米病院、日本人の2歳児の移植拒否 東京都内の男性が、重い心臓病を抱える2歳の長男の心臓移植を米コロンビア大に依頼したところ、拒否されていたことが14日、わかった。
世界保健機関(WHO)は来月、渡航移植の自粛を求める指針を発表する予定で、
日本移植学会幹部は「米国も外国人の受け入れを厳しく制限し始めた」とみている。
拒否されたのは、東京都三鷹市の会社員片桐泰斗さん(31)の長男、鳳究(ほうく)ちゃん。14日、患者団体が都内で開いた臓器移植法改正を訴える集会で明らかにした。鳳究ちゃんは昨年10月、難病の
拘束型心筋症と診断され、片桐さんが今年2月、同大に移植を依頼した。
日本人の心臓病患者を受け入れる国は現在、米国だけで、同大はその主要施設の一つ。
米国の医療機関は、年間移植件数の5%まで外国人を受け入れている。だが、
欧州で唯一日本人を受け入れていたドイツが3月で中止した影響もあり、同大には今年、日本人患者5人が集中。片桐さんは同大側から「既に今年の『5%枠』は埋まった」と言われたという。
鳳究ちゃんが入院する大阪大の福島教偉准教授は、「これまでは5%枠より1、2人の超過は黙認されていた。WHOなどの動きもあって厳格化したのだろう」とみている。
片桐さんは今後、鳳究ちゃんの受け入れ施設を探しながら、募金活動を始める。片桐さんは「なぜ日本で子供を救えないのか。臓器移植法を改正してほしい」と訴えている。
とうとうアメリカも拒否。当然ですけれども。
日本人の心臓移植をアメリカで行えなくなった以上、日本の臓器移植を望む方々が臓器移植法改正運動に集中するのは明らかです。そうなったときに日本の政治家はやむをえず改正に向けて動きだすはず。
若手の政治家は既にそういった改正に向けて動いてはいるのですが、問題となるのは今まで見過ごしてきた多くの政治家です。はっきり言って議論に参加すらしてこなかった「老害」とも呼べる政治家の方々が、どういう風に動くのか、見物ではありますね。
脳死を人の死と捉えるかどうかといった議論の時も、頑なに否定してきた政治家がいました。脳死臓器移植でしか助からない人たち側からすればとんでもない話だと正直思います。脳死は死です。科学的に考えても脳幹が壊死していれば、人間は死んでいるも同然です。心臓が動いていれば死ではない、とするならば心臓が止まっていて機械で強制的に動かしていて、意識があったとしてもそれは死なのでしょうか。この議論の時には、臓器移植の話を抜きにしても、自分で死だと納得できないという個人的な理由だけで、頭の固さを露呈した上で否定し続け、救えた人たちを見殺しにする結果となりました。
先日、臓器移植法改正に向けて以下のようなニュースがありました。
『15歳未満の提供』論議 臓器移植法改正 現行法で禁止されている十五歳未満からの臓器提供を認めるのかどうか−。施行から十二年の臓器移植法の改正論議に、注目がにわかに集まってきた。世界保健機関(WHO)が五月の総会で、渡航移植の規制を決める見通しだからだ。「脳死」の判定要件などをめぐり、国会で大きな論議となるのは必至だ。
現行法は一九九七年に施行されたが、脳死者からの臓器提供は、書面による本人の意思確認と家族の同意が必要。提供はこれまで八十一件にとどまる一方、移植を希望する待機患者は一万人を超えるといわれている。
本人の意思表示が提供条件のため、提供は遺言可能年齢を基に十五歳以上と定められており、提供臓器の大きさがネックとなって、幼い子どもは国内移植ができない。
臓器提供基準を緩和する改正案は二〇〇五年に国会提出されていた。しかし、家族の同意だけで臓器提供を認めることなどの基準緩和には与党の中でも意見集約は進まなかった。
今回、WHOが渡航移植規制に乗り出す見通しになったことで、政界もようやく改正論議へ重い腰を上げた。
国会には(1)年齢制限を撤廃し、本人の意思が不明の場合に家族の同意で提供を認めるA案(2)現行基準のまま年齢制限を十二歳以上に引き下げるB案(3)脳死判定基準を厳格化するC案−の三改正案が提出されている。
だが、C案は年少者への移植の拡大にはつながらないし、B案も「年齢を三歳引き下げても、提供臓器の大きさはあまり変わらない」という指摘がある。このため、移植の拡大を訴える与党には、A案を支持する声が多い。
A案は、幼い子どもに臓器提供の意思確認をするのは難しいことを理由に、提供者となる本人が生前、提供を拒否していない限り、家族の同意で脳死判定と提供を可能にしている。これには「親の判断だけで脳死の子の臓器提供を可能にしていいのか」といった反対論も根強い。
自民党執行部には、この三案の一本化を探る動きもあるが、難しそうで、議論はA案を軸に進む見通しだ。
九七年の法制定時は、共産党以外の各党が党議拘束を外し、個々の議員の判断に賛否を委ねた。今回も自民、民主、公明三党は同様の対応とする方針。衆院採決は五月中とみられる。各議員は対応に頭を悩ませることになる。
B案、C案の存在意義は何なのでしょうか。結局幼い子供を助けられないことには変わりありません。15歳から12歳に引き下げたからどうだというのか。そんな無益な議論をしたいわけではないのです。
アレですかね、幼い子供は意思表明が出来ないからするべきではない、と?そんなことをウンタラやっているから、日本人が海外に臓器を買いにいく結果になるのでは。
死生観の違いで臓器移植が難渋するのであれば、海外に行って臓器を買うのも厳重に禁止すべきです。法的に禁止されていても簡単に臓器を買いにいけるのは何故?そして心臓移植のための募金が美談として取り上げられるのは何故でしょう。
募金で1億近く集まるという事実は、日本国民が幼い子供への臓器移植を望んでいるという現実的な結果ではないでしょうか?それを見てみぬふりをして、自分自身が納得できないために臓器移植法改正を拒否し続けるのは、自分の利益だけしか考えていない証拠ではないでしょうか。
そんなんなら政治家なんてやめてしまえ、と思いますね。はっきりいって頭が固いというか、自分のポジションに固辞し続けるだけの政治家なんぞ国民は欲していません。
保守的な政党、すなわち臓器移植に反対している政党の支持者や政治家の方にお伺いしたいんですけれど、自分の子供が臓器移植の必要な病気になったとしたら、どうするんですかね。今までならお金集めて海外で他人の臓器を買う、ということはできましたけれど、今はそれも封じられました。日本で臓器移植を行うか、タイなどで秘密裏に臓器を買うか、それも人の一生だとして見送るか。
非現実的ですけれど、こういう考え方も出来ますよね。例えば年金。若いうちから年金を払っておけば、老後に年金を受け取ることが出来る。では自分が脳死状態になった時に臓器を提供するかどうかの意思表明をしている人に限り、臓器移植が必要になった時にそれを選択肢として受けることができると設定しましょう。こういう風に明確化すれば、おそらく大抵の人が意思表明をするのではないでしょうか。
この当たり前のことを暗黙のうちにやっているのが、多くの先進国です。選択肢の1つとして臓器移植を受け入れているからこそ、脳死臓器移植が行われる。当然のことです。
日本は汚い。国民の多くが臓器移植に対する意思表示カードを所持していないにもかかわらず、いざ臓器移植が必要となれば海外に行って移植する。貫き通す倫理もなければ、自身の手が汚れないように見てみぬふりをしているだけ。そりゃ他の外国からすれば怒り心頭でしょう。むしろ外国人のために5%も受け入れてくれていることが驚きです。日本が貧しい国に大金を援助するとかそんな程度の低い話ではありません。向こうは臓器を移植して未来ある子供たちの命を救ってくれているんですよ。
生まれてくる子に先天的な疾患があるケースなど、珍しくありません。誰にでも起こりうる現実です。もし不幸にも自分の子供が脳死になった場合、臓器を他者に提供できるのかどうか。そういうことも含めて臓器移植という「選択肢」を考慮し続けるならば、自分の提供意思も含めた、臓器移植に対する考え方を、各人が持つべきではないでしょうか。是非考えてみてください。
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