2008年12月25日

セロトニンが視覚に与える役割を解明する

セロトニンの視覚に果たす役割を解明

 セロトニンは、神経細胞間で情報伝達を行う化学物質である神経伝達物質の1つです。脳内のセロトニン濃度の低下と鬱病等との関係が示唆されていますが、セロトニンの脳における機能はよくわかっていません。

 基礎生物学研究所 脳生物学研究部門の山森哲雄教授らの研究グループは大阪大学の佐藤宏道教授のグループと共同で、セロトニンが脳内における視覚の情報処理において、雑音(ノイズ)を減少させる役割と、視覚刺激のコントラストを適当な強さに調節する役割を持つことを明らかにしました。

 今回の研究は、セロトニンの高次脳機能における役割の一端を初めて明確に示したものであり、今後、その脳における役割の全容解明に貢献するものと期待されます。この研究成果は脳科学専門誌Cerebral Cortex オンライン版に12月5日に掲載されました。

 研究グループは、霊長類大脳皮質の代表的4領野について、各領野間での遺伝子発現を比較検討しました。その結果、神経間の情報伝達を担うセロトニンを受け取りその情報を他の神経細胞に伝えるセロトニン1B受容体とセロトニン2A受容体の遺伝子発現が一次視覚野の神経細胞において非常に強く発現していることを発見しました。

 そこで研究グループは、セロトニン受容体の視覚機能に果たす役割の解析を行いました。様々なコントラストの縞模様状視覚刺激をニホンザルに見せて、一次視覚野の神経細胞の応答を調べる実験を行いました。この時にセロトニン受容体を活性化する薬剤を投与することで、視覚応答に対するセロトニン受容体の効果が分かります。

 その結果、セロトニン1B受容体には、視覚刺激とは関係のない神経細胞の応答(ノイズ)を減らし、視覚刺激に応答する神経細胞の応答を強める働きがあることが明らかになりました。またセロトニン2A受容体には、コントラストが弱い視覚情報に対して、コントラストをより強く調節し、コントラストが強い時には、逆に抑える役割があることが判りました。

 以上の結果より、神経伝達物質セロトニンには、脳内における視覚の画像情報処理において、ノイズを減少させる役割と、コントラストを適正なレベルに調節する役割を持つことが明らかになりました。この2つの機能が相まって、鮮明な視覚像が脳内で再生されることが可能になると考えられます。



 細かい脳の分泌ホルモンは、いまだに作用などが解明されておりません。ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどは、こういう作用があるんじゃないかなぁという結果論的な発見はされてきており、精神科領域で活躍してはいますが、まだどんなメカニズムなのか明確になったわけではないのです。

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2008年10月20日

ドライアイは市販の目薬じゃ治らない場合もある。

増加する『ドライアイ』 市販目薬の多用逆効果の場合も

 パソコン作業に従事する人や高齢者の「ドライアイ」が増え続けている。重い疾患ではないが、目の疲れ、痛み、充血などの症状が続くと、生活全般に影響を及ぼす。日本眼科医会は、早めの受診を勧めている。

 眼球の表面の粘膜(角膜上皮)は、いつも涙液で覆われている。涙には、乾燥を防いだり、汚れを洗い落としたり、細菌の侵入を防いだりする作用がある。しかし、涙の量が少ない、蒸発しやすいなど涙液が不安定な状態になると、角膜上皮が乾いてざらざらになり、さまざまな不快な症状につながる。これが、ドライアイだ。

 藤田保健衛生大坂文種報徳会病院(名古屋市中川区)教授の平野耕治医師は「目の乾きだけでなく、目が疲れる、ショボショボする、ゴロゴロするといった不定愁訴が多い。推定患者は八百万人ともいわれる。病気だと考えていない人も多いが、生活に不快な影響を与え続けるという意味で明らかに病気。患者さんの満足度を高めるために、長期間伴走していくのが医師の仕事だと思う」と話す。

 ドライアイがパソコン作業者に多いのは、モニターを見つめる間、まばたきの数が減って、涙が蒸発しやすくなるため。モニターが高い位置で、いつも顔を上げて作業をしていると、さらに蒸発しやすくなる

 コンタクトレンズ、エアコン、車の運転なども、ドライアイを起こしやすい条件。男性よりも女性に多く、オフィス労働者のほか、最近は高齢者の受診も増えている。

 治療は、ドライアイが起きた原因によって異なる。最も一般的なのは、涙をためる効果のあるヒアルロン酸点眼薬や人工涙液による水分補給。治療を始めて一カ月以内に角膜上皮の状態がよくなることが多いが、継続した治療が必要な場合もある。

 眼科にかからず市販の目薬を使う人も多いが、市販薬の中には防腐剤や添加物が含まれているものもあり、使い過ぎると角膜上皮をさらに傷める場合もあるので注意が必要だ

 コンタクトレンズを使う人がドライアイに悩まされることも多い。名古屋大眼科講師の杉田二郎医師は「コンタクトレンズを装用すると、涙液の蒸発が活発になり、角膜の表面がどうしても乾きやすい。角膜上皮の状態が悪い人は、いったん眼鏡に替えて、傷を治してからコンタクトに戻す場合もある」と話す。

 このほか、シェーグレン症候群(口の中や眼球の乾きが特徴の自己免疫疾患)などで、涙の分泌量が少ない場合は、涙の排出口(涙点)をプラグで閉鎖する場合もある。

 患者のセルフケアも大切だ。乾燥しやすい季節には加湿器を使う▽職場の空調が顔に直接当たらないように工夫する▽テレビやパソコンの画面は視線が下向きになるように配置する▽意識してまばたきをする▽目を小さく開けるようにする−といった配慮で悪化を防ぐこともできる。



 市販の目薬といっても、色々なものがあります。中には血管収縮作用のあるものもありますからね。やはり眼科へ行って原因を調べて、それにあった治療を受けるべきでしょう。

 たかがドライアイ、されど、眼の疾患。放置しておいて良いことはありません。

 と、偉そうなことを言ってはおりますが、私自身コンタクトレンズで朝から外出し、夜はパソコンをつけ、「身体は疲れてないけど眼に違和感を感じる状態」です。休日だというのに目は休むこともできませんでした。

 0時を回りました。そろそろ明日の準備などすべきことをして、寝るとします。大事な眼球にも休息を。

 一週間、頑張っていきましょう。それでは。おやすみなさい。

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2008年08月31日

盲導犬と触れ合う体験イベントを行う。

盲導犬と歩いたよ 横浜で体験イベント

 親子で楽しみながら盲導犬に親しむ催しが30日、横浜市港北区の日本盲導犬協会・神奈川訓練センターであった。

 視覚障害について理解を深めてもらおうと、夏休み特別企画として同協会が開いた。参加者は盲導犬に触り、アイマスクをつけて盲導犬と一緒に体験歩行をするなど、視覚障害者の大変さを体験した。



 盲導犬の存在を知り、どういう意義があるのかを知ることで、広く認知されるでしょう。昔から盲導犬はいますけれど、実際に見る機会は少ないのでは。

 あ、実際に「任務中」の盲導犬には触ってはいけません。例えば電車の中で伏せている犬がいても「かわいいー」と手を出してはいけません。彼らは任務をこなすのに一生懸命なんです。

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2008年08月02日

動体視力に関係するタンパク質「ピカチュリン」

たんぱく質「ピカチュリン」、大阪の研究チーム発見

 視覚の情報を脳へ効率よく伝えるために必要なたんぱく質を、大阪バイオサイエンス研究所チームがマウスで発見した。動体視力の優劣に関係しているとみられることから、素早い動きが特徴の人気アニメキャラクター「ピカチュウ」をもじって「ピカチュリン」と名付けられた。

 網膜色素変性症などの治療につながる可能性がある。20日付の科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス電子版で発表する。

 古川貴久・第4研究部長らは、マウスを使って、光を感じる網膜の視細胞ができる際に働く遺伝子を解析し、ピカチュリンを発見した。視細胞から脳へ信号を送る神経への「つなぎ目」だけに存在するという。

 ピカチュリン遺伝子を壊したマウスでは、正常なつなぎ目ができず、信号の伝達時間が約3倍かかった。速い動きに対する眼球の反応も遅くなり、動体視力にかかわっているらしい。古川部長は「イチロー選手のように動体視力に優れた一流の運動選手は、ピカチュリンの働きに違いがあるのかもしれない」と話している。



 すごー。任天堂的にもOKなんでしょうか。ピカチュウからピカチュリン。だいぶそのまんま感がありますが、名前を聞いて「なるほどね」と思えるあたり、良いネーミングだったのかもしれません。

 動体視力に関与する遺伝子かー。スポーツにおいても遺伝子レベルでの選別が行われる日も近いかもしれませんね(バレエにおいては骨格で選別されるようですが、それと同じように遺伝子で選別されるかも)
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2008年07月13日

カラーコンタクトレンズで目に障害が起きる被害が相次ぐ

カラーコンタクト規制、健康被害続出で

 おしゃれ用のカラーコンタクトレンズで目に障害が起きる被害が相次いでいるとして、厚生労働省は10日、雑貨品扱いを改め、販売規制する方針を決めた。

 薬事法の政令を改正し、視力補正用コンタクト同様、医療機器として品質や販売方法を規制する。

 おしゃれ用カラーコンタクトレンズは瞳の色合いを変えられ、医師の処方なしで購入できる。韓国やシンガポール製が多く年間約500万枚が販売されている。薬事法の規制対象になると、販売業者は都道府県知事の許可を受ける必要があるほか、店舗に管理者を置き、危険性の説明をすることが義務付けられる。

 おしゃれ用のカラーコンタクトレンズによる目への影響について、独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)は10日、過去2年半に少なくとも167人が障害を起こしていたとする調査結果をまとめた。

 NITEが全国の眼科医約1万3000人を対象に調査したところ、145人の医師からしか回答がなかったにもかかわらず装着で目に障害が起きた患者数は重傷21人、軽傷146人に上った

 NITEが、10銘柄を、視力補正用コンタクトの承認基準と照らし合わせたところ、厚さが基準を満たしていなかったり、同じ銘柄でもカーブの度合いや直径がばらばらのものもあったりしたという。NITEでは「回答した医師が少ないので、実際の被害はもっと多いはず」としたうえで、「販売の際には説明義務を課すなど、視力補正用コンタクトと同様に規制すべきだ」と、厚生労働省に提言している。



 いくら外見のためとはいえ、こんな得体の知れない危ないものをよくぞまあ眼球の上に乗せられるなぁ、というのが本音です。

 カラーコンタクトも医療機器とするのは、いいんじゃないでしょうかね。眼科はもっと忙しくなりそうですが…。

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2008年07月07日

人間ドックや大学病院でも見落とされている「緑内障」

「緑内障」人間ドックの2割で見落とす危険 眼底検査で早期発見を

 40歳以上の20人に1人が発症し、中途失明の原因疾患で最多の緑内障。早期発見できれば点眼薬で視野欠損を防止できるが、自覚症状がないため眼底検査が重要だ。

 ところが人間ドックの2割は、眼底写真の診断を眼科以外の医師が行っており、見落とされる危険が高いことが患者団体の調査でわかった。

 調査したのは患者団体の緑内障フレンド・ネットワーク。昨年10月に無作為抽出した人間ドック425施設から回答を得た。98・3%は基本検査項目に眼底検査を入れているが、明確に「緑内障検出のため」としているのは、このうち47・1%だけ。同9・6%は、診断のための眼底写真を片方しか撮影していない。さらに19・0%は1次検診の眼底写真を、眼科以外の医師が判定していた。

 眼科医が両目の眼底写真を判定する施設は、緑内障の疑いの検出率が4・3%だが、眼科以外の医師が片方だけの写真で判定した場合は0・5%に急落する。同ネットワーク代表顧問で赤坂北沢眼科院長の北沢克明さん(71)は「現行の人間ドック検査指針による検査状況では、緑内障が見落とされる危険がある」と警鐘を鳴らす。

 同会は、代表を務める柿沢映子さん(69)=柿沢弘治元外相夫人=が、患者同士の支え合いや緑内障予防を目的として平成12年に設立し、会員は1600人余り。映子さんは東京の大学病院を受診していたが、適切な治療が行われず末期症状に。北沢さんを訪ねて手術を受け、進行は止まったが視野の9割を失った。

 眼球は、瞳孔前後のすき間を房水と呼ぶ体液が満たし、球としての張りを調節している。房水が生産過剰や排出不良になると眼球内の圧力(眼圧)が高くなり過ぎ、眼球後端から脳につながる視神経を押しつぶしてしまう。これが緑内障の原因の一つ。また、視神経が先天的に弱く、通常の眼圧でもつぶれてしまう正常眼圧緑内障は、40歳以上の発症者の7割を占める。

 視神経は光を感じる網膜から伸びる120万本の神経線維の束で、つぶれた部分の視野は欠け、二度と修復できない。厚生労働省によると、平成14年度に身体障害者手帳を交付された視覚障害者の原因疾患は、緑内障が25%と最多。半面、自覚症状が弱いため、発症者の8割は治療を受けていないという調査資料もある。

 1日60〜70人の緑内障患者を診療しいる東京・虎ノ門のアイ・ローズクリニック院長、安達京さん(46)は「9割以上が正常眼圧緑内障で、すでに視野が3〜5割欠損している症例が多い。高・低血圧や片頭痛、強度近視の人、家族に患者がいる人が多い」という。安達さんは東大医学部の博士論文で、電波を受けていないブラウン管の“砂嵐”画面を見て視野欠損を判定する方法を考案した緑内障の専門医だ。

 「視神経が圧迫状態になっても、視野欠損まで5〜10年かかるので、その前に治療することが大切。ただ、専門医は眼底写真で初期の視神経異常を99%判定できるが、同じ眼科医でも専門医でないと判定率は3割以下に落ちる」と指摘。しかも、一方の目に視野欠損が出ても、もう一方の目で補うため、実際に「見えにくい」と感じたときには、症状はかなり進行しているという。

 治療は点眼、レーザー、手術の3段階あるが「正常眼圧緑内障のほとんどは点眼治療で進行を抑えられる」。そして安達さんは「40歳を過ぎたら眼底検査を受けることが早期発見、早期治療につながる。眼科を選ぶ際は、緑内障治療を標榜しているかどうかを確かめて」とも呼びかけている。



 東京の大学病院を受診していても見落とされることはあるとは…。

 それに、人間ドッグでの誤診もかなりの割合です。眼科専門医以外が診ても、そりゃ分かるわけはないよなぁ…。それで「人間ドッグ」を謳っているのが問題か。

 眼のことってホント、怖いですから。ちょっとでもおかしいな?と思ったらすぐ眼科へ。緑内障の場合、症状がでないこともしばしばですので、出来るだけ検査を心がけたほうがいいと思います。

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2008年06月14日

東大病院が緑内障の手術で左右の目を取り違える。

緑内障手術、東大病院で左目と右目取り違える

 東京大医学部付属病院(東京都文京区)は11日、70歳代の男性患者の緑内障手術で、左目と右目を間違えるミスがあったと発表した。

 同病院によると、ミスがあったのは今月6日。医師が手術予定の左目を消毒した後間違って左目を布で覆い、右目のみを露出させていたため、執刀医が右目を手術したという。

 手術する目を間違えないように、男性患者の左のこめかみには印がつけられていたが、執刀医は印を確認しなかった

 7日朝になって、家族が申し出てミスが発覚。執刀医が謝罪し、同日中に左目の手術を行ったという。

 男性患者は左右両目が末期緑内障で、同病院では、「右目も手術の必要性はあった」としながらも、右目は未消毒で手術が行われたことから、感染症の危険性もあるとして、抗生剤を注射するなど対応をとった。

 同病院では現在、調査委員会を設置し、原因究明を進めており、服部雄幸総務課長は「大変申し訳なかった。病院をあげて再発予防策をとっていきたい」としている。



 こういうミスもあるんですねぇ…。左右を確認してはいても、消毒したほうを覆ってしまうというウッカリミス。ミスの防止はしてあっても、ミスをしてしまう、というのはまぁ考えられる話ですから、更に上乗せしてミス防止のための策を講じてほしいものです。

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2008年06月05日

眼精疲労に、サフランなどに含まれるクロセチンが効く

<疲れ目>パソコン作業で肩こり、視力低下など眼精疲労 対策は

 毛様体筋の疲労を回復させるサプリメントを摂取する方法もある。その一つがクチナシの果実から抽出されたクロセチンだ。サフランなどにも含まれる天然カロテノイドの一種だ。おせち料理のくりきんとんなど、昔から黄色の着色料として使われてきた色素だ。

 梶田医師らは眼精疲労の症状をもつ13人を二つのグループに分け、一方には1日10ミリグラムのクロセチン、もう一方には同量の偽サプリメント(プラセボ)をそれぞれ4週間摂取してもらい、効果を比較した。その結果、クロセチンの摂取群は、プラセボ群に比べ、毛様体筋の疲労が速く回復することが分かった。

 こうした効果が解明できたのは、梶田医師が毛様体筋の微妙な活動の様子(水晶体の振動)を目の疲れの指標として計測する方法を開発したからだ。この装置で目を調べると、視力がよいからといって、毛様体筋の働きが正常とは限らないことが分かる。

 交通事故に遭った16歳の女性は左右の視力が各1・2とよいのに、目を酷使すると頭痛などの症状が表れる眼精疲労を訴えた。梶田医師が診たところ、毛様体筋が緊張していることが分かった。目に合ったメガネを使い始めたところ、1〜2カ月で眼精疲労の症状が消えた

 梶田医師は「交通事故でむち打ち症になった人の約1〜2割でこうしたケースが見られるので、自分の目に合ったメガネかどうかをチェックすることが大切だ」と話す。



 最近私も疲れ目でしてね…寄る年波には勝てないとでもいいましょうか…。

 確か近視は25歳ぐらいまでに安定しますが、その後は老眼ですとか、記事中にあるような事故などで視力が変化する場合もありますので、定期的に眼科へ行って診察してもらうのがいいですね。

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2008年05月29日

iPS細胞を用いた網膜再生にはまだまだ時間が必要です。

網膜再生 患者の希望高まるが、まだ年月必要 正しい理解を

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を世界で初めて京都大学の山中伸弥教授が作製し、再生医療への期待が高まっている。その一方で、過剰な情報に反応して、iPS細胞による治療がすぐにでも始まると誤解している視覚障害者も多いという。日本を代表する網膜再生研究者の1人で、理化学研究所神戸研究所(神戸市中央区)の網膜再生医療研究チームリーダー、高橋政代さんは「視覚障害や網膜再生への正しい理解を」と呼びかけている。

 目の病気にはさまざまな原因がある。このうち治療法が現在あるのは、白内障などに代表される、角膜から硝子体までの透明な光の通り道が濁る病気などに限られている。入ってきた光を受け止め、その信号を脳へ送る網膜が傷つき、その機能が失われる網膜色素変性や加齢黄斑変性、網膜剥離などの病気・障害の重症例には有効な治療法はない。

 こうした中、胚性幹細胞(ES細胞)の登場により、網膜を構成する視細胞などをES細胞から大量に作り、その細胞を網膜に移植することで失われた視細胞を補充し、見る機能を回復できる可能性が出てきた。

 高橋さんの研究チームでは網膜細胞移植やES細胞からの網膜細胞分化誘導などを研究テーマに掲げ、iPS細胞による治療の可能性についても山中教授らと協力して研究を進めている。

 「その(研究)材料として、ES細胞やiPS細胞から視細胞ができたというのが、今の段階です。再生医療が現実のものとなるためには、科学的な有効性を示して、安全性を確認し、法的・社会的な承認が必要であり、まだまだ年月を要します」と高橋さん。

 他人の細胞であるES細胞を移植する場合の最大の難題であった免疫拒絶が、iPS細胞の登場によって解決されたことは画期的な一歩だが、高橋さんは、この研究成果が強調され過ぎた結果、患者の過剰な期待に結びついてしまったと指摘する。

 では、将来的な治療の可能性は、どの程度まで期待できるのだろう。

 「人工網膜研究者は10年後には人工網膜で文字を読ませたいと言っています。iPS細胞では10年後に光を見せたい。20年後には人工網膜を超えたい。網膜の再生というと、よく見えるようになると誤解されますが、われわれの目標は現時点では矯正視力で0・1程度の視機能の獲得です」と高橋さんは目標を挙げる。

 理化学研究所で開いた視覚に障害のある人を対象としたセミナーでも、「患者さんにとってのiPS細胞のメリットは、免疫抑制剤が不要という点。視力がよくなることもないし、網膜色素上皮を除けば科学的には網膜再生治療が早くなることもない」と説明した。

 状況はどんどん変化しているものの、新しい治療法を待つだけではなく、自分の病気の状態と進行予測を正しく知ることが大切。また、各地で行われているロービジョンケア(視覚障害へのリハビリテーション)を活用し、単眼鏡や拡大読書器など補助具の使い方を学び、今ある視力を有効に使ってほしい、と話す。

 高橋さんはさらに、「失明=目が見えない、暗黒」といった視覚障害に対する誤解を取り除き、視覚障害者の就労や復職を支援できる環境づくりのためにも、再生医療とロービジョンケアを“車の両輪”として進めていく必要性を強調している。



 iPS細胞は画期的な発見であり、再生医療はこれからの時代非常に大きく伸びていく分野です。

 しかし…医療の研究というものは日進月歩といいつつも、最終的には人に使わなければいけないものなので、1つの研究が完成するまでに長い年月を要します。安全性・確実性を考慮して初めて1つの成果が出るわけです。

 いや私自身、あまりにも再生医療に期待するばかり、今まで「躍進また躍進」と書きまくってきました。申し訳ございません。研究者の方々は毎日必死で研究しておりますので、今しばらく静かにお待ち下さい。

 その疾患にかかっている人は、情報を集めて、少しでも良くしようとしておられます。例えば癌における民間療法やエビデンスのない医療、またアトピーなどの慢性疾患など、数多くの症例でみられます。しかし、それは「病気に対する理解」とはまた違ったものでして、過度に何かに期待するより「病気を受け入れる」こともまた、必要なことなのです。患者の気持ちが分かっていない、健常者の意見だと言われても仕方ないことですけれど、現状というものはそういうものなのです。シビアなまとめでごめんなさい。

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2008年05月28日

山梨大学が「眼科遠隔診療システム」を開発する。

遠隔地から眼科診断 山梨大が実証実験公開

 山梨大は28日、ネットワークを利用して眼科検診用の顕微鏡を遠隔操作し、診断する「眼科遠隔診療システム」の実証実験を報道陣に公開した。

 同システムを使うと、山間地や離島の患者が離れた病院に行かなくても適切な初期診断が可能となり、同大医学部の柏木賢治准教授は「眼科医不足や地域間格差の解消に貢献できるのでは」と話している。

 実験は山梨大の会議室で行われ、患者の目を写す高解像度カメラを付けた顕微鏡がケーブルでつながれたパソコンと、柏木准教授のパソコンを専用ネットワークで接続。柏木准教授がパソコンで顕微鏡を遠隔操作すると、患者役の目の画像が転送された。

 現在はまだ試作機で、山梨大は機器の小型化やインターネット利用を目指す方針。平成21年度中には市販できるようにしたいという。



 これが実現可能となると、かなり多くの人が失明から救われるのではないでしょうか。

 実際症状が現れないと眼科なんて行かないものですけれど、症状が伴わなくても病気は進行してしまうものです。高齢者ともなれば、マズ間違いなく目に何らかの異常は出ていると思われますし、若者であっても眼圧の問題などは油断できません。

 しかも眼科が近くにない離島であっても、大学病院クラスの医療・診断を簡便に受けられるという。なんとも夢のような機械です。

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2008年05月16日

堺のヘリ墜落事件の操縦士はサルコイドーシスを患っていた。

堺のヘリ墜落、操縦士の不適「難病」判明…検査医立件を検討

 堺市で昨年10月、「大阪航空」(大阪府八尾市)所属のヘリコプターが南海電鉄の線路上に墜落し、操縦士(当時40歳)と乗客(同44歳)が死亡した事故で、操縦士が約6年前から、操縦が認められない難病の「サルコイドーシス」にかかっていたことが、大阪府警捜査1課の調べでわかった。

 事故との因果関係は不明だが、指定検査医(53)は罹患を知りながら、毎年1回の検査で操縦適合の判定を出しており、府警は航空法違反容疑での立件を検討している。

 サルコイドーシスは、臓器などに肉塊のようなものができる原因不明の病気。目に発症すると視力障害につながり、国土交通省は、航空身体検査マニュアルで操縦不適合の疾病に指定している。

 府警や医療関係者によると、操縦士は2002年、事業用操縦士の免許を取得。サルコイドーシスを発症したのは同年秋ごろで、03年から大学病院で専門医の治療を受けるようになった。この専門医によると、肺と皮膚に出来物が確認されたほか、目にもサルコイドーシス特有の炎症を起こしており、操縦士は目のかすみを訴えていたという

 読売新聞の取材に対し指定検査医は「コメントできない」としている。事故は昨年10月27日に発生。飛行中だったヘリが失速、墜落した。



 サルコイドーシスだったとは。

 サルコイドーシスによって起こる目の病気といえば。そう、ブドウ膜炎です。

 ブドウ膜とは、虹彩、毛様体、脈絡膜の3つの総称で、眼球を包むかのごとく連結しています。ここが炎症を起こすことで、目がかすんだりしてしまうのです。

 しかし飛行できないほどの症状が出ているとなれば、担当した医師の責任問題なのではないでしょうか。勿論、飛行できないとなれば本人の死活問題にもなりますけれど、それでも命を天秤にかければ、フライトを止めるべきです。何のための産業医なのか、分からなくなってしまいますから。

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2008年05月15日

順天堂大学がベトナムで白内障の手術を指導する。

白内障での失明防ぐ ベトナム 順天堂大と国際NGOが連携

 順天堂大学医学部(東京都文京区)と国際NGO(非政府組織)「ヘレンケラー・インターナショル」(米ニューヨーク)が連携し、白内障による失明者が多いベトナムで、眼科医師の育成事業に乗り出すことになった。今夏以降、ベトナムの地方都市などで活動する眼科医の技能向上を目指し、講師役となり得るベトナム人の医療従事者を対象にしたプログラムを軌道に乗せる計画で、高齢者らの失明予防に役立てたい考えだ。

 ヘレンケラーではこれまでにアフリカで、失明の原因として多い感染症の「オンコセルカ症」などによる失明の予防事業を展開してきた実績がある。一方、順大はWHO(世界保健機関)の失明予防協力センターに指定され、タイを拠点に東南アジア各国の眼科医の育成に取り組むなど国際的な医療協力で実績を積んできた。今回、ヘレンケラーがベトナムでの失明予防事業を企画し、同国の医療事情に明るい順大が協力することとなった。

 事業初年度の平成19年度には、ヘレンケラーが日本財団(東京都港区)から助成金約4000万円を受けた。支援総額は未定だが、日本財団は3年間、支援を続ける予定。

 白内障は眼球の水晶体が混濁して視力が低下する病気。ひとつの老化現象であるため、誰でもなりえるが、最悪の場合、失明の恐れもある。

 順大によると、日本では50代の40%、60代の70%、70代の80%が白内障にかかっている。ただ、医療水準が高く、白内障による失明はほとんどないという。

 一方、ベトナムでは50歳以上に限ると、その人口の5%に相当する51万8000人が失明しており、うち約7割は白内障が原因とされる。また、白内障で失明する人は毎年、8万人にも上る。手術などの適切な治療を受ければ失明を防げたにもかかわらず、手術を受けられないなどの理由からだ。「首都ハノイやホーチミンなどの都市部を除く地方では白内障の手術を受けられないケースが目立ち、特に地方での対策が急務とされてきた」(ヘレンケラー)。

 ベトナムは近隣国のカンボジアやラオスなどと異なり、地方にも医療従事者が存在し、医療へのアクセスが比較的整っている。こうした医療従事者に感染症の予防策など公衆衛生の知識を身につけてもらえれば、医療水準の底上げが見込めるとして、ベトナムが事業対象地に選ばれたという。

 事業計画では、手術などの技能を指導できる地方の眼科医650人を育成。順大の平塚義宗准教授(眼科学)らが現地入りし、ハノイのベトナム国立眼科病院(VNIO)の協力も求める。

 順大によると、世界全体で失明者は3700万人おり、うち3分の2は白内障やビタミンA欠乏症など治療可能な疾患が原因。また、3700万人の9割以上は開発途上国に集中し、順大は「避けることのできる失明の撲滅」を国際協力の目標に掲げている。



 なんといっても現地の技術レベルを向上させることで、その地域でまかなえるようにしている点が素晴らしい。相手のことを考える日本人向きの企画ですよね。戦時中に、他国の識字率や文化レベルを著しく向上させてきたように。

 眼科医はいわゆる内科や外科と区別され、マイナー科と称されていますけれど、眼科の最大の誇りは「人の生活の質を劇的に向上させること」だと思います。

 目が見える・見えないでは大きな生活の質の差があります。特に単なる老化現象で水晶体が混濁している人や、不慮の事故で網膜剥離が起こった人など、視力や視野に異常が出てまともに生活できなかった人が、手術やレーザーなどの治療で著しく回復するというところはもっと評価されていいと思います。

 視力さえあれば不自由せずに生活できる人は、医療水準の低い国にだって大勢いるのです。今までは日本人医師が海外に行って治療したりしていましたけれど、このプロジェクトは、その国だけでまかなえるようにしようという大変素晴らしいものです。白内障の手術は、設備と器具さえあれば、経験を積んで実行できるものです。(しかし高価ですので、そこらへんが課題か…)。この国際的な取り組みを、応援したいと思います。

 ちなみに。オンコセルカ症は、いわゆる寄生虫が目に入り込むことで白内障を引き起こします。媒介昆虫はブユです。ブユがミクロフィラリアを吸血時に摂取すると、ブユの体内で感染幼虫に発育します。そのブユがヒトを刺す時に、オンコセルカの感染幼虫がヒトの体内に注入され、新たな感染が成立します。 

 ミクロフィラリアはヒトの眼の組織に移動します。球結膜から角膜へ、さらに網膜視神経へと侵入します。初めは結膜炎や角膜炎を起こし、次第に網膜の変性や視神経の萎縮を起こし、遂には失明するというわけです。

参考:オンコセルカ症

関連
医学処:埼玉医大の米谷新教授が、インドで白内障の無料手術を続ける
医学処:ビタミンCをしっかりとる人は、老人性白内障になりにくい。
医学処:東南アジアで、無償の白内障手術を1000件以上行う医師
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2008年04月26日

偽眼科医に懲役6年を求刑する。

ニセ眼科医に懲役6年求刑 「医師の信用失墜」

 医師免許を持たずに医療行為を繰り返したとして、医師法違反罪などに問われた、瑞穂市野白新田、無職K被告(32)の論告求刑公判が24日、岐阜地裁(田邊三保子裁判長)で開かれ、検察側は「医師に対する信用を失墜させ、社会に与えた影響は大きい」として、懲役6年を求刑した。

 検察側は論告で「医師として約2億5000万円得て、約1億円を消費した」と実質的な被害額を指摘。「高収入を得続けたい利欲的な動機に同情の余地はない」などと求刑理由を述べた。

 論告によると、K被告は2005(平成17)年11月、偽造した医師免許証のコピーを各務原市の岐阜地域保健所に提出し、本巣郡北方町に眼科診療所「アイクリニック北方」を開設。05年12月から07年7月までの間、同診療所で患者約7500人を約1万2500回診察し、県社会保険診療報酬支払基金(岐阜市)と、県国民健康保険団体連合会(同)から診療報酬など立件分だけで約3700万円をだまし取った。



 6年かー。結構厳しいかもしれないけど他の人に真似されると困るもんね。患者がたまたま健康的被害に合わなかっただけで、実際はとんでもないことになっていたかもしれないし。

 河口哲也の関連情報は下記リンクより!

関連
医学処:書籍で得た知識だけで開業したニセ眼科医を逮捕。
医学処:追起訴された偽眼科医の総収入は2億6000万円也。
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2008年04月14日

色盲障害者が、時刻表の色に申し立てをする。

「時刻表の色、配慮足りない」色覚障害者が申し立て

 特急や準急など電車の種別をカラー表示した阪急電鉄の時刻表は色覚障害者には判別しにくく、移動の自由を不当に制限するとして、京都市の弁護士が11日、京都地方法務局に人権救済を申し立てた。表示の改善に向け、同社との協議仲介を求めている。

 申し立てたのは、京都弁護士会所属で色覚障害がある白浜徹朗弁護士(48)。申立書によると、阪急各駅の時刻表は、特急の出発時刻を赤色、準急を緑色でそれぞれ表示。視覚障害がある人は赤と緑が見分けにくいため、「配慮を欠いた表示で人権上問題がある」としている。

 白浜さんは「今後は『色覚のバリアフリー』も考えてほしい」と話す。



 なーるほど。これはまさに盲点。

 「特」とか「準」とか右下のほうにでも小さくつけておけばいいんじゃないでしょうか。色分けは色分けのまままで。
posted by さじ at 22:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科

2008年04月01日

中国製レーザーポインターの光が強すぎて失明の恐れ

中国製レーザー玩具など失明の恐れ 経産省が回収呼びかけ

 空気銃に付けられたレーザー照準装置や会議などで使われるレーザーポインターで、中国製の5製品のレーザー光が強すぎて失明する恐れがあるとして、経済産業省は28日、輸入・販売した大国屋(埼玉県三郷市)とジェーン(大阪市)に製品の回収を指導、消費者に使用を中止するよう注意喚起した。事故の報告はない。輸入業者が不明のものもあり、回収対象は9000個以上に上るという。

 経産省によると、5製品は、照準装置として空気銃に取り付けられたり、キーホルダー型のレーザーポインターの形などで販売され、消費生活用製品安全法(消安法)で定めるレーザー光の強さ基準を大きく上回っていた。こうしたレーザー応用装置は、消安法で課された安全基準を満たしたことを証明するPSCマークの表示が義務づけられているが、5製品には表示がなかった。



 怖いですね。

 最近レーザーポインターを使う機会って増えてきてますからね。いたずらでも人の目に当てたりしないほうがいいですし、何よりPSCマークのない商品にはご注意を。
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2008年03月27日

まつ毛エクステで角膜に傷が出来るトラブル、急増中

まつ毛エクステ、目のトラブル急増 角膜に傷、炎症に

 まつ毛の1本1本に人工毛を接着する「まつ毛エクステンション(エクステ)」で角膜炎など目のトラブルが急増している。角膜炎は、治療が遅れると視力低下や最悪の場合、失明する危険性もある。手軽に「目力」をつけられるとして、若い女性の間で急速に広まったまつ毛エクステだが、施術後に目がごろごろするなど異常を感じたら、角膜に傷がついているかもしれないので、早めの手当てが必要だ。

 全国の消費者センターには平成16年ごろから、まつ毛エクステに関するトラブルの相談が増え始め、19年は18件と前年の2倍だった。内容は「接着剤が目に入り角膜炎になった」「まぶたがはれて痛い」「まつ毛の半分が損傷した」など。

 都内の相談内容を分析した東京都生活文化スポーツ局では「実際に危害に遭った人は相談した人の20〜30倍になると推定される。都内では急激に店が増えたことで、施術水準の低い店もあるようだ」と注意を呼びかけている。

 梶田眼科(東京・芝浦)でも数年前から、まつ毛エクステによる目のトラブルを抱えた患者を、月に1度はみるようになった。「目がごろごろする」「しみるように痛い」といって受診する患者が多く、施術当日や翌日だけでなく、2週間から1カ月後にトラブルとなる人もいた。時間がたってからのトラブルは、はがれかかったまつ毛が目に入ったり、接着剤の固まりがまぶたの裏に張りついたりして、角膜を傷つけたことが原因だった。

 梶田雅義院長は「人工まつ毛は本物のまつ毛より硬くて太いため、目に入ったときに角膜を傷つけやすい。このため、施術したまつ毛がすべて抜けるまでトラブルが起こる可能性がある」と指摘する。

 ひっかき傷など皮膚についた傷がすぐ治るのと同じように、たとえ角膜に傷がついても小さなものだとすぐ治るのが普通だ。痛みも数時間で消える。問題は、この傷から細菌などが入り込み、炎症や潰瘍となること。角膜潰瘍の治療が遅れれば、傷が治っても視力が低下したり、最悪の場合は失明する恐れもある。

 傷から細菌が入るのを防ぐため、梶田院長は、目がごろごろするなど異常を感じたときには、抗菌剤入りの目薬をさすことを勧める。接着剤など溶剤が目に入ったときも、水で溶剤を洗い流すだけでなく、必ず抗菌剤入り目薬を使うことが肝心。水道水中の雑菌が炎症の原因となることがあるためだ。

 梶田院長は「目薬をさせば、通常は翌日には痛みがなくなる。翌日も痛みが続くようなら、炎症を起こしている可能性が高いので、早めに眼科を受診してほしい」と呼びかけている。

 厚生労働省は今月、「まつ毛エクステの行為は、美容師法に基づく美容に該当する」との通達を都道府県などに出した。つまり、まつ毛エクステの施術を行えるのは、美容師だけという見解を示したわけだ。

 業界の中でも、施術に「資格が必要ない」と思っていた人は多く、美容師以外が施術を行っている施設は相当数あるとみられている。

 ただ、施術水準は資格の有無で判断できないのも事実。接着剤が目に入るだけでなく、施術中に誤って目にまつ毛を突き刺すなどのトラブルは、だれがやっても起こりうる。目のトラブルへの対応は自分でするしかないのが実情で、施術する人は気をつけたい。



 美容師のみ、なんですねぇ…。無許可でやってもまぁバレなさそうといいますか、誰も取り締まっていないような気もしますが。

 いっそのこと角膜の知識ごと整理しましょうか。角膜の場所はまぁ分かると思いますが、角膜は、以下のように分けられます。

1.角膜上皮層:上皮細胞からなる。最表層の細胞間隙にはtight junctionがあり、微生物などが角膜実質に侵入するのを防いでいる。
2.Bowman膜:コラーゲン原線維からなる。再生能力はなし。
3.角膜実質層:角膜の厚さの90%を占め、コラーゲン原線維が層状構造をなしている。透明性を維持している。
4.Descemet膜:内皮細胞から分泌され、内皮細胞の基底膜に相当する。再生能力あり。
5.角膜内皮層:多角柱細胞の単層からなる。分裂再生能力なし。内皮細胞は加齢や外傷で減少する。

 わずかあれだけのちっぽけな組織にもかかわらず、このように5種類もの層で構成されています。角膜は透明で、無血管な構造物です。

 角膜の病気といえばまず感染症が考えられます。

 有名なのが単純ヘルペス角膜炎。単純ヘルペスによる感染症です。上皮型の単純ヘルペス角膜炎は樹枝状角膜炎、地図状角膜炎を呈し、この時に病院に来れば予後は良好です。しかし来ないと実質型になり、円板状角膜炎、壊死性角膜炎を呈します。これは難治性です。

 また、単純ヘルペスではなく、帯状ヘルペスウイルスによる角膜炎もあります。

 角膜真菌症という、真菌による感染症もあります。これは抗生物質やステロイドなどを広範な使用に用いたときに生じる日和見感染症として急増しています。角膜真菌症は農村型と都市型に分けられ、農村型は植物の枝や葉による外傷で、Fusarium属の菌に冒され、都市型は免疫不全によりCandida属の菌に冒されることで起こります。治療は、抗真菌薬の局所、全身投与、および病巣部の掻爬(三者併用療法)が有用とされています。

 ソフトコンタクトレンズの使用者が、レンズケアの時に水道水を使用した場合で、角膜の上皮障害がある場合、アカントアメーバに感染し発症する「アカントアメーバ角膜炎」もあります。初期には放射状角膜神経炎、移行期には中央部のリング状混濁と毛様充血、上皮内浸潤、輪部浮腫があり、完成期には角膜中央部の混濁が強く、周辺部はむしろ透明となります。こちらも治療には三者併用療法が有用とされています。

 匍行性角膜潰瘍という、緑膿菌やブドウ球菌、セラチア菌などの細菌による角膜の炎症によって、角膜潰瘍を形成するものもあります。強い浸潤を伴った円形の潰瘍で、高度になると前房蓄膿を呈します。眼はすりガラス状混濁となります。

 この他に、免疫疾患として、角膜に炎症や潰瘍を呈するものがあります。代表的なのがアトピー性角結膜炎、春季カタル、その他、フリクテン、周辺部角膜浸潤、Mooren潰瘍などがあります。

 眼はただでさえデリケートな部位です。美容も大事ですが、その付近の部位も、適切に扱う意思をもって、ケアして下さい。まつ毛の量が増えたからといって、眼が炎症を起こしたり潰瘍になったりしたら、せっかくの綺麗な瞳も台無しになってしまいますから。

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2008年03月16日

緑藻の遺伝子を網膜に注入し、視力を回復させる。

視力回復:緑藻類が効果 ラット実験に成功…東北大研究班

 東北大先進医工学研究機構の富田浩史准教授(眼科学)と菅野江里子助教(分子生物学)らの研究グループが、緑藻の遺伝子を失明したラットの網膜に注入し、視力を回復させる実験に成功した。視野が狭まったり、視力が急に落ちる「網膜色素変性症」や「加齢黄斑変性症」の治療に応用できるという。 

 網膜色素変性症は4000人に1人、加齢黄斑変性症は50歳以上の約1%の割合で発症するとされる。原因が分からず、特に網膜色素変性症は根本的な治療法が見つかっていない。研究グループは、ミドリムシのように光合成をし、動く緑藻類が光を認識できることに着目した。水田などにすむ緑藻類の一種「クラミドモナス」から遺伝子「チャネルロドプシン2」を取り出し、網膜色素変性症で失明したラットの網膜に注入した。光によって神経細胞を活動させるたんぱく質を生成する性質がこの遺伝子にあり、6週間後にラットの周囲で物を動かす実験をして首の動きから視力回復が実証された。

 脳波検査でも視力回復が確認され、注入後1年以上たっても効果は持続している。

 ヒトの場合は局所麻酔をしたうえで、注射器で網膜に遺伝子を注入する方法が考えられ、富田准教授は「10〜15分程度で手術でき、安全性の確認を進めて早期の実用化を目指したい」と話している。研究成果は14日、名古屋国際会議場(名古屋市)で開かれる「第7回日本再生医療学会」で発表する。



 iPS細胞による網膜再生などが可能性として挙げられていましたが、この手法は臨床応用が早そうです。

 まだ人間には未知の段階のことですが、視力が失われている人にとっては、すぐにでも試したい手術でしょう。しかし藻の持っている遺伝子そのものを注射するだけで光を感じるようになるとは…。

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posted by さじ at 03:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科

2008年03月14日

病気で失われた視力を、電子機器を用いて回復する。

視力を電子機器で回復する

 病気で失われた視力を、電子機器の「目」で再生しようという技術が、実用化に近づいている。世界のトップを走る南カリフォルニア大などの研究チームは、5年以上にわたる準備期間を経て、実用装置の臨床試験を開始した。

 「6メートルくらい先に物があればわかるようになったよ」。カリフォルニア州コロナに住むテリー・バイランドさん(59)はうれしそうだ。網膜色素変性症で1993年に失明したが、同大とセカンドサイト社(カリフォルニア州)などが開発した人工視力装置「アーガス16」の移植を2004年に受けた。

 この病気は、目に入った光を感知して電気信号に変える網膜の特定部分(受容体)に異常が起きる。受容体から視神経を通じて電気信号を脳へ伝える部分は生き残っている。そこで、受容体の役割を肩代わりするのが、アーガスだ。サングラス型カメラで撮影した画像を電気信号に変換し、網膜の位置に埋め込んだ16本の電極から視神経へ伝える。

 アーガス16は2002〜04年、計6人に埋め込まれ、患者らは光の点滅や物の動きがわかるようになった。手術の3週間後から「見る」訓練を始めたバイランドさんも、約2年後には室内でドアなどを見分けられるまでになった。「暗い物が白い光として見え、明暗の差がわかる。たとえば木は1本の白い線になり、高さもわかる」という。

 バイランドさんの視力は今も向上している。「脳の視覚中枢が『見る』ことを再学習しているんだ。失明から移植まで11年間、私の脳(の視覚中枢)は冬眠していたんだよ」と語る。

 バイランドさんのような長期間の「冬眠」がなくても、本来の目とは違うアーガスからの電気信号を脳がきちんと受け取るのは、容易ではない。同大の研究チームを率いるマーク・フマユン教授は「本来の目に比べて足りない多くの情報を、患者の脳が埋め合わせてくれている」と説明する。

 計算上は、電極を1000本まで増やすと人の顔を判別でき、文字も判読できる解像度が期待されるが、「解像度だけの問題ではない。脳がいかに働いてくれるかも重要」と、フマユン教授は語る。

 アーガス16の成果を受け、研究チームは電極を60本に増やした実用版「アーガス2」の臨床試験を最近、開始した。まず米国内4か所で10人に埋め込み、順調に機能している。3年間で約100人の患者に埋め込み、好成績が得られれば、本格的に医療応用する。

 フマユン教授によると、失われた視力を人工的な装置で再生する研究は、世界で約20チームが進めており、日本では大阪大の田野保雄教授(眼科)らのチームが、来年以降の臨床試験開始を目指している。「我々はフマユンチームより10年遅れて始まったが、電極の耐久性や埋め込む方式が優れている」と田野教授。

 世界の大半のチームは、眼内に埋め込んだ装置から電気信号が出る方式だが、脳へ直接、チップ(情報処理回路)を埋め込む研究も一部で行われている。実現すれば、網膜だけでなく視神経の損傷など、幅広い患者に福音だが、一方で倫理的な問題も浮上する。

 「脳への埋め込みも、視力回復が目的ならば批判は少ないが、依存症の治療に応用されても良いだろうか?喫煙が過ぎる人は(たばこを吸いたいという脳内情報を遮断する)チップを脳に移植するような時代が来るのか」。フマユン教授は、こう問題提起する。技術の進展に倫理面でどう対処するのか。昨秋から始まった専門家を集めた検討会議も熱を帯びている。



 後天的な疾患が原因で視力を失った人、つまり脳よりその前の、視神経の伝達経路がヤラれて失明したケースなどの場合、理論的にはその経路を補ってやれば視力は回復する見通しでした。

 以前から、その経路を電子的な機械で補うことで、新たに視力を回復することができるとされ、その技術は進歩していきました。

 その実験から数年が立ち、何年も失明状態だった人でも訓練すれば次第に視力が回復してくるという結果に。このままいけば実際の視力のように、細かいものを識別したりもできるんでしょうね。ES細胞やiPS細胞による再生だけでなく、機械で補うことも可能になりそうです。

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posted by さじ at 07:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科

2008年02月25日

プール後の洗顔は逆に感染のリスクを高める。

洗眼:プール後の水道水は逆効果、感染しやすく…慶大研究

 塩素消毒したプールで泳いだ後に水道水で目を洗うと塩素で角膜が傷ついた目の表面の粘液が洗い流されてしまうことが、坪田一男・慶応大教授(眼科)らの研究で分かった。厚生労働省や文部科学省はプール後の洗眼を呼びかけているが、逆に細菌やウイルスに感染しやすい状況を作っているという。米国の医学雑誌に発表した。

 研究チームは、20〜30代の男女10人の協力で実験。国のプールの水質基準に従って塩素消毒剤を溶かした生理食塩水▽水道水▽生理食塩水▽蒸留水−−で50秒間目を洗ってもらった。

 その結果、塩素消毒剤入りを使うと角膜上皮細胞が破壊される程度が他の3種類より激しく、目の表面の粘液を洗い流す作用も強かった。水道水も粘液を洗い流す作用は同程度だった。

 厚労省は発熱や結膜炎などの症状が出るプール熱の感染拡大を防ぐため、プール利用者に洗眼を呼びかけるよう、都道府県などに求めている。文科省は体育教員への指導手引で、水泳後の洗眼指導を例示している。眼科医の間では、プール後の洗眼は問題視されていたが、根拠となる研究が少なかったという

 チームの加藤直子・慶大講師は「プールの中で目を開けるのならゴーグルをつけてほしい。そうでなければ、プール後の洗眼は避けるべきだ」と話している。



 へぇーーーーー

 通説が俗説に変わる瞬間かもしれませんね。

 褥創や、傷口は「乾燥させるほうがよい」とされてきた時代がありました。ついこのあいだまで「キズドライ」という商品が発売されていたぐらいです。消毒をキッチリして、かさぶたをつくることこそ回復への早道だとされてきました。

 しかし今では、過度の消毒は傷を回復させる細胞をも殺してしまうとされ、まず水で傷口を洗い、どろを落とし、次に乾燥させないようにすることが大事であるとされています。褥創の場合にも乾燥はご法度となっています。

 プールの後の目の洗顔も実際は粘液が洗い流されるからやらないほうがいい、んですねぇ。水圧って結構身体にダメージありますからね(乾燥肌の人や、肌の弱い人は、シャワーの強い水圧でもダメージを受けてしまうので、あまりよろしくないそうです)。私も水泳後に、こんなに目に強烈に当てていいものか、と思っていましたが、逆に感染しやすい環境をつくっていたとなると、目薬持参が一番いいんですかねぇ。

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posted by さじ at 23:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科

2008年02月22日

まつ毛エクステで目のトラブルが続発している。

まつ毛エクステ、ご注意 充血などトラブル続出

 長さ約1センチの毛を接着剤でまつ毛に付ける「まつ毛エクステンション(エクステ)」をめぐるトラブルが増えている。若い女性の間で流行しているが、目の腫れや充血の苦情も各地の消費生活センターに寄せられている。相談が目立つ東京都は、技術の低い美容院などで施術されているとみて注意を呼びかける。

 まつ毛エクステはサロンや美容院で行われ、施術者がシルクやナイロン製の毛を1本1本、まつ毛に接着剤でつける。洗顔しても効果が3〜4週間続くため、目元をはなやかにしたい女性の間で流行している。

 一方、東京都など全国の消費生活センターには「施術で目が充血した」「接着剤が目に入り角膜炎になった」などの苦情が07年は18件寄せられ、前年の9件から倍増した。施術翌日に「目が痛くて開けられない」と、救急車を呼んだ女性もいた。都は「表面化していない被害はもっと多い」という。

 人気を背景に技術の低い店が参入しているとみる都は、事例を経済産業省と厚生労働省に報告。「接着剤が目に入ったら流水で15分以上洗眼し、医師の診断を受けて」とインターネットなどで注意を呼びかけることにしている。



 目はデリケートですからね。目のまわりに何かをすれば、当然デリケートな角膜などに影響は出るでしょう。エクステが実際どれほど危険なのかは、体験したことがないので知りませんが…。

 まつげは目を埃等から守ってくれますが、まつげの生える向きがおかしかったり、長さが正常よりも長すぎたりすることで、まつ毛そのものが目にダメージを与えることもあります。そのためまつ毛のパーマなどもあるようです。

 まつ毛のパーマですよ。信じられますか。あの短い毛にどうやってパーマをあてるのか。実際体験しないと不思議なことって世の中結構あるものですね。二重にする道具とか、一体どういう原理なのか男の私には正直分かりませんし。

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posted by さじ at 03:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科
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