[眼科]の記事一覧

2013年04月15日

網膜色素変性症の遺伝子治療、九大で臨床研究始まる。

九州大、初の遺伝子治療開始 網膜色素変性症で

 九州大病院(福岡市)は10日、失明する恐れがある難病「網膜色素変性症」(色変)の、日本初となる遺伝子治療の臨床研究を3月26日に始めたと発表した。研究薬の安全性を確かめるために投与を受けた最初の患者は4月10日に退院し、経過は順調という。

 九州大病院によると、色変は光を感じる網膜の視細胞が徐々に失われる遺伝性の病気で、有効な治療法がなかった。

 臨床研究は、同病院の石橋達朗教授らが計画。視細胞を保護するタンパク質の遺伝子を組み込んだウイルスベクター(遺伝子の運び役)を網膜に注射し、視細胞が失われるのを防ぐ。



 いよいよ臨床試験に。今まで治療法のなかった病気を、薬でどうにかなる段階までもってきたところが素晴らしい。まず九大で、数年後は全国でできるようになるといいな。
posted by さじ at 02:08 | Comment(0) | 眼科

2013年04月01日

緑内障の進行をMRIを用いて予測する新手法を開発する

緑内障 進行予測に新手法 MRI使い高精度 

 緑内障を発症したサルの視神経を磁気共鳴画像装置(MRI)で観察し、進行を高精度で予測する新手法を、岐阜薬科大(岐阜市)と理化学研究所分子イメージング科学研究センター(神戸市)の研究チームが開発した。

 緑内障は日本の失明原因の1位。眼圧が適正以上に強くなることが原因で、自覚症状としては少しずつ視野が欠けてくる。しかし症状には個体差があり、眼圧だけでは症状悪化の速さが予測できなかった。

 研究チームは、カニクイザル5匹を使って実験。神経線維を画像化できる特殊なMRIを使い、緑内障のサルの脳内を撮影したところ、視神経線維の欠損と眼圧の高さに相関関係があることが判明。予測通りの速さで5匹の症状が悪化した。

 人体に応用できれば、視野が欠ける前に病気の発見が可能になる。治療の効果計測が容易になり、新薬や治療法の開発が期待できるという。

 研究の中心となった岐阜薬科大の嶋沢雅光准教授(46)は「新しい治療の道を開く画期的な研究だと思う。早期の臨床応用を目指していきたい」と話した。



 眼科領域の画像化も飛躍的に進歩している分野の1つですね。一度失った視野は戻らないのが現代の緑内障の特徴なので、こういった予防を、眼圧だけでなく画像を用いて臨床で扱うことが出来れば、病状をコントロールする良い指標になるのでしょう。
posted by さじ at 01:15 | Comment(0) | 眼科

2012年10月22日

病的近眼は眼球が変形して視神経に異常が出ている

病的近視は眼球が変形 東京医科歯科大チーム解析

 近視の中でも視力矯正が難しく、失明の一因にもなる「病的近視」は、眼球がいびつに変形し、視神経などに異常が起きていることを東京医科歯科大の大野京子准教授らのチームが立体画像の解析で突き止め、11日発表した。

 病的近視は日本人に多く、40歳以上の約5%が病的近視の可能性がある。チームは「リスクの高い眼球を持つ人を早期に診断し、変形が進む前に進行を止めるという新たな治療法の開発が求められる」としている。

 チームは磁気共鳴画像装置(MRI)を使って眼球の形を立体画像化。病的近視の200人の眼球を分析した。この結果、眼球に4種類の変形があることを発見した。



 ド近眼なんで怖いですわ。

 iPS細胞で視神経再生という時代が早くきてくれないかなぁ。っつーか私も早く治療しないと視神経へのダメージが著しくなるんですね。良い眼科みつけよう。
posted by さじ at 01:43 | Comment(0) | 眼科

2012年06月17日

まつげエクステンションのトラブルをなくすため、何らかの資格を

まつ毛エクステンション施術 目に被害相次ぐ

 目元を彩るメークとして女性に人気の「まつ毛エクステンション」で、目の炎症などの被害が後を絶たず、業界団体や国が安全対策に苦心している。人工毛を接着剤でまつ毛に貼り付けるデリケートな施術で美容師免許が必要だが、無資格が横行するほか、美容師の技術不足も背景にあるという。専門サロンは全国に1万店以上あり、業界団体は、技術水準の向上を目的に、専門資格の新設を国に要望した。

 「数日間はまぶたが腫れてヒリヒリした」。大阪市中央区の会社員Oさん(29)は約3年前、市内の専門サロンで施術を受けた際、接着剤のアレルギー症状が出たという。それでも店を変え、今も3週間に1度は通う。「リスクがあるのはわかっているが、つけまつ毛より自然な感じで朝の化粧も楽。やめられない」。

 国民生活センターには「角膜が傷ついた」などの相談が毎年90件前後あり、「潜在的な被害はもっと多いはず」(同センター)。各地で美容師法違反(無免許営業)容疑による摘発も相次ぐ。

 業界団体などによると、美容師の養成課程でほとんど指導されず、美容師の国家試験で過去の出題例はない。大半の美容専門学校で使われる教科書にも今春発行で2ページ登場しただけ。免許取得後に講習会などで学ぶが、指導内容にばらつきがあり、見よう見まねの美容師もいるという。

 こうしたことから、厚生労働省は昨秋から有識者や業界団体などによる検討会で議論。一般社団法人「NEA日本まつげエクステ協会」(大阪市中央区)は今年3月、検討会の中で、「美容師とは別の資格を」と同省に要望した。同協会を含む業界9団体は昨年12月、施術方法や安全衛生の統一基準を策定するための組織を発足し、自主規制にも動き始めている。

 日本眼科医会の福下公子副会長は「医師としては施術自体に反対。ただ、広く浸透しており、行政が安全の仕組み作りを主導すべきだ。消費者も危険性を認識してほしい」と指摘する。

 同省生活衛生課は「美容師法に基づき美容師が施術する方針に現段階で変更はない。検討会で各方面から意見を聞き、今後の対策を決めたい」としている。



 確かに。美容師がやっていいこととしては過剰かもしれんね。

 何らかの資格にしないといけないだろうなぁ。医師でなくていいだろうけど、失敗したら目に障害が出るもんね。でも女性にとっては、確かにつけまつげとか塗るやつとかより、見た目が自然でいいですもんね、面倒でないし。
posted by さじ at 01:43 | Comment(1) | 眼科

2012年05月19日

震災後、6割の子供がめまいのような症状を訴えている。

震災後、6割の子がめまい訴え 心理的要因か、日大調査

 地震でもないのに地面が揺れている――。東日本大震災直後、千葉県内の子ども約1860人のうち6割がめまいのような症状を訴えていたことが日本大学医学部の野村泰之医師らのグループの調査でわかった。強い揺れに見舞われた心理的要因が大きいとみられる。

 調査は2011年3〜5月、千葉県船橋市の小中高校生計1926人を対象に実施、1862人から回答を得た。このうち症状がみられたのは、小学生73.9%、中学生、高校生はいずれも57.9%。男子より女子の割合が1.4倍高く、乗り物酔いをしやすい子がかかりやすい傾向があった。



 へぇ。不思議。心理的なもんなんですかね。乗り物酔いは三半規管の影響ですけど、そこが未発達の傾向があるほうが心因性のふらつきのようなものが生じやすいのか。心のケアはずっと必要ですね。こういうところにも医学のケアが入るようになったのは大きい進歩か。
posted by さじ at 03:39 | Comment(0) | 眼科

2012年03月20日

長期滞在の宇宙飛行士の目と脳に異常が生じていた。

長期滞在の宇宙飛行士、目と脳に異常 米研究

 宇宙に1か月以上滞在した宇宙飛行士らに、目と脳の異常が見つかったとの論文が、12日の米学術誌「Radiology(放射線医学)」に掲載された。長期の宇宙探査ミッションの計画が大きく後退する可能性もある。

 研究チームは、スペースシャトルミッションか国際宇宙ステーションに乗船した宇宙飛行士27人のMRI(磁気共鳴画像撮影装置)を分析。宇宙飛行士らの宇宙滞在期間の平均は108日間だった

 シャトルミッションは通常数週間程度だが、ISS滞在は6か月以上におよぶ場合もある。また、数十年後に予定されている火星の有人探査計画は、最長で1年半に上る見込みだ。

 研究チームによると、合計で1か月以上宇宙に滞在した飛行士たちには、多様な合併症が発症していた。これらの症状は、脳への原因不明の圧力により生じる症候群と似ていたという。

 宇宙飛行士の33%には、視神経周辺に脳脊髄液の過剰分泌が見つかった。また22%からは、眼球の裏側が平らになる症状が見つかった。また15%では視神経の肥大化が起き、11%は脳下垂体に変化が見られるとともに脳下垂体と脳とのつながりも変化していた。脳下垂体は視神経の間に位置し、性ホルモンの分泌や甲状腺の調節を行っている。



 宇宙に居続ける、というのは、難しいことですねぇ。

 確かに冷静に考えれば重力という力が加わった状態で我々の血液やら髄液やらが動き、そして各種臓器はその状態でいたわけですから、それが無重力となれば圧力のかかり方が異なる訳で、それ相応のダメージもあるんですかね。

 数十年後には宇宙に行ける時代がくるんでしょうけれど、そうした時にそれなりの医学の発展があると心強いですね。
posted by さじ at 22:24 | Comment(0) | 眼科

2012年03月11日

FPSゲームが先天性白内障など視覚障害の改善に効果あり。

FPSゲーム、視覚障害の改善に効果 米研究

 先天性白内障を発症した成人の視力が、戦場で敵を撃つタイプのFPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)と呼ばれるジャンルのビデオゲームを遊ぶことで回復したとの研究が17日、カナダのバンクーバー(Vancouver)で開かれた米国科学振興協会のカンファレンスで発表された。

 研究を率いたカナダ・マクマスター大のダフネ・マウラー氏は、永続的な障害があるようにみえる知覚能力の一部は、成人になってから改善が可能であることが示されたと述べた。

 マウラー氏率いる研究チームは、まれな先天性白内障を両目に発症した子どもたちの追跡調査を実施していた。先天性白内障は手術と矯正コンタクトレンズを必要とする疾患で、被験者らは全員、生後3か月から10か月の間に通常の視力が損なわれた。

 被験者たちは大人になるに連れて視力が回復したものの、視力が20/20(日本の1.0に相当)に達することはなく、顔の認識や視覚の鮮明さ、運動の方向、周辺視野、両眼視などに問題が残った。

 過去の研究で、特定の視覚疾患を発症した人々の視力が、FPSを遊ぶことで回復することが分かっていたので、マウラー氏はこの方法を自らの研究テーマに選んだ。

 研究では19〜31歳の被験者6人を1か月間追跡調査した。被験者はゲームソフト大手エレクトロニック・アーツ(Electronic Arts、EA)のFPSゲーム「メダル・オブ・オナー」を、1日2時間以内、週5日間までの制限下で、累計40時間プレイした。

 実験の結果、6人中5人で20/32〜20/100だった視力が20/20近くまで向上した。また顔の認識能力が高まり、小さな文字を認識することができるようになり、点の移動する方向を判断できるようになった。

「視神経系が成人になってからも神経のつながりを作ったり再結合させたりするに十分なほど可塑的であることを示唆しているように思える。これはあらゆる視覚障害にあてはまるかもしれない」と、マウラー氏は記者団に語った。

 マウラー氏自身は「ゲーマー」ではなく、自分の研究のために人々に暴力的なゲームをプレイさせることに抵抗があったという。「われわれの介入のせいで被験者がこれらゲームの中毒になる恐れも多少はあった。だからゲームをする時間を制限した」。だが、研究から得られた結果は有意義だった。

 FPSはテンポが速く、自分の正面にいる相手と、周辺にいる相手を監視し続ける必要がある。そのためドーパミンやアドレナリンの量が増え、視力を向上させる上で脳を柔軟にする効果がある。



 何でなんでしょうかね?ゲームでなくても、日常で生活していればあれぐらいの「注意」や「集中」は得られそうなもんですけど。

 不思議ですけど、効果があるならやらない手はないですね。もっとこう、暴力的でない手段でもいいのかもしれませんけど、暴力的内容でないFPSってのも味気ない気はしますけどもね。治療だからいいのか。
posted by さじ at 02:06 | Comment(1) | 眼科

2012年03月10日

網膜色素変性症の原因遺伝子を特定する。

日本人患者に高頻度で異常 目の難病、原因遺伝子特定

 視野や視力が悪化していく難病「網膜色素変性症」の日本人の患者では、7人に1人に相当する高頻度で特定の遺伝子に異常があることを、国立成育医療研究センター(東京都)と浜松医科大の研究チームが発見し、2日付の米科学誌プロスワン電子版に発表した。

 欧米人の患者ではほとんど異常がないことが分かっており、チームの東範行・同研究センター細胞医療研究室長(眼科学)は「早期発見のための検査や新しい治療法につながる」と話している。

 チームによると、網膜色素変性症は早ければ幼児期に発症。通常はゆっくりと症状が進行し、数十年で失明に至る。国内では4千〜8千人に1人が発症するとされているが、根本的な治療法は見つかっていない。



 網膜色素変性症の話題は出ていますけれども、治療法の確立には至っていない代表的疾患の1つです。遺伝子が特定されたのは大きい進歩で、これで検査・治療がある程度見通しつくかもしれません。
posted by さじ at 14:28 | Comment(0) | 眼科

2011年12月06日

東北大学が緑内障予防にカルパイン阻害薬を研究する。

緑内障治療へ新たな光明 投薬で視神経を保護

 東北大大学院医学系研究科の中沢徹教授(眼科)らの研究グループは、特定のタンパク質分解酵素の活動を抑制する薬が網膜視神経を保護し、緑内障の改善に効果があることを確認した。緑内障は40歳以上の約5%が発症し、失明の原因でトップの病気。現在は眼圧を下げる以外の治療がなく、新たな治療法につながると期待されている。

 緑内障は視神経の乳頭のねじれや萎縮が原因で網膜神経節細胞が死に至り、視野欠損と視力の低下を引き起こすことに、グループは着目。この視神経を保護する手法の研究に取り組んだ。

 これまでにタンパク質分解酵素「カルパイン」が活性化されると特定のタンパク質が分解され、細胞死が起きることが分かっている。
 中沢教授らは神経節細胞が8割減った緑内障症状のマウスに、「カルパイン」の働きを抑制する薬(阻害薬)を投与。阻害薬を与えたマウスの網膜神経節細胞の生存率が上昇し、保護効果が高いことを突き止めた。培養細胞でも同様の効果が得られた。



 今までと異なる機序で、視神経をうまく守ることのできる薬。これは期待できそう。実際緑内障って難しいですけど、失明する危険の高い疾患なので。
posted by さじ at 01:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科

2011年09月18日

滲出性加齢黄斑変性症の原因遺伝子TNFRSF10Aを発見する。

失明疾患の原因遺伝子特定=患者の4割、配列異なる−九州大

 目の網膜にある黄斑に異常が起きて視力が低下し、失明に至る疾患「加齢黄斑変性(AMD)」のうち、アジア人に多いと言われる「滲出性AMD」の発症に関係する遺伝子の塩基配列を、九州大大学院医学研究院の石橋達朗教授(眼科学)らのグループが特定し、米科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に12日発表した。

 AMDは国内に30万人以上の患者がいると言われ、成人の失明原因の中で4番目に多い。AMDには2種類あるが、日本人の大半は、網膜の下にできた血管から出血するなどの特徴がある「滲出性AMD」で、50代以上に多いという。

 研究グループによると、滲出性AMDの患者と健常者計約2万人の血液を採取し遺伝子を解析したところ、「TNFRSF10A」と呼ばれる遺伝子の塩基配列に異なる部分があった人の割合は、健常者が約34%だったのに対し、患者は約42%に上ったという。配列が異なる人は、普通の人に比べ滲出性AMDを発症する確率が約1.37倍高いことも判明した



 
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2011年04月30日

胃潰瘍治療薬が視細胞の死を予防し網膜剥離を減らす。

東北大など、胃腸薬で視細胞の死抑制−網膜剥離の治療に道

 東北大学の中澤徹准教授や米ハーバード大学などの研究チームは、光を感知する「視細胞」の死を抑える薬の候補分子を発見した。

 網膜剥離が原因で起こる視細胞の死を防ぐため、胃炎や胃潰瘍の治療薬として使われているゲラニルゲラニルアセトン(GGA)に着目。変性したたんぱく質を修復する「ヒートショックたんぱく質(HSP)」を、GGAが眼球中に生成し、視細胞の死を抑えることを示した。既に臨床で利用している薬の中で、網膜剥離が原因で起こる視細胞死を抑える薬剤の発見は初めて。網膜剥離の治療薬の開発が期待できる。眼の網膜中には光を感知する視細胞があり、受けた光を視覚情報として脳に伝える。

 マウスにGGAを飲ませると、眼球内にHSPが作られることに着目。網膜剥離を起こしたマウスにGGAを与えると、GGAを投与しない場合に比べ、死ぬ視細胞の数を減らせることがわかった。



 へー。なんか不思議ですね。じゃあ今まで胃潰瘍治療薬を飲んでいた人は視細胞死を知らず知らずのうちに抑えていたということなんでしょうかね。
posted by さじ at 10:49 | Comment(1) | TrackBack(0) | 眼科

2011年04月18日

胚性幹細胞から多種の細胞が重なった網膜組織を作ることに成功する。

ES細胞から網膜生成 理化学研グループ、マウスで成功

 いろいろな組織の細胞がつくれる万能細胞のES細胞(胚性幹細胞)から、多種の細胞が重なっている網膜組織をつくることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹グループディレクターらがマウスで成功した。視細胞を含む6層の立体構造。人工網膜をつくり、失明した患者に移植する再生医療につなげたいという。

 グループは「眼杯」と呼ばれる目の元になる組織に注目。マウスのES細胞を培養液の中で浮かせた状態に保ち、眼杯ができる時に必要なたんぱく質を加え、マウスの胎児の眼杯にそっくりの組織を作りだした。

 さらにこの組織の培養を続けた結果、6種類の細胞が層になり、網膜そっくりの組織をつくることができた。直径2ミリほど。今後は移植実験で働きを調べる。

 網膜のうち神経を守る「色素上皮細胞」は、すでにES細胞やiPS細胞(人工多能性幹細胞)からつくられ、動物実験が進められている。今回のように、光を受けて電気信号に変えて脳に伝える「神経網膜」も含む立体組織ができたのは初めてという。「ヒトやサルのES細胞でつくった人工網膜をサルに移植する研究を始め、再生医療につなげたい」と笹井さんは話す。



 これは凄い。網膜丸ごと作ってしまうことも出来るようになるのでは・・・。

 人工網膜が出来たら、角膜以上に各種疾患で光を失った人に適用できそうです。
posted by さじ at 00:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科

2010年09月27日

オカルト黄斑ジストロフィーの原因遺伝子を解明することに成功

オカルト黄斑ジストロフィーの原因遺伝子を解明

 国立病院機構東京医療センター感覚器センターと東大医学部神経内科の共同研究チームは9月9日、両眼の視力が徐々に低下するオカルト(目に見えない)黄斑ジストロフィーの原因となる遺伝子を解明したと発表した。

 共同研究チームは、この病気に罹患している家系を国内で確認し、その家族からDNAを採取。この家系の中で、病気にかかっている人とかかっていない人のDNAを比較した。そこから、この病気に関与している遺伝子の染色体の位置を推定し、その領域内にある遺伝子の中から原因遺伝子を特定することに成功した。



 視力系の疾患、特に遺伝などでどうしようもない疾患は、その患者さんの生活の質に大きく関係してきますからね。。

 遺伝子が解明されたのは大きな前進でしょう。あとはそれに対する治療。
posted by さじ at 00:17 | Comment(1) | TrackBack(0) | 眼科

2010年08月30日

急性緑内障のメカニズムにはグルタミン酸が関与していた

急性緑内障、仕組みの一端解明 秋田大研究グループ

 急性緑内障で神経障害が起こるメカニズムに「グルタミン酸」が関与していることを、秋田大大学院医学系研究科眼科学講座の石川誠講師(51)と吉冨健志教授(54)らの研究グループが解明した。研究論文は今月、米国の眼科専門誌「IOVS」(電子版)に掲載された。吉冨教授は「研究成果が、今後の治療法確立につながることを期待したい」と話している。

 緑内障は眼圧が上がり、視神経が圧迫されて次第に視野が狭まり、放っておくと失明に至る病気。国内では40歳以上の5%が発症しているとされ、急性型と慢性型がある

 石川講師によると、急性緑内障では視神経が腫れ上がり、その後に神経細胞が死滅していくことは判明しているものの、そのメカニズムについては解明されていなかった。研究グループは、神経細胞の情報伝達に不可欠なグルタミン酸が神経を過剰反応させることで細胞を死滅させる毒性を持つことに着目。緑内障においても、グルタミン酸が何らかの原因で、視神経を過剰反応させ、死滅へ誘導しているのではないかと考えた。

 実験ではラットの眼球標本を採取し、段階的に眼球に圧力を加えた。眼圧が上がるごとに視神経は腫れ上がったが、グルタミン酸の毒性をブロックする薬物を与えたところ腫れは治まった。この結果から、グルタミン酸が緑内障に関与していると結論付けた。

 グルタミン酸は通常、グルタミン合成酵素によって毒性が分解されることから、研究グループは、毒性を持ち続ける原因についても調査。酵素の働きと眼圧の関係を調べた結果、眼圧が上がると酵素の働きが落ちることも突き止めた。



 グルタミン酸ブロッカーみたいなのが今後治療法として挙がってくる日も近い・・・?

 緑内障はホント怖いですからね。視力を失うかもしれない病気の1つ。

関連
医学処:緑内障の早期発見に役立つ遺伝子配列を発見する。
医学処:日本の視覚障害者の数が164万人にも上る。
医学処:点眼後に目をぱちぱちさせる→まちがい!
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2010年08月29日

人工角膜で視力を回復させることに成功する。

人工角膜で視力回復 他人からの提供を代替も

 人工的に合成した角膜を使って患者の視力を回復させることにカナダのオタワ大などの研究グループが成功し、25日付の米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンに発表した。

 この技術によって、死んだ人から移植用の角膜提供を受けられない多くの患者を救える可能性があるという。

 研究グループは、遺伝子組み換え技術を用いて、酵母から人の角膜の成分であるコラーゲンを合成。2007年にスウェーデンの病院で、病気や外傷によって角膜移植を必要とする10人の患者を対象に、角膜を除去し、コラーゲンを成型した人工角膜を移植した。

 この結果、2年後に6人の視力が移植前に比べて改善され、残りもコンタクトレンズの補助があれば、他人の角膜を移植したのと同程度に回復。人工角膜への拒絶反応は、どの患者にも起きなかった。

 角膜は目の前面を覆う透明な組織。外傷や病気によって濁ると視力を失うことがあり、世界には角膜を移植すれば視力を取り戻せる人が1千万人以上いるとされる。



 おおおー。人工角膜。もし大量生産できれば助かる人は大勢いるはず。

 目の病気は治るだけで劇的に日常生活の質が改善されますので、これは大いに期待。
posted by さじ at 03:09 | Comment(1) | TrackBack(0) | 眼科

2010年08月21日

網膜色素変性症の患者の皮膚から視細胞を培養することに成功

目の難病解明に期待 世界初、患者皮膚から視細胞 

 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市中央区)の網膜再生医療研究チームは、中途失明の三大原因の一つとされる遺伝性、進行性の難病「網膜色素変性症」の患者の皮膚から、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り、視細胞に分化させることに世界で初めて成功した。視細胞の分析から、同症の原因遺伝子の働きが解明できる可能性があり、根本的な治療法につながることが期待される。

 同症は、光を受け取る網膜上の視細胞が機能を失い、視野が徐々に狭くなっていく病気。厚生労働省が特定疾患に指定し、全国で約2万5千人が治療を受けている。

 眼科医でもある高橋政代チームリーダーによると、同症は100種類以上の遺伝子との関係が指摘され、患者によって原因遺伝子が異なる場合がある。だが失明の恐れがあるため、患者の目から視細胞を採取して調べることができない。また採血による遺伝子診断では、2割程度の患者の原因遺伝子しか特定できず、その働きは十分に解明されていないという。

 そうした中、研究チームは一昨年、ヒトiPS細胞からの視細胞を作製。この技術を応用し、先端医療センター病院(同市中央区)の患者の皮膚を基に、このほど視細胞を作ることに成功した。これまでに同意を得た7人分を作り、原因遺伝子の分析を進めている。

 高橋チームリーダーは「視細胞から原因遺伝子の働きが解明できれば、それぞれの患者に合った効果的な投薬などを実現させたい」としている。



 視細胞の異常であれば、幹細胞を使って培養した視細胞での研究によって少しずつ治療法も解明されていくかもしれません。

 目という部位は日常生活に大きく関わってきますからね。とても有意義な研究ではないかと。

関連
医学処:iPS細胞を用いた網膜再生にはまだまだ時間が必要です。
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2010年03月29日

点眼後に目をぱちぱちさせる→まちがい!

点眼方法、不適切が9割超

 点眼後に目をぱちぱちさせるなど、適切に点眼を行っていない人が全体の9割超に上ることが、ファイザーの調べで明らかになった。正しい点眼方法の「しばらくの間、目頭を押さえながら目を閉じる」を行っている人は1割にも満たなかった

 調査は今年2月、緑内障など成人の目の病気が多く発症する40−60歳代の、病院で複数の目薬を処方された経験がある人を対象に、正しく点眼できているかどうか実態を把握するためにインターネット上で実施。男女1200人から回答を得た。

 調査結果によると、片目に一度に何滴さすかについて、正しい点眼滴数の「1滴」が66.5%で最も多かったものの、「2滴」が29.8%、「3滴」が 3.8%と、3割強が「さし過ぎ」だった。

 また、一度に2滴以上さすと答えた人にその理由を聞いたところ、「1滴だと目全体や患部に薬が十分にいき渡っているかどうか不安だから」が53.2%で最も多く、以下は「2滴以上さしたほうがより効果が高いと思うから」(25.4%)、「さす滴数について手先の微調整ができないから」(10.2%)などの順だった。

 一方、上を向いて目薬をさした直後の行動について全員に聞いたところ、「目をぱちぱちさせている」が43.5%で最も多く、次いで「しばらくの間、目を閉じている」(30.2%)、「しばらくの間、目を見開いたままじっとしている」(15.1%)、「しばらくの間、目頭を押さえながら目を閉じている」(5.8%)、「特に何もしない」(3.8%)などの順だった。

 このほか、複数の目薬をさす場合に、2回目以降の目薬をさすタイミングについて聞いたところ、正答の「間隔を約5分以上空けて次の目薬をさしている」が 62.8%、「5分以上空けずに次の目薬をさしている」が37.2%だった。



 私もやってませんけどね・・・

 まあ本当はしっかり目を閉じたほうがよいらしいです。ただ乾燥のときに使う目薬ならいいかもしれませんが、感染などで使う医薬品の目薬の場合は、記事にあるようなさしかたをしてみましょう。
posted by さじ at 01:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科

2010年03月02日

和歌山県立医大病院で流行性角結膜炎の院内感染

院内感染:県立医大病院で5人に 流行性角結膜炎、医師から患者へ

 県立医大は23日、付属病院の眼科医師から入院患者5人へ流行性角結膜炎の院内感染が発生したと発表した。いずれも軽症という。同医大は「この規模の感染は過去に例がない」としている。

 2月15日、眼科医が流行性角結膜炎と診断され診療を休んだ。病棟で担当した入院患者8人のうち、5人が同20、21日に同じ病気と診断された。同医大は医師から感染したと判断。新たな患者発生を防ぐため、眼科などの病棟への入院を原則2週間延期した。医師は同病院では外来診察をしていない。

 流行性角結膜炎はウイルス性の急性結膜炎で、感染から1〜2週間で発症、接触感染する。同病院は診察・点眼の際の手袋の使用や患者ごとの交換など感染防止策をしている。



 接触感染ですので、手洗いや手袋の着用で防止策は行われているはずなんですが、今回はそういう対策をしていたにもかかわらず院内感染として広まってしまったとのこと。
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2010年01月10日

少量の鉛を含むアイメイクでバクテリアを撃退していた。

古代エジプト人のアイメークは目の疾患予防のため、仏研究

 約4000年前の古代エジプト人が目にアイメークを施していたのは、邪気から身を守ったり美しく見せたりするためだけでなく、目の疾患予防の目的もあったとする研究報告が、7日の化学専門誌「Analytical Chemistry」電子版に掲載された。

 研究を行ったのは仏ルーブル美術館とフランス国立科学研究センターの合同研究チーム。チームを率いるフィリップ・ウォルター氏によると、古代エジプト人は鉛や鉛塩を調合したものをアイシャドーとして用いていた。調合に1か月かかる場合もあったという。

 一般的に鉛は有害と考えられているが、化学分析を行った結果、極めて少量の鉛を使用する分には細胞は破壊されず、代わりに、酸化窒素の分子を作りだして、目の疾患の原因となるバクテリアを撃退する免疫防御システムを活性化させることが分かった

 チームは毛髪の10分の1の細さの電極を利用して、古代エジプト人が作り出した塩化鉛が細胞にどのような影響を与えるかを調べた。



 へぇー。鉛が、皮膚に塗ると害があるというのは知っていましたが、少量であれば問題ないどころか、外敵から身を守る術になっていたとは。

 やっぱりこういう、経験則に基づいた医療、というのはなかなか馬鹿にできないものありますね。日本も長い間に培われた経験則から、色々と科学的なものが発見されたりしてますし。神話が事実を元に作られているように、何らかの意味があるからこそ生き残っている話、というものは意味を再認識すると面白い結果が生まれるかもしれません。
posted by さじ at 01:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科

2010年01月06日

明るさを区別する網膜の仕組みを解明する。

明暗感じる網膜の謎、解明…大阪バイオサイエンス研

 網膜で光の明暗をはっきりと区別する仕組みを、大阪バイオサイエンス研究所の古川貴久部長らがマウスを使った実験で明らかにした。薄暗い場所では目がよく見えなくなる夜盲症の治療につながるとして期待される

 網膜には「双極細胞」と呼ばれる細胞があり、明暗のコントラストを強調して視神経に信号を伝えている。暗さを強調して伝える仕組みはすでに解明されているが、明るさに関してはよくわかっていなかった。

 研究チームは、双極細胞の膜にくっついている「TRPM1」というたんぱく質が、明るい時には外部からナトリウムイオンなどを取り込んで細胞を活性化させていることを突き止めた。TRPM1を作る遺伝子をなくしたマウスは、明暗に対する反応が普通のマウスに比べ著しく悪くなった。

 古川部長は「20年来の謎がようやく解けた。人でもマウスと同じ仕組みで明暗を区別していると考えられる」と話す。成果は米科学アカデミー紀要に発表した。



 あとはiPS細胞なりで再生することができれば。

 あと10年もすれば、iPS細胞で網膜と同じ役割を果たす移植なども出来るようになるんじゃないですかね。この医学の進歩っぷりは目を見張るものがありますし。
posted by さじ at 23:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科