介患者が増え続けているのは、漢方治療が有効と認められた証拠。漢方は最先端のがん専門病院で市民権を得られたと思います」と話す。

 がん治療は放射線治療や抗がん剤など苦痛を伴うものが多い。だが、漢方は手術後の全身倦怠感や体重減少、腸閉塞をはじめ、放射線治療による口腔乾燥、抗がん剤による下痢やしびれ、ホルモン療法によるホットフラッシュなども改善できるという

 治療には、免疫力を上げる補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯などを基本に、腹診で決定した漢方薬、血の巡りをよくする駆★血剤(くおけつざい)、副腎皮質機能を上げる補腎剤などを使う。「漢方薬で症状が緩和されると、生活の質を保った延命が可能になる。肺転移した呼吸不全の患者が家族と最後の外国旅行を楽しんだり、進行膵がんでも、毎月のように温泉に通う方もいます」という。

 しかし、一方で漢方だけに頼るのは危険だと、星野部長は警鐘を鳴らす。「漢方を妄信すべきではない。西洋医学の最前線で漢方医学を駆使して初めて、臨床の質は上がる。すべてのがん専門病院に、漢方治療に通じた医師がいることが理想です」と話している。



 漢方は西洋医学と相容れない理由は、西洋側ではなく漢方側にあるのではないか?と少し思ったこともあります。

 たしかに漢方は、科学的データが揃っていませんが、実際に用いることで効果を上げることはできるでしょう。

 しかし今の日本は民間療法と同じように「がんに効く」などと宣伝している漢方が多い。こういった宣伝を取り締まらない限り、漢方が西洋医学と同じ土俵に上がるのは難しいのではないか、と思います。

 副作用がない、がんが治るかもしれない、奇跡的な効果が起こる、と謳っていては、実際にがん患者さんがいたとしたら、曖昧な期待を抱かせてしまいます。漢方でがんが治るかもしれないんだ、と。そこらへんを徹底すれば、西洋医学との共存も容易だと思うんですけどねぇ。

関連:医学処 漢方薬と漢方医学についての知識を身につけよう
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2009年12月17日

手術後の血栓予防に有用な、抗Xa阻害剤、エドキサバン

【第一三共】抗Xa阻害剤「エドキサバン」‐10年中に国内申請へ

 第一三共は、術後血栓症予防を目的に実施した抗Xa阻害剤「エドキサバン」の第III相試験の結果、既存薬のエノキサパリンに対する非劣性が証明されたと発表した。エドキサバンの第III相試験としては初めて得られた結果で、主要評価項目を達成した。安全性に関しても、重大な出血、臨床的に重要な出血頻度はエノキサパリンと同等だったことから、2010年中に国内承認申請を行う予定。第III相試験成績の詳細は、来年の主要学会で発表する。

 エドキサバンは、第一三共が大型化を目指す自社開発品。術後血栓症(VTE)予防の第III相試験は、膝関節全置換術(TKR)施行患者716例を対象に日本と台湾で実施され、TKR術後6〜24時間後にエドキサバン1日1回30mgを11〜14日間投与し、VTEの予防効果をエノキサパリン投与群と比較した。

 その結果、有効性評価項目としたVTEの予防効果について、エドキサバン投与群のエノキサパリン投与群に対する非劣性が証明され、主要評価項目を達成したことが分かった。また、安全性の評価項目である重要な出血、臨床的に重要な出血の発現率について、エドキサバン投与群とエノキサパリン投与群で有意な差は認められなかった。



 血の塊ができる「凝固」という現象には、様々な凝固因子が関与しています。そのうちのXaを阻害する薬の研究、ですね。

 エコノミークラス症候群で一般的には有名ですが、手術後や妊婦さんなど、足に血栓が出来やすい状態というのはかなりあります。そういったケースに投与することで、少しでも血栓の作成を予防できれば、いわゆる「合併症」も大幅に減ることが予想される、というわけです。
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2009年11月18日

万有製薬が医療情報サイト「univadis」をオープン

医師向け医療情報サイトをオープン−万有製薬

 万有製薬はこのほど、医師向けの会員制医療情報サイト「univadis(ユニバディス)」を開設した。同社では、「質の高い医療情報を迅速に提供することで、医療の充実と患者さんの治療やクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献していきたい」としている。

 同社によると、現在の会員登録数は世界35か国約60万人で、▽世界の最新医療情報▽専門医による文献レビュー▽診療ガイドダイジェスト▽医療経営の成功事例−などのコンテンツを掲載している。

 会員になるには、同社のMR経由での申し込みが必要。詳細は、事務局0120−024−920(10−18時、土日祝日を除く)まで。



 製薬会社などが作る、医師向け会員制サイトはかなり充実した内容です。医師のブログだけでなく、医療ニュースや新しい論文の要約、医療政策なども盛り沢山。

 もちろん運営する側にもメリットはあって、薬の宣伝や、営業さんからのメールなども届きます。

 この新しいサイトの敷居の高い点は、「MR経由での申し込み」という点でしょうか。今までの他サイトは、医師または医療従事者であれば、氏名や所属などを記載すれば登録できるものが多かったです。MR経由で、ということは医師しか登録できない仕様になっているわけで、会社の自信が伺えます。
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2009年11月16日

脱法ドラッグ「ハーブ」、いよいよ規制対象に。

脱法ドラッグ「ハーブ」20日から規制

 「大麻と似た作用がある」とされる脱法ドラッグ「ハーブ」の一部に含まれる成分「合成カンナビノイド」を指定薬物に加えた改正薬事法が、20日に施行される。この成分を含む製品の輸入や販売が規制されることになるが、所持や使用は禁止されないことから、施行を目前にした“駆け込み購入”の動きも出ている。規制しても次々と新商品が登場する脱法ドラッグ。専門家からは「国の情報提供が不十分」との声も出ている。

 インターネット上の輸入サイトで好調な売れ行きが報告されているのは、ハーブの一種で、「スパイスシリーズ」と呼ばれる商品だ。「スパイス」という単語が冠された商品の総称で、一部商品からは合成カンナビノイドが検出されたという海外の調査結果もある。3グラム3千〜4千円程度で取引され、サイトには「売り切れ」の文字も並ぶ。

 改正薬事法で新たに指定薬物に加えられるのは、3種類の合成カンナビノイドを含む計6種類の成分。施行後は学術研究などの一部目的をのぞいた輸入や製造、販売が禁じられ、違反者には罰則も与えられる。一方、薬事法は薬品の販売規制を主眼にした法律であるため、個人での使用や所持を禁ずる条項は盛り込まれなかった。

 このため、合成カンナビノイドが含まれる可能性がある商品を施行前に売り切りたい業者と、買いだめをしたい購入者の動きが活発化しているようだ。

 スパイスシリーズは、大麻の合法代替品としてヨーロッパで人気に火がつき、輸入やネット販売を通じて日本国内に入ってきた。吸引すると、気分が高揚する▽聴覚や色彩感覚が鋭敏になる▽社交的になる−などの効果があるとされるが、人によっては興奮状態になったり、凶暴性が出たという事例も報告されている。

 脱法ドラッグをめぐっては、これまでにもサボテンの一種である「ペヨーテ」や「マジックマッシュルーム」(いずれも規制済み)などさまざまな“人気商品”が登場してきたが、薬物問題に詳しい小森栄弁護士は「スパイスシリーズは名前も知られており、最近の脱法ドラッグの中でもヒット商品」と話す。

 厚生労働省は脱法ドラッグの含有成分について随時調査を行い、「麻薬に類する」と判断したものについては指定薬物に加えて規制対象にするなどしてきたが、規制されても構造式を部分的に変えた成分を使った新商品が次々と登場するというイタチごっこを繰り返してきたのが現状だ。

 追加した指定薬物についても、目立った広報は行われていない。

 厚労省の担当者は「商品名を公表すると、業者などが意図的に名前を変えて売る可能性もある」と非公開の理由を説明する。

 一方、小森弁護士は「購入者は商品名やパッケージで認識している。健康被害を防ぐ意味でも製品名を積極的に広報し、利用者に注意喚起すべきだ」と指摘している。



 やったことないのでよくわからんのですけど、法に触れてまでやりたいもんなんですかね?酒やタバコで十分快楽感じられるような気もしますけど…。
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2009年11月05日

抗インフルエンザ薬ペラミビルを承認申請する。

タミフル、リレンザに続く抗インフル薬を承認申請―塩野義

 塩野義製薬は11月4日、抗インフルエンザウイルス薬「ペラミビル」の承認申請を10月中に厚生労働省に対して行ったと発表した。今年7月中旬にフェーズ3試験の結果が得られてから、約3か月という異例の短期間での承認申請。手代木功社長は記者会見で、「来年3−4月までに50−100万本分は作れるような準備はしなければいけない」と述べるなど、早期の供給に向けて意欲を見せた。

 「ペラミビル」は経口薬のタミフルや吸入薬のリレンザとは違い、静脈注射によって投与する。同社の広報担当者によると、タミフル1日2カプセルを5日接種したのと同等の効果を、1回の投与で得ることができる。

 同社は、米バイオクリスト社と2007年3月に「ペラミビル」の日本国内での独占的な開発、商業化に関するライセンス契約を締結したと発表していた。

 今回の申請は成人への適応に関してのもので、小児への適応については、臨床試験を開始している。

 米国では10月23日、米食品医薬品局(FDA)が同剤に対してEmergency Use Authorization(緊急使用の許可)を出して、緊急使用が必要な新型インフルエンザ患者で点滴静注が適切と考えられる場合に限定して投与を認めたが、正式な医薬品としての承認申請では塩野義が世界初となる。



 経口で効く薬というのは便利なものですが、それに対応できない場合や、即効果を出したい場合などにはこの静脈注射のペラミビルが有用だと思います。

 しかもタミフル耐性インフルエンザなどが出現している現状においては、救世主的役割を果たすかもしれません。短期間での承認を実施した厚生労働省も、やるときはやるな、という感じです。
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2009年10月31日

エーザイ社長、頼もしい発言。

アリセプトの米特許切れ克服に自信―内藤エーザイ社長

 エーザイの内藤晴夫社長は10月30日、今年4―9月期の決算説明会で、自社創製の乳がん治療薬などの開発が順調に進んでいるとした上で、「2010年11月に米国で起こるアルツハイマー型認知症治療剤アリセプトの特許切れを中期的に乗り越える大変力強い新製品群をいよいよ掌中にしつつあるという実感を強めている」と述べた。

 国内の医療用医薬品の売り上げは、前年同期比11.4%増の1436億円。アリセプトが457億円(19.6%増)、プロトンポンプ阻害型抗潰瘍剤パリエットが262億円(20.8%増)と好調で、内藤社長は「全社をけん引するパフォーマンスをした」と評価した。

 全体の売上高は1.0%減の3950億円、営業利益は5.5%増の491億円、経常利益は3.6%増の452億円、純利益は7.7%増の309億円だった。通期予想は期初(5月14日)から変更していない。

 研究開発面では、自社創製の抗がん剤エリブリンが欧米での局所進行性・転移性乳がんを対象としたフェーズ3試験で主要評価項目を達成したことを明らかにし、今年度中に日米欧で承認申請する方針を示した。



 勢いにのってる、という表現が適切ですね。

 不況といわれておりますし、患者さんの命最優先な現場ゆえに、利益は度外視しがちではありますが、こういう業界をみていると少し頼もしく感じます。
posted by さじ at 21:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理

重症のインフルエンザに高脂血症薬スタチンが効果あり

重症インフルに効果か 高脂血症薬のスタチン

 血中のコレステロールを下げる薬「スタチン」を服用している人がインフルエンザに感染した場合、症状が悪化して死亡する確率が、服用していない人の半分になるとの研究結果を米オレゴン州保健当局の研究チームが29日、フィラデルフィアで開催中の米国感染症学会で発表した。AP通信などが伝えた。

 重症インフルエンザ患者に対する新たな治療薬としての可能性を示す成果。米国の専門家は「優先して効果を調べるべきだ」と訴えている。

 研究チームは2007年から08年にかけ、季節性インフルエンザに感染し入院した2800人を調査。スタチンを服用していない患者約2千人のうち3%は入院の翌月までに死亡していたが、高脂血症などのためスタチンを服用していた約800人は、心臓病などの健康問題を抱えていたにもかかわらず死亡率が半分だった



 感染を抑えるわけではなく、重症化を抑制しているということでしょうか。

 なんとも不思議な話ですね。

 ですが、こういう偶然から、思いもかけない効果を見出す、というのは、結構よくある話です。

 何故スタチン剤が効くのか、といった点を含めて研究を進めれば、少なくともインフルエンザによる重症化、そして死亡を防ぐことが出来るようになるかもしれません。
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2009年10月29日

経鼻、経皮による、痛くない注射の開発が進む。

鼻から吸って、肌にはって…痛くないワクチン開発進む

 「注射じゃないので、子どもが嫌がらないんです」

 東京都世田谷区にある「ふたばクリニック」の広瀬久人院長は言う。鼻の粘膜にスプレーするタイプの季節性インフルエンザワクチンを米国から輸入して使っている

 米国では今月5日、新型の豚インフルワクチンの接種も始まった。使われたのが、このスプレー式ワクチン。

 日本ではまだ承認されていないため、医師が個人輸入した。接種は自己責任、費用は自己負担だ。

 ただ、季節性用は量が限られ、新型用は輸入されていない。

 日本で使われているワクチンは体に注射する方式で、最初にウイルスが感染する場所である鼻やのどの粘膜には増えにくい。

 聖マリアンナ医科大学(川崎市)の清野研一郎准教授は「スプレー式だと、鼻や気道の粘膜にも抗体が分泌されるようになり、ウイルスの体内への侵入を防げると考えられている」と話す。

 国内の研究機関でもスプレー式の実用化を目指して研究開発が進められている。

 京都薬科大学の高田寛治教授らは、実用化に向けて肌にはるタイプのワクチン開発に取り組む。

 直径約1.5センチのシートに、長さ0.5ミリの突起が100〜250本並ぶ。突起はマイクロニードル(微小針)と呼ばれ、ワクチン液が付いている。腕などにはると溶け出し、体内に吸収される仕組み。皮膚に刺さるのは突起の長さの半分ほど。痛みを感じる真皮には届かないという

 海外では、はるタイプのインフルワクチンが、注射式の5分の1の量で、同レベルの効果が得られたとの報告も。

 接種する部位を数秒間、指で圧迫してから注射方式で接種するとどれほど痛みが減るか。札幌市で9月にあった日本ワクチン学会で、川崎医大(岡山県)の寺田喜平准教授はこんな演題を発表した。

 学生約1200人を対象にB型肝炎ワクチンを、圧迫するグループとしないグループに分けて、本人に圧迫の意味などを伝えず接種。痛みを6段階で評価してもらうと、圧迫したグループに痛みを感じない人が多かった。

 個人差もあるが、「痛みが少ないと感じる子が少しでもいるならばやる価値はある」と寺田さんは感じる。

 インフルワクチンでは、防腐剤のチメロサールが痛みに関連するのでは、との指摘もある。有機水銀化合物のため、世界保健機関(WHO)はなるべく除くよう勧めているが、除かれたものには痛みが少ないという声が多いという。

 名鉄病院(名古屋市)の宮津光伸予防接種センター部長は、チメロサールに代わって入るようになったフェノキシエタノールに「痛みを抑える効果があるのでは」という。

 看護学生や職員約200人で調べると、フェノキシエタノール入りに痛みが少ないという人が多かった。

 東京都立駒込病院では、今年から子ども向けの5種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日ぜき、ポリオ、Hib)を導入した。任意接種なので自己負担となり約4万5千円かかる。

 「子どもが何度も痛い思いをせずに済み、連れてくる親の負担も減らせる」と中山栄一小児科医長。これまで20人ほど接種し、大きな副作用などはないという。



 注射、やっぱ嫌ですもんね。

 私も、まあこういっちゃアレですけど、注射は嫌いです。痛いですもん。仕方のないことだとはいえ、嫌ですね。今からもう、来月注射予定の季節性インフルエンザの予防接種が、憂鬱なくらいです。

 注射の腕ってのも、そんなにあると思えませんし、痛みの感じ方は人それぞれってのもありますし、たまたま痛くないところに刺さってくれれば全然痛くないんですけれど、痛いときはホント痛いです。

 大人ならまだ仕方ない、ですみますけど、この世に生を受けたばかりの子供にとっては、もうたまらんでしょう。

 今でも幼少の頃の注射で泣いた覚えがあります。

 注射ではなくて出来るのならば、それに越したことはないです。
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2009年10月14日

線維筋痛症の日本初の診療ガイドラインを発表する。

線維筋痛症:学会が診療指針 子の診断基準も策定

 全身に痛みを感じる「線維筋痛症」について、日本線維筋痛症学会(理事長=西岡久寿樹・聖マリアンナ医科大特任教授)が11日、初の診療ガイドラインを発表した。

 原因不明で世界でも治療法は確立していないが、診断方法や、治療に適した薬剤などをまとめた。今後、全国の医療機関に周知を図る。

 線維筋痛症の国内の患者は推定約200万人。だが、医療関係者の認知度は低く、適切な治療を受けられず寝たきりになったり社会生活ができなくなったりする患者も多い。子どもの不登校の原因の一部になっている可能性も指摘されている。

 診断基準は、米リウマチ学会が90年に策定した基準(原因不明の全身の痛みが3カ月以上続き、全身18カ所のうち押すと11カ所以上で痛みがある場合)が有効と確認。子どもの診断基準を初めて策定し、大人のような痛みに加え、慢性的な不安などを基準に加えた。

 一方、全国の医療機関を受診した約2600人の診療データから、推奨する薬剤として抗けいれん薬や口腔乾燥治療薬、一部の抗うつ薬を挙げたほか、はり治療や運動療法を勧めた。



 線維筋痛症については以前まとめたこちらをご覧下さい。

 線維筋痛症は、まずは医療従事者から、疾患について理解しておかないといけませんね。たとえ原因不明といえども、効果のある治療や対症療法をまとめれば、全国で使えるはずです。医療はもともと経験則の面もありましたからね。根拠がなくても効果があるのなら。

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2009年10月12日

コカインの快感を無くすコカインワクチンを開発する。

コカインの「ワクチン」、世界初の治験 効果ありと米研究者

 米イェール大学医学部の研究者らが、開発した「コカイン・ワクチン」の治験を実施し、ある程度の効果が得られたとする研究結果を、米医師会が発行する専門誌に発表した。コカイン・ワクチンが人体に接種されるのは、世界で初めて。ワクチンにより体内にコカインへの抗体を作らせることで、コカイン中毒を食い止める一助になるとしている

 この研究を率いた現ベイラー医科大学のトーマス・コステン博士によると、ワクチン接種で体内にコカイン抗体を作らせ、体内に取り込まれたコカインが抗体と結びつくことで、コカインが脳に流入せず、快感や高揚感を得られなくなるという。その結果、コカインを摂取しても気分が良くならないため、コカイン摂取習慣の解消が見込まれるという。

 被験者は2003年10月から05年4月にかけてコネティカット州ニューヘイブン地域で募集した、コカインとアヘンに依存症状を持つ、18─46歳の115人。男性が67%、白人が87%で、ほとんどがコカインを吸引し、マリフアナやアルコールなどへも依存していた。

 被験者は2つのグループに分けられ、ワクチンと偽薬(プラセボ)を12週間にわたって5度、接種した。期間中は尿中のコカイン濃度を検査した。

 その結果、血中抗体量が1ミリリットルあたり43マイクログラムを超えた38%の被験者で、顕著なコカイン摂取と尿中コカイン濃度の減少が確認された。また、血中抗体量が少ない被験者よりも、多い被験者の方が、よりコカイン吸引の頻度が減ったという。

 コステン博士は、中毒に陥るような習慣的なコカイン吸引を防ぐ、有効な手段になりうると主張。また、アルコール以外の中毒性薬物の治療にも応用できる手法だと話している。



 おおー。アルコール依存症の治療に、お酒を飲むと気持ち悪くなる抗酒薬シアナマイドがありますが、それに近いんでしょうか。確かにコカインを摂取して快感を得られなくなるのであれば、コカインを摂取しても仕方ないですもんね。習慣的行為をなくすだけでも大きな一歩となりそう。

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2009年10月11日

重症薬疹を判別する蛋白質、グラニュライシンを発見。

「重症薬疹」判別タンパク質発見 北大研究班

 北大大学院医学研究科皮膚科学分野(清水宏教授)の阿部理一郎講師(40)らの研究班が、風邪薬をはじめとする医薬品の服用などでごくまれに起こる重症薬疹を、血液検査で発症初期に通常の薬疹と見分けることが可能な、診断の指標になるタンパク質を世界で初めて突き止めた。6日付の米内科学会誌で発表する。

 グラニュライシンというタンパク質。研究班はすでに、患者の血液中のグラニュライシンを測り簡便に診断できるキットの開発に着手。完成すれば、発症メカニズムが未解明で早期診断法の開発も進んでいない重症薬疹の後遺症の減少や死亡率の改善が期待される

 研究班は、スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症といった重症薬疹の患者と通常薬疹患者、健康な人の計約70人の血中グラニュライシンの量を分析、比較した。

 その結果、重症薬疹患者では、水疱ができる前段階の皮膚が赤くなった通常薬疹と判別がつかない発症初期に、グラニュライシンが高い値になっており、通常薬疹患者は正常値であることが分かった。

 研究班によると、グラニュライシンはウイルス感染の細胞などを殺すのに必要なタンパク質。高い値の理由はよく分かっていない。

 研究班は、昨年発表された、重症薬疹の水疱にこのタンパク質が多く含まれているとの海外の研究論文に注目。診断に活用できないか研究を重ねていた。

 阿部講師は「早期診断に光明が見えた。キットが完成すれば、微量の血液から15分程度で診断できるようになるだろう」と話している。



 のんびりしているように思われがちな皮膚科でも、命に関わるような緊急疾患は存在します。

 その中でも最たるものが、薬を飲んだときに稀に起こる薬疹の中でも最も恐ろしい、重症薬疹です。

 全身の皮膚や粘膜が侵されるだけでなく、高熱が出現し、目にも影響を及ぼし、失明の危険性さえあるスティーブンス・ジョンソン症候群。特別効く治療法というものがない上に診断しづらいということで今までは致死率も高かったのですが、このグラニュライシンのおかげで早期診断が可能になりそうですので、予後も良くなるかもしれませんね。
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2009年09月16日

タミフル並の効果があるインフルエンザ新薬「ペラミビル」

試験中インフル新薬 タミフル並みの効果

 塩野義製薬(本社・大阪市)が来年中の販売を目指して開発中のインフルエンザ治療薬「ペラミビル」を、季節性インフルエンザの患者に投与すると、タミフルに匹敵する効果があることが、同社の臨床試験でわかった。

 新型を含めたインフルエンザの新たな治療の選択肢として期待される。米国で開催中の米微生物学会で報告された。

 日本と韓国、台湾の1099人の季節性インフルエンザ患者を対象にした臨床試験で、1回の投与でタミフルを5日間服用したのとほぼ同じ期間で回復した。ペラミビルは、静脈に点滴や注射で投与するため、薬を飲めない重症患者らの治療にも期待できるという



 ペラミビル。名前が分かりづらいっちゃ分かりづらいか。ベラパミルっぽいですもんね、語感が。

 タミフルと作用する部位が異なるのならば、タミフル耐性のウイルスにも効くかもしれません。薬の選択が広がるのは良いことですね。

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食べながら呑むと酔いが回りにくいことをアサヒビールが実証する

アサヒ、「食べながら飲むと酔いがまわりにくい」を飲酒試験で立証

 アサヒビール株式会社(本社 東京、社長 荻田伍)の「食の基盤技術研究所」は、日本医科大学・法医学教室との共同研究により、飲酒時に食事を摂取することでアルコールがもたらす種々の生理的影響を緩和できること、また、焼酎とビールを試験に用いることで、飲む酒類によってその生理的影響が異なることを明らかにし、来る9月18日(金)〜20日(日)開催の日本臨床栄養学会にて発表します。

 アルコール摂取がもたらす健康への影響については良い面と悪い面があることが知られています。アルコールがもたらす恩恵を享受するには、過度な飲酒を控え適正飲酒を心掛ける必要があります。「食の基盤技術研究所」では、アルコール摂取による生理的な影響を、個々人のアルコールに対する体質や飲酒の諸条件を踏まえて明らかにし、それを適正飲酒啓発につなげることで、飲酒による社会的・健康的諸問題の発生予防と、よりよい飲酒文化の構築を目指して研究を推進しています。

 日本人のアルコールを代謝する能力は、遺伝子のわずかな違い(遺伝子多型と呼ばれています)によって異なることが知られています。よって、日本人に対するアルコールの生理的影響を調べるには、この違いを考慮する必要があります。私たちは、この度、お酒が普通に飲めるタイプ(アセトアルデヒド代謝遺伝子が正常ホモ型:ALDH2 1/1で、日本人の約6割程度)の健常成人男性をまずは対象とし、飲酒後のエタノール濃度をはじめ各種の生化学検査値の経時的変動等について詳しく検討を行ないました。

 試験日の朝、空腹(12時間何も食べていない状態)のまま試験会場に来て頂き、ビールあるいは焼酎(アルコール量として0.4g/kg体重)およびテストミールを摂取後、30分あるいは60分間隔で採血や血圧測定等を行いました。得られた血液について、血中エタノール濃度や各種血液生化学検査項目(血糖、中性脂肪、乳酸、ピルビン酸等)の測定を行いました。被験者15名が一定の間隔をあけて5回の試験をすべて行いました。

 今回の試験ではお酒に強いタイプの男性を対象者として適正飲酒範囲のアルコール量を摂取した結果、食事を一緒に摂取するとアルコールの急激な濃度上昇を抑えて消失を早めることで、種々の生理的な影響を緩和できることが確認されました。さらに、糖質を含む醸造酒であるビールと蒸留酒である焼酎とでは、同じアルコール量を摂取しても生理的な変化が異なることが分かりました。



 同じアルコール量を摂取しても変化が異なる、というのはちょっと驚きですね。

 今まで「ちゃんぽん」が悪い理由は、色々なお酒を飲むと、自分がどれだけアルコールを摂取したか分からない、というのが理由でしたけれど、この結果を見るとアルコール量以外にも、何らかの複合的理由があるのではないか、と思ってしまいます。

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2009年09月07日

メテナリンとウテメリン、取り違え防止のため名称変更へ

子宮収縮剤「メテナリン」…取り違え防止へ名称変更

 名称の語感が似ている別の薬との取り違えが問題視されていた子宮収縮剤「メテナリン」について、製造販売元のあすか製薬(本社・東京)は、商品名を変更することを決めた。

 正反対の薬効を持つ子宮収縮防止剤「ウテメリン」(製造販売・キッセイ薬品)との取り違え防止が目的で、近く新しい商品名で、改めて国に承認申請する。

 メテナリンは、出産後の止血や人工妊娠中絶などに使われる薬で、誤って妊婦に投与すれば、流産する危険性がある。これまで、妊娠中の女性にウテメリンと間違ってメテナリンを処方するなどの取り違えミスが起きていた

 類似名称による誤投与防止を目的とした薬の名称変更は、抗炎症剤「サクシゾン」との取り違えで死亡事故が起きていた筋弛緩剤「サクシン」が今年7月、「スキサメトニウム」に改められた例がある。



 記事タイトルをみた瞬間、「ウテメリンのことだろうな」と思いました。似てますもんね。

 こういう、薬の微妙な名称の違いを解消していくことも、医療ミスを減らす上では重要なことです。間違えやすいもの、間違ったことなどは逐一報告して、その都度解決策を全国の病院で広めていく。それが人の命を預かる医療従事者の務めです。

 記事後半にあるサクシンとサクシゾンの事故については下記リンクをご覧下さい。

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2009年07月08日

厚生労働省が、新薬承認のための治験へ753億円を助成する。

難病薬実用化へ治験助成…753億基金で50薬剤

 製薬会社が日本での治験に二の足を踏んでいる難病薬などの実用化を促すため、厚生労働省は、約753億円の支援基金を創設し、50薬剤を選んで治験費用を助成することを決めた

 助成対象となる薬は、学会や患者団体などから公募する。治験終了後は、通常は約1年かかる承認審査を半年に短縮し、患者への迅速な供給を図る

 対象となるのは、生命や生活に大きな影響を及ぼす病気の治療薬で、米英独仏のいずれかの国で承認されているもの。「他に治療法がない」「既存の治療法より優れている」など、必要性が高いことが条件となる。未承認薬のほか、国内で承認されてはいるものの、認められた効能と異なる「適応外」の病気に使用する場合も対象となる。

 日本は、海外で認められた薬でも、国内で改めて治験を行わないと承認しない制度を取っている。このため、患者が少ない病気の場合、製薬企業は採算の厳しさから、費用がかさむ治験を見送ることが珍しくない。患者などから、国の支援を求める声が上がっていた。基金の期間は3年間。10月にも有識者会議を新設し、対象品目の選定に入る。



 これは素晴らしい。厚生労働省なかなかやりますね。きちんと苦しんでいる人の声を反映して選別してほしいです。

 なかなか新薬が承認されない、というのが日本の医療の最大の欠点でありました。特に血液内科系の疾患などは短い命に直接関わるものですので、ぜひとも早期の承認をお願いしたいところです。

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2009年06月01日

謎の毒キノコ、ニセクロハツの強毒性原因物質を特定する

ニセクロハツの強毒原因物質を解明

 中毒死が近年続いたキノコ、ニセクロハツの毒物を、橋本貴美子京都薬科大准教授、中田雅也慶応大教授らの研究グループが突き止め、強毒性を確認した。ニセクロハツが生えるツブラジイ(コジイ)の林は京滋に多く、注意を求めている。英科学誌「ネイチャーケミカルバイオロジー」で24日に発表した。

 ニセクロハツ中毒は2005年から07年にかけて大阪、愛知、宮崎などで報告された。手足のしびれや筋肉硬直、心不全、腎臓などの臓器不全を引き起こすが、原因物質は不明で「謎の毒キノコ」とされていた。

 橋本准教授らは、キノコを浸した水をそのまま分析するなど化学反応しないよう工夫した。中毒を引き起こすのが「シクロプロペンカルボン酸(C4H4O2)」であることが分かった。生物が作る毒物でこれほど小分子の有機物はないという

 マウスにこの毒物を投与すると、身体を動かす骨格筋の組織が溶けるとともに、その溶解物が臓器を障害することが分かった。極めて少量でマウスは死んだ。人だとキノコ2、3本で致死量という。

 東山など京都盆地周辺では、ツブラジイを含むシイ林が拡大している。橋本准教授は「ニセクロハツは暑い夏に目立って発生するので注意してほしい」と話している。



 筋肉が融解されるとその細胞内成分などが血流に乗って様々な臓器に障害を来たします。クラッシュ症候群などが有名です。これは、例えば地震で足に重いものが乗っかってきたとしましょう。そのせいで筋組織が破壊されてカリウムやミオグロビンなどの成分が血中にたまり、重いものをどけると全身にバーっと流れて心臓を止めたり腎臓を障害したりします。恐ろしい病気です。

 ニセクロハツもようやく原因が特定されたようで。ですがやはり最善策は予防です。中毒例結構ありますので、ご注意を。

 ニセクロハツ

 灰褐色のキノコで猛毒。ツブラジイ(コジイ)の根元で7月末から8月にかけて生えることが多い。食べられるクロハツと区別が難しく、日本で7件の中毒例が報告されている。

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ノーベル医学賞受賞者、ロバート・ファーチゴット氏が死去。

「バイアグラの父」R・ファーチゴット氏死去=ノーベル医学賞受賞

 性的不能治療薬バイアグラの開発につながった一酸化窒素ガスの研究で1998年にノーベル医学・生理学賞を受賞した米国の薬理学者ロバート・ファーチゴット氏(写真)が19日、米シアトルで死去した。92歳だった。同氏の娘のスーザンさんが確認したとして24日付のニューヨーク・タイムズ紙が伝えた。

 同紙によれば、ファーチゴット、ルイス・イグナロ、フェリド・ムラド各氏による研究は、大気汚染物質として広く知られる一酸化窒素が、心臓血管システムで重要な情報伝達物質として働き、血圧や血流に作用することを証明

 一酸化窒素の血管を拡張させる機能は、ファイザー社によるバイアグラ開発への重要なステップとなった。

 98年のノーベル賞授賞に当たりスウェーデンのノーベル賞委員会は、ガスが人体内で重要な生化学的機能を果たせることを初めて実証したと3氏を称えた。



 バイアグラの父、とはなんとも…名誉なのか不名誉なのか分からんニックネームですね。

 ですがホントに凄いことをした人で。もともとバイアグラも心臓の薬として作られて、血管拡張作用によるインポテンツ改善効果もあったためにそっちのほうが有名になったというわけです。
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2009年05月31日

海洋の生物から新しい医薬品の開発を狙う。

医薬品の次期ヒット作は海から

 新しい医薬品の源泉は、陸上では枯渇してきているのかもしれない。次世代医薬品の大ヒット作を狙う“医薬品ハンター”は次々と海に飛び込み始めている。研究者たちが新しい抗生物質やがん治療薬を探し求める中、医療目的で海洋生物を採取する生物資源探査(バイオプロスペクティング)が近年活発化している。

 ネレウス・ファーマシューティカルズ(Nereus Pharmaceuticals)社の社長コビー・セトナ氏は、「海洋微生物を取り巻く自然環境は、まだ開発が進んでおらず、多様性にあふれている」と話す。同社はアメリカに拠点を置く海洋微生物専門の小規模バイオテクノロジー企業だ。

 過去50年間にわたって医薬品開発競争が繰り広げられる中、地球の青き領域に目を向ける者はほとんどいなかった。しかし、これからは海を無視することはできないと専門家たちはみている。

 生物の分類では「界」の下に「門」という区分がある。「動物界を36門に分ける説に従えば、陸上には17門、海洋には34門が分布している。つまり、海洋は地球上で飛びぬけて生物多様性に優れた環境であり、医薬品開発において見過ごすことのできない源泉だ」と、アメリカにあるカリフォルニア大学サンディエゴ校の海洋学・薬学の専門家ウィリアム・フェニカル氏は話す。

 現在、海洋生物に由来するおよそ25種の医薬品が臨床試験中で、バクテリアや海綿動物、あるいはホヤなど海中に住む尾索動物がそのターゲットになっている。

 生物利用の医薬品開発が大きな節目を迎えたのは1928年のことである。この年の9月、イギリスの細菌学者サー・アレクサンダー・フレミングが、バクテリアの培養皿に起きたわずかな異変に気が付いた。偶然にも別の実験室からアオカビの一種、ペニシリウム・ノタータム(Penicillium notatum)の胞子が空気中を漂いながら培養皿に付着し、バクテリアの一部を死滅させていたのだ。

 この発見が世界初の抗生物質「ペニシリン」に結実し、世界中に広まった。それ以後、同じような医薬品の開発を目指して、地球各地の森林地帯や未開地の探検が精力的に行われることになる。今日の主要医薬品の過半は、天然の“貯蔵庫”から生まれたものだといわれている。

 光が皆無に近く温度が非常に低い厳しい環境で、海洋生物は独自の生存戦略を採用してきた。地上の人間には想像が及ばないユニークなその術は、医療に多大な貢献をする可能性がある。「彼らの何億年もの進化の歴史を利用すれば良いのだ」と、前出したネレウス社のセトナ氏は話す。

 カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学の化学者で、海洋生物の代謝産物を研究しているレイモンド・アンダーセン氏は、「初期の海洋医薬品開発は抗生物質とがん細胞治療薬に集中していたが、現在ではさまざまな分野に広がっている」と話す。

 例えば海綿動物や菌類などの海洋生物には、ある種の腫瘍が分泌する体内酵素「インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ」を抑制する化合物が含まれている。「インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼは、免疫反応を欺いて腫瘍への攻撃を止めさせてしまう」とアンダーセン氏は話す。

 また、海洋生物が持つ化合物の中には、白人に広くみられる嚢胞性線維症という遺伝性疾患に対する“中和剤”となるものもある。嚢胞性線維症は、体内分泌液の粘度が増しさまざまな症状が発症するが、海洋生物由来の化合物を活用すれば、体内タンパク質が細胞膜に達する経路を滑らかにすることができる。そこでタンパク質は気道の感染症を防ぐ上で欠かせない粘液産出機能を回復していく。

 アンダーセン氏の研究所では、2つの化合物が臨床試験のフェーズ2(100〜300人規模で有効性や安全性の試験を行う)に入っているという。軟部組織がんと喘息の治療がその目的だ。

 ネレウス社でも、2つの医薬品が臨床試験中だという。1つはバハマ諸島の海草で成長する菌類から作り出されたもので、現在フェーズ2の臨床試験を行っている。この医薬品は腫瘍の脈管系を破壊する機能があり、化学療法と組み合わせることにより、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に効果が期待されている。非小細胞肺がん患者の平均生存率はわずか7カ月である。

 2つ目は海洋堆積物中のバクテリアから採取されたもので、タンパク質を分解する強力な酵素「プロテアソーム」から、抗がん作用のあるタンパク質を保護する。この医薬品は多発性骨髄腫や黒色腫、肺がん、膵がんの患者を対象としており、現在、臨床試験のフェーズ1が完了したところだという。

 しかし現段階では、海洋生物資源探査はその支援者が望むような大きな成果を上げていない。その理由の1つに、大手製薬会社が本気になっていないという点がある。資金投入量も少なく、まだ遠くから様子を見ている状態だ。

「いま、大手製薬会社の役員会議で海の話を持ち出したら笑われるだけだろう。しかし、海洋医薬品が本格化するのは時間の問題だ」と、ネレウス社のセトナ氏は話す。「2〜3年のうちに開発に成功し、製薬会社が次々と買い求めるようになる。そしてこう尋ねてくるはずだ。『どこでこれを手に入れたんだ?』、『量産は可能なのか?』ってね」。



 素晴らしい目のつけどころ。海は本当に未知ですからねぇ。人間の病気に有用な生物資源が眠っている可能性は大いにあります。

 その中には未だ難病とされているものや、今よりも副作用の少ない効果をもつものなど、様々なものが眠っていることでしょう。

 大海原のもつロマンは、医療の分野でも健在です。

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posted by さじ at 03:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 薬理
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