2008年05月26日

先天性側弯症の治療機器を保険適用して

「治療機器承認して」背骨変形の難病患者ら厚労相に要望

 背骨の一部が生まれつき変形しているために背骨全体がねじれる「先天性側わん症」患者の親らが19日、治療器具の認可を求める要望書を舛添厚生労働相に提出した。約6万4千人の署名も添えた。

 患者や家族でつくる「VEPTR(ベプター)の会」(成松恭子代表)が認可を求めているのは米国製の器具。この病気では、病状の進行により肺の成長が妨げられ死に至ることもあるが、体内に装着すれば肺の成長を助けられる。世界25カ国で使用されているが、日本では未認可。「この器具で救える命がある。保険適用のため一日も早く認可して欲しい」と成松代表は訴えた。



 小学生の頃に、前かがみになって背骨の変形を見る検査を、健康診断でやった人も多いと思います。あれです。あれが前屈試験といわれ、先天性側弯症の鑑別に役立つといわれています。

 骨の変形といえど、一生の問題ですからね。治る器具があるならば、当然保険適用すべきでしょう。
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2008年05月13日

16人の命を救った、赤ちゃんポストが運用一周年。

赤ちゃんポストに16人=運用開始から1年−「引き続き検証必要」

 育児が困難な親が匿名で乳児を託せる慈恵病院(熊本市)の「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)が設置されてから、10日で1年。少なくとも16人が預けられ、うち1人は親に引き取られた。育児放棄の助長につながりかねないとの批判がある一方で、病院側は救いを求める女性に果たした役割を強調する。

 赤ちゃんポストは、乳児がごみ箱などに産み捨てられ死亡するのを防ぐため、緊急避難措置として設けられた。蓮田太二理事長は設置当時、「赤ちゃんを預けるのではなく、できるだけ相談をしてもらいたい」と安易な利用を避けるよう呼び掛けた。

 しかし、運用開始から数時間後に、3歳前後の男児が置かれた。その後も、ほぼ毎月置かれ、3月までに16人を数えた。このうち、昨年8月に置かれた生後1カ月の乳児は「元の親」が引き取りに来た。

 捜査当局は子どもたちのいずれにも外傷がなく、健康状態が良好なことなどから、虐待などの事件性はないとみている。

 ポストをめぐっては、「子どもの親を知る権利を侵害する」などの懸念もある。運用状況を調べる市の専門部会は、「明らかな違法性は認められない」とする一方、「引き続き検証を継続する必要がある」としている。 



 子供の、親を知る権利って。生きることが第一じゃないですかね。

 日本の未だにマズいところって、そういうわけのわからん血の繋がりを無駄に重要視するところだと思います。虐待されるかもしれない子供を保護することに何の問題があるんでしょう。親から離れられなくて苦しんでいる子供だっていますよ。

 赤ちゃんポストが出来て1年。これまでに16人の尊い命が救われたと思えば、私は「こうのとりのゆりかご」の存在を評価したい。そして、色々な反対意見にも負けず、命のために努力した熊本市の慈恵病院に大きな拍手を送りたい。

関連
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2008年04月27日

睡眠時間が1日12時間未満の乳幼児は、デブになる。

睡眠時間の少ない乳幼児は過体重になる

 睡眠時間が1日12時間未満の乳幼児では、就学前に過体重になるリスクが2倍となり、また、就寝時の親の行動が子どもの睡眠障害の原因になることが、新しい研究によって示された。これらの知見は、米医学誌「Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine」4月号(小児と睡眠の特集)に掲載されている。

 米ハーバード大学(ボストン)医学部助教授のElsie M. Taveras氏らによる1つ目の研究では、小児915人を対象に、生後2年間の睡眠習慣を母親に報告してもらい、生後6カ月〜2歳の睡眠時間を調べた。平均睡眠時間は1日12.3時間であった。年齢と性差を照らし合わせた結果、3歳時に83人が過体重であり、睡眠時間が1日12時間未満の3歳児の体重は、12時間以上の小児よりも重かった。

 また、1日2時間以上テレビを見る乳幼児ではテレビを見ない乳幼児に比べて、過体重になるリスクが16%増加した。Taveras氏は「睡眠時間が短く、さらにテレビを見過ぎると、肥満のリスクは著しく上昇する」と述べ、これは食欲をコントロールするホルモンに端を発する可能性があるとしている。

 2つ目の研究は、カナダ、モントリオールサクレクールSacre-Coeur病院のValerie Simard氏らによるもの。小児987人を対象に、生後5カ月から6歳まで毎年、子どもの睡眠習慣に関する質問票を保護者に記入してもらった結果、幼児(5〜17カ月)の睡眠障害の主な原因が、母親が眠りにつくまでそばにいたり、覚醒後の授乳、添い寝などの「不適応な養育行動(maladaptive parenting behaviors)」であることが判明した。

 また、同誌に掲載された別の研究では、注意欠陥多動性障害(ADHD)を有する小児に睡眠障害の傾向が高いこと、4〜6歳時に睡眠障害がある小児では18〜32歳に不安やうつ、攻撃などの症状が出現しやすいことなどが指摘されている。

 米ジョンズホプキンス大学(ボルチモア)のAnn Halbower博士は「乳幼児は良い睡眠行動が重要で、早期の睡眠や健康、食事が将来のライフスタイルの下地になる」と述べ、乳幼児の良い睡眠行動について、子どもが生まれる前に両親に教える必要があるとしている。



 小さい子は、寝るのが仕事ですからね。多分あの睡眠の間中、今後の世界を生きていくために色々な内分泌が亢進して、身体を作ろうと一生懸命なんでしょう。

 最近よく見かけるのが、深夜でも平気で子供を連れまわす馬鹿親です。深夜遊ぶのは本人の勝手ですが、それを自分の子供に強要するな、と。

関連
医学処:睡眠不足の3歳児は中学生までにデブ化する
医学処:睡眠不足と肥満は関連している
医学処:寝すぎても、成績が下がることが判明する。
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2008年04月19日

総肺静脈還流異常症の1176gの男児の手術に成功する。

極小未熟児の心臓手術に成功…静岡県立こども病院

 静岡市の静岡県立こども病院は17日、極低出生体重児(極小未熟児)で心臓病の男児に、人工心肺を使った開胸手術を行って成功したと発表した。

 同病院によると、男児は妊娠33週の早産で、手術時体重もわずか1116グラムと、国内最少の成功例という。

 手術が成功したのは同県島田市の会社員田中義夫さん(28)と妻、愛子さん(29)の長男兜惺ちゃん。昨年11月14日に生まれた時の体重は1176グラム。呼吸異常があったため検査したところ、先天性の「総肺静脈還流異常症」の中でも治療が困難な「下心臓型」と判明。

 血液が正常に心臓に流れず、命に危険があったため、同月30日に同病院で手術。人工心肺を使って約50分間、ピンポン玉より小さい心臓を停止させ、正常な位置に心臓の血管をつなぐなどした。

 兜惺ちゃんの経過は順調で後遺症もなく、今月19日に退院を予定している。



 静岡県立こども病院、次々と難手術を成功させております。このスキルが全国的なものになれば、多くの子供が救われるわけです。他の小児心臓外科医のための手本となっていただきたい。

 さて、義夫さんと愛子さんの子供、兜惺ちゃん。何と読むでしょう?答えは関連リンクの後!

関連
医学処:国内で最小の新生児心臓手術に成功。症例は総肺静脈還流異常症
医学処:世界でほとんど報告のない、重度の心臓疾患の難手術に成功する。

 答え:兜惺(とうせい)
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2008年04月13日

富士市立中央病院の産婦人科医が慈恵大に引き上げる。

産婦人科、閉鎖の危機 富士市立中央病院

 富士市立中央病院(同市高島町、山田治男院長)に医師を派遣している東京慈恵会医科大(東京都)が、産婦人科の医師を来年3月末で大学に引き揚げる方針を病院に伝えたことが、12日までに分かった。産婦人科が実質的に閉鎖になれば地域の産科医療に及ぶ影響は甚大。病院や市は大学に方針転換を要請するとともに、科の存続へ対応に追われている。

 同科は38床を備え、医師4人が所属する。18年度で554件の分娩を扱い、通常分娩とともに、主に異常が見つかった場合のハイリスク分娩の受け皿として、地域の産科医療の「最後のとりで」の役割を担ってきた。

 産婦人科の2次救急でも専門医が当直体制を組み、同年度、入院と外来878人の救急患者を受け入れてきた。

 大学の方針は今月に入り教授から病院に伝えられた。大学側の医師確保が難しい事情を説明し、病院の産婦人科医全員を本年度末で引き揚げる考えが伝えられたという。病院は市に伝えるとともに11日、院内連絡会で職員らにも伝達した。

 異常分娩の対応や当直を担う同科の運営は、最低でも医師4人の体制が必要という。病院や市は直ちに大学に方針の見直しを求め、1人でも引き揚げを少なくしてもらえるよう要請を重ねている。また、広く医師確保の可能性を探り、仮に4人体制の維持がかなわない場合も現行機能を存続できるよう診療体制の模索も始めた。

 従来から病院長とともに医師の確保に奔走してきた鈴木尚市長は「大学の方針を深刻に受け止めている。地域の産科医療にとって、中央病院の産婦人科は何としても欠かせない。状況は厳しいが、手がないとは思っていない。既に対策に動いている。存続のために最大限の努力をするつもり」と話している。 



 まぁ今はもうないと信じたいところですけど、

 昔は一般病院に大学病院から派遣される際に、教授らにお金がね、いったものです。結構な額で。勿論一部だと信じたいところですけどね。

 今はないでしょうねえ、さすがに。産婦人科医の不足は全国的なものですし、本当に大学側も深刻な事態なのでしょう。しかし引き上げられてしまっては、一般病院はどうしたらいいのか。お金を払っても医者が来るわけではありませんし・・・。

医師引き揚げ 

 平成16年度に導入された新医師臨床研修制度で、新人医師の研修先病院は、医師本人と病院双方の希望をマッチングして決める方式となった。同制度導入前は卒業生の大半は出身大学に残り、大学医局から地方の関連病院に派遣されていたが、導入後は医局に残る研修医が減少。このため人手不足に陥った大学病院も多く、関連病院から医師を引き揚げる動きが目立ってきている。
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2008年04月08日

勤務医の負担を考える良識ある地域に小児科医が進んで赴任する

「住民が奇跡起こした」 小児科医が着任 丹波市

 医師の負担軽減を目指す丹波市の母親グループの活動に共感した小児科医の石井良樹さん(32)=伊丹市出身=が、岡山県内の大学付属病院から同市柏原町の兵庫県立柏原病院に転勤を希望し、四月から常勤医として働いている。兵庫県病院局によると、他府県の大学医局を離れ、県内の地方に進んで赴任するのは極めてまれという。石井医師は「勤務医の負担を考えた地域は全国でも珍しい。住民の動きに応えたかった」と話す。

 診察時間外に小児救急に訪れる患者は、全国的に約九割が緊急度が低い軽症とされる。柏原病院小児科は丹波地域の中核だったが、医師が三人から二人に減った二〇〇六年四月から危機的な状況になり、〇七年四月から一般外来を紹介制にし診察を制限している。

 勤務医が疲弊する様子を知った母親たちが〇七年四月、「県立柏原病院の小児科を守る会」を結成。症状を見極めて病院を利用するよう住民に呼び掛けた。病院間の輪番制の徹底にこの運動が加わり、小児救急利用者は半減。先駆的な取り組みとして注目された。

 昨年夏、インターネットで住民の活動を知った石井医師は、同病院に「会の活動は極めて意義がある」とメールを送信し、見学に訪れた。軽症患者が夜間に列をなしたり、患者の親が必要性の低い点滴などを執ように求めたりすることが多い中で、この地域では住民も医療を支えていることを実感した。大学病院を出るタイミングと重なったこともあり、転勤を決めた。「ここ数年の医療関係の話題は、患者のたらい回しや訴訟ばかりだった。地域の取り組みで心が救われた」と話す。

 同病院小児科の和久祥三医師(41)は「自ら医師がやってきてくれたことは、地域に勇気を与える。住民が奇跡を起こしてくれた」と喜んでいる。



 「まだまだ日本も捨てたモンじゃないな・・・」

 疲弊している医療従事者の心を少し癒してくれるニュースではないでしょうか。

 小児科は病との闘いではなく、親との闘いである。そういわれ続けてどのくらい経ったでしょう。少なくとも日本の小児医療は崩壊瀬戸際でした。でしたというか、今現在崩壊真っ最中です。

 しかし・・・住人が立ち上がり、医師の現状を考えてくれ、そして、守ろうとしてくれる。なんともありがたい地域ではありませんか。実際医師を守ろうと思っていても、活動してくれるなんて、なかなかありません。

 そして住民の努力が実を結び、一人の医師の心を動かしました…。

 この活動で得られた「種」は見事に花を咲かせましたが、その花は全国に種を蒔いていくことになるでしょう。そうあってほしいと強く願います。

関連
医学処:帰ってきた村上智彦医師。夕張市で予防医学に尽力。
医学処:小児科医の新人大幅減少。秋田と富山では0人。
医学処:日本の医師数は、人口1000人あたりわずか2人で主要7ヶ国で最低。
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2008年04月03日

赤ちゃんポストに障害児を含む3人が預けられる。

赤ちゃんポスト、新たに障害児ら3人 計15人に 

 熊本市の慈恵病院が運用する国内初の赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)に3月に入り、いずれも生後2週間以内とみられる男の乳児2人と女の乳児1人の計3人が預けられていたことが31日、分かった。昨年5月の運用開始以来、預けられた子どもは計15人となった。

 関係者によると、乳児3人はいずれも健康状態は良好だが、うち1人は障害があるとみられる。身元を示すものは残されていなかった。



 やはり障害児も預けられるようになりましたね。

 予期していたことではありますが。

 それでも、いえ、ますます、こうのとりのゆりかごの存在意義は大きいものとなりました。

 もしこれがなかったら、障害児はどのように子育てされたのでしょう。親に愛されないまま放置されていたかもしれません。もしこの子を親が愛していれば、再度引き取りにくることも可能ですからね。

関連
医学処:こうのとりのゆりかご、運用開始から7人が預けられる
医学処:赤ちゃんポストに新たに新生児が3人預けられる
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2008年03月31日

鹿児島大学の学生がホスピタルクラウンの普及に努める。

病院に笑い 道化師公演/鹿大医・歯学部

 29日、鹿児島市桜ケ丘8丁目の鹿児島大学医学部鶴陵会館 病院に笑いを届けるホスピタル・クラウン(道化師)のサーカス公演が29日、鹿児島市桜ケ丘8丁目の鹿児島大学医学部鶴陵会館であった。同大の学生有志が企画し、午前と午後の2回公演に闘病中の患者と家族約300人を無料で招待。クラウンのコミカルな動きに、会場には笑顔が広がった。

 医・歯両学部の約130人でつくる実行委員会が、患者を励まし、併せてホスピタル・クラウンへの理解を深めようと初めて開いた。名古屋市の特定非営利活動法人(NPO法人)日本ホスピタル・クラウン協会の大棟耕介理事長(38)ら5人が出演。費用は、大棟さんを講師に医療関係者などを集めたコミュニケーション研修会の参加費で賄った。

 クラウンは曲芸やパントマイムを織り交ぜた出し物で会場を和ませた後、観客と一緒に皿回しも。鹿大病院に入院中の出水市立下水流小学校2年、五十嵐優希さん(8つ)は「いっぱい笑った」。母親の広美さん(32)は「病室を離れ、娘の明るい顔が見られてうれしい。いい気分転換になった」と話した。

 県内の病院でも活動する大棟さんは「実行委員の熱意に打たれた。患者と学生、われわれの3者それぞれに得るものがあった」と評価。委員長の萩原信太郎さん(医学部医学科4年)は「子どもたちのキラキラした目に感激した。医療に笑いやユーモアを取り入れる必要性をあらためて感じた」と話した。



 凄い。鹿児島大学の学生の何が凄いって、医学部、歯学部の学生が130名も集まって、ホスピタルクラウンを広く普及しようと活動しているところです。いい精神をもってますね。

 クリニクラウン、クリニカルクラウン、ホスピタルクラウンと呼ばれています、病棟内で子供たちに笑顔を与える職業、臨床道化師です。ただ医学的に治療するだけでなく、笑いを与えることも、病気と闘い、回復するためには必要なことなのです。

 臨床道化師の研修などもあるようで、興味のある方は是非下記のリンクもご覧下さい。

関連
医学処:子供たちに笑顔を。臨床道化師(クリニクラウン)募集中。
医学処:クリニクラウン(臨床道化師)をネット配信へ。
医学処:1日20分笑うことで、人は大きな病気にならない
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2008年03月28日

学校検診で脊柱検診を怠り、脊柱側弯症を発見できなかった。

脊柱検診怠り病状悪化、大阪・能勢町と学校医提訴へ

 小中学校の学校医が検診を怠ったため、背骨が横にねじれて曲がる「脊柱側弯症」に気付かず、症状が悪化したとして、大阪府能勢町の高校1年の女子生徒(16)が同町と在校時の学校医に計約5000万円の損害賠償を求める訴訟を近く大阪地裁に起こす。学校保健法は脊柱検診を義務付けているが、見落とされることが多いといい、生徒側は「学校検診のあり方も問いたい」としている。

 訴状などによると、生徒は町立小、中学校に通学し年1回、学校医の検診を受けていた。中学3年だった2006年6月、風邪で受診した病院で、「背骨が曲がっている」と指摘され、別の病院で「特発性脊柱側彎症」と診断された。

 生徒側が中学校に確認したところ、学校医は校長に「思春期の女子に裸の背中を出させることはできず、脊柱検診はしていない」と回答したという。

 生徒側は「学校医が診断できなければ、町は別の対策を取るべきだ」と主張。学校医は読売新聞の取材に対し「弁護士に任せており、答えられない」とし、同町は「検診したが、発見できなかったと理解している」としている。

 日本側彎症学会元会長の鈴木信正医師は「側湾症の専門は整形外科医だが、内科医が学校医のケースが多く、検診していない学校がかなりある。検診を徹底するほか、かかりつけの小児科医らが診断できる体制作りも必要」と話している。



 一方では思春期の女子を裸にするなと怒られ…

医学処 女子高生への内科健診は、下着をつけたまま行うべきではない。

 でも普通やるもんですよね、脊柱検診。私も小学校の頃やられましたけれど。女子はやっていたかどうか定かではありませんが。笑

関連:偽造した医師免許で、保育園や小中学校の児童に眼科検診をした男
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2008年03月07日

赤ん坊の顔を見ると助けたくなる、眼窩前頭皮質について。

Babies faces 'make us want to care for them'

 人は、赤ん坊の世話をするように組み込まれていると科学者は報じている。研究者は、人が知らない赤ん坊の写真を見せられたとき、脳の一部分が高い活動性をもつことを特定した。

 彼らは、親の本能についての生物学的な根拠を発見したとしている。この発見は、産後の抑うつ症に苦しむ13%に及ぶ母親を医師が見分けるのに役立つかもしれない。

 ダーウィンは、赤ん坊が種として生き残る可能性を高めるために、大人に注意を促させる何かがあることを示唆していた。

 ノーベル賞を受賞した動物学者のコンラート・ローレンツは、比較的大きい頭、額、眼と、ふくらんだ頬という赤ん坊の顔の構成こそが、大人に愛情と育成させる気持ちを引き起こしているのではないかと提案していた。

 オックスフォード大学出身の神経学者のMorten Kringelbach医師と精神科のAlan Stein博士は、7人の女性と5人の男性の頭のスキャンを遂行した。

 彼らはコンピューターに映し出された小さな赤い十字の色が変化したときに、赤いボタンを押すという作業を行った。このテストの間、大人と赤ん坊の写真を映し出した。すると、彼らが赤ん坊の顔を見たとき、正中眼窩前頭皮質と呼ばれる脳の一部分が活動性を示した。

 この現象は意識下で起こるには速過ぎるので、研究者は本能的なメカニズムだろうと結論づけている。

 Kringelbach医師は「我々は、幼児の顔に対する正中眼窩前頭皮質の活動性の速い特徴という、とても特徴的なものを発見した」と述べている。

 「これは、幼い赤ん坊の育成と、愛情を注ぐために、ローレンツによって表された『生まれつき持っているメカニズム』の潜在的な脳の基礎となる証拠となりうる。これらの反応の程度は知られていないが、知らない幼児の顔に素早く反応するということは、意識下での反応よりも確かに速いこととして起こっているのである。」

 正中眼窩前頭皮質は脳の前部にあり、ちょうど眼球の上に存在する。そして感情を統制する重要な部分として最も知られている。

 研究者は、正中眼窩前頭皮質は人々に、赤ん坊の顔を特別のものとして扱わせているとしている。そしてそれは親の絆を確立する上での鍵となる役割を果たしているといえよう。



 眼窩前頭皮質というのは、要するに、眼で受け止めた情報を感情と織り交ぜて処理する場所、のようです。眼球の上にあるというのも頷けます。

 眼窩前頭皮質は、「思考する脳」と呼ばれる皮質、「感じる脳」として様々な情動反応に関る偏桃体、自動的な反応を司る「爬虫類の脳」である「脳幹」、という3つの主要な部分を神経で結びつける。

 この緊密な結び付により、思考・感情・行動の迅速且つ強力な連携が可能となる。


 動物は、赤ん坊だけでなく、哺乳類の赤ん坊を見たときには守ってやりたいという感情を持つ、ようです。身体に比べて大きい頭などの条件があるというのは以前どこかで見たことがありますが、実際にそれを証明した形になりそうですね。眼窩前頭皮質かぁ。

参考:キスの神経解剖学
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2008年03月03日

過労自殺した小児科医の長女が、小児科医を目指す

過労自殺の父と同じ小児科医へ、娘の歩みが漫画に

 1999年に過労自殺した小児科医の長女が、同じ小児科医への道を歩み始めるまでをつづった漫画が、3日発売の雑誌「BE・LOVE」増刊号(講談社)に掲載される。モデルになった女性医師は、「私を通じて、父のような医師がいたことを1人でも多く知ってもらいたい」と話している。

 主人公は神奈川県横須賀市の医師、千葉智子さん(26)。現在は同市内の病院で初期臨床研修中だ。



 結構興味あります、これ。

 小児科医の過労自殺問題と、どう絡めていくのか。父の達成できなかったことを受け継いでその道を進んでいこうとしたのでしょうか。動機の部分が気になります。

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医学処:小児脳神経外科医のことを描いた漫画「義男の空」
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2008年02月22日

赤ちゃん言葉のデータベースづくりを開始する。

NTTが赤ちゃん言葉研究に本腰 “翻訳”できる携帯電話も開発へ

 NTTが次世代の育児支援サービス開発を視野に赤ちゃん言葉のデータベース作りを始めた。母親からの情報提供をもとに「こども語辞書」を構築し、将来的には赤ちゃん言葉を翻訳できる携帯電話や、見守りロボットの開発などにつなげたい考えだ。

 「こども語辞書」は乳幼児語の意味や、その言葉を習得する平均時期などを検索・閲覧できる試験サービス。NTTレゾナントが運営する「goo(グー)ベビー」で約5000の乳幼児語が、何を意味するものかなどを調べることができる。

 NTTで言語研究を手がけるNTTコミュニケーション科学基礎研究所(京都府精華町)が、レゾナントに協力を呼びかけ実現した。

 同研究所はこれまでも、検索エンジン向けの日本語解析技術や、音声をコンピューターで認識する技術の開発などを手がけているが、インターネットでブログやソーシャル・ネットワーキング・サービスなどの参加型サービスが浸透してい現状を受けて、ネットで生きた情報を収集することを思いついた。「育児支援サイトを介して情報を集めれば、全国の母親が研究員になってくれる」(同研究所の小林哲生氏)と、こども語辞書の開設につながった。

 辞書は、利用者が次々に新しい言葉を追加できる仕組みで自律的に成長する。NTTはこの辞書を通信機器などに組み込み、育児支援分野の新サービス開発につなげる意向だ。



 何も情報のない状態から、耳を介して言葉を覚えていく、何という高度な行為なのでしょう。

 赤ちゃん言葉がデータベースになるということは、どの親が育てても大体共通している発音になるということですかね。ということは日本語のどれかが聞き取りやすく、聞き取りにくいかが分かりそうなものですね。または発音しやすい、しにくいも。

 例えば宇宙人が地球に来て、生まれて間もないお互いの子供を、毎日時間を決めて育てたとすると、どうなるのでしょうか。声帯の違いなどは抜きにしたら、即バイリンガルとなるのでしょうかね。それとも情報があまりにも違いすぎて混乱してしまうのでしょうか。昔から抱いている空想の1つです。コレ。

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2008年02月09日

10代の父親を持つ新生児は低出生体重などの危険性が高い

10代の父親を持つ新生児は早産や低出生体重のリスクが高い、カナダ研究報告

 10代の父親を持つ新生児は早産や低出生体重などの危険性が高いとする研究が7日、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)発行の「ヒューマン・リプロダクション(Human Reproduction)」誌に発表された。生後死亡する確率も高いという。

 カナダ、オタワ大学(University of Ottawa)のマーク・ウォーカー(Mark Walker)教授率いる研究チームは、1995年から2000年にかけ米国の生児出生261万4966件について調査を行った。出生時に問題を引き起こしうる受精能の低下の影響を最も受けにくいことから、研究対象は20-29歳の女性を選んだ。また、多胎児出生は除外した。

 調査の結果、10代の父親を持つ新生児は早産の割合が15%、低出生体重の割合が13%、生後4週間以内に死亡する割合が22%高いことが分かった。さらに生後4週から1年の間の死亡率は41%に上った。

 一方で、40歳以上の父親を持つ新生児にそのような傾向は見られなかった。このことから今回の研究は、「高齢出産は胎児の死亡や新生児の健康障害の発生率を高める」とする通説を覆す結果となったといえる。従来研究では、新生児に与える男性側の影響はほとんど考慮されていなかった

 共同著者で同大学のShi Wu Wen氏は「父親の年齢が新生児にマイナスの影響を与えることは生物学的にはあり得ることだ」と、未熟な精子が子宮内の胎盤形成に悪影響を与える可能性があるとする既往研究に言及して説明した。

 同時に、若い父親ほど貧しい家庭出身で教育が欠如している傾向にあり、胎児の不適切な管理、ドラッグ使用、過度の喫煙・飲酒などの恐れもあるとして、社会的要因が関係している可能性についても指摘した。



 なるほど。確かに高齢出産というと母体側のことしか考えていませんでしたね。

 しかし精子が未熟などということがありえるのでしょうか。内分泌かく乱物質やその他の有害物質の影響を受けない分、若いほうが精子の状態もいいような気がしますが。

 おそらく10代で父親となるようなケースは、申し訳ないんですけど、環境が影響していると思われます。日本ではドラッグとかは考えにくいですが、まぁ、そういうことです。勿論全ての男性がそういうわけではありませんが、これは認識といいますか、そういう人が多いということで。精子だけでなく、妊娠してから出産するまでの間に喫煙、アルコール、ストレス等の影響が加わっても、低体重になりますし。

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2008年02月02日

羊水は胎児を守るとてもいいもの。

羊水腐ってる」発言で倖田來未が謝罪文掲載 

 1月29日(火)深夜に放送されたラジオ番組「倖田來未のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)の冒頭で、「やっぱ35ぐらい回ると、お母さんの羊水が腐ってくるんですね(笑)。なので(笑)・・・いや、ホントに。いや、汚れてくるんですよね。できれば35までに子供を作って欲しいという話をしていたんですけど……」などと発言して批判を受けていた倖田來未が、エイベックスHPに謝罪文を掲載した。

 問題となった発言は、マネージャーが最近結婚したことについてのトーク内で出たもの。医学的に見ても、

「女性が高齢になったからといって、羊水が腐ったり汚濁したりする、ということはありません。高齢出産のリスクについては確かに指摘されていますが、それは羊水が原因ではなく卵子や産道の機能が低下するため。それでも、元気な赤ちゃんを産んでいる方は沢山います。それ以前に、もし仮に羊水が混濁しているとしても『腐っている』なんて説明は絶対にしませんよ。35歳以上で出産を望む方や、妊娠中の方が気を悪くするでしょう」(医療関係者)

と、まったく根拠のないものだった。



 まぁ倖田來未も冗談で言ったんだろうけど、冗談なら、冗談を言ったあとに「いやホントに」って言っちゃいけないですよね。

 ちなみに羊水は弱アルカリ性で黄色透明な液体です。妊娠後期には胎児の皮膚、気道、消化管、尿路などからの剥脱細胞や分泌物、羊膜からの剥脱細胞などが混じるので、わずかに混濁します。おそらく倖田來未が今出産したとしても、羊水は少なからず濁るのではないでしょうか。

 羊水は外からの圧力から胎児を保護し、胎児の自由な成長を確保し、分娩時には陣痛の圧力から胎児を保護したり胎盤の早期剥離を防止したりと、いいことづくめな存在です。年齢によって羊水の量が増減することはあるかもしれませんが、腐ることはありませんので。

後頚部浮腫像検査はあくまで参考程度に。
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2008年01月27日

無過失補償制度、出産時の母体死亡も対象に。

出産時の母親死亡も補償、新制度の対象を拡大

 舛添厚生労働相は24日、産科医不足対策の一環として、出産時の医療事故で脳性まひとなった障害児を対象とした「無過失補償制度」の対象を、妊産婦の死亡事故などに拡大することを検討する考えを表明した。

 同補償制度は来年度中にも始まる予定で、医療機関などが負担する保険料をもとに、脳性まひの障害児が20歳になるまで、介護費用などの名目で民間保険会社が分割払いで計3000万円近くを支払う内容だ。

 脳性まひの事故は、医師の過失とは関係なく一定割合で発生するため、医師の過失がなくても補償する制度を作ることで、産科医が訴えられる「訴訟リスク」を軽減する狙いがある。



 なら国がその費用を負担すべきでは?

 出産という行為はそもそも、多大なるリスクを負うものなのです。出産の段階で母体や胎児に障害が起こることなど、それはもう自然の摂理としか言いようがありません。

 医療が発展したために、そのリスクを減らすことができました。しかしそれによって逆に、出産は両方とも正常で当たり前であるという風潮が生まれたため、医療ミスではないかと訴訟に繋がるケースが増えてきました。

 医師を守るために無過失補償制度を設けることは問題ないとは思いますが、それを医療機関が負担するという点は理解できません。単に医療従事者が、仕方のない死に対して罪を認め、痛み分けをしているに過ぎないのではないでしょうか。

 医師という存在は患者のために尽くさなければなりませんが、そこまで理不尽な要求に応えなければならないものではないと思います。

 外添が無過失補償制度によって産婦人科医を守りたいなら、1件あたり3000万円の補償を、国の税金によって行うべきです。おそらく無過失補償制度の費用の根本は、分娩を行うにあたっての保険料を引き上げるとかで賄うんでしょうけれど、妊婦の死に対しても補償するとなるとどれだけ値上がりするんでしょうか。社会福祉の1部と位置づけて運用するのが一番いいと思うのですが。

 だからといって無過失補償制度に反対しているわけではありません。医師を守るためにはどうしても必要な制度です。産婦人科医の現状と、裁判について見事に書ききった小説「ノーフォールト」を是非一読してみて下さい。

関連
医学処:医師の過失がなくても脳性麻痺となった場合には補償します
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2008年01月15日

血液一滴で、遺伝病を簡便に診断できる技術を開発

都臨床研、遺伝病を新生児で診断・発症前、治療可能に

 東京都臨床医学総合研究所などの研究チームは、早期発見すれば治療可能な遺伝病を、簡便に診断できる技術を開発した。血液一滴で解析できる。

 「ファブリー病」と呼ぶ遺伝病患者で有効性を確かめた。他の遺伝病の判定にも応用できる。新生児段階の検査として普及できれば、遺伝病の超早期発見によって病気の進行をくい止め、通常の生活を送れるようにすることも可能になりそうだ。

 新診断技術は、患者の血液一滴を染み込ませたろ紙と、DNA(デオキシリボ核酸)の断片をくっつけた抗体を使う。病気の指標となる原因酵素に抗体が結合した後、DNAを増幅させて検出する仕組み。3種類の酵素を同時に測定可能。診断結果は数時間で出る。



 Fabry病は、細胞内のリソソーム酵素の一つであるαガラクトシダーゼの活性が欠損もしくは低下して生じる糖脂質代謝異常症です。リソソームというのは、要するに消化工場のようなもので、この工場が生まれつき運営を停止している状態のため、セラミドトリヘキソシドという糖脂質が分解されずに、血管、皮膚、角膜、神経、腎、心臓に蓄積されてしまいます。

 遺伝病はこのように、生まれつき何かがなかったりします。例えば生物が生きていくためには糖を分解していって、ATP(エネルギーの塊のようなもの)を作り出さなければいけませんが、その代謝経路の中の酵素が1つ異常を来たしているために溜まるはずのない物質がたまってしまったりします(糖原病)。これは大抵が、常染色体劣性遺伝です。

 その他、例えばアミノ酸の分解経路で酵素の異常があったりした場合にも勿論病気になります。数多くの酵素が存在していますが、1つ1つに意味があり、欠損すると病気になることが多い、というわけです。こういった先天的な代謝異常の疾患は遺伝することが多いので注意が必要です。

 一応、日本では新生児マススクリーニングとして、先天性代謝異常を検査しています。「ガラクトース血症、フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎皮質過形成」が対応疾患です。これら以外の遺伝する疾患でも対応可能であれば、かなり多くの疾患を早期発見することが可能になると思われます。

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医学処:人工多能性幹細胞を使って鎌状赤血球症を治そう
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2008年01月07日

自閉症児に対する理解を求めるシンボルマーク

自閉症児、ハートで知って

 滋賀県米原市の発達障害児を持つ親の会「でこぼこフレンズ」(吉川友子代表)はこのほど、自閉症に対する理解を求めるシンボルマークを独自に考案した。青色のハート2つが寄り添う図柄で、マークを印刷したバッジやポスターを作製、広がりを期待している。

 同会は「こども療育センターひまわり教室」(同市宇賀野)の通園、卒園児の保護者らでつくった。自閉症は見た目に障害と分かりづらく、外出先で場にそぐわない行動をとったり、パニック状態になってしまった時に、「『わがまま』『親のしつけがなっていない』と見られることが多い」(吉川代表)という。

 このため、子どもが自閉症であることを周囲の人に知らせるため、シンボルマーク入りのバッジを着用させることにした。

 寄り添うハートは、健常者も障害者も互いを思いやり、理解し合えることを願った。バッジ200個(1個350円)は希望者に販売。パンフレット4200部とポスター200部は地元の公共施設や交通機関で配布、掲示している。



 見た目で分かる障害と違って、ちょっと人と違った行動をとること以外は、外見上も普通だと、逆に差別や無理解に苦しむのでしょう。

 難しい問題ですよねぇ。バッジをつければ認知はされるでしょうけれど、日本において、それ以上を求めるのは難しい気がします。まだまだ自閉症という疾患に対する知識が広がっていないのが現状です。
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2008年01月06日

イギリスでジャンクフードのCMを禁止に

英、16歳未満向け番組にジャンクフードCMを禁止

 英国で1日、健康的な食事を促進し、急増する子どもの肥満率の改善を目的として、16歳未満に対するジャンクフードの宣伝行為が禁止された

 すでに10歳未満への宣伝は禁止されており、今回の措置はその対象範囲を拡大するもの。脂肪分や塩分、糖分の含有量が多い飲食物のテレビCMが制限されているが、今回の措置では16歳未満の子ども向け番組中でのジャンクフードや飲料CMが禁止される

 前年10月に公表された調査結果では、現在の食生活の傾向が続けば、英国民の半数が25年には肥満になるとみられる。また、15年後に86%の男性が、20年後に70%の女性が太りすぎになると予測されている



 色々深刻なんでしょうねぇ、イギリスでも。日本人は一応太らない体質はしていると思いますが、ジャンクフードの塩分、脂肪分は、高血圧高脂血症気味の日本人にとってはよろしくありません。

 案外CMってダイレクトに購買層に影響するものです。マクドナルドのCMも色々問題になったりしてるのでしょうねぇ。アメリカでは「スーパーサイズミー」などの映画で批判されていましたが…。

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医学処:スターバックスがトランス脂肪酸を含む油の使用を停止する
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2008年01月05日

小児の細菌性髄膜炎のワクチンの導入が延期される

小児髄膜炎、ワクチン導入延期

 子どもの細菌性髄膜炎を予防する「インフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)ワクチン」の導入が当初の予定より遅れ、来年3月以降にずれ込む見通しとなった。国内での販売元の第一三共が明らかにした。

 ヒブワクチンは、世界100か国以上で使われているが、日本は先進国で唯一未承認の国として問題になっていた。日本小児科学会や患者会などの要望で、今年1月にようやく認可され、今月か来月には輸入、販売体制が整い供給できるとされていた。遅れた理由について、第一三共は「日本での販売前にワクチンの品質を検査する国家検定の準備作業に手間取っているため」としている。

 インフルエンザ菌b型による髄膜炎を発症する小児は、国内で年間推計約600人。このうち5%が死亡し、25%に聴覚障害や発達の遅れなどの後遺症が残るとされている。ワクチンは、生後3か月から1歳半までに計4回接種する。おたふくかぜや水ぼうそうなどと同じ任意接種の扱いで、接種費用は自己負担になる。



 このニュースの続きです。

 医学処 細菌性髄膜炎予防ワクチン「Hibワクチン」を保険適用に

 先進国の医療って、なんといいますか、画期的な治療法が出来たら早急に検査して、GOサインを出すイメージがあります。そうすることによって1人でも多くの人の病と向き合おうというファイティングスピリットが感じられます。

 対して日本は、もしも副作用があったらどうしよう、とかの、不測の事態を恐れすぎるあまり、認可が遅れる傾向にあります。そのくせ、問題があったとして世界中で使用が禁じられても、日本だけは使い続ける、といった不祥事も起こるわけです。

 髄膜炎による死者は年間数十人程度しかいないかもしれませんが、その数十人を救うために国は力を注がないといけないと思います。副作用があったら真摯に向き合うぐらいのガッツがないと、いつまでたってもアメリカに遅れをとったままではないでしょうか。

 最後に、医師国家試験的といいますか、「ありがち」な知識で締めくくりたいと思います。

 髄膜炎の起因菌は実は年代によって異なります。新生児では大腸菌、B群連鎖球菌が多く、小児はインフルエンザ桿菌が最も多く、次いで肺炎球菌、髄膜炎菌となります。成人では肺炎球菌が最も多く、次いで髄膜炎菌です。

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東大病院監修医療漫画「最上の命医」

東大病院監修の医療マンガ「最上の命医」少年サンデー

 東京大学病院(東京・本郷)が初めて、人気少年誌「週刊少年サンデー」(小学館発行)で今月連載が始まった医療マンガ「最上の命医」の監修を自ら買って出た。

 「最上の命医」は、子どもたちの救命に尽くす若手小児外科医の姿を描いた作品。監修は、サンデー側が同病院に外科医不足の現状などについて取材を申し込んだのがきっかけだった。

 同病院は2004年の独立法人化以後、病院に親しみを持ってもらおうと、ドラマのロケ地として院内施設を貸し出している。また「1リットルの涙」(フジテレビ系)などのドラマについては、院内の専門医が、ストーリーに医学的な間違いがないかどうか監修してきた。

 同病院は、マンガの主な読者層がこれまで監修してきたドラマの視聴者層よりも、年齢の低い子どもたちであることに着目。「多少の誇張や脚色があっても、子どもたちに医療情報や外科医の仕事の素晴らしさを伝えられる利点の方が大きい」と判断、監修をサンデー編集部に申し出た。

 実際の監修は、同病院小児外科の岩中督教授が担当。岩中教授は「主人公の活躍を通して、外科医の仕事が、格好良くてやりがいのある仕事であることをおもしろく伝えていくことができれば」と話している。



 へぇー、また新しい医療モノが始まったんですか。しかも少年サンデーで。医療モノといえば少年マガジンが強力ですので、少年サンデーがどこまで対抗できるかどうか。


 ってアレ。これちらっと読んだ気が…。少年サンデーなんて読んでないのでどこで目にしたのかちょっと記憶にありませんが…。知り合いのおきっぱなしのをパラパラ読んだのかな…?

 アメリカ帰りで超天才な医師が日本の小児科医療で大革命を起こそうとしている話だったらそれです。

 なるほど、東大病院が監修してたんですか。心臓の手術シーンで新しい縫合法などを描いていて「どれだけマニアックなんだよ」と思ったものです。あれで対象年齢が低めというのも自信の表れなのかもしれません。

 いや、私、医療漫画には目がないものでして、この「最上の命医」も応援していきたいと思います。やるならとことん小児外科という専門領域で、切り込んでいってほしいですね。医療全般を扱った「ゴッドハンド輝」や「スーパードクターK」とは違ったジャンルとして育ってほしいものです。
posted by さじ at 19:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小児