乳がんの再発・転移患者への治療薬「トラスツズマブ」(商品名・ハーセプチン)が、手術後の再発・転移予防を目的とした治療でも使えるようになった。
乳がんの約2割は、HER2(ハーツー)という遺伝子が過剰に働くことで、がんが増殖する。ハーセプチンは、抗体の一種で、HER2が作り出すたんぱく質の働きを抑え、がん細胞の増殖を防ぐ。HER2が過剰に出ているタイプの患者に対し、3週間に1回、点滴で投与する。
副作用として、2〜4%に心臓の機能低下が起こり、投与中やその直後の悪寒や発熱も報告されている。しかし、病気の原因となる細胞にのみ作用し、正常な細胞は傷つけない分子標的薬なので、副作用は抗がん剤と比べて少ない。
日本はじめ39か国で実施した大規模臨床試験では、手術後の抗がん剤治療の後、ハーセプチンを1年間投与すると、その2年後に再発していない患者の割合は81%で、使わない場合の74%より6・3ポイント改善した。生存率も92%と2・7ポイント改善した。
日本乳癌学会は昨年、すでに薬物療法の治療指針を改定し、こうした再発転移を予防する目的での投与について「有用」と位置づけ推奨している。
画期的分子標的薬、ハーセプチンです。その名の通り標的に対して効果を発揮するので、全身に副作用が出てしまう抗がん剤よりも効果が高く副作用も少ないとされています。
女性にとって乳がんや子宮がんは、天敵です。可能性が高いので早期発見が必要とされていますが、いかんせん乳がんの場合は自覚症状が「しこり」程度ですので、見つけにくいものです。検診で早期発見が必要ですが、難しいですよね。
術後のの再発の予防のためにハーセプチンを用いることができるようになったというのは大きいでしょう。効果のあるものはどんどん認可してほしいところです。