[脳神]の記事一覧

2008年07月31日

ガンプラを作ることで前頭葉が活性化する。

ガンプラ 組み立てて脳活性化

 79年に始まったテレビアニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデル「ガンプラ」の最新作が26日、発売される。縮尺100分の1では7代目。首、脚、腕、腰などを相当な範囲まで動かせる。最終話で見せた真上にビームライフルを放つポーズなど、アニメでの動きをリアルに再現できるという。

 こんな話を聞いて胸を躍らせた人は、ガンプラで脳の活動をアップさせる可能性があるかもしれない。

 諏訪東京理科大の篠原菊紀教授が論文にまとめた実験だ。男子学生にガンプラを15分程度作らせ、その後、単純な計算問題を解かせたところ、何もしなかった時と比べ、1〜2割程度計算にかかる時間が短くなった。脳内の血流などを調べる装置を使ったところ、ガンプラを作っている間、前頭葉が活性化していることがわかった。

 完成形をイメージしながら作る模型などでも似たような成果が期待できるが、この実験ではガンダム好きの学生の成績アップが顕著だった。篠原教授は「好きなものを作るのでモチベーションが上がる。それに、ガンダムは単なる模型ではなく、背景に、アニメなどで描かれる膨大な物語があり、そうしたことをプラモデルを作りながら想像することで、更に脳が活性化するのだろう」と話す。



 へぇ。

 日本の歴史モノが好きな人は壮大な城プラモを作ることで脳が活性化されるかも。

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2008年07月22日

脳脊髄液減少症の治療可能な病院名をリストアップ

脳脊髄液減少症、診察・治療へ 和歌山県、可能な病院名を公表

 交通事故やスポーツ、転倒などの外傷で発症するとされる脳脊髄液減少症について県は15日、診察・治療が可能な病院名を公表した。昨年3月、県に調査・公表を申し入れていた和歌山市のNPO法人、脳脊髄液減少症患者・家族支援協会の中井宏代表理事は「この病気は経験しないと分からない苦しみがある。対応に感謝したい」と話した。

 脳や脊髄を衝撃から守っていると考えられる液が漏れ、脳の位置が下がり、頭痛やめまい、けん怠感などの症状が出るとされる。

 県は、この症状に関する研究の報告書がまとまったことなどを受け、県内全92病院を対象に、有効とされる硬膜外自家血注入(ブラッドパッチ)療法の実施の有無などを調べた。県医務課は「同意を得た病院だけ公表した。体制が整えば、より多くの病院が公表できると思う」としている。

 調査結果は次の通り。

ブラッドパッチ療法ができる病院
今村病院(和歌山市)
日赤和歌山医療センター(同)
橋本市民病院(橋本市)
国保日高総合病院(御坊市)

診療可能な病院
琴の浦リハビリテーションセンター付属病院(和歌山市)
稲穂会病院(紀の川市)
白浜小南病院(白浜町)



 マイナーだった疾患が広く世に伝わるのは良いことだと思います。特に脳脊髄液減少症のような、今まで病態が分かっていなかった疾患を診ることのできる病院がわかれば、その病気で苦しんでいる人も大いに助かることでしょう。

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2008年07月19日

ハンチントン病の新しい遺伝子治療の研究。

ハンチントン病の新しい遺伝子治療の可能性、研究発表

 スイス・ジュネーブ(Geneva)で12日から5日間の日程で開催されている欧州神経科学連合学会(Federation of European Neuroscience Societies、FENS)主催のフォーラムで15日、フランスの研究チームがまだ動物実験の段階ではあるものの、ハンチントン病の遺伝子治療の有効性を示した。

 ハンチントン病はおよそ1万人に1人の割合で発症する神経系疾患で、主に30-50代で発症する。10-20年かけて症状が進行し、けいれんなどの不随意運動や、人格変化や認知症を引き起こす。死に至る場合もある。

 この病気は 第4染色体にある「IT15」と呼ばれる1つの遺伝子の損傷が原因で、ハンチンチン(huntingtin)と呼ばれるタンパク質に変異を引き起こし、それが過剰に活性化すると大脳基底核の線条体の細胞を殺してしまう

 フランス原子力庁(Atomic Energy Commission、CEA)の生物医学イメージング・分子イメージング研究所(Institute of Biomedical Imaging and Molecular Imaging Research Centre)の研究チームは、改変したウイルスを使って矯正した遺伝子を脳細胞に送り込み、ハンチントンの影響を防ぐ天然のシールドを強化する実験を行った。

 送り込まれた神経保護分子は、毛様体神経栄養因子(ciliary neurotrophic factor、CNTF)と呼ばれる。脳に障害や損傷が起きた場合、CNTF合成が促進されて神経細胞の生存を助けるが、研究チームが線条体に送り込んだウイルスは、このCNTFを作る遺伝子を脳細胞に感染させるものだ。

 研究チームはまずモルモットで、その後霊長類で実験した結果、この手法で線条体の細胞を保護できることが判明。今後は、ヒトでの臨床実験を行っていくという。



 治療法の確立というより、なんでしょうね、予防に近いものでしょうか。遺伝子によって神経細胞の崩壊を防ぐ技術。もし完成すれば、治療できなくても、いわゆる「寛解」の状態までもっていくことも可能かもしれません。

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2008年07月18日

ベジタリアンのほうが心疾患や脳梗塞のリスクが高い。

菜食主義は心疾患や脳こうそくのリスクを高める

 菜食主義は心疾患や脳こうそくのリスクを高める―インド・デリー首都圏の医師らがこのような調査結果を発表した。魚料理や肉料理を日常的に食べることで、これらの疾患のリスクを大幅に低下させることができるという。

 マックス病院の医師らは外来患者4680人を対象に5年間にわたり調査を実施。ビタミンB12の体内備蓄量と血中のホモシステイン濃度を検査した。調査の結果、患者の約6割でビタミンB12の不足がみられ、その大多数がベジタリアンであることが明らかになった。
 
 調査チームを率いる上級医師Arun Garg氏は、「ビタミンB12は野菜以外の食物に多く含まれています。ベジタリアンにビタミンB12が欠乏しがちなのはそのためです」と分析。さらに「ビタミンB12不足は血中のホモシステイン濃度を高め、結果として心疾患のリスクを高めるのです」と説明する。

 ホモシステインはタンパク質の代謝過程で生成されるアミノ酸の一種。血液中に蓄積されると、心疾患や脳こうそくの原因の一つである動脈硬化のリスクを高めるとされている。
 
 Garg氏らの研究によると、ベジタリアンが心疾患や脳こうそくなど発症するリスクは非ベジタリアンの約4倍。また野菜以外の食物をたまに食べる程度では、リスクを低下させることはできないという。「菜食主義の人はビタミンB12のサプリメントを摂取することです」とGarg氏は推奨している。



 本来人間は雑食ですからね。雑食な生き物が、野菜だけ食べていて、正常でいられるわけがない、と思います。

 個人的なアレで申し訳ないんですけれど、肉の味が嫌いだとか、そういう理由でベジタリアンな人は、まぁいいんですよ。それは野菜嫌いと同じですから。ですが、生き物を殺してはいけない、とか、そういう倫理観を持ち出してくるベジタリアンは、はっきり言って気持ちが悪い。食が、何故そういう思考に結びついてしまうのか、理解しがたいです。多分自分でも無意識のうちに、肉が食べられない理由を他者に強要してるに過ぎないんだろうなとは思いますけれど。

 そういう人たちにはベジタリアンでいてもらうとして。野菜ばかり食べているほうが身体には良いと信じている人、肉も魚も嫌いな人、とりあえず「野菜の食べすぎで栄養が偏っている」状態なので、足りない栄養をサプリで補うようにして下さい。

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2008年07月15日

亜急性硬化性全脳炎の治療薬リバビリンを手に入れるためには

難病患者、ピンチ 中国が五輪控え「薬送れぬ」

 北京五輪の余波が難病患者に影響を与えている。中国製の治療薬が輸入できなくなり、ウイルス性の亜急性硬化性全脳炎(SSPE)で熊本市の熊本大医学部付属病院に入院する森下哉美さん(21)への治療が止まりかねない状況だ。欧米の同じ薬は価格が約100倍という。主治医が11日夜、手元に残る最後の薬を森下さんに注射した。症状の悪化を心配する家族と主治医は助けを求めている。

 SSPEの治療には、C型肝炎治療薬として知られるインターフェロンと液体注射薬「リバビリン」の併用が有効という。国内で流通しておらず、海外から取り寄せるしかないリバビリンの治療を受けている日本の患者は約150人のうち10人程度という。メキシコ製の製造が中止になり、02年からは主治医の野村恵子・医学部発達小児科助教(44)が中国の製薬会社から取り寄せていた。

 ところが6月27日、野村医師に「薬が送れない」と電子メールが届いた。北京五輪期間中の安全確保のため、中国の郵便局が6〜10月、すべての窓口で液体類や気体などの扱いを禁じたためという。

 リバビリンは通常、1日3本ずつ5日間注射し、9日休んで5日間注射する。保険適用外の自費治療で、年1回、2千本を750ドル(約8万円)で中国から買っていた。米国やスイスなどでも売っているが、中国製の約100倍で1本5千円程度という。

 森下さんの次の投薬予定は約4週間後。8月までに薬が入手できないと、筋肉が異常に緊張したり呼吸が不安定になったりする恐れがある。SSPEを含む感染症などの厚生労働省研究班長で東京医科歯科大大学院の水沢英洋教授は野村医師に頼まれ、今月上旬に「リバビリンに対する郵便取り扱い禁止を解くよう中国に働きかけてほしい」と厚労省に求めた。

 06年7月の入院以来、泊まり込みで看病する母の京さん(49)によると、哉美さんの発症は小学6年の10月ごろ。歩いていて下半身に力が入らなくなり、はしを持てなくなった。別の病院で医師から「余命3カ月」と宣告され、発症2週間後に首が座らなくなり、寝たきりになった。体重は一時、40キロ台から20キロ台に落ちた。

 熊本大付属病院のリバビリン治療で症状が改善し、車いすを自力で動かせるようになった。中学を卒業し、養護学校に3年間通った。今は話すこともできず、ほぼ寝たきりの状態だが、たまに家族に笑顔を見せることもあるという。京さんは「薬がなくなればこの笑顔がなくなる。何とか治療を続けさせてやりたい」と語った。



 五輪の影響はこんなところにまで…。しかし中国も、融通きかなすぎではないですかね。警戒する気持ちはわかりますが…何とかしてやってもらいたいなぁ。

 亜急性硬化性全脳炎は、麻疹ウイルスによって緩徐に進行する脳の炎症です。麻疹ウイルスといっても、よくある「はしか」ではなく、熱が出るとか、皮疹が出るとか、そういう症状ではありません。麻疹ウイルスが原因なだけです。麻疹に感染してから、数年のあいだ潜伏しています。そして、5〜10年後に発病するという特徴があります。発病後は数月から数年の経過(亜急性)で、神経症状が進行します。

 亜急性硬化性全脳炎の症状としては、成績低下、記憶力低下、いつもと違った行動、感情不安定、体がガクンとなる発作、歩行障害、字が下手になった、などで気がつかれることが多いようです。

 脳のウイルス感染による病気なので、抗ウイルス療法としてインターフェロンやリバビリンなどが用いられていますが、「難病」ですので、治療法は確立されておりません。しかし自力で車椅子を押すぐらいにまで回復しているのですから、何としてでも治療を継続していきたいところですね。

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2008年07月14日

ヤコブ病患者の手術で使った器具を通常消毒で再利用してしまう。

ヤコブ病手術器具通常消毒で再利用 国内3病院

 国内3病院が、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)患者の手術で使った器具を、特別な消毒をしないまま、ほかの患者計55人の手術にも利用していたことが9日、厚生労働省の調べで分かった。

 CJD患者の手術はそれぞれ2001、02、06年に行われており、同じ器具で手術を受けた患者のうち存命中の45人が二次感染していないか、各病院が追跡調査をしている。

 厚労省は「通常の消毒だけでは、CJDの原因とされる異常プリオンが残存する可能性を否定できない」と判断しており、03年以降、CJD患者の手術後に器具を特別な方法で消毒するよう求めている。

 ただ、今回の3病院のケースで、最初の患者がCJDだったと判明したのは、いずれも器具を二次使用した後だった

 同様の報告は昨年までに計5件あり、患者40人が経過観察の対象になっているが、現時点で二次感染の報告はない。



 器具を二次使用した後だったか〜、これは仕方ない、のかな…。

 患者全員、ヤコブ病か調べるわけにはいかんでしょうしね。脳波検査や髄液検査をやるってわけにも。。。難しいところです。他の病院はどういう対応をしていたんでしょうか。

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2008年07月12日

英語より日本語のほうが、思考の順番として自然である。

「英語式語順は、自然な思考の順番に反する」研究結果

 あなたが話すときに従っている文法の規則は、あなたの思考の筋道を反映していないかもしれない。

 6月30日(米国時間)に『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)に発表された論文によると、主語(S)、動詞(V)、目的語(O)の順に文章が構成される(例えば「Bill eats cake(ビルが、食べる、ケーキを)」)SVO型言語を話す人であっても、身ぶり手ぶりでコミュニケーションを取るよう求めると、主語、目的語、動詞の順番で意志を伝えたという。

 英語も含めて、人間が使用する言語の約半分では、主語の後に動詞が続く。こうした言語を生まれたときから使用している人には、「Bill cake eats(ビルが、ケーキを、食べる)」というSOV型の語順の文は、直観に反しているように聞こえるかもしれない。だが、こうした文章構成の方が、実は人が認識する順番に従っているようなのだ

 「これは、言語よりも先に頭に浮かぶ、本来の思考の順番を反映しているのかもしれない。非常に自然であるように思われる」と、今回の論文の執筆者の1人であるシカゴ大学の心理学者、Susan Goldin-Meadow氏は語る。

 Goldin-Meadow氏の研究チームは、40人の被験者(SVO型である英語、中国標準語、スペイン語を母国語とする被験者各10人と、SOV型であるトルコ語を母国語とする被験者10人)に、「少女がノブを回す」といった一連の単純な行為を身振り手振りで表すよう求めた。

 その結果、母国語に関係なく、ほとんどすべての被験者が、主語(少女が)、目的語(ノブを)、動詞(回す)の順に身振り手振りを行なった。

 「話す言語が身ぶり言語にも影響すると予想したが、結果は違った」とGoldin-Meadow氏は言う。

 主語、目的語、動詞の語順にしたのは意思の伝達をスムーズにしようとしたためであるどうかをテストするために、被験者は、イラスト入りの透明シートを複数与えられ、順番に意味はないと説明された。それぞれのイラストはある場面の一部を描いたもので、すべてのシートを重ねると、重ねる順番に関係なく同じ絵になる。それでも被験者は、目的語を動詞の前に置いた。

 「この結果は、言語は思考から独立しているということをほとんど証明している」とGoldin-Meadow氏は言う。

 こうした予想外の結果が何を意味するのかは、まだはっきりしない。SVO型言語を話す人は、思考を人間の直観にやや反する言語パターンに変えるので、認識面でわずかなストレスを常に感じているのかもしれない。そうだとしても、そのストレスは検知できないくらい小さいだろう、とGoldin-Meadow氏は言う。だが、こうした認識面での負担は、神経障害のある子どもたちや、SVO型言語を学習するのに苦労している子どもたちの場合にはもっと顕著になる可能性がある



 日本語は世界有数の優れている言語であると同時に、世界一マスターするのが難解な言語でもあります。

 日本語と思考の流れが同じというのはなんとも興味深いところですね。そして言語学習機能で停滞している子供に対しては、別の学習法を使うと違うかもしれない、というのも興味深い。日本でも国語の学習障害がある子に対して、英語を教えたら案外フィットするのかも。
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2008年07月08日

くも膜下出血の見落とし率は6.7%。頭痛が軽くCT実施せず。

初診、くも膜下出血6.7%見落とす CT実施せず

 くも膜下出血の患者のうち、脳神経外科医以外が初診した6・7%が風邪などと診断され、事実上、病気を見落とされていたことが7日、日本脳神経外科学会の調査で分かった。

 患者が軽い頭痛しか訴えなかったことなどから、くも膜下出血を発見できるCT(コンピューター断層撮影)を実施していなかった。同学会は「軽い頭痛の患者全員にCTを行うわけにはいかない。現代医療の限界とも言える」としている。

 同学会学術委員会の嘉山孝正・山形大教授らが、宮城県と山形県の2病院で、脳神経外科のカルテ全491例を調査した。

 宮城県は07年1月-08年5月が対象。198例中37例が脳神経外科医以外で初診を受け、うち10例(5・1%)が風邪、高血圧、片頭痛などと診断されてCTを受けず見落とされた。10例すべてが再発し2例が死亡した

 山形県は96-05年が対象。専門医以外の初診は293例中48例で、23例(7・8%)が見落とされ、すべてが再発し2例が死亡した。

 見落とし計33例のうち17例は、くも膜下出血の常識に反して発症時に軽い頭痛しか起きておらず、委員会は「専門医以外では他の頭痛と区別できない」と指摘。他の16例も「診断が難しい例がある」とした。山形県では脳神経外科医でも見落とした軽度頭痛の患者が1例あった。

 米国では5-12%の見落とし率という報告がある。嘉山教授は「くも膜下出血の診断は難しく、完ぺきな診断はできない。現代の医療でも見落としは不可避という現実を周知し、脳ドックの普及など社会全体で対策を考えるべきだと思う」と話している。



 くも膜下出血は、「今まで経験したことのないようなひどい頭痛」や「ハンマーでガツンと殴られたような激しい頭痛」を主訴にするのが「典型的」です。しかし当然、典型例に合わないような頭痛もあるわけです。軽い頭痛程度で、くも膜下出血を疑ってCTにかけたりは、よほど疑わない限りはしません。

 こればっかりは、現代医療の限界でしょうねぇ。見落とすな、というほうが無理です。

 いや、見落とさない方法は簡単で、頭痛の患者が来たら全員にCTを施行すればよい。でもそんなことは出来ない。出来ないでしょう?時間もなければ検査するための機械もそんなにないし、加えて医療費がとんでもないことになる。国民が「医者は無駄な検査を行って私腹を肥やしている」とか本気で思ってるこのご時世ですしね。それに頭痛といっても、圧倒的に、緊張性頭痛や片頭痛が多いわけですし。

 CT以外の別の方法で鑑別できるような検査法が発見されることを願うしかない、か。

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2008年06月26日

コーヒーに含まれるクロロゲン酸が糖尿病を予防する。

コーヒー、脳にもおいしい 名市大教授ら解明

 コーヒーに含まれるポリフェノールの一種が認知能力の低下を防ぎ、糖尿病の発症を抑えるメカニズムを名古屋市立大大学院医学研究科の岡嶋研二教授、原田直明准教授らと飲料メーカー「伊藤園」(東京都渋谷区)の共同研究グループが解明した。

 コーヒーを多く飲む人ほど糖尿病になりにくく高齢者では認知能力の低下が抑えられる傾向があることが分かっていたが、その仕組みは謎だった。

 岡嶋教授らは、健康効果で知られるポリフェノールの1つである「クロロゲン酸」が知覚神経を通じて脳に作用し、糖尿病の抑制などの効果があるタンパク質「インスリン様成長因子−1」(IGF−1)の生成を促しているとみて実験を始めた。

 クロロゲン酸は、植物が紫外線から身を守る際に働く物質で、特にコーヒー豆に大量に含まれる。独特の香りや渋味をつくる成分とされている。

 クロロゲン酸を多く含むコーヒーと普通のコーヒーを14日間、別々のマウス群に飲ませ続けたところ、多く含むコーヒーを摂取したマウス群で、各臓器のIGF−1濃度が最大で2倍になった。

 2種類のコーヒーを、21−51歳の男性14人ずつにそれぞれ2週間、毎食後飲んでもらったところ、クロロゲン酸の多いコーヒーを飲んだ14人の空腹時の血糖値が低下するなどの効果があった。

 岡嶋教授は「クロロゲン酸は熱に弱く、深いり豆ではこのような効果は期待できない。焙煎し過ぎないアメリカンを適度に飲むのが効果的」と話している。



 日本では深焙り豆が多いんでしょうか。あまり詳しくないのですが結構焙煎しているような気がします。

 まぁでもコーヒー豆専門店に行って、焙煎具合を尋ねればお目当ての「クロロゲン酸含有量の多いコーヒー」も買えると思いますので、糖尿病や認知症が気になる方は是非どうぞ。嗜好品といえど身体にも優しいコーヒーの情報でした。

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熊本市開新高校で脳振盪直後に強制練習させ急性硬膜下血腫に

脳しんとう直後、走り込みさせ重体 熊本の高校空手道部

 熊本市の私立開新高校で昨年7月、空手道部の練習中に脳振盪で倒れた当時1年の男子生徒(17)が直後に走り込みをさせられ、翌日に急性硬膜下血腫で倒れ意識不明の重体になった問題で、熊本北署は24日、空手道部長(顧問)の男性教諭(40)を業務上過失傷害と暴行の疑いで熊本地検に書類送検した。

 調べでは、教諭は07年7月10日夕、生徒が練習中にあご付近に突きを受け脳振盪を起こして倒れた際、救護措置をとらず練習を続けさせた疑い。また、翌11日の練習前、職員室を訪ねて体調不良を訴えた生徒を突き飛ばすなどした疑い。教諭は容疑を認めているという。

 県警や同校によると、生徒は7月10日、突きを受けて倒れた後、グラウンドでタイヤを引いて30メートルの距離を数回全力疾走した。11日は、職員室で頭痛と吐き気を訴え「病院に行きたい」と話したが、教諭は認めず、道場へ行くよう促したところ倒れた。学校からの119番通報はその約40分後だったという。

 生徒は重い障害が残ったため、3月に自主退学し、4月から佐賀市内の養護学校に入学したという。両親が業務上過失傷害などの疑いで教諭を県警に告訴していた。父親(46)は「地検には、なぜこのようなことが起きたか調べ、二度と起きないようにしてほしい」と話している。

 空手道部は熊本県高校総体で優勝するなどの強豪。田中満生校長は「厳粛に受け止め、地検の判断を仰ぐ。事故当時から生徒と保護者には申し訳ないと思っていた」と話している。生徒の入院費や介護のための自宅改装費などは学校側が全額負担したという。



 信じられない。

 これはもう殺人と同じくらい酷い事件ですよ。教師がこういうことをしては絶対にいけない。顧問の男性教師は裁かれて然るべきです。

 脳振盪を起こして、安静が必要なのにもかかわらず、無理に練習させ、最終的には急性硬膜下血腫。硬膜の下の、脳の血管が破れてしまい血腫が出来て脳を圧迫してしまう状態です。

 入院費や自宅改装費は学校が負担したということですが、この男性教師が全額支払うべきです。一生をかけて。

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2008年06月14日

副腎白質ジストロフィー「ロレンツォのオイル」モデル男性が死去

「ロレンツォのオイル」モデル男性が死去

 AP電によると、米映画「ロレンツォのオイル」のモデルとなった男性、ロレンツォ・オドーネ氏が30日、肺疾患のため米南部バージニア州の自宅で死去。30歳。父親のオーグスト氏が明かした。

 6歳の時に難病の副腎白質ジストロフィー(ALD)にかかり、医師から2年以内に死亡するとの宣告を受けたが、両親が自力でオリーブ油などによる治療に効果があることを発見。実話を基に映画「ロレンツォのオイル命の詩」(92年)がつくられ、世界中に感動を与えた。



 ロレンツォのオイル。懐かしいなぁ。もう16年も前の映画なんですね。

 あらすじとしては「副腎白質ジストロフィーになった息子を救うために、何も医学的知識のない素人の両親が、論文や学術書を読み漁り、なんと副腎白質ジストロフィーに効果のある特効薬を突き止めることに成功した」という、ウソのような実話を元に作られています。

 副腎白質ジストロフィーに効果のある、菜種油とオリーブオイルの主成分を抽出し、「ロレンツォのオイル」と名づけました。

 ロレンツォ自身は、投与されるのが遅かったため、症状が回復することはありませんでしたが、2年しか生きられないといわれていたにもかかわらず、30歳まで生きるという効果。しかもロレンツォのオイルを投与された他の副腎白質ジストロフィーの患者は命を救われ、元気に遊べるようになったとか(映画のエンドロールで実際に命を救われた人たちが登場しますが、まさに感動ものです)

 あー、書いてたらまた観たくなりましたね。十数年ぶりに。

参考:ロレンツォのオイル
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多発性硬化症はNR4A2という遺伝子を抑制すれば症状が軽快する。

多発性硬化症の治療薬に道 発症の仕組み解明

 中枢神経の一部が炎症を起こし、視覚や運動などさまざまな障害が出る難病「多発性硬化症」は、特定の遺伝子の働きが高まることで炎症を起こす物質が放出されて発症するという仕組みを国立精神・神経センター神経研究所の山村隆部長らが解明、9日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。

 この遺伝子を標的にすれば、病気の進行を抑える薬の開発につながるという。

 多発性硬化症は免疫機能の異常で、脳や脊髄の神経細胞を結ぶ細長い軸索を取り巻く「さや」の部分に炎症が起きて発症。リンパ球の一種、T細胞が中枢神経に入り、さやを攻撃することが原因とされるが、詳しい仕組みは不明だった。

 山村部長らは、多発性硬化症の患者で働きが活発になっている「NR4A2」という遺伝子に注目。マウス実験などで、この遺伝子がつくるタンパク質が、炎症を引き起こすサイトカインという物質の分泌に関与していることを突き止めた。

 この遺伝子の働きを弱めるとサイトカインの分泌が減り、病気のモデルマウスの症状が軽くなった。



 最近、人の「病気」に特異的な遺伝子などが色々と見つかっていますね。

 しかもその遺伝子を抑制すれば症状が軽減するという・・・。神経の疾患って、最も患者の生活力というか、自立力を奪うものだと思うので、こういった研究は是非とも臨床に体現していただきたいものです。吉報を。

関連
医学処:ビタミンDの摂取で、多発性硬化症を予防できるかもしれない
医学処:多発性硬化症にインターフェロンで37%が治療中止に。
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2008年06月09日

10代の献血者は失神を起こしやすい。

十代の献血者は合併症を起こしやすい

 米国の血液センターが困難に直面している。現在および将来の重要な献血者である16〜17歳の若者は、献血により内出血や失神などの合併症を起こしやすく、今後、若者による献血が減少する恐れがあるとの研究結果が、米国医師会誌「JAMA」5月21日号で報告された。

 米国では2001〜2004年に、輸血量が2%増加したが、献血量は0.2%減少している。西ナイルウイルス感染症やシャーガス(Chagas)病のスクリーニングなど規制が増加しており、成人の献血適格者は全人口の推定38%のみである。幸い、感染症を有する可能性の低い若年者の献血は増加している。2005年には、米国赤十字社(ARC)の献血の14.5%を16〜19歳、8%を16〜17歳の献血者が占めており、その約80%は高校への巡回献血車によるものであった。専門家は、献血者が減少している状況で、この役割は大きいとしている。

 16〜17歳の若者での合併症発現率は20歳以上の献血者の3倍であり、初回献血者の合併症発現率は2回目以降の献血者のほぼ3倍、女性は男性のほぼ2倍であった。地域差もみられたという。また、16〜17歳の献血者では、失神に関連した傷害(脳振とう、縫合を要する傷、顎[あご]の骨折など)が18〜19歳の2倍以上、20歳以上の14倍以上認められた。

 これらの合併症は、若年者が再度献血をする意欲に影響を及ぼすことも判明した。16歳の献血者のうち1年以内に再度献血を行ったのは、合併症を生じなかった人では73%であったのに対し、軽微なものも含めて合併症を生じた人では52%であった

 Eder氏は「これらの安全性のデータを収集することで、基準がわかり、献血者の経験をモニターし、改善することができる」と述べている。なお、献血による合併症を減らすには、たくさん水を飲む、十分に睡眠をとる、献血前に栄養のある食事を摂るなどの方法がある



 日本で献血を行う際には、水分をガンガン摂取するように推奨されていますし、何よりその献血センターで無料ドリンクの自動販売機や、スポーツドリンクを手渡されたりしますからね。

 それでも針を刺す以上、失神を起こすことはなくすことはできません。合併症といってしまえばそれまでですけれど、献血が必要なことは代わりありませんので、是非とも、献血してもらいたいです。

関連
医学処:1年間の献血者数が初めて500万人を下回る。
医学処:659回目の献血を行った熊本市の本松さん
医学処:若者の献血離れが深刻。43%から25%へ減少。
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2008年06月03日

iPS細胞を用いて未熟児脳症を治療する。

未熟児脳症の治療法開発へ/iPS細胞使い名古屋市大

 未熟児の脳性まひの一因になる脳症によって失われた神経細胞を、新型万能細胞の「iPS細胞」や、脳内にもともと存在する幹細胞を使って再生させる研究に、名古屋市立大の沢本和延教授(神経再生医学)らが6月から乗り出す。

 この脳症は、主に妊娠33週未満の早産児に起きる「脳室周囲白質軟化症(PVL)」。

 脳への血流障害が原因で、脳室の周囲にある運動神経が失われる。生後2週間ごろから画像診断できるが、足のまひなどの症状が出るのは生後4、5カ月ごろから。33週未満で生まれた新生児の約1割がPVLを発症しているという

 現在は治療法がないが、沢本教授は症状が出る前に正常な神経細胞を移植すればまひを防げる可能性がある点に着目。

 計画では、慶応大と共同で、ネズミやサルのiPS細胞から神経細胞のもとになる神経幹細胞を作製。それを、脳への血流を一部止めPVLの症状を再現した生後数日のネズミやサルの脳に移植して神経再生を目指す。



 iPS細胞の概念上、「新生児+iPS細胞」の組み合わせは、まさに何でもアリな状態だと思います。

 神経細胞のもとになる細胞を移植してやれば、生まれたての赤ん坊と同じように、外界からの多数の情報を得て成長していくにつれて、iPS細胞も正常の神経細胞になりうるのでは。

 ただ実際はなかなか厳しいんでしょうけれどね。どうやってそれをコントロールするのか、未だに不明ですし。しかし1筋の光であることには違いありません。

関連
医学処:iPS細胞を用いて、脊髄損傷の症状が改善する。
医学処:難病の解明のために、iPS細胞を用いる。
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2008年04月23日

脳血管障害や二分脊椎を予防する、葉酸を積極的に摂ろう。

「葉酸」 積極的に摂取を 高齢者の脳卒中予防に効果

 ビタミンBの一種「葉酸」の十分な摂取が高齢者の脳卒中や認知症の予防に役立つことが、海外の取り組みで明らかになってきた。米国では10年前に穀物に葉酸添加を義務付けたことで、脳卒中の死亡率が激減するなどさまざまな効果が報告されている。一方、日本では他の栄養素と同じ扱いで、必要量を摂取できていない人も少なくない。特に高齢になると葉酸を吸収しにくくなるので、意識的に摂取した方がよさそうだ。

 葉酸はホウレンソウなどの緑黄色野菜や豆類に含まれる水溶性のビタミンB群の一種。「造血のビタミン」ともいわれ、主に赤血球をつくる働きがあるほか、胎児の中枢神経系など新しく細胞をつくるときに必要な栄養素としても知られる。

 米国では1998年、日本の厚生労働省にあたる米食品医薬品局(FDA)が主食となる穀類への葉酸添加を義務付けた。この結果、新生児の二分脊椎などの「神経管欠損障害」が約2割減少したことが2001年に報告されている。穀物への葉酸添加は現在、カナダやオーストラリア、ニュージーランドなどで行われており、これらの国でも神経管欠損障害の発生頻度を減らす効果を上げている。

 一方、葉酸の十分な摂取が、新生児だけでなく高齢者にも恩恵をもたらしていることも分かってきた。米国で1998年を境に、脳卒中の死亡率が10万人中180人から150人へと減少したのだ。また、同年以降、米国民の血中の「ホモシステイン」が減ったことも判明。ホモシステインはアミノ酸の一種で、この値が高いと動脈硬化や認知症のリスクが高くなる。つまり、穀物への葉酸添加で、動脈硬化や認知症が予防できた可能性があるのだ。

 日本では厚労省が平成12年、妊娠を計画する女性に1日0・4ミリグラムの葉酸を摂取するよう呼びかけた。しかし、周知されているとはいえない状況で、神経管欠損障害の出生率は日本では逆に増えている。また、成人の必要摂取量は0・24ミリグラムと海外の約半分。ホモシステインを減らし動脈硬化や認知症の予防効果があるのは0・4ミリグラム以上とされており、日本の基準では足りないとの指摘もある。

 国としての取り組みが進まない中、埼玉県坂戸市は2年前から脳卒中などを減らすことを目的に「葉酸プロジェクト」を実施、1日0・4ミリグラムの葉酸摂取を呼びかけている。成人式でのパンフレット配布や講習会で葉酸の必要性を周知する一方、企業と協力して葉酸添加のパンやカレーの開発を行ってきた。

 市健康づくり政策室の国枝寛室長は「葉酸摂取が脳卒中や認知症の予防につながるというのは海外では常識で、市民の健康のために行政での対策が必要と考えた。長い目でみて医療費削減にもつながれば」と期待する。

 女子栄養大の香川靖雄副学長は「日本人の寝たきりの上位3疾患である脳血管疾患、骨粗しょう症、認知症は、葉酸で予防が進むことが明らかになっている。すべての男女に葉酸の必要量摂取を呼びかける必要があるが、特に高齢者は葉酸の吸収が悪いので意識してとるようにした方がいい」と話している。



 特に女性の認知度は広げていきたいところです。

 妊娠する前から、必要量の葉酸を摂取していないと、胎児が二分脊椎になりやすくなります。

 二分脊椎は、生まれつき脊椎の癒合が完全に行われず一部開いたままの状態にあることをいいます。脊髄が形成不全を起こし、様々な神経の障害を生じる可能性も。主に腰椎、仙椎に発生しますが、その部位から下の運動機能と知覚が麻痺したり、合併症として脳に異常を生じたり、さらに膀胱や直腸の機能にも大きく影響を及ぼすことがあります。

 正直、脳血管障害とかは自己責任といいますか、なりたくない人は葉酸を多く含まれる食品を食べるように心がけましょう。赤ん坊には罪がないので、妊娠しようと思っている人、生まれたばかりの赤ちゃんをリスクに晒したくなければ、是非とも葉酸の摂取を!

関連
医学処:先天性障害の発症リスクを下げる「葉酸」を知らない妊婦が多すぎる。
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2008年04月20日

多発性硬化症にインターフェロンで37%が治療中止に。

多発性硬化症抑制薬で副作用 37%が治療中止

 手足のまひや視覚障害などが出る難病「多発性硬化症」の治療薬インターフェロンベータの使用後に、症状の悪化や副作用のため治療を中止した例が37%にのぼることが、厚生労働省研究班の緊急全国調査でわかった。

 日本神経治療学会と日本神経免疫学会は2004年、一時的に症状が悪化しても進行を抑える可能性があるので薬の使用を中止すべきではない、とする治療指針を作成したが、両学会はこの指針の見直しを始めた。

 この薬の使用後、手足のまひが急激に進行して歩けなくなるなどの患者が7人いた、との報告があったため、厚労省研究班は全国977医療機関に緊急調査を実施した。治療を受けた患者計308人のデータを分析したところ、37%に当たる114人が治療を中止していた。理由は「副作用(40%)」「効果がない、不十分(19%)」「症状が悪化(11%)」などだった。

 中でも、日本人患者の約3割を占める「視神経脊髄型」と呼ばれるタイプの場合、血液検査で抗体が陽性だった17人のうち14人が治療を中止していた。理由は「症状の悪化」が最も多かった。



 難病、多発性硬化症の治療法の1つがなくなってしまうかも。まぁ副作用なら仕方ないですけれども。

 これに関しては以前も取り上げたことがあります。

医学処:多発性硬化症の視神経脊髄型にインターフェロンを用いて悪化

 この時は、まだワカランというアレでしたけれど、どうやら結構な割合で悪くなるらしいです…。

 多発性硬化症は、日本では、人口10万人あたり8〜9人程度が発症します。簡単に言うならば、神経がヤラれてしまう病気です。

 視神経のみが侵されると、球後視神経炎となります。脳幹が障害されると、目を動かす神経が麻痺してものが二重に見えたり(複視)、目が揺れたり(眼振)、顔の感覚や運動が麻痺したり、ものが飲み込みにくくなったり、しゃべりにくくなったりします。

 小脳が障害されるとまっすぐ歩けなくなりちょうどお酒によった様な歩き方になったり、手がふるえたりします。大脳は大きいので少々の病変が起こっても症状を出さないことが多いようです。

 脊髄が障害されると胸や腹の帯状のしびれ、ぴりぴりした痛み、手足のしびれや運動麻痺、尿失禁、排尿障害などが起こります。

 このように、どこの神経がやられるかによって、出てくる症状が異なるのも、多発性硬化症の1つのポイントといえるでしょう。文章で見るだけでも恐ろしい病気です。これもiPS細胞を使ってなんとかならないものですかね。。。

関連
医学処:ビタミンDの摂取で、多発性硬化症を予防できるかもしれない
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2008年04月13日

筋ジストロフィーの少年の成長記録を写真集に。

写真集:筋ジストロフィー症少年、成長の記録第2弾

 全身の筋肉が委縮する難病「筋ジストロフィー症」の加藤慎大郎さん(20)=府中市=が成人したのを記念し、6年間の日常生活を収めた写真集が16日、出版される。母親の道子さん(55)と撮影した元小学校教諭、菊池和子さん(62)は「病気が世の中に認知され、治療薬が一日でも早く開発されてほしい」と訴えている。

 「写真、楽しみ」。自宅で目をぱちくりさせ、慎大郎さんがささやいた。菊池さんが相づちを打つと、まゆを上下させて白い歯を見せた。

 慎大郎さんは生後2カ月で筋ジストロフィー症と診断され、生まれてから立って歩いたことがない。1年半前、食べ物が流れ落ちないよう気管をふさぐ手術に踏み切り、声帯が使えなくなった。

 菊池さんは1999年、当時勤めていた調布市立石原小学校で、6年だった慎大郎さんと出会い、筋ジストロフィー症を初めて知った。担任ではなかったが、車椅子で通学し、感情表現豊かな慎大郎さんと触れ合うなかで、難病への関心を抱くともに、「みずみずしい姿を撮りたい」と思った。慎大郎さんが卒業後に養護学校へ通うようになり、府中市へ転居してからも日常生活に密着してきた。

 週3回訪れる通所施設での日々、大好きな電車に乗り込む姿、紋付きはかまで出席した成人式など、15〜20歳までの姿をまとめた。小学生時代の写真集は出版済みだが、菊池さんは「先天性の患者が成人するのは大きな喜び。その記念に」と2冊目の出版を決めた。

 慎大郎さんはこれまで40回以上の入退院を繰り返し、救急車で運ばれた数も20回を下らない。道子さんは「同情ではなく、いろいろな人とかかわって楽しく生きていることを知ってほしい」と話す。

 写真集は「二十歳になりました−筋ジストロフィーの慎大郎君の日々2」(子どもの未来社、2100円)。B5変型判96ページで約80枚の写真を収録している。出版に合わせ、調布市多摩川5の喫茶店「カフェ大好き」で16日から5月15日まで写真展を開く。



 同じ病気で苦しんでいる方、そのご家族にも、励みとなるのではないでしょうか。

 病気であるというマイナスのことや、写真集にできたというプラスのことを抜きにしても、「ありのまま」を写真に収めることに、大きな意義があるのかもしれません。

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医学処:月経血から、筋肉細胞を取り出して筋ジストロフィーの治療に
医学処:筋ジストロフィーの患者の38%が、着床前診断に賛成している。
医学処:Duchenne型筋ジストロフィーの進行を止める薬の候補を開発
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2008年04月05日

脳血管疾患は北日本が高く、肝癌は西日本が高い。

脳血管疾患は北日本が中心/都道府県別の死因分析

 脳血管疾患による死亡率は北日本が高く、肝がんは西日本が高い−。厚生労働省が4日、発表した生活習慣病に関する都道府県別の死因分析結果で、こんな傾向が明らかになった。

 同省は「地域によって差がある理由ははっきりしないが、地方自治体などで疾病の予防対策に役立ててほしい」(老人保健課)としている。

 調査は2006年の人口動態統計(厚労省)と推計人口(総務省)を基に、年齢や性別による人口構成の違いをなくすよう統計処理した上で、11種類の疾病について都道府県別の死亡率を比較した。

 それによると、脳血管疾患による死亡率1−3位は男性が岩手、青森、秋田、女性が岩手、秋田、栃木で、北日本が目立った。肝がんによる死亡率は男性が福岡、佐賀、広島、女性が佐賀、福岡、大阪の順で高かった。



 なんででしょうね。

 よく言われているのが、農村地方ほど塩分を沢山摂取するために高血圧が多いとか、九州地方のほうがHTLV-1感染率が高いとかですが

 何故肝癌や脳血管障害に地域差が出るのでしょう…おそらく生活の中で何らかのファクターがあるはずですし、その根本を発見すればかなり凄いのでは。「何でだろう」と思ったから、HTLV-1も発見できたわけですしね。

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医学処:くも膜下出血の治療成績は、開頭手術も血管内治療も同等
医学処:生きがいがないと、病死する確率が高くなる。
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2008年04月04日

うつや不安障害に脳内物質アクチビンが関与か。

アクチビン:不安障害やうつ病などに関与…三菱生命研解明

 不安障害やうつ病などの病気に、脳内で分泌される「アクチビン」というたんぱく質が関与している可能性があることを、三菱化学生命科学研究所(東京都町田市)の研究チームがマウスの実験で突き止めた。2日付の米科学誌電子版に発表した。研究チームは「従来の薬が効きにくい不安障害に対する治療法開発に役立つかもしれない」と話している。

 研究チームは、遺伝子操作でアクチビンを働きにくくしたマウスとアクチビンの分泌量を増やしたマウスを作り、行動を調べた。

 アクチビンが働きにくいマウスは明るい場所や高い場所を怖がる不安行動が強まったが、アクチビンが増えたマウスはそうした場所を怖がらず、大胆に行動するようになった。

 また、うつ病などになると脳内の新たな神経生成が抑制されることが分かっているが、アクチビンを働きにくくしたマウスの脳では、神経生成が正常マウスの2割程度になることも確認した。

 世界保健機関(WHO)によると、不安障害やうつ病の人は世界の成人の約1割に達するとされ、うち数割は従来の薬が効かない難治性だという。

 井ノ口馨・同研究所主任研究員は「アクチビンの調節が、不安治療の新たなターゲットになる可能性がある」と話している。



 うつ病や神経症などは遺伝子も関与していますが、やはり成長過程においての出来事も関わってくるのでしょうね。

 アクチビンの量がどのようにして決まるのか。例えば幼少期に起こった出来事によるストレスなどでアクチビンの量が変わってしまうとしたら。

 それは病気でなくても、臆病な人とか、活発な人とか、そういう性格(人格?)の問題にも絡んでくると思います。自己啓発なんかは最終的にアクチビンのような脳内物質を多くしているのかな?

関連:うつ病治療薬LuAA21004の第3相臨床試験を開始
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2008年03月24日

ゲーマーは、自分自身が殺されたときに喜びを感じる。

「ゲーマーにとって自分の死は快感」研究を考える

 こんな説がある。「死」の体験が、ゲーム経験のなかでも、ゲーマー自身にとっては最も楽しいものだったかもしれない、というのだ。

 このような非常に興味深い議論が、プレイ中のゲーマーの感情について先駆的な調査を行った科学者、Niklas Ravaja氏の新しい論文で展開されている。この論文は「ジェームズ・ボンドの精神生理:暴力的なビデオゲームでの出来事に対する一過性情緒反応」というタイトルで、『Emotion』誌の2月号に発表された。

 この論文のなかでRavaja氏が達した結論は、あまりに直感に反していて驚かされる。ゲーマーたちは敵を射つことが好きなのではなく、自分自身が射殺されたときに喜びに満たされるというのだ。

 Ravajas氏は自らの実験で、被験者となる36名のゲーマーたちに複数のセンサーを装着した。これらのセンサーは、主要な顔の筋肉の筋電図活動や皮膚伝導レベルなどを測定し、その感情状態を詳細に記録するものだ。

 その後、Ravajas氏はゲーマーたちに『007: NightFire』をプレイさせた。これはジェイムズ・ボンドを主人公とする一人称シューティング・ゲームで、実験当時に存在した中では、かなりリアルなゲームだった。

 さて、実験の結果はどうなっただろう? 敵をやっつけたとき、被験者の筋電図活動は急上昇したものの、顔の表情は悲しみとして記録された。

 「これは、勝利と成功が喜びをもたらすのではなく、敵を傷つけ、殺してしまうことが苦悩あるいは怒り、またはその両方を引き出すということだ」とRavajas氏は説明している。反対に、ゲーマー自身が殺されたときは、センサーが「肯定的な反応を示す、非常に興奮した感情」を検出した。

 つまり、ゲームの中で死ぬことは、ある意味、楽しい経験だというのだ。

 Ravajas氏は、ゲーマーたちがこのように感じる理由について、確信はしていないものの、独自の理論を展開している。人間がゲーム内の敵を殺すときに苦悩を感じるとしたら、それは心に植えつけられたモラルに背いた行為だからだというのだ。

 つまり、人間は、たとえそれが仮想世界の中であっても、人殺しが悪いことだと認識しているということだ(興味深いことに、この主張は「脱感作の理論」と相反するものだ。仮想上の敵を殺しすぎると暴力に対する感覚が麻痺する、と心理学者らは懸念している。ゲーマーたちがこの感覚の麻痺に抵抗していると思われることに、Ravajas氏は「安心した」と述べている)。

 しかし、Ravajas氏の実験結果でさらに奇妙なのは、ゲーム内で自分が死ぬことに興奮を覚えるというところだ。同氏はこの原因を、殺されることが「ゲームへの没入から一時的に開放されること」を意味するからだ、と考えている。一人称シューティング・ゲームのプレイヤーは、非常に緊張した状態にいるので、たとえ自分の身体が粉々に吹き飛ばされたとしても、一時休止できることに喜びを感じるというのだ



 面白い。しかし、何となく、分かります。分かってしまうということはこういう考えもありえると認め始めている証拠なのでしょう。

 確かにああいった争う系のゲームは、プレイ中は緊張の連続でしょうけれど、死ぬ、つまりゲームオーバーという一番やっちゃいけないことなのにもかかわらず、若干安堵感は感じているのですね。死が快感かというとちょっとよくわかりませんが、少なからず終わったことへの安堵はあるのでしょう。

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