呼吸器外し、倫理委で判断――日医大が延命中止指針 回復の見込みがなく死期が迫った患者の終末期医療について、患者の意思確認などの条件を満たせば「延命治療の中止を考慮してよい」とする「暫定指針」を日本医科大(東京都文京区)が作成、
付属4病院で運用を始めたことが25日、分かった。人工呼吸器の取り外しは個別ケースごとに、各病院の倫理委員会で可否を判断するとしている。
終末期医療をめぐっては、厚生労働省が患者の意思尊重を盛り込んだ国として初の指針を5月に決定したが、患者の死に直結する呼吸器外しなどと殺人罪との線引きには言及せず、
議論を先送りした。病院が呼吸器を含む延命治療の中止手続きに踏み込んだ独自の指針を運用するのは異例。
日医大倫理委員長の工藤翔二教授(内科学)は「条件を満たしていることが確認できれば、
呼吸器外しにゴーサインを出すことは十分ある。倫理委が関与することで判断の客観性を高め、医師が刑事責任を問われるような事態を避けたいと考えている」としている。
指針は日医大の倫理委がまとめ、今年4月から本院の日医大病院と、同大武蔵小杉病院(川崎市)、同大千葉北総病院(千葉県)など3つの分院で運用を開始。これまでに呼吸器外しが病院の倫理委にかけられたケースはないという。
指針は「終末期」を「病気やけがで2週間以内から長くても1カ月以内に
死が訪れることが必至の状態」、または「医学的に不治と判断され、生命維持処置が死の瞬間を延期することだけに役立っている状態」と定義。
その上で(1)終末期の判断は必ずチームで行い、主治医1人で判断しない(2)延命治療を希望しない患者の意思を本人の書面や家族の話などで確認(3)患者の意思に対する家族の同意―の3条件がそろえば、個々の中止内容などを家族と話し合いながら検討する。
中止対象となる延命治療の内容は薬物投与、化学療法、輸血、栄養や水分の補給、透析、人工呼吸などで、呼吸器外しのように患者の死に直結する治療の中止は倫理委にかけるとした。
厚生労働省が審議見送りなどとピヨピヨしている間に、日医が画期的な案を実行にうつしていました。こうやって明言化した上で尊厳死を認めれば、日本でもそのうち尊厳死のもつ重要性が広がっていくでしょう。
富山の事件は、そういう意味で、独断すぎました。医師一人が抱えて、実行していいレベルの問題ではありませんでしたね。やった行為そのものは正しいものだと今でも思いますが、医師一人でやってしまうと、尊厳死のもつ確実性とでもいいますか、正しく施行されることが難しくなってしまいますからねぇ。悪用されないためにも、患者の望む最期にするためにも、日医の作ったガイドラインにしたがって、尊厳死を広めていってほしいと思います。
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