[脳神]の記事一覧

2006年08月25日

脳内マリファナが小脳に働けば、運動音痴は治る

「脳内マリフアナ」、小脳での運動学習能力に影響

 脳内ではマリフアナに似た「脳内マリフアナ」と呼ばれる物質が作られているが、この物質が小脳での運動学習能力に影響していることを大阪大の狩野方伸教授(神経生理学)らのグループが解明した。狩野さんは「運動音痴に悩む人や運動神経に優れた選手など、運動の学習能力に差が生まれる仕組みの解明につながる可能性がある」としている。米科学誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に24日、掲載された。

 脳の神経細胞は、シナプスと呼ばれる接続部分で、グルタミン酸などの物質を受け渡すことで情報を伝えている。狩野さんらは01年、グルタミン酸が出過ぎて情報伝達が過剰になると脳内マリフアナが神経細胞から出され、神経の過剰な興奮を抑えるブレーキ役になっていることを解明した。

 今回は、脳内マリフアナの受容体であるCB1というたんぱく質が、動物の運動を制御する小脳の神経細胞に特に集中していることに着目。CB1を遺伝子操作で働かなくしたマウスで、運動機能の変化を調べた。

 正常なマウスに一定の合図を聴かせた直後に目の周辺に電気ショックを与えると、1週間後には合図を聴いただけでまばたきをする割合が約7割になった。しかし、遺伝子操作のマウスでは3割以下で、実験前とほとんど変化がなかった。

 遺伝子操作したマウスでは脳内マリフアナによる神経伝達の異常が小脳で起きたため、神経反射など新しい運動パターンの学習ができなくなったと考えられるという。

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 小脳では運動機能の調節を行っています。ようするにCB1が少ない人は、脳内マリファナが働かなくなって、運動を制御しづらくなるということですかね。受容体の問題だとすると、脳内マリファナを増やせばいいという問題でもなさそうですが、選択的に受容体を刺激してやることができれば、もしかしたら。

参考:脳内マリファナを医療に生かす
posted by さじ at 22:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

子育てをするとバソプレシンが分泌され、父性が身につく

育児で育つ父親の神経回路? 米プリンストン大

 「父性」を支える神経回路は、子育てを通じて育まれていく?――。あくまでも霊長類マーモセットの話だが、育児に直面した雄は、神経細胞の構造が変わっていくことを米プリンストン大グループが見つけ、21日付米専門誌ネイチャー・ニューロサイエンスのオンライン版で発表する。

 マーモセットは、雄が育児をすることで知られている。赤ちゃんを背負うなど積極的に育児をし、特に生後1カ月は、雄が生活の7割以上の時間を赤ちゃんと過ごす。

 グループは、育児中の雄と、そうではない雄の脳の領域を比べた。子育て中の雄は、バソプレシンという物質を受けとめるたんぱく質が増えていた。バソプレシンは、「きずな」「情愛」などとかかわりが深い信号を伝える働きがあり、例えばネズミの脳でこのたんぱく質を増やすと、1匹の雌を好み、他の雄を攻撃するようになったという報告がある。マーモセットの観察では、たんぱく質は、子の月数が少ない雄ほど多かった。

 さらに、神経細胞の細胞同士がつながる構造も、密度が高くなる変化が生じることがわかった。父と子のきずなが強まると、子育てにふさわしいきめ細かな神経回路ができていく可能性があることを示しているという。

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 バソプレシンって抗利尿ホルモン以外の働きもあったんですねぇ。腎への受容体だけでなく脳にあるとは言われていましたが。

参考:バソプレッシン wikipedia
posted by さじ at 22:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2006年08月23日

イルカの知能は、ネズミや金魚以下である。

イルカよりネズミや金魚の方がまだ賢い=南アの研究者

 南アフリカのヨハネスブルクにあるウィットウォータースランド大学の研究者、ポール・マンガー氏は、イルカよりも実験用のネズミや金魚の方が賢い可能性があると主張している。

 イルカやクジラなどの脳が大きいのは、冷たい水中で温血でいるためで、知能を示すものではないという。同氏はロイターのインタビューで「われわれは人間の大きい脳と知性を同一視している」とし、その延長でイルカも知性があるに違いないと考えてきたと指摘。

 そのうえで「この論理の欠陥は、すべての脳が同じ構造だと考えている点だ。イルカの脳の構造を見れば、複雑な情報を処理するようにはできていないことが分かるだろう」と述べた。

 イルカは一般的に、哺乳類でも極めて賢い方だと考えられており、同氏の意見は議論を呼びそうだ。

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 マウス以下とは。いや、マウスは頭イイですけど。

 捕鯨やイルカ漁に反対している人たちを見ていて思うのは、自分たちが可愛いと思ったり、高尚な動物だと「錯覚」して、漁に反対するという行為は、アレだ、一種の宗教的な感情であったり、もしくは「外見の美しい女にコロリと騙される」ような「外見至上主義」なのではないかなぁ、と。

 中傷ではなく、批判です。何でこんなこと言うかっていうと、往々にして自分の力で考えることのできない人が、文字通り「コロリと騙される」から。そもそもイルカの知能が高いと「仮定」しても、だから何という話。イルカだって人殺すよ?法廷にでも出しますか?まぁ、今回のニュースは、イルカにゃ知能がないという話だから、その仮定すら通らないのですが。

 私は、イルカ漁に賛成です。イルカ肉を売ってるだけで何か冷たい目で見るような風潮は間違ってる。頑張れ静岡の人!

参考:クジラやイルカの知能
posted by さじ at 10:25 | Comment(20) | TrackBack(0) | 脳神

2006年08月16日

左利きの男性は、右利きの人よりも2割多く稼ぐ

左利き男性は、右利き男性よりもお金を稼ぐことが明らかに

 テニスなどのスポーツでは右利きよりも左利きの方が有利、などと言われているが、最近の研究により、左利きの人の方が高給取りであることが明らかとなった。

 全米経済研究所が公表した論文によると、同等の教育を受けた人の場合、左利きの男性は右利きの男性よりも15%多くお金を稼いでいるという。また、大学を卒業した人の場合、その差はもっと大きくなり、左利きの人の方が26%多くお金を稼いでいるそうだ。

 「経済学的、統計学的に顕著な違いが数点明らかとなり、利き手に関する更なる調査が必要である。しかしこれらの事例について、なぜそうなるのかきちんと説明できる理論は見つかっていない」と、研究所は発表している。

 また、「利き手による差」がはっきりしているのは男性だけであり、女性の場合には同様の差が見られなかったそうだ。

 1979年当時14〜21歳だった若者に対し、1994年まで時給についてのアンケートを行った「若年者を対象とした米国縦断的調査(U.S. National Longitudinal Survey of Youth)」のデータから明らかになった事実だという。

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 うーむ。右脳がより刺激されて発達した結果、クリエイティブな力を発揮して右利きよりもお金を稼ぐのかな。
posted by さじ at 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

学習や記憶に使われた神経細胞だけが、大人になっても生き残る

「いくつになっても勉強」 学習用神経細胞は生き残る

 「人生いくつになっても勉強」――そんな格言の正しさを示すような動物実験の結果を、米ソーク研究所グループが14日、英科学誌ネイチャー(電子版)に発表した。大人になっても神経細胞は新たに生まれ、学習や記憶に使われた神経細胞だけが生き残って神経回路に組み込まれる可能性が高いらしいという。

 グループは、遺伝子操作したマウスで学習や記憶にかかわる脳の領域で新たに生まれた神経細胞に蛍光色素を組み込んで見分けられるようにした。同時にこの神経細胞で特定の神経伝達物質の受容体が働かず、情報を受け取れないように遺伝子操作したマウスもつくった。

 両方のマウスを比べると、情報を受け取れなくしたマウスでは、新たに生まれた神経細胞の生存率が4分の1に低下していた。

 グループの田代歩さん(現ノルウェー科学技術大学研究員)は、「情報を受け取れない細胞は死に、情報を受け取った細胞が生き残って回路に組み込まれた。新たにできる神経回路には、学習した特定の情報が刻みこまれていることが示唆された」と言っている。

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 要するに刺激を与えてやった神経細胞だけ生き残る、と。いくつになっても勉強、勉強。必要な知識を身につけていくのなら、苦じゃない、でしょ?我が医学処も、そんな貴方の「刺激」になればいいなぁと思います。笑

関連:ボケ防止に有用なのは「運動」「栄養」「昼寝」
posted by さじ at 03:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

ダウン症の発症メカニズムを脳神経回路の観点から解明

脳神経回路維持の仕組み判明、ダウン症解明に光

 一度出来上がった脳神経の回路を維持・管理する仕組みを、国立遺伝学研究所の榎本和生・助教授らの国際研究チームが、ショウジョウバエを使った実験で突き止めた。

 ダウン症候群などについて、脳神経の障害が起きるメカニズムの解明につながる成果。英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 脳の神経細胞間の配線は成長の過程で一度作られると大きくは変化しないが、ダウン症候群などでは、配線を作っている神経細胞の突起が委縮したり、消失したりすることで、神経症状が起きると考えられている。しかし、その発症メカニズムはほとんどわかっていなかった。

 榎本助教授らは、細胞の増殖を抑える「ワルツ」と「ヒポ」という2つのたんぱく質(リン酸化酵素)が脳神経細胞でたくさんできていることに着目。

 ショウジョウバエの幼虫の遺伝子を操作して、このたんぱく質のいずれかを作ることができないようにすると、神経細胞の配線が一度出来た後、細胞の突起が60%減ることがわかった。

 榎本助教授は「同様の遺伝子操作をすると、マウスでも、脳障害が起きたり、寿命が短くなったりした。人でもこのたんぱく質があり、ダウン症候群などとの関連を明らかにしたい」と話している。

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 遺伝子の異常ということは知られていますが、もっと根本的な、何故ダウン症という症状が起こるのかを追求した今回の研究。ワルツとヒポという細胞の増殖を抑える蛋白質の働きによるものだとしたら、遺伝子をどうのこうのしなくても、治療できるかもしれない…?

関連:医学処 後頚部浮腫像検査はあくまで参考程度に。
posted by さじ at 02:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2006年08月15日

一生のうちに平均1328回、頭痛に見舞われる

一生のうちに起こる体の不調は17277回 英調査

 英国人が一生のうちに経験する体の不調は平均17277回であることが調査により分かったと、英サン紙が報じた。

 調査は英国の薬局チェーン「ブーツ」によって行われた。それによると、英国人は一生のうちに平均1326回頭痛に見舞われ、390回胃の調子を崩し、234回風邪をひくという。

 また、病気やけがのうち最も一般的なものは腰痛で、次いで打撲が多いという。

 これらを合計すると、一生のうちに経験する体の不調は平均17277回ということになる。

 また、75パーセントの人が自宅に救急箱を用意していないことも同じ調査により分かったという。

 調査に当たった薬剤師はこの結果について、健康的な人でも病気やけがで頻繁に苦しんでいるとして、救急用品の必要性を強調している。

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 この数字に意味があるのかはさておき、よく調べたなあ。

 結構多いんですね、頭痛もちの人。頭痛といえば近年、頭痛内科が勢力を伸ばしてきています。頭痛の原因は何百もあり、それを診断で検討をつけるエキスパート。もし頭痛でお悩みで、我慢している方がいらっしゃいましたら、頭痛内科に足を運んでみてはいかがでしょうか。

参考:日本頭痛学会
   片頭痛チェック
posted by さじ at 00:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2006年08月08日

子供の脳脊髄液減少症に対する知識と理解を身につける

脳脊髄液減少症:記憶・運動障害…悩む小中高生 苦しさ分かって

 激しい頭痛などを伴う「脳脊髄液減少症」のため、勉強やスポーツができない小中高校生の存在が次々と明らかになっている。症状のひどさや将来への不安、教師らに理解されない絶望感。「自殺を考えた」と話す子どももおり、事態は深刻だ。ある母親は先月、厚生労働省と文部科学省の担当者に面談し子どもたちへの支援を訴えたが、国の対策は本格化していない。

 静岡県の中学2年の女子生徒(14)は昨年夏、車の後部座席にいて追突事故に遭った。吐き気などだけでなく、やがて記憶力に著しい障害が出た。家族や友人のことが分からなくなり、特に漢字は全く読めなくなった。

 3カ月後に高次脳機能障害、さらに2カ月後に髄液漏れと診断された。漏出を止める手術を2回受け表情に生気が戻ってきたが、事故前にはほど遠い。母親(38)は「直後に診察した医師は『検査しても異常はない。若いからすぐ治る』と言った。早く髄液漏れの治療を受けていたら」と悔やむ。

 大分県の通信制高校2年の女子生徒(16)は、中学2年の時、授業中に同級生がけったバレーボールを側頭部に受けた。激しい頭痛や耳鳴り、不眠などが続き、欠席日数は中2で31日、中3で66日に上った。登校しても保健室にいることが多く、「心の病」とされて1カ月以上入院した。「悪霊のせいだ」と周囲に言われたこともあったという。髄液漏れと診断されたのは卒業式のころだ。

 生徒は「苦しさを周囲に分かってもらえず、何度も自殺を考えた」と言う。地元自治体は「ボール事故と発症の因果関係はない」と主張、生徒側と法廷で対立している。

 突然発症することもある。兵庫県の高校3年の男子生徒(18)は中1の4月、首に激痛が走った。まともに歩けず、会話する気力もなくなり、3年間苦しんだ。「やる気がないなら出ていけ」と怒る教師もいた。母親(44)といくつもの医療機関を回り、「親に迷惑をかけるだけの存在だ」と考えていたという。

 髄液漏れの治療を受け、今はジョギングするほど回復した。中学の同級生と会うと、普通に歩く姿に驚かれるという。

 ◇「心の病」と誤解

 学校現場にも広がる髄液漏れ。この症状に詳しい国際医療福祉大付属熱海病院の篠永正道医師と山王病院の美馬達夫医師によると、両医師だけでも1
8歳以下の子ども約30人の治療にあたった経験を持つという。

 従来、髄液の漏出は珍しい病気と考えられていた。しかし、数年前から「スポーツ時の転倒や出産など、日常生活の中で頻繁に起こる可能性があり、患者は非常に多い」と指摘されるようになった。篠永医師らは「親や教師が髄液漏れを知らないため、長期間、別の病気と誤解されていた子どもが少なくない」と話す。子どもの患者の実態は明らかになっていない。

 こうした実態について、文部科学省スポーツ・青少年局の担当官は「重大な関心を持っている」と話している。だが、現状は、関係する学会が研究の必要性を認め始めた段階にすぎない。国は今後、診断基準の確立や症例情報の共有化などを急ぐ必要がある。

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 医学処 交通事故の衝撃で髄液が減ると脳脊髄液減少症になる。

 病気に関する詳細は上記。

 子供の病気には周囲の理解が必要です。理解を得づらい病気、たとえば今回のような脳脊髄液減少症だとか、精神疾患だとか、それに対する偏見は子供の「心」を蝕んでいきます

 脳脊髄液減少症は誰にでも起こる病気です。髄液が減ったからといって外見上物凄いことが起こるわけではありませんが、倦怠感や記憶力の低下など、ともすればなまけていると思われてしまう症状を呈します。

 しかしこれはれっきとした病気です。教師などの教育関係者は当然知っているべき知識で、知らなかったで済まされる問題ではありません。無知は罪ですよ。子供の一生を台無しにするかどうかは周囲の人間次第。
posted by さじ at 23:23 | Comment(2) | TrackBack(0) | 脳神

2006年08月02日

埼玉県の女児プール事故は、脳幹損傷が原因で即死

ボルトなく、針金で固定か 埼玉・プール事故

 埼玉県ふじみ野市の市営「ふじみ野市大井プール」で同県所沢市の市立小手指小2年戸丸瑛梨香さん(7)が死亡した事故で、県警の事情聴取に対し、吸水口のさくを固定するボルトがなく、針金だけで留めていた、とプールの管理運営会社側が話していたことがわかった。さらに吸水口の構造をアルバイトの監視員が理解していなかったため、対応が遅れたという。県警は業務上過失致死の疑いがあるとみて調べている。

 調べでは、瑛梨香さんが吸い込まれた吸水口の壁の部分に針金が残っており、ボルトは1本も見つかっていない。

 さく(縦横60センチ、重さ約8キロ)はステンレス製。プールの中には吸水口が3カ所あり、ボルトの代わりに針金で固定していたさくもあった。うち1枚は四隅のうち、二つの角がボルトでも針金でも固定されていなかったという。

 1時間に1度の点検も、吸水口の確認はせず、プールの水底に危険物が落ちていないかどうかをチェックするものだったという。

 県警ははずれたさくのボルトについて、今夏の7月15日のプール開業時から備えつけられていなかった可能性があるとみて調べている。

 さらに、県警がプールのアルバイトの監視員らに話を聴いたところ、プールにいた管理会社側の社員(36)以外は、吸水口の仕組みや、危険性について理解していなかったという。

 調べによると、7月31日午後1時半ごろ、吸水口のさくのうち1枚が外れ、水中に落ちているのを遊泳中の小学3年の男児が見つけ、近くの監視台の女性監視員に渡したという。監視員はさくがない場合の危険性が分からず、無線で管理棟に連絡。管理棟にいた男性監視員も分からず、事務所にいた社員に電話で連絡した。

 社員が到着して初めて吸水口のさくだと気づいたという。社員が、監視員に人を近づけないよう指示して補修道具を取りに戻った後、瑛梨香さんが吸い込まれたという。

 1日の県警の司法解剖の結果、瑛梨香さんは強い水流で吸水管に後頭部を強く打ちつけ、即死状態だったことがわかった。

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 報道ステーションによると「脳幹損傷で即死」だそうで。ご冥福をお祈り申し上げます。

 しかしこういう場を管理する場合は最悪の場合も想定していなければなりません。そうでないと今回のような事故を未然に防ぐことはできません。たとえバイトの監視員といえども、現場状況ぐらい把握していなければ、成すすべがありませんからね。
posted by さじ at 03:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2006年08月01日

日本人の24人に1人がなる「むずむず脚症候群」について知る

「むずむず脚症候群」で眠れない!

 眠っているときや休んでいるとき、足が奥深くからむずむずして、じっとしていられなくなったことはありませんか? もし心当たりがあるなら、あなたは「むずむず脚症候群(レストレスレッグスシンドローム)」の可能性あり。40〜50代に症状のピークを迎えることが多く、日本人の24人に1人程度に症状があるといわれる病気だ。認知度が低いため、きちんと治療する人は少ない。睡眠障害など生活に大きな支障をもたらす「むずむず脚症候群」。その症状と、効果的な治療法は?

 脚の深部、特に足首からひざにかけて、むずむず、チクチク、ジリジリ…。ひきつったり、虫がはうような、がまんできない不快感が現れる「むずむず脚症候群」。

 (財)神経研究所附属睡眠学センター研究部部長で、代々木睡眠クリニックの井上雄一院長は、「『むずむず脚症候群』の有病率は、日本人の24人に1人程度。『睡眠時無呼吸症候群』とそれほどかわらない。病名が知られていないだけで、悩んでいる人は多いんです」と説明する。

 脚をかいたり、さすったりしても症状はおさまらず、「脚の中に手を突っ込んで、中をかきまわしたくなる」という人もいるほど。腿や上腕部に症状がでる場合もある。

 夜、眠ろうと布団に入ったころに症状がでたり、悪化したりすることが多く、歩き回ったり、足を動かしたりすると一時的に症状は改善されるが、また眠ろうとするとむずむず感がでる。

 「うとうとしても、すぐ目が覚めてしまう。3時ごろまで眠れず、明け方に少しだけ深い眠りになる程度。睡眠障害は深刻です」。自然治癒することはごくまれで、時間の経過とともに症状は悪化。その結果、日中の過度な眠気や仕事の非効率化といったストレスから、「不安・抑うつなどの精神症状を引き起こすこともある」というから深刻だ。

 同症候群で特徴的なのが、本人の意思と無関係に、20〜30秒ごとに足首がピクっとけるような動きを繰り返す「周期性四肢運動」を多く伴うこと。井上院長は、「これも中途覚醒の原因」という。

 発症のメカニズムは、まだはっきりとわかっていない(別項)が、症状の改善には、「軽症なら、まずは日常生活の改善。カフェイン、ニコチン、アルコールは、症状を引き起こす誘引となりやすいので摂取を控える」(井上院長)。また、下肢のマッサージを行うなども効果がある。

 日常的に症状がでる中等度から、ほとんど眠れないといった重症の場合は、プラミペキソールなどのドパミン受容体作動薬を使用。「プラミペキソールを寝る前などに服用することで約95%の人に症状の改善が見られた」という。

 「症状がある人は、放置せずに、睡眠障害を専門に治療している医療機関や神経内科などで診てもらうこと」と井上院長。症状を自覚したら、気のせい、などと思わないで、すぐ病院へ。一刻も早く、健康な眠りを取り戻そう!

■「むずむず脚症候群」のメカニズム

 「『むずむず脚症候群』は基本的には神経の病気」と井上院長。そのメカニズムは、まだはっきりとはわかっていないが、「脳の中枢神経の鉄分が欠乏することから起こるというのが、もっとも有力な仮説」だという。鉄分が不足すると、神経細胞間で情報の受け渡しをする神経伝達物質ドパミンの分泌が減るなど、ドパミン系の機能低下が起こる。その結果、情報を正しく伝えることができなくなってしまうのだ。ドパミンからの情報を受け取り、情報として利用できるように変換する受容体(レセプター)を刺激して、その働きを活発にする、プラミペキソールなどのドパミン受容体作動薬が症状を改善するのは、こうした理由からだと考えられる。

■「むずむず脚症候群」になりやすい人とは?

 「むずむず脚症候群」には、原因が特定できない「特発性」と、腎不全で透析を受けている人や、鉄欠乏性貧血など何らかの鉄欠乏を起こすような病気がある人に起こる「2次性」がある。「特発性の場合、若いころから症状があるといわれますが、ゆっくりと進行するので、本人が気になるほど悪化するのは、40代以降から。家族に『むずむず脚』がある人の約3割は、『むずむず脚症候群』になる可能性があります」。今のところ根治療法はないが、どちらも場合も、投薬での症状の改善が可能だ。

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 神経内科の分野ですね、これは。有効な薬まで出ているので、きちんと治療すれば治る病気でしょう。やはり大事なのは、記事中で代々木睡眠クリニックの院長が言っているように、症状を自覚したら病院へ行くことでしょう。特に神経内科の病気は、あまり理解されないというか、そもそも病気なのか?と思われがちですが、立派な病気です。ためらわず受診することも、時には必要なのです。

▼「むずむず脚症候群」チェック

 □じっとしていると、ひざから下にむずむずするような不快感が起き、動き出したくてたまらなくなる
 □同様の症状が脚以外にも起きることがある
 □脚などの異常な不快感は、歩いたり、動かしたりすると一時的におさまる
 □夜、布団に入ったときに症状が起こり、明け方になると症状がなくなる
 □電車や映画館など、座っているときに脚の深部がむずむずし、動かしたくなる
 □夜、寝付きにくかったり、睡眠中に何度も目が覚めたりする
 □睡眠中、けとばすように足先が動くことがある
 □夜、十分眠れないため、疲れやすかったり、疲労感を感じたりする
 □家族や親戚に同様の症状がある人がいる
 □脚の不快感と動き出したくなる衝動の原因になる異常は特に見つからない
 ※「はい」の数が多く、かつ上記の症状が強く、ひんぱんに起こっている人ほど重症。気になったら、早めに神経内科など専門医を受診しよう
posted by さじ at 15:01 | Comment(9) | TrackBack(0) | 脳神

2006年07月23日

20年間の植物状態から復活した人は、事故前にパキシル(抗うつ薬)を飲んでいた

植物状態からの「奇跡の回復」を探る

 トラック事故で脳に重度の損傷を負い最小意識状態(MCS)に陥っていた米国のTerry Wallis氏が、約20年ぶりに言葉を発し周囲を驚かせたことはメディアでも広く報道された。長年の植物状態からの奇跡的な回復はこれまでにも例があったものの、1日以上持続した例はほとんどなかった。しかし、Wallis氏が意識を取り戻してから既に約3年になる。

 Wallis氏が言葉を話すようになってから8カ月後、米コーネル大学(ニューヨーク州)Weill医学部准教授のNicholas Schiff博士が初めて面会した時点で、Wallis氏は極めて不明瞭ながらもよどみなく話し、基礎的な人格をかなり取り戻していた。2年以上経過した今ではさらに回復し、会話や運動制御が向上し、無理だと思われていた四肢の運動機能の回復も認められている

 この理由を解明するべく、Schiff氏らは最先端の神経画像技術を用いて、Wallis氏のほか、健康な被験者20例および6年間MCSの状態が続いている患者1例の脳を調べた。この結果、Wallis氏の脳の比較的損傷の少ない部位では、神経細胞(ニューロン)が長い時間をかけて新たな結合を形成する「軸索再生」が生じていることがわかった。何らかの形で残った神経細胞間の再接続が生じ、極めてゆっくりと脳が再構築されていると考えられるという。また、Wallis氏は意識回復前の約2年間、抗うつ薬パロキセチン(商品名:パキシル)を使用しており、これが回復の一端を担ったとも思われる。

 Wallis氏と同じような状態で回復のみられない患者に対する治療法を探る上で、この情報は重大な意味をもつ。Schiff氏は、まずはWallis氏に起こったことを医療現場が事実として受け入れることが必要で、それから重度の脳損傷患者にどのような治療の道があるかを再考するべきだと述べている。

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 パキシルを飲んだことで脳の神経細胞が再生しはじめたのか…?ということは植物人間状態から投薬によって神経細胞を再生させることは可能…?未知の領域ですから何があっても不思議ではありません。
posted by さじ at 14:00 | Comment(6) | TrackBack(0) | 脳神

2006年07月16日

赤塚不二夫の妻、赤塚眞知子さんがくも膜下出血で亡くなる。

訃報:赤塚眞知子さん56歳=漫画家・赤塚不二夫さんの妻

 赤塚眞知子さん56歳(あかつか・まちこ=漫画家・赤塚不二夫さんの妻、フジオ・プロダクション社長)12日、くも膜下出血のため死去。葬儀は遺志により近親者らで済ませた。事務所は東京都新宿区中落合1の3の15。喪主は長女りえ子(りえこ)さん。

 不二夫さんが眞知子さんとの再婚を発表した87年、前妻が再婚を後押ししたことで話題になった。02年に脳内出血で倒れた不二夫さんを献身的に看護していた。

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 ご冥福をお祈り申し上げます。

 人間の脳を覆っている膜は、外側から順に硬膜、くも膜、軟膜となっています。そのくも膜の下で出血が起こると、くも膜下出血と呼ばれます。頭蓋内圧が上昇し、激しい頭痛や意識障害を引き起こします。(よく、ハンマーで殴られたような痛みと表現されます)

 大部分が脳動脈瘤破裂によるものですが、今回の件が何であったかは定かではありません。加齢による動脈硬化や高血圧など様々な要因が絡んでいることは考えられます。
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2006年07月13日

脳に電極を埋め込めば「思うだけ」で器具を操作できる

「思うだけ」で器具を操作 手足まひ患者の自立に光

 脊髄損傷で手足がまひした患者の脳に小さな電極を埋め込み、コンピューターを通じて本人の思い通りに、テレビの音量を変えたり簡単な器具を操作したりする初の臨床試験に成功したと、米ブラウン大(ロードアイランド州)などのチームが13日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 本格的な実用化にはかなりの改良が必要だが、体を動かせない患者にとっては自立に道を開く成果。思うだけで機械を自在に操れるSFの世界が現実に近づいた格好だ。

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 動画はこちらから。見事なまでに動いています。
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2006年07月11日

交通事故の衝撃で髄液が減ると脳脊髄液減少症になる。

脳脊髄液減少症:大阪の患者団体が実態調査へ

 交通事故などによる強い衝撃で生じるとされる脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の患者団体「サン・クラブ」(本部・大阪市)の栂(とが)紀久代代表が10日、大阪府庁で会見し、国に患者や家族の救済を求めるため、患者の実態調査を行うと発表した。

 調査は、連絡のあった患者に発症原因や症状の程度、治療による効果などを問う質問用紙を郵送。10月までに3000人を目標に協力を呼びかけ、治療や特定疾患への認定などを国に要望する方針。

 同症は、外部からの強い衝撃で脳の脊髄液が漏れ、激しい頭痛やめまいなどの変調が長期にわたって続く病気。潜在的な患者は10万人以上と推定されているが、実態は明らかになっていない。

 栂代表は「詐病などと言われてまともな治療を受けられないのが現状。患者の置かれたつらい現実をわかってほしい」と訴えている。

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 これは「交通事故で脳脊髄液減少症になった人たち」を中心に行っているんでしょうか。例えば脊髄液が減少するだけなら、脈絡叢からの髄液産生が少なくなったとか、逆に、くも膜顆粒での髄液吸収が多くなったとか、考えられますけれど。

 低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)ファイルを見る限りですと、どうやら「低髄液圧症候群」は髄液圧が減ることで、脳脊髄液減少症は、低髄液圧症候群の1つではあるが、髄液圧は正常だということのようです。

 つまり髄液量は減っているが圧は異常なしということ。何故そうなるのかはよくわかっていないようです。髄液圧が正常なので腰椎穿刺しても意味がないためMRIやらで判別するしかなく、詐病(いわゆる仮病)と言われてしまっているらしい。

参考:特発性低髄液圧性頭痛はどのように診断し,治療するか
posted by さじ at 23:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2006年06月27日

BSE感染でのヤコブ病発症までは最長で50年を超す

潜伏期間50年超す可能性も 人へのBSE感染で推定

 牛海綿状脳症(BSE)の牛を食べて発病するとされる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は、感染から発病までの潜伏期間が、長い人で50年を超す可能性があるとの推定を、英ロンドン大などのチームがまとめ、24日付の英医学誌ランセットに発表した。

 従来は長くて20年程度との推定もあったが、チームは長期的な監視が重要と訴えている。

 根拠は、BSEやヤコブ病と同様に異常プリオンが原因とされるクールー病。死者への敬意を表す手段として人の脳を食べる習慣があったパプアニューギニアの一部に残る疾患で、潜伏期間は平均12年とされてきた。

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 最長50年…。油断できないものですなぁ。クールー病は、人の脳を食べる習慣が禁止された今でも発症する人がいるそうです。
posted by さじ at 20:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2006年06月25日

脊髄損傷患者に自身の骨髄細胞を移植して再生させる治療法

脊髄損傷患者に神経細胞の再生治療を実施 関西医大

 関西医科大(大阪府守口市)を中心とするグループが、事故などで首を骨折して半身不随になった脊髄損傷の患者に自身の骨髄細胞を移植して神経細胞の再生を促す日本初の臨床研究を実施、24日、大阪府内で経過報告をした。実施例はまだ1例で、副作用はなく、症状の改善もみられたが、責任者の中谷寿男・同大教授(救急医学)は「現時点では移植による治療効果かどうかはわからない」としている。

 報告によると、3月上旬に転落事故で首を骨折して同大病院に運ばれた30代の男性に対して、12日後に移植を実施した。背骨を固定する手術の際に骨髄を採取、専用の施設で培養した後、腰から注射した。これまで副作用はなく、移植前に両腕のひじが動かせなかったのが、少し曲げ伸ばしができるようになったという。ただ、同程度の脊髄損傷では、多くの場合は改善が望めないが、機能が回復する例もある。今回が治療効果かどうかは判断できないという。

 この臨床研究は、事故直後の患者が対象で、グループでは23例を目標にしている。今月、2例目の患者に治療を試みたが、細胞培養がうまくいかずに中止したという。

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 効果は断定できませんが、希望の光であることは間違いありません。ただ、やはり損傷後すぐということが重要であるようにおもいます。損傷した時に運ばれていった病院の医者がどのぐらい可能性を提示できるか、にかかっているといっても過言ではありません。
posted by さじ at 22:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

脳卒中の発音障害のために、小型バルブ装置を開発

発音障害:鼻に小型バルブ装置で改善 岡山大開発

 脳卒中の後遺症の筋肉まひなどにより会話時に鼻から空気が漏れる発音障害を改善するため、鼻の穴に差し込んで使う小型のバルブ装置を岡山大大学院医歯薬学総合研究科の皆木省吾教授(歯科補綴学)らの研究グループが開発した。

 脳卒中の後遺症で脳の信号がうまく筋肉に伝わらなくなると、運動障害が生じる。のどの奥の弁状の筋肉「軟口蓋」がまひした場合は、鼻から空気が抜けて発音が不明りょうになる。皆木教授によると、バルブ装置は鼻に“ふた”をすることで空気の漏れを防ぎ、正確な発音を助けると同時に、内部のラバー製の弁の働きで普段通り息を吸えるという。

 これまで発音障害の患者が使っていたアクリル製の器具は、口の中に固定して軟口蓋を押し上げる仕組みで異物感があった。バルブ装置は患者ごとに鼻の穴の型を取り、目立たないよう透明なプラスチックで製作。長時間使っても痛みや違和感が少ないという。

 研究成果は27〜30日にオーストラリア・ブリスベーンで開かれる国際歯科研究学会で発表予定。将来は商品化も検討している。皆木教授は「自宅に閉じこもりがちな発音障害患者の社会復帰に役立つのではないか」と話している。

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 こりゃイイですね。病気が元で閉じこもりがちになってしまう方にとっては活気的な装置だと思います。意外と、本人は気にするものですからね。どんどん外へ出かけられるよう、利便性を追求した医療品が開発されることを望みます。
posted by さじ at 21:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2006年06月18日

音楽はやっぱり脳に良いことが直接示される

音楽で脳に変化 マウス実験、知能優れる

 音楽を聞かせて育てると課題を解く力が優れ、脳に変化が起きるというマウス実験の結果を徳島大の勢井宏義助教授(環境生理学)と大学院生の近久幸子さん(27)らが17日までにまとめた。

 音楽で学習能力が上がる可能性は指摘されていたが、脳への影響を直接示したのは初ではないかとしている。

 勢井助教授らはマウスを胎児から成体になるまで飼育。(1)モーツァルトのピアノ曲を聞かせる(2)雑音を聞かせる(3)何も聞かせない−の3グループに分け、ピアノ曲などは起きている12時間、聞かせ続けた。

 3グループを、決まった順番でゴールの場所が変わる迷路に挑戦させると、ピアノ曲を聞いて育ったマウスは、順番を間違えずにゴールする能力が優れていた。

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 やはり音楽を聴くと、右脳が活性化するんでしょうか。大人がやっても効果はなさそうですが、お子さんの成長には確かに良いと思われます。
posted by さじ at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2006年06月07日

「学習」すると、記憶を妨げる遺伝子を減らすことができる

記憶:妨害遺伝子、「学習」で減少 貝で研究

 記憶を妨げる遺伝子の数は記憶を高める遺伝子より数十倍多く学習で半減することが伊藤悦朗・北海道大客員研究員(神経生物学)らの貝を使った実験で分かった。これら2種類の遺伝子はヒトを含め多くの動物に存在しており、記憶力の向上に役立つ薬剤開発につなげたい考えだ。

 ヨーロッパモノアラガイという貝を使って調べた。この貝の脳は構造が単純で、細胞数もヒトの1%以下の数十万個と少ないため、どの細胞が記憶にかかわっているのか調べやすい。

 実験では、貝が好む砂糖水と、苦味のある塩化カリウムを15秒間隔で10回、交互に与えた。貝は砂糖水の次に塩化カリウムが来ると学習し、砂糖水が与えられてから15秒後には口を動かさなくなった。

 学習前後で反応の仕方が変化した細胞を特定し、働いている遺伝子の数を調べた結果、記憶力を抑える遺伝子「CREB2」が平均約300個存在していたのに対し、記憶力を高める遺伝子「CREB1」は数個しかなかった。CREB2は学習で約150個に半減したが、CREB1の数に変化はなかった。

 CREB1、2が記憶にかかわることは知られているが、それぞれの遺伝子の働きが学習によってどう変化するかは解明されていなかった。

 砂糖水を与えられた後に誤って口を動かす回数は、目覚め直後の午前中に訓練した方が午後に比べ半分に減り、朝型の学習効率が高いことをうかがわせた。伊藤さんは「どのような刺激が2種類の遺伝子の働きを左右するのかを分析し、効果的な学習方法の提案や記憶障害の解決につなげたい」と話す。

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 ほー。記憶力を鍛えるということは、「記憶を忘れさせる遺伝子を抑制する」ということだったんですね。長期記憶にしやすくなる薬など、開発されるのかもしれません(ネットで輸入されている、スマートドラッグなどはこの類の商品かもしれませんが、危ないので手を出すのはやめたほうがいいでしょう)

 CREB(サイクリックAMP応答要素結合タンパク質)は、長期記憶に必要なタンパクをコードしている遺伝子の読み出しを調節しているらしいです。詳しくは以下サイトにて。

参考:記憶と老化
posted by さじ at 21:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2006年06月02日

健康診断の採血時に注射針で神経を傷つけられる

医療過誤訴訟:健診の採血ミス認める 事業団に賠償命令−−高裁・秋田支部 /秋田

 定期健康診断の採血注射で右腕の神経を傷つけられ、しびれや握力低下の障害が残ったとして、県立能代養護学校の元女性教諭(47)=神奈川県相模原市=が県総合保健事業団を相手取り、約8180万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が31日、仙台高裁秋田支部であった。畑中英明裁判長は「病院の所見や、採血中止の状況から、感覚低下の原因は採血による神経の損傷と推認できる」として、請求を棄却した1審の秋田地裁判決を取り消し、被告側に約3460万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると、女性は94年7月、勤務先の同校で定期健診を受けた際、血液検査の採血注射の途中で右ひじなどに痛みやしびれを訴え、その後も右ひじがしびれ、右手の握力が低下している。

 1審が「神経が傷つけられた後にみられるべき症状が出ていない」とした点について、畑中裁判長は「採血直後から右のひじ、前腕などに痛みとしびれが持続しており、97年の診断時にも握力低下など特有の症状が出ている」と指摘した。

 また1審が「長年採血業務に従事していた看護師が採血中に注射針の先を動かしたというのは不自然」とした点についても「必要量の半分しか採血できなかったのに途中でやめており、採血の際に原告が訴えた痛みは、直ちに採血の中止を余儀なくさせる極めて異常なものだった」とし、被告側の過失を認めた。同事業団は「判決文を精査し、今後の対応を決めたい」としている。

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 採血の段階で神経を傷つけてしまうことは稀に起こりますが…。裁判で負けてしまうのですね…。確かに医療ミスといえば医療ミスですが…むむぅ。
posted by さじ at 00:13 | Comment(2) | TrackBack(0) | 脳神
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