[移植]の記事一覧

2007年01月19日

スマトラ沖地震の被害者が生活苦ゆえに相次いで腎臓を売り出す

援助なく腎臓売って生計=スマトラ沖地震被災者−インドの村

 18日付の英紙ガーディアンは、2004年12月のスマトラ沖地震・津波で被害を受けたインド南部タミルナド州の村で、援助不足から極貧に陥った村人らが相次いで自分の腎臓を売っていると報じた。

 同地震による津波はインド南部にも押し寄せ、数千人が死亡、数万人が家や土地を失った。同紙によると、この村は被災者らによってつくられたが、あまりの生活苦から腎臓を売る者が増え、その数は最高150人に達した。 

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 悲惨ですね。被災者によって作られた村に仕事などあろうはずもなく…。国が何らかの対策を講じなければならんと思うのですが、十分な援助は行き届いていないようです。

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posted by さじ at 21:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

ネフローゼの病気腎を移植すると、半数が数値改善した。

病気腎、移植後に異常も=市立宇和島病院が専門委−愛媛

 宇和島徳洲会病院の万波誠医師らによる病気腎移植問題で、同医師が以前勤務していた市立宇和島病院は18日、同医師が行った病気腎移植について医学的見地から検証するため、外部の医師も交えた専門委員会を開いた。

 委員長の野村芳雄大分大名誉教授によると、委員会は、移植した患者やドナーのカルテ、検査成績などを精査。その結果、ネフローゼのドナー3人から6個の腎臓が摘出され、6件の移植手術が行われたが、3件で摘出前のドナー同様に尿たんぱく数値が高い状態が続いていたことが分かり、委員から「問題があるのでは」との指摘が相次いだ。残り3件では数値が改善したという

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 半数で改善したのですから、「対症療法的だが効果はある」と捉えたほうがよいのでは。まあそりゃ病気腎なんですから、完全に治るってわけにはいかないでしょうけれど、ある程度機能の残っている腎臓を使うのは別に…。ちなみにネフローゼというのは腎臓から普段出ないはずの蛋白が出てしまう病気です。まるで使えないわけではないのですが、蛋白が出てしまった結果色んな弊害が生ずる可能性もあります。

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posted by さじ at 02:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

2007年01月18日

腎臓移植が浸透しつつあり、とうとう年間100人を越える。

腎臓移植じわり浸透 提供、年100人超

 移植のため、死後に腎臓を提供した人が、昨年110人となった。95年の日本臓器移植ネットワーク設立以降、100人を超えたのは初めてで、過去最多となった。移植コーディネーターや医師らの地道な活動に加え、「臓器提供は、権利の一つ」という新しい考えから、家族への説明の場で、患者本人の意思をくみ取ろうとする取り組みが浸透しつつある。臓器売買事件や病気腎移植の発覚で、不透明な印象を持たれがちな腎臓移植だが、理解は徐々に広まっているようだ。

 ●説明で権利・意思尊重

 昨年の腎臓提供者110人のうち、8人が臓器移植法に基づく脳死からの提供、残りは心停止後だった。計197人に移植された。愛媛県宇和島市の病院で明らかになった臓器売買事件や病気腎移植が報じられた10月以降も29人いる。約1万2千人の腎移植希望者に比べると、ほんの一部だが、ネットワークが95年に希望者登録を始めてから、脳死、心停止後の移植とも最も多かった。

 福岡県の提供者は、愛知県の11人に次ぎ、全国で2番目に多い9人。

 秋、脳卒中で脳死状態になった女性患者が県内の病院に運ばれた。回復の見込みがなくなり、医師が「手を尽くしましたが治療できることはなくなりました。ただ、臓器提供という選択肢は残っています」と話した。家族は、移植コーディネーターからの詳しい説明を望んだ。

 間もなく、コーディネーターの岩田誠司さんが病院に到着。病室とは別の静かな部屋で、家族と向き合った。女性は臓器提供意思表示カードを持っておらず、脳死での移植はできない。岩田さんが「カードがない場合でも心停止後に腎臓と眼球、膵臓の提供ができます」と説明すると、腎臓提供を申し出たという。

 岩田さんは「どのような思いだったのでしょうか」と、家族に尋ねた。「昨夜、(臓器売買事件の)ニュースをみて移植の話をしたばかりでした。本人が機会があれば、協力したいと言っていました」という答えが返ってきた。

 患者の家族に、移植の話をどう切り出せばいいのか。福岡県は一昨年、パンフレットをつくった。県内の主な救急病院や脳神経外科の医師や看護師に、家族へ渡してもらうように頼んでいる。岩田さんは「パンフレットを地方自治体がつくってくれたことの意義が大きい。かつての『提供すれば誰かの命を救うことになる』という説明ではなく、臓器提供を権利ととらえ、患者さんの意思を尊重するためだと考えている」。

 A3判のパンフレットには「患者様やご家族の意思、権利を守るため、移植医療についてのお考えを確認させていただいております」とあり、家族が説明を希望すれば、コーディネーターに連絡が入る。この2年間に同県内で提供者となった16人のうち12人は、こうした情報を受けて提供を申し出た。パンフレット方式は宮崎県などでも始まっている。

 ●救急医の協力も好影響

 実はネットワーク発足前の90年代前半まで、死後の腎臓提供者は年100人を超えていた。150人程度の提供があった時もある。当時、各地の移植医が地元の救急病院と連絡を取り合って地域ごとのネットワークをつくり、提供があると、移植医の患者に回すという暗黙のルールがあった。

 その一方で、95年に臓器移植法成立を前提として、日本腎臓移植ネットワーク(現、日本臓器移植ネットワーク)ができた。公平性を保つため、全国一律の登録システムができたことで、逆に、提供者数は減り始める。

 ある移植関係者は「家族の同意を取る手続きが厳密で、脳死の診断にも慎重さが求められるようになり、提供者が出にくくなった。救急医の協力を得るのが難しくなり、移植医も提供者を探そうとする動機がなくなった」と話す。宇和島徳洲会病院の万波誠医師が独自のネットワークをつくり、病気腎などの生体移植を行っていた背景に、こうした提供者数減少があったとの指摘もある。

 救急医療の現場で、臓器移植の情報提供に悩む医師は少なくない。

 「救急という役割と相反する移植を結びつけたくない」

 「悲しむ家族に追い打ちをかけるようなことはしたくない」

 だが、移植に救急医の協力は欠かせず、理解も深まりつつある。

 昨年6人の提供者があった北海道。04年以降、道の提供者20人のうち13人にかかわっている救急医がいる。

 札幌市立札幌病院救命救急センターの鹿野恒医師は、04年から臨床的に脳死と診断され医学的に移植可能な患者の家族には必ず臓器提供の説明をしている。「救急医は残された家族の気持ちや今後何を望むかをくみ取る必要がある。臓器提供の希望があっても申し出ることができない家族もいる」と話している。

 脳死と診断された後、「長くて1カ月、通常1〜2週間で亡くなります。皆さんとこれからの終末期医療を考えましょう」。患者の意思や意思表示カードを持っているかを確認していない場合、「臓器を提供することもでき、移植コーディネーターの説明を聞くことができる」と加える。決して言わないのは「臓器が不足している」などの移植の現状だ

 鹿野さんは札幌医大病院に勤務していた時を含め13人の家族に同意してもらった。うち11人は説明がきっかけで申し出たケースという。

 提供者が100人を超えたことに、日本臓器移植ネットワークの菊地耕三理事は「提供病院への情報提供や社会への普及啓発といった効果がようやく表れてきた」と話している。

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 現実は難しいです。臓器が足りない、じゃあ臓器を募集しよう!なんて出来るはずもありません。移植コーディネーター、医療従事者は、患者だけでなくその周囲にいる人に、説明せねばなりません。最愛の人が命を失おうとしている状況でありながらも、臓器移植の道を提示する、しかし単に提示するだけではなく家族のことを念頭において説明する。そのさじ加減は経験で身につくものというより、やはり医者や移植コーディネーターの人間性でしょう。

 腎移植が年間100件を越えたのはとても誉れ高いことです。この数字は、提供してくださった人の魂と、同意してくれた家族、更には陰ながら橋渡しに徹した移植コーディネーターと医師の力があって達成されたことです。年間1万人以上の患者が腎臓を欲している中で、どこまで移植件数を増やすことができるのかは分かりませんが、目の前にある命、目に見えないながらもどこかで確実に生きている命を「救う」という意識が、腎臓移植をより広げると信じています。

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posted by さじ at 02:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

事故で子宮を失った女性に、出産のための子宮を移植する

米で初の子宮移植計画…米紙報道

 ニューヨークの病院で米国初の子宮移植を計画していると、15日付の米紙ワシントン・ポストが伝えた。

 病気や事故で子宮を失った女性に自ら出産する可能性をもたらすが、子宮がうまく機能しなければ母子をともに危険にさらす恐れがあり、専門家から「倫理的に問題だ」との批判が上がっている。

 同紙などによると、計画しているのはニューヨークダウンタウン病院で、院内の倫理委員会は移植を承認した。死者から提供された子宮を患者に移植し、3か月後に状態が安定してから体外受精を試みる。胎児は帝王切開で取り出し、同時に子宮を除去する。子宮移植は、サウジアラビアで2002年に報告されたが、失敗に終わったという。

 同紙は「生命を救うための心臓や肝臓の移植とは違う」といった専門家の批判を紹介している。

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 別に命を救うことだけが医療じゃありませんからね。患者のその後の人生に大きな糧を与える「形成外科」の皮膚移植も立派な医療ですし、むしろ率先して進歩していくべき領域だと思います。子宮移植が倫理に反しているという理由がよくわかりませんね。

 ただ、移植したとしてもうまく機能するのかといった問題があります。子宮に及ぼすホルモンのメカニズムはかなり複雑です。他者の子宮と適合するのかどうか。そして無理なく子供を産むことができるのかどうか。まだまだ課題は山積みです。

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posted by さじ at 01:20 | Comment(1) | TrackBack(0) | 移植

2007年01月10日

臓器提供意思表示カードの署名者は、2001年以降増えていない。

臓器提供カードへの署名、01年以降は増えず

 昨年12月に50例に達した脳死臓器移植について、提供者の84%(42人)が、臓器移植法施行の1997年から2000年までの3年余りの間に臓器提供意思表示カードに署名をしていたことが、日本臓器移植ネットワークの集計で分かった。

 01年以降、カード署名者があまり増えていないことを示唆する結果とみられる。ネットワークは「関心のない人にどう協力を仰ぐかが課題」と話している。

 意思表示カードを持っていても署名していないと、脳死下での臓器提供者にはならない。集計によると、最も多かった署名時期が99年(24人、48%)。98年(11人、22%)、2000年(7人、14%)と続いた。99年は大手コンビニエンスストアチェーンがカードを店舗内に常設したり、同年2月に1例目の臓器提供があったことが普及に結びついた。

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 うーん…。もっと目立つところにおかないといけないと思います。コンビニにおいてあるの、みたことないですよ。そんなに目立たないところに置いてあるんでしょうか。ホワイトバンドなんかはレジ前に置いてあるのに…。

 やはり国民が携帯するものにつけるのが一番でしょう。健康保険証のカード化に伴ったり、免許証に付記したり、色々できると思います。

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2007年01月07日

皮下脂肪の間葉系幹細胞から肝細胞を作り出すことに成功

皮下脂肪から肝臓細胞を作製、国立がんセンターが成功

 国立がんセンター研究所と国立国際医療センターの研究チームが、人体の皮下脂肪から、肝臓細胞を作製することに成功した。

 肝炎や肝硬変など国内に350万人以上いる肝臓病患者の肝臓を修復する再生医療の実現に近づく成果として注目されそうだ。チームは「数年以内に臨床応用を検討したい」という。

 同研究所の落谷孝広・がん転移研究室長=分子腫瘍学=とアグネス・バナス研究員らは、皮下脂肪に含まれている「間葉系幹細胞」という細胞に着目した。さまざまな臓器や組織の細胞に変化する可能性を秘めており、皮下脂肪の細胞の約10%を占める。

 研究チームは、国際医療センターで腹部の手術を受けた患者7人から皮下脂肪を5グラムずつ採取、この幹細胞を分離し、成長を促す3種類のたんぱく質を加えて約40日間培養したところ、ほぼすべてが肝細胞に変化した。

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 再生医学に不可能なことはないんじゃないかって気がしてきますね。

関連:ES細胞から、人工肝臓を作ることに成功
posted by さじ at 22:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

2006年12月29日

骨髄を提供した場合に10万円支払う活動を行う団体

 おはようございます。えー、ちょいと古いパソコンを使って更新するしか選択肢のない状況に追い込まれております。使いにくいことこの上ないのですが、年末年始も更新していきたいと思います。宜しくお願いします。というわけで最初のニュース。

「骨髄提供者に10万円」計画、移植財団は抗議も検討

 骨髄移植推進財団(東京)は28日、京都市の任意団体が骨髄移植のドナーを募り、実際に骨髄を提供した場合に10万円を支払う活動を計画しているとして、財団の骨髄バンク事業とは一切関係ないとする声明を発表した。来年1月にも厚生労働省と協議し、団体に事業内容の説明を求めたうえで、抗議なども検討するという。

 この団体は、京都市の自営業者や会社員ら約10人でつくる「デラピ」。現在、NPO法人の認可を京都府に申請中だ。

 団体は、骨髄移植推進財団が運営する骨髄バンクに登録するか、登録を予定する人を年会費5000円でインターネットなどで募集。実際にバンクに骨髄を提供した場合は、ドナーを経済的に支援するため、団体が10万円の一時金を支払う、としている。

 財団は「公平性、公共性、広域性をうたう骨髄バンク事業の基本理念に抵触する恐れがある」として、この団体と協力関係を結ぶことはないとしている。財団は「こうした活動は、結果として臓器売買を助長する可能性もある」と話している。

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 より現実的、ですよね。正直言って。腎臓移植の問題も、金銭を絡めればより円滑に進むといわれています。もちろん危険性もはらんでいるわけですが、現状の骨髄移植に足りない、「骨髄移植数を上げる」という大きなメリットが「10万円策」にはあります。双方が歩み寄ってより良い制度を作っていくしかないですね。

関連:
骨髄ドナー登録者が25万人を突破。あと5万人必要
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posted by さじ at 12:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

2006年12月27日

交通事故で死亡した少年の臓器を7人の患者に移植

交通事故で死亡した少年の臓器、7名に提供されることに

 交通事故で死亡した少年(14)の臓器が、少なくとも7人の患者に提供されることになった。

 少年はバスにはねられて脳に重傷を負い、数日後に死亡した。しかし医師がスポーツ好きで健康体だった少年の心臓、肺、腎臓、肝臓、皮膚、骨格、角膜を保存することに成功した

 香港病院の関係者は、少なくとも7名がこれら臓器の提供を希望したと話している。

 日刊紙『アップル・デイリー』によると、この少年は生活保護を受けている母親(41)と二人暮らしだった。臓器提供に関して親族から反対されているものの、母親は「他の家族を救うことになる」と提供に前向きな姿勢であることを報じている

 「たとえ悪く言われようと、社会のために私は何かをしたいのです。息子は本当に素晴らしい子でした。死んでしまったけど、彼の呼吸、心臓の鼓動を今でも感じることができます。息子は天使になったのです」と母親は同紙に話している。

 中国では死亡した人間の体をそのままにしておくことが死後の世界で幸せになれると考えられており、香港でも臓器提供に関しては否定的な見方をする人が多い。

 そんな中、香港医師協会のチョイ・キン博士は今回のケースについて、「とても素晴らしいことだと思います。私たちは臓器を切望しているのです」とコメントしている。

 香港では昨年、臓器提供をした人は100万人にわずか4.2人の割合だった。

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 素晴らしい思考力をお持ちのようで。日本でも死後の世界が云々で臓器移植数は進んでいません。献体もままならない状況です。医学と倫理には切り離せない関係があります。それでも、7人の「人間」が助かるという事実は、高く評価されて然るべきです。

関連
医学処 今年に入って10例目の脳死移植。肺や腎臓などを提供。
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posted by さじ at 18:22 | Comment(1) | TrackBack(0) | 移植

2006年12月25日

骨髄採取の新技術「潅流法」なら、負担が軽く痛みも軽減。

骨髄採取:痛み軽減 新手法の臨床試験に成功 関西医科大

 関西医科大(大阪府守口市)のグループが、「灌流法」と呼ばれる新しい骨髄採取法の国内初の臨床試験に成功した。採取される人の負担が軽く、痛みも軽減される。骨髄採取時の負担の重さは骨髄移植普及を阻む壁の一つになっており、画期的な方法として注目される。関連病院などで臨床試験を重ね、国内外に普及を進めるという。

 従来の骨髄採取は、直径約1.5ミリの針を患者の腰骨の約100カ所に刺し、計0.5〜1リットルの骨髄液を吸い出す。健康な骨髄提供者(ドナー)でも、痛み止めの投与を受けながら3、4日の入院が必要だった。

 灌流法は、同大学の池原進教授(病理学)らが開発した。2本の針を同時に刺し、片方から生理食塩水を注入、他方からあふれ出る骨髄液を採取する。効率よく採取でき、吸引しないのが特長。免疫機能を担う末しょう血内のリンパ球の混入が少なく、他人に移植して白血球の型が合わなくても、リンパ球が患者の体を攻撃しない利点もある。

 今回は安全性確認のための試験で、リンパ腫の男性患者(58)が採取を受けた。自分の骨髄液を採取し抗がん剤投与後、体内に戻す治療の一環で20日午前、第一内科(福原資郎教授)が実施。腰骨に開けた穴は8カ所、骨髄液採取量も約0.4リットルで済み、時間も従来の半分以下の1時間弱だった。男性は21日朝には自分で歩き、22日に一時帰宅した。主治医の森眞一郎講師は「従来の症例と比べ、痛みの訴えは格段に少なかった」と話す。

 灌流法を使った手術は04年12月、依頼を受けて池原教授らが中国の病院で初めて実施。成功している。

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 骨髄採取の問題はやはり痛みでしょうね。見た感じ太い注射針が何本も刺さるのは、健常者なら腰が引けてしまうでしょう。おそらく骨髄移植のドナー登録数が増えても、途中で辞退してしまうのはそうした観点も含まれるのではないでしょうか。

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posted by さじ at 23:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

2006年12月24日

受精卵を使わないES細胞なら生命倫理的に問題ないでしょう

受精卵使わずES細胞 国内で成功例相次ぐ

 受精卵を全く、あるいはほとんど使わずに、再生医療で期待される「万能細胞」を作ろうという研究が、国内で盛んに進められている。政府の総合科学技術会議は受精卵やクローン胚を「生命の萌芽」と位置づけており、宗教界の一部には受精卵などの使用に強い抵抗がある。受精卵を使わなければ、こうした生命倫理問題が回避できると期待されている

 様々な組織や細胞になり得る万能細胞は、事故や病気で失われた機能を回復する再生医療の焦点だ。受精卵が分割を繰り返した「胚盤胞」を壊して作る胚性幹細胞(ES細胞)が代表格だ。

 だが、理化学研究所(神戸市)の若山照彦チームリーダーらは、マウスの未受精卵に化学物質で刺激を与えて分裂を起こさせ、未受精卵からのES細胞を作った。さらに、その細胞核を別のマウスの未受精卵の核と置き換えて、再びES細胞を作る「2段階方式」を編み出した。

 2段階目のES細胞が特定の神経などに分化する能力は、1段階目のES細胞の3〜4倍になった。未受精卵からのES細胞は、受精卵からのES細胞より分化能力が低いのが難点だったが、若山さんの2段階目は受精卵ES細胞の最大7割程度の分化能力を示した

 一方、京都大再生医科学研究所の多田高・助教授らのグループは年明けにも、受精卵ES細胞に体細胞を融合させて、万能細胞にする研究を始める。すでにマウスでは成功している。この手法なら、受精卵の破壊は最初にES細胞をつくる時だけで済む。

 同じ再生研の中辻憲夫教授らは、未受精卵からのES細胞を別々に100株用意すれば、拒絶反応に影響するHLA型(人の白血球型)をほぼそろえることが可能だとする分析結果をまとめた。日本人の90%が、自分に合ったHLA型のES細胞からつくった細胞や組織を使うことで、拒絶反応の心配が少ない移植を受けられるという。

 中辻さんは「未受精卵からES細胞を作る研究は、米国でも積極的に進められている。今後、ES細胞バンクの設置が重要な課題になるだろう」と言っている。

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 倫理の問題がなければ、今の医学は加速的にスピードアップするでしょう。それこそ戦争における武器の開発が化学を進歩させたように。ES細胞も自由な研究が進めば治療として劇的な効果を上げる可能性があるんですが、どうにもうまくすすみませんね。この技術はまさに起爆剤となる可能性があります。受精卵でなければさすがに誰も文句は言えません。

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2006年12月18日

今年に入って10例目の脳死移植。肺や腎臓などを提供。

50例目の脳死移植始まる=高知の女性提供、年間2ケタに

 高知赤十字病院(高知市)に入院していた成人女性が17日、臓器移植法に基づく脳死と判定され、肺移植手術が東北大病院(仙台市)で、腎臓移植手術が岡山大付属病院(岡山市)でそれぞれ始まった。

 脳死移植は1997年の同法施行後50例目。今年に入って10例目となり、初めて年間2ケタに達した

 臓器移植ネットワーク(東京都港区)によると、女性の臓器提供意思表示カードには、脳死での提供意思を示す項目に丸印がなかったが、提供を希望する5つの臓器に丸印が付いていた

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 ギリギリのところで、年間10例目となりました。1人から5つの臓器を移植できたとすると、単純に計算すれば50人の命が救われたことになります。

 来年は、30例ほどの脳死臓器移植を行ってもらいたいものです。健康保険証にドナーカードを組み込んで実施すれば、なんとかなる、かもしれませんが。臓器を提供するということを真剣に考えてみてください。

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2006年12月16日

旭化成とクラレが人工腎臓事業を統合し、競争力を強化する

旭化成とクラレが人工腎臓事業を統合

 旭化成とクラレは14日、人工腎臓と血液浄化器の2事業を、来年10月に統合すると発表した。統合後の新社名は旭化成クラレメディカルとなる。

 患者数の増加が見込まれているものの、国内は医療費が抑制傾向にあるため、統合により競争力を強化し、国内外での成長を目指す。旭化成によると、人工腎臓の市場占有率(シェア)は現在、旭化成メディカルが国内1位、クラレメディカルが5位。

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 日本は医療費が抑制されていますからね。厚生労働省も削減の嵐です。製薬会社、及びこういった医療産業にとっては厳しいのでしょう。しかし当たればその収益はとてつもないものになると思います。吉と出るか。

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ラットの体内で幹細胞からヒト腎臓を再生することに成功

ヒト腎臓再生:ラット体内で成功 世界初、幹細胞から−−慈恵・自治医大チーム

 東京慈恵会医科大と自治医大の研究チームが、ラットの胎児の体内にヒトの骨髄液由来の幹細胞を埋め込み、ヒトの腎臓の一部(糸球体と尿細管)を作ることに世界で初めて成功した。その組織を別のラットの腹部に移植したところ、移植を受けたラットの血管が入り込み、通常のラットの腎臓の10分の1の大きさまで成長した。重い腎臓病に苦しむ患者が多い中、患者自身の細胞を使って人工的に腎臓を再生し、移植後も機能させる可能性につながる成果として注目される。

 研究チームは、免疫機能が確立されていない動物の胎児では、他の個体の組織への拒絶反応が低く、急速な臓器生成能力がある点に着目。

 ヒトの骨髄液に含まれる、さまざまな臓器の組織になる能力がある幹細胞を、臓器が出来る前の胎児ラット(受精後11・5日目)の腎臓が作られる部分に埋めた。2日後、腎臓の主な機能を担う糸球体と尿細管に発達し、血液から尿をろ過する能力も確認できた

 さらに、この組織を別のラットの腹部の臓器を覆う「大網」と呼ばれる膜に移植したところ、組織内の糸球体に向かって新しい血管が伸び、移植された組織が成長した。

 チームによると、将来的には、重症腎不全の患者の骨髄幹細胞をブタなど、より大きなサイズの動物の胎児内で腎臓の初期段階まで成長させることを計画している。成長した組織を再び患者の体内に戻せば、大網から血管が伸びて尿を作ることができるようになり、人工透析治療や他者からの腎移植に頼らなくても済むとみている。

 今後、組織を移植する際、異種の動物が持つウイルスの感染をどう防ぐかという課題が解決されれば、実用化の可能性が高まるという。

 ◇ドナー不足解決目指す−−研究チームの横尾隆・東京慈恵会医科大助手(腎臓高血圧内科)の話

 自分自身の遺伝情報を持った臓器を再生して移植する新たな医療の可能性を、動物レベルで確かめることができた。現在の深刻なドナー(臓器提供者)不足を解決する一つの方法にしたい。

 ◇方向性示す糸口に−−園田孝夫・大阪大名誉教授(日本臓器移植ネットワーク西日本支部長)の話

 実際機能するには、尿を体外へ排出するために腎盂や尿管の再生も必要だ。また、より大型な動物での成功が求められる。将来の方向性を示す糸口になるのではないか。

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 こりゃ凄いですね。腎臓レベルのものが再生できるかもしれないとは。一番難しいと思われる濾過機能もバッチリのようです。腎臓ってのはかなり高度なレベルで、人間の体から不要なものを排泄しています。そのメカニズム全てを備えた人工腎臓を移植できる日も、そう遠くないかもしれません。

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2006年12月15日

群馬大学病院の生体肝移植で後遺症が残ったのは、腕が未熟だから

生体肝移植:ドナー後遺症は「技術未熟」群馬大病院が検証

 群馬大学医学部付属病院で昨年11月、生体肝移植のドナーとして夫に肝臓の一部を提供した50代女性が下半身まひとなった医療事故で、同病院の検証委員会は13日、「執刀した第1外科全体の技術が未熟だった」などとする調査結果を発表した。森下靖雄院長は「申し訳ない気持ちでいっぱいです」と謝罪。生体肝移植手術の見合わせ延長や診療体制の抜本的見直し方針を明らかにした。

 事故を受けて病院側は7月、外部専門委員を含む検証委員会を設置。99年11月〜今年6月に移植を受けた患者51人(ドナー52人)の診療録をすべて調べた。

 その結果、手術後に退院できないまま病院で死亡したのは51人中18人(病院死亡率35.3%)。うち第1外科が35人中14人(同約40%)、第2外科が16人中4人(同25%)だった。また、第1外科はドナーの手術中の平均出血量が第2外科の約3倍、輸血量も3倍以上など手術成績で大きな開きがあることも分かった。50代女性のほか、第1外科実施分でドナー1人に後遺症が残った。

 委員会は「第1外科は難しい手術が多いこともあるが、術中出血の多さに象徴される技術の未熟性も関与した可能性がある」などと結論付けた。さらに、別個の医療チームが生体肝移植を担当することを「国内や欧米でもほとんど例がない」と指摘。病院ホームページで第1外科の医師の執刀件数に、術後にかかわっただけの患者を含めるなど不正確な表示を「インフォームド・コンセントの根幹を揺るがす問題」などとした。

 報告を受け、病院側は両外科の移植チームを現在ある移植外科と一本化し、移植外科長を公募する。さらに、検証委員会を常設するなどした上で、生体肝移植を再開する方針だ

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 これの続報ですね。
 医学処 群馬大学付属病院の生体肝移植成功率が極端に低い件

 医療ミスの原因が「腕が未熟だから」とは。群馬大学としては大ダメージでしょうねぇ。第一外科の腕が未熟だと認めてしまって、これからどうしていくのでしょうか。スキルを上げていく?にしても、今の段階で腕が未熟なのですから、今入院している患者さんにとっては大きな不安に繋がると思われます。

 それでも正直に認めたのですから、立派といえば立派なのですが…。

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万波医師は、今後も病気腎移植を行っていくらしい。

万波廉介医師 病気腎「今後も移植」

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(66)による病気腎移植問題で、岡山県などで6件の摘出手術を行った弟の廉介医師(60)が10日、読売新聞の取材に応じ、「移植に適したドナー(臓器提供者)が現れたら、医師や弁護士らを交え、オープンに議論し、今後も実施したい」と、病気腎移植の必要性をあらためて訴えた。

 病気腎移植の是非を問うため、摘出した経緯をインターネット上で公開したいとの意向も明らかにした。

 廉介医師は、病気腎移植について、「国のガイドラインが定められた場合は従う」としながらも、「全面禁止になれば、使える腎臓を捨てることになる。移植を待つ患者には非常に不幸だ」と、継続したい考えを示した。そのうえで、「今後は、摘出された腎臓が移植に使えるようなケースがあった場合、様々な立場の人を集めてオープンな形で議論し、本人に戻すか、移植するかを決めるのが望ましい」と述べ、「『お前やれ』と言うなら、あらゆる分野の人が見る中で、手術をやる」と言い切った。

 これまで行った摘出手術は、2001年2月の岡山協立病院(岡山市)で行ったのが初めてと説明。尿管壊死の60歳代の男性で、別の治療法も示したが、本人が摘出を望んだと言い、「摘出するように患者を誘導しておらず、移植の了解も得た」と、手順に問題なく、妥当だったと強調。市立宇和島病院で行われた移植手術には、誠医師の助手として加わったことを明かした。

 患者が病気腎移植を受ける機会の公平性は、「自分たちを頼ってくれた人に移植しており、ルールがない以上、公平かと言われれば、公平でない」とした。

 インターネット上での事例報告は、病気腎移植を受けた岡山市内の弁護士のホームページに掲載する予定と言い、「ありのままの症例を出し、是非を判断してほしい」と話した。

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 全員が納得しているのなら、病気腎移植はありだと思います。そのガイドライン作りがめんどくさいから病気腎移植に反対という姿勢を見せる人は、患者のことを何も考えていない人ですね。病気腎にだって、移植しても問題のないものはあるでしょう?何故そこを言及せず、全てを否定するのか。可能性を模索しようとしない限り、移植は普及しません。利己主義的に医師会を操るのもどうかと思います。

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2006年12月08日

細胞の自動培養ロボットを川崎重工が開発。

川崎重工 細胞自動培養ロボ開発 確実、安全に再生医療

 川崎重工業は、最先端の医療向けに、細胞自動培養ロボットシステムを開発した。病気やけがなどで機能を失った臓器や組織を、自らの細胞や組織を使って再生させる再生医療分野に活用する。

 同システムは、クリーンルーム内で半導体などの組み立て作業を行う川崎重工の「クリーンロボット」を応用した。

 複数の人から採取した細胞をそれぞれ別々に培養して再生医療に必要な量の細胞を作り出す細胞調整室の中でロボットが作業する仕組み。ロボットはそれぞれの細胞を培養操作部や個室管理室に運んだり、培養した細胞を株分けして細胞を増やすなどの各種作業を行う。細胞は約3週間で治療に必要な量にまで育つという。

 細胞の培養はこれまで熟練した技術者が行っていたが、人間が細胞に対する汚染源になるほか、それぞれの細胞が作業中に混じる危険性もあるため、1室当たり1人分の細胞培養に限られていた。

 今回、人間の代わりにロボットを活用することで、決められた動作を正確に繰り返すことが可能となる。また、一つの作業が終わるたびにロボットを殺菌処理することができるため、高い安全性を確保した。このため、多人数の細胞の同時培養と、全工程の完全自動化を世界で初めて実現した。今回開発したシステムの細胞培養は2人分だが、実用段階では10人分の同時培養が可能になるという。

 同システムは信州大学医学部附属病院内の先端医療推進センター(長野県松本市)に設置され、信州大学は軟骨再治療への適用を目指した研究に使用する。川崎重工は同大学の評価を得て、厚生労働省に認可を申請。実用化を目指す。

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 おー。これは最先端。移植目的での細胞培養ロボが誕生するとは、まさにSFの現実化ですね。手塚治虫の夢見た世界がいまここに。

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2006年12月02日

切れた神経を最長9cm培養し繋げることに成功。

切れた神経9センチ再生、京大が新治療技術

 京都大学のチームは、事故で大幅に損傷した手足の神経を元通りにつなぐ再生技術を開発した。特殊な管を使い、切れた神経を患者体内で培養する。腕の神経を切断した患者では神経を長さ9センチにまで成長させてつなぐことに成功、まひがなくなり腕を正常に動かせるようになった。交通事故や労働災害で神経を切断しまひや痛みに悩む患者の治療に役立つという。

 京大再生医科学研究所の中村達雄助教授と稲田有史非常勤講師らは、特殊な細管を患部に埋め込み、切れた神経の両端を管に挿入した。管の中には神経が育つようにコラーゲンを詰めた。

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 ホントですか。これは凄い。元通りに動くようになってしまうなんて。これはもしかしたら脊椎損傷が治る世の中になるかもしれないですね。

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2006年11月29日

中国で臓器移植を受けた患者がB,C型肝炎ウイルスに感染

中国で移植、肝炎感染 5年間、490人中32人…韓国

 中国で肝臓移植を受けた韓国人の6・5%がB型またはC型肝炎ウイルスに感染していたことが、成均館大学移植外科のイ・ソック教授らの調査で明らかになった。

 中国で臓器提供者のウイルス検査が十分行われず、肝臓や輸血血液などに肝炎ウイルスが混入していた疑いがある。日本人で中国で移植を受ける患者は後を絶たないが、移植後のウイルス感染が広がっている可能性が出てきた。日本でも感染の実態調査を迫られそうだ。

 韓国では、中国に渡って臓器移植を受ける患者が急増しており、イ教授らは、中国で肝臓移植を受けた患者を診療している韓国の医療機関を対象に調査した。

 その結果、昨年までの5年間に490人が中国で移植を受け、その後32人がB型、C型肝炎に感染していた。今後、肝硬変や肝臓がんを発病する恐れがある。

 厚生労働省研究班が今年3月にまとめた調査によると、中国で移植を受けた日本人患者は、肝臓が14人、腎臓106人だった把握できなかった患者も多く、移植後の患者の健康調査も行われなかった。しかし、中国で腎臓移植を受けた日本人が肝炎に感染したケースも既に明らかになっており、今回の韓国での調査により、日本でも肝炎ウイルス感染の拡大が懸念される。

 中国へ渡航しての移植が絶えない背景には、日本国内での脳死移植の停滞がある。移植を望んで日本臓器移植ネットワークに登録している患者は現在、肝臓で約130人、腎臓が約1万1700人いるが、脳死移植を受けたのは肝臓34人、腎臓でも56人に過ぎない。

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 当然ともいうべき事態。予期されていたことではありますが。まあ危険を承知で中国で移植したんでしょうし、自己責任的な部分も強いと思います。ですが中国へわざわざ行かなければならなかったのは我々日本国民の責任です。脳死移植数が増えていれば、臓器移植法が改正されていれば、その感染数も少なくなっていたことでしょう。

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2006年11月26日

ラットの心臓を72時間保存し、別のラットに移植することに成功

心臓移植:摘出後72時間保存し移植…ラットで成功

 ラットから摘出した心臓を従来の記録より24時間長い72時間保存し、他のラットへ移植して10週間拍動させることに、関邦博・神奈川大教授(環境生理学)らの研究グループが成功した。東京都内で行われる日本臓器保存生物医学会で24日、発表する。

 関教授らは、臓器を浸す液として、他のどんな物質とも化合しないパーフルオロカーボン(PFC)液を使用。ラットから摘出した心臓に生理食塩水に近い保存液を注入した上で、PFC液中に浸した。さらに水中ポンプのような装置を使い、二酸化炭素10%、酸素90%の気体を液中の心臓に毎秒35ミリリットル吹き付けた。

 この心臓を72時間後に取り出して別のラットの首の部分に移植すると、10週間後にも心電図で拍動を確認することができたという。

 ラットの心臓では、神戸大が95年に発表した48時間保存後に移植し、6週間生存させたケースが最長記録だったという。人間の心臓の場合、摘出から移植して血流が再開されるまでの時間は4時間が限度とされている

 関教授は「二酸化炭素を吹き付けることで、臓器の細胞の代謝を低下させて休眠状態にしたため、長時間保存ができたと考えられる。人間の臓器の場合はさらに研究が必要だが、応用も可能ではないか」と話している。

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 人間の場合、心臓を移植する際にはスピードが重要な要素となっています。ヘリコプターで輸送するのもそのためですね。この研究では休眠状態にすることで血流が遮断されても細胞を賦活することができました。おそらく人間にも応用できるでしょう。臓器移植がより日本の中に浸透してくるころには、日本中どこへでも搬送できるかもしれません。

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2006年11月17日

中国が外国人向けの臓器移植ビジネスを締め出しに

“移植ビジネス”締め出しへ…中国が外国人向け禁止

 15日付の中国共産党機関紙・人民日報によると、中国の黄潔夫・衛生次官は、中国の医療機関が臓器移植を望む外国の患者を募り、中国国内で手術を行うことを禁じる方針を表明した。

 広東省広州市で14日開かれた臓器移植関係の会合で明らかにした。深刻な臓器不足に悩む国内患者への移植を優先する措置で、国外向け“移植ビジネス”を締め出す狙いがある。

 中国では、医療機関が募った外国人患者を旅行名目で訪中させ、手術を行うケースが横行していると指摘されている。

 一方で黄次官は、「特殊な状況下で、外国人が提出した臓器移植申請は、特定の手続きを経て実施できる」と述べ、外国患者の臓器移植を一部容認する考えを示したが、具体的な条件は明らかにしなかった。

 中国国内では、毎年約150万人が臓器移植を希望しながら、実際に移植を受けられるのは約1万人にすぎないという。

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 中国国内でさえ、臓器が不足しているというのに、日本人は金にモノをいわせて臓器買いに走っています。正直、同じ日本人として恥ずかしい限りです。いや、患者当人に言っているわけではありません。黙認している政府に対して、です。

 そもそも日本での臓器移植に関する議論が活性化し、具体的にどこまで承認するのかを定めればもっと移植数は増えるはずなんです。それを後手後手でちっとも進まないから、病気腎移植などで事件化するんですよ。もし自分が移植しなければ助からないとしったら、全財産投げ出してでも外国で移植してもらおうとしますよ。本来ならば日本でまかなうべきなんです。

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