[がん]の記事一覧

2006年09月26日

カルシウムを大量に摂ると、大腸がんのリスクが減る

カルシウム多量に取ると大腸がんリスク3割減

 牛乳や小魚に含まれるカルシウムを毎日たくさん取ると、大腸がんになる危険性が約30%低下することが、九州大学の古野純典教授と国立国際医療センター研究所の溝上哲也部長らの大規模な疫学調査で分かった。28日から横浜市で始まる日本癌学会で発表する。

 大腸がんは欧米型の食生活が浸透し国内でも患者が急増、毎年約9万人が発病し、約4万人が死亡する。がんの部位別死亡数で見ると女性でトップ、男性だと第4 位。明確な予防効果が確認された食物はこれまでなかった。

 調査は2000年から03年にかけ、福岡市と近郊にある8病院に入院中の大腸がん患者840人と同地域で暮らす健康な住民833人を対象に実施した。普段食べている食品の種類と量を聞き取り、カルシウムやそのほかの栄養素の摂取量と大腸がんとの関係を調べた。

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 あまり知られていないことですが、女性のがん死亡率で一番高いのは大腸癌です。

 日本人はカルシウム不足な傾向にあるので、できるだけ補うようにして下さい。できれば吸収率の高いもの、その他栄養素の豊富な食品で取るとより良いと思われます。

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2006年09月25日

がん発症は蛋白質損傷が原因で起こるという新設誕生

がん「最初にたんぱく質損傷」発症メカニズムで新説

 がんは遺伝子の変異が積み重なって起きるとされるが、それ以前に、たんぱく質が損傷することで、細胞が「がん」特有の性質を持つとする新たな説を、渡辺正己・京都大学原子炉実験所教授らがまとめた。28日から横浜市で始まる日本癌学会で発表する。

 がん細胞は死なずに無限に増殖する。がんの原因を遺伝子の変異と考えた場合、変異の頻度と、細胞が“不死化”する頻度は比例するはずだ。しかし両者は一致しない場合が多い。渡辺教授らも以前、ハムスターの細胞に放射線を当てたが、不死化する頻度は、遺伝子変異の頻度より500〜1000倍も高かった。

 渡辺教授らは、遺伝子以外の、放射線で傷ついた部分に謎を解くかぎがあると考え、放射線照射後の細胞を詳しく調べた。その結果、染色体を安定させる役割を担うたんぱく質や、細胞分裂で染色体の動きを誘導するたんぱく質に多くの異常が見つかった。染色体数も増えており、不死化する頻度は遺伝子変異の頻度の1000倍以上だった。

 たんぱく質を傷つけるのは、放射線など様々な要因で細胞内にできる有害物質「ラジカル」とされる。渡辺教授らは、寿命の長いタイプのラジカルを培養細胞から化学的に除去。すると細胞が不死化する頻度が減り、関連が示唆された。渡辺教授は「がんの大半は、染色体にかかわるたんぱく質が傷つき、染色体が異常化して細胞分裂が正常に行えない細胞から生まれると考えた方が矛盾がない」と話している。

 酒井一夫・放射線医学総合研究所放射線防護研究センター長の話「遺伝子の変異ががんの原因というのは確かだが、それだけで説明できない部分もあり興味深い説だ」

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 要するに、染色体を正常に保つために必要な蛋白質が壊されて、正常に保てなくなったためにがん化するのではないか、と。新説というより、今までの説で説明されていなかった部分をかなり明確に示したというところでしょうか(それでも大きな発見だと思いますが)。

 染色体

 遺伝情報を担うDNA(デオキシリボ核酸)に、たんぱく質が絡んで複雑に折り畳まれた「ひも状」の物質。色素でよく染まることから名前がついた。細胞の核の中にあり、伸ばすと2メートルほど。人間は、父母から半分ずつ受け継ぎ、1対23組、計46本を持つ。生物の種によって数は異なる。

関連:医学処がんカテゴリー
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2006年09月17日

アディポネクチンには強力な抗がん作用もあった!

メタボリックで胃がんリスク高まる…東大チーム

 内臓の周りに脂肪がたまる内臓脂肪症候群(メタボリック・シンドローム)に陥ると、動脈硬化や糖尿病だけでなく、胃がんのリスクも高まることが、東大腫瘍外科の北山丈二講師らの研究でわかった。

 肥満解消が、がんの予防や再発防止にもつながる可能性を示す成果と言えそう。今月下旬に横浜市で開かれる日本癌学会で報告する。

 北山講師らの研究チームは、脂肪細胞から分泌される「アディポネクチン」というホルモンに着目した。脂肪の燃焼を助ける働きなどをするが、内臓脂肪症候群になると、分泌量が減り、血液中の濃度が下がる。

 チームが突き止めたのは、アディポネクチンに強力な抗がん作用があること。ヒトの胃がん細胞を移植したマウスにこのホルモンを投与すると、腫瘍が最大で9割も減少した

 さらに、胃がん患者75人の血液中のアディポネクチン濃度を調べたところ、がんの進行した患者ほど濃度が低かった。このホルモンは、胃がん細胞と結合しやすい構造をしており、結合したがん細胞を殺す働きがあるとみられる。抗がん作用は、血液1ミリ・リットルあたりの量が0・03ミリ・グラムを超えると強まる。内臓脂肪症候群の人の濃度は、その5分の1〜6分の1という。がん増加原因として、脂肪の過剰摂取が挙げられるが、がんを引き起こす仕組みは十分に解明されていない。

 内臓脂肪症候群に詳しい松沢佑次・住友病院(大阪市)院長「乳がんや子宮がんと内臓脂肪の関連も最近指摘されている。一層の研究を進める必要がある」

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 アディポネクチンSugeeeee。単に生活習慣病と関連しているだけでなく、強力な抗がん作用まで持つとは。つまり生活習慣病になってアディポネクチン量が低下すれば自ずと発癌リスクも上がるという仕組み。

 これは商業的に「来る」かもしれません。医学的にも証明された、アディポネクチンの凄さ。とりあえず日常で出来ることといえば「緑茶」を飲むことでしょうか。緑茶で、健康生活。

参考:【第65回】アディポネクチンに注目/東海大学医学部久保明教授

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2006年09月13日

放射能から眼球部を守る遮蔽装置を開発

放射線医学総研、眼球部へのX線照射を防止する遮へい装置開発へ

 放射線医学総合研究所、関東技研(茨城県東海村、小野洋伸社長、029・282・3535)、茨城県工業技術センターは共同で、眼球部へのX線照射を防ぐ医療用X線遮へい装置の開発に乗り出す。X線透視装置を使った手術による眼球への副作用を抑えるのが狙い。患者の片眼の位置を常に捕捉した上で、照射を自動で遮る試作機を開発した。今後、その効果を確認した後、両眼に対応する装置を製作し、08年4月をめどに商品化を目指す。

 開発する遮へい装置は、本体をX線透視装置のベッドとX線発生器の間に装着し、透視装置のアーム上方にCCDカメラを付ける。本体はX線を通さない小さい鉛の板(遮へい板)が縦横に動く。CCDカメラで患者の眼球の位置をリアルタイムで追跡し、それに合わせてX線発生器と眼球の中間位置に遮へい板を移動させることで眼球部へのX線照射を防ぐ

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 毎回毎回CTやらレントゲンやらで放射能を受け続けるのもばかばかしいですからね。せめて影響を受けやすい眼球だけでも守ってやろうじゃないかという今回の試み。防ぐ方法はかなり原始的なものでありながらも、期待の持てそうな仕組み。シンプルイズベスト。

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2006年09月10日

抗がん剤カプセルをがん細胞に取り込ませて赤外線照射する

がん細胞内で薬の中身放出

 独マックスプランク研究所などの研究チームは直径が数μbの微小カプセルの中に薬剤をいれ、がん細胞内で中身を放出する技術を開発した。

 研究チームは高分子ナノbサイズの金や銀の粒子を混ぜてカプセルを作った。その中に薬剤に見立てた蛍光物質を入れて顕微鏡で観察、カプセルががん細胞内に入ったのを確認したあとに赤外線レーザーをカプセルに照射した。するとカプセルの温度が上昇し分子の結合が壊れ、中の蛍光物質が放出され、細胞内に広がった。がん細胞だけに効果的に効く薬の開発につながる成果だという。研究チームはがん細胞だけに取り込まれるようにカプセルを改良し実用化を目指すとしている。

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 あとはがん細胞がどこにあるのか体内で判断することができれば良いのですが。PETでもまだまだ精度は甘いらしいんで難しいところです。局所的に治療できれば副作用も少なそうですが。

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2006年09月09日

自分の免疫能力を体外で育成、再注入して癌を治す

がん「攻撃部隊」体外で育成 米グループが新治療法

 外敵から身を守る免疫細胞を体外に取り出し、特定のがんを攻撃する「専門部隊」に育てたあと、体内に戻してがんを縮小させる実験に、米国立がん研究所のグループが成功した。がんの免疫療法の新しい手法として注目されそうだ。米科学誌サイエンス電子版で1日、発表された。

 同研究所のスティーブン・ローゼンバーグ博士らは代表的な皮膚がんの一つ、悪性黒色腫(メラノーマ)の患者に協力を求め、患者の血液から免疫細胞のT細胞を取り出した。そして特殊な遺伝子を組み込んでから患者に再注入した。

 遺伝子には、メラノーマ細胞を識別するための情報が組み込まれており、T細胞はこの情報をセンサーとして使い、メラノーマ細胞を見分けて攻撃する。

 実験では、他の治療法では回復の見込みがない17人の患者のうち2人で肝臓や肺に転移していたがんがほぼ消えるなど、一定の効果がみられた

 体にはがんなどの標的をたたく仕組みがもともと備わっているが、がんの広がりに攻撃力が追いつかないケースが多い。 慶応大の河上裕・先端医科学研究所長(免疫学)は「免疫力を利用してがんを治療する試みは以前からあるが、効果は十分とは言えない。今回の方法はより高い治療効果が望め、(T細胞に組み込む情報を変えれば)メラノーマ以外のがんに使うことも可能だ」としている。

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 前から似たような療法はありましたが、今回はそれのパワーアップバージョンということで。元ニュース中にあります画像を見れば一目瞭然だと思うので、興味のある方はそちらを参照して下さい。免疫系統を支配できればがんも治せるというお話でした。

関連:医学処 がんカテゴリー
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2006年09月07日

一滴の血液から早期に膵臓がんを見つける技術。

膵がん、血液で早期診断へ 1滴で精度90%以上

 国立がんセンター研究所化学療法部(東京都)の山田哲司部長と本田一文室長のグループが、患者から採った1滴の血液で、膵がんの有無を診断する方法を開発した。膵がんの有効な早期診断法はなかったが、90%以上の精度で見つけることができるという。山田部長が主任研究員を務める厚生労働省研究班として今年度、国内6施設で協力し、より精度を上げる技術開発にかかる。3年後をめどに人間ドックなどでの応用をめざす。

 山田部長によると、日本では、膵がんで年間2万2000人が死亡。がんの死因の第5位で、がん全体の約7%を占める。しかも最近20年間で膵がんは2.5倍と急増する傾向にある。初期には身体症状が出にくいため早期診断が難しく、日本膵臓学会の集計では多くがステージ3、4期といった進行した状態で見つかる。このため5年生存率は、国立がんセンター中央病院の男性患者の場合でも、胃がんをはじめ50%を超すがんが多い中で、膵がんは62〜66年に入院した患者のデータでは2.7%、97〜99年の患者でも4.2%と低い状態が続いている。

 山田部長らは、膵がん患者と健康な人の計142人の血液から、患者に特異的に増減するたんぱく質を分析。4種類のたんぱく質を調べる方法で、膵がんがあるかないかが判断できることを突き止めた。この方法で別の患者78人のデータを解析したところ、91%の正しさで診断できた。

 膵がん患者に特異的に表れる抗体(腫瘍マーカー)で調べる方法も併用すれば、より完全に近い診断もできそうだという。研究班は今後、大阪医療センターや福岡大病院など6施設で患者など計3000人のデータを解析し、診断基準となる4種類のたんぱく質の増減の標準値などを詰めていく。

 血液の分析は1日あれば可能。医療施設から分析拠点へ郵送するような方法を採れば、全国の健康診断に導入できそうだという。

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 がんは、早期発見が大切です。特に膵臓のように、初期症状がはっきり出てこない癌の場合には、定期的に検査して少しでも早く発見するしかないわけです。でも膵がんは、発見しづらいものでした。

 ところが!血液検査でわかってしまう技術が開発されました。これは膵臓がんの死亡率をグッと下げる技術です。まさに快挙。さすが国立がんセンター勤務のエリート。これからも頑張って下さい!

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2006年09月06日

がん医療のスペシャリスト育成に向け、大学院に助成金

「がん医療のプロ」育て、文科省が大学院に財政支援

 文部科学省は来年度から、がんに詳しい医師や看護師を育成する大学院に財政支援する新規事業を始める。6月に成立したがん対策基本法を受け「がんのプロ」を増やして医療人材の配置に地域的偏りをなくすことが狙い。全国の大学から公募で10件前後の取り組みを選び、数年間、補助金を交付する。がんに特化した人材育成策を同省が打ち出すのは初めて。

 事業名は「がん医療のプロフェッショナル養成プラン」。大学院と付属病院が連携して、優れたがん専門家を育成する教育プログラムに補助金を出す。

 支援対象は育成する人材に応じて3種類。主に若手医師を対象にする「腫瘍専門医師養成コース」は、博士課程の4年間を通じ、臨床と研究をバランスよく経験させ、双方の能力を兼ね備えた専門医を育成する。

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 日本は常々、腫瘍内科医の不足が問題視されていました。適切な抗がん剤治療のできるプロフェッショナルの存在なくして、がん治療も緩和ケアも行うことはできません。

 日本で育成できればそれに越したことはありません。試行錯誤の連続でしょうが、頑張ってほしいと思います。

関連:医学処 抗がん剤のスペシャリスト47名誕生
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2006年09月03日

肝炎から肝硬変になったのに癌検診を怠った医師。賠償は5100万円

医療過誤:がん検診怠った医師らに賠償命令 東京地裁

 肝がんで死亡した東京都内の会社員男性(当時45歳)の遺族が「検査を怠り病状の進行を見逃した」として、主治医と病院側に約1億円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は1日、約5100万円の支払いを命じた。藤山雅行裁判長は「検査すれば、がんを早期発見でき、あと4年近く長生きできた。初歩的で重大な過失」と指摘した。

 判決によると、主治医は95年に肝がんになりやすい肝硬変と診断したが、高額な治療薬を健康保険で処方するため保険病名を慢性肝炎とした。00年1月に画像診断で肝硬変と改めて分かったが、その後もがん検査をせず、男性は02年4月、死亡した。遺族は主治医とともに、主治医が勤務する横浜市内の病院を運営する医療法人社団(神奈川県秦野市)を訴えていた。

 主治医側は「男性の負担軽減のため病名を変えて診察するうちに肝炎と誤解した」と過失を否定したが、判決は「00年の画像診断で肝硬変と改めて分かったことで、遅くとも同年末にはがんを発見できた」と退けた。

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 自分でやっておいて忘れるとは、それはもう「過失」だと思います。肝硬変なのに癌検査をしなかったのは問題でしょう。これは賠償を取られても仕方ないと思います。

関連:医学処 肝硬変一覧
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2006年09月02日

間違った乳がん検査を受けており25人中1人が死亡

乳がん患者25人の検査でミス 島根県立中央病院

 島根県立中央病院(出雲市)は30日、乳がん患者25人の治療法を見極めるための検査で、本来しなければならない項目を別の項目と取り違えて実施するミスがあったと発表した。そのため25人中4人は有効なホルモン療法を受けられなかった。その後死亡した1人について、同病院は「延命を図れた可能性は否定できない」としている。

 同病院によると、乳腺の組織の検査を臨床検査大手の三菱化学ビーシーエル(東京都板橋区)に委託して実施している。ホルモン療法が有効かどうかを判断するため、医師は電子カルテの検査項目に「エストロゲンレセプター」「プロゲステロンレセプター」と入力した。院内に常駐する社員3人が、電子カルテの画面などを見ながら別の用紙に転記する際、それぞれ「エストラジオール」「プロゲステロン」と似た表記の別の項目名を記入。これを基に、同社の子会社の担当者が検査した。

 3人は正しい項目名と転記した項目名を同じと勘違いし、03年3月から9月まで誤記を続けていた。この間、30〜90歳代の25人が間違った検査を受けた。その後もホルモン療法を受けられなかった4人のうち、乳がんがかなり進行していた70歳代の女性は検査を受けた半年後の03年9月に亡くなったという。

 会見した中川正久院長は「病院としておわびしたい。関係する患者さんや家族には十分に説明したい」と話した。同社の佐川直敏社長は「おわびのしようがない。今後記入方法などを見直したい」と話した。

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 あー怖いですねこういうの。委託の検査か。いづれ資格が必要になってくるんでしょうが…。薬品や物質名など間違えやすいモノは2重3重の確認を。

関連:
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2006年08月30日

中皮腫を破壊するウイルス研究に、クボタが乗り出す

ウイルス攻撃で中皮腫破壊 クボタが5億円寄付

 アスベスト(石綿)が原因となるがんの一種「中皮腫」の細胞を特殊なウイルスで攻撃し破壊することができたとのマウス実験の結果を、大阪府立成人病センターの高橋克仁病態生理学部門部長と山村倫子主任研究員らが28日までにまとめた。

 石綿の被害は今後顕在化し、中皮腫の患者が増える可能性が大きいが、効果的な治療法は確立されていない。高橋部長らは研究を進め、5年後に臨床試験を始めたいとしている。

 兵庫県尼崎市で石綿を扱った工場を操業、周辺住民の健康被害に補償となる救済金制度をつくった大手機械メーカー、クボタは、この研究に本年度から5年間に計5億円を寄付する

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 なにやらクボタが中皮腫関連に積極的ですね。

 医学処 兵庫医大が中皮腫・アスベスト疾患センターを開設

 ウイルスで特定の癌細胞だけを破壊できるのならば、中皮腫でなくても、例えば乳がんなどのように再発性の高い癌や、転移しやすい肺の小細胞癌などにも有効なウイルスが出来るのでしょうか。今後に注目したいニュースです。

関連:医学処 アスベストで引き起こされる中皮腫の新薬、来年販売か
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2006年08月29日

1日3杯紅茶を飲むと、がん予防に虫歯予防に骨強化ができる

1日3杯の紅茶が健康増進=がん予防に効果、骨も丈夫に−英研究者

 BBCなど英メディアは24日、1日に3、4杯の紅茶を飲むと健康になるという専門家の研究結果を報じた。心臓発作やがんの予防につながるほか、虫歯にならず骨も強くなるという

 報道によると、研究結果をまとめたのは、ロンドン大学キングズ・カレッジの研究者キャリー・ラクストン氏。紅茶は、果物や野菜が持つ良質な抗酸化栄養素を含み、3杯の紅茶にはりんご1個の約8倍の酸化防止効果があるという。

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 この手のニュースで気をつけなければいけないのは、どのくらいの効果があるのかということ。例えば卵には良質な蛋白やビタミンが含まれていますが、卵にほんのわずか含まれる微量な栄養素は誰も取り上げませんよね?ですが、こういった「効果あります」系のニュースでは時々、そんな誰も取り上げないようなことまで強調して書く傾向にあります。「効果があるのは事実なんだから!」と。

 有名なのはハイドロキシアパタイトでしょうか。ハイドロキシアパタイト話に関してはこちらを参照して下さい。
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2006年08月26日

兵庫医大が中皮腫・アスベスト疾患センターを開設

初の中皮腫医療機関 兵庫医大今秋開設、予防や治療法解明

 アスベスト(石綿)が原因で発症するがん中皮腫の予防や発症メカニズムの解明、治療法の研究にあたる国内初の専門医療機関「中皮腫・アスベスト疾患センター」が今秋、兵庫県西宮市の兵庫医科大に開設される。

 同医科大は、大手機械メーカー「クボタ」旧神崎工場(同県尼崎市)周辺で中皮腫を発症した住民らの治療にあたっており、同社は研究費などを助成する方針。

 昨年6月にクボタが周辺住民の健康被害を明らかにして以降、中皮腫患者が増加していることから、年間100人前後の患者を診察している同医科大が、中皮腫に特化した治療・研究機関の設立を検討していた。

 センターは大学施設を改装して設け、呼吸器内科の中野孝司教授(55)ら医師5人が診察・治療にあたる。労災やアスベスト救済新法などについて、患者らの相談に応じる専門のソーシャルワーカーも1人配置する。

 また、アスベストを吸っても発症しないケースがあることから、遺伝子レベルで中皮腫の特徴を解析し、検診などでの早期発見に役立てる。手術や放射線治療以外に、製薬会社とも協力し、効果的な新薬開発に取り組むという。同医科大によると、2004年に約1000人だった中皮腫による死者は14年ごろに2000人を超え、30年ごろまで増加傾向が続く見通し。中野教授は「早期発見、早期治療によって、一人でも多くの患者を救いたい」と話している。

 中皮腫の治療法研究については、厚生労働省が今年度からアスベストを扱った工場の周辺住民らを対象に健康状態の調査を実施し、研究に役立てる。

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 兵庫医大Good Job!!

 中皮腫

 肺の周りの胸膜や肝臓などの臓器を囲む「腹膜」、心臓などを覆う「心膜」などにできる腫瘍。ほとんどはアスベストが原因で、吸い込んでから約20〜50年で発症するといわれる。悪性の場合、発症後の進行は早く、有効な治療法は確立されていない。

関連:医学処 アスベストで引き起こされる中皮腫の新薬、来年販売か
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2006年08月24日

がん対策基本法の実施に向け、300億円を投入

がん対策大幅拡充、予算倍増300億円要求…厚労省

 6月に成立したがん対策基本法に基づき、厚生労働省が2007年度に実施するがん対策の全容が22日、判明した。

 患者の苦痛を和らげる緩和ケアを早い段階から実施するため、医師向けマニュアルを整備するほか、先進各国に比べて極端に少ないモルヒネなど医療用麻薬の適正な使用を拡大する。都道府県の独自のがん対策に総額30億円程度の財政支援を新規に行う。厚労省は07年度予算の概算要求に、前年度比で2倍近い約300億円のがん対策費を計上する方針だ。

 患者の関心が高い緩和ケアは現在、専門知識を持つ医師が少ないこともあり、治療末期に実施されることが多い。厚労省は、モルヒネの使用法などを含む、医師向け講習会やマニュアル作りを通じて、早い段階から緩和ケアを受けられるようにする。自宅で緩和ケアを希望する患者の相談相手となる「在宅緩和ケア支援センター」も新設する。

 また、がん治療は入院して受ける例が多いが、経済的な理由などから通院による抗がん剤治療を希望する患者向けとして、国立がんセンター東病院(千葉県柏市)に専門の「通院治療部」(仮称)を新設する。

 がん医療水準向上のための指導チームの派遣など、地域の特性を踏まえ、先駆的な事業を行う都道府県を支援する制度も創設する。

 施設整備では、医療水準の地域格差の解消に向け、治療の中核となる「がん診療連携拠点病院」を現在の135から358に増やすため、07年度予算で約95億円を要求する。放射線診断装置など高性能機器の整備のため、緊急の財政支援を実施する。がん細胞の有無などを判断する病理医が足りない病院には、遠隔画像診断装置を整備し、他の病院による支援体制をとる。

 国立がんセンター(東京・築地)には、「がん対策情報センター」(仮称)を設置し、最新のがん医療情報を収集・提供するほか、国内のがん罹患率や再発のデータを集める。各拠点病院などでも、データの登録制度を実施する。

 がん対策基本法は、患者本人の意向を尊重した適切な医療体制の整備などを基本理念とし、国や地方自治体にがん対策の推進を義務づけている

 がんは1981年以来、日本人の死因の第1位となっている。厚労省によると、05年は32万5885人が亡くなり、第2位の心臓病の2倍近くに達している。

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 日本人にとってがんは天敵ともいえる病気ですが、どうも「治るか治らないか」の議論ばかり進んでいて、「受け入れる」という選択肢が軽視されていると思うんですよね。

 がんに対して適切な知識を持っていれば、完治するのは難しいという段階があると理解できるのですが、日本人の場合、そういう段階にいても治療法を模索するか、絶望するかのどちらかが多いのでは。

 おそらく永いこと、エンターテイメントの場において「ガン」がドラマティックに取り上げられすぎたのが原因の1つではないかと思われますが、実際はガンは身近にあるものです。そして、治らないと分かったときに「受け入れる」ことも必要なんです。

 そのための「緩和ケア」。有限な残りの人生を、自分らしく生きるためには自身が受け入れ、医師と円滑なコミュニケーションをとることで「楽」にガンと「共に生きる」ことができるわけです。

 とりあえず、緩和ケアに関する情報発信が少なすぎる気がします。どうでもいいニュースより積極的に取り上げるべき事象が、ここにはあります。


関連:医学処 日本人は死の準備をさほど重要視しない
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2006年08月19日

粒子線治療施設を作って、がんを切らずに治そう

がん切らずに治す 粒子線治療施設NPO法人計画

 切らずに治す、がんの最先端治療法として注目されている粒子線治療施設の建設計画を、医療機関や医療関連企業、個人などでつくる「NPO法人東京地域チーム医療推進協議会」(理事長=武藤徹一郎・癌研有明病院長)が進めている。

 粒子線治療施設は、公立の研究所などが研究を兼ねて運営する例はあるが、治療専門の民間施設はまだなく、2010年ごろのオープンを目指す。

 同施設は、電気を帯びた炭素原子を加速器で高速に加速し、患部に照射してがんを死滅させる。エックス線に比べて質量が大きな炭素を使うため、がん細胞への殺傷能力が高いとされる。さらに生体内の標的に確実に当てることができるため、正常細胞への影響を減らせ、副作用が少ないのが特長だ。

 粒子線治療を希望する患者は多いが、建設には加速器設置を含め、100億円以上が必要だ。このため、首都圏を中心とする医療機関や医療関連企業が共同出資する。年間1200人程度の利用が見込めるといい、場所は川崎市が候補としてあがっている。

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 高いけど、回収できる算段なのでしょう。実際に効果があれば多少高くても皆やりますからね。。。実際に効果があればの話ですが。副作用が少ないというのも、果たして。
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2006年08月17日

病気別に検索できる、闘病記ライブラリーが完成

闘病記ライブラリー完成、病種別にネットで検索

 患者や家族らがつづった闘病記を病気別に探し出せる「闘病記ライブラリー」を、国立情報学研究所の高野明彦教授と市民団体が共同で作成し、インターネット上で公開している。

 闘病記は、同じ病気に苦しむ患者が、治療法や病気に対する心構えなどを知るのに役立つが、題名だけでは、闘病記かどうか、どの病気に関する本なのかわからないことが多い。

 図書館などに闘病記専用のコーナーを設ける活動を続けている「健康情報棚プロジェクト」(石井保志代表)にも、そうした不満が寄せられたことから、高野教授と同ライブラリーの整備を進めてきた。

 同ライブラリー((http://toubyoki.info/))を開き、がん、脳、心、血液、小児など12テーマから一つ選択すると、子宮がんや白血病など57の病名が表示され、約700冊の闘病記が一覧できる。

 背表紙のタイトルを選ぶと、目次や前書きのほか、要約や解説も見ることができ、著者がどんなことに悩み、なぜ闘病記を執筆したかなどがわかる。また選択した闘病記を所蔵する図書館も表示される。

 石井さんは「どんどん冊数を増やしていくので、患者が医療情報を入手する手段として活用して欲しい。介護の体験記なども扱っていきたい」と話している。

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 これは、良いですね。マイナスの面もそりゃあるでしょうが、プラスの面のほうが大きいのでは。恐怖症になってしまうより、勇気を得る手段として用いてほしいものです。
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2006年08月14日

日本でも多発性骨髄腫治療としてサリドマイドを承認申請

サリドマイドの製造販売、がん治療で承認申請

 深刻な薬害を引き起こし、約40年前に販売が停止された「サリドマイド」について、大阪府松原市の製薬会社「藤本製薬」が8日、血液のがんの一種である多発性骨髄腫治療薬としての製造販売の承認を厚生労働省に申請した

 審査が順調に進んだ場合は、来年夏にも承認されることになる。

 処方対象は、多発性骨髄腫患者のうち、サリドマイドの服用以外の治療法で十分な効果が得られない患者。同社は、昨年7月から今年6月にかけ、患者38人を対象に臨床試験を行ったが、「有効性や副作用の発現率は、海外のデータと大差はない」としている。

 薬害を防ぐ方策として、同社は、妊婦に対しては使用禁止としたうえで、女性については使用前に妊娠検査を義務づけ、さらに、使用者を登録制にするなどの「安全管理体制を確立する」としている。

 かつて催眠・鎮静剤として販売されたサリドマイドは、妊婦が服用して胎児の手足に重い障害が出る薬害が相次ぎ、1962年に販売が中止された。しかし、海外で多発性骨髄腫に有効であることがわかり、個人輸入が急増した。患者団体から早期承認を求める声が上がる一方で、薬害被害者からは慎重な審査と、厳重な管理体制の確立を求める要望が寄せられていた。

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 アザラシ肢症などで社会問題となったサリドマイドですが、最近その有用性ゆえに復活の兆しを見せています。既にアメリカでは多発性骨髄腫の薬として承認されており、日本の同患者も期待している現状です。

医学処 【米】サリドマイドを多発性骨髄腫の治療薬として承認
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2006年08月08日

脳腫瘍の増殖を促進する遺伝子、メルク。

脳腫瘍:増殖に遺伝子関与突き止める 米グループ

 悪性脳腫瘍のもととなる腫瘍幹細胞(がん幹細胞)の増殖には、メルクと呼ばれる遺伝子の働きが欠かせないとの研究結果を、米カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)のグループがまとめ、北米脳神経外科学会で7日までに発表した。メルクが正常な神経系幹細胞の増殖を制御していることは知られているが、腫瘍幹細胞で同様の働きが確認されたのは初めて。治療法や医薬品の開発に役立てたいとしている。

 グループは、UCLA小児神経内科のハーレー・コーンブルム医師、同脳神経外科の中野伊知郎医師ら。悪性脳腫瘍から腫瘍幹細胞を取り出して培養し、RNA干渉という手法でメルクの働きを止めたところ、約24〜48時間以内に大部分の細胞が死滅。メルクが腫瘍幹細胞の増殖にかかわっていることを突き止めた。

 最近の研究で、腫瘍へと成長するのは腫瘍幹細胞のような少数の細胞群であることが判明。腫瘍幹細胞は乳がん、白血病などでも見つかっており、この細胞を標的とすることで効率良く治療できると期待されている。

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 メルク遺伝子が正常細胞と腫瘍細胞で異なっていれば治療法もできそうですが…。局所的にメルク遺伝子を制御すれば良い?いやでもそれは乳がんなどの再発する可能性の高いがんでは効果がないし。
posted by さじ at 19:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

高周波エネルギーで肺癌(非小細胞癌)を治す

肺癌の熱焼灼療法に高い延命効果

 高周波エネルギーにより腫瘍を焼いて癌細胞を死滅させる熱焼灼療法(thermal ablation)と呼ばれる非外科的治療によって、末期肺癌患者に数年の延命が認められることが、米ロードアイランド病院の研究で明らかにされた。

 この研究は、推定余命1年未満で、手術に適さないstage(病期)I〜IIの非小細胞肺癌(NSCLC)患者41例を対象に実施された。このうち27例が熱焼灼療法の後に外部放射線療法を受け、残る14例は熱焼灼療法の後に腔内照射療法を受けた。熱焼灼療法の高周波エネルギーとして、ラジオ波とマイクロ波が用いられた。

 41例中、98%が6カ月生存し、87%が1年、70%以上が2年、57%以上が3年生存した。全体の平均生存期間は42.2カ月であった。腫瘍の大きさが3cm未満であった17例で最も良好な転帰が認められ、平均生存期間は44.4カ月であった。

 研究を行なったDamian Dupuy博士によると、非小細胞肺癌と診断された患者のうち手術に適するのはわずか3分の1で、これ以外の患者は余命12カ月未満という現実に直面することになる。この新しい治療法は効果が高いばかりでなく、これまでほかに選択肢のなかった患者の治療を可能にするもの。画像技術を駆使して目標を定めた熱焼灼療法により肺癌を焼いて破壊し、患者の余命を延ばすことができるとDupuy氏は述べている。(※編集注=熱焼灼療法は肝癌治療にはすでに用いられている)

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 非小細胞癌ならでは治療法でしょう(小細胞癌は進行が早いのでこのような局所的治療は難しい)。手術に適さないstageI〜IIということで、まあ末期には違いないのでしょうが、転移などのない局所的なものに限定されるようです。

 ちなみに肺癌のStage分類は案外楽で、イメージしやすいものになっています。Stage分類はTNM分類によって定義されており、各々の意味については下記に載せておきます。

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stage IA期…「T1 N0 M0」
stage IB期…「T2 N0 M0」
stage IIA期…「T1 N1 M0」
stage IIB期…「T2 N1 M0」もしくは「T3 N0 M0」
stage IIIA期…「T1 N2 M0」もしくは「T2 N2 M0」もしくは「T3 N1&2 M0」
stage IIIB期…「どのTでもよく N3 M0」もしくは「T4 どのNでもよく M0」
stage IV期…「M1があるもの」

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T1: 腫瘍の主径は3.0cm以下の大きさで、健常肺組織または胸膜に囲まれているもの。気管支鏡的にがん浸潤が葉気管支より中枢側におよばないもの。
T2: 腫瘍の大きさまたは進展度が以下のもの。
−腫瘍の主径が3cm以上のもの。
−主気管支に浸潤がおよぶが、腫瘍の中枢側が気管分岐部より2.0cm以上離れているもの。
−臓側胸膜に浸潤のあるもの。
−肺門におよぶ無気肺、あるいは閉塞性肺炎があるが片肺全野におよばないもの。
T3: 大きさと無関係に隣接臓器、例えば胸壁(superior sulcus tumorを含む)、横隔膜、縦隔胸膜、壁側心膜などに直接浸潤する腫瘍。
または、腫瘍の中枢側が気管分岐部より2.0cm以内におよぶ(a)が、気管分岐部に浸潤のないもの。
または、無気肺・閉塞性肺炎が片肺全野におよぶもの。
T4: 大きさと無関係に縦隔、心臓、大血管、気管、食道、椎体、気管分岐部に浸潤のおよぶ腫瘍。同一肺葉内に存在する腫瘍結節。または悪性胸水を伴う腫瘍

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N0: 所属リンパ節に転移がない
N1: 原発腫瘍の直接浸潤を含み、同側気管支周囲および/または同側肺門リンパ節の転移
N2: 同側縦隔リンパ節転移および/または気管分岐部リンパ節転移
N3: 対側縦隔、対側肺門、同側または対側斜角筋前、または同側または対側鎖骨上リンパ節転移

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M0: 遠隔転移がない
M1: 遠隔転移がある  

参考:非小細胞癌関連:医学処 女性の喫煙者は、男性の喫煙者よりも肺癌になりやすい。
   
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2006年08月06日

富山呼吸器外し事件の伊藤雅之外科部長がインタビューに応じる

呼吸器外し:富山・射水市民病院の前外科部長に聞く

 富山県射水市の射水市民病院(麻野井英次院長)で末期患者7人の人工呼吸器が外された問題で、関与を認めている伊藤雅之・前外科部長(50)=現・射水市福祉保健部参事=が3日、毎日新聞の取材に応じた。主治医として関与した患者は6人で、うち1人は生前に直接本人から延命治療を望まない意思を確認し、2人については本人の意思が推定できたことを明らかにした。富山県警の事情聴取については、「患者はみな回復不能の脳死状態だった。家族の同意はカルテにも記録されており、犯罪ではない」との認識を示した。

 本人が延命治療を望まない意向を直接伝えていたのは、50代の女性がん患者。胃がん手術後に背骨に転移。抗がん剤治療の過程で女性は「最後は楽に逝きたい」と延命治療を望まない意思を伝えたという。女性は夫にも「チューブにつながれてまで生きたくない」などと話していたといい、最終的には「つらい選択だけど本人のためには一番いいんだ」という夫の求めに応じ、呼吸器を外したという。

 本人の意思が推定できた患者の1人は、膵臓がんの70代の男性。手術後のやりとりで「痛みだけとってもらえれば、他の治療はしてほしくない」と話したという。

 また、肺炎だった90代男性は、家族の話やカルテや看護記録にある本人の発言から、延命治療を望んでいなかったことが分かったという。

 6人については、家族の希望で呼吸器を外した趣旨の記載がカルテにあるが、同意書はない。この点について「患者さんとの付き合いも長く、信頼関係は紙ぺらではない。『患者のために何をしてあげられるか』から医療が始まる。最大限、家族の意思に沿うよう心がけた」と話した。

 今回、実名を出しての取材に初めて応じた理由については「一部の病院で拙速なマニュアル作成へと短絡する傾向が見られる。『人工呼吸器外し』の患者さんの情報を現時点で可能な限り公表し、深い論議と考察をしていただく機会になればと考えた」と語った。

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 当時問題視されたあの事件です。

 医学処 医者が尊厳死かどうかを決めるべきではない

 がんの痛みというものは想像を絶するものです。想像できないからこそ、医者や家族ではなく「患者本人の意思」がなければ尊厳死すべきではありません。

 確かに伊藤雅之元外科部長は患者と信頼関係があったかもしれませんし、それが「同意書」という紙切れ1枚で表現できるものではないかもしれません。それでも同意書は必要だと思います。患者の意思を明確にしなければ、医師による命のやりとりに発展する危険もあります。

 患者が死ぬよりも辛い苦しみにとらわれているのもおかしな話だと思います。そういう意味で尊厳死は認められるべきことですが、その制度は厳重なものにしなければいけないでしょう。そこらへん、伊東雅之氏にはもう少しきちんとやってもらいたかったなぁと。
posted by さじ at 00:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん