2009年02月07日

低迷する歯学部教育。入学定員の見直しも考慮か。

歯学教育の入学定員の「見直し」も

 大学における歯学教育の今後のあり方などを検討する文部科学省の「歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」(座長=江藤一洋・東京医科歯科大名誉教授)は1月30日、歯学教育改善の方策を提言する「第1次報告書」をまとめ、同省側に提出した。報告書では、歯科医師が過剰な地域がある現状などを踏まえ、学生の臨床実習に必要な患者数の確保が困難な大学や、歯科医師国家試験の合格率が低迷する大学などに対し、入学定員の「見直し」の検討を提言している。

 報告書は、(1)歯科医師として必要な臨床能力の確保(2)優れた歯科医師を養成する体系的な歯学教育の実施(3)歯科医師の社会的需要を見据えた優れた入学者の確保(4)未来の歯科医療を拓く研究者の養成―の4項目。

 (1)では、大学側に対し、臨床実習の到達目標を明確にした上で、各科目の成績評価基準の明示を徹底すると同時に、臨床実習終了時の「OSCE(客観的臨床能力試験)」の実施などで、歯科医師として必要な臨床能力を評価するよう求めた

 また、その評価の際、国は全国的な標準評価項目を提示するとともに、国家試験での臨床能力評価についての検討に努めるよう提言した。さらに、診療参加型の臨床実習を行う学生の能力や適性を担保する観点から、国と「共用試験実施評価機構」は各大学の協力の下で、共用試験の統一的な合格基準の設定や、合格者に対する証明書発行を検討する必要があるとした。

 (2)では、基礎と臨床、座学と実習が有機的に結び付いた体系的な教育課程の編成を徹底させ、成績評価や進級判定を厳格化することを大学側に求めた。さらに、その実現のため、講座や専門分野の枠を超えた、歯学教育全体にかかわる体系的な教育課程を編成する専門の教員の配置を進めるとともに、教員の意識改革や相互の共通理解などを図るべきだとした。

 体系的な教育課程の全学的な実施を促すため、国は歯学教育の「モデル・コア・カリキュラム」を見直す必要があるとした。また、優れた歯科医師を養成する歯学教育の質を保証するため、第三者評価の仕組みの導入を検討するよう提言した。

 (3)では、「成績が不振な者」に対し、大学側は、きめ細かな履修指導や学習支援を行った上で、歯科医師としての適性などに欠ける学生には、比較的早い時期に進路変更を勧めるなどの適切な指導を行う必要があるとした。さらに、▽入学試験の選抜機能が低下し、優れた入学者の確保が困難▽国家試験の合格率が低迷▽臨床実習に必要な患者数の確保が困難▽留年する学生が多数―などの大学は、「安易な入学者数の確保を優先するのではなく、歯科医師の社会的需要を見据え、学生が将来歯科医師として活躍し得るかなどの将来性を考え、入学定員の見直しを検討する」ことを求めた。

 (4)では、歯学系大学院について、基礎や臨床を問わず、「未来の歯科医療を拓く研究者の養成と、臨床の発展を目指す研究能力を備えた歯科医師の養成」という目的のため、ビジョンと教育内容を明確化し、組織的で体系的な魅力ある教育を提供すべきだとした。

 文科省は、近く全国の国公私立大学に報告書の内容を通知し、改善計画の策定などを求めていく方針だ。



 歯科学生にとっては厳しい現状ですもんね。

 まあ一般の人としては、歯学部で落第するようなレベルの人に診てもらいたくないというのはあるでしょう。もちろん歯学部時代の成績がそのまま良医に反映されるわけではありませんが、歯学部時代に怠けていた人より、常に頑張り続ける人のほうが優秀であることに違いありません。

 歯科医になっても腕がなければ夜逃げ同然になってしまう現状では、歯科医の適性がない人には早めの進路変更の考慮も必要だと思います。酷ではありますが。

 その根本的な策として、入学定員数の見直しも考えなければならないでしょうねぇ。今のまま毎年何千人も送り出していても。。。

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2009年01月12日

札幌の無料歯科医を指導。NPOと業務の区別を厳格に。

札幌の無料歯科医を指導=NPO業務と区別求める−北海道厚生局

 札幌市の歯科医院が特定非営利活動法人(NPO法人)と協力して無料診療している問題で、厚生労働省北海道厚生局は8日、同歯科医院に対しNPO法人と業務を厳格に区別するよう文書で指導した。さらに23日までに改善計画書を提出するよう求めている。



 まあねえ・・・。

 足並みそろえないとってところはあるんでしょうね。確かに業務なのかNPOなのか分かりかねるところはありますけど。

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2008年12月21日

歯科の4割で、患者が減少している現状。

歯科の4割超で患者が減少

 所得による医療機関の受診「格差」が指摘される中、歯科の4割超で患者数が昨年より減少していることが、全国保険医団体連合会(保団連)の「2008年歯科診療報酬改定影響会員調査」で明らかになった。保険と自費の二本立てになっている歯科医療では、保険診療が縮小し、患者負担が大きくなっていることが要因の一つとみられ、保団連では「歯科診療所で患者の受診抑制が進んでいる。国民は『保険で良い歯科医療』を望んでおり、保険の適用範囲を拡大して負担を軽減すべき」と強調している。

 調査は、都道府県の保険医協会・医会の歯科診療所の会員を対象に実施し、842人から回答を得た。

 その結果、昨年6月と今年6月の患者数を比較して、「減った」が42.0%(354人)に上り、「増えた」は16.0%(135人)にとどまった。このほか、「変わらない」が40.7%(343人)などだった。

 歯科医療については、総務省の「07年家計調査」で、医科に比べて年収による支出額の差が大きく、所得が最も高い層と低い層では診療代に5倍の開きがあることが分かっている。NPO法人(特定非営利活動法人)による世論調査でも、経済的な理由から歯科の受診を控えた経験のある人の割合が、高所得・高資産層の13%に対し、低所得・低資産層では40%に上り、経済力によって3倍以上の格差が出ている。

 保団連では「患者が負担を心配することなく、安心して掛かれる歯科医療を保障することが不可欠」と指摘している。

 調査では、今年4月の診療報酬改定で歯科の技術料本体が0.42%引き上げられたことへの評価も尋ねたが、「大変良かった」が0.4%(3人)、「良かった」が17.5%(147人)で、肯定的な意見は2割に満たなかった。一方、「大変悪かった」が10.9%(92人)、「悪かった」が27.6%(232人)で、否定的な意見が4割近くに上った。このほか、「どちらとも言えない」が41.3%(348人)に上った。

 また、レセプト1件当たりの点数については、昨年と今年の6月を比較して「下がった」が35.4%(298人)に対し、「上がった」は20.1%(169人)。「変わらない」は38.0%(320人)だった。

 保団連では「06年の改定で歯科医療費はマイナス3.7%に落ち込んだ。今回の調査で、レセプト1件当たりの点数が『下がった』と『変わらない』の両方で約75%を占めており、06年の改定で被ったマイナスを回復できていない実態が明らかになった」とした上で、「歯科医療費を増やし、診療報酬を大幅に引き上げるべき」などと主張している。



 歯科って儲かるところはハンパなく儲かりますからねぇ。

 まぁ確かに保険でやってもらえるのならそりゃ国民はそのほうがいいとは思いますけれど、国のお金にも限度がありますからね。歯科の、別に必要ではない処置まで保険にしてしまうと、さすがに税金的にパンクしてしまう可能性が。

 しかも今は歯科技術がものすごく発達していて、歯科医院ごとの格差も広がっているんじゃないでしょうか。あの歯の強制も、表に見える形でやるやり方ではなく裏側につけるやり方も最近流行ってるみたいですが、100万を超えるとか何とか・・・。それまで保険適用にしてしまうのは微妙ですよね。別に命に関わるわけではないですし。美容形成の分野と同じですし。
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2008年12月11日

9200年前の歯垢から、古代人の食生活を分析する。

「歯垢」を分析、9200年前の食生活が判明

 約9200年前の人々がどんな食生活を送っていたのか?米国の研究者が遺跡から見つかった歯に残っていた「歯垢」を分析することで、当時の人類が食べていた穀物の種類などが判明したと、米科学アカデミー紀要(PNAS)電子版に12月1日、発表した。

 米スミソニアン熱帯研究所と米国立自然史博物館の研究チームは、南米ペルー北部ナンチョク谷付近で、約5500─9200年前に暮らしていた人々の遺跡から発掘された、6─8人の歯39本を調査。歯の表面に残っていた「歯垢」から、食べていたものを割り出した

 その結果、カボチャや豆、ピーナツ、地元の果実「パカイ」などを食べていたことが判明した。また、ほとんどの歯には穀物由来の「デンプン」が付着しており、調べた歯の3分の1のデンプン量はかなり多かったという。

 この結果から、この時代の人々が穀物を栽培し、定住していたことがわかるという。また、栽培された穀物が調理されていたこともわかった。

 研究チームは今後、穀物の種類などを突き止めて、ネアンデルタール人や初期の人類との食生活の違いを比較したいと話している。



 色んなことが分かるんですねぇ。

 藤子F不二雄のSF短編で、人間が一人でも生き残れば、遺伝子の進化過程を逆に辿って地球上の全生物を再生することも可能、という話がありましたが、何かこう、似てますね。

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2008年12月08日

20歳以上の日本人の8割が歯周病になっている。

細菌減らして歯周病予防

 日本では20歳以上の8割前後に歯周病の可能性があり、50代の半数は何らかの義歯を使っています。歯周病は進行すると、出血や歯のぐらつきなどの症状が出ます。しかし、自覚症状がないまま進行することが最大の特徴です。症状が現れてからでは遅いのです。

 歯周病の原因は細菌です。細菌は歯の表面や歯と歯茎の間で繁殖し、細菌の塊である歯垢を形成しますそれが唾液中のカルシウムにより石灰化し歯石になります。細菌の数が増えて、体の抵抗力でカバーできなくなると病気になります。歯周病は進行すると、歯を支える骨がなくなってしまい、最終的には自分の歯を失うことになりかねません。適切な歯磨きはもちろんのこと、数カ月に1度、定期検診を受けることをお勧めします。

 残念ながら、口中の菌を“ゼロ”にはできません。しかし、減らすことはできます。ブラッシングだけでは磨けない場所もあります。検診でチェックと細菌の繁殖を抑えるためのクリーニングを受けて下さい。定期的に歯の検診を受けていれば、自分の歯を残しやすいことが統計でも裏付けられています。

 気になるのは、口の中の環境を知らない方が多いことです。例えば、自分の歯が何本あるか把握されていますか。すべてそろって28本、“親知らず”を含めれば32本です。即答できる方は珍しいですね。まず、口の中を知っていただくことが予防の第一歩です。歯並びも人によって違います。並び方が違えば、磨き方も変わります。自分に合った歯の磨き方も含めて気軽に相談してほしいと思います。



 日本人の歯の並び方は結構特有だとか。それに対応した電動歯ブラシなども出ているようですけれど。

 歯は大事ですからねぇ。将来、年をとっても、自分の歯で物を噛み、自分の力で歩きたいものです。そのためには若い頃からの「維持」が必要ですね。

 たかが歯磨きといえど、毎日しっかりと行うことで、確実に予防することはできます。これからの時代は「予防医学」です。将来歯周病になって悩む前に、まずはきちんと歯磨きの習慣をつけましょう。

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2008年10月13日

良い歯科医を患者の立場から紹介する相談所。

良い歯科医 教えます

 患者の立場で歯医者を紹介できないか。調布市の須藤哲生さん(59)は、30年以上に及ぶ歯科技工士としての経験を生かし、7年前から渋谷区でそんな仕事に取り組んでいる。50歳をすぎての挑戦は、ようやく軌道に乗り始め、今月末には、大阪に初の分室を開設する。医師選びに第三者の視点を役立てようと、還暦を前に意欲はますます盛んだ。

 青森県のリンゴ農家に生まれた須藤さんは、2歳のころに父が他界。小学生のころに母親も亡くなり、親類に引き取られて育った。

 進学して教師になりたかったが、経済的事情から中学卒業後に、歯科技工士の専門学校に入校。23歳のころ、歯科技工士の会社に就職した。約50人にも及ぶ歯科技工士がいるその会社で、最後は社長にもなった。

 だが、ずっと「歯科治療は患者本位ではないのでは」という問題意識がくすぶっていた。歯科技工士は、歯科医が患者から取った歯形をもとに差し歯や入れ歯を作るが、「高額の割には長持ちしない差し歯を、歯科技工士に作らせている利益優先のケース」を見聞きしたからだ。当時は、「医師の下請けで弱い立場。生活のためにやりたくないことも請け負った」。

 01年、52歳のときに「本当にいい歯医者を患者に紹介したい」と独立し、歯科医の紹介業を始めた。中立的な立場を確保するため、自らは歯科技工士の仕事は辞め、紹介業に徹することにした。

 紹介する医師は厳選。自薦、他薦の医師について、自ら訪問し、治療の技術や医院の設備など約180項目をチェックする。保険が利かない差し歯や入れ歯などの高額治療をする場合は、2年間の保証や治療計画、治療費を事前に患者に書面で出すことを条件に、首都圏と関西を中心に約20の医院を紹介している。

 最初はほとんど関心を呼ばなかったが、徐々に口コミで広がり、最近は年間1200人が利用するようになった。

 昨年秋からは、後継者を育成しようと、紹介業の養成講座も始めた。10月に開設する大阪の分室を任される教え子の河上博子さん(50)は、須藤さんを「年齢を感じさせないバイタリティー。違う目線で社会にもの申すところがすごい」という。

 須藤さんは「歯科の業界に風穴を開けたかった。今後も後継者を育て、技術が確かで患者の立場にたった歯医者を紹介する仕事を広げていきたい」と意気込む。

 須藤さんの紹介業「あいぼりー歯の相談室」の紹介料は、相談費込みで5千円。60分ほど相談し、治療が終わるまでサポートするという。問い合わせは、ホームページか同相談室(03・5308・6487)へ。



 相談代と、紹介料、サポート代、そして何より確実な良い歯科医を受診できて5000円は激安ですね。私も利用したくなります。ただこの事業は須藤さんが自分の足で歩いてやっているから良いのであって、慢性的な事業になってしまって歯科医と癒着するとオワリですね。
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2008年09月02日

歯の本数が多い人ほど、海馬の容積は大きい。

「噛む力」見直そう 健康にも影響、肥満も予防

 生活が豊かになって「とろける」「ふんわり」など“やわらかい=おいしい”という傾向が強まった日本人の嗜好。同時に、子供たちの噛む力も弱まってしまったといわれる。よく噛むことは、食事の基本であるだけでなく、脳の活性化や生活習慣病予防にもつながることから、噛む力を見直そうという動きが出てきている。

 「噛むことは意外なほど健康に大きな影響をもたらすものなのです」と、和洋女子大学の柳沢幸江教授(栄養学)は話す。この3大効用を「唾液を多く出す、食べ過ぎを防ぐ、脳への刺激を増やす」と説明する。

 唾液の分泌量は噛んだ回数と比例する。唾液には消化・吸収を助けるアミラーゼや、細菌や発がん性物質を減らすラクトペルオキシダーゼといった酵素、味覚機能を高める物質のガスチンなど、健康に役立つ有効成分が多く含まれる。

 また、咀嚼することで脳にある満腹中枢を刺激し、食べ過ぎ、さらには肥満を防ぐ。脳の血流がよくなって、記憶力や集中力も高まるという。

 「お年寄りの脳を調べたところ、歯の本数が多い人ほど記憶に関与する海馬の容積が広いことがわかっています」と柳沢教授。

 運動としてだけでなく、よく噛むことで食べ物の味と香りが引き出され、きちんと味わって食べることができるのも大切な点だ。

 噛む量を増やすには、どうしたらいいか。まずは、食生活に根菜類や乾物など噛み応えのある食品を積極的に取り入れる。調理をする際は切り方を大きめにする。反対に、食べるときは一口分の量を減らし、何回にも分けて口に運ぶ。食事にゆとりをもつことも重要なわけだ。

 柳沢教授らは、子供からお年寄りまで幅広く「噛む」ことを意識してもらおうと、米菓に「かたさ度」を表示するプロジェクトをすすめている。せんべいやあられの硬さを、機器の測定と官能検査によって5段階に分け、包装に表示するもので、来月から「かたさ度」を示すマークが入った商品が順次お目見えする。



 えぇ私も1口分が大きく、しかも早く飲み込んでしまうんですよね。いけないとは思いつつも、スピードと量を優先してしまいます。

 しかし噛むことで全体のバランスを整えているというのは、あるでしょうね。整形的な領域の話になってきますけれど。確かにガムなんか噛んでたほうが、集中力は増しますね(伊達にメジャーリーガーはクチャクチャ噛んでません)

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2008年08月22日

親知らずからiPS細胞を作ることに成功する。

「親知らず」から万能細胞 産総研チームが成功

 抜歯した「親知らず」に含まれる細胞から、新型万能細胞「iPS細胞」をつくることに成功したと、産業技術総合研究所の大串始主幹研究員らのチームが21日、東京都内で開かれたシンポジウムで発表した。

 iPS細胞はこれまで、主に皮膚からつくられていた。親知らずは通常、抜歯後に捨てられてしまうため、より入手しやすい上、今回iPS細胞づくりに使われた細胞は長期保存も可能。再生医療の研究や、将来の臨床応用の可能性を広げる成果として注目される。

 チームが使ったのは、10歳の女児が歯科医で抜いた親知らずから取り出した「間葉系幹細胞」という未分化な細胞。数年間凍結保存してあったのを解凍し、iPS細胞を最初につくった山中伸弥・京都大教授が皮膚に組み込んだ4種類の遺伝子のうち、がん遺伝子を除く3遺伝子を導入したところ、iPS細胞ができたという。



 もうどこからでも作り出せるんじゃないかというくらいです。そのうち当たり前のように親知らずや乳歯を保存するようになるのかもしれませんね。勿体なくて屋根の上やら縁の下やらに投げ込めなくなってきました。笑

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2008年07月18日

昔と違って「まったく痛くない」歯医者が増えている。

“死ぬほど痛い歯医者”はなぜ減ったのか

 近年は、「まったく痛くない歯医者」と評判の歯医者が、けっこうある。これってなぜなんだろうか。昔に比べ、どんな小さな治療でも麻酔を使うようになったなど、麻酔に対する考え方が変わってきたんだったりする?

 日本歯科医師会に問い合わせたところ、杉並区歯科医師会会長の高橋英登先生がこんな説明をしてくれた。「確かに、近年は痛い歯医者が減っていますが、麻酔というよりも、治療法が変わってきたことがあるんですよ」

 昔は歯の接着剤が良くなかったため、詰めものがとれないように、深く削って詰めなければいけないという事情があったのだとか。ところが、15年ほど前から優れた接着剤が登場し、大きく削らなくとも詰め物がきちんと詰められるようになったのだという。

 「接着剤はいま、非常に良い製品が出ていて、世界に輸出しているほど。接着は、歯科医療の様々な部門のなかでも、日本がトップという数少ないものなんですよ。また、それにより、MI診療(ミニマムインターベーション)といって、健全な歯質を残して、虫歯部位を最小限に削除しようという傾向が強くなり、削る部分がすごく少なくてすむようになったんです」

 つまり、削る部分が少なくてすむため、麻酔をせずにすんでいるケースが増えているということのよう。

 また、大きく異なるのは、「麻酔の針」だ。「昔は使い捨てでなく、何度も消毒しながら使っていたため、先が丸まって、歯茎に刺さりにくくなっていました。また、弱く、すぐ曲がってしまうため、痛みをより感じることもありました。でも、今はすごく細く丈夫な使い捨ての針ができたことで、歯茎にスパッと入り、あまり痛みを感じなくなったんです。まるで蚊に刺されるような感覚ですよ」

 さらに、歯医者が増えていることも一因として挙げられるという。
「歯医者がとにかく増えていて、東京ではコンビニエンスストアの2.2倍もあるんですよ。要は、切磋琢磨して技術を磨かないと、患者が来てくれないということですね」



 医療の大きな変革の1つに「患者主体」があります。意識の持ちようが大きく変わったわけです。

 昔は「治してやるから我慢しろ」という感じでしたけれど、今では「どうしたら患者さんが痛まず、苦しまずに治療できるか」を優先して考えています。極力痛まないように麻酔をする技術も進歩してきましたし(まぁそれでも注射するだけで痛い、というのはあるかもしれませんが)

 歯科も劇的に変わったんでしょうねぇ。無痛を謳っているところもあるぐらいですし。しかしどの歯科医が優良なのかを探すのが、また一苦労なんですよね。まだまだ無痛が標準とはなっていませんし、口コミでしか見つからないのが歯がゆいです。
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2008年07月17日

カニの甲羅に含まれる成分「キトサン」で歯周病を治す。

カニ殻でヒトの骨再生 北大など新技術を開発

 北大や北海道曹達(苫小牧)などでつくる研究グループ(代表・井上農夫男北大大学院歯学研究科教授)は、カニに含まれる物質を使い、歯の周囲の骨(歯槽骨)を再生する技術を開発した。歯周病でかみこなす能力の落ちた患者や歯以外の骨のがん治療にも有効で、十八日に北大で開かれるシンポジウムで発表する。

 グループリーダーの柏崎晴彦・同助教によると、道産カニの甲羅から抽出したキトサンと、人間の骨の主成分ハイドロキシアパタイト結晶を合成。この物質に骨の再生を促すタンパク質を加えて三十匹のラットの皮膚に与えたところ、四週間後、皮膚に骨が形成されたという。

 歯周病などで歯を失うと歯槽骨が細くなる。放置すると義歯やインプラントを埋め込むことが難しくなり、かみこなす能力も低下する。治療は自分の他の部位の骨を、歯槽骨に埋め込み再生を促す自家骨移植しかない。同グループの技術を使えば、骨移植が不要になるうえ、合成した物質には細胞の働きを制御する機能もあるため、がん細胞を抑える効果も期待できる

 柏崎助教は「抗がん剤と組み合わせることで、骨にできたがんを攻撃し、再発を防いで骨を再生させる治療技術につながる。二〇一〇年をメドに実用化を目指したい」と話している。



 思わぬところに、ヒントが転がっているものですね。

 まさかカニの甲羅とは。目の付け所が北海道。

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2008年07月08日

傷口や虫歯…知られざる唾液の効能について。

むし歯の始まり 唾液が修復

 「チチンプイプイ、痛いの痛いの飛んでいけ〜!」なんて言いながら、ケガをした傷口につばをつけたりしませんでしたか?

 今の子供たちはともかく、私の時代にはよくやっていたものだ。実際2〜3日もすれば傷はすっかり良くなっていたし、猫も犬もケガをするとぺろぺろとよくなめているので、やはり、唾液は殺菌力があって効果的なのかなと思っていた。

 ところが、傷の専門家(夏井睦・石岡第一病院傷の治療センター長)によると、確かに唾液の中には抗菌作用を示す成分はあるが、とても殺菌するレベルではなく、傷口を覆って乾燥するのを防いでいるにすぎないという。急場ならいざ知らず、やはり清潔な水で洗って乾燥させないことが一番らしい。

 しかし当然のことながら、唾液は口の中では大活躍をしている。まずは、食物を食べやすいように丸めて消化を助け、話すときには舌が滑らかに動きやすくする。唾液が少なければうまく食事できないし、口もよく回らない。たまには滑らか過ぎて、口角泡を飛ばし、他人様に迷惑をかけている人もいるが。

 むし歯と歯周病は、いずれも口の中にいる細菌が関係しているが、唾液はこれらを洗い流す役目がある。昼間の時間帯はよいが、睡眠中は唾液分泌の方もお休み時間となって十分に出ないため、細菌にとってはまさに鬼の居ぬ間の大暴れの時となる。その結果、むし歯や歯周病にかかりやすくなるし、朝一番の口臭の元にもなる。

 だから、寝る前にはしっかり歯磨きをして、細菌を取り除いておかなくてはならない。昔のコマーシャルに「歯周病菌は夜眠らない」なんていうのがあったが、まさにその通りである。

 その他、唾液には酸によって分解された歯のエナメル質を修復してくれる役目もある。細菌が飲食物中の糖分や炭水化物を利用して酸を発生し、眼には見えない程度だが、エナメル質の表面をとかしてしまう。これがむし歯の始まりである。

 まあ、それでも人間の体はよくしたもので、食後たっぷりと出てくる唾液に含まれる成分が、減った部分を補ってくれる。ただ、修復にはとけるスピードの何十倍もの時間が必要なので、食後しばらくは何も食べない方がよい。とくに細菌に餌を与え続けるかのように、だらだらと間食をするのが一番いけない。昔から言われているように、おやつは10時と3時、それ以外は取らないように。



 「傷口は乾燥させない」、これは今や主流となりつつあります。以前は傷をいかにして乾かすかがポイントになっていたように思いますが、最近では傷を乾燥させない絆創膏なども出ていますね(お高めですが)

 ま、水で洗って綺麗にしておけば特に何もしなくて良い、というところでしょうかね。民間療法で、煙草の葉を押し付けるようなところもあるみたいですが、とんでもございません。やめてくださいね。

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2008年07月02日

歯科インプラント手術で、術中に大量出血し死亡する。

インプラント手術で死亡 遺族が歯科医院側を提訴

 東京都中央区の歯科医院で昨年5月、人工歯根を埋め込む「インプラント手術」を受けた女性=当時(70)=が手術中に大量出血し死亡した事件で、女性の遺族4人が歯科医院と男性院長を相手取り、約1億9000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしていたことが25日、分かった。一方、警視庁は業務上過失致死容疑での立件に向け、詰めの捜査を進めている。

 インプラントは、歯茎からドリルで穴を開けてあごの骨に人工歯根を埋め込み、人工歯根に義歯を装着する外科手術。入れ歯に比べてかみ合わせがよく、見た目がきれいなことなどから、利用者が増えている。院長は、国内のインプラント手術の先駆者として知られる

 訴状などによると、女性は昨年5月22日、手術中に出血が止まらなくなり容体が急変。近くの総合病院に搬送されたが、すでに心肺停止状態で、翌23日に死亡した。司法解剖の結果、死因は口腔内の出血などによる窒息死と判明。ドリルであごの骨を貫通し、動脈を切断、大量出血していた。

 遺族によると、院長は当日は体調不良だったといい、手術ミスを認めているが、和解に向けた話し合いが進展していない。遺族は「手術は、体調が万全な状態で行うべきだ。その後の対応にも誠意が感じられない」と話している。

 歯科医院側は「訴状を見てから考えたい」としている。



 パイオニアや、有名大学出という、肩書きで医者を判断するのは大変危険です。そして肩書きに負けないよう、1つ1つの症例に全力を尽くすことも、出来る医者に求められる条件です。

 流石に動脈を切断して出血によって窒息死、となると、なんともいえぬアレですが…。医者が体調不良のときにどうするか、という点も裁判で結論を出してもらいたいと思います。今の医者が過労状態にあるのは、結局患者のためにならんと証明するという意味も込めて。

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2008年06月28日

感染性心内膜炎の予防には歯のケアが欠かせない。

十分なオーラルケアが心臓の感染症を予防する

 心内膜や心臓弁にみられる危険な細菌感染である感染性心内膜炎(infective endocarditis: IE)は、細菌が血流に入ることで生じるが、IEの予防には歯や歯茎の十分なケアが欠かせないことが、米国の新しい研究によって明らかにされた。

 今回の研究で、米カロライナメディカルセンター(ノースカロライナ州シャーロット)口腔医学部部長のPeter Lockhart氏らは、歯科を受診した患者290人を対象に、歯磨きなど歯にかかわる日常的な活動が、抜歯など重大な歯科処置と同程度にIEを引き起こすかどうかを検討した。研究結果は、米医学誌「Circulation」6月9日号に掲載された。

 同氏らは、歯磨きを行った時、抜歯の際に抗生物質を用いたケース、または用いなかったケースにおいて血流に入る細菌の量(菌血)を分析。また、これらの行為の最中および前後に血液を採取し、IE原因菌を調べた。その結果、歯磨き時のIEに関連する菌血症発生率(23%)は、予想していたよりも抜歯時(抗生物質使用時33%、未使用時60%)に近かった。

 Lockhart氏は「歯磨きで菌血症が生じる確率のほうが低いが、日常生活での頻度を考慮するとリスクは高くなり、365日1日2回の歯磨きによる菌血症は、歯垢取りや歯の充填などの処置を行う年1、2回の歯科受診によるものとかわらない。ただし、IEなど感染リスクがなければ一過性の菌血症に対する心配は不要である」と述べている。

 また、同氏は「口腔衛生対策を怠ると、口腔内疾患は徐々にかなりの数増加し、著しく悪化する。膿瘍などの慢性感染や急性感染の原因は歯肉(歯茎)の疾患や虫歯(う食)であり、これらによって菌血症が頻繁に起き、心臓や他の病状などのリスクがあれば心内膜炎になるリスクが生じる」とも警告している。



 菌が歯ぐきのスキマから血管内に入り込み、さらに血流に乗って心臓まで到達し、そこで菌が増殖すると「感染性心内膜炎」を発症します。

 ホントかよ!って感じですが、本当なんです。怖いですよね。

 特に、ただ身体に菌が入るだけなら、通常であれば免疫機能が働いて感染することはないんですけれど、免疫機能が低下している人なんかは感染リスクが上がりますので、ご注意下さい。

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2008年06月23日

子供を多く産んだ女性は、歯を多く失う。

妊娠と歯の喪失との関連性がデータで明らかに

 「子どもを産むたびに歯を1本失う」という古くからの言い伝えは、ある点では事実のようだ。女性が子どもを多く産めば産むほど、歯を多く失う傾向が高まることが米国の研究で明らかになった。

 米ニューヨーク大学疫学助教授のStefanie Russell博士は、第3回米国民健康栄養調査(NHANES III)で1回以上の妊娠を報告した18〜64歳の女性2,635人のデータを検討。その結果、大規模で不均質(heterogeneous)なサンプルにおいて、妊娠と歯の喪失との関連性が、すべての社会経済的レベルの女性に認められることが明らかになった。

 同氏は、妊娠および出産に伴う、下記のような生物学的および行動上の特定な変化が、歯を失う原因ではないかと考えている。

妊娠は女性の歯肉炎(歯茎の炎症)の発生傾向を高める。妊娠を繰り返すほど、歯肉炎発生の頻度が高くなり、歯を失う原因となる。

・子どもを産むことによる経済的懸念から、歯科治療のタイミングが遅れる。

・子どもの世話のために、自分の歯科衛生に費やす時間が減少する。

 Russell氏は「妊娠と歯の喪失との特異的な理由に関してはさらなる研究が必要だが、複数の子どもを持つ女性は、口腔衛生に特に気を配るべきだろう。社会全体としては、子どもがいる女性は歯科治療を受けるのが大変だという理解を深めることが重要。歯科医に行く時間を与えるなど、簡単なことで構わないので、彼女らをサポートすべきである」と述べている。



 社会的な因子がどうやら強そうです。たしかに子育てをしつつ歯の治療を行えるかというと難しいかもしれませんね、と他人ごとのように私も思ってしまっていますが、実際は結構切実なのでしょう。

 しかし加齢によってどうしても歯周病は起こってしまうものですので、定期的なケアは必要です。

 この記事をご覧になった旦那さん、自分が子供の面倒を見れそうな時に「行っといで」と言ってあげて下さい。その一言で子育てに追われず楽になる方も少なくないはずですよ。

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2008年06月22日

虫歯菌だけを溶かす酵素を使った歯磨き粉やガム

虫歯菌溶かす酵素で新事業

 広島大発ベンチャー企業のツーセル(広島市南区)は、虫歯の原因菌(虫歯菌)だけを溶かす新発見の酵素を活用したビジネスに乗り出す。すでに世界10カ国で特許を申請。使用権を家庭用品や食品のメーカーに販売し、歯磨き粉やガムに混入して虫歯予防補助剤としての商品化につなげる。

 酵素は、広島大大学院医歯薬学総合研究科の菅井基行教授(細菌学)のグループが2004年、世界で初めて発見した

 口内にあるサリバリウス菌などの「善玉菌」を残したまま、ミュータンス菌などの虫歯菌だけを溶かす性質を持つ。菅井教授らは遺伝子情報も解明し、06年にツーセルへ販売・使用権を譲渡した。これまでの研究で、酵素入りの水を与えたラットは通常の水を飲ませたラットに比べ、口内の虫歯菌が激減。20分の1のレベルまで虫歯菌数が減り、完全に死滅したケースも確認したという。

 ツーセルは、酵素の使用権を販売して商品化してもらうビジネスモデルを想定し、日本や欧米など10カ国で特許を申請。今年1月、オーストラリアで初の特許を取得した。13年の商品化を目指している。



 おお、これ凄いかも。むしろこんなん出たら歯科医激減の可能性も?

 虫歯菌だけを溶かす技術。凄いなぁ。完全に死滅させることができるならば、その間に善玉菌が繁殖して、二度と虫歯菌の付け入るスキがないような状態にもできるのでは?(いわゆる「虫歯になりにくい歯」のような)

 でも商品化に相当時間がかかっているのは何ででしょうね。やはり酵素を使った食品だと作るのもそうとう難しくなってるんでしょうかね。

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2008年05月22日

口臭を防ぐ舌専用ブラシについて

口臭防ぐ舌ブラシ、炎症予防の効果も

 様々なタイプの舌ブラシが、喫煙をする人などの口臭対策に売れている(東急ハンズ池袋店で) 舌の汚れを落とし、口臭を防ぐ目的で使う舌ブラシが、男性を中心に人気を集めている。歯ブラシタイプやへら状のものなど、ドラッグストアなどでは品ぞろえが充実。

 ただし、頻繁に使うと舌の表面を傷つけてしまうこともあるので、使い方には注意がいる。

 舌ブラシを使う目的は、舌を白っぽく覆う舌苔を取り除くこと。舌苔は食べもののかすが舌に残ってできる。それが増えると口臭の元になり、細菌が繁殖して舌炎や口内炎もできやすくなる。

 東急ハンズ池袋店(東京)のボディーケア用品売り場では、軟らかいナイロンの毛やシリコンなどでできた舌ブラシ約20種類を扱っている。携帯用や使い捨てのもの、舌苔を落としやすくする専用のジェル付きのものなどがある。同店の担当者によると30〜50歳代の男性を中心に200〜300円台の商品が売れる。

 もっとも、「歯に比べ、舌のケアは一般にはまだ広まっていない」と、元日本歯周病学会理事長で日本歯科大名誉教授の鴨井久一さんは話す。

 鴨井さんによると、鏡を見ながら舌の奥から先に向けて力を入れず、かき出すように舌苔を取り除く。歯ブラシは毛先が硬く、舌から出血することもあるので避けた方がよい。子ども用の毛先の軟らかい歯ブラシなら代用できる。

 手入れは、1日1回で十分回数が多すぎると、舌の表面で味を感じる味蕾を傷つけてしまうからだ

 鴨井さんは高齢者にも使用を勧める。「年を取ると唾液の分泌量が減って舌に食べかすがたまりやすく、炎症を起こすこともある。舌ブラシでの定期的な手入れを心がけてほしい」と話している。



 記事中にもありますように、歯磨きと同時に歯ブラシでケアする人は多いと思いますけれど、舌の細胞(葉状乳頭、糸状乳頭とか)が傷ついてしまう危険性がありますので、舌を磨くときは専用のケアブラシを使って、優しく洗って下さい。

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2008年03月16日

乳歯を利用したヒトの近親者間の骨の再生医療

乳歯幹細胞:親イヌの歯槽骨再生に成功 名古屋大など

 子イヌの乳歯から取り出した幹細胞で親イヌの歯の根元の骨を再生させることに、名古屋大などの研究チームが成功した。乳歯を利用したヒトの近親者間の骨の再生医療に道を開く成果として期待される。13日から名古屋市で開かれる日本再生医療学会で発表する。

 同大の上田実教授らは、生後約2週間の子イヌの乳歯から幹細胞を採取。培養して骨になる一歩手前まで分化させた。一方、この子イヌの親イヌ(生後2〜2年半)の歯を抜き、その下の歯槽骨に10ミリの穴をあけ、分化した細胞を移植した。4週間後に骨の再生を確認、8週間後に穴はふさがり、ほぼ完全に元通りになった。中型犬の親子2組で実験していずれも成功した。

 免疫抑制剤は使わなかったが、拒絶反応は起きなかった。移植する際、親イヌの血小板を濃縮してゲル状にしたもので細胞をくるんでおり、研究チームは「親子であるうえ、親イヌ自身の血小板の働きによって免疫反応が抑制されたのではないか」と話している。

 マウスでは同様の成果が出ているが、大型動物での成功は初めて。歯槽膿漏の治療や骨の再生につなげたいという。同大では昨年12月、ヒトの「乳歯幹細胞研究バンク」を設立し、再生医療への応用を目指して研究を重ねている。



 移植は、医学的に子から親への移植は抗原の問題などからやりやすくても、倫理的には親から子であるべきというのが世論です。

 しかしこの乳歯から取り出した幹細胞で、骨を再生するというのは、「子から親」への良き適応ではないでしょうか。

 親となる人の年代になると、どうしても歯の問題は生じてきます。子の乳歯を屋根の上に投げず、乳歯バンクに入れておく時代がすぐそこまで来ているのかもしれません。

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2008年01月31日

歯科医の20%が、年収300万円以下

歯科医の5人に1人は年収300万円以下

 昨年10月に全国保険医団体連合会主催で開かれた集会で、歯科医師の5人に1人が年収300万円以下であると報告した。その理由として00年以降相次ぐ診療報酬のマイナス改定と73項目にわたる保険点数が20年間も据え置かれていることが挙げられている。

 歯科医を目指す人々にとっては何とも将来を憂いたくなるような状況だが、ある歯科医は「2世3世の歯科医でなければ開業しても借金を抱えるのがオチ」とさらに追い打ちをかける発言をする。

 「設備投資がとんでもなくかかるんですよ。例えば治療する際に座る椅子。あれは1台数千万もするもので、それを揃えるだけで億単位で金がかかります。そこまでして設備を整えても報酬は雀の涙で借金を完済することはおぼつかない。

 おまけに新しく医院を開いても、すでに歯科医院なんてどの街にもあるものだから新規の患者はやってこない。低い医療報酬、莫大な借金、来ない客、働いても働いても八方ふさがりですね。私も父親が歯科医院をやっていなければ別の仕事をせざるを得ないところでした。まぁ、借金がないというだけで生活は特に楽という訳でもないのですが……」。

 このような状況が続くようであれば、現在社会問題となっている医療崩壊に歯科医も数え上げられる日も遠くなさそうだ。



 元々医師よりも、歯科医の夜逃げなどは以前から問題になっていましたが、事態は深刻なようです。混合診療を認められるようになった歯科医と、医師会の力が強く混合診療を認めず全て保険適用にした医師と、ン十年経って大きな差が出てきました。

 とはいっても5人のうち4人は、相当なお金を儲けていると思われます。審美歯科ですとか、インプラントですとか、バイオプレートですとか、新しい歯科医療を用いて都会で開業している人や無痛治療を得意とする人なんかは、年何千万稼いでいるか分かりません。

 開業なんてのは運の要素も強いです。たとえ腕が良くて、やっていることが画期的であっても、宣伝方法を誤るとか、ちょっとした立地条件の問題とかで沈んでしまうこともあります。世襲制がどうのこうのというより、腕の良い歯科医、それも良心的な歯科医が生き残ってくれたほうが一般人としては嬉しいんですけれどね。

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2008年01月15日

40,50代は口腔の健康に対する意識が最低。

小中学生「歯の健康」重視、40―50代は最低――ライオン系研究所調査

 財団法人ライオン歯科衛生研究所がまとめた「口腔の健康に対する意識調査」によると、口内と歯の健康についての意識は小中学生で最も高く、40―50代で最低だった。歯周病や歯の喪失が増える60代では再び口腔の健康に対する意識が高まった。同研究所では「20歳以上を対象にした口腔ケア教育が重要だ」と分析している。

 全国の小学5年生から60歳以上の高齢者約900人を対象に調査した。回答者は「歯と口腔の健康」「口腔機能」「コミュニケーション」「お口の美しさ」「笑顔」の計5項目について、健康で楽しい生活を送る上でどの程度重要と思うかを「非常に重要だと思う」から「全く重要だと思わない」の7段階の基準で選んだ。



 最も気を使わなければいけない40代が一番低いとは…

 まぁ気持ちは分かるんですけども。小学生の頃は、虫歯が嫌だから磨くとか、親に言われているから毎日定期的にとか義務づけられていますけれど、40代にもなってしまうと、「どうでもいいこと」となってしまうんでしょうね。虫歯とか歯周病とか、どうでもいい、と。

 しかし歯が健康でないと、老後がキツい気がします。いえ、本音を言ってしまえば40代でも、歯槽膿漏になると周囲としては最悪な気分になりますので、勘弁願いたいという心境でしょう。お互いのためにも、歯は大切に。

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2007年12月30日

太っている人ほど口臭は強い傾向に。

メタボな人、口臭にもご注意 テルアビブ大が研究・発表

 太っている人は口臭にご注意――。イスラエル・テルアビブ大のチームが、メタボなお父さんを不安にする研究結果を国際歯学誌に発表した。肥満は心臓病や脳卒中につながるだけでなく、口のにおいの強さに関係する恐れがあるという。

 同大のメル・ローゼンバーグ教授らは、20〜55歳のイスラエル人の男女88人に、朝めざめたときに口臭の原因物質を測定するとともに、専門家による口のにおいのチェックを受けてもらった。

 口臭の強さを6段階に数値化し、その人の年齢や病歴、喫煙・飲酒の習慣などとの相関関係を探った。その結果、体格指数(BMI)の数値が大きい人、つまり太っている人ほど口臭が強い傾向のあることが統計的に確かめられた。

 肥満と口臭の関係について同教授は、太った人が好む食品が口の乾燥につながって口臭につながりやすいとか、自分の体重の管理ができない人は口の中の衛生状態にも無頓着なのでは――と推測しているが、「真相はわからない」という。



 肥満になると代謝やらホルモンの関係で、確かに体臭や口臭は悪くなるかもしれません。口にする食品においても自己管理が求められる時代となってきましたので、注意されてみては。

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posted by さじ at 04:15 | Comment(2) | TrackBack(0) | 歯科