「根活」男性に強い味方? 承認4年目の脱毛症治療薬 男性型脱毛症(AGA)の進行を抑える医療用飲み薬「フィナステリド(商品名プロペシア)」が承認されて4年。当時、初の「飲む脱毛抑止剤」として広く注目を集めた。現在は、その効果が認知されはじめ、治療を受ける人も増加中だ。「根活(毛根活動)で、婚活(結婚活動)を成功させたい」と、人生の新しいステップに向かう若い男性の姿もある。
「薄毛で失った自信を治療で取り戻すことができた」。運転手の高橋清勝さん(33)=名古屋市南区=は、1年ほど前に頭頂部に10円玉大の脱毛を見つけた。初めは円形脱毛症を疑った。皮膚科を訪れたが原因はわからないまま、瞬く間に頭頂部から前頭部へ広がっていった。
急激な進行に驚き、戸惑う日々。気持ちがふさぎがちになり、人前に出なくなった。たまの外出時は室内でも帽子をかぶって視線を避けた。特に女性への苦手意識が芽生え、出会いの機会が減った。
治療開始は今年3月。同市中区の「AACクリニック名古屋」でフィナステリドを中心とした薬の処方を受け、服用を続けたところ、
数カ月後から回復を実感するようになった。現在は薄毛が目立たなくなり、帽子も手放した。高橋さんは「今はコンパにいきたい。婚活にも取り組めそうです」と笑顔で話す。
舞台俳優の中根健司さん(29)=同市中村区=は、22、23歳ごろから前頭部の生え際が薄くなり始めた。半年前から治療を受け、わずか2カ月で効果が出た。舞台に合わせて髪形をアレンジできるようになり、演じる役の幅が広がった。「気持ちや声が前にでるようになり、仕事にもいい影響が出た」という。
AGAとは遺伝的な要因を背景に、思春期以後の若年に始まる進行性の脱毛症。主に男性ホルモンの影響を受ける。日本では約650万人が薄毛に悩んでいるとされ、
30代の1割がAGAを抱えているといわれている。
治療は、外用薬と頭皮マッサージを中心とした育毛サロンと異なり、医療機関で処方を受け、飲む薬の力で進行を阻止する。れっきとした医療行為だが保険は適用外。同クリニックでは初診の検査料と診料で計1万5750円。
30日分の処方代が3万1500〜3万4650円のほか、ケア用品が月6千〜7千円ほどかかるが、「育毛サロンより断然安い」(中根さん)。薬の服用と頭皮への外用がそれぞれ1日1回あるだけで、通院は月1回のみと、手軽に治療できるのが特徴だ。
プロペシアを唯一、日本で販売する万有製薬によると、現在、処方医療機関は3万施設以上に増え、服用者数も18万〜19万人に達している。日本での売り上げは、06〜08年で67億円から127億円に急増。同社は「元々ニーズがあるところにフィナステリドが承認され、爆発的な広がりにつながった」と話す。
ただし、治療効果には個人差がある。同クリニックでは
2割の人は効果を実感できていないという。
そもそもAGAとは、毛髪の成長サイクルの中で成長期が短縮され、毛髪が細く短くなること。治療は細く短くなった毛髪を太く長くするもので、いわゆる「発毛」ではなく効果は限定的だ。
毛髪が太く長くなれば、発毛と同様の実感を得られるものの、一定以上のレベルに達したあとは、その状態を維持するのが目的となる。服用をやめればまたAGAが進み、性欲減退や勃起不全などの副作用も一部で確認されている。
同クリニックの平山信夫院長は「治療は最低6カ月は継続しなければ評価は難しい。効果発現に関してはかなり個人差があり、本人も納得の上で治療を開始するべきだ」と話している。
出た当時は革命的な薬でした。あれから数年、もうかなり広まりつつありますね。
今までは髪が薄かった場合、人工的に増毛するか、効果が定かではない民間療法に頼るしかありませんでした。
このプロペシアは、男性ホルモンの受容体をブロックしてしまうという、完璧な医薬品です。効果も十分にあります。副作用などはどうしてもでてきてしまいますが、そこらへんは薬との兼ね合いですねぇ。2割の人には効果ないらしいんで、使ってみないとわからない、というところかも。
フィナステリド(商品名プロペシア)
97年に米食品医薬品局(FDA)の認可を取った世界初の経口男性型脱毛症用薬。薄毛の一因とされる男性ホルモンの働きを弱める。もともと前立腺肥大症や前立腺がんの治療薬に使われ、体毛が濃くなる副作用があった。日本では05年10月に厚生労働省に承認され、同年12月に発売された。FDAが認めた男性型脱毛症用薬は、フィナステリドとミノキシジル(商品名リアップなど)のみ。男性型脱毛症以外の脱毛症(円形脱毛症など)への効果はないとされている。
関連
医学処:ハゲには内服薬が効く!カミの薬「プロペシア」医学処:プロペシアとカプサイシンとイソフラボンの発毛法が劇的効果。医学処:唾液に含まれるシアル酸に育毛効果がある。