病気腎移植:すべて適切でない 宇和島徳洲会病院調査委 大阪市内のホテルで18日午後5時、大西達也撮影 万波誠医師(66)らによる病気腎移植を検証する宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の調査委員会が18日、大阪市内で開かれた。同病院で行われた
11件の病気腎移植すべてについて、専門委員らから「医学的に適切とは判断できない」という意見が報告された。一連の問題発覚後に設けられた専門家による検証グループが、病気腎移植に関する批判を公にしたのは初めて。調査委は患者の立場を考慮するため、3月3日に万波医師から直接意見を聞いた上で最終結論を出すが、日本移植学会などが3月末にまとめる予定の統一見解にも大きな影響を与えそうだ。
この問題では、摘出・移植が行われた各病院で外部の専門家を入れた検証作業が進んでいる。この日の調査委もその一つで、会合は約5時間に及んだ。
福島安義・徳洲会専務理事が終了後に記者会見。11件について、▽腎がんは移植後にがんになる恐れがある▽
尿管狭さくは内視鏡的な施術で狭さく部を広げる治療をすべきだ▽
動脈瘤は腎臓を摘出するほどの大きさではなかった▽
ネフローゼによる腎臓の摘出はあり得ず、移植してもすぐに拒絶反応が起こる−−と、医学的な見地から腎臓の摘出、移植への批判・疑問が出たことを明らかにした。
また、インフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)についても、文書によるものではないため記録として不十分で、手続きが踏まれていないと指摘されたという。
一方、記録が残っていてインフォームド・コンセントがあれば、(医療として)考慮すべきではないかという意見もあったという。福島専務理事は「医学上十分な資料が残されておらず、万波医師には反省を求めなければならない。治療に対する真摯(しんし)な態度は理解できるが、記録が残されておらずしっかりした議論ができないという指摘があった」と話した。
万波医師はこの日、宇和島市で取材に応じ、調査委の意見について「私は患者と向き合って医療の方法を考えている。これまで患者の利益を損なうことはなかったと思う」と話した。
指摘された11件のうち3件の摘出をした万波医師の弟、廉介医師(61)は毎日新聞の取材に「
自分たちがやってきたことは正しかったと今でも思っている。調査委員会は病気腎移植はいけないという結論ありきだったのではないか。患者らの立場も考えながらもっと議論すべきだ」と話した。
調査委の会合後に会見が開かれ、同病院の貞島博通院長が出席。「カルテから見ると同意文書がなく、そういう意味では非常に不十分」と病気腎移植の不備を認めた。苦渋の表情を見せ、「手術は万波先生が必要だからされたのだと思うし、そんなに間違ったことではないと思う。ただ証拠がなく、専門委員を納得させる力がなかった。僕は信用している」と述べた。
会見に出席したのは貞島院長や徳洲会の福島安義専務理事、顧問弁護士ら、徳洲会関係の委員4人だけだった。そのため、報道陣からの医学的に突っ込んだ質問に対し、福島専務理事が「専門家でないので詳しく分からない」などと答えに窮する場面もあった。
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医学的に正しいかどうかと言われてしまうと、今の医学で良しとされていることは「危険なことは避ける」という点で……難しいですが、それは患者の切望していることと一致するわけではないです。
勿論、患者が切望したからといって全てやっていいわけではありませんが、予後とかQOLとかを考えた場合、病気腎移植が絶対ダメかというとそうではないと思います。そこらへん、絶対大丈夫と豪語する万波医師側と、医師会側に大きな差がありますね。
腎臓が不足していて腎臓移植は到底無理だという、根底にある背景こそが問題なわけで、今回の件は「すり替え」に他ならないと思います。むしろ背景を考慮した上で審議してもらいたいですね。腎臓は足りない、でも患者は物凄く切望している。そんな中医学的にどうしてあげるのが最善なのか、を。
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