[移植]の記事一覧

2009年06月22日

渡米移植費の高額化の理由は、「日本人の排除」。

渡米移植費の高額化、値上げの本音は日本人排除

 米国に渡航して臓器移植を希望する患者が、医療費やデポジット(前払い金)の急騰にあえいでいる。

 臓器移植法で国内での移植が制限されているため、高額な渡航移植を強いられている患者が、より重い費用負担を突きつけられた形だ。

 「米国の病院から連絡がありました。デポジットは393万ドル(約4億円)です」。心臓の難病・拡張型心筋症を患った都内の河合栞璃ちゃん(当時11歳)の父、明さん(47)は主治医からそう告げられ、言葉を失った。傍らの妻は泣き崩れていた。今年3月下旬のことだ。

 栞璃ちゃんが拡張型心筋症と診断されたのは昨年11月。心臓移植以外に助かる道はなく、家族は米西海岸にある大学病院での移植を希望した。明さんは過去の日本人の移植例から、海外渡航には医療費や渡航費、滞在費などを合わせ1億円以上かかると覚悟していたが、4億円は想定外だった。

 「確かに娘の病状は重かったが、法外すぎる」。それでも明さんは知人の協力を得て募金活動の準備を進めた。栞璃ちゃんは直後に病状が急変、今年4月下旬に亡くなったが、明さんは「億単位のデポジットなんて普通の人には払えない。国内で移植ができれば、経済的負担や患者の肉体的負担も軽いのに」と語る。

 多くの患者の家族は、渡航費用を自費だけでは工面できず、募金でまかなっている。渡航移植希望者を支援するNPO法人・日本移植支援協会によると、米国に送り出した移植患者の平均募金目標額は、2002年には6500万円だった。これが、08年は約1・7倍の約1億1000万円に上昇した。

 医療費値上げの理由について、南カリフォルニア大で臓器移植を手がける岩城裕一教授は、「日本人の渡航移植を制限するためだ。本音では日本人に来てほしくないということ」と語る。一方、日本人患者を米国に送り出す東京大の許俊鋭特任教授は、「日本人は高額のデポジットも納めるので、経営の苦しい病院は助かっている」と見る。

 外国人を受け入れる条件として、約2年前から英会話ができることを加えた医療機関もあり、「日本人に不利な条件だ」と、川合明彦・せんぽ東京高輪病院心臓血管外科部長は指摘する。

 米国の医療機関が日本人を受け入れてくれるのは、年間移植件数の5%までは外国人の移植に使うことができるとするルールがあるからだ。以前はアラブ諸国の富豪も渡航していたが、近年は日本人が5%枠のほとんどを占める。

 日本人患者の多くは、重症化してから渡航移植を決断する場合が多く、切迫度が高いとして待機患者リストの上位に登録される。その結果、比較的早く移植を受けられるが、切迫度の低い米国人患者は後回しにされ、その不満が日本人に向かっているという

 欧州や豪州では、日本人の受け入れをすでにやめている。患者たちにとっては米国が頼みの綱だ。日本移植支援協会の高橋和子事務局長は「命を救ってくれる米国の病院から提示されれば、言い値に従うしかない」と、ため息交じりに話す。



 日本人には不利、というか、、、それは当然ですよね。自国内で賄うべきことです、こういう問題は。

 今まで臓器をお金で買っていたという事実を「美談」として紹介している日本という国は、欧米でどう思われているんでしょうね。

 なんというか、脳死臓器移植反対派という人たちは、こういう現状をニュースとかで見てるんですかね?何で反対できるのか、理解できません。そりゃ自分自身が一番好きな人とか、もう枯れていて小さい子供もいないしどうでもいいと思う人は、別に臓器移植の必要性を感じないかもしれません。でも例えば自分の子供が移植しないと死ぬってなったら、どうするんですかね。

 だって選択肢がないですよね。アメリカに何億と積んで臓器を買うか、東南アジアに行って臓器を買うか。

 まあ今までもそれを黙認してきたような無責任な馬鹿たちなので、こういうこと聞いても「そんときはそんとき」って言うのかもしれませんけど。もうちょっと頭使ってほしいです。

 反対してる民主党とか社民党とかに、先天的な疾患をかかえる子供たちについてどういう医療をするのが最良なのか、考えを聞かせていただきたいですね。正しい意見だったら受け入れますけど、今までに正しい意見を見たことがないので。

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医学処:臓器移植法の改正案、参議院で廃案となってしまうのか。


posted by さじ at 16:33 | Comment(5) | TrackBack(0) | 移植

2009年06月20日

臓器移植法の改正案、参議院で廃案となってしまうのか。

臓器移植法改正、解散にらみ審議

 脳死を「人の死」とすることを前提に、現行では禁止されている15歳未満からの臓器提供を可能とすることを柱とした臓器移植法改正案(A案)は、参院での審議開始が24日以降となる見通しだ。

 参院本会議での採決が7月以降となることは確実で、衆院解散の時期によっては廃案となる可能性もあり、成立は予断を許さない状況だ

 18日の衆院本会議でA案が賛成263、反対167の賛成多数で可決したことを受けて、参院議院運営委員会は同日午後、理事会を開き、A案の審議日程の協議に入った。自民党が19日の参院本会議での趣旨説明を求めたのに対し、民主党は「早急すぎる」として反対したため審議入りは早くても24日となることが固まった。

 これに関連して、民主党の輿石東参院議員会長は18日の記者会見で「最優先でやらないといけないとは思っていない」と述べ、早期の実質審議入りに慎重な考えを示した。

 衆院での採決結果を見ると自民党はA案への賛成が202票で全体の7割を超える一方、民主党は反対票が賛成票を上回った。共産党は「採決は時期尚早」と採決を棄権した。社民党は全員が反対票を投じており、野党が多数を占める参院でA案への賛成が過半数となるかどうかは不透明だ。

 特にA案の前提となる脳死を「人の死」とする考え方には与党内にも慎重論がある。1997年6月に成立した現行の臓器移植法は、衆院通過時点では脳死を一律に「人の死」としていたが、参院の審議の中で「臓器移植の場合に限り脳死を人の死とする」という内容の文言を加筆する修正が行われた。A案はこの時、参院で修正された部分を現行法から削除しており、12年を経過して参院がどのような判断をするかが注目される。

 また、衆院が解散された場合、衆参両院に提出された法案は慣例によりすべて廃案となるため解散前の成立が不可欠となる。

 これに関連して麻生首相は18日午後、記者団が「臓器移植法改正案の今国会の成立を目指すことが、衆院解散の時期に影響を与える可能性があるか」と尋ねたのに対し、「(影響は)ないと思う」と答え、解散時期は同改正案の成立とは関係なく判断する考えを示唆した。



 この件に関して言えば、野党は酷い動き方しかしてないと思います。臓器移植について審議した結果反対票を投じるなら分かりますけれど、時期尚早とか、一体何を言っているのかと。思考の停止した政治家ほど使えないものはないですね。審議したくないならさっさと政治家やめてしまえばいいのに。

 人間の命の重さは何にも変えられない。それほどまでに人間の命は尊いし、価値があるのです。

 今移植をすれば助かる命があって、技術があって、臓器がある。それが国内で循環しないことに問題がある。問題の1つめは法が改正されないことで、もう1つめは感情の問題。

 でもそんなもの、慣れでしょう、要するに。肝心なのは脳死が死なのかどうかというところ。

 死です。よく脳死した人でも生き返ったとか何とか言う人がいますけれど、それは脳死と判定した人が未熟であったことやずさんであったことが考えられます。つまり脳死じゃない。和田心臓移植事件などで臓器移植に対して過敏になっている日本人のことを考慮すれば、今行われている脳死判定の精度は的確であり、それによって判定された脳死は死であるといえます。

 これで参議院で廃案にでもなったら、さすがに政治家の無能さに辟易としてしまいますね。国を良い方向に持っていくことが出来ず、保身に走り続ける政治家など存在価値がない。

 臓器移植法の改正は、2009年度の最優先事項だと思います。公共事業のオカネだとか、そんなものはどうでもいい。幼い命を救えるかどうかの問題です。そこに自分の浅ましい感情をはさまないでほしいですね。

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posted by さじ at 03:47 | Comment(3) | TrackBack(0) | 移植

ラッキョウの抽出液で細胞培養液と凍結液を作る。

掘り出しニュース:ラッキョウで細胞培養液と凍結液

 県特産品のラッキョウを使った細胞培養液と凍結液の開発を、福井大大学院工学研究科の寺田聡准教授らの研究グループが進めている。液は損傷した臓器や細胞組織を作り出して治療する「再生医療」に不可欠だが、現在は輸入された牛の胎児の血清が使われ、BSE(牛海綿状脳症)など感染症の懸念が残る。寺田准教授はラッキョウに含まれる成分が細胞凍結などに適していることを突き止め、植物由来の液の開発に乗り出した。

 寺田准教授によると、ラッキョウには水溶性食物繊維のフルクタンが多く含まれる。フルクタンは細胞増殖を促進する効果があるほか、凍結液に用いると解凍の際のダメージから細胞を保護する。この特性は、06年に寺田准教授が実験中に発見した。

 甘酢漬けの製造工程では、原料となるラッキョウの半分近くが使われずに廃棄されている。県農業試験場の研究で生ラッキョウの球根部1キログラムから100グラム以上のフルクタン乾燥粉末を得るめどが付き、安価に入手できる。現状では細胞の増殖促進や保護する効果は牛の血清が勝っているが、寺田准教授らは今後フルクタンの構造解析を進め、同様の効果を目指す。

 寺田准教授は「再生医療で作り出された臓器などを安全で確実に保存できる凍結液を開発したい」と話している。



 ご当地モノ。

 しかしこれは斬新。普通はこう、食べると健康に良いよとかを謳ったものばかりなのに、これは細胞の凍結がうんちゃら、というもの。

 まさかラッキョウの抽出物を再生医療に応用するたぁ誰も思ってなかったでしょうねぇ。安易なご当地モノよりよっぽど衝撃的です。
posted by さじ at 01:31 | Comment(1) | TrackBack(0) | 移植

2009年06月14日

豚を使って拒絶反応の出ない移植用臓器を大量生産する

移植用臓器確保で画期的手法、ブタを使ってヒトの臓器を大量生産

 臓器移植は内臓疾患に対する有効な治療法となるが、患者に適合する臓器を見つけることは難しく、臓器移植を待つ患者の多くが、臓器が見つからないまま死に至る場合が多いのが現実だ。しかし、このような移植用臓器を大量生産できる画期的手法が学術専門誌「iJournal of Molecular Cell Biology」に発表され大きな注目を集めている。

 この研究発表を行ったのはShanghai Institute of Biochemistry and Cell Biology(上海生命科学研究院)のLei Xiao博士を中心とする研究グループ。

 研究グループが発表した手法とは、遺伝子を操作を加えてブタの臓器をヒトに移植をしても拒絶反応が起こらないように変えた上で、更に、遺伝子操作が加えられたブタの幹細胞を使って移植用の臓器の複製を作るというもの

 研究グループは、その上で、実際にブタの幹細胞を製作することに成功。今後は、実際に、拒絶反応がでないように遺伝子操作を加えたブタを製作することで、移植用臓器の大量生産技術の確立を目指すとしている。



 昔から豚の臓器を移植しようという話はありました。もちろんフィクション上のことでしたけれど、遺伝子操作が進歩したことで、それも絵空事ではなくなりました。

 日本では脳死臓器移植(に関する国民の意識)が一向に進歩しないので、こういう研究に期待したほうが良さそうです。医療は誰のためのものなのか。生きようとしている人のためのものです。

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医学処:京大病院の脳死肺移植を再開する。
医学処:生殖細胞を試験管内で作成することに理化学研究所が成功する
医学処:WHOが渡航しての臓器移植規制を来年以降に延期する。
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2009年05月12日

WHOが渡航しての臓器移植規制を来年以降に延期する。

渡航臓器移植、自粛決議は来年以降に延期 WHO

 世界保健機関(WHO)は7日、ジュネーブで18日から開く総会で予定されていた、海外に渡り臓器移植を受けることを規制する決議の採択を先送りすることを決めた。来年の総会以降にずれ込む見通しだ。

 出席する加盟国の保健担当相や高官らは、各国で新型の豚インフルエンザ対策を担当する責任者でもあり、ジュネーブに長期間留め置けないとの判断から、総会期間を予定の10日間から5日間に短縮することにしたため。同日、WHOのマーガレット・チャン事務局長と各国代表部が協議し、合意した。

 日本では、海外に渡って移植を受けることがWHOの決議でいっそう難しくなるとの見通しが強まり、今春から、現行の臓器移植法を改正する論議が国会で本格化した。国会に提出されている三つの改正案のほか、新たな案の検討を急ぐ議員らもいる。衆院厚生労働委員会は小委員会での議論を終え、11日以降、厚労委での審議に入る予定。

 厚労委の理事の一人は「渡航移植に依存する状況は好ましくない」として、海外の動きにかかわらず今国会で結論を出すべきだと主張するが、もともと慎重な論議を訴える議員も少なくない。WHOの動向は国会審議にも影響を与えそうだ。



 既にWHOが見送っても日本は決議する方針、という記事を取り上げましたが

 WHOの職員というのも大変なんでしょうねぇ。日本人女性で、WHOの感染症対策をしている人のドキュメンタリーを見たことがありますけれど、その仕事内容はなかなか。最新情報をチェックして、もし新型インフルエンザが発症すればその国に行って病院に対策を講じる。しかしいきなり他人が来るわけだから病院側も対応は堅い、など、難しそうな点はありましたね。それでもやりがいはありそうでしたけれど。

関連
医学処:臓器移植法の早期改正を訴える。
医学処:他国での渡航臓器移植が制限される可能性がでてきた。
医学処:とうとうアメリカで、日本人の臓器移植を拒否。
posted by さじ at 07:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

WHOが臓器移植法規制を見送っても、日本は決議します。

臓器移植法論議 厚労相「先送りするべきではない」

 世界保健機関(WHO)が5月に予定していた臓器の渡航移植を規制する決議の採択を先送りしたことについて、舛添厚生労働相は8日の閣議後会見で「WHOは新型インフルエンザの対応で精いっぱいなので、やむを得ないかなと思う。ただ、日本の国会は国会できちんと審議すべきだ」と述べ、臓器移植法の改正論議を先送りすべきではないとの考えを示した。さらに「一国会議員の立場」と断ったうえで「一日も早く議員のみんなで議論をして、臓器移植の手法などについて、国民のコンセンサスを得るということが重要だ」と話した。

 一方、自民党の細田博之幹事長は8日の記者会見で、臓器移植法改正について「今国会で方向・筋道をきちんとつけて、日本人が海外からの臓器移植に過大に頼ることを避ける措置をとっておく必要がある」と語り、WHOの決定にかかわらず、改正案の成立を目指すべきだとの考えを示した。



 WHOがてんてこまいだからといって日本は臓器移植法改正のスタンスを変えることはないという意思表明。評価したいですね。

 まぁ今まで散々先送りにしてきたという背景を重々踏まえなければなりませんし、政治家の皆様も、今後このような議題があった時に面倒くさがって先送りにしない姿勢をとってもらいたいものです。

関連
医学処:臓器移植法の早期改正を訴える。
医学処:他国での渡航臓器移植が制限される可能性がでてきた。
医学処:とうとうアメリカで、日本人の臓器移植を拒否。
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2009年04月17日

とうとうアメリカで、日本人の臓器移植を拒否。

米病院、日本人の2歳児の移植拒否

 東京都内の男性が、重い心臓病を抱える2歳の長男の心臓移植を米コロンビア大に依頼したところ、拒否されていたことが14日、わかった。

 世界保健機関(WHO)は来月、渡航移植の自粛を求める指針を発表する予定で、日本移植学会幹部は「米国も外国人の受け入れを厳しく制限し始めた」とみている。

 拒否されたのは、東京都三鷹市の会社員片桐泰斗さん(31)の長男、鳳究(ほうく)ちゃん。14日、患者団体が都内で開いた臓器移植法改正を訴える集会で明らかにした。鳳究ちゃんは昨年10月、難病の拘束型心筋症と診断され、片桐さんが今年2月、同大に移植を依頼した。

 日本人の心臓病患者を受け入れる国は現在、米国だけで、同大はその主要施設の一つ。

 米国の医療機関は、年間移植件数の5%まで外国人を受け入れている。だが、欧州で唯一日本人を受け入れていたドイツが3月で中止した影響もあり、同大には今年、日本人患者5人が集中。片桐さんは同大側から「既に今年の『5%枠』は埋まった」と言われたという。

 鳳究ちゃんが入院する大阪大の福島教偉准教授は、「これまでは5%枠より1、2人の超過は黙認されていた。WHOなどの動きもあって厳格化したのだろう」とみている。

 片桐さんは今後、鳳究ちゃんの受け入れ施設を探しながら、募金活動を始める。片桐さんは「なぜ日本で子供を救えないのか。臓器移植法を改正してほしい」と訴えている。



 とうとうアメリカも拒否。当然ですけれども。

 日本人の心臓移植をアメリカで行えなくなった以上、日本の臓器移植を望む方々が臓器移植法改正運動に集中するのは明らかです。そうなったときに日本の政治家はやむをえず改正に向けて動きだすはず。

 若手の政治家は既にそういった改正に向けて動いてはいるのですが、問題となるのは今まで見過ごしてきた多くの政治家です。はっきり言って議論に参加すらしてこなかった「老害」とも呼べる政治家の方々が、どういう風に動くのか、見物ではありますね。

 脳死を人の死と捉えるかどうかといった議論の時も、頑なに否定してきた政治家がいました。脳死臓器移植でしか助からない人たち側からすればとんでもない話だと正直思います。脳死は死です。科学的に考えても脳幹が壊死していれば、人間は死んでいるも同然です。心臓が動いていれば死ではない、とするならば心臓が止まっていて機械で強制的に動かしていて、意識があったとしてもそれは死なのでしょうか。この議論の時には、臓器移植の話を抜きにしても、自分で死だと納得できないという個人的な理由だけで、頭の固さを露呈した上で否定し続け、救えた人たちを見殺しにする結果となりました。

 先日、臓器移植法改正に向けて以下のようなニュースがありました。

 『15歳未満の提供』論議 臓器移植法改正

 現行法で禁止されている十五歳未満からの臓器提供を認めるのかどうか−。施行から十二年の臓器移植法の改正論議に、注目がにわかに集まってきた。世界保健機関(WHO)が五月の総会で、渡航移植の規制を決める見通しだからだ。「脳死」の判定要件などをめぐり、国会で大きな論議となるのは必至だ。

 現行法は一九九七年に施行されたが、脳死者からの臓器提供は、書面による本人の意思確認と家族の同意が必要。提供はこれまで八十一件にとどまる一方、移植を希望する待機患者は一万人を超えるといわれている

 本人の意思表示が提供条件のため、提供は遺言可能年齢を基に十五歳以上と定められており、提供臓器の大きさがネックとなって、幼い子どもは国内移植ができない

 臓器提供基準を緩和する改正案は二〇〇五年に国会提出されていた。しかし、家族の同意だけで臓器提供を認めることなどの基準緩和には与党の中でも意見集約は進まなかった

 今回、WHOが渡航移植規制に乗り出す見通しになったことで、政界もようやく改正論議へ重い腰を上げた。

 国会には(1)年齢制限を撤廃し、本人の意思が不明の場合に家族の同意で提供を認めるA案(2)現行基準のまま年齢制限を十二歳以上に引き下げるB案(3)脳死判定基準を厳格化するC案−の三改正案が提出されている。

 だが、C案は年少者への移植の拡大にはつながらないし、B案も「年齢を三歳引き下げても、提供臓器の大きさはあまり変わらない」という指摘がある。このため、移植の拡大を訴える与党には、A案を支持する声が多い。

 A案は、幼い子どもに臓器提供の意思確認をするのは難しいことを理由に、提供者となる本人が生前、提供を拒否していない限り、家族の同意で脳死判定と提供を可能にしている。これには「親の判断だけで脳死の子の臓器提供を可能にしていいのか」といった反対論も根強い。

 自民党執行部には、この三案の一本化を探る動きもあるが、難しそうで、議論はA案を軸に進む見通しだ。

 九七年の法制定時は、共産党以外の各党が党議拘束を外し、個々の議員の判断に賛否を委ねた。今回も自民、民主、公明三党は同様の対応とする方針。衆院採決は五月中とみられる。各議員は対応に頭を悩ませることになる。


 B案、C案の存在意義は何なのでしょうか。結局幼い子供を助けられないことには変わりありません。15歳から12歳に引き下げたからどうだというのか。そんな無益な議論をしたいわけではないのです。

 アレですかね、幼い子供は意思表明が出来ないからするべきではない、と?そんなことをウンタラやっているから、日本人が海外に臓器を買いにいく結果になるのでは。

 死生観の違いで臓器移植が難渋するのであれば、海外に行って臓器を買うのも厳重に禁止すべきです。法的に禁止されていても簡単に臓器を買いにいけるのは何故?そして心臓移植のための募金が美談として取り上げられるのは何故でしょう。

 募金で1億近く集まるという事実は、日本国民が幼い子供への臓器移植を望んでいるという現実的な結果ではないでしょうか?それを見てみぬふりをして、自分自身が納得できないために臓器移植法改正を拒否し続けるのは、自分の利益だけしか考えていない証拠ではないでしょうか。

 そんなんなら政治家なんてやめてしまえ、と思いますね。はっきりいって頭が固いというか、自分のポジションに固辞し続けるだけの政治家なんぞ国民は欲していません。

 保守的な政党、すなわち臓器移植に反対している政党の支持者や政治家の方にお伺いしたいんですけれど、自分の子供が臓器移植の必要な病気になったとしたら、どうするんですかね。今までならお金集めて海外で他人の臓器を買う、ということはできましたけれど、今はそれも封じられました。日本で臓器移植を行うか、タイなどで秘密裏に臓器を買うか、それも人の一生だとして見送るか。

 非現実的ですけれど、こういう考え方も出来ますよね。例えば年金。若いうちから年金を払っておけば、老後に年金を受け取ることが出来る。では自分が脳死状態になった時に臓器を提供するかどうかの意思表明をしている人に限り、臓器移植が必要になった時にそれを選択肢として受けることができると設定しましょう。こういう風に明確化すれば、おそらく大抵の人が意思表明をするのではないでしょうか。

 この当たり前のことを暗黙のうちにやっているのが、多くの先進国です。選択肢の1つとして臓器移植を受け入れているからこそ、脳死臓器移植が行われる。当然のことです。

 日本は汚い。国民の多くが臓器移植に対する意思表示カードを所持していないにもかかわらず、いざ臓器移植が必要となれば海外に行って移植する。貫き通す倫理もなければ、自身の手が汚れないように見てみぬふりをしているだけ。そりゃ他の外国からすれば怒り心頭でしょう。むしろ外国人のために5%も受け入れてくれていることが驚きです。日本が貧しい国に大金を援助するとかそんな程度の低い話ではありません。向こうは臓器を移植して未来ある子供たちの命を救ってくれているんですよ。

 生まれてくる子に先天的な疾患があるケースなど、珍しくありません。誰にでも起こりうる現実です。もし不幸にも自分の子供が脳死になった場合、臓器を他者に提供できるのかどうか。そういうことも含めて臓器移植という「選択肢」を考慮し続けるならば、自分の提供意思も含めた、臓器移植に対する考え方を、各人が持つべきではないでしょうか。是非考えてみてください。

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医学処:本人が臓器提供を拒否していなければ家族の同意で提供できる法律
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posted by さじ at 06:30 | Comment(11) | TrackBack(0) | 移植

2009年04月09日

絹を使った人工血管などの再生医療技術を東京農工大が研究。

絹で再生医療 東京農工大が研究

 手術用縫合糸など長年医療現場で使われてきた絹を、人工血管などの再生医療材料として利用する研究が、東京農工大(東京都小金井市)で進められている。医療材料として有用な遺伝子をさらに導入したカイコが吐き出す新素材の絹。朝倉哲郎・同大教授は「血管、角膜、皮膚、耳、骨、歯などの再生医療材料が安定かつ安価に得られる可能性がある」と、幅広い応用に期待している。

 研究開発が一番進んでいるのが人工血管。絹で作った直径一・五ミリの細い人工血管を、ラットの大動脈に移植。通常細い人工血管として使われているフッ素樹脂製の人工血管と比較した。その結果、フッ素樹脂製はすぐに詰まったが、絹製では一年間、85%のラットの血管が詰まらず正常に働いた。現在、生物系特定産業技術研究支援センター(さいたま市)の助成を受け、さらにブタへの移植実験も進められている。

 一般に絹は高強度で生体になじみやすい。さらに絹をいったん溶かして再度、分解されやすい再生繊維にしたり、フィルムやスポンジ、不織布にすることで、多様な再生医療材料にすることができる。フィルムは、傷の治療や目の角膜再生の足場材として、再生繊維や不織布は人工血管や吸収性の縫合糸に、スポンジは骨や歯の足場材に使える。耳や骨の形をした絹のスポンジ上で軟骨細胞や骨芽細胞を培養し、移植することも検討されている。歯に埋め込めば虫歯の再生も夢ではない。

 朝倉教授がこの研究を始めたきっかけは「絹は同じ断面積の鋼鉄より強い。カイコがつくるタンパク質がなぜこんなに強いのか」という疑問。そして「カイコ体内にある絹の水溶液が、どうして口から出た瞬間に強い糸になるのか」ということだった。

 このナゾは八年前、最新の構造解析手法、核磁気共鳴分光法(NMR)を駆使してついに解明できた。二十年間追い続けたナゾが解明できた時、朝倉教授は「一週間ほど興奮して眠れなかった」と言う。

 絹は基本的に、グリシンとアラニンという二つの単純なアミノ酸が交互につながっている。これらのアミノ酸が、カイコの体内では、分子内での水素結合と分子間での水素結合を交互に繰り返し、ゆるく巻かれた構造となって水に溶けている。カイコが絹を吐く直前に受ける「ずり」(粘性流体内の摩擦)と、カイコが頭を8の字に振ることで発生する「延伸」の二つの力が絹分子にかかることで、水素結合の部分が切断され、瞬間的にすべて分子間の水素結合に移行する。これで、絹分子同士が強く引きつけられた構造となり、強い絹糸になる。

 高強度の絹を作る「仕組み」が解き明かされれば、遺伝子を操作したり、再生繊維やフィルムへの加工プロセスを工夫することで、絹糸をさらに丈夫にしたり、再生医療用として細胞との接着性を高めたり、生分解性を高めたりできる。

 かつて、絹産業は日本の「お家芸」だった。バイオの力を借りて、再び新しい絹産業を興すことも夢ではない。朝倉教授は「社会の高齢化が進む中、絹の優れた特徴を背景に、それをさらに改変することで再生医療材料の基幹産業として創生することを目指す」と意気込む。

 絹は鋼鉄より強いが、クモの糸はさらに絹の三倍も強く、クモの糸も有力な再生医療材料。カイコはかつて「おカイコさま」と尊ばれた。朝倉教授の夢が実現すれば、「おカイコさま」や「おクモさま」など、カイコやクモが世界中から感謝される日がくるかもしれない。



 アツい。

 何より教授がアツい。超かっこいいです、こういう意欲的な研究者って。

 自然物でもまだまだ未開な部分はあります。昔からあったカイコ製品の数々を、より細かいレベルで検討すれば、最新式の人工血管に生まれ変わるのです。

 なんというか、ロマンありますね。

絹の繊維と織物の技法を用いて作った人工血管の世界。
再生医療が商業化の段階に入り、培養皮膚の製造販売が承認される。
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2009年04月01日

群馬大学病院の肝移植執刀医が経験数を水増し。

群馬大病院・肝移植事故:執刀医、肝移植経験を水増し−−報告書

 群馬大医学部付属病院で05年11月に起きた生体肝移植時の医療事故で、医学部の検討委員会は27日、手術責任者の第1執刀医が経験不足だったうえ、経歴を誇張しており、不適切だったなどとする最終報告書の内容を公表した。執刀医は同病院のホームページに国内外で計620例以上の肝移植経験があると掲載していたが、調査の結果、確認できたのは37例だけだった

 同病院によると、いずれも当時50代だった妻が夫へ肝臓の一部を提供した際、執刀医の指示で妻に投与された血液凝固阻止剤が過剰だったため、術後に下半身まひとなった

 執刀医の男性は07年、委員会の調べに対し「国外では手術室には入ったがメスは握っていなかった」などと説明。国内でも120例以上の経験があると公表していたが、執刀記録が確認されたのは37例のみで、いずれも補佐的な第2執刀医の立場だった。第1執刀医の明確な基準はないが、ドナーと患者それぞれ30例の執刀を目安に総合的に判断するという。報告書は、手術を任せた担当教授にも「管理、監督責任がある」とした。



 自分の業績を偽ってまでメスを握りたかった。しかしその結果取り返しのつかないことになった。

 群馬大学は見直すべき点がまだまだありそうです。

関連
医学処:群馬大学付属病院の生体肝移植成功率が極端に低い件
医学処:群馬大学病院の生体肝移植で後遺症が残ったのは、腕が未熟だから
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京大病院の脳死肺移植を再開する。

京大病院、脳死肺移植を再開へ2009年3月31日

 京都大医学部付属病院(中村孝志・病院長)は31日、06年の死亡事故以来3年間自粛している脳死肺移植を再開する、と発表した。臓器提供があった時点で再開する。昨年6月に生体肺移植を再開したのに次ぐ。

 同病院によると、京大医学部の「医の倫理委員会」が、現在の肺移植チームは安全な脳死肺移植を実施できるとして、3月13日に再開を承認した。先に再開した生体肺移植の4例を検討し、事故以前と比べ、肺移植チーム内でコミュニケーションが十分にとられて情報が共有されていることや、手術における各診療科の責任をはっきりさせていることが認められたという。

 同病院では、06年3月に脳死肺移植を受けた女性患者が脳障害により死亡し、肺移植を自粛した。



 本来なら最初から、問題があるのなら行うべきではありませんでしたが、十分改善されたとのことで再開。

 問題を隠そうとせず、明確に改善することが大事ですね。各人の名誉やプライドよりも、何よりも優先されるのは患者さん自身であるということを再確認したうえで、前に進んでほしいと思います。

関連
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2009年03月19日

iPS細胞で腎臓を作成することに東大チームが成功する。

iPS細胞で腎臓作製…東大チーム

 新型万能細胞(iPS細胞)を利用し、マウスの体内で腎臓を作製することに東京大医科学研究所の中内啓光教授らが成功した。

 研究チームは、遺伝子操作によって腎臓が作れない雌雄のマウスを活用。交配で得られた受精卵を培養した後、正常なマウスから作ったiPS細胞を注入した。

 この胚を代理母の子宮に移植したところ、生まれたマウスに腎臓ができた。ぼうこうも膨らみ、尿が作られたとみられる。注入したiPS細胞が欠損するはずだった腎臓を補ったと考えられ、がん化は見られないという

 研究チームは、同様の手法で、ブタの体内で、より人に近いサル由来の臓器を作るという計画も進めている。中内教授は「将来、人の腎臓もブタを使って作れるようになれば、移植医療の臓器不足の問題が解消できる」としている。



 人の腎臓を豚で作れるようになれば素晴らしいんですけどもねぇ。

 人からもらうよりも倫理的に問題なさそうですし。
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2009年03月16日

山中教授のグループが国内でES細胞を用いた研究を始める。

山中教授グループが国内でES細胞研究

 新型万能細胞(iPS細胞)を開発した山中伸弥・京都大教授のグループが、同じ万能細胞のヒト胚性幹細胞(ES細胞)を用いた研究を国内でも始めることが分かった

 グループの高橋和利助教が13日、川崎市で開かれたシンポジウムで明らかにした。

 ヒトES細胞をめぐっては、オバマ米大統領が9日、難病治療に役立つとして、前政権が制限していた研究助成を解禁する大統領令に署名、米国での研究が一気に進むと予想されている。山中教授も本格的に参入することで、万能細胞を用いた再生医療の実現に大きく弾みがつきそうだ

 iPS細胞の作製や培養は、ES細胞の研究成果を利用しており、研究推進には、ES細胞との比較が欠かせない。しかし、ヒトの受精卵から作るヒトES細胞の研究は、国が指針で規制している。山中教授らは毎月、渡米してヒトES細胞の研究を行っており、「日本でも研究を迅速に行える体制が必要」と訴えている



 全てにおいてES細胞よりiPS細胞のほうが優位である、というわけではなく、それぞれの研究の比較が大事ということですね。山中教授、さすがです。

 しかし残念ながら日本では出来ないということで、iPS細胞のパイオニア、山中教授クラスの人ですら、わざわざ渡米して研究している現状。いいのか日本、こんな苦労をさせておいて。山中教授という頭脳が日本にとどまっていてくれることが非常にありがたいです。

関連
医学処:ダウン症候群の治療のためにES細胞を利用する。
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15歳未満の脳死臓器移植を、早急に国会で採決しろ。

臓器移植法改正、医師会「採決を」

 日本医師会と日本移植学会など24学会・研究会で作る「臓器移植関連学会協議会」は14日、東京都内で記者会見し、15歳未満の脳死下での臓器提供を可能にする臓器移植法改正案を、今国会中に採決するよう訴えた。近く全国会議員に要望書を送付する。

 日本医師会の宮崎秀樹参与は、「国の世論調査では過半数の国民が、『小児からの臓器提供を認めるべきだ』と考えている。法改正の条件は整っている」と強調した。

 患者団体も4月14日、国会議員に同法改正を訴える集会を都内で開く予定。



 毎年毎年、見送られている臓器移植関連法案ですが、WHOも日本に対して怒り心頭のように、もうそろそろ審議してもらえないもんですかねぇ。

 よく日本の医療の歴史においては、重要人物がどうのこうのするとすぐに法改正されたりするもんですけど、例えば大使館に勤めている外国人の息子だとか、政治家の子供が移植が必要になったりすると、すぐに法改正されるんですかねぇ?それとも日本医師会が昔のように権力を取り戻したら、すぐにでも動くんですかねぇ?

 絶対必要なことなのに何故ここまで進まないのか、わかりません。道路と違ってお金に結びつかないからなんでしょうか。他人の痛みを知れとはまさにこのこと。政治家の良心に期待したいところです。

関連
医学処:臓器移植法の早期改正を訴える。
医学処:他国での渡航臓器移植が制限される可能性がでてきた。
医学処:日本小児科学会が小児の脳死臓器提供を来月にも検討する。
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2009年02月28日

膵島を効率よく分離する新装置を野村ユニソンが開発する

「膵島細胞」効率よく分離 若年の糖尿病治療に新装置

 金属加工・産業機械製造などの野村ユニソン(茅野市)は、若年層が発症する1型糖尿病の治療法として研究が進む膵島移植に必要な膵島細胞を、ドナーから提供された膵臓から効率よく分離させる装置を東北大と共同開発した。従来は分離の際に酸素が不足して死滅する細胞が多かったが、同社が工業用装置製造で培ってきた中空糸膜(マカロニ状の管)の技術を生かし、酸素を供給することに成功した

 同社は2005年から、同大国際高等研究教育機構の後藤昌史准教授(膵島移植)と、豚などの膵臓を使って実験を繰り返してきた。10年度までに人体への応用が可能な装置を完成させ、臨床試験を経て14年ごろには製品化する計画だ。

 血糖値を下げるインスリンを分泌する膵島は、膵臓に島状に点在。人間の場合、膵臓全体の1%程度の約1グラムある。膵島移植では、脳死や心停止となったドナーから摘出した膵臓に、膵島細胞を分離するための消化酵素を含んだ溶液を注入。温度を保ちながら溶液を循環させる。

 分離して溶液に混ざる膵島細胞は一般に、約1時間かかる循環の過程で酸欠状態になり、死滅するものも多い。開発した装置は、酸素を透過する直径約2ミリの中空糸膜の中に溶液を通すことで酸素を取り込めるようにした

 膵島移植は海外では1970年代に始まり、脳死での臓器提供が主流の米国などで盛んだが、国内では04年に京大病院が初めて実施。開腹手術でなく点滴で移植するため患者の負担が軽いとされる

 移植に取り組む医師らでつくる膵・膵島移植研究会(事務局・福島県立医大)によると、これまで60例以上の膵島分離が行われたが、必要な膵島細胞を確保するために、患者1人に最大3人のドナーから提供されているという

 提供はほとんどが心停止後といい、後藤准教授は「心停止後は(酸素が供給されない時間が長く)臓器が傷んでいるので膵島分離には不利。新しい装置は(脳死移植が少ない)日本の移植環境では必要になる。1人の患者に必要なドナーを減らしていきたい」、野村稔社長は「1型糖尿病は子どもの時に発症する人が多い。さらに実験をして信頼性を高め、治療の役に立ちたい」と話している。



 膵島移植。インスリンを分泌してくれる膵島を取り出し、移植する方法ですが、点滴でよいというのが最大のメリットでしょうね。肝臓の門脈から点滴の要領で入れるだけですので、レシピエントにとっては非常に楽です。もちろん普通の移植と同じように、免疫抑制剤は使うんですけれども。

 日本では脳死移植がなかなか定着しそうにないので、この新しい技術を用いた膵島移植こそ、日本に馴染む膵臓移植の形なのかもしれません。

関連
医学処:膵臓のβ細胞の元になる幹細胞を発見する
医学処:糖尿病についてのまとめ
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心肺同時移植の男性、順調に回復に向かっている。

機能正常、拒絶反応なし=心肺同時移植の男性−大阪大

 大阪大病院(大阪府吹田市)は18日、国内初の心肺同時移植を受けた30代の男性患者の心臓や肺の組織に拒絶反応は見られず、臓器の機能も正常で、順調に回復に向かっていることを明らかにした

 同病院移植医療部の福嶌教偉副部長によると、男性は一般病棟の4人部屋に移り、リハビリに励んでいる。約5年10カ月にわたってほぼ寝たきりの状態だったため、全身の筋肉が衰えており、しゃがんだ状態から立ち上がるのも困難な状態。現在は約200メートルを自力歩行できるようになった。

 また、移植前はわずかでも力むと吐血する可能性があったため、ペットボトルのふたを開けることすらできなかったが、男性は「ふたを自分で開けられるようになった」と喜んでいるという。福嶌副部長は「免疫抑制剤の影響で免疫力が落ちているので感染症に注意しなければならない」と話している。



 こちらの続きです。

 医学処:79例目の脳死臓器移植、国内初の心肺同時移植へ。

 30代の若さで5年10ヶ月も寝たきり状態・・・。そんな状態から、自力歩行できるようになるまでに回復する。臓器移植の大いなる意義が感じられます。

 順調に回復していっているようで。リハビリも血のにじむようなものでしょうけれど、頑張ってほしいと思います。
posted by さじ at 17:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 移植

2009年02月20日

日本小児科学会が小児の脳死臓器提供を来月にも検討する。

小児の臓器提供来月にも検討委…年内に新見解

 日本で臓器移植を受けられず、海外に渡る小児患者が後を絶たないため、日本小児科学会(横田俊平会長)は15日の記者会見で、脳死になった15歳未満の子供からの臓器提供を認めてよいかどうかを検討する委員会を3月にも発足させ、年内に新たな見解を打ち出す方針を明らかにした。15歳未満の臓器提供は、現在の臓器移植法では認められていない。



 先日の対日本の見解をうけての始動か

 医学処:他国での渡航臓器移植が制限される可能性がでてきた。

 でもこれは認められるべきです。倫理的な問題はあるかもしれませんけれど、倫理的な問題を考えるのは実際に病気で苦しんでいる子供のことを考えてからにしてもらいたいですね。なんか、お偉いさんや、その人特有の宗教観とかのために、助かるのに日本では助けられない子供がいる、という事実がやるせない。日本は、自分が窮地に陥らないと臓器移植のことなどまるで他人事ですからねぇ。

 そして日本では倫理的に禁止でも、海外で臓器移植をするのは賛成、ということで募金やらを美談として取り上げていますけれど、おかしな話だと思います。小児の臓器移植を認めるデモとか、そういった一般の方の活動もクローズアップされてこないと、状況は変わってきそうにありません。

関連:ヒルシュスプルング病の8歳男児、渡米して移植成功。
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2009年02月14日

徳州会病院が病気腎移植の再開を検討している。

病気腎移植、再開検討…徳洲会

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)が、がん患者らから摘出した腎臓を別の患者に移植していた問題で、徳洲会グループが病気腎移植の再開に向けて検討していることが、10日分かった。

 先月下旬には、グループの共同倫理委員会を開催、同病院のほかに、東京西徳洲会病院(東京都昭島市)で臨床研究として行う計画だという。

 宇和島徳洲会病院は、病気腎移植が問題化した2006年以降、実施を自粛してきたが、今年中にも再開される可能性が出てきた。

 厚生労働省は07年7月、臓器移植法の運用指針を改正し、病気腎移植を原則禁止。ただし、医療機関の倫理委員会が安全面や患者の同意などを審査し認めた場合には、臨床研究として実施することができる



 具体的な国内の臓器移植数も増やすことができず、15歳未満の臓器提供すら法律で認めず、お役人には任せておけん、というのが現場の意見でしょう。実際に腎臓が駄目で苦しんでいる人からすれば、何様だという話です。

 もし私の腎臓が駄目になったら、やはり透析よりは病気腎移植をしたい、と思います。本当なら正常な腎を移植したいですけれど、圧倒的に数が少なすぎますからね。徳州会病院の決断に拍手したいです。

関連
医学処:万波医師は、今後も病気腎移植を行っていくらしい。
医学処:病気腎移植を支持する患者らが宇和島でデモ行進
医学処:癌の疑いのある腎臓を移植した、勇気ある秋田大学医学部に拍手。
医学処:オーストラリアでの病気腎移植、41例が成功し再発はなし。
医学処:病気腎移植を禁止することは、生存権の侵害である。
医学処:国が禁止にしている病気腎移植、修復腎移植への理解を求める。
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2009年02月12日

他国での渡航臓器移植が制限される可能性がでてきた。

臓器移植は自国で…渡航移植、制限の可能性

 国内で心臓の移植手術を必要とする子供の患者は約50人。日本では15歳未満の臓器提供が認められていないため、海外での移植「渡航移植」に頼っているのが現状だ。しかし、WHO(=世界保健機関)は5月にも「移植に必要な臓器は自国で賄うべき」との指針を承認する見通しで、渡航移植は今後、制限される可能性が出てきた。

 多くの日本人患者を受け入れているアメリカでも、臓器は慢性的に不足しており、臓器移植ネットワークは外国人への移植を全体の5%に制限している。臓器移植支援団体のブライアン・スチュワート氏は「各国の政府は、国民の利益を最優先に行動を取るべきです」と話す。

 イギリスの患者団体も「イギリス人が移植を待っているのに、外国人が移植を受けている」と批判している。

 このような中、日本の医療現場は危機感を強めている。現地時間6日に、心臓移植手術を受けるためアメリカ・ロサンゼルスに到着した山下夏くん(7)の主治医で日本移植学会理事・布田伸一医師は「『勧告を受けるべきだ』と指針に従うところは出てくると思います。『海外に行けません、日本でもドナーが出ません』で、患者さんに対してどういうふうに治療するんですか、ということ」と話した。

 夏くんは現地でドナーを待つことになるが、今後、海外での移植はさらに厳しさを増すことになりそうだ。



 そりゃ現地の人からすれば当然でしょう。正直このWHOの制限は、臓器を高値で買いあさっている日本人に向けて発表されたようなもののような気がしてなりません。

 日本で臓器移植が進まないのは宗教観だとか自分の臓器についてどう考えるかとかいろいろあるんでしょうけれど、根底にあるのは無関心だと思うんですよね。

 そもそも法律上、15歳以上でなければ臓器提供してはいけないというふうに決められているせいで、日本の赤ん坊は外国へ臓器を買いに行く。それも1億以上かけ、「美談」として。

 アメリカ人からすれば怒り心頭でしょう。なぜ金持ち日本人がわざわざアメリカまできて臓器を買いに来るのかと。自分の国でやれと。どうやら日本ではそもそも子供の臓器提供が認められていないらしいと。オワットルと。

 そしてWHOからもクレームがつき、ここで日本がどう動くのか。本来なら他国からどうのと言われる前に変えるべきなんでしょうけれどね。
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2009年02月10日

腎移植を受けた男性患者の1割が、移植後に肥満になる

腎移植後に肥満、男性の1割…体調回復し、食欲抑えられず

 腎臓移植を受けた男性患者のうち1割が、移植手術後に肥満体になったことが、新潟大などの調査でわかった

 肥満を解消しないと、腎機能が悪化して再移植が必要になる場合もあり、研究チームは健康管理の重要性を訴えている。日本臨床腎移植学会で報告した。

 西慎一・新潟大准教授らは2007年7月〜08年6月に、全国111例の腎移植の患者を調べた。

 メタボリック・シンドロームの腹回り基準(85センチ以上)に引っかかる肥満体の人は、移植前は9%だったが、移植の1年後には20%と倍増した。国立病院機構千葉東病院の調査でも、04年以降の腎移植161例のうち、移植前にメタボ基準の一つである高脂血症だった患者は25%いたが、移植後は44%まで増加していた

 西准教授は「移植で体調や味覚が回復し、食欲を抑えられず肥満になる人が少なくない。移植後に使う薬が肥満に影響している可能性もあり、健康管理に注意が必要だ」と話している。



 薬の副作用などではなく、単純に体調と味覚が改善したためか。逆に良いことといえばよいことなんですけどね。腎臓を変えるだけでそれほどまでに改善するというのは。

 でも移植は移植。身体に負担を強いる行為ではあるので、そこは自制、ですね。腎臓のありがたみを感じつつ。

関連
医学処:腎臓移植が浸透しつつあり、とうとう年間100人を越える。
医学処:拒絶反応なしの腎臓移植に成功する
医学処:国が禁止にしている病気腎移植、修復腎移植への理解を求める。
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東大チームがiPS細胞から血小板を作り出すことに成功する

ヒトiPS細胞で血小板 東大、世界で初めて成功

 東京大学の研究チームは、ヒトの細胞から作った新型万能細胞(iPS細胞)を使い、血小板を作ることに世界で初めて成功した。血小板は出血を止める働きを持つ血液の成分。実用化できれば、出血性の血液病の治療や外科手術で使う輸血用血小板の不足を解決できる可能性がある。また赤血球や白血球などほかの成分も作れる可能性があり、将来は献血に頼らずに輸血用血液を確保することもできそうだ。

 血小板は血管の傷ついた場所に集まって固まり、血が流れ出るのを防ぐ。東大の中内啓光教授らのチームは、京都大学の山中伸弥教授が考案した手法を応用してヒトのiPS細胞を作った。これに別の幹細胞や特殊なたんぱく質などを加えながら培養し、血小板の元となる細胞に育てあげた。この細胞から血小板が放出された。形や大きさのほか、働きも通常の血小板と同じだった。



 血小板は、血液の中でも寿命が短いことで有名です。だいたい10日ほどといわれています。

 血小板を大量に生産することができれば、出血傾向などの患者さんにも使いやすいでしょう。日本は慢性的に、献血数が不足しているという事態もありますし。

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