[がん]の記事一覧

2009年11月04日

「がんに効く」と書かれている商品は100%がんに効かない。

「がんに効く」の悪質商法、消費生活センターに相談相次ぐ

 複合特殊素材メーカー「山本化学工業」(大阪市生野区)が開発した織物素材「バイオラバー」をめぐる薬事法違反事件で、関連会社社員らが京都府警に逮捕された後も、高額製品を購入したがん患者や家族らからの相談が各地の消費生活センターに相次いでいる。「がんに効く」とうたい、がん患者や家族らの切実な思いを踏みにじる悪質商法に改めて怒りの声があがっている。

 大阪府消費生活センターでは先月20日の逮捕以降、バイオラバー製品の購入者から「がんに効くと信じて購入したのにだまされた。返品したい」という相談が10件相次いだ。

 このうち、40代女性は「がん細胞を死滅させる効果がある」と説明会で聞き、闘病中の母親のためにバイオラバーのマットやベスト、ベルトなどを約300万円で買った。母親は昨年亡くなり、「お金を返して」と訴える。

 30代の女性もがんになった母親のために、通信販売でマットやベストのセットを約200万円で購入。がん患者の60代の男性は折り込みチラシを見て、ベルトとマットを約18万円で買ったという。

 いずれも「がんに効く」というキャッチコピーにひかれたといい、センター担当者は「根拠が定かではない効能をうたった健康用品の相談は多いが、バイオラバーはそうした中でもかなり高額の部類だ」と驚く。大阪だけでなく、奈良や千葉などの各県でも相談が寄せられているという。

 がん医療の向上に取り組むNPO法人「キャンサーネットジャパン」(東京)の川上祥子理事は「がんを告知されると本人も家族も冷静に受け止められず、『必ず治る』などの甘い言葉でアピールする商品や民間療法に数百万円単位で費やすことは珍しくない」と指摘する。

 今回の事件に限らず、インターネットなどでは玉石混交のがん治療情報があふれているが、「わらをもつかむ思いで民間療法を試すのはある意味当然。数多くのがん治療の信頼性を科学的根拠に基づいて判断できるような環境づくりを国を挙げて進めるべきだ」と訴えている。



収まらぬ「がんに効く」信じた消費者の怒り

 効果を信じてバイオラバー製品を約100万円で購入したものの、昨年9月に肺がんで死亡した大阪府柏原市の女性=当時(56)=の長女(30)は「いろいろな治療を試しても効果がなく、すがる思いだった母に製品を買うなとはとても言えなかった」と話した。

 女性は昨年2月に末期の肺がんと診断され、府内の病院で化学療法を続けているうちに、バイオラバーを取り上げたテレビの情報番組を見て興味を持った。動物実験でがん細胞を抑える働きがあるという研究結果を紹介するPR記事を読み、「直接見たい」と長女に懇願。体力が衰えて歩くのも困難だったが、電車で約1時間かけて販売店に向かった。

 その販売店こそ、今回の事件で京都駅前店店長が逮捕された「壮快薬品」の大阪駅前店だった。「私も使っています」「がん患者さんもよく来ますよ」。女性は店員の勧めでバイオラバー製のマットに寝て試した。「温かくなった気がする」。そう言って約100万円の製品を購入した。

 女性は帰宅途中に歩けなくなるほど疲れたが、製品を手に笑顔を見せた。だが、がんの進行は止まらず、昨年9月に亡くなった。長女は「生きる希望を失わせることになるから、母に製品を買うなといえなかった。私自身は半信半疑だったが、医師やいろんな人が推奨しているのをネットで見るうちに期待を抱いたのも事実。製品をよく検証してから情報発信してほしかった」と話した。



 もー。

 がんに効くっていう商品、すごく多いですよね。

 そもそもどういう組織型の何癌に効くというのか。強力な化学療法でさえ効くタイプの癌が異なるというのに。たかだか暖めたぐらいで何が変わるというのか。

 はっきり言って詐欺ですよ。例えば癌細胞をそのシートの上に1個おいて、その細胞が死んだら、がんに効く、とでも謳っているんでしょうか。

 こういう商品って、騙されるなって言われても騙されてしまうもんです。オレオレ詐欺と違って、身内ががんになったという状況において心の弱った人をターゲットにしているあたりが本当に腹立つ。

 何度も言ってますが、「がんに効く」という商品は100%、がんには効きません。

 本当にがんに効くのならば、既に保険適用されているはずですし、100万円も払うことはありません。

 医療関係者が見向きもしないほど効果がないからこそ、保険適用されていないのですし、検証もされないのです。

 もし気になるものがあったら、主治医の先生に相談して下さい。別に恥でも何でもありませんから。先生、こういう商品があるんですけど、どうでしょうか、って。効かないものは医者が「効かないと思う」って言いますから。

 「がんに効く」という商品を売っているところは100%信用しないのが正解です。
posted by さじ at 17:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

男性の2人に1人が癌になるのに検診率は圧倒的に低い。

がん罹患の不安、6割近くが「ある」

 生涯のうちにがんになる確率は男性の2人に1人、女性の3人に1人といわれているが、ソニー損害保険(本社=東京都大田区)が行った「がん検診に関する意識調査」では、「がんにならないか不安に思うことがあるか」との質問に、「非常に不安」が18.2%、「やや不安」が39.6%と、6割近くの人が不安を感じていると回答した。

 調査は10月19、20日にインターネット上で実施。有効回答母数から15−49歳のがんになった経験がない男女それぞれ500人を抽出した。

 調査結果によると、「がんの検診を受けたことがあるか」と質問したところ、「定期的に受けている」が9.9%、「受けたことがある」が14.0%で、検診経験者は23.9%だった

 また、検診を受けたことがない人で「受けたいと思っている」人が40.8%を占める一方、「受けたいと思っていない」人も35.3%いた。

 「検診を受けたことがない」と回答した人に、その理由を尋ねたところ(複数回答)、「検診を受けるタイミングがわからない」が41.3%で最も多く、次いで「今のところ特に体に異常がみられない」41.1%、「検診にお金がかかる」37.2%、「検診へ行く時間がない」32.5%、「面倒くさい」29.4%などと続いた。



 昔ほどではないですけれど、癌という病気は未だに命を奪う珍しい病気というイメージはあるんでしょうかね。

 実際は、どんな癌でも早期発見できれば根治可能なほど。もし根治できなくても、薬や放射線などで癌を落ち着かせ、癌とともに生きていくという選択もできます。

 検診技術も向上してきている今、癌に対して大事なのは予防と早期発見・早期治療なのです。

 検診は確かに面倒なものです。私も出来ることなら一生いきたくないと思うでしょう。

 ですがもしそこで癌を見つけることができれば、それこそ一生モノ。取れば治る段階であれば検診に行ってよかったと思うでしょう。その日1日のおかげで、将来の健康寿命が数十年延びるかもしれません。
posted by さじ at 17:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

2009年10月18日

子宮頚がんワクチンを11〜14歳に優先的に接種か。

子宮頸がんワクチン、11〜14歳へ優先接種を 産婦人科学会提言

 日本産科婦人科学会(吉村泰典理事長)などは16日、同日に正式承認された子宮頸がんワクチンについて、11〜14歳女子への接種を優先し、その接種費用は公的負担すべきだとの提言を発表した。ワクチン接種で子宮頸がんの発生は7割以上減り、接種費用を負担しても医療費の抑制になるとしている。

 提言は日産婦のほか、日本小児科学会(横田俊平会長)と日本婦人科腫瘍学会(稲葉憲之理事長)も参加した。

 子宮頸がんワクチンは病気の原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐ。英系製薬会社グラクソ・スミスクラインの「サーバリックス」が16日、厚生労働省から販売承認を受けた。年内にも発売する見込み。希望者が自己負担で受ける任意接種で、現段階で接種費用は未定だが「海外では3万円程度」(日産婦)という。



 確かに、もし公費負担で、全員に接種することができれば、子宮頚がんは著しく減るでしょうね。

 ただアメリカでも(宗教的理由で)懸念されたように、ヒトパピローマウイルスは性行為感染症でもありますから、それを11歳から打つとなると保守的な日本で受け入れられるのかどうかというところ。

 まあでも、別にこのヒトパピローマウイルスワクチンを打つからといって、性行為の氾濫みたいのは起こらないというか、それはもっと道徳的側面に力を入れりゃいいと思うんで、個人的には賛成ですね。

 そもそも日本は子宮がんとか乳がんの検診すらも後進的なんで、それならばいっそのこと予防に徹してしまったほうが得策だと思います。
posted by さじ at 06:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

2009年10月11日

生ゴミから、がん転移を抑える作用を持つ新たな化合物を発見

生ごみから新たな抗がん物質 能美・バイオ技研など

 バイオ技研工業(能美市)と富山県立大工学部生物工学科の五十嵐康弘教授ら研究グループは5日までに、生ごみ処理槽の微生物が生成する物質から、がん転移を抑える作用を持つ新たな化合物を発見し、国際特許を出願した。この化合物は、副作用の原因となる細胞毒性が弱いとみられ、新しい抗がん剤の開発に向け活用が期待される。研究成果は7日から横浜市内で開かれる「バイオジャパン2009」で発表される。

 微生物は放線菌の一種で、バイオ技研工業が開発した有機ごみの処理システムで作られた堆肥から見つかった。微生物は生ごみを発酵分解しながら、化合物を生成していたという。

 微生物が作り出す化合物で細胞実験を行ったところ、がん細胞の運動性を抑制する働きが確認され、がんの転移を抑える可能性があることが分かった。また、正常細胞の働きは妨げないため、副作用は少ないとみられる。

 五十嵐教授によると、以前に同じ処理槽内から見つかった別の微生物が生成する化合物と比較すると、20分の1の濃度でも同じ作用が得られるという。

 研究は、生ごみ分解微生物の新たな利用法を探っていたバイオ技研工業の宮野内浩治社長が五十嵐教授に依頼し、2007(平成19)年に始まった。

 短期間での成果に、五十嵐教授は「発酵堆肥の中の微生物には大きな可能性がある。引き続き研究を進めたい」と話した。宮野内社長は「独自の発酵技術を生かして製薬会社などとの共同研究を進め、新薬の開発につなげたい」と意欲を燃やしている。



 よく見つけましたねー。

 微生物はまだまだ宝の山と言われていますけれど、それでも生ごみ処理の過程に着目する人はなかなかおらんでしょうな。素晴らしいことですわ。

 そしてこれから新薬開発に繋がれば、リアルに宝の山ですからね。
posted by さじ at 13:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

2009年10月09日

胃がんの手術後の再発を7割の確率で予測できるシステム

胃がんの再発7割予測、がんセンターが新システム

 胃がんの手術後の再発を7割の確率で予測できるシステムを、国立がんセンター研究所の佐々木博己室長らが開発した。

 手術後に隣接する腹膜への転移が見つかる例が多い胃がんの再発防止に役立つものと期待される。

 推定10万人いる全国の胃がん患者のうち、手術前に転移したがんが術後に見つかる「再発」は全体の3〜4割。その原因の半数以上は胃に隣接する腹膜への転移が占める。胃がん摘出前に、顕微鏡で転移の有無を調べているが小さいがん細胞を見つけ損ね、数年後に再発することが多い

 佐々木室長らは、腹膜細胞内の胃がんに特徴的なRNA(リボ核酸)だけに付着する物質と、その有無を判別する装置を開発。これを使い、進行した胃がん患者191人を手術後に調べた結果、顕微鏡でがん細胞が見つかった患者34人全員に加え、顕微鏡では見つからなかった36人でも陽性反応が出た。計70人のうち4年目までに再発したのは52人。再発患者は全体で75人おり、その7割を予想できた計算になる。

 佐々木室長は「腹膜のがんの位置はまだ特定できないので摘出は難しいが、胃がん手術と腹膜の抗がん剤治療を併用すれば、再発は減らせる」と話している。



 転移しているかどうかは、目に見えないケースもあるため特定しづらいものです。

 こういう地道な改良を重ねることで、将来は手術によってできるだけ残さず取れるようになるんでしょうかね。外科手術、放射線療法、化学療法。がんの治療法の幅が広がるのは患者さんにとっても有益です。

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2009年09月28日

子宮頚がんワクチン、日本でも承認へ。

子宮頸がんワクチン承認へ 接種年齢、費用負担など課題も

 国内で年間約3500人の女性の死因となっている子宮頸がんを予防するワクチンが、29日に開かれる厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の薬事分科会で承認される見通しとなった。頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因。感染前のワクチン接種によって、頸がんの原因の約7割を占めるHPVの感染予防が期待できる。女性にとっては朗報であると同時に、接種開始年齢や費用など解決すべき課題も多い。

 子宮頸がんは世界で年間約50万人が発症し、約27万人が死亡している。女性のがんとしては乳がんに次いで2番目に多い。

 国内でも年間1万人以上が発症し、約3500人が死亡していると推計される。30代後半から40代に多いが、最近は感染原因である性交渉の低年齢化などが影響し、20〜30代の若い患者が増えている。

 ワクチンによる予防手段があるため「予防できる唯一のがん」と言われ、有効性は10〜20年継続するという。

 自治医大さいたま医療センター産婦人科の今野良教授によると、12歳の女児全員が接種すれば、頸がんにかかる人を73・1%減らせる。死亡者も73・2%減ると推計される。

 2006年6月に米国で初めて承認されて以降、欧米や豪州、カナダなど世界100カ国以上で使われている子宮頸がんワクチン。今回、承認される見通しの英系製薬会社、グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」と、米製薬会社、メルク社の「ガーダシル」(承認申請中)の2種類がある。

 多くの国では12歳を中心に9〜14歳で接種が開始され、学校や医療機関で接種が行われている。26歳までが対象だが、それ以降の年齢でも有効との報告もある。

 国内では小児科や産婦人科などでの接種が想定されており、日本産科婦人科学会や日本小児科学会などが合同で11〜14歳の女児を接種対象として推奨することを検討している。

 深刻な問題ながら予防への関心が低いため、検診の受診率が約20%と低迷し、対策の遅れが指摘されている子宮頸がん。ワクチンの普及は、発症者を劇的に抑える可能性を秘めている。

 ただ、普及には費用の問題が深くかかわってくる。承認されれば年内にも発売される見通しだが、厚生労働省は接種費用をどうするのか決めていない。

 ワクチンは3回の接種が必要。全額自己負担だと3〜4万円かかるという。

 筑波大の吉川裕之教授(婦人周産期医学)によると、欧州や豪州、カナダなど26カ国では全額公費負担または補助が行われており、接種率が9割に上る国もある

 吉川教授は「若くして子宮頸がんになり、子供を授かる前に子宮を取ったり、幼い子供を残して死んでいく女性が増えている。費用負担の問題は日本が女性と子供を大切にする国であるかどうかの試金石になる」と指摘している。



 かなりの効果が挙げられていますので、本当ならば全額公費負担にして、全員接種を目指したいところでしょうけれども

 どれだけのお金がかかるかというと難しいですわな。日本は国民皆保険制度を導入しているので、普段の医療費が破格に安いわけですから、3,4万円ぐらい自己負担しても別に構わんという気はしますけれどねぇ。誰だって子宮頚がんは予防したいでしょうし。

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2009年09月14日

若い男性に多い精巣腫瘍は、症状が少なく早期に転移する。

15〜35歳に多いがん「精巣腫瘍」 症状少なく早期に転移

 日本ではあまり知られていない病気だが、西欧諸国では近年、患者が増加傾向にあるとされる精巣(睾丸)のがん「精巣腫瘍」。早期には精巣の腫れ以外に痛みなどの症状がないことが多く、発見の遅れや重症化を招きやすいとの指摘もある。日本泌尿器科学会で、精巣腫瘍の診療基準となるガイドラインの作成に携わる府立成人病センターの垣本健一・泌尿器科副部長(42)に話を聞いた。

 −−精巣腫瘍とはどんな病気ですか。

 精巣にできるがんで、発症率は約10万人に1人前後といわれます。発症のピークは15〜35歳で、これらの年代の男性では、頻度の高い腫瘍といえます。悪性度が高く、早期から転移の危険がある病気です。

 −−どんな症状がありますか。

 精巣が腫れたり、硬くなるだけのことが多く、痛みや発熱を伴うケースは少ないです。転移するスピードが速いので、早期発見が大切ですが、恥ずかしさから受診を敬遠し、重症化する例も見受けられます。異常を感じたら、恥ずかしがらず、すぐに泌尿器科を受診してください。

 −−原因は?

 精巣が陰のうまで下りず、体内にとどまる「停留精巣」の場合は、発症のリスクが高くなるという指摘があります。母胎内でのホルモン環境などがかかわるとも言われますが、はっきりした原因は分かっていません。

 −−どのような治療法がありますか。

 外科手術で精巣を摘出し、転移があれば化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療を行います。現在は、プラチナ製剤を用いたBEP療法と呼ばれる化学療法が標準的な療法として確立されており、転移があっても約8割の人が完治を望める状況になってきています

 一方で、BEP療法でも完治しない場合、抗がん剤の種類を変更した化学療法(救済化学療法)が必要となります。さらに化学療法後に残存した腫瘍を摘出する必要が生じることもあります。

 −−病気になっても、子孫を残すことは可能ですか。

 理論上は手術で片方の精巣を摘出しても、もう片方の正常な精巣が残っていれば子孫を残すことは可能です。しかし、化学療法や放射線治療の結果、精子をつくれなくなる恐れがあります。現在の医療水準では、精子保存という選択肢もありますので、治療を受ける際は主治医とよく話し合うことが大切です。

 −−治療を受ける上で大切なことは?

 化学療法は、精神的にも肉体的にも負担の大きい治療ですが、適切な量を適切なタイミングで投与することが非常に大切です。患者さんの数が少ない病気ですから、化学療法、放射線治療、化学療法後の残存腫瘍の摘出手術などは、治療経験の多い施設で行われることが望まれます。



 あまり精巣腫瘍のことが取り上げられないのは、やはり他の癌のように激しい症状がでないこと、部位が部位だけに相談しづらいこと、あとは医学の進歩によって完治が望めることが上げられますね。

 ですがやはり精巣にも癌は出来るということを一般の方にも認識してもらいたいというのはありますね。なにせ、症状がほとんどないですから。おかしいな?と思ったら、ためらわずに医療機関を受診してください。いくら完治率が高いといっても、早ければ早いほど良いです。

 無痛性の腫瘍ができる、ということ以外に、出る症状として、女性化乳房が挙げられます。組織的に4つのタイプに分類されるのですが、セミノーマ、絨毛癌、奇形腫といったタイプではhCGというホルモンを分泌することがあります。もし分泌された場合、女性化乳房という症状を来たすこともあります(もちろん来たさないこともあります)。

関連
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2009年09月08日

アスパラガスには癌抑制作用だけでなく二日酔い軽減作用もある

アスパラガスが二日酔いを軽減

 二日酔いの対処には、水をたくさん飲むこと、十分に休養することに加え、アスパラガスを食べるとよいという。新しい研究で、アスパラガス抽出物に含まれるアミノ酸とミネラルが二日酔いを軽減し、アルコールに含まれる毒素から肝臓を保護することが示された

 韓国、医科学研究所および済州大学校の研究グループは、ヒトおよびラットの肝細胞に対するアスパラガスの若茎(普通食べる部分)および葉(擬葉)の抽出物の作用を分析。「アスパラガスの葉および若茎の抽出物を投与すると、細胞毒性が有意に軽減した。この結果は、アスパラガスの生物学的機能によってどのように二日酔いが軽減され、肝細胞が保護されるかを示す証拠となるものである」と、研究を率いたB.Y.Kim氏は述べている。有益なアミノ酸およびミネラルは、若茎よりも葉の方に高い濃度で含まれているという。

 アスパラガスは世界の多くの国で食べられている野菜で、癌抑制、抗真菌、抗炎症および利尿などの作用があるとして長年利用されている。米ミシガンアスパラガス審議会(Michigan Asparagus Advisory Board)によると、葉酸、カリウム、繊維、ビタミンB6、ビタミンA、Cおよびチアミンも豊富に含まれているという。

 長期間アルコールを慢性的に摂取していると、肝臓に害をもたらす酸化ストレスの原因となる。また、飲みすぎると頭痛、悪心、下痢および口渇を引き起こすこともある。今回の研究は、科学誌「Journal of Food Science(食品科学)」9月号に掲載された。



 アスパラガス、日本ではどうなんでしょう、ある意味マイナーなんですけれど、あると嬉しい食材ですね。

 個人的に一番好きな調理法は、何と言っても串揚げです。アスパラの串揚げ。たまらんです。

 おいしいだけでなく、二日酔い防止作用もあるとのことで、今後はアスパラガスを発見するたびに積極的に食べるようにしたいと思います。

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医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー

腫瘍内科医に求められるものとは

 8月1日,国立がんセンター中央病院(東京都中央区)にて「医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー」が開かれた。このセミナーは,腫瘍内科の役割について学生・研修医により理解を深めてもらい,将来の抗がん剤治療を担う腫瘍内科医を育成する目的で2005年から毎年催されている。第5回となる今回は,北海道から沖縄まで,全国から70名近くの参加があった。

 まず国立がんセンター総長の廣橋説雄氏が挨拶。抗がん剤の奏効するがんの種類も着実に増加し,分子標的治療薬など新しいタイプの薬も次々と開発されている。ゆえにそれらを扱う腫瘍内科という分野には大きな期待が寄せられていること,さらにはがん治療の均てん化のために腫瘍内科医の需要が高まっていることを語り,本セミナーで,腫瘍内科へのモチベーションを高めてほしいと締めくくった。

 その後,医師,研修医,がん患者など7名が登壇。田村研治氏(国立がんセンター中央病院)は,抗がん剤の適応拡大や治療成績の向上に伴いその専門性も強まり,臓器横断的な治療を行うため腫瘍内科医が必要とされていると話した。氏は,腫瘍内科医にはまずEBMにのっとり患者を全人的に診られること,また分子生物学や薬理学,統計学に精通し,チーム医療の要となることが求められていると意見を述べた。

 金容壱氏(聖隷浜松病院)は,緩和ケア医でありかつ腫瘍内科医という立場から発言。腫瘍内科医は患者の延命という重責を担うなかで,情緒的消耗や,達成感の減退などのバーンアウト症状が出やすい。そこで氏は,腫瘍内科医も緩和ケアにおいて重要視されるコミュニケーションスキルを磨けば,より円滑に仕事に取り組めると提案。逆に緩和ケア医は,今ある痛みを和らげるだけでなく,診断時から終末期までを見通しつつ患者に合わせた治療方針を採るという,腫瘍内科医の展望的な視点を取り入れるべきとした。抗がん治療と緩和ケアの有機的な連携で,緩急をつけながら患者を治療していくことが重要だという。

 午後にはケースカンファレンスとグループワークが行われた。グループワークでは参加者は10班に分かれ,医師らとともに議論。ある班では「再発や副作用などのリスクも,臨床試験に基づいたデータもきちんと示した上で,患者に治療法の選択肢を提示できるのが腫瘍内科医」「腫瘍内科医をめざすなら,全身を診るので内科認定医レベルの知識が必要。初期研修でジェネラリスト研修をしっかり行ってから,がん拠点病院などで後期研修をすべき」といった話題が出され,参加者は熱心に質問・意見交換を行っていた。

 閉会に際しては国立がんセンター中央病院レジデント専門委員会委員長の飛内賢正氏が挨拶。腫瘍内科を学べる場も増えつつあるが,治療法の発達に伴って高まる患者の要望に応えられるよう,しっかりとトレーニングを積む必要性を強調した。



 日本では、例えば肺がんであれば呼吸器内科、肝臓がんであれば消化器内科が担当することが多いですが、やはり抗がん剤を扱うスペシャリストとしての腫瘍内科医は今後必要とされる分野でしょう。抗がん剤を扱える腫瘍内科医が増えれば、欧米のようにより多くの抗がん剤から選択して患者に合った医療を行えるようになるかもしれません。

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2009年09月07日

ダニの唾液から癌を退治する蛋白質を抽出する。

ダニのだ液はがん特効薬になりうる、ブラジル研究

 ダニは不快なものだが、将来的には皮膚がん、肝臓がん、すい臓がんなどの特効薬を生み出す可能性があるとの研究が、このほど発表された。

 ブラジル・サンパウロのブタンタン研究所の分子生物学者、Ana Marisa Chudzinski-Tavassi氏率いる研究チームは、南米に一般的に生息するダニ(学名:Amblyomma cajennense)の唾液中のタンパク質に着目した。

 このタンパク質には、ダニが宿主の血を吸い続けられるよう、血液の凝固を防ぐ作用がある。また血液凝固反応を阻害するために臨床で使用される組織因子経路阻害剤(TFPI)の性質もいくつか持っている。

 研究チームは、これががん細胞に及ぼす影響を探るため、腫瘍を持ったマウスで実験を行った。ダニのタンパク質を投与し続けたところ、14日目では腫瘍の大きさは変わらなかったか、縮小を始めていた。投与を42日間続けたマウスでは、腫瘍は完全に消滅していた。一方で、正常な細胞には全く異常が起きなかったという。

 ちなみにダニのだ液は、体を膨らませたダニを研究室に一列に並べ、頭の下に差し込んだストローで地道に回収。これらをイースト菌を使って何度も再生し、実験に使用するだけの量を確保した。



 ダメダニばかりではなかった。

 凄い発見って、こういう地道な努力によって起きるものが多いですよね。野口英世の梅毒スピロヘータの単離然り。

 ダニから抗がん剤が出来れば、かなり凄い市場になりそうです。

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2009年09月01日

乳がんと子宮頚がん検診の無料クーポン券が配布されることに。

乳がんと子宮頸がん検診の無料クーポン券が配布されます。

 1981年以来、日本人の死因のトップとなっている「がん」。生涯のうちにがんになる確率は、男性の2人に1人、女性の3人に1人と言われます。しかし、最近は、医学の進歩で「治るがん」も増えています。特に女性特有の「乳がん」や「子宮頸(けい)がん」は、早期発見・早期治療で治る確率が高いがんです。早期に発見するためには、がん検診を受けることが有効ですが、検診受診率は20%程度と低いのが現状です。そこで、平成21年度の補正予算によって、一定の年齢に達した女性に乳がん・子宮頸がん検診の無料クーポン券が配布されることになりました

 日本人にとって、がんはだれでもなりうる身近な病気です。「自分は健康に気を付けているから大丈夫」「近親者でがんになった人がいないから、遺伝的にも大丈夫」と思っている人も少なくありませんが、そうした人もがんになる可能性はゼロではありません。

 遺伝するがんはまれなもので、むしろ、食生活や喫煙、飲酒、運動、睡眠といった生活習慣や生活環境ががんの発症に大きくかかわっているのです。ですから、健康な生活習慣を心がければ、がんになるリスクは大幅に減らすことができますが、リスクをゼロにすることはできません。

 また、がんは、初期では何の自覚症状もないことが多いため、気付かないうちに病気が進行してしまう危険もあります。

 がんを治療中の患者数は、現在、142万人(平成17年患者調査)。多いのは、「胃がん」、「肺がん」、「大腸がん」ですが、これらのがんになる人は、65歳以上の高年齢層に多い傾向があります。一方、女性特有のがんである「乳がん」「子宮頸がん」については、乳がんは、女性ホルモンの影響を受けやすい40歳代の女性で最も多く、ウイルス(ヒトパピローマウイルス)感染が主な原因となる子宮頸がんは、近年20〜30歳代で急増しています。

 乳がん・子宮頸がん検診の無料クーポン券と検診手帳が配布されます
乳がん・子宮頸がんは、どちらも早期発見・早期治療が有効ながんです。早く見つかれば、それだけ完治の可能性も高くなり、治療にかかるお金や時間の負担も軽くなります。自分の健康状態を確認し、がんを早期に発見する意味でも、乳がん・子宮頸がん検診を定期的に受けることが重要です。

 平成21年度の補正予算によって、全国の市区町村では、一定年齢に達した女性を対象に、乳がん検診・子宮頸がん検診が無料で受けられるクーポン券を配布することになりました。また、クーポン券とともに、乳がん・子宮頸がん検診について分かりやすく説明した「検診手帳」が送られます。検診手帳には、乳がん・子宮頸がん検診を受けた時期などを自分で記録することもできます。

 今回、乳がん・子宮頸がん検診無料クーポンが送付されるのは、下記の年齢の女性です。

 検診無料クーポン券が届いたら、ぜひ、時間を調整して、乳がん・子宮頸がん検診を受けましょう。無料クーポン券を使用できる医療機関は市区町村によって異なります。詳しくは、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

 また、今回の受診をきっかけに、これからも自分の健康を保っていくために、定期的に乳がん・子宮頸がん検診を受けることが重要です。健康に問題がないと思っても、2年に1度は検診を受けましょう。

乳がん検診無料クーポンの配布対象者

年齢 生年月日

40歳 昭和43(1968)年4月2日〜昭和44(1969)年4月1日
45歳 昭和38(1963)年4月2日〜昭和39(1964)年4月1日
50歳 昭和33(1958)年4月2日〜昭和34(1959)年4月1日
55歳 昭和28(1953)年4月2日〜昭和29(1954)年4月1日
60歳 昭和23(1948)年4月2日〜昭和24(1949)年4月1日


子宮頸がん検診無料クーポンの配布対象者

年齢 生年月日

20歳 昭和63(1988)年4月2日〜平成元(1989)年4月1日
25歳 昭和58(1983)年4月2日〜昭和59(1984)年4月1日
30歳 昭和53(1978)年4月2日〜昭和54(1979)年4月1日
35歳 昭和48(1973)年4月2日〜昭和49(1974)年4月1日
40歳 昭和43(1968)年4月2日〜昭和44(1969)年4月1日
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2009年07月12日

精巣がんに関与する遺伝子を京大が発見する。

精巣がん化にかかわる遺伝子解明 

 精子の元になる精子幹細胞(精原細胞)の増殖とがん化にともにかかわる遺伝子を、京都大医学研究科の篠原隆司教授(分子遺伝学)、李知英東京医科歯科大講師などのグループが突き止めた。精巣がんの原因解明や男性の不妊治療につながる成果で、遺伝子は他の種類の幹細胞の増殖やがん化にもかかわっている可能性があるという。米科学誌「セル・ステム・セル」で2日に発表する。

 篠原教授などは、がん細胞の多くで働いていて、発生や細胞分裂の調節などにもかかわっているRas遺伝子とサイクリン遺伝子のいずれかをマウスの精子幹細胞に導入すると、増殖因子を外から加えなくても幹細胞が増え続けることを発見した。この幹細胞を、マウスの精巣に移植すると、多くは精子にならずにがん細胞になることも分かった。

 いずれかの遺伝子を導入して過剰に働かせることで増殖が強力に促されるため、がんが発生するのではないかという。

 また、精子幹細胞以外の組織や血液などの幹細胞のがん化や増殖でも、二つの遺伝子の働きが関係している可能性があり、細胞の増殖やがん化など再生医療の課題解決の糸口になる可能性がある。

 篠原教授は「精巣がんのモデルを作り、治療法の開発に役立てることが期待できる。精子幹細胞が増殖するメカニズムの研究もさらに進め、男性の不妊治療にもつなげたい」と話している。



 男性にとっては重大なニュースです。こう、精巣がんとか前立腺がんとかのニュースを見ると、やはり他人事じゃないですね。これも男性の性か。

関連
医学処:聖路加国際病院で、がん治療に伴う不妊の専門外来を開設
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2009年06月26日

赤ワインに含まれるレスベラトロールの機序がとうとう判明する

赤ワインの健康効果の機序が明らかに

 適量の赤ワインが健康によいことはすでに知られているが、その理由がついに明らかにされた。ワインに含まれる成分の1つ、レスベラトロール(resveratrol)と呼ばれるポリフェノールに疾患予防効果があることは以前からわかっていたが、その体内での作用機序についてはこれまで明確にされていなかった。

 「レスベラトロールの利益は極めて幅広く、癌予防、心臓や脳の損傷からの保護、炎症などの加齢による疾患の軽減、糖尿病および肥満の解消、他ににも多数ある」と、研究著者の1人でオーストラリア、クイーンズランド大学生物医科学部准教授のLindsay Brown氏は述べている。今回の研究は、医学誌「Alcoholism: Clinical & Experimental Research(アルコール中毒症:臨床と実験研究)」オンライン版に6月10日掲載された(印刷版は9月号に掲載予定)。

 Brown氏によると、レスベラトロールが効果を発揮する機序として以下のことが考えられるという

 高用量のレスベラトロールは、アポトーシス(プログラムされた細胞死)を増進することにより癌を予防する。低用量では、細胞保護を増進し、損傷を減らすことによって心臓の健康状態を改善する

 活性酸素を体内から除去するのを助け、細胞への血液供給を向上させる。

 このほか、消化管および肝臓ではレスベラトロールのほとんどが不活性化されていることから、レスベラトロールが血流内に吸収される機序についても研究中である。同大学のStephen Taylor氏は「興味深いことに、(赤ワインを)すぐに飲み込まずにゆっくりと口腔内の粘膜を通して吸収されると、血中濃度が100倍になることがある」と述べている。



 アスピリンジレンマみたいな低容量と高容量の作用があるんですね。レスベラトロールの場合どちらも良い作用に働くみたいですけれど。

 まあ赤ワインをがぶがぶ呑めば良いというわけではなく、適量をじっくり呑むことが体にも良い飲み方でしょう。アルコールが効くわけではなく。レスベラトロールが効くわけですからね。アルコールで体壊しても意味ないので。

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2009年06月22日

男性のがん死亡率が高いのは「がまん強さ」が原因。

がん死亡率、男性が女性を大幅に上回る 「がまん強さ」が原因?

 がんによる死亡率は、がんの種類を問わず、男性が女性を40%近く上回っている。英国の研究者らが15日、こうした調査結果を発表した。

 調査は、英国がん研究所(Cancer Research UK)、国立がん情報ネットワーク(National Cancer Intelligence Network、NCIN)、男性健康フォーラム(Men's Health Forum)が、2006-07年のがん罹患(りかん)率・死亡率のデータを基に行った。

 その結果、がんの罹患率は、男性が女性を16%上回り、男女双方がかかるがんに限って言えば、男性が60%も高かった。 

 NCINのデビッド・フォーマン(David Forman)教授によると、男性のがんリスクが女性を大きく上回っている理由は生物学的には説明できない。ただし、「男性は一般的に、がまん強く、女性ほど健康には敏感でないと言われている。結果は、こうした傾向を反映しているのではないか」と指摘する。

 このことから、研究者らは、男性はライフスタイルとがんリスクの相関性をもっと意識する必要があるとしている。

 英国がん研究所のSara Hiom氏は、「がんの約半分は、ライフスタイルを変えることで防ぐことができると言われている。しかし、こうしたメッセージに、男性は聞く耳を持たないのではないか」と話している。



 確かにねー。

 ちょっとダルいとか、熱っぽいとかいう理由で、なかなか病院には行きませんからね。ですがその我慢が命取りに。

 普段病院に行かない人は、何年かに1度、必ず健康診断に行く、ぐらいしてもいいと思います。早期発見できればがんも全然怖くないです。
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2009年06月21日

子宮頚がん予防ワクチンをWHOが初認定する。

メルクの子宮頸がん予防ワクチン、WHOから初認定

 米メルクの子会社、万有製薬は4日、女性の子宮頸がんを予防するメルクのワクチンについて、世界保健機関(WHO)から品質や安全性などの基準を満たすワクチンとして認定されたことを明らかにした。認定を受けた子宮頸がん予防ワクチンは初めて。同ワクチンは米国など111カ国で製品として承認を受けているが、日本での承認取得にも追い風となりそうだ

 このほど認定を受けたのは子宮頸がん予防ワクチン「ガーダシル(製品名)」。同認定は「事前認定」という制度で、WHOが品質や安全性、有効性などの基準に沿ったワクチンと認めるもの。国連などが認定によりワクチンを調達しやすくなる。



 以前はアメリカでも、このワクチンが普及するとより避妊具をつけなくなる、といわれたりしていましたが、まぁそれは個人個人の意識の持ちようですからねぇ。子宮頚癌の予防ワクチンが承認されたことで多くの女性がリスクを軽減することができるようになったのは誉れ高いことだと思います。

 まぁそれでもやはり定期的な検査による早期発見が必要ですけどね。そういえばつい12時間ほど前に散髪してきたんですけれど、そのとき切ってくれた美容師さんの奥さんが子宮頚がんになってこの前手術した、という話をしておりました。定期健診していたので早期発見できて簡単な手術で済んだそうです。

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2009年06月04日

虫下しの薬が、がん細胞に効果があるかもしれない。

虫下し薬が「がん」に効く? メタボローム解析でがんが回虫と同じ代謝を使うことを示唆

 慶應義塾大学先端生命科学研究所の平山明由研究員、曽我朋義教授らと国立がんセンター東病院(千葉県柏市)の江角浩安病院長らの研究グループは、メタボローム解析によりがん細胞が自身の増殖に必要なエネルギーを作り出す際に、回虫などの寄生虫が低酸素環境下で用いる特殊な代謝か、又はそれに類似した代謝を用いる可能性があることを世界で初めて実証しました。これは、平成20年度に国が「先端医療開発特区」として創設したスーパー特区(がん医薬品・医療機器早期臨床開発プロジェクト)に選定された国立がんセンター東病院、慶大先端生命研の共同研究の成果です。

 ほとんどの生物は酸素が十分にある環境では、クエン酸回路と呼ばれる代謝を使ってエネルギー物質であるATPを生産します。寄生虫として知られる回虫も、酸素の多いところで成長する幼虫の間や、体外にいる間は酸素を呼吸し、ヒトと同じクエン酸回路を使ってエネルギーを生産します。

 しかし、ひとたび酸素の乏しい小腸内に進入すると今度は特殊な代謝を使ってエネルギーを生産するようになります。ある種の虫下し薬は、回虫が使っているこの特殊な代謝を選択的に阻害するためヒトには副作用がなく、回虫のみを死滅させる事ができます。 国立がんセンター東病院の江角浩安病院長らは、虫下し薬が悪性のがん細胞も死滅させることを2004年に発見しました。この研究成果を元に、がん細胞は血管がなく酸素が乏しい環境でも活発に増殖することができる事から、がん細胞も回虫と似た特殊な代謝を使ってエネルギーを生産するのではないかという仮説を立て、世界最先端のメタボローム解析技術を持つ慶大先端生命研と、がんの代謝を解明するための共同研究を2004年より開始しました。

 研究チームは、国立がんセンター東病院で大腸がん患者と胃がん患者からがん組織と正常組織を採取し、慶大先端生命研でそれらの組織のメタボロームを網羅的に測定し、がんと正常組織の代謝物の違いを比較しました。その結果、低酸素の環境下でコハク酸を高濃度に蓄積するという回虫が示す現象ががんの組織でも起きていることが明らかになりました。このコハク酸の蓄積は回虫が特殊な代謝を使ったときにのみ観察され、がんもこの代謝を用いていることを強く支持する結果でした。

 また、酸素濃度の低い大腸がんの方が、胃がんよりもより多くのコハク酸を蓄積していることが判明しました。 虫下し薬でがん細胞が死滅すること、がん組織と回虫のエネルギーを生産する代謝のパターンが似通っていることから、がん細胞は、回虫などの寄生虫が酸素の乏しい環境下で使用する特殊な代謝、あるいはそれに似通った代謝を使って増殖に必要なエネルギーを生産している可能性を今回の実験で示しました。



 思わぬところに治療法が転がっているものです。それを見つけ出して実証した慶応大学に拍手を送りたい。

 久々にアレです、目の付け所がシャープだと思いました。

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2009年05月31日

フコイダンの肝臓がん増殖抑制効果を世界で初めて解明する

フコイダン肝がん抑制 長嶺群馬大教授が初解明

 沖縄産モズクに含まれるフコイダンに、肝臓がんの増殖を手助けするタンパク質「CXCL12」を抑制する効果があることが、群馬大医学部の長嶺竹明教授(那覇市出身)の研究で分かった。4月にアメリカの専門誌「栄養とがん(Nutrition and Cancer)」で論文を発表した。フコイダンが肝臓がんを抑制する仕組みを解明したのは世界初。肝臓がん予防などに応用できる可能性があるという。

 研究では、培養した肝細胞がんに濃度を変えたフコイダンを加えて実験。濃度が濃いほどCXCL12が減少したが、ほかのタンパク質は変化がなかった。発がん物質を投与したラットの実験では、フコイダンを与えたラットが与えないラットより肝臓がんの大きさが小さく、数も少なかった。

 沖縄産モズクのフコイダンが、北欧や北太平洋に生育する海藻ヒバマタのフコイダンより、医薬品や医療機器で安全性の指標となる細胞毒性が軽いことも分かった。

 今後は、フコイダンがほかのがんにも効くかどうかや、副作用があるかなど研究を進めるという



 以前よりフコイダンの抗がん作用は言われていましたが、それを世界で初めて実証した群馬大の長嶺竹明教授。おめでとうございます。

 沖縄モズクに含まれる成分ということで、ご当地モノとしてはかなり期待できそうです。

フコイダン

 モズク、コンブ、ワカメなど海藻類に含まれる多糖類の一種。抗がん作用があるという研究結果が多く報告されている。モズクから精製し、食料品や化粧品に応用している県内業者も多い。

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医学処:モズクに含まれるフコイダンにがんの増殖を抑制する効果あり
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貝類のコハク酸が大腸がんと胃がんの増殖を抑制する。

貝のコハク酸にがん抑制効果

 貝類や清酒のうまみ成分のコハク酸が、大腸がんと胃がんのがん細胞の増殖を抑制することを、広島大大学院生物圏科学研究科の加藤範久教授(57)=分子栄養学=らの研究グループが発見した。日常に近い摂取量で効果が得られることから、新薬のほか、広島名産のカキや清酒を使った新しい機能性食品につながる可能性がある。

 研究グループはまず、ラットにポリフェノールを摂取させると、大腸内のコハク酸の濃度が高まることを見いだした。その作用の応用実験で、大腸内のコハク酸の濃度が20ミリモルになると大腸がん細胞の増殖が約50%減ることがわかった。胃がん細胞でも増殖抑制効果を確認した。

 加藤教授は「がんの増殖抑制に、身近なコハク酸が有効なことが明らかになった意味は大きい。別の疾患への作用もありそうだ」と説明。今後、ヒトへの応用が期待される。研究成果は21日、長崎市である「日本栄養・食糧学会」で発表される。



 よくサプリメントなどでありますけれど、これは日常的な食事摂取量で適切な量を取れるという点が嬉しいですね。

 そういえばシジミ汁が肝臓に良いとか色々いわれてたりしていますが、シジミは大腸がんなどにも有用、ということでしょうかね。
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2009年05月09日

慢性炎症が引き金となって、悪性リンパ腫が生じる。

悪性リンパ腫:慢性炎症が引き金 東大チーム解明

 血液がんの一種の悪性リンパ腫が起きる仕組みを、小川誠司・東京大病院特任准教授(血液腫瘍学)らが解明し、4日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。一部の悪性リンパ腫では、胃炎など慢性的な炎症が引き金だった。炎症抑制が悪性リンパ腫の治療につながる可能性を示す成果として注目されそうだ。

 悪性リンパ腫は、免疫機能を担うリンパ球にできるがんで、国内で年約8500人死亡している。

 研究チームは、遺伝子を構成する物質「塩基」の配列の個人差を高効率で検出する技術を開発、悪性リンパ腫患者約300人で調べた。すると、主に消化管にできる「マルトリンパ腫」など2種類の悪性リンパ腫では、約2割の患者が、遺伝子A20の配列に変異があり働いていなかった

 この遺伝子は、炎症発生時にリンパ球が際限なく増殖しないようブレーキ役となっている。A20が働かない悪性リンパ腫細胞をマウスに移植すると、リンパ球が異常増殖、がんを発症した。A20が機能しない悪性リンパ腫細胞も、炎症で生じる刺激物質がないと増殖せず、炎症の有無ががん細胞増殖を左右していることが判明した



 なるほどね。

 そういえば胃潰瘍の原因となるヘリコバクター・ピロリ菌ですが、あれに感染していると悪性リンパ腫のリスクになるとか。つまり慢性炎症によって悪性リンパ腫になるということでしょうかね。

関連:悪性リンパ腫に使う抗がん剤「リツキサン」の副作用で8人死亡
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2009年05月08日

尿検査で肺がんを発見しやすくなるかもしれない。

尿検査で肺がん発見の可能性

 喫煙者の尿中にある2つの化学物質濃度を測定することで、肺がんの早期発見が可能になるかもしれない。米ミネソタ大のジャンミン・ユアン准教授が19日、コロラド州デンバーで行われた米国がん研究会議で発表した。

 米国では、がんの中でも肺腫瘍の致死率が最も高い。米国がん協会(ACS)によれば、2008年には肺がんで16万1840人が死亡し、21万5020人が新たに罹患している。

 公衆衛生を専門とするユアン准教授は、悪性腫瘍の原因となる副生物または代謝物を正確に特定することが肺がん予防には重要であると考え、米国立がん研究所(NCI)の資金提供を受け、約500人の尿中代謝物を分析。さらに動物実験によって発がん性が認められている2種類の化学物質「NNAL」と、ニコチンの副生物である「コチニン」に注目し、肺がんとの関連性を10年にわたって追跡調査した。

 その結果、尿中のNNAL濃度が高い喫煙者はその濃度が低い喫煙者よりも2倍、コチニンの濃度が高い場合は3倍、そして両方の化学物質濃度が高い場合は8.5倍に肺がんのリスクが高まることが分かった

 ユアン准教授は電話インタビューで「化学物質の尿中濃度検査が普及すれば、肺がんリスクの高い喫煙者を見つけて禁煙を促すことができる。禁煙が無理でも、集中的なスクリーニング検査で、ごく初期の肺がんを発見して治療することも可能になる」と指摘した。

 同准教授によれば、この検査方法はまだ医師が利用できる段階ではない。世界各地域で認可を受け、多環芳香族炭化水素(PAH)などその他の発がん性物質を検査対象に加えた上で検査技術を向上させるまでには、およそ3年から5年を要するという。

 「今のところ、尿中に排出される化学物質の濃度と肺がんの因果関係は明らかになっていないが、代謝システムは個人差があるため、発がん性物質の取り込み方にも違いが生じるのではないかと思われる。ここを出発点として予測モデルの開発にも取り組みたい」とユアン准教授は話す。



 確実性では劣るものの、尿検査という侵襲性の低い検査によって、ハイリスクな人を捜し当てることが出来るというのは大きいですね。スクリーニングといって、正常な人の中から異常な人を見つけるにはこういった簡便な検査が有用です。肺がんの可能性の高い人をみつけられれば、早期がんの発見に繋がりますし。
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