美容外科手術などであまった他人の健全な頭皮で毛の生えやすい基盤をつくり、髪の毛が少ない人の頭髪をよみがえらせる再生医療の研究を、国立循環器病センター(大阪府吹田市)、神戸大学病院、大阪工業大のグループが始める。まず人の頭皮を利用した基盤づくりの共同研究をする。国循センターの倫理委員会が31日研究を承認した。
他人の細胞は、拒絶反応を引き起こす。拒絶反応を避けるため、国循センターがブタの心臓弁の再生で成功している脱細胞化処理法を用いる。これは、薬品を使わずに高い水圧をかけて組織の中にある細胞を壊し、洗い流して組織の「抜け殻」を移植するもの。新たにできる組織や臓器には患者自身の細胞が入り込み、拒絶反応を起こさないという。
研究は、他人の頭皮をとりだし、1万気圧の水圧を約15分間かけて細胞を壊し、除去する。残ったコラーゲンなどによる1センチ四方の基盤の性質を確認する。その後、臨床研究を検討し、基盤の上に毛根を包んでいる患者の毛包をつけ、患者に移植。毛根づくりの指令を出す毛乳頭細胞を患者からとりだして新たな頭皮に育った基盤に注射し、頭髪の再生を促す。
髪の毛の再生。医療が進歩してきた今だからこそ、それも可能なのです。
案外楽そうにできて、しかし意外とデリケートな領域ですからねぇ。たとえ移植できたとしても、男性ホルモン値などによって、生え方も変わってくるでしょうし。
命どころか、生きていく上で機能的問題も生じないところでも、医療は進歩していきます。美容形成ではありませんが、損傷を負った人の傷を目立たないように修復したり、乳房を再建したりする技術を行う「形成外科」も、患者当人からすればかけがえのない技術なのです。
一般の方にしてみれば医者っぽくなさそうといいますか、「命を追わなくて楽そう」というイメージが強いのが残念なところですが。眼科も耳鼻科も精神科も皮膚科も、他の診療科と同じように、大事な「医療」を行う科なのです。
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