[脳神]の記事一覧

2007年02月28日

「島」と呼ばれる脳の損傷によって、禁煙が容易になる。

脳損傷によって禁煙が容易に

 「島」と呼ばれる1ドル硬貨大の脳の領域とニコチン中毒は非常に密接に関係しており、この領域への損傷によりタバコを吸いたいという体の欲求そのものが完全に消え去ることが発見された。もちろん脳に損傷を加えるという治療の選択肢はあり得ないが、今回の結果は、喫煙者への禁煙治療のヒントになり、また既存の治療法での禁煙の進展をモニターするのに役立つであろう。島は体の他の部分から情報を受け取り、それらの信号を我々が自覚できるよう翻訳すると考えられている。

 Nasir Naqviらによる今回の試験は、彼らの研究プログラムに参加していた患者のひとりが、脳梗塞で島に損傷を受けるまでは一日にタバコ40本を喫煙していたが、脳卒中後、努力なしに禁煙できたことをヒントに実施された。

 この患者は自分の体は「タバコを喫いたいという欲求を忘れてしまった」とコメントした。今回、脳に損傷を受ける以前は喫煙者だった69名が調査された。これらの患者中19名は島を含む部位に損傷を受けており、そのうち13名は喫煙を止め、うち12名は非常に簡単に禁煙することができた。他の部位に損傷を受けていた患者の一部も努力なしに禁煙できたが、全体として島に損傷を受けた場合、その他の部位への損傷よりも簡単に禁煙できた割合がはるかに高かった。

 この論文は、島の損傷は患者の喫煙したいという欲求そのものを低下させるのであり、喫煙に伴う快感や「報酬」を減少させるのではないと結論している。

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 島(インズーラ)は脳の外側溝の奥にあるところです。電気刺激により胃の蠕動運動が変化したり内臓知覚が変わったり味覚が変化したりするそうですが…。まだその全貌は分かっていないようです。

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posted by さじ at 18:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2007年02月22日

脳出血の手術に内視鏡を用いて重い後遺症が残ったとして書類送検

執刀医ら数人、23日書類送検へ=脳血管センター医療事故−業過傷害で神奈川県警

 横浜市立脳血管医療センター(同市磯子区)で、脳出血を起こした横浜市の50代女性が手術を受け、重い後遺症が残ったとして、神奈川県警捜査1課と磯子署は22日、業務上過失傷害容疑で、当時の執刀医ら数人を23日にも書類送検する方針を固めた。

 調べによると、女性は2003年7月、脳出血で入院。執刀医らは経験がないのに脳内の血腫を取り除く内視鏡手術をして女性の容体が悪化した。執刀医らは再び開頭手術したが、女性に手足が動かないなど重い障害を負わせた疑いが持たれている。

 内視鏡手術は高度な技術と経験が必要とされる。

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 脳出血を取り除く手術を開頭で行ったとしても、麻痺が残ることはあると思うんですけど、ううーん。実際に内視鏡によるミスだったのかどうか書いてないので判断できませんが、もしそうでないのだとしたら、脳外科はピンチですね。麻痺が残れば訴訟、みたいな流れになったりするかもしれません。まぁ訴訟というのはインフォームドコンセント次第だとは思うんですが。

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posted by さじ at 16:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2007年02月10日

神経のシナプス間隙では、両方向に信号が伝わることが判明

神経細胞間で情報を伝える新たな経路を発見

 脳神経細胞間の情報伝達は、「シナプス」と呼ばれる接合部を介して行われています。シナプスには、神経細胞の活動状態の変化によって情報の伝達効率が変化する“シナプス可塑性”と呼ばれる現象があり、この可塑性が記憶や学習に重要な役割を持つと考えられています。シナプスは、信号を伝える「シナプス前細胞」と信号を受け取る「シナプス後細胞」に分けることができます。この二つの細胞の間は、シナプス間隙と呼ばれる隙間を隔てて独立しており、神経伝達物質のやり取りで情報を伝えています。この神経伝達物質によるシナプスでの信号の伝達は、今まで主に一方向、つまり前細胞から後細胞へ行われると考えられてきました

 研究グループは、ラットを用いて、記憶・学習の中枢と考えられているる海馬で、シナプスの情報伝達の仕組みを、電気生理学的手法を用いて詳しく解析しました。その結果、シナプス前細胞及び後細胞を構造的に糊のようにつなぎ合わせているタンパク質が、情報伝達に関わっていることを突き止めました。さらに、情報を伝達する方向が、今まで考えられた方向ではなく、シナプス後細胞からシナプス前細胞へ伝わっていることが分かりました。この結果は、神経伝達物質による情報のやり取りだけでなく、両細胞をつなぐタンパク質も情報伝達に関与していることを示唆するものです。

 シナプス可塑性が、記憶・学習といった経験により、どのように変化し、それが維持されているのか探るためには、シナプス前細胞と後細胞とが、どのようにして協調を図っているかを明らかにすることが重要です。今回得られた結果は、世界で初めてその疑問に直接的に答える意義のある成果です。

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 私も一方方向で覚えていましたので……このニュースをみたときは衝撃でした。

関連:脳内マリファナが小脳に働けば、運動音痴は治る
posted by さじ at 15:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

パーキンソン病に鍼治療は有効。ドーパミンを保ち予防に繋がる。

鍼のパーキンソン病予防メカニズム、国内で究明

 漢方医学の鍼療法でパーキンソン病を予防する科学的なメカニズムが、国内研究陣によって究明された。慶熙大学漢方医学部の林サビナ教授チームとソウル大学医学部の金容植(キム・ヨンシク)教授チームは6日、マウス実験を通じ、鍼がドーパミン神経細胞を保護し炎症物質を抑制するメカニズムを解明したと明らかにした。研究成果は1月に科学誌「ネイチャー」で紹介されたほか、脳研究分野の国際学術誌「ブレーンリサーチ」2月号に論文が掲載された。

 パーキンソン病は、脳内の神経細胞がドーパミンを正常に生産できず運動障害などを誘発すると考えられている疾患で、世界に600万人の患者がいるとされる。

 論文によると、研究チームはパーキンソン病にかかったマウスに2日に1回ずつ、漢方医学で筋肉運動に関連するとされるひざの裏と足の甲に鍼治療を行う実験を7日間にわたり行った。別部位に鍼治療を施したマウスや鍼治療を行わなかったマウスではドーパミンレベルが正常値の半分に減ったのに対し、適切な鍼治療を行ったマウスのドーパミンは約80%残っていたことが確認された。脳内で神経細胞の1つであるマイクログリア濃度が高まり炎症物質が増加するとドーパミン神経細胞が破壊されパーキンソン病を誘発するが、この過程で鍼がマイクログリアの活性を抑制する神経保護効果があると結論付けている。

 鍼のこうした効果はすでに報告されているものだが、なぜドーパミン神経細胞を保護するかについてはこれまで明らかにされていなかった。林教授は、老人性脳神経疾患における鍼作用のメカニズムの解明にも有意義なものだと説明した。

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 なんだ、科学的に解明というから何故ドーパミンが残るのかが分かったのかと思ったんですが……。ま、なんだかよく分からないけど効果はあるそうで。膝裏と足に鍼うつだけで何で脳のドーパミンが残るんですかね…人体の神秘。

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難病「線維筋痛症」と闘う患者たちと治療

線維筋痛症 患者の苦しみ深刻 治療研究の現状は

 全身が原因不明の痛みに包まれる「線維筋痛症」が、注目されている。今月亡くなった日本テレビの女性アナウンサーが、この病気に悩んでいたと報道されたためだ。患者の苦しみは深刻で、03年に厚生労働省の研究班が作られ、研究・調査が進められている。線維筋痛症の実態と治療研究の現状は。

 横浜市内に住む重症患者、高橋奈の子さん(35)の笑顔は明るく、病気と感じさせない。「それが、この病気への理解を難しくしている」と話す。その瞬間も全身が痛んでいるというのだ

 高橋さんは約5年前、足が急に熱を持ったように痛くなった。線維筋痛症と診断され、間もなく「寝たきり」になった。

 肌に服が触れただけで痛い。風が当たっても痛い。顔も洗えず、歯も磨けない。トイレで排せつしようにも、力が入らない。横になっても布団の重みで痛い。痛くて眠れず、最後は痛みのあまり気絶して、ようやく睡眠を取れるようになった。「息をしているだけのただの物体でした。家族に頼るだけの役に立たない人間になった、と落ち込みました」

 05年から薬で徐々に痛みを減らせるようになり、昨年3月から週3〜4日、アルバイトをしている。ただ、今も全身の痛みで身動きできない日がある。「この病気の患者には完ぺき主義の頑張り屋が多いが、できることから一つずつ挑戦してほしい」と話す。

 線維筋痛症は、70年代に米国で初めて確認された。一般的に痛みの原因となる炎症が起きていないため、検査では異常が見つからない。米リウマチ学会によると、原因不明の全身の痛みが3カ月以上続き、首や手足など全身18カ所のうち、押すと痛みが11カ所以上である場合、この病気と診断される。抑うつ、頭痛、過敏性腸炎などを併発する人も多い。

 厚労省研究班の調査では、日本の患者は推計で全人口の約1.7%。女性が8割以上を占め、年齢は50代が最も多かった。

 線維筋痛症の患者は、痛みを感じ始める刺激のレベルが非常に低く、同じ程度の痛みでも健康な人よりもひどく感じる。長く原因不明と考えられてきたが、同研究班班長の西岡久寿樹・聖マリアンナ医科大難病治療研究センター長は「過度なストレスや外傷などで、痛みを和らげる神経系の『ブレーキ』機能が低下しているようだ」と話す

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 全人口の1.7%って、結構いますね。つまり統合失調症よりも患者数が多いわけですか。アナウンサーの大杉君枝さんもこの病気に悩まされていたのではないか、と言われています。痛みというのは想像以上に、生きる欲望を失っていくものです。例えば外耳炎や虫歯など、身近な激痛で、その日が暗闇に満ちることは結構な人が経験していることだと思いますが、それが「原因不明」で「全身」にくるわけです。治療法といっても、原因がわかっていないのだから鎮痛剤程度しかできない。難しいですね。。。

 線維筋痛症は、随伴症状として、こわばり感、倦怠感、疲労感、睡眠障害、抑うつ、自律神経失調、頭痛、過敏性腸炎、微熱、ドライアイ、記憶障害、集中力欠如、レストレスレッグス症候群などが伴う事もあり、症状は個人差があります。

参考:線維筋痛症友の会

参考2:治療に成功した女性の例

 記事中にもありますが、聖マリアンナ医科大学の難病治療研究センターで、線維筋痛症の医療機関ネットワークを構築中のようです。実績があるだけに、期待して待ちたいところです。

参考:線維筋痛症医療機関ネットワークの構築について
posted by さじ at 13:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2007年02月04日

アメリカで、脳神経疾患の患者が急増している。

米で脳神経疾患急増

 多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病など脳神経疾患が、米国ではこれまで考えられた以上に増えている可能性の高いことが、米国立衛生研究所などの研究で分かった。米神経学会誌に発表した。研究チームは、1990〜2005年までに発表された約500の研究論文を調査した。

 それによると、米国では、視力の低下、歩行障害などが表れる多発性硬化症の発症率は、人口1000人あたり1人で、25年前に比べ倍増した。アルツハイマー病も増加し、65歳以上の高齢者の発症率は6・7%に達している。パーキンソン病も、高齢者100人に1人が発症している。

 増加の原因について、研究チームは、病気の広がりか、診断技術の進歩によるか不明としているが、高齢化の進展が関係していると見ている。

 脳神経疾患の急増は、日本をはじめ先進国に共通の現象。同誌では、同じ研究チームが、日本を含む欧米、アジアの人口大国15か国で、パーキンソン病の患者は2030年までに現在の410万人から870万人に倍増すると予想し、対策の必要性を訴えている。

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 人口の高齢化によるものが一番考えられますが…。ううむ、何ともいえませんね。

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posted by さじ at 01:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2007年01月30日

神経線維腫症の患者に、顔面移植手術を行ったフランス

世界3例目の「顔面移植手術」を実施と 仏医師

 フランス・パリ郊外にあるアンリ・モンドール病院の医師が23日、世界で第3例目になる「顔面移植手術」を実施した、と発表した。患者は、体のあちらこちらに腫瘍ができる遺伝病「神経線維腫症」の29歳男性で、鼻や口、あご、頬の一部などを移植したという。

 同病院のランティエリ医師によると、男性は「神経線維腫症」で、顔の様子は、映画や舞台にもなった「エレファントマン」として知られる、英国人ジョゼフ・メリック氏によく似ていたという。

 約15時間にわたった手術は、22日に終了。ランティエリ医師は、「術後の経過は、外科的な点から見れば順調。しかし、結果が分かるのは数カ月後になる」と話している。

 ランティエリ医師によると、移植手術を受けた患者は、顔面の腫瘍を取り除くために、過去10年以上にわたって30─40回の手術を受けていたという。

 しかし、唇にできた腫瘍が大きくなり、通常に話したり食事をすることが不可能になったため、「最後の手段」として顔面移植手術に踏み切ったとしている。

 フランスでは2005年11月に、イヌに襲われた女性が世界で初めて、顔面移植手術を受けている。その後、昨年4月に中国が2例目に成功したと発表。また、英国では現在、顔面全体の移植手術が計画されている。

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 エレファントマン、みたことある方が多いと思われます。見たこと無い方にはお勧めの映画です。あのエレファントマンは神経線維腫症ではなくプロテウス症候群ではないかという説が今日では有力なようです。(神経線維腫症を合併していた説もあります)。

 神経線維腫症の1型をvon Recklinghausen病といいますが、これは3,4000人に1人発症するという、結構頻度の多いものです。特徴的な所見は皮膚にできるミルクコーヒー色のしみで、カフェ・オレ斑と呼ばれます。大人の場合で1.5cm以上のものが、子供の場合で0.5cm以上のものが6個以上あれば神経線維腫症T型の可能性が高いと言われています。神経近辺にできる腫瘍によって様々な症状を来たし、それによってこの疾患に気づく人も多いようです。

 顔面を丸ごと移植してしまえば、おそらくそこに腫瘍ができることはないのでしょう。強力な免疫抑制が必要のような気もしますが。

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posted by さじ at 22:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2007年01月08日

脳梗塞の発症率を大きく左右する遺伝子を発見する

脳梗塞の発症率、特定の遺伝子が左右…東大など実証

 脳梗塞の発症率を大きく左右する遺伝子があることを、東大医科学研究所と理化学研究所などの研究チームが突き止め、8日の米医学誌「ネイチャー・ジェネティクス」(電子版)で発表した。

 脳梗塞と特定の遺伝子との関連が、大規模な疫学調査で実証されたのは世界で初めて。脳梗塞を遺伝子レベルで予測し、診断や治療に生かせる成果として注目される。

 研究チームは、日本人の脳梗塞患者と健康な人を約1100人ずつ選び、両者の遺伝情報の違いを比較した。その結果、脳梗塞の患者は健康な人と比較して、「プロテインキナーゼCエータ」と呼ばれるたんぱく質を作る遺伝子の特定の部分が、1〜2個置き換わっている人が多いことがわかった

 さらに、この遺伝子の違いが本当に健康な人の脳梗塞の危険因子になっているのかを確かめるため、九州大学の協力を得て、長期の疫学調査を行っている福岡県久山町のデータを活用。1988年に健康だった40歳以上の住民1642人について、その後2002年までの14年間の脳梗塞の発症率と、この遺伝子の関係を調べた。その結果、2個の部分がいずれも置き換わった人は、脳梗塞の発症率がそうでない人より約2・8倍高まっていることが判明した。このたんぱく質は、動脈硬化の発症や進行に深くかかわっていると見られる。

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 遺伝子が解明されると脳梗塞になりやすいかどうかもわかってしまうようです。もう何でもあり。ちなみに記事中の「福岡県久山町のデータ」というのは、町全体を徹底的に追跡調査したデータのことで、生活習慣による心臓疾患や脳卒中などでは高い信憑性が得られています。どれだけ凄いのかっていうのはこちらを御覧下さい。

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posted by さじ at 17:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

容姿が良いほど筆記試験でも好成績を挙げるというデータが

容姿と試験結果には関連性あり!?容姿のいい学生は筆記試験でも高得点!

 容姿がいい学生は教師にひいきされて、良い点数がもらえるため成績優秀になると考えられがちだが、このほど行われた調査では、容姿のいい学生は、誰の解答用紙か分からない状態で採点が行なわれる筆記試験でも優秀な試験結果を修める傾向が強いことが明らかになり、容姿と成績との関連性は教師の「ひいき」感情のみが原因ではないと分析されたことが伝えられた。

 2001年から3年間、研究者チームが大学で経済学を専攻する学生885人を対象に、それぞれの容姿のよさと試験の成績との関連性を調べる調査を実施。5人の研究者はまず、各学生の写真から容姿における魅力を5点満点でランク付けした上で、そのランクと試験結果とを比較したという。

 その結果、容姿で4点と「魅力的」と判断された学生グループの試験成績は、容姿が2点という学生グループよりも36%良いことが分かり、容姿のよい学生は、採点者が純粋に解答の内容のみで判断する筆記試験でも優秀な成績を修めていることが明らかになったとされる。

 研究元では、もし試験官が容姿で学生をひいきしているならば、直接学生と顔を合わせる口頭試験でしか、容姿の良さをいかすことができないはずとコメント。

 容姿のいい学生が優秀な成績を修めるようになる背景には、魅力的な学生は子供の頃から親や教師の注意をひきつけ、その結果自尊心が育ち、自分に自信をもてるようになることで、将来成功しやすくなるためと考えられているという。

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 自尊心の結果でしょうか。外、つまり同じクラスの他者に自分をアピールするには、筆記試験で良い点数を取るのがてっとりばやいですけどね。それは日本では高校生までしか通用しないような気もしますが。

 別に容姿が良いほうが頭が良いというのではなく、自意識が少し過剰になりやすい傾向にある、ということのようです。

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ひきこもり学生を和歌山大学がサポートする。

ひきこもり学生:和歌山大が支援室 専門スタッフ配置

 ひきこもりや摂食障害などに悩む学生が勉学に取り組めるよう、医師や臨床心理士が専門的にケアをする「メンタルサポート室」が9日、和歌山大学(和歌山市栄谷、小田章学長)に設置される。ひきこもりを克服した先輩学生もボランティアで参画し、就労も支援する。同大などによると、ひきこもりの大学生を対象に専門スタッフを配置した組織は全国的にも珍しい。和歌山県とも連携し、同県全域のひきこもり対応拠点としての役割も担う。

 ひきこもりは全国で40万〜100万人いるとされる。同大でも大学院を含め計約4000人の学生のうち、常時80〜100人程度がひきこもりの状態にあるという。同大保健管理センター所長の宮西照夫教授(精神医学)の調査によると、学内で精神疾患を発病した学生数は82〜92年(11年間)は100人だったが、93〜03年(同)は328人に増えた。そのうち、適応障害は12人から91人、摂食障害は3人から22人と増加が目立った。

 適応障害の大部分は男子学生。講義の履修登録方法を周囲に聞けず、そのまま登校できなくなるなど、ささいなことがきっかけとなるケースが多い。また、摂食障害はほとんどが女子学生で、中には月約10万円の仕送りをお菓子代として約5日間で使い切り、食べては吐くことを繰り返して深刻な過食・拒食状態となり、勉学に取り組めない例もある。

 同大は01年からカウンセリングルームを設け、学業復帰を果たした「元ひきこもり」の先輩学生が下宿を訪問するなどしてメンタル面でサポートに当たるなどして、効果を上げてきた。今回設置されるサポート室には、常勤で精神科医1人と看護師2人、非常勤で精神科医1人、臨床心理士3人、精神保健福祉士1人を配置。ひきこもり経験のある学生たちがサポーターとして7人ほど加わる。曜日ごとに適応障害、統合失調症、対人恐怖症、摂食障害などテーマを決めて集団療法などを行うほか、予約制で家族や学外からの相談も受け付ける。

 宮西教授は「『大学生にここまでのケアは必要ない』との意見が主流だが、少子化による大学全入時代を控え、中学高校でひきこもりだった人が大学に入る機会が増えてきた。大学として精神的サポートが必要な時代が来ている」と指摘。小田学長は「充実した大学生活を送ってもらうための取り組みとして、体制を強化した」と話している。

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 なかなかしっかりしたサポート対策室ではないですか。ほんとに些細なことで不登校になってしまうケースがあったりするんで、こういう精神的なサポートで「外に出るきっかけ」を作ることは大事かもしれませんね。社会が個に優しくなくなってきているからこそ、横の繋がりを増やす試みは評価できます。

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2007年01月07日

漢方薬成分「フラボノイド」が認知症を改善する

<漢方薬>薬効成分に認知症改善効果を確認 都老人研など

 漢方薬の薬効成分「フラボノイド」に、アルツハイマー病などに伴う脳の神経回路の損傷を回復させる働きがあることを、東京都老人総合研究所などの共同研究チームがマウスを使った実験で確かめた。米神経科学専門誌に近く発表する。

 脳の神経細胞は互いに突起を伸ばし、その接点のシナプスで神経伝達物質を分泌し、情報を伝えている。情報がうまく伝わるためには、突起を包む髄鞘という構造が欠かせないが、アルツハイマー病など認知症患者の一部では髄鞘が壊れていることが分かってきた

 研究チームは、マウスの実験から、髄鞘の形成にかかわる2種類の遺伝子を特定した。さらに、さまざまな漢方薬から約40種類の薬効成分を分析した結果、フラボノイド類の中でも桂皮と陳皮に含まれるものが、2種類の遺伝子の働きを高めることに気づいた。

 桂皮と陳皮を含む漢方薬を髄鞘の破壊が進んだ高齢マウス(2歳半)に2カ月間飲ませたところ、2種類の遺伝子の働きが高まって髄鞘の構造が元に戻り、運動能力も若いマウス(6カ月)と同程度に回復した

 同研究所の阿相皓晃・老化ゲノム機能研究チームリーダー(細胞生物学)は「市販されている漢方薬にも含まれている成分で、大きな副作用もない。医療現場と協力し、人での臨床研究を進めたい」と話す。

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 おお、漢方薬で激的な効果が。漢方薬はどちらかというと漠然としているといいますか、全身を良い方向に持っていくのが主体だと思うんですが、これは特定部位を改善することができるようです。副作用もないようなので最高ですね。あとはどれだけ臨床応用できるのか。期待です。

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2007年01月05日

ビタミンDの摂取で、多発性硬化症を予防できるかもしれない

多発性硬化症、ビタミンDで予防 未成年時の摂取有効

 ビタミンDの摂取が多発性硬化症(MS)を予防する可能性があることが、米国ハーバード公衆衛生大学院の研究者、アルベルト・アスチェリオさんらによって指摘された。

 アスチェリオさんらは、米陸軍と海軍でMSを発症した257人について、発症前の血清のサンプルのビタミンDの濃度を調べ、健康な兵士のものと比較した。その結果、ビタミンDの濃度が最も高いグループの人は、MSを発症するリスクが62%低いことが分かった。

 とくに20歳未満の人に顕著で、「子供のころから努めてビタミンDを摂取すればよいのではないか」(アスチェリオさん)という。

 MSは大脳、脊髄などの中枢神経系に起きる疾患で、自己免疫による誤った攻撃が原因とみられている。視力障害、運動失調などを招き、治癒しない。米国には40万人の患者がおり、20代後半から30代にかけてが中心。

 ビタミンDがMS予防につながるという研究はこれが初めてではない。だが、ビタミンDの過度の摂取は腎臓結石の原因などにもなり、積極的な摂取を勧めるためにはさらなる研究が必要とアスチェリオさんは指摘している。

 ビタミンDは肝油、サーモン、サバ、ツナ缶(オイルを使ったもの)、オイル・サーディン、ビタミンD強化ミルク、同シリアル、卵の黄身、マーガリンなどに豊富。日光を浴びた皮膚でも合成できる。

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 日本人や黒人にはそれほど多くない、白人に多く起こる疾患です。原因がわかっておらず日本では難病指定されています。ビタミンDはおそらく一般的な日本の食卓であれば充分摂取できると思われますが、偏りがちな人はご注意。子供がまともに育つかどうかは、和食で決まるようなものです。ちなみにイワシ、サケ、マグロ、しいたけなどにも多く含まれます。

参考:難病情報センター 多発性硬化症
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2006年12月31日

アルツハイマー病の原因物質が何かを韓国チームが特定

アルツハイマー病の原因物質、国内研究チームが発見

 韓国人研究チームがアルツハイマー病の原因物質を発見した。

 成均館大学医学部のチョン・ソングォン教授チームが20日、プレセニリン(PS1)というタンパク質の変異によって発症するアルツハイマー病の原因物質が、細胞膜構成成分の一つであるイノシトールリン脂質の「PIP2」であることを突き止めたと明らかにした。米コロンビア大学のキム・テワン教授チームとの共同研究によるもので、研究論文は米国科学アカデミー機関誌の米国科学アカデミー紀要(PNAS)電子版に19日付けで掲載された。

 主に65歳以上の高齢者に発症するアルツハイマー病は、軽い物忘れから始まるが、次第に時間や場所を認知できなくなり最終的には人格まで崩壊する。脳で作られるタンパク質の一種、ベータアミロイドが蓄積し、記憶などを司る大脳の神経細胞を死滅させることで発病するとされる。プレセニリンの変異からベータアミロイドが過剰生成され発病するが、なぜベータアミロイドが過度に生成されるかはこれまで解明されていなかった。

 研究チームは、プレセニリン変異によりPIP2の濃度が減少することを確認した。PIP2の濃度を高めると逆にベータアミロイドは減少したことから、PIP2の濃度がベータアミロイドの増減に直接影響することが明らかになった。PIP2の濃度を調節できる物質を開発すればアルツハイマー病治療薬も開発できるとして、研究に取り組んでいる。

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 アルツハイマーは、なんか治りそうな雰囲気をかもし出していますね。というのも何故アルツハイマーになるのかが特定されつつあるので、それに対する治療も加速的に進むと思われるからです。どうなるかはわかりませんが、あと数十年後には画期的な治療ができてもおかしくはない、かなぁと。

PS3を癌やアルツハイマー病の新薬研究に活用する
赤ワインを呑むとアルツハイマー病を予防することができる
アルツハイマーは全身性病変を来たすから皮膚検査で判断できる
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2006年12月04日

ヘルニアの手術は、しなくても完治するらしい

ヘルニアに手術の必要なし?〜放っておいても痛みは治まる

 座骨神経痛患者に対する手術の効果を疑問視する内容の研究結果が、米医師会ジャーナル(JAMA)最新号に掲載された。

 ダートマス大学(ニューハンプシャー州)のアナ・トステソン医師(内科)らが行った研究では、椎間板ヘルニアに伴う座骨神経痛の患者に対し、手術を行った場合と行わない場合の症状を比較した。その結果、施術には痛みをより早くやわらげる効果はある一方で、手術を受けなくてもいずれは大半の患者において症状が完治し、回復を待つ間の期間にも悪影響がなかった

 研究には開始当初から、患者を巻き込むことへの倫理的問題も含めて賛否両論があったが、終わってみると施術の有無による効果に明確な差は見られなかった。痛みの緩和においては手術を受けた患者の方が3〜6カ月早かったが、その後はいずれの場合も同様に回復した。実験開始から2年後には、患者の70%で症状の「大幅な回復」が見られた。

 カリフォルニア大学サンディエゴ校のスティーブン・ガーフィン医師(整形外科)は、同研究結果が「今後に影響を与えるだろう」と評価。「手術を急ぐ必要はないという事が示された。時間は見方であって敵ではない」と語った。

 今回の研究は、ヘルニアおよび脚の痛みを患う患者2000人を対象に、全米11州の13施設で行われた。手術を勧められた患者の40%は、施術を待つ期間中に症状が緩和したことを理由に手術を拒否した。手術を受けない患者は、代わりに理学療法や消炎剤の処方を受けた。一方、療養を勧められた患者の3分の1は、痛みが激しくなったとして手術に切り換えた。

 米国では、年間最大で100万人が座骨神経痛を患い、30万人が手術を受けているとされる。

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 本当でしょうか。だとしたら無理に手術を受ける必要もないかなぁと思うのですが…圧迫されているのを放置して大丈夫なんですかね。最近は切らずにレーザーで治療する場合もあるそうで…。

関連
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2006年12月03日

パーキンソン病の妻に腹を立て殴り殺した吉田俊雄

妻殴り死なせた夫逮捕=「病気で家事できない」に立腹−千葉

 妻を殴り死なせたとして、千葉県警習志野署は1日、傷害致死の疑いで習志野市谷津、無職吉田俊雄容疑者(62)を逮捕した。「食事の片付けをしろと言ったら、病気だからできないと答え、腹を立てた」と供述しているという。

 調べによると、吉田容疑者は数日前、自宅で妻(62)の顔や頭などを殴り、死亡させた疑い。

 吉田容疑者の妻は、10年ほど前からパーキンソン病を患っていた。同容疑者は「20〜30発殴ったが、その時は鼻血を出した程度だった。けさ気が付いたらソファで死んでいた」と話しているという。 

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 パーキンソン病についての症状など、詳細は下記リンク参照。
医学処 ビタミンB6を摂ることで、パーキンソン病になりにくくなる。

 見てもらえば分かりますように、症状が進行してしまうと、食事の片付けもできません。それで激昂するとは…。おそらく暴力が日常的に行われていたんでしょうけれど、配偶者が病気のことをまるで理解していないというところにやるせなさを感じます。

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2006年11月30日

気温などから割り出した「脳卒中予報」を医師会のHPで開始

脳卒中予報:県医師会HPなどで来月から 気温や救急出動、過去のデータ分析 /広島

 県医師会は27日、天候の影響などによる脳卒中の発症を減らそうと、来月1日から「脳卒中予報」を始めると発表した。同会が04年11月から発表している「心筋こうそく予報」に続き、全国初の取り組みという。

 同会によると、寒くなると脳卒中や心筋こうそくで救急搬送される患者が急増する点に着目。過去10年以上の広島市消防局の脳卒中に関する救急出動件数や気温などの関連性を分析した。同会のホームページなどで毎日午後4時に翌日分について公表。通常時を「普通 危険小」とし、1日の平均気温予測が9度未満になるなどして発症件数が通常より2割以上多くなる日を「注意 危険中」と予報。危険度に応じて厚めの服装にするなど体調管理を呼びかける。

 脳卒中や心筋こうそくは、運動不足や喫煙などの生活習慣から生じるメタボリック(内臓脂肪)症候群とも関連が深いといい、同消防局の管内では05年度に延べ3507人が脳卒中で救急搬送されている。県庁で会見した碓井静照会長は「11〜3月は脳卒中などのリスクが高くなる。予報をよく見て夜中にトイレに行く際には1枚多めに服を羽織るなど予防に心がけてほしい」と述べた。

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 これはナカナカ良いサービス。誰でもなる可能性があるからこそ、気をつけていたいものです。寒い日はやせ我慢をせずに、暖かい格好で。発症してからでは後遺症が残ったりしてしまいますからね。予防することが大切です。

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偏頭痛治療薬イミグランの高い有効性と安全性が実証される

グラクソ・スミスクライン、片頭痛治療薬「イミグラン(R)」の市販後調査成績、7000例のエビデンスにより高い有効性・安全性が立証

 グラクソ・スミスクライン株式会社(社長:マーク・デュノワイエ、本社:東京都渋谷区、以下GSK)は、2000年4月から2006年3月までに片頭痛治療薬「イミグラン(R)注3」、「イミグラン(R)錠50」、「イミグラン(R)点鼻液20」(一般名:スマトリプタン)について剤形ごとに3つの使用成績調査*を実施し、日常診療下におけるイミグラン(R)製剤の安全性及び有効性について検討を行った調査結果の概要をお知らせします。

 本調査の結果、全国の医療機関を受診し、「イミグラン(R)」を使用した国内7,000名以上の片頭痛・群発頭痛の患者さんの症例によって注射剤・錠剤・点鼻液いずれの剤形においても高い有効性と安全性を有することが確認され、トリプタン製剤のなかでも患者さんのニーズや症状に応じた剤形選択が可能な片頭痛・群発頭痛の治療薬として第一選択薬に位置づけられることが示唆されました。

 「イミグラン(R) 」3製剤における使用成績調査より収集された有効性解析対象6,962例の有効率は、片頭痛88.8%(6,008/6,764例)、群発頭痛91.9%(182/198例)でした。また、安全性解析対象7,128例における副作用発現率は8.8%(626/7,128例)でした。

更に、頭痛重症度に関わらず一貫した有効性が確認されたほか、点鼻液は錠剤に比べて使用のタイミングに依存せず効果発現が早く、副作用発現率が低いという興味深い結果も明らかになりました。

 鳥取大学医学部 附属脳幹性疾患研究施設 脳神経内科 助教授 竹島 多賀夫 先生は今回の調査結果について次のように述べています。

 『片頭痛は激しい頭痛発作を慢性的に繰り返し、仕事や日常生活に支障を来たす疾患で、女性に多いことが特徴であり、本調査においても片頭痛患者さんの約8割を女性が占めました。また、患者さんの多くは社会活動の中心を担う20歳〜40歳代であることからも、適切な治療薬を用いて痛みから速やかに解放され、早期に社会活動に復帰できることが治療上の重要な目標です。2000年に日本初のトリプタン製剤として発売されたイミグラン(R)の注射剤は、それまで十分な治療法が確立されていなかった片頭痛・群発頭痛の治療に対して革新的な変化をもたらしました。さらに錠剤及び点鼻液が承認されたことから、発作中に来院することなく片頭痛治療が可能となり、患者さんの利便性は大きく向上しました。発売以来、国内において収集された7000例の症例により、豊富なエビデンスに基づいた高い有効性と安全性が確認されたことは患者さんにとっても医師にとっても大変意義深いことです。さらに今回の解析では、使用タイミングと効果・安全性との関係や各剤形の特徴も明らかになりました。この結果が、今後の日常診療に役立てられ、患者満足度の高い治療の実現につながることを期待しています。』

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 周りに偏頭痛もちの人はいますが、たいそう辛いようです。頭痛内科も普及し始めているようですが、こういう「効く薬」が出始めることは良い兆候ですね。原因のわからないもの、ただ痛みだけのものなどは、どうも根性論に走る傾向にあるといいますか、気持ちの問題だろうという一言だけで片付けてしまう方が多いようです。ですが痛みもれっきとした症状ですし、著しくQOLを下げる結果となってしまいますからねぇ。疾患に対する理解が深まればそういうこともなくなるんでしょうけれども。

関連:医学処 一生のうちに平均1328回、頭痛に見舞われる
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2006年11月26日

慶大チームが、カビから脊髄を再生させる物質を発見する

カビから脊髄再生物質…慶大研究チーム

 損傷した脊髄に、カビの一種から抽出した物質を投与して、神経の再生を促し、運動機能の一部を回復させることに、慶応大の岡野栄之教授(生理学)らの研究チームが動物実験で成功した。

 交通事故などによる脊髄損傷患者の治療薬の開発につながる成果として注目される。

 複数の神経が束になっている脊髄は、切断から時間がたつと再生を阻むたんぱく質が増え、伸びて再生しなくなる。研究チームは、再生阻害たんぱく質のうち、「セマフォリン3A」に注目。この働きを邪魔する物質を探し出した。

 脊髄損傷で後ろ足が麻痺したラットに、この物質を1か月間投与したところ、3か月後には神経組織が再生して部分的につながり、後ろ足の関節を自力で動かせるまで回復した。投与しなかったラットの足は動かない状態のままだった。

 研究成果は医学誌ネイチャー・メディシン電子版に掲載された。

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 投与するだけで神経細胞が繋がる夢のような薬。おそらく、切断されてから早い段階で投与すると劇的な改善が見られるのではないでしょうか。脊髄を再生するというより、脊髄再生を阻害する物質を阻害するといったほうが正しいですね。

関連
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2006年11月18日

脳脊髄液減少症の、診断と治療のガイドラインが作成される

脳脊髄液減少症 研究会が暫定ガイドラインを作成

 強い衝撃で髄液が漏れ、頭痛などの原因につながるとされる「脳脊髄液減少症」で、脳神経外科医らの研究会(代表、篠永正道・国際医療福祉大熱海病院教授)が、診断・治療の暫定的なガイドラインをつくり、17日に発表した。

 主な症状は首の痛み、めまい、耳鳴り、疲れなどで、「起きあがって3時間以内に悪化することが多い」としている。診断には放射性同位元素やMRIを使った画像撮影を、治療では、約2週間安静にして十分な水分を取ることや、漏れたとみられる場所に患者から採った血液を注入し、固めてふさぐ「ブラッドパッチ」を勧めている。

 会見した篠永さんは「交通事故の後遺症で苦しんでいる患者は多く、診療に役立ててほしい」という。同症は未解明な部分も多く、1年ごとに改定する考えだ。

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 まずはこちらを御覧下さい。

医学処 交通事故の衝撃で髄液が減ると脳脊髄液減少症になる。
医学処 子供の脳脊髄液減少症に対する知識と理解を身につける
医学処 脳脊髄液減少症の研究が加速。適正治療法解明なるか

 その誤解される症状から、認知度が著しく低かった脳脊髄液減少症です。しかし今年はその治療法などを始めとした様々なアプローチで、有名になりつつあります。誰でも起こる病気ですので、国民の理解と、医療機関における適切な治療が必要となっているのです。
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2006年11月07日

スイッチの切り替えを考えるだけで行える技術

「考えるだけ」でスイッチ切り替え、日立が実験成功

 日立製作所は6日、暗算や暗唱などによって生じる脳内の血液量の変化を電圧信号に変えることで、鉄道模型の電源スイッチの「オン」「オフ」を切り替える実験に成功した、と発表した。

 将来的には、「こうしたい」と考えた際の血流変化を電気信号に置き換える技術の開発を目指しており、運動機能を失った難病患者が自立するための福祉機器開発につながるものとして期待される。

 暗算や暗唱などを行うと、活発に働き、血流が増加するのは、額の裏側付近に位置する脳の「前頭前野」と呼ばれる部分。同製作所基礎研究所の研究チームは、近赤外光を照射してこの血液量変化をとらえる装置「光トポグラフィ」で、暗算などをした時の血液量の変化を把握し、これを電圧信号に変換することで、鉄道模型の駆動、停止ができるかどうかに挑んだ。

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 こりゃ凄い。血液の量の変化をはかるといっても、侵襲性のあるものではないところが凄い。勿論個人差などに対応せねばならないでしょうから、この技術が市場に出回るまでにはまだ研究の余地があるとは思います。ですがこれほど胸の躍るニュースはあるでしょうか。神経や視覚以外で「OnかOffか」を命じることのできる研究に幸アレ。

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