米国でたばこをやめたい人のための「禁煙ワクチン」が開発され、国立衛生研究所の薬物乱用研究所(NIDA)から1000万ドル(約9億円)の助成を受けて、このほど最終段階の治験が始まった。
たばこを吸って快感が得られるのは脳がニコチンに刺激されるためだが、このワクチンを投与すると喫煙者の血中のニコチン分子に抗体が結合し、大きくなったニコチン分子は脳に到達できなくなる。その結果、神経伝達物質のドーパミンが放出されなくなり、快感を感じなくなるという仕組み。脳に到達するニコチンの量が徐々に減れば、たばこを吸いたいと思わなくなり、禁煙に成功する確率が高まるという。
米国がん協会の統計によると、米国の喫煙者4400万人のうち、70%がたばこをやめたいと考えており、毎年約40%が禁煙に挑戦するが、禁煙を続けられるのは4―7%止まり。しかしナビによれば、過去の臨床試験ではニックバックスを利用した被験者の30―35%が長期にわたる禁煙に成功し、副作用はほとんどなかったとしている。
今回の治験は約1000人を対象に実施し、効果や副作用を調べて一般的な療法と比較、安全性に問題がないかどうかを検証する。結果は2011年9月までに出る見通しで、これを受けて米食品医薬局(FDA)に承認を申請する予定。
国立衛生研究所幹部のフランシス・コリンズ氏は「ニコチン中毒による死者は米国だけで年間50万人に上るが、禁煙を成功させるための効果的な療法を見つけるのは極めて困難だった。今回の抗ニコチンワクチンの治験では、この問題の解決に向け、大きな希望が持てる」と話している。
煙草を吸っても気持ちよさを感じなくなったら、やめられますよね。いくら依存物質とはいえ。
やめるという意思が大前提ですが。
医学的な補助は、あくまでも補助。やめたいと思う心をほんの少し手助けするだけなのです。
禁煙は苦しいものですが、できるだけそれをサポートして、肺がんのリスクを減らせれば、いいと思うのですが。