[脳神]の記事一覧

2010年12月24日

集中力のないほうが創造性は高くなる

集中力が低い人ほど創造性が高い(米ハーバード大研究)

 集中力が欠けているのは決して悪いことではない。米ハーバード大の研究班がこのたび、集中力が弱い人ほど、そうでない人の約7倍も創造性が豊かであるという研究結果を発表した。

 この調査の対象として、ハーバード大学の学生100人を被験者とした。エアコンの音、パーティ会場でのおしゃべりなどの周囲の雑音の中でも、いかに集中力を保つかという実験を行ったところ、創造性が高い学生ほど、気が散りやすく、そうでない学生と比較すると実に7倍もの差が現れたという

 ただし、すべての雑音に注意を向けるのではなく、その中から有益なものかどうかを取捨選択できる能力のある人こそが創造性に優れているのではないか、という結論に達している。



 面白い。

 でも創造性って何だろう。

 色々考えられる人と、集中力のある人だったら、どっちがいいんだろうかね。

 医者に向いてるのは、って考えると、研究は前者、臨床は後者なのかなぁ
posted by さじ at 00:33 | Comment(1) | TrackBack(0) | 脳神

2010年12月10日

慶応大岡野教授、脊髄損傷のサルにiPS細胞を入れて回復に成功

脊髄損傷の小型サル、iPS細胞で歩けるように 慶応大

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って、脊髄損傷で首から下がまひしたマーモセット(小型サル)を飛び跳ねられるまでに回復させることに成功したと、岡野栄之慶応大学教授らの研究チームが8日発表した。

 脊髄を損傷した小型霊長類がiPS細胞による治療で回復した事例は、世界で初めてという。岡野教授のチームは、脊髄損傷マウスをiPS細胞を使って回復させた実績を持つ。

 研究チームは、4種類の遺伝子を人間の皮膚細胞に導入してiPS細胞を作製。最も効果的なタイミングと考えられる脊髄損傷後9日目のマーモセットに、iPS細胞を投与した。

 このマーモセットは投与から2〜3週間以内に、手足を動かせるようになった。6週間後には、飛び跳ねることができるようになった。前脚の握力も80%まで回復し、正常な身体機能に極めて近い状態まで回復したという。

 岡野教授は、今回の結果について、iPS細胞を使った医療の実現に向けた大きな前進だと話している



 慶応大の岡野教授凄すぎですね。

 iPS細胞ジャンルで最も期待される再生場所の1つが「神経」でしょうねぇ。神経を繋ぐことができたら、今まで不治だった麻痺や感覚障害なども治るようになるんでしょうか。
posted by さじ at 20:50 | Comment(1) | TrackBack(0) | 脳神

2010年08月30日

脊髄損傷マウスに抗てんかん薬を投与して歩行を回復する

脊髄損傷マウスが歩行回復=幹細胞移植と薬剤投与で−奈良先端大

 重度の脊髄損傷で歩行不能となったマウスに神経幹細胞を移植した上で抗てんかん薬を投与し、失われた機能を回復させる治療法を、奈良先端科学技術大学院大学の中島欽一教授(神経科学)らのグループが開発した。成果は米医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション電子版に17日発表された。

 損傷した脳や脊髄は再生能力が低い。再生治療は約30年前から研究されているが、決定打はないとされ、現状では複数の方法の組み合わせが模索されている。

 中島教授らは、マウスの脊髄を損傷させて神経回路を切断、後ろ足が動かなくなるようにした。そこに神経細胞を生み出す神経幹細胞を移植し、てんかんの治療薬として利用されている「バルプロ酸」を1日1回、1週間投与した。

 この結果、新しく作られた神経細胞を通じて脳からの指令が後ろ足に伝わるようになり、6週間後には、実験に使用した21匹中15匹が、ぎこちないながらも歩けるようになった。また、残る6匹もある程度の機能回復が見られたという

 中島教授は「回復の程度をより向上させるには他の治療法との併用が必要」とした上で、「今回の成果で、脊髄損傷だけではなく脳卒中など神経細胞が失われることで発症する中枢神経疾患の治療技術の促進が期待できる。将来的にはヒトへの治療にもつなげたい」と話している。



幹細胞移植と抗てんかん薬で脊髄損傷のマウスが歩くことに成功

 これの続きニュース。

 失われた神経機能を取り戻せれば、治らないとされていた神経内科ジャンルの疾患の治療法が確立されるのではないでしょうか。

関連
医学処:脊髄損傷部位に青い光を当てると回復する。
医学処:脊髄麻痺の運動機能を電気刺激と薬物療法で改善する。
posted by さじ at 04:22 | Comment(1) | TrackBack(0) | 脳神

音楽を聴きながらの試験勉強は記憶能力が損なわれる

音楽を聴きながらの勉強は学習効果を妨げる

 音楽を聴きながら試験勉強をするのは、バックグラウンド・ミュージック(BGM)によって記憶能力が損なわれるためよくないことが、新しい研究で明らかにされ、医学誌「Applied Cognitive Psychology(応用認知心理学)」オンライン版に7月20日掲載された。

 今回の研究では、被験者に提示された順番どおりに8種類の子音(consonant)を覚えるよう指示。この課題を、静かな環境、好きな音楽を聴く、嫌いな音楽を聴く、変化状態(ランダムな数字の羅列を聞く)、変化のない状態(「3、3、3、3」など同じ数字の羅列を聞く)という5種類の音環境の中で実施した。

 その結果、被験者の思い出す能力が最も低下したのは、好き嫌いを問わず音楽を聴いているときと、変化状態のときであった。最も正確に思い出すことができたのは、変化のない状態で記憶課題を実施したときであった。「音楽を聴いたときや変化状態のときに成績が低かったのは、音響の変化が原因。これによって提示された項目の順番を覚えて思い出す能力が損なわれる」と、研究を率いた英ウェールズ大学研究所(カーディフ)のNick Perham氏は説明している。

 「暗算でも、順序の情報を短時間記憶する能力が必要であり、同じように変化状態やBGMのある環境では成績に影響が生じる」と同氏は付け加え、難しい知的作業をするときは静かな環境で行うよう勧めている。



 あんまり集中できないと記憶はできませんね。

 私も音楽聴きながら、というのがなかなか出来ない。一番出来ないのはJ−POPかも。部屋でかすかに流れてるぐらいなら心地いいんですけども。

医学処:男子学生の学力向上には、音楽とチョコレートの2つが有効である。
posted by さじ at 03:55 | Comment(1) | TrackBack(0) | 脳神

2010年08月29日

片頭痛の原因遺伝子を東大研究チームが発見する。

片頭痛の原因遺伝子発見 東大などの研究チーム

 頭がズキンズキンと痛む片頭痛の原因遺伝子のひとつを発見したと、東京大の関常司講師(腎臓病学)やベルギー・ガストフイスベルグ大などの研究チームが23日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。病気の詳しい原因解明や、この遺伝子を標的にした治療薬の開発が期待される。

 研究チームによると、片頭痛は国内に約1千万人の患者がいるとされる。月に1〜2回、多い人では週に1〜2回痛みが起こり、治まると何の症状も残らない。発症の詳しい仕組みは解明されていないが、神経細胞の過剰な興奮が原因とみられている

 関さんらは、腎臓などの細胞膜で働き、全身の水素イオン濃度の調節に関係する「NBCe1」という遺伝子に異常がある人の中に、片頭痛の患者がいることに注目。

 培養細胞を使った実験などから、この遺伝子が脳内でも重要な役割を果たしていることを突き止めた。遺伝子に異常があると神経細胞の興奮を制御する水素イオン濃度の調節ができなくなり、片頭痛につながるという



 対症療法しかなかった片頭痛の根治治療に結びつくかもしれません。

 やはり痛みがあるということは、どこかしらに、何らかの異常があるんですねぇ。

関連
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暴力的な夢を見る人は50年後に脳障害を発症するかもしれない

暴力的な夢は将来の脳障害の前兆?:研究結果

 鮮明で暴力的な夢は、50年も先の脳障害の発症を予告している可能性があることを、最新研究が明らかにした。『Neurology』誌の8月10日号に発表されたこの研究結果は、一部の神経疾患が、実際に診断が下される何十年も前から患者の中に潜んでいる可能性を示している。

 REM睡眠行動障害(RBD)は、不可解な睡眠障害の一種だ。RBDを生じると、見る夢の性質が突如として変化する。夢はどんどん暴力的なものになり、しばしば攻撃者を撃退しなければならないという内容になる。

 通常、夢を見ている間は筋肉が動かせないが、RBDを生じた睡眠者(多くは男性)は、パンチを繰り出したり、身をよじったり、大声をあげたりといった夢の中での動作を、実際に行動に移してしまう。そのため、ベッドで一緒に寝ている人がケガをしたりする。[REM睡眠時には脳は覚醒時に近い活動をしている一方で、全身の骨格筋は緊張が低下している。そのため、通常であれば夢で見たことを行動に起こすことはないが、RBDでは、何らかの原因で筋緊張の抑制が障害されるために、夢で見たことをそのまま行動に移してしまう]

 RBDは従来、1つの独立した障害と考えられていた。しかし追跡研究の結果、驚くほど多くのRBD患者が、その後、神経変性疾患[中枢神経の中の特定の神経細胞群が徐々に死んでゆく病気]を発症していることが分かった。たとえばパーキンソン病や、レビー小体型認知症などだ。具体的な数字は研究によって異なるが、RBD患者がのちに神経変性疾患を発症した確率は80?100%にのぼるとするデータもある。

 今回発表となった研究は、ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックの神経科医Bradley Boeve氏のチームが、RBDから神経変性疾患まで、発症にどの程度の間隔があるのかを調べる目的で実施したものだ。

 Boeve氏のチームは、メイヨー・クリニックの医療記録をもとに、まずRBDと診断された患者が、次に何らかの神経変性疾患を発症するまでの期間は、最短で15年間であることを割り出した。

 基準に当てはまった患者27名(うち女性はたった3名で、RBDがなぜか男性に多い傾向を反映している)の場合、RBDの発症から神経変性疾患の発症までの期間は平均で25年だった。うち6名の患者の場合、配偶者がハネムーンまたはその直後に最初にRBDに気付いたと、Boeve氏は述べている。RBDがパーキンソン病の発症に50年も先んじていたケースも1例あった。

 これほど長いインターバルがあれば、その間に「未知の強力な神経保護物質が発見され」、脳が深刻な損傷を受ける前にその物質を使用できる望みも出てくると、ミネアポリスにあるミネソタ地域睡眠障害センターの睡眠専門家Carlos Schenck氏は指摘する。一部の研究者の見解によると、認知症は、その徴候が現われるころにはすでに手遅れであり、損傷を回復させられる段階をすぎているのだという。



 さすがメイヨークリニック・・・。

 寝相の悪い人、寝ている最中に相手を傷つけてしまった人は要注意かもしれません・・・。
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2010年08月20日

対話する2人は、脳の神経活動がシンクロする。

対話する2人は脳が同調:研究結果

 2人の人が深く結びつくとき、「同じ波長になった」と言ったりする。この表現には神経学的な真実が含まれている可能性があるようだ。

 話をしている人と、それを聴いている人の脳をスキャンしたところ、両者は同様の神経活動を示すことが明らかになった。このような連動状態は、話に対する聴き手の理解度が深いほど密接になるという。

 この実験は、2人の被験者がそれぞれ話をしているときと、それを聴いているときの脳の血流変化を、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて調べた初めてのものだ。

 話す、聴くという行為に関しては、それぞれ異なる脳の領域が関与しているとされているが、「日常のコミュニケーション中に生じる両システム間の相互作用については、まだほとんど分かっていない」と、7月26日付(米国時間)で『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)のオンライン版に発表された研究論文の中で、プリンストン大学の神経科学者であるGreg Stephens氏とUri Hasson氏は述べている。

 実験の結果、話し手と聴き手の脳内では、異なる神経サブシステムよりも、むしろ共通のサブシステムが用いられていることが明らかになった。さらに驚くのは、話し手と聴き手の脳における活動領域に、オーバーラップする部分が見られたことだ。

 脳スキャンの終了後に被験者に質問したところ、語られた話の内容に聴き手が共感していた場合には、スキャンの結果にも、神経のコール&レスポンスというべき複雑な相互作用が見られた。それはまるで、言語というケーブルを介して、話し手と聴き手の脳が接続されたかのようだ。

 「話し手と聴き手は、同一の語彙、文法構造、および文脈を共有している。しかもそれは単に理屈の上だけでなく、文字通り脳内で起こっているのだ」とHasson氏は話す。

 この実験結果からは、なぜ両者の脳が「呼吸を合わせる」のかは分からない。神経活動の連動は、そうした結びつきの結果であって、原因ではないからだ。また、活動が見られた脳の領域は、いずれも言語に関連する部位だが、それらの厳密な機能は定かでない。しかし、たとえ詳細は分からなくても、この実験結果は、心理学における「言語の相互作用的提携」理論を裏付けるものだという。この表現は要するに、「共通の概念的基盤を共有することで、人の関係が深くなること」を指している。

 Hasson氏はまた、対話においては特に強い連動状態が生じると考えている。今度は、どちらかが一方的に長い話をしてそれを他方が聴くだけというコミュニケーションではなく、熱心な対話を交わしている人の脳をスキャンする計画だという。



 おおおお・・・

 つまり親密になりたければ話をしようと。

 行動せよと。

 そういうことですね。

 話して、話して、脳が接続されるようになって、話をするたびに心地よい関係になれれば・・・


 そういうことですね。
posted by さじ at 13:38 | Comment(1) | TrackBack(0) | 脳神

2010年05月06日

ALSの原因遺伝子を広島大などが発見する。

ALSの原因遺伝子を発見=共通メカニズム解明の可能性−広島大

 筋力が衰える難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の新たな原因遺伝子を、広島大と関西医科大、徳島大などの共同研究グループが突き止め、28日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。非遺伝性を含めたALSすべてに共通する発症メカニズムに関与している可能性があり、その解明と治療法開発を目指すとしている。

 ALSの約1割は遺伝性と言われ、いくつかの原因遺伝子が見つかっているが、まだ原因はほとんど分かっていない。

 研究グループは、遺伝性のうち両親とも染色体に異常がある(劣性遺伝)と考えられる症例に着目し、6症例の遺伝子の個人差(SNP)を詳細に解析。うち3例で、細胞内のシグナル伝達にかかわる物質「NFカッパーB」を抑制するたんぱく質「OPTN」の遺伝子に変異があった

 NFカッパーBは、がんや炎症への関与が知られている。劣性遺伝以外の非遺伝性など、ほかの症例でもこの遺伝子の変異が見つかった。
 一方、発症部位である脊髄の細胞を調べると、非遺伝性や、OPTNとは別の原因遺伝子による症例でも、OPTNたんぱくの固まりがみられた。

 これらの結果から、OPTNが原因遺伝子の一つにとどまらず、すべてのALSの発症に関与していることが示されたとしている。 



 治療法が確立されていない「難病」と呼ばれるこの筋萎縮性側索硬化症ですが、原因遺伝子の解明によって治療法が確立されるかもしれない段階にきています。

 まだ臨床応用には時間がかかりそうですが、「治らない」とされている神経内科領域において大きな一歩であることは間違いなさそうです。
posted by さじ at 02:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2010年03月29日

ゲームの才能は、天性によるところが大きい。

ゲームの才能は訓練より「天性」:研究結果

 これまでの研究から、優れたゲームプレイヤーは、初心者と比べて認知能力に優れていることがわかっている。さらに、初心者がゲームプレイの訓練を20時間以上受けたとしても、その認知能力は成長しないこともわかっている。これらのことから引き出される仮説は、ゲームの技術は訓練できるものではなく、熟練者とそうでない者の間には生まれつきの差があるのではないかということだ。

 最近の研究で、ヒトの脳の中にある3つの部位の大きさと、ビデオゲームを習得してプレイする能力とには相関関係があることが分かった。

 『Cerebral Cortex』誌に掲載され、同誌のウェブサイトで全文が公開されている神経学の論文によると、この論文の著者たちは、動物実験をきっかけに、脳の奥深くにある3つの構造――尾状核と、新線条体(背側線条体)の核と、腹側線条体にある側坐核――に注目するようになった。

 これまでの研究で、線条体は習慣の形成とスキルの習得に使われることが明らかになっているので、ビデオゲームのスキルに関係するというのも納得できる。

 研究チームは被験者として、過去2年間に週3時間未満しかゲームをしていない健康な成人39人(男性10人、女性29人)を集めた。そして、磁気共鳴画像(MRI)装置を使って被験者らの脳を検査し、問題の3つの部位の大きさを、脳全体の大きさと比較した。

 被験者の半数には、できるだけ高得点を狙うという単純なタスクが与えられ、残る半数には、さまざまな分野のスキルの向上につながるような一連のタスクが与えられた。どちらのグループでも、側坐核が大きい被験者ほど、ゲームを早い段階で習得し、好成績を収めることが分かった。尾状核と新線条体の核が大きい被験者は、「優先度変更トレーニング」で好成績を収めた。このトレーニングでは、時間帯によって異なるタスクに集中せねばならない。

 どちらの結果も納得のいくものだ、と、論文の主執筆者であるKirk Erickson氏は語る。側坐核は脳の報酬中枢に結びついており、被験者が早い段階で成功した後のモチベーションの維持に役立つと考えられる



 訓練である程度は発達するのでしょうけれど、やはり根本は天性。

 ゲームがそうということは、もしかすると腹腔鏡などを用いた手術手技も天性によるところが多いんでしょうかね。あれはどちらかというと訓練の賜物ではありますが。
posted by さじ at 10:58 | Comment(1) | TrackBack(0) | 脳神

考えていることをMRIで読み取ることが出来る。

脳のスキャンで「考えていること」が分かる、英研究

 脳の活動をスキャンすることで、その人が考えていることを知ることができるという研究結果が、11日の米科学誌「カレント・バイオロジー」(電子版)に掲載された。

 ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジのエレナー・マグワイヤ氏らは、「機能的磁気共鳴画像装置」(fMRI)を用いて、ひとつひとつの記憶と関連した脳活動を特定することができ、さらに、それをもとに思考のパターンを特定できることをつきとめた。この研究結果は、人が過去の記憶のうち、どの記憶を呼び起こしているかを、脳活動のパターンだけで特定することができることを示唆している。

「脳の海馬において、ぞれぞれの記憶が異なった形で表されていることをつきとめた。記憶のありかをつきとめたので、今後は、記憶が保管される方法や、記憶の時間経過による変化について調べることができるだろう」(マグワイヤ氏)

 研究は、被験者10人に対し、3本の短編映画を見せたあとで脳をスキャンした。3本の映画はよく似たごくふつうの生活の場面を撮影したもので、別の女優が出演していた。

 映画を見た後、被験者はそれぞれの映画を思い出すよう促され、その際に脳のスキャンが行われた。研究者らは、スキャン結果にコンピューターで画像化処理を行い、それぞれの映画の記憶に対応する脳活動のパターンを識別した。

 その結果、脳の画像パターンから被験者が3本の映画のうちのどの映画を想起しているか、正確に特定できたという

 報告書は、脳に残されたエピソード記憶の痕跡は、何度も再活性化された後にも特定可能であることを示唆していると結論づけた。

 今回の研究結果は、脳の活動をもとにその人が見ている画像を特定することができたとする2008年の米研究の結果を補強するものとなった。



 面白い。そんなに顕著に変わるものか、という気はしますが、脳の血流の度合いなどを画像的に計測することは出来ますからね。

 将来的には機械で考えていることを読み取ることもできるようになるかも。昔の近未来は「今」に近づいてます。
posted by さじ at 02:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

集中力やリラックスの度合いを手軽に計測できる機械を東芝が販売

「やる気」家で簡単に測定、5月に発売

 東芝は、集中力の高さやリラックスの度合いを脳波から手軽に測定できる機器を5月に発売することを明らかにした。

 親が子どものやる気を確かめながら勉強に取り組ませたり、スポーツ選手が試合前に精神状態を安定させたりするのに活用できるという

 ヘッドホン型の機器を頭に付けるだけで、センサーが脳波のデータを読み取り、無線でパソコンに送る。それを専用ソフトで分析すれば、パソコン画面上で、集中度や緊張度がメーターやグラフなどで分かりやすく表示される仕組みだ。価格は、専用ソフト込みで2万円前後になる見通しだ。

 東芝は、この機器をヘアバンド型にして、眠りの深さを調べることができる医療用装置も年内に商品化する。眠りが浅くて日中も眠気が消えないとされる「睡眠時無呼吸症候群」など睡眠障害の治療に役立つと見られる。現在、病院などで脳波を測定すると、長期間の検査の場合は費用が数十万円に上ることもあるが、東芝は新装置の価格を数万円前後に抑える方針だ。



 脳波を簡易的に計測できる機械みたいですね。

 ちょっと欲しいかも。睡眠時の脳波をとってみたいです。
posted by さじ at 02:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2010年03月09日

ハンチントン舞踏病の遺伝子治療にマウスで成功する

ハンチントン病の新しい遺伝子治療に、モデルマウスで初めて成功

 アデニン (A) 、グアニン (G) 、チミン (T) 、シトシン (C) は、生物の設計図となっている遺伝子を決定する4種類の塩基で、この塩基配列の情報をもとにアミノ酸が作られ、生体の構成要素であるタンパク質を生み出します。例えばアミノ酸の1つ、グルタミンは、CAGの3種が配列して合成されます。

 ところが、このグルタミンが、通常20回程度であるところを、40回以上も繰り返して配列し、伸長ポリグルタミンになると、不随意運動や認知症、歩行障害などの遺伝性の病気を発症することが分かっています。これらの疾患はまとめてポリグルタミン病と呼ばれ、わが国の特定疾患に認定されているハンチントン病(ハンチントン舞踏病 )は、その代表例です。

 脳科学総合研究センター構造神経病理研究チームは、国立精神・神経センター、科学技術振興機構らの研究グループと協力し、ハンチントンモデルマウスを使って、伸長ポリグルタミンを除去する遺伝子治療法の開発に成功しました。その方法とは、タンパク質の折り畳みを助けるシャペロンHsc70 と伸長ポリグルタミンの両方に結合する融合ペプチド(HQ)を患部(線条体)に導入し、形成させた3つの複合体を、細胞内の小器官であるライソゾームに運び分解させる、というものです。

 この手法の原理は、異常なタンパク質を細胞内に蓄積して発症するアルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患にも応用が可能で、遺伝子治療や薬物治療の新たな方向性を生み出すと期待できます。



 おおー。凄い。

 この遺伝子治療を人に応用できれば、他の変性疾患、といいますか、これと同様のリピート病の治療にはなるでしょう。今では治療法がないとされているだけに期待がもてそうです。
posted by さじ at 00:39 | Comment(1) | TrackBack(0) | 脳神

2010年02月27日

脳梗塞後の言語治療に、ミュージック・イントネーション療法

脳卒中の後遺症、失われた言語力を歌で引き出す

 脳卒中の後遺症で言語障害が残った人たちのリハビリで、単に話すだけの練習をするよりも、同じ言葉を歌に乗せたほうがスムーズに出てくることを20日、米国の第一線の神経学者たちが発表した。

 米国科学振興協会の年次総会でまず発表されたビデオでは、脳卒中で言語をつかさどる左脳に損傷を受けた患者に、バースデーソング「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー」の歌詞を暗唱してもらおうとしたが患者は思い出せなかった。そこで、介助者が患者の左手を取ってリズムを取りながら、今度は歌ってもらおうとすると、患者は「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー」という言葉をはっきりと口にすることができた。

 また、ほかの療法を何年間も試したがまったく効果のなかった患者が、歌に乗せると自分の住所を言えたり、別の患者は歌で「のどが渇いた」と言うことができた。

 左脳に損傷を受けた脳の画像を見ると、こうした歌を使った療法を受けた後では右脳の側で、「機能的・構造的変化」が起こっていた

 これまでにも、話せない状態の人が歌を歌うと言葉を口にすることができるという実例は数多くあるが、医療分野で歌を使った療法の認知度を高めることを視野に入れ、ランダム化臨床試験を行ったのは同准教授が初めてだ。

 この療法はミュージック・イントネーション療法(MIT)と呼ばれており、週5日間、1日1時間半のリハビリが行われ、また治療期間は14〜16年と長く忍耐が要る。しかし、この療法で回復した言語機能の定着度は高く、概して失われることがない。

 またシュラーグ准教授にこの療法を受けた患者の3分の2が、セラピーで100語程度を「学習」した後に、さらに多くの言葉を自分で「再学習」できているという。

 シュラーグ准教授は、脳の中で普段、言葉を発するときには連携しない部分が、音楽による刺激で一緒に機能し、発話を促すのではないかとみている。「(歌うなど)音を発するという行為は多感覚を動員する活動で、脳内の複数のシステムを同時に動かし、互いに連携させたり回路のように機能させる。脳の中の多くの領域が関わる」

 患者の手を取りリズムを取ることは「脳内の調音システムに対してメトロノームのような役割を果たし、運動活動とむすびついて発話を促すのかもしれない」



 理学療法的に、かなり有用な療法のようです。

 左脳だけでなく、脳全体を活用することができるため、言語領域をうまく刺激することができるのでしょうか。

 ミュージック・イントネーション療法、うまく使えばリハビリとしてかなり期待できるかも。
posted by さじ at 06:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2010年02月25日

単語などの記憶はコーヒーを飲むと記憶効果が低下する

20分の昼寝の方がコーヒーよりも記憶に効果を発揮

 アメリカの科学振興協会の年次総会が開かれ、そこで睡眠に関する興味深い発表が行われた。その中で、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは、「1時間半の昼寝は1晩分の睡眠に相当する」と報告。また、眠気を覚ますコーヒーよりも20分の昼寝の方が、記憶に効果を発揮すると伝えた。単語を覚えたり、電話番号や名前を記憶するのには、コーヒーはむしろ記憶の妨げにさえなるという

 研究チームは『昼と夜の睡眠効果』についての発表で、昼寝の効果を指摘。感覚に関する記憶(見聞きしたこと・感じたことなど)では、コーヒーも昼寝と同様の記憶効果を発揮するが、意識的な記憶(単語を覚える・電話番号を覚えるなど)については、コーヒーは記憶効果を低下させることが分かった。眠気を飛ばすつもりでコーヒーを飲んでも、学習効果の向上は得られない。それよりも短時間でも昼寝をした方が良いとのことだ。仮にそれが20分でも、コーヒーよりは昼寝の効果にかなわないという。

 また、年齢によって『より良い眠り方』の違いについても報告されている。研究は平均年齢68歳と平均年齢27歳の2つのグループを作り、睡眠と記憶の関係を比較。その結果、高齢者は睡眠時間が長いほど記憶が維持され、若年者は睡眠時間あたりの眠りの深さ、つまり睡眠の質の高さが記憶に良い効果をもたらした。若年者の場合、短時間でも深い眠りにつければ、記憶は維持されるとのことである。仮に短時間でも、深い眠りを得ることが仕事や勉強の効果を上げるようだ。職場や学校で寝ることは難しいかも知れないが、許される環境であるなら寝た方が良いようだ。



 試験前など、やらなければならないこと、覚えなければならない量が膨大だと、どうしても眠気を覚まして勉強しなければ、という気持ちが先行して、コーヒーを飲んで頑張ろうとします。

 実は私もそうでした。コーヒー好きですし、コーヒー片手に頑張ろうとしたものです。

 ですが、コーヒーよりも睡眠による記憶のほうが大事だと気付いてからは、記憶重視の勉強の場合はコーヒーを控え、短時間に集中して覚えるようにし、疲れたり眠気を感じた場合は短時間で仮眠をとるようにしました。そうすると、やったことを結構覚えているんですよね。

 仮眠が気持ちよい、と感じたり、起きたあとに頭がスッキリするのは、やはり睡眠の質が良いからではないかと思います。会社や学校などで一番フレキシブルに頭脳を動かすコツは、昼に仮眠を取ること、なんですが、なかなかそれを許してくれるような社会ではないですよね。スペインのシエスタのような文化を取り入れると結構はかどると思うんですけれども。
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2010年01月29日

臨界期を過ぎた脳でも、それ以降に変化し続ける細胞を発見

脳発達の「臨界期」が終了した後でも変化する神経細胞群を発見

 D・H・ヒューベルとT・N・ウィーセルは、1960年代に、生後初期の子ネコの片目を一時的にふさぐと、大脳皮質視覚野の神経細胞がその目に反応しなくなり、弱視になることを発見しました。この現象は、生後の特定の期間に限られており、このような変化を示す脳の発達期を「臨界期」と呼んでいます。「臨界期」を過ぎると、脳の神経細胞は可塑性を失い、このような脳の変化は起こらない、とされています。臨界期の重要性は、神経科学はもちろん、発達心理学、教育学などさまざまな分野で注目を集め、早期教育の根拠となるなど、影響を与えてきました。

 脳科学総合研究センター大脳皮質回路可塑性研究チームは、マウスの片目遮蔽実験で、大脳皮質視覚野の抑制性神経細胞が、「臨界期」を過ぎても、ふさいでおいた目の光刺激に対する反応が悪くなるという可塑性を保持していることを発見しました。一方、興奮性神経細胞は、従来の常識どおり、臨界期を過ぎると可塑性をほとんど失いました。また、抑制性細胞は、両目とも光刺激に対しよく反応する両目反応性であるのに対し、興奮性細胞では片目反応性が顕著であることを突き止めました。抑制性細胞が「臨界期」終了後も変化するという今回の発見は、これまで信じられていた「臨界期」の常識を覆すもので、成人の学習や乳幼児の早期教育の意義を考える場合、参考となる重要な知見となります。



 抑制性の細胞だけがずっと生き残ると…。

 こういうジャンルもiPS細胞で何とかならないものですかね。臨界期をすぎた興奮性細胞と置き換えて、視力を与えるようなことが。脳そのものが幼弱な段階でないと無理なんですかね。
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2010年01月24日

プリオン病のアミロイド生成に関する新たな研究

酵母プリオンタンパク質のオリゴマー形成過程が感染強度を決定

 認知症や行動異常、不随意運動、人格変化などの病状を伴う神経疾患として知られるプリオン病(伝達性海綿状脳症)は、致死性の病気として知られています。原因としてプリオンタンパク質が、脳内で凝集体(アミロイド)を生成することが分かっていますが、発症メカニズムは不明で、治療法も確立していません。

 プリオン病は、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)や狂牛病が種を超えてヒトで発症する新型CJDなどと、人類に脅威をもたらしています。脳科学総合研究センターの田中研究ユニットは放射光科学総合研究センターらとともに、プリオン病の原因とされるプリオンタンパク質のように振る舞う酵母プリオンSup35NMタンパク質が、非天然の相互作用でオリゴマーを形成し、感染性の高いアミロイド構造をとることを世界で初めて発見しました。

 研究グループはこれまでに、プリオンタンパク質のアミロイド構造の違いが異なる病状となることを、酵母プリオンを使って解明してきました。しかし、同じプリオンタンパク質からどのように異なるアミロイド構造を作るかはナゾのままでした。

 酵母プリオンSup35NMを4℃、37℃と異なる温度で凝集させると、4℃では会合してオリゴマーを作り、脆弱で感染性の高いアミロイド構造を、37℃ではオリゴマーを経ずに、感染性が低い硬いアミロイド構造を生成することが分かりました。さらに、4℃下のオリゴマー生成には、プリオンドメインの123個のアミノ酸のうち、アミロイドのコア領域となる1〜35番目のアミノ酸とは別の89〜108番目アミノ酸が最初に会合する“非天然な相互作用”が重要な役割を果たしていることを突き止めました。このオリゴマーを経由するアミロイド生成機構は、プリオン病の新たな治療戦略に大きく貢献するとともに、アミロイドを生成するほかの神経疾患病態解明に新たな道を拓くと期待できます



 BSEが世界中を震撼させ、牛肉を安心して食べられなくなったのももう何年も前のことなんですねぇ。

 ウイルスや細菌ではなく「異常プリオン」による感染で発症する病気ですが、未だに有効な治療法なども出てきておりません。

 まだ発展途上な領域ですが、少しずつ新たな発見を確立して進歩しているようです。
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2010年01月12日

脳卒中の視覚障害のリハビリを、3Dで行う技術。

3Dで脳卒中の視覚障害リハビリ、東大が開発

 脳卒中によって、視野が狭くなった患者のリハビリのため、エンターテインメントで使われる3次元(3D)映像技術を駆使したゴーグル型の訓練装置を、東京大学の田中敏明特任教授らが開発した。

 日常動作での改善もみられ、3年後をめどに商品化を目指す。

 脳に障害が残る脳卒中患者は、視野の端が見えなくなったり、見えていても反応できなかったりする後遺症が出る人が数万人いるとされる。「半側空間無視」と呼ばれるもので、リハビリは、見えないことを自覚させて訓練するのが重要

 これまでカメラ1台を使った平面的な映像の装置が開発されていたが、室内を動いたり、服を着たりなど奥行きのある動作の訓練は難しかった。そのため田中特任教授らは、左右別々のカメラを使い、立体的に見える3D装置を開発した。狭くなった視野を患者に気づかせるための機能も搭載。平面画像に比べ、リハビリの効果も著しく改善した

 田中特任教授は、「より多くの脳卒中患者の社会復帰に役立てたい」と話す



 視覚領域のリハビリ。日常生活に戻るためには必要な訓練です。こういう工夫の積み重ねで、リハビリテーションの能率なども上がってくるんでしょうねぇ。
posted by さじ at 04:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2010年01月11日

空前の脳ブーム、しかし根拠のない神話が多い。

脳研究の「神話」独り歩きに警鐘 日本神経科学学会

 脳科学研究の成果が、脳ブームに伴って拡大解釈されて広がっていることなどを懸念し、日本神経科学学会は8日、研究指針の改定を発表した。脳活動の測定方法の安全性や測定でわかることの限界を知り、検証を受けた論文などを発信するように求めた。

 指針では、科学的根拠のない「神経神話」と呼ばれる疑似脳科学が独り歩きしていることを憂慮。不正確な情報や大げさな解釈で脳科学への信頼が失われることがないように、科学的な根拠を明確にして研究成果を公表するよう求めた。

 経済協力開発機構(OECD)の報告によると、神経神話には「3歳までが学習を最も受け入れやすい」「右脳左脳人間」「脳は全体の1割しか使っていない」などがある。

 脳を傷つけずに調べる手法は1990年代に実用化され、脳内の血流の変化などを画像化する測定機器が普及した。比較的簡単に操作でき、人間を対象とした実験の経験が少ない工学系や文系の研究者にも広まった。同学会によると、被験者への実験の安全性の説明をしていない例や、測定機器の特性を理解しないまま実験する例もある。同学会は、ホームページで公表するなどで会員以外にも順守を呼びかける。



 俗説、というものもあるんでしょうなぁ。

 実際どうなんですかね。学習能力があるのは3歳ぐらいが一番ありそうな気もするんですが。

 右脳左脳人間に関しては個人的に分かりやすいのでよく使ってます。笑

 ちなみに私は完全な左脳人間。右脳が優位とされているスキルは大抵苦手です。

 まあそれも科学的な論文に裏付けられた話じゃないですからね。血液型占いと何も変わらないといえば変わらない。妄信してはいけない、ということでしょう。
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2010年01月06日

成体でも脳の神経細胞は新たに作られていた。

大脳新皮質:成体でも新たな神経細胞 日本の研究班発見

 思考など高度な機能を担う脳の「大脳新皮質」で、成体でも神経細胞が新たに作られることを、藤田保健衛生大、京都大、東京農工大などの研究チームがラットで見つけた。成熟した個体では脳の神経細胞が増えることはないと長い間信じられ、論争が続いていた。米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」(電子版)に27日、掲載された。

 近年、記憶に関連する海馬や嗅覚をつかさどる部位で神経細胞の新生が確かめられたが、哺乳類などの高等動物ほど発達している大脳新皮質については明確な報告がなかった。

 藤田保健衛生大の大平耕司助教(神経科学)らは、人間の30〜40歳にあたる生後6カ月のラットの大脳新皮質で、一番外側の第1層に、分裂能力を示すたんぱく質が発現した細胞を見つけた。頸動脈を圧迫して脳への血流を一時的に少なくしたところ、この細胞が約1・5倍に増え、新しい細胞ができた

 新しい細胞は、形状から神経細胞と確認。第1層から最深部の第6層まで7〜10日かけて移動する様子が観察できた。このラットを新しい環境に置いて活動させたところ、新しい細胞が活発に働いていることも確かめた。

 これらのことから、成体ラットの大脳新皮質には、やがて神経細胞になる「前駆細胞」が存在し、神経細胞が危機にさらされると神経細胞が生み出されて働くと結論付けた。チームは、ヒトでも同様の仕組みがあると推測している。

 神経細胞は興奮性と抑制性の両方がバランスよく働いているが、この新しい神経細胞は抑制性だった。大平助教は「薬などで前駆細胞の働きを制御して抑制性の神経細胞を作り出すことで、興奮性の神経細胞が過剰に働くてんかんや、一部の統合失調症の新たな治療法が見つかるかもしれない」と話す。



 脳関連に定評のある藤田保健衛生大学の研究。

 脳の神経細胞が新たに増える、という点が今までの脳医学とは全く異なる概念ですね。

 脳の細胞を増やしたり減らしたりするのを、部位別に行うことができれば、今のところ薬で抑えるしかない疾患の根治的治療法に繋がるかもしれません。
posted by さじ at 04:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2009年12月26日

不公平なことをされた時に活発になる脳の部位を特定する

脳の“不公平を嫌う”部位を特定 性格検査に応用も

 不公平な立場に置かれて嫌悪を感じると働きが活発化する脳の部位を、玉川大脳科学研究所の春野雅彦研究員(計算神経科学)らが特定した。21日付の米科学誌ネイチャーニューロサイエンス電子版に発表した。

 反応の強さには個人差があり、春野さんは「脳の活動を調べることで、その人が公平性を好む性格かどうかを予測できるかも」と話している。

 この部位は、感情に深くかかわっているとされる「扁桃体」。脳の下側にあり、アーモンドのような形をしている。

 春野さんらは、大学生64人を対象に実験。他人との報酬の分け方として(1)自分も相手も100円(2)自分が110円で相手は60円―など、さまざまなパターンを提示して、好みの組み合わせを選んでもらった。

 その結果を基に、相手と同額を好む傾向が強い人25人と、相手より多い金額を好む傾向が強い人14人を選抜。相手との報酬の差をどのくらい不快に感じるかを答えてもらいながら、血流の変化から脳の活動を画像化する機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で、脳のどの部位が活発に働いているかを調べた。

 すると、公平な金額を好む人は不公平な金額を提示されると扁桃体が活発化し、その度合いは公平性を求める傾向が強い人ほど大きかった。



 凄い研究だなぁ。

 100円とかそういう金銭感覚における不公平さを演出するところが絶妙。
posted by さじ at 23:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神