2008年01月05日

相手の顔を見ずに育っても、表情の違いは見分けられる。

顔見ず育っても表情識別=成長の特定時期に環境適応

 猿の赤ちゃんは、人間や動物などの顔を最長2年間全く見ずに育っても、人間や猿の顔の表情の違いを見分けられることが分かった。しかし、その後人間の顔だけを1カ月間見続けると、人間の顔しか表情が分からなくなり、猿の顔だけ見続けると、猿の顔しか違いが分からなくなった。産業技術総合研究所の杉田陽一認知行動科学研究グループ長が1日までに行った実験の成果で、論文は米科学アカデミー紀要の電子版に掲載される。

 顔を見る際には、他の物を見るときとは違う脳神経回路が働いているとみられ、これは赤ちゃんにとって表情を読み取ることが、親の保護を受けて生きる上で極めて重要だからだと考えられる。さらに、微妙な表情の識別能力は、感受性がある時期に環境に応じて特殊化することが示された。



 本能、と簡単に言ってしまっても、こういうのはふしぎなものですねぇ。動物は生まれつき、視力が低くても、丸が3つあればそれを顔だと認識するとか何とかいう話がありましたが、何でなんでしょうね?まだまだ生物には謎が隠されています。

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2008年01月03日

百歳の小児科医、吉井三郎院長のモチベーション

<100歳小児科医>意気盛ん「患者いる限り診療続ける」

 鹿児島県曽於市にある吉井診療所の吉井三郎院長はこの元日で100歳を迎えた。1946年に開業以来、地域医療を担ってきた現役小児科医だ。昨年10月に心筋梗塞で倒れたが、回復。療養のため一時休診しているが、吉井さんは「ぼくを頼りにして来てくれる患者がいる限り、診療は続ける」と意気盛んだ。

 吉井さんは、洋画家で、文化勲章受章者の故吉井淳二画伯の4歳下の実弟で、1908(明治41)年1月1日生まれ。父親の勧めで医師を目指し、38年に慈恵医大(東京)を卒業。民間病院や陸軍軍医を経て、現在地に内科・小児科医院を開業した。かかりつけの患者は親子3代にわたるという。

 近くに住む長女の川野久美子さん(68)によると、10月に入院して以来、車椅子が離せなくなった。だが、診療所再開への気力は衰えないという。

 吉井さんは「くよくよせず、体にいいものを食べることが長生きの秘訣」と話す。小児科医になった理由を「子どもが好きだから」と明快に答える一方「今の小児科医不足は心配です」とも。

 ひ孫の康広君(小5)は「優しくて大好き。ひいおじいちゃんのそばにいると落ち着く」。吉井さんの笑顔は、100歳になっても子供を包み込む優しさにあふれている。



 年をとってもこのぐらい元気溢れる人でありたいものです。小児科という忙しい科においても生涯現役を貫く姿勢はなかなかできるものではありません。自分の「やりがい」を「生きがい」にして子供たちに接しているからこそ出来ることなのでしょう。

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2007年12月28日

アレルギー体質の子供向け、お寿司ケーキを作成。

お寿司ケーキでクリスマス アレルギー体質でも大丈夫

 アレルギー体質の子供にクリスマスのムードを味わってもらおうと、長崎県大村市の和食店が「お寿司ケーキ」を考え、地元の農村レストランで売り始めた。

 押しずしを3段重ねにし、ハムやキュウリ、イチゴなどを彩り豊かに飾る。卵や乳製品、小麦を使うケーキでは症状が出る子らの体質に合わせて食材を厳選した。

 アレルギーのために饅頭にろうそくを立てて誕生日を祝う幼児を見て店主が心を痛めたのがきっかけ。「サンタはどの子も平等に見ていると信じさせたい」と願う。



 食べものを食べられないアレルギーって、凄く辛いですよね。

 卵、乳製品、小麦粉を食べられないとなると、かなりの数の美味しいものを食べられないような気がします。特にお菓子やデザート系はほとんど。雰囲気だけでも子供たちに、という気持ちは非常に良く分かります。

 あとは医療の進歩でアレルギーの克服がなされれば・・・一番難しいジャンルだとは思いますが

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2007年12月19日

青森県在住の子供は肥満にご注意。

青森っ子肥満に注意

 県内では、肥満傾向の子どもの割合が、全国的にみて非常に高いことが、県統計分析課が発表した今年度の「学校保健統計調査速報」県内分データで判明した。調査から、体重や身長は全国1位となるケースも多く、県内の子どもたちは立派な体格と言えるものの、肥満がうかがえたことから、生活習慣病の予防対策については、若年層から必要となりそうだ。

 県内分データは、今年4〜6月、5〜17歳対象の健康診断の結果から無作為抽出した、幼稚園と小中学、高校計158校(園)計1万3338人分を集計した。

 この結果、年齢別の平均体重は、男女とも全年齢で全国平均を上回り、全国1位となったのは、男子が6〜10、12、17歳で、女子は5、6、8〜10、13、14、16歳。このほか、平均身長でも、15歳女子を除く各年齢で全国平均を上回り、男子は7〜10歳、女子は5、8〜10、13、16歳が、全国1位となった。

 一方、性別や年齢ごとに定められた「身長別標準体重」を基に割り出した「肥満傾向児」の出現率は、男女とも、全年齢で全国平均を上回ってしまった

 中でも、全国ワーストワンとなったのが、男子の6、7、10、12、17歳と、女子の13、16歳

 県教委では、「生活習慣病や各種の健康問題に発展する可能性もある。県健康福祉部などと協議し、来年度以降何らかの対策をしたい」(スポーツ健康課)と、頭を悩ませている。



 なんかこう、おっとりしているというイメージが青森にはあります。海の幸も豊富なので、おそらく長寿向きの食生活をしているのでしょう。身長が1位というのも凄い話です。

 別に子供のころは体重なんぞ気にしなくてもいい、と個人的には思いますが、それでも「肥満は恐ろしい」ということですので、ぽっちゃり、程度に留めておくほうが良いかと存じます。

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川崎病の発症遺伝子を日米共同チームが発見

「川崎病」発症の遺伝子を発見 日米共同チーム、治療法開発へ一歩

 乳幼児を中心に発熱、発疹などの症状が出て、心臓に冠動脈瘤ができて重症になる場合がある「川崎病」の発症にかかわる遺伝子を見つけたと、理化学研究所などの日米共同チームが16日、米科学誌ネイチャージェネティクス電子版に発表した。

 川崎病の症状は、過剰な免疫反応によるとみられるが原因は不明。関連遺伝子が見つかったのは初といい、病気の解明や重症化の予防につながるのではないかという。

 チームは、日米の川崎病の患者約640人と健康な人約1000人の遺伝子を調べた。「ITPKC」という遺伝子に塩基配列のうち1つが異なる「多型」があり、特定の型の人は、そうでない人の約1・9倍川崎病になりやすいことを見つけた

 ITPKCが作るタンパク質は免疫細胞の活性を抑えるとみられる。研究チームは、特定の型が原因でこのタンパク質が少なくなり、過剰な免疫反応が起きて川崎病の発症や重症化につながるとみている。同研究所の尾内善広上級研究員は「治療法開発の第一歩になるだろう」と話している。



 原因不明でありながら、日本人の名前がついている疾患「川崎病」。その遺伝子を解明できたということは間違いなく大きな進歩です。川崎、と普通の名前がついていますが、死ぬ可能性もある怖い病気ですので、原因解明に近づいていきたいところです。

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2007年12月13日

赤ちゃんポストに新たに新生児が3人預けられる

赤ちゃんポストに新たに新生児3人

 親が養育できない新生児を匿名で預かる慈恵病院(熊本市)の「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)に、新たに3人が預けられたことがわかった

 5月10日の運用開始以降の約7か月間で受け入れたのは計11人になった。関係者によると、3人はいずれも新生児で、男児2人、女児1人。いずれも健康状態は良好という。3人はここ約1か月間で預けられたとみられる。



 3人とも新生児ということで、非常に良い徴候ですね。

 未だに赤ちゃんポストが捨て子を助長するとか、見当違いなこと言ってる人っているんですかね?ちょっと考えればわかりそうなものですが。社会に必要だから存在しているわけです。もし赤ちゃんポストがなかったら、この新生児3人は一体どうなっていたんでしょうね

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2007年12月02日

市民が協力して、小児の救急体制を守ろう

市民が守る小児救急体制

 糸米の市休日・夜間急病診療所に小児科が開設してから、約1年が経過。15歳未満の利用患者数は月平均約250人で、開設当所に比べ2倍以上になった。市民に夜間小児1次診療の流れが周知されつつあるが、依然として市内総合病院に直接行く人も少なくないのが現状。さらに、今年は全国的にインフルエンザの流行が早く、これから患者の増加が予想される。「現在、総合病院は夜間1次診療をしていません。緊急の場合は、いきなり総合病院へ行くのではなく、最初に夜間急病診療所へ来てください」と市医師会は市民に呼びかけている。

 市内総合病院の小児科は今年4月より診療体制が大きく変わり、済生会山口総合病院では小児科医の常勤を廃止。非常勤医師による平日午前中のみの診療になっています。また、山口赤十字病院では小児科常勤医が5人から4人に減り、時間外の診察は原則、紹介状を持った人と救急車で運ばれてきた人のみとなっています。小郡第一総合病院も同様に、時間外一次診療は受け付けていません。

 こうした、市内総合病院の小児科1次診療廃止の大きな要因が、多くの患者が時間外に直接総合病院へ行くことにあります。夜間(時間外)に患者が一斉に押し寄せることで、当直医に通常の何倍もの負担がかかり、医師の体に限界がきてしまいます。

 その結果、人数の少ない小児科医がさらに減少する悪循環を引き起こします。この問題は、山口市に限らず全国的な社会問題になっているのです。

 さらに、これから風邪を引きやすくなる冬時期を迎えます。加えて今年は、11月上旬ですでに全国各地でインフルエンザ感染が多数確認されており、「例年より1カ月以上も早くインフルエンザウイルスが流行する」と予想されることから、患者数が増えると見ています。

 そのため、「医師にとって過酷な状況が今後も続き、本当に緊急時の2次診療ができなくなると判断されれば、市内総合病院から小児科が完全撤退をする可能性も十分にあります。そうなれば、山口市の小児医療体制は崩壊し、市内での二次医療や入院治療ができなくなる」と市医師会では懸念しています。

 「子どもには小まめに手洗い・うがいをさせ、早めにインフルエンザ予防接種なども受けておきましょう。せき、発熱など子どもの様子が変だと思ったら、可能な限り“かかりつけ医”に早期受診することを心がけてください。また、夜間に診察を要する場合には、直接総合病院に行かず、必ず最初に急病診療所へ来て下さい。今後も安心して受診できる小児医療を市内で維持するためのルールとして守ってください」



 医療が発達し、どの地域でも良質の医療を提供できるようになったといえど、未だに「とりあえずでかい病院に行っておけ」という風潮はあるように思います。

 結果として人が集中し、パンクして閉鎖。中学の社会で皆学んだであろう「ドーナツ化現象」にそっくりな現象が起きています。

 自分の子供が心配なのはわかりますが、ある程度の良識を持って夜間外来に行くことも必要なことです。はっきり言ってしまえば、親のエゴなどの非常につまらんことで小児科医の貴重な時間を取らないでもらいたい、ということです。うちの子のほうが重症だから先に診ろとか、とりあえず点滴を打てとか口出しするのはご法度。結果的に自分の首を絞めることになると思います。

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2007年12月01日

新しい里親制度「ファミリーホーム制度」を導入

5、6人養う「新里親」制…厚労省09年度導入目指す

 厚生労働省は、親が育てられない子どもを親代わりの人物が自宅で預かる「ファミリーホーム制度(仮称)」を創設することを決めた。

 1家庭での受け入れは5、6人とすることで、大勢が入所する児童養護施設などよりも個々人に目が行き届きやすくなり、家庭的な養育が期待できるという。一部自治体が独自に実施している仕組みを国の社会福祉事業として全国に広めるもので、次の通常国会に児童福祉法の改正案を出し、2009年度の施行を目指す。

 同省によると、親の病気や死亡、虐待などにより自分の家庭で暮らせない子どもは現在、約4万人に上る。このうち約9割は児童養護施設や乳児院などの施設に入所し、約9%は里親に預けられている。しかし、例えば児童養護施設の場合、7割が20人以上の大規模施設。職員が子どもとの信頼関係を築くのに時間がかかる上、日常生活が時間割で管理されるなど家庭環境とかけ離れているため、社会に出て自立した時に本人が周囲との違いに戸惑うケースも目立っていた。

 一方、里親と一対一の関係を築くのが難しい子どももいる。こうした状況に対し、東京都や茨城県など9自治体では、里親が5、6人の子どもを預かる「里親ファミリーホーム」制度を独自に実施。昨年10月現在、37か所が開設されている。

 同省では、きめ細かい対応がしやすい同制度の利点に着目。新たな制度では、開設者は里親や施設職員としての一定のキャリアがあるなどの要件を課し、家事などを支援する人員を配置するための予算も組むことにした。同省の藤井康弘・家庭福祉課長は「施設に入所する子どもの6割が入所前に家庭などで虐待を受けている。その分、きめ細かいケアが必要になるが、多くの施設では、そこまでの余裕がないのが実情だ。小規模なファミリーホーム制度の導入で状況を改善したい」と話している。



 大人数すぎても管理が行き届かないという問題があるし、1対1では心を開かないかもしれない、ということで、間をとった制度が出来るようです。

 日本はもう少し里親とか養子とかに寛容になってもいいかなと思います。血の繋がりは確かに大事ですが、逆に言えば、その血のつながりのある親に虐待されたり、そもそも親がいない子供に対しては、厳しいというのが現状だと思います。無意識の差別といいますか。

 別に血が繋がっていなくても、子供を愛して立派に育て上げることができる自信があるのであれば、里親として頑張ってみてもいいと思うんですよね。子供はやっぱり生みの親と一緒にいるほうがいい、という意見はどうも、受け入れられません。そんな大人主体の考え方で、子供がきちんと育つはずもありませんし。

関連:医学処 親が養育できないとした新生児を受け入れる「赤ちゃんポスト」
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2007年11月29日

鎌倉時代では、2歳から離乳食を始めていた。

鎌倉時代は2歳から離乳食 鎌倉時代は2歳から離乳食

 遺跡から出土した鎌倉時代の人骨を調べたところ、当時は2歳前後で離乳食を始めていた可能性が高いことが、東京大の米田穣・准教授(先史人類学)と大学院生の下見光奈さんらの26日までの研究で分かった。

 現在の日本では生後5カ月前後から離乳食を始め、同1年から1年半で完了する例が多いが、米田准教授によると人間の授乳期間はもともと、2歳より相当長いとみられる

 研究結果は、離乳食に穀物などを与えるようになって進んだ授乳期間の短縮が、中世にはかなり進行していたことを示しており、米田准教授は「授乳期間が短くなれば次の出産が早く可能になる。離乳の早期化は人口増とも関連している」と指摘している。



 面白い研究ですね

 同じ遺伝子の生物であっても、食によって結構左右します。横にも、縦にも。

 日本人の身長も、ほんの何十年か前まではこんなに大きくありませんでした。でもやはり食に関して裕福になるといいますか、「お腹一杯食べる」ことが当たり前になってきたり、牛肉や豚肉をじゃんじゃん食べるようになって、170cm越えの人がどんどん出現しました。

 ただ、最近思うのは、やはり食で大きくなったということは、何らかの弊害も生じているのかな、ということです。食べ物の過剰摂取でホルモンが分泌されているだけだとしたら、寿命や骨に何らかの異常が出ても不思議ではないなぁ、と。

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2007年11月23日

生後6ヶ月の赤ん坊は、他人を助ける人を好む

赤ちゃんにも人を見る目? 米大学、生後6カ月で実験

 敵になる人か味方になる人か……。生まれて6カ月の赤ちゃんが他人を助ける人の方を好む傾向があることを、米エール大グループが実験で突き止め、22日付英科学誌ネイチャーで発表した。人は小さいころから「モラル」を持っているのではとの見方を示している。

 人を見分ける力は、社会生活を営んでいく上で重要だ。実験では、顔に見せかけたおもちゃが山に登ろうとしているときに、それを助けて押し上げるキャラクターと、妨害する別のキャラクターがそれぞれ登場する場面を見せた。その後、二つのキャラクターを見せると、ほとんどの赤ちゃんが助けるキャラクターを選んだ。

 これまで、1歳半で人を助けようという行動をとるという報告があるが、社会的判断は、かなり大きくなってからできるようになると考えられていた。



 生物的な本能に拠るもの、ですかね。

 生まれたときからある程度の能力が備わっていなければ、生物として生きることはできません。どの生物でも同じです。これは、人間としての、高次元な感情というわけではない気もしますが。
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2007年10月29日

小児脳神経外科医のことを描いた漫画「義男の空」

息子救った医師を漫画に 札幌の会社社長が年内にも

 水頭症の二男(4)を手術で救った小児脳神経外科医を漫画で描こうと、札幌市でデザイン制作会社を営む田中宏明さん(34)が執筆に取り組んでいる。年内にも第1巻を発刊予定。田中さんは「子どもたちに読んでもらって、医師を目指してくれれば」と願っている。

 異変は二男が生後1カ月に起きた。頭部が急に膨らんで田中さんは慌てて病院に駆け込んだ。診断は、頭の中に髄液が過剰にたまる「水頭症」。エックス線写真を見てがくぜんとした。

 田中さんは専門医を探し、当時、北海道小樽市の病院に勤務していた高橋義男医師(58)を知った。診察室の壁一面には笑顔を見せている子どもの患者の写真。「奇跡があるかもしれない」と高橋医師に二男の命を預けようと決めた。手術中に妻は心配のあまり倒れたが、手術は無事成功。二男は元気に幼稚園に通っている。

 田中さんは漫画の「ちばてつや賞」の準大賞を受けた経験があった。漫画家を目指したこともあったが、あきらめていた。そのことを知った高橋医師が患者の親たちの会報に「4こま漫画を描いてみないか」と勧めてくれた。

 「医者っぽくない、人間味のあるお父さんのような高橋医師を描いて、恩返ししたい」。医学関係の資料を読み込み、高橋医師とは深夜まで打ち合わせをすることも。タイトルは高橋医師の名前から「義男の空」に決めた。子どもたちを治療する様子を盛り込みつつ、医師になるまでの生い立ちをたどる予定。

 日本小児神経外科学会によると、国内の小児脳神経外科の常勤専門医は20−30人しかいないという。現在、とまこまい脳神経外科の小児脳神経外科部長を務める高橋医師は「漫画を通して、子どもの患者の将来まで考えて治療する医師が出てきてほしい」と期待を寄せている。



 プロジェクトXの漫画版みたいなつくりになりそうですな。

 ただでさえ難度の高い脳外の、更に小児バージョン。その繊細さは医療界随一なのではないでしょうか。まさにスペシャリストです。

 まぁ、メディアに出ていれば腕がいいというわけではありませんからね。腕が良くても人格として医者失格な人もいますし。誰とは言いませんが。そんな中、高橋医師のこの漫画は、助けてもらったという感謝の意で漫画化されるという点で、非常に好感が持てます。

 医療漫画大好きな私は義男の空発刊を楽しみにしたいと思います。

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2007年10月22日

中学生の2割が、死んでも生き返ると思っている。

中学生の2割「死んでも生き返る」

 「死んでも生き返る」と考えている中学生が2割もいる−−。兵庫県内の幼児から中学生まで約4200人を対象に死生観を聞いたアンケートでこんな結果が明らかになった。背景には、身近な人の死に触れる機会が減り、一方でゲームなどに仮想の死の情報があふれる現状があるとも考えられる、という。死が絶対的なものとの認識は小学生でいったん確立するが、中学時代にはそれがぶれる現象が起きているようだ

 最初の聞き取り調査で「あなたは自分がいつか死ぬと思いますか」と質問したところ、4歳で半数以上が「死なない」と回答するが、7歳になると9割が「死ぬ」と答えるようになった。「命の有限性の認識は7歳で深まり、9歳で確立する」というのが調査の結論だ。

 一方で「死んでも生き返ると思うか」と質問した04年のアンケートでは、小学5、6年生から「死んでも生き返る」という答えが目立ち始め、中学生では「生き返る」「たぶん生き返る」と答えた子どもが計2割に及んだ。現代の子どもにとって死の現実感が薄れるなか、「生まれ変わり」などの宗教的イメージも重なり、生と死の境界をあいまいに考える傾向があるようだ。

 同様に、▽ゲームを毎日3時間以上する小学校低学年児童は「死んでも生き返る」と答える割合が多い▽学年が上がるにつれ、死にたいと思ったことのある比率が増加する−−ことなども判明した。これらの結果から、葬儀などへの参列や死について家族で話し合うことの大切さを指摘している。

 教師や教育関係者らでつくる同研究会の代表で、小学生連続殺傷事件当時に県教育次長だった近藤靖宏さん(70)=芦屋市=は調査の意義について「死についてストレートに聞く設問を見て、協力してもらえない学校もたくさんあった。しかし生きるとは限りある時間のなかでどう輝くかであり、これまで避けられてきた死の問題を正面から考えることが大切」と話す。



 ゲームとかって関係あるんですかね?じゃあ書籍だったらどうなんだ、という話じゃないですか。ハリーポッター読んだ中学生が、空を飛ぶ魔法が使えるようになると本気で思うわけないですよね。

 根本は、やはり、非現実のものを非現実と認識できるような、常識的な教育ができているかどうか、でして、それは学校で教えるというより家庭でのコミュニケーションとかに起因するのではないでしょうか。
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2007年10月07日

川崎病の患者が2年連続で1万人を超す

川崎病、2年連続で1万人超す

 日本に集中する、原因不明の子どもの病気・川崎病の患者が05年、06年とも1万人を超えたことが中村好一・自治医大教授(公衆衛生学)らの全国調査で分かった。爆発的流行のあった82年、86年以来のことで、2年連続は初めて。4歳以下の乳幼児に多く、発熱、発疹、目の充血などが特徴で、心臓に後遺症を残すことがある。40年前に川崎富作博士が報告した病気だ。

 小児科のある病院に調査用紙を送り、2年分の患者の病状や治療経過を聞いた。993病院から05年1万41人、06年1万434人の患者が報告され、患者総計は22万5000人余になった。

 中村さんは「90年代半ばから患者は増え続け、疫学的には流行状態だ。病気にかかる率は06年は男女とも86年を超え、82年に次ぐ史上2番目になった。毎年約300人の心臓後遺症の子どもが出ており、治療法、原因などの研究が必要だ」と指摘している。



 数少ない日本人の名前がついた疾患として有名な川崎病です。英語でもKawasaki diseaseとされています。

 川崎病は原因不明の疾患で、全身の血管壁に炎症を生じます。症状としては、39度の熱から始まり、これは数日間(5日以上)続きます。四肢が腫れ、発疹がみられ、目が充血し、口唇が真っ赤に腫れ、「いちご」の表面のようにポツポツと腫れた舌(いちご舌)を呈します。

 特に注意しなければならないのが、心臓の冠動脈の炎症です。冠動脈に動脈瘤が生じ、心筋梗塞を起こしたりします。これは、突然死の原因にもなります。
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2007年10月05日

京大病院小児科病棟のボランティア「にこにこトマト」

届けたいのはegao…京大病院小児科病棟ボランティア

 入院中の子供たちとその家族に“楽しく豊かな時間”を届けるボランティアとして、京都大学医学部附属病院小児科病棟(京都市左京区)で活動している「にこにこトマト」(神田美子代表、69人)が、12年間にわたって発行してきた活動報告「にこトマ通信」の100号記念誌「egao(えがお)」を発行した。「病院での時間を“無駄な時間”と考えず、かけがえのない一日の連続にしたい」との思いからスタートしたこれまでの歩みが、全ページに詰まっている。

 にこにこトマトの結成は平成7年2月。その3年前に当時小学生だった神田さんの長女が同病院に入院。9カ月に及んだ付き添い生活で、「入院している子供たちには痛いこと、つらいことが多い。だからこそ、楽しく豊かな時間がより必要」と痛感した神田さんが、病院側の了承を得て、個人活動として病室でおはなし会を始めたのがきっかけだった。

 「娘の退院でいったんは友人たちにバトンタッチしたんですが、2年を経てまた私にバトンが回ってきて。『にこにこトマト』の名で、グループ活動として始めることになりました」と設立の経緯を話す。

 設立時のメンバーは約10人。おはなし会から始まって、ピアノ教室や「作って遊ぼ」など、プログラムは次々に増えていった。

 「にこトマ通信で大切にしてきたのは『病院でも子供としての普通の時間が必要だ』ということを子供自身にも、家族や病院関係者、社会にも伝えたいという思い。100号記念誌の発行も、その理解の輪を広げるのが最大の目的です」と神田さんは力を込める。

 そんな神田さんらの活動に対し、「入院中なのに、そんなことをしている場合?」「なぜ、そんな時間をかけるの?」という声もあるという。そう問われたときは、「しなくても病気が治るなら、すぐやめます。忙しくなるほど時間をかけることが、大事だと思っているから」と答えているという。

 「egao」は1500円(別に送料など200円)。希望者は、〒606−8507 京都市左京区聖護院川原町54、京大病院「にこにこトマト」事務局へ。



 特に小児の入院はデリケートです。大人のように、これこれこういう疾患ですので、こういった検査や治療法が必要です、とはいきません。

 本来なら外で遊んでいるであろう子供たちが、閉鎖的な病棟で投薬や検査を受け続けなければならないなんて。しかしそんな子供たちに、日常と変わらぬ新鮮な喜びを与えたいという想いが実り続けて、100号記念となったのでしょう。ボランティアとしての活動も、医療の1つです。最初に「やろう」と思った心と、「続けよう」と思った意思に救われた子供も、大勢いることでしょう。

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2007年09月25日

クリニクラウン(臨床道化師)をネット配信へ。

闘病の子と道化師、癒やしの「ネット交流」…大阪・NPO

 道化師の格好で、闘病生活を送る子どもたちと一緒に遊び、心を癒やす――。そんなクリニクラウン(臨床道化師)を各地の病院に派遣しているNPO法人「日本クリニクラウン協会」(事務局・大阪市)が、今月からインターネットによる交流事業を始めた

 同協会は「ネットを通じ、直接会えない子どもたちを一人でも多く励ましたい」と話している。

 富山市の笠井功治さん(43)、千晴さん(33)夫妻は、昨年7月に長女の円来(つぶら)ちゃん(当時6歳)が小児がんの一種、神経芽細胞腫で亡くなるまでの2か月間、転院先の大阪府和泉市の病院でクリニクラウンと遊べたことを、「とても楽しい思い出になったはず」と振り返る。

 カラフルな服装に赤い鼻をつけて病室に現れ、「こっちに来て」と声をかけると聞こえない振りをして離れていったり、カエルの顔が描かれた子ども用の座布団をお面代わりにして遊んだり。1回につき、接するのは15分ほどだが、円来ちゃんは毎週、「いつ来るかな」と楽しみにし、体調がすぐれなくてもクラウンが来る日は、お気に入りの服を着て、ベッドから起きて出迎えた。千晴さんは、「誰とも遊びたくないとふさぎこんでいた転院前に比べると、明らかに変化があった」と言う。

 クリニクラウンはクリニック(病院)とクラウン(道化師)の造語で、オランダなどで活動が盛んだ。同協会は一昨年から、オーディションに合格した人に、約1年間の研修で子どもとの接し方や児童心理、保健衛生などの基礎知識を身につけてもらった上で、病院に派遣。現在は15人のクラウンが東京都や大阪府、茨城県などの計7病院を定期的に訪問している。

 活動が知られるにつれて派遣要請も増えてきたが、人数が少なく、応じられないケースもあるため、同協会では、インターネットを利用することにした。相手の顔を見ながら会話するのに使うウェブカメラをインターネットに接続、クラウンが闘病中の子どもとテレビ電話のような形で週1回、コミュニケーションをとる。このほか、クラウンの動作をあらかじめ撮影し、その映像の配信も始めた。

 塚原成幸事務局長(40)は、「ネットの利点を生かせば、派遣のハードルでもあった時間や距離の問題もなくなる」と意気込む。笠井千晴さんも「心を和ませるクラウンとネット上でも会えるなら、闘病中の子どもたちにとってこんなうれしいことはない」と話す。

 ネット活用事業は、来年2月まで試行した後、本格実施する。協会では、試行に協力してくれる病院や、子どもが自宅療養中の家庭を募集している。通信費のみ利用者負担で、ウェブカメラも貸し出す。問い合わせは同協会(06・6575・5592)へ。



 やはり人気なんですねぇ。出来たばかりなのに、需要はある。子供たちも確かに喜んでくれている。笑顔を増やせる仕事。

 そういえば、以前クリニクラウンの記事を取り上げた時に興味を持ってくれたヤナギサワさんはどうなったかな、と、ほのかに回想してしまいます。

 クリニクラウン、やりがいのある仕事です。クラウンのほうでも、運営ボランティアのほうでも、興味のある方は是非!

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2007年09月23日

新生児をTシャツにくるんで産婦人科医院に放置。

新生児を産婦人科医院に置き去りに

 静岡南署は20日、生後間もない男児を産婦人科医院の敷地に置き去りにしたとして保護責任者遺棄の疑いで、静岡市駿河区の会社員の女(25)を書類送検した。

 調べでは、女は8月18日午後11時ごろ、生まれたばかりの男児をTシャツにくるんでプラスチック製の箱に入れ、静岡市内の産婦人科医院の敷地内に置き去りにした疑い。男児はこの医院の医師に発見され、市内の乳児院に預けられた。

 女が男児のことを心配し、遺棄後に医院に何度も電話したことから、身元が分かった。



 まだ暑いとはいえ下手したら死にますわ。赤ん坊のことを考えておきながらも、あまりにも軽率すぎる行動。そしておそらく今頃は自分の罪を認めているというより、自分の行いを正当化してる真っ最中でしょう。まったくね、こういう人がいるから、「こうのとりのゆりかご」は絶対に必要なんです。

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2007年09月13日

都道府県によって、乳児死亡率に2倍の格差が生まれる

乳児死亡率、都道府県で2倍の格差…総務省評価

 都道府県別の乳児(1歳未満)の死亡率に、2倍以上の格差があることが、小児医療についての総務省の行政評価で明らかとなった。

 夜間や休日の小児救急医療の提供体制も全国の約4割の小児救急医療圏で未整備となっている。政府は2009年度までに、全国すべての医療圏で24時間体制の小児救急医療を提供することを目標としているが、総務省は12日、現状では達成が困難だとして厚労省に対応策をとるよう勧告する。

 総務省の調査では、05年の1000人あたりの乳児死亡率は、最も高い滋賀県が3・5人だったのに対し、最も低い佐賀県は1・7人だった。栃木県では、96〜05年まで10年連続で、全国平均を上回っていた。

 また、06年9月現在で396の医療圏のうち、38%にあたる151の医療圏で24時間体制での救急医療の提供が未整備だった。

 小児救急医療圏は、子どもが急病などになった場合に、24時間体制で受け入れることができる病院を地域ごとに整備する単位。乳児死亡率と小児救急医療体制の整備率との関係は明らかではないが、栃木県では10の小児救急医療圏のうち夜間や休日の医療提供体制が整っているのは三つに過ぎない。一方、佐賀県では五つの医療圏すべてで体制が整っている

 未整備となっている理由は、「小児科医が少ないため」とする回答がほとんどだった。厚労省が06年10月現在で、提供体制が「整備済み」とした159医療圏でも、22%にあたる35の医療圏で「深夜、休日の一部のみ対応が可能」と回答し、年間を通じた24時間体制での対応ができなかった。



 普段の業務ですら小児科医は過労死するほどなのに、更に救急で24時間働けといわれても現状では難しいと思います。

 小児科医を増やすことも課題の1つですが、まず「親」の再教育が必要なのではないでしょうか。我が子を最優先するのは種の保存の概念としても分からなくもないのですが、自分の子供も小児科医もひっくるめて「社会」ですからね。自分ひとりの我侭で成り立つものも成り立たなくなるということをはっきりと認識させないと、いくら24時間体制になったとしても、小児医療は破綻してしまうと思います。それぐらい、親による負担は大きいのが現実です。

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2007年09月08日

一度も産科にかからず救急車で運ばれてくる妊婦とは

妊婦搬送:大阪でも19病院拒否、自宅で出産 06年7月

 奈良県橿原市の妊婦(38)が同県と大阪府の計9病院に搬送を断られて死産した問題と同様、大阪市でも06年7月、産気づいた妊婦が19病院に受け入れを断られていたことが7日、分かった。妊婦は、かかりつけの産科がなく、搬送先を探している最中に自宅で出産。母体と新生児は20カ所目の同府内の病院に運ばれ、母子の命に別条はなかった。

 通常のお産では、妊婦は健診のため産科に通い、陣痛が始まった時に運ばれる医療機関は決まっている。橿原市のケースでも妊婦は産科にかかっておらず、消防が受け入れ病院を探した

 大阪市消防局によると、今回の妊婦は30代。昨年7月24日夜、陣痛が始まり、午後8時11分ごろ、119番通報した。救急隊が駆けつけたが、かかりつけの病院がなかったため、その場で待機し、府内の病院に次々と受け入れを求めた。しかし、19病院に断られた。

 その間、妊婦は救急車内で待機したが、トイレに行くため自宅に戻った際に出産してしまったという。医師や助産師はおらず、救急隊員が介助したという。その後、搬送を受け入れる病院が見つかり、午後10時12分に自宅を出発。16分後に病院に到着した。

 同消防局によると、昨年1年間で産科に搬送されたのは2673人。このうち、かかりつけ病院など搬送先が決まっておらず、119番通報後、受け入れ病院を探したケースは135件あった。同消防局は「約9割は1〜3回の依頼で受け入れ先は見つかり、平均すると2・3回。19件も断られたのは特異なケース」と話している。



産科婦人科学会:救急医療体制の整備など求め陳情書

 奈良県の妊婦が相次いで病院に受け入れを拒まれ、死産した問題を受けて日本産科婦人科学会は7日、舛添要一厚生労働相に、産科救急医療体制の整備と産婦人科医不足に緊急に対応するよう求める陳情書を提出した。

 陳情書では(1)10年以上前につくられた現行の周産期医療対策では「1次救急」や、受診歴のない妊婦対応が検討されていない(2)産婦人科の当直医は交代勤務制になっていない−−などの問題点を指摘している。



 まず、妊娠直前にもかかわらずどの病院にもかかっていないというのがそもそも「ありえない」話です。胎児に必要なスクリーニング検査などまるでせず、陣痛が始まったらいきなり119番に電話し、搬送される。意味がわかりません。

 本来お産ってそういうものじゃないでしょう?ここまで医療が発達する前の時代だって、お産っていうのは周期ごとにちゃんとケアをし、安定した中、お産婆さんに取り上げてもらうのが常識じゃないですか。

 いきなり救急車を呼んで、出産までのプロセスをとれ、と言われても、「誰だよ」って話ですよね。順調に経過を辿っている人が大勢来る病院で、いきなりこられても、実際に手がふさがっていることのほうが多いわけですし。何でお産のサイクルに乗れないんでしょうか?乗りたくない訳でもあるんでしょうか。普通、赤ん坊が欲しくて妊娠してるなら、何ヶ月も放置しておかないものですけどねー。

 まぁ、受診しない妊婦をひとくくりにするつもりはないんですけど、さすがにこんな馬鹿みたいな案件で医者がバッシングされるようじゃたまったもんじゃありませんよ。医療従事者はこういう問題が起こっても、「それでも人命が大事だから」と穏便に済ませようとします。全国の医者がそういうスタンスであることを、一般の方にもっと認識してもらいたいですね。

 非常に興味深い記事を見つけたんで、最後に載せておきます。



奈良、札幌の受け入れ拒否 「受診しない妊婦にも責任」

 奈良県や札幌で、救急搬送された妊婦の受け入れを医療機関が相次いで断った問題で、拒否された患者全員が出産まで一度も産科を受診してなかったことから、産婦人科医の間で批判の声が上がっている。背景には札幌市内だけで年間一千万円を超す出産費用の未払いがあり、救急態勢の改善だけで問題は解決しない。

 「病院や役所ばかり責められるけど、妊娠六カ月まで医者に行かない妊婦がそもそも悪い」

 札幌市内の総合病院の産婦人科で働く四十代の男性医師は、奈良の女性の自己責任を問う。奈良の女性も、札幌で五回以上受け入れを断られた女性五人も、全員に産科の受診歴が無かった。

 「妊娠したかなと思ってから出産まで約二百八十日。その間、一度も受診しないというのは確信犯ですよ」。札幌市産婦人科医会の遠藤一行会長も語気を強めた。

 通常の患者は妊娠の兆候に気づいた時点で産科にかかる。容体が急変しても、119番通報すれば、かかりつけ医に運ばれる。国民健康保険なら一人三十五万円の出産育児一時金も支給される。

 遠藤医師が「確信犯」と嘆く患者の大半は国保の保険料が未納、または無保険者という。保険料未納なら、失業や災害など特別な事情がない限り一時金は差し止められる。保険を使えないので妊娠しても産科にかからず、陣痛が始まってから119番通報する。

 「救急車に乗れば必ずどこかの病院に行けますから。無事産んだら、退院する段になってお金がない、と。ひどい場合は子供を置いて失踪する。病院はやってられませんよ」。遠藤医師は嘆く。

 同医会の調査によると、二○○六年度に、救急指定を受けた札幌市内の十四医療機関だけで、出産費用の未払いは二十六件、総額一千万円を超す。同医会理事で市立札幌病院の晴山仁志産婦人科部長は「予想より多い数字」と驚いた。

 医療機関からみると、かかりつけ医がおらず、救急搬送される妊婦は、未熟児などの危険性が不明でリスクが高い上、出産費不払いになる可能性も高く、受け入れを断る病院が出てくる。

 ただ、産科にかからない妊婦を責めるだけでは、子どもの生命は守れない。胆振管内で産婦人科を開業する六十代の男性医師は「産科に行かない妊婦にはそれぞれ事情がある。救急態勢以外に、母親側の背景を検討して対策を講じないと、問題は繰り返される」と訴えている。
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2007年09月02日

生後2ヶ月の長男を激しく揺さぶって硬膜下出血を起こす。

生後2か月の長男に暴行、死なせた22歳父親逮捕…徳島

 生後2か月の長男をベッドにたたきつけるなどして死なせたとして、徳島県警捜査1課と鳴門署は1日、父親の同県鳴門市鳴門町高島、無職川田太一容疑者(22)を傷害致死の疑いで逮捕した。

 調べでは、川田容疑者は1日午前0時ごろ、自宅で長男の一咲(いっさ)ちゃんが泣きやまないのに腹を立て、大人用のベッドにたたきつけたり、強く揺さぶったりするなど暴行し、右硬膜下出血などで死亡させた疑い

 入浴中だった川田容疑者の妻(23)が物音に気付き、ぐったりした一咲ちゃんを見つけ、午前1時ごろ、川田容疑者らと鳴門市内の病院に運んだが、同41分ごろ、死亡が確認された。川田容疑者は当初、「ベビーベッドから落ちた」と説明していたが、不審に思った病院側が同署に通報した。

 川田容疑者は妻、長女(2)と一咲ちゃんの4人家族。調べに対し「イライラしてやった。ばかなことをした」と供述している。



 乳児の虐待において問題となっているのが、「硬膜下出血」です。

 頭のてっぺんに、脳嚢と静脈洞を繋ぐ「橋静脈」というものがあります。小さい子供はこれが非常にもろく、この静脈がちぎれると硬膜下腔に出血をきたし、「硬膜下出血」となります。

 ではどういうときにちぎれやすいのか?それが、この記事中にもある「激しく揺さぶられること」なんです。乳児を強く前後に揺さぶると、頭が激しく揺さぶられ、中の静脈が千切れます。これを「shaken baby syndrome揺さぶられっ子症候群)」といいます。

 首のすわっていない赤ん坊に発症するので、首がすわる3ヶ月までは「たかいたかい」も厳禁です。虐待のつもりはなくても、出血が起こるがあります。

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posted by さじ at 18:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小児

2007年08月27日

こうのとりのゆりかご、初の親引き取りが行われる。

赤ちゃんポスト:初の親引き取りに評価の声 国は依然慎重

 熊本市の慈恵病院が運用する「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」で今月、預けられた赤ちゃんを“両親”が引き取っていたことが分かり「緊急避難としての施設の役割が発揮された」と評価の声が上がっている。今年5月の開設から既に6人が預けられ「捨て子を助長する」との懸念が高まりそうな気配だったが、今回の事例で施設の意義が改めて見直されそうだ。ただ、国などは評価に慎重な姿勢を示している。

 関係者によると、今月8日、施設に生後約1カ月の男児が預けられたが、17日に両親とみられる男女が引き取った。男女はさまざまな事情からいったんは「預けた方が子供のため」と考えたが、やはり親子の情は厚く「手放せない」と、考え直したらしい。

 病院と男女をつないだのは手紙とメールだった。病院はゆりかごに「引き取ることができるようになったら連絡してほしい」とのメッセージを記した手紙をポスト内に置いている。男女はその手紙を持ち帰った上で、病院のホームページなどを通じ、メールで連絡を取ってきたらしい。このメールのやり取りの間に、男女の思いが次第に変わったようだ。

 赤ちゃんポストを研究しているノートルダム清心女子大の阪本恭子講師は「今回のケースはポスト利用の理想的な形。ドイツの施設でも3割の親が名乗り出ている」と話す。妊娠した未婚女性の支援などに取り組む円ブリオ基金センターも「子供の命が守られ、親子関係も戻り、良かった」と評価した。

 一方、元大阪市中央児童相談所長の津崎哲郎花園大教授は「両親が一時的に養育が難しい事情があって預けたとすれば、(赤ちゃんポストに預けるのでなく)乳児院に一時的に預ける制度もある。親元に戻った後も家族が問題を抱えているなら、病院と行政が連携して家族をフォローする必要がある」と提言した。

 厚生労働省家庭福祉課の担当者は「子供は親が養育するのが一番望ましい」「子供を(ポストに)預けるということはあってはならず、行政などに相談してほしい」と従来の考えを繰り返し、運用状況の検証などにも消極的だ。



 いくら夫婦といえども、出産における過程、そして将来を考えて、不安におもい、つい手放してしまうことはあると思います。そういう人たちの救済策、そして回復策として、こうのとりのゆりかごは存在しているのです。

 乳児院に一時的に預ける制度もある、としていますが、それとこうのとりのゆりかごは全く別モノです。匿名だからこそ意味がある制度なのです。どういう境遇にいるのか、どれだけ苦しんでいるのかを想像できずに批判することは容易いですが、子供のためを思うならば、こうのとりのゆりかごの存在を認めることこそ、より現実的な解決策だと思います。

 あとはマスコミがもう少し自重してくれれば。ひっそりと運営するのが望ましいスタイルですからねぇ。

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posted by さじ at 18:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小児