[介護]の記事一覧

2007年03月09日

障害者アートの専門誌「brut ブリュット」が関西で誕生。

関西に障害者アート専門誌誕生

 障害者らが生み出す独創的なアートを紹介する、関西発の専門誌「brut ブリュット」が誕生した。合言葉は「アートでつながるひと、もの、こと」。現代アートに負けない、自由で驚きに満ちた「障害者アート」の魅力をアピールする一方、各地の取り組みを伝えることで、作家や団体間の交流、連携を促す。

 大阪を拠点に活動する美術ライター・山下里加さんら四人が編集。日本フィランソロピー協会(東京)と特定非営利活動法人「はれたりくもったり」(滋賀県)が発行する。

 障害者らによる絵画や陶芸は、海外では「アール・ブリュット」や「アウトサイダーアート」と呼ばれる。近年、国内でも注目されるようになったが、「一般にはまだ知る機会が少ない」と山下さんらが全国でも珍しい専門誌の創刊を発案した。

 日本では「福祉」の側面から見られることの多い障害者アートだが、美術的価値への関心も高まっており、多彩な視点で魅力や可能性を探る。

 このほど発行された創刊準備号では、「描くひと、創るところ」と題して特集。植物などをモチーフに、不思議な温かみと強さを持つパステル画を描く舛次祟さん(西宮市)ら、作家や施設を取材し、創作現場の息遣いを伝える。

 ほかに、デンマークの障害者向けアートスクールの様子や、神戸大の大学院生らが企画、実現した音楽家と知的障害者によるコンサート「音の海」の試みなどもレポート。編集部おすすめの作品紹介ページも。主な記事には英文も添えており、スイスの美術館「アール・ブリュットコレクション」でも販売している。

 「美しく、見て楽しい雑誌にした」といい、障害者アートにかかわる人らには、「この雑誌で横のつながりができれば。ほかの人たちの考えを知り、それぞれの活動の次の一歩を考えて」と山下さん。創刊号の発行時期は確定していないが、今後、年四回ほどの刊行を目指す。



 確かに日本では障害者の活動=福祉という捉え方をする人が多いと思います。ですが芸術というのはそういう「左脳的な思考」ではなく、もっと感性で捉えるものですよね。

 私自身、美術系には疎いので偉そうなことは言えませんが、現代アートの場においては、作者の肉体や神経の欠失は関係ないのではないか、と。いやむしろその欠失を生かして芸術作品を作ってもいいわけです。つまり何をしてもいい。

 ですから、作者のプロフィールとか載せずに作品と題だけ展示するのも面白いと思うんですよね。っていうか、障害のない人の作品だって、別にその作者の物凄い失恋歴とか異常性癖とかがプロフィール欄に書かれているわけじゃないですもんね。

 アートなんだから作品をみて、感じ取れば良いんじゃないでしょうか。感受性がニブいのでこの〆かたは墓穴といっても過言ではありません。笑
posted by さじ at 04:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

2007年03月03日

貴方の家族は、Pick病のせいで万引きしたのかもしれません。

若年認知症「ピック病」で万引き 厚労省が調査

 「ピック病」と呼ばれる認知症になった公務員らが、症状の一つである万引きをして社会的地位を失うケースが相次いでいる。脳の前頭葉の萎縮で感情の抑制を失って事件を起こしてしまうためで、犯行時の記憶がないのが特徴だ。しかし、正確に病気を診断できる医療機関は少なく、厚生労働省の若年認知症の研究班も、初めてピック病の実態調査に乗り出した。専門医は「まじめに仕事をしていた働き盛りの人が万引きをして『なぜ』ということがあれば、ぜひ専門の医療機関を受診してほしい」と話している。

 脳の前頭葉と側頭葉の血流低下と萎縮で起きる認知症は「前頭側頭型」といわれ、うち8割が「ピック病」とされる。

 アルツハイマー病のような記憶障害が、初期はあまりみられないものの、時に、周囲の状況を気遣わない行動や万引きが症状として出る人もいる。ただ、本人は善悪の判断がつかず、厚労省の若年認知症の研究班メンバーの宮永和夫・群馬県こころの健康センター所長によると、欧米でも万引きなどの軽犯罪がピック病の症状の一つとして報告されているという。

 宮永医師が診断したケースでは、万引きの疑いで逮捕され、懲戒免職となった神奈川県茅ケ崎市の元文化推進課長、中村成信さん(57)がいる。

 中村さんは、昨年2月、自宅近くのスーパーマーケットでチョコレートとカップめんなど計7点(計3300円相当)を盗んだとして逮捕された。しかし、釈放後、話のつじつまが合わないなど家族が「おかしい」と気づき、大学病院を受診。「認知症の疑い」の診断が出た。このため、4月末、市の公平委員会に処分取り消しを求める不服申し立てをした。

 昨年末には、別の病院で脳の血流検査を受け、前頭葉と両側の側頭葉に明らかな血流低下がみられたため、「ピック病」の可能性が高いとされた。前頭葉の機能を調べる心理検査の結果なども合わせ、宮永医師がピック病の「軽度と中等度の間」で、発症は「04年1月以前と考えられる」と診断した。

 このほかに、会計事務所に勤める東京都内の50歳代の男性も、近所の文具店でボールペンや消しゴムなどを万引きする症状が出た。ひと月もしないうちに、同じものを盗んだ。しかし、本人に盗んだ意識はなく、外出時に家族が付き添ってトラブルを防いでいる

 また、奈良県内の50歳代の放射線技師の男性は「仕事が難しい」と勤務先の病院を休職した。散歩帰りに近所の家の畑から、野菜を毎日のように持ち帰るようになり、苦情が来た。入院先でピック病と分かり、職場を辞めている。

 宮永医師は「万引き後に、ピック病と診断される人は少なくない」と指摘。「病気が原因でやった行為なのに、社会的な名誉を失い、その後の人生が大きく変わってしまうのは非常に残念だ」と話している。



 その他のPick病の症状としては、社交性の消失、口唇傾向(食にうるさくなったり、過食、喫煙や飲酒の過多、物品を口で探る)などの行動障害や、抑うつ、不安などの感情障害、言語障害などがみられます。

 脳の萎縮で万引きをしてしまって、社会的地位が奪われてしまっては悲劇です。病気の認知度が高まってくれればいいんですけれど…。もし急に中高年の方が万引きをしはじめたら、一度大きな病院へ。

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posted by さじ at 04:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

2007年02月22日

知的障害者施設で、にがりの原液を飲まされて死亡した女性

誤ってにがり原液飲ませ、入所女性死なす

 神奈川県相模原市相模湖町の知的障害者施設「県立津久井やまゆり園」で2004年、入所女性(当時56歳)に誤って高濃度の「にがり原液」を飲ませて死亡させたとして、津久井署は20日、当時の女性県職員(30)を業務上過失致死の疑いで横浜地検に書類送検した。

 調べによると、職員は04年3月26日、同施設で便秘解消のため、女性に「にがり希釈液」200ミリ・リットルを飲ませる際、誤ってほぼ同量の原液を飲ませ、高マグネシウム血症が原因の低酸素脳症で約1か月後に死亡させた疑い。職員は冷蔵庫にあった原液を間違えて飲ませたという。

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 普通、腎機能障害などで高マグネシウム血症になるものですが…経口摂取で…。以下、wikipediaより引用。

 にがり(苦汁、滷汁)とは、海水からとれる食品添加物。海水から塩を作る際にできる余剰なミネラル分を多く含む粉末または液体。主に豆腐の伝統的製法において、豆乳を固める凝固剤として使用される。また料理のアク取りにも使われる。

 海水に含まれている塩類は、塩化ナトリウムが多数を占める。海水から食塩を生成する場合、塩化ナトリウムが結晶化し、これを取り除いた後に残った物が苦汁である。成分は、塩化マグネシウムや塩化カルシウムなどである。ほかにカリウム・鉄などのミネラルを含む。味は文字通り苦い。

 2004年あたりから、日本では、にがりはダイエット食品として話題になってきているが、科学的根拠は明確でなく下痢やミネラルの吸収阻害などの悪影響が出る場合があり、過剰摂取は大変危険である。
posted by さじ at 01:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

2007年02月04日

認知症による脳萎縮、始まる前に細胞が活性化することが判明

認知症:脳萎縮前に細胞活性化 発症予測の可能性

 認知症により脳組織が萎縮する前に脳内の免疫にかかわる細胞が活性化することを、放射線医学総合研究所(千葉市)などがマウスの実験で突き止めた。この細胞の活性化を観察できればアルツハイマー病の発症を予測できる可能性があり、早期診断や治療薬の開発につながるという。1日付の米科学専門誌「ニューロン」に掲載された。

 研究チームは、認知症の原因の一つと考えられている「タウたんぱく」が脳内に蓄積するように遺伝子操作したモデルマウスを作成。このマウスは加齢に従い神経細胞が死滅し、生後9カ月で脳組織が萎縮する。チームはこのマウスで、脳の損傷を加速させると考えられている「ミクログリア」という免疫細胞を観察した。その結果、海馬などの脳組織が萎縮する前の生後3カ月で、すでにミクログリアが活性化し始めることが分かった。一方、生後2、3カ月で、免疫抑制剤を投与すると海馬の萎縮を抑えた。

 放医研の樋口真人チームリーダーは「変化したタウたんぱく質が細胞にたまると、除去しようとして集まったミクログリアが活性化し、脳細胞を損傷させるのではないか。副作用の強い免疫抑制剤ではなく、ミクログリアの活性を抑える治療薬を見つける必要がある」と話している。

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 ミクログリアとは、脳の免疫系統に関わっているものです。この増減を見極めれば認知症発生を知ることができ、また、予防もできるのではないかということですね。

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2007年02月02日

埼玉医科大学がアルツハイマー病のワクチンを開発。

埼玉医科大など、アルツハイマー病ワクチンを開発

 埼玉医科大学、南フロリダ大学などの国際チームは、アルツハイマー病を治療するワクチンを開発、マウスの実験で安全性と有効性を確認した。脳内にたまる原因とされるたんぱく質が半減した。成果は近く米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。

 注射で投与するタイプを中心に国内外でアルツハイマー病ワクチンの研究開発は盛んだが、髄膜炎や軽い脳内出血などの副作用が出るとの報告もある。今回開発したワクチンは、皮膚に直接塗ったりパッチにして張ったりして体内に吸収させることが可能で、実現すれば治療時の患者への負担も少なくて済むという。

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 経皮投与でも効果ありとはいいですね。副作用もなく、効果のあがるものでしたら期待できそうです。その人の人格すらも奪ってしまうような病気ですから、余計に期待がかかります。

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2007年01月29日

3年で使用されなくなる子供用の車椅子を海外に贈ろう。

ブルガリアに車いすを 琴欧洲関も参加し整備

 使われなくなった子ども用車いすを海外へ贈る活動を続けている福生市のNPO法人「海外に子ども用車椅子を送る会」(森田祐和会長)は27日、同市内の自動車整備工場で、ブルガリアへ贈る車いすの整備作業を行い、同国出身の大関・琴欧洲関も作業に参加した。

 日本では、子ども用車いすを購入する際には公的補助が受けられることや、子どもが成長することから、通常は3年程度で車いすの買い替えが行われるが、使用後の車いすは廃棄されてしまうケースが多いという。一方、海外では車いすを買えない子どもも多いと知った森田会長らは2004年6月に同法人を発足。これまでに、マレーシアやベトナムなど4か国に計約500台の車いすを贈ってきた。

 この活動を知った琴欧洲関から「ブルガリアにも」と依頼を受けた同法人は、100台の車いすを早ければ4月中にも同国へ贈るため、準備を進めている。

 この日の作業には、ボーイスカウトあきる野第1団の子どもたちや、都立多摩工業高(福生市)の生徒らも参加。琴欧洲関が姿を見せると、「大きい」と歓声をあげながら、布やブラシを使って、フレームにたまったホコリやシートの汚れなどを取り除いた。

 琴欧洲関は「車いすが3年ぐらいで捨てられてしまうと聞いてびっくりした。ブルガリアでは、高価な車いすが買えずに外に出られない子どももたくさんいるので、きっと喜んでもらえる」と話していた。

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 正直、私も3年で買い換えるという事実にびっくりしました。さすがに3年で壊れることはないでしょうから、この活動は大きな意味があるとおもいます。

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2007年01月12日

高齢者や聴覚障害者向けに、振動で火災を知らせる警報機を

振動式警報器が人気、消防庁が規格づくりへ

 耳の遠いお年寄りや聴覚障害者に、振動で火災を知らせる警報器が普及し始めた。ここ数年で福祉機器メーカーなどによる開発・販売が相次いでいるうえ、消防法改正で昨年6月から新築住宅への火災警報器設置が義務づけられたことから、拍車がかかっている。総務省消防庁も、出回っている振動式や発光式の警報器を実際に使った実験を行い、あいまいだった基準作りに動き出した。

 東京都文京区の聴覚障害者、阿部いとしさん(80)は昨秋、振動式の警報装置を枕の下に入れた。「2年前から一人暮らしで、不安を感じるようになった。これは驚くほど激しくふるえるから夜でも安心」と話す。

 開発したのは新宿区の福祉機器メーカー、東京信友。値段は専用受信機を含め4万円ほど。昨年9月の発売以来、自治体や住宅メーカーから問い合わせが相次いでいる。

 開発のきっかけは04年の消防法改正だった。すべての新築住宅に06年6月から火災警報器をつけるよう義務づけたが、当時、市販されていた住宅用警報器は音か光で警告するものがほとんど。障害者から「寝ていたら光にも気づかない」と不安の声が上がっていた。

 他に少なくとも4、5社が振動型の警報器の開発・生産に乗り出していて、中には、警報器が鳴ると振動するベッドもある。聴覚障害者の学生の寄宿舎で使われているという。

 一方、消防法改正を受け、同庁も基準づくりに向けた調査を始めた。

 通常の火災警報器の場合、省令で音の大きさが「1メートル離れた地点での測定値が70デシベル以上」と定められている。しかし、音以外の方法を用いた警報器は「有効に火災の発生を報知できるものであること」と抽象的な基準しか示していない。このため、振動の強さなどがメーカーによってばらばらなのが現状だ。

 同庁と警報器メーカーによる社団法人「日本火災報知機工業会」は昨秋、聴覚障害者や健常者ら約80人を対象に警報器の効果をみる実験を行った。振動型では枕の下に入れるタイプやポケベル型、横たわった時に使う「振動マットレス」などを実際に使ってもらい、振動に気づくまでの時間を測るなどした。

 同庁はデータを分析し、来年度初めに指針を示す。担当者は「目安を示せばメーカーも対応しやすくなり、普及も進むのでは」と話している。

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 あーこれは凄くいい。最初に考えた人、頭いいですね。安全をお金で買えるなら安いものです。
posted by さじ at 01:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

2007年01月04日

元日に、餅を詰まらせて意識不明の重体となったのは5人

もち詰まらせ5人重体、東京消防庁まとめ

 元日の東京都内で、もちをのどに詰まらせ、いずれも70歳代の男女5人が意識不明の重体となったことが、東京消防庁のまとめで分かった。

 同庁によると、70―90歳代の男性7人と女性2人の計9人が病院に運ばれ、うち5人が重体。北区の男性(74)は焼いたもち、板橋区の女性(72)は雑煮を自宅で食べ重体となった。

 東京消防庁は、もちを小さく切って食べたり、高齢者や子どもが食べる際は家族がそばにいるよう呼び掛けている。

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 毎年でますね。死者は出ていないようです。もし詰まらせてしまった場合、餅を掻き出すなどの対処が必要ですが、高齢者の一人暮らしでは気づかれない場合もあります。周りが気を配るしかないのが現状です。

関連:こんにゃくゼリーを詰まらせた3歳児が受け入れ拒否され死亡
posted by さじ at 01:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

2006年12月29日

75歳以上に、医師の治療を制限する「定額制」を導入

75歳以上の外来医療、「定額制」を導入へ 厚労省

 厚生労働省は28日、75歳以上のお年寄りの外来診療について、医師の治療を1カ月に何回受けても医療機関に支払われる診療報酬を一定にする「定額制」を導入する方針を固めた。寝たきりの在宅患者への往診など、高齢者向け医療の一部ではすでに定額制が導入されている。厚労省はこれを外来医療へと拡大して医療費の抑制を図る考えだ。高齢者に対して、必要度の高くない医療が過剰に行われているとされる現状を改善する狙いだが、患者の受診機会の制限につながる可能性や、医療機関がコストを下げようと必要な医療まで行わなくなる危険もあり、今後、適用する疾病の範囲や条件を慎重に検討する。

 06年の医療改革で、75歳以上を対象にした新しい保険制度を08年に創設することが決まっている。厚労省は来年3月までに、ここに盛り込む独自の診療報酬体系の基本方針を出す予定で、外来診療の定額制導入は、その柱となる。

 社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の特別部会で1月から本格的に検討を始める。患者は、高血圧や心臓病、関節障害など、特定の慢性疾患の医療機関をあらかじめ選ぶ。そこで一定回数以上受診すると、それ以上は何回受診して投薬や検査を受けても医療機関が健保組合から受け取る報酬は定額とする方法などが検討される見込みだ。

 現在の診療報酬は、個別の診察や検査、投薬について細かく料金が設定され、それを積み上げて治療費が決まる「出来高払い」が基本。患者に多くの治療を行うほど医療機関の収入が上がる仕組みで、高齢者の外来医療では「過剰な診療で、医療費の増加や病院・診療所のサロン化を招いている」との指摘もある。

 75歳以上の医療費(04年度)は9兆214億円で、医療費全体の28%を占める。患部を温める簡単な治療を受けるため患者が1カ月に20回以上診療所に通うなどのケースもある

 厚労省は、医療の質を保ちつつ定額制を導入することは可能とみるが、患者は選んだ医療機関に一定期間は通い続けることが求められ、いつでもどの医療機関でも受診できる自由が一部制限される。受けられる治療の回数が減ったりすることも考えられ、反発が予想される。

 また、同じ病気について患者が同時期に複数の医療機関を受診すれば、逆に医療費がふくらむ恐れもあり、重複受診を防ぐ仕組みも必要となりそうだ。

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 また医療費削減ですか。確かに高齢者が病院に入り浸り、また、病院側も不当な治療で儲けようとしているというのはあるかもしれませんが、この制度はなんかオカシイ。何がオカシイかというと、一定以上通った人は自己負担額が高くなるという制度ではなく、病院側が保険期間から収入を得られない制度だから。つまり損を被るのはまたしても病院だということ。

 しかも「どこを基準にするのか」は厚生労働省が決めることだから、患者の個人差による治療回数に応じることができない。本当に必要なのに1回でも治療をオーバーしてしまえば、病院側が損を被ることになる。それはおかしいんじゃないのか。結局病院を不当、高齢者を用もないのに入り浸る存在と決めつけているから、こういった策が生まれるんだと思う。またしても良心的な病院ほど赤字が膨らんでいくのか。

 まあ厚生労働省が悪いというより、国民が悪いと個人的には思います。本来ならば医療費を削減するのはおかしいんですから。国民の寿命・福祉があがっているんだから医療費が上がるのは当然のことでしょう?ほかの不要な部分を削減せず医療費ばかりターゲットにおいているのがわけわかりません。そこを糾弾しない国民は、厚生労働省よりも悪いと思います。厚生労働省は、うえの決めた予算をやりくりしようと頑張っているだけですしね。

パーキンソン病と潰瘍性大腸炎の治療費の公費負担を外します
何で厚生労働省は医療費を誤魔化そうとしているの?
posted by さじ at 12:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 介護

2006年12月20日

2055年、日本の総人口は8993万人、4割が高齢者に

将来の出生率1.26に低下、人口の4割が高齢者に

 国立社会保障・人口問題研究所は20日、2055年までの日本の将来推計人口を発表した。女性が生涯に産む子どもの数(合計特殊出生率)の50年後の見通しは、02年の前回推計の1.39から1.26に大幅に低下。人口減少が加速し総人口は46年に1億人を割り込む。55年には8993万人に減り、65歳以上が人口に占める高齢化率は今の倍の40.5%になるとしている。「現役世代の収入の5割」の年金給付維持が政府の約束だが、このまま少子高齢化が進めば、長期的な運用が改善しない限り、給付水準見通しが5割を維持できなくなるのは確実だ。

 今回の人口推計は、5年に1度の05年国勢調査をもとに、今の出生や死亡の傾向が続くと仮定。出生率を高めに見積もる高位、基準となる中位、低めの低位推計の三つで試算した。

 前回の中位推計では、出生率は07年ごろに1.31で下げ止まり、将来1.39まで回復するとしていた。だが05年の出生率が1.26まで下がり、女性の非婚化傾向も予想以上に進んでいることから、長期の出生率の見通しを下方修正した。最近の出生数の増加を反映して06年は1.29に上がるが、増加は一時的な現象で長期的な傾向に影響は与えないとみており、07年には1.25に低下。13年に1.21で最低となり、その後、微増して1.26になるとしている。

 高齢者の死亡率は低下し55年時点の平均寿命は男性が83.67歳(05年は78.53歳)、女性は90.34歳(同85.49歳)に伸び、高齢化も進む。

 この結果、35年には3人に1人が高齢者という超高齢化社会に突入。55年には15歳未満の若年人口が752万人に減り、人口に占める割合は05年の13.8%から8.4%に低下。15歳から64歳の現役世代は同じく66.1%が51.1%に下がる。高齢者1人に対する現役世代の数は今の3.3人から1.3人に減る。

 05年に1億2777万人だった日本の総人口は46年に9938万人に。1億人割れは前回推計より5年早まった。さらに参考値として出した今後100年間の長期推計によると、2105年には4459万人で現在の約3分の1に縮小する。

 推計は現時点での見通しに過ぎず、この通り推移するとは限らない。ただ、このまま少子化に歯止めがかからなければ、世代間の支え合いで成り立つ年金などの社会保障制度は揺らぎ、大幅な負担増と給付削減、労働力人口の減少による経済の停滞など深刻な事態が避けられない情勢だ。

 政府・与党は04年の年金改革で、平均的収入の会社員世帯で現役世代の収入の5割以上の年金給付を約束。前回推計を前提にすれば、現行の59.3%より下がるが、もっとも厳しくなる2023年度以降も50.2%を維持できるはずだった。

 厚生労働省は今回の推計をもとに給付水準などの暫定的な試算を来年1月末に公表するが、出生率低下で将来水準は5割を下回る可能性が高い。安倍首相は20日、首相官邸で記者団に「(出生率は)厳しい数字だが、すなわち年金の崩壊ではない」と述べ、「出生率が下がらないようにありとあらゆる手段で少子化対策を行いたい」とも強調したが、来夏の参院選に向けて年金が大きな争点になるのは確実だ。

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 そもそも高齢者を65歳と定義づけたままの予測なのがネガティブキャンペーンに思えてならないです。医学と公衆衛生の進歩によって寿命が延びるのは当然のことで、つまり高齢化が進むのは当たり前なんですわ。短命な生き物は子供も沢山産みますが、平均で80年も生きる生き物が子孫を少ししか残さなくなるのはある意味当然のことではないでしょうかね。

 まあどうしたらいいかっていうと、高齢者の定義を上げて、もっと働けばいいんじゃないでしょうかね。福祉サービスを提供するかわりに、働ける人は働けるまで働く。社会が年齢で区切るのではなく。

 「いずれ若者2人で老人を1人支えることになります」なんていう詭弁はもう通用しません。生産人口を増やすには、老人も働くことが前提です。暗い未来をハナから子供に押し付けるのは良い国とは言えませんね。

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2006年12月08日

障害者の駐車規制、ボランティアの車や福祉タクシーも除外

駐車規制、福祉タクシー除外…身体障害者利用に配慮

 警察庁は、身体障害者が使用する車両の駐車規制について、福祉(介護)タクシーなどの利用時も駐車規制の除外対象とする緩和策を盛り込んだ「駐車規制及び駐車許可制度の運用」の見直し案をまとめた。7日から一般の意見を聞き、賛同を得られれば来年1月にも全国の警察本部に通達する。

 身体障害者については、これまで各都道府県の公安委員会が「駐車禁止除外指定車」の標章を主に身体障害者手帳を持つ人か家族が所有する車を対象に交付していた。このため、家族以外の介護者の車や福祉タクシーに乗る際は、駐車規制の対象とされていた

 見直し案では、標章の交付対象を従来の車両から、身体障害者本人に変更。これによって、身体障害者が標章を携帯していれば、利用する福祉タクシーやボランティア団体の送迎サービスの車などが取り締まり対象から除外され、乗り降りなどの利便性が向上する。

 また今回の見直し案では、運送業者から「除外対象にするのは不公平」との声が上がっていた郵便小包の集配車について、駐車規制の除外対象から外すことなども盛り込んだ。

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 これはいい案ですな。ボランティアの車にも用いることができる点が素晴らしい。

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医学処 盲導犬を断る、無理解な職場や学校が相次ぐ
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2006年11月18日

盲導犬を断る、無理解な職場や学校が相次ぐ

無理解!!「補助犬お断り」職場や学校…続々

 盲導犬、介助犬など身体障害者補助犬を使う人が、職場などで補助犬の同伴を拒否される例が相次いでいることが、障害者団体の調査でわかった。

 会社に介助犬を連れて行こうとしたところ「公私混同」と言われたり、ペット可のマンションなのに盲導犬の入居を断られたりするなど、無理解なケースが目立っており、団体側は14日、住居や職場での補助犬受け入れを義務化する法改正を求め、約10万人分の署名を衆参両院議長あてに提出した。

 2002年10月施行の身体障害者補助犬法で、公共施設や交通機関、レストランなど不特定多数が使用する施設での補助犬受け入れが義務付けられた。民間の住宅や職場、学校などに対しても、受け入れに努力することが求められている。

 しかし「身体障害者補助犬法改正対策使用者団体連絡協議会」が今年5〜7月、補助犬使用者のほぼ全員を対象にアンケート調査を行った結果、マンションや賃貸住宅に住む人の9%が、「入居しようとした際に何らかのトラブルがあった」と回答。ペット飼育は許しているのに、視覚障害者と盲導犬の「2人暮らし」を認めないマンションや、近所の15世帯から同意書を取るよう要求する公営住宅もあった。職場や学校に補助犬を同伴する人も、8%がトラブルの経験を持ち、上司から「公私混同するな」と見当違いの批判をされたり、「不潔だ」と言われたりしたケースがあった。

 同協議会会長の竹前栄治・東京経済大名誉教授(76)は、「法改正が必要なことを理解してほしい」と話している。

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 まだまだ無理解さが目立つようです。常識的に考えれば受け入れなんて当たり前だと思うんですけどね。拒否してる人にとってみれば「自己中心的なやつだ」と思われるんでしょうけれども、実際はその人こそが自己中心的な考えをしているわけで。まぁ大人になってしまったら性格ってそうそう変わるものではありませんから、障害者を社会がサポートしていくという方法が最良だと思います。即ち、常識人による理解と協力が不可欠、ということです。

関連:医学処 盲導犬の寿命はペット犬よりも長い
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2006年10月28日

ほうれん草などの葉野菜を食べると、認知力が衰えない

ボケ防止には野菜をたくさん 葉物が効果大 米調査

 野菜を多く食べている高齢者ほど「認知力」が衰えにくいことが米シカゴのラッシュ大の研究グループの調査でわかった。とくにホウレンソウやキャベツ類などの葉野菜を多く食べている場合に顕著だった。米神経学会誌の最新号(24日付)に論文が掲載された。

 年をとると記憶力が衰えたり、思い出すのに時間がかかったりするようになる。グループは65歳以上の約3700人を対象に、こうした「認知力」の衰えぶりと、野菜や果物を食べる回数などとの関係を調べた。

 1日に食べる野菜、果物の種類や回数を答えてもらったうえで認知力を調べる試験を実施。3年後と6年後にも同様の試験をして比較した。

 その結果、野菜を多く食べる人たち(1日2.8回程度)は、最も少ない人たち(同0.9回)より、認知力低下の度合いが40%も低かった。年齢にして、5歳分、若返ったことになるという。

 ただ果物にはこうした効果はみられなかった。グループのマーサ・モリス博士は「果物より野菜に多く含まれるビタミンEが関係しているのかもしれない」としている。

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 やはりこう、和食ってのは完成されてるんだなぁと。こんな島国で長寿になれるっていうのは、やはり風土、食事が良いからでしょうね。良い和食を食べていればほうれん草もキャベツも食べるでしょうから、あまり心配しなくていいでしょう。となると今のファーストフード世代にとっては老後に赤信号か。

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2006年10月26日

子供と同居を考えていない高齢者が増えてきた

「子供と将来同居」高齢者は4割

 子供と将来同居したいと考えている高齢者は約4割にとどまり、減少傾向が続いていることが内閣府が25日まとめた「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査」で明らかになった。子供との同居を考えない高齢者が増えていることは、政府の高齢化対策にも影響を与えそうだ。

 調査によると、子供との関係について、「現在同居しており、将来も同居のまま」または「現在別居しているが、将来は同居する」と答えた人は計41・1%で、2001年の前回調査から5・7ポイント減少した。1995年の前々回調査と比べると19・8ポイントも減った。逆に「将来別居」と回答した人は24%で、前回から6・1ポイント、前々回から11ポイントも増えた。

 体が弱くなった時に望む居住形態(複数回答)に関しては、「現在の住宅にそのまま住む」が37・9%で最も多く、介護を受けられる老人ホームなどの施設やケア付き住宅への入居を望む人は計37・4%いた。「子供や親類などの家に移る」は8%だった。

 調査は05年12月から06年1月にかけて、全国の60歳以上の男女3000人を対象に実施し、回収率は62・9%だった。

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 よくある、「生産年齢人口で老人を支えるグラフ」ありますよね。昔は4,5人で1人を養っているのに対し、これからは2人で1人を養うんだ、みたいなアレです。

 アレは一種のトリックみたいなもので、そもそも生産年齢の高齢化が進んでいるわけですから、年齢で割るのはナンセンスなんですよね。60過ぎても働いてる人、沢山いるでしょう?

 それに伴って、子供の世話にはならんという高齢者が増えているようです。自分なりに全うしたいのでしょうけれど、どうしても介護が必要になってきますからね。そうなったらそうなったで、子供がサポートすべきだとは思います(酷い親だったら、介護したくないという子供の気持ちも分かりますが)

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2006年10月11日

新しい現代病、その名も「パソコン指腱鞘炎」

クリック誘発“新現代病”「パソコン指腱鞘炎」 

 パソコンと接する時間が増えたシニア世代に、“パソコン指腱鞘炎”ともいえる症状の事例が出始めている。マウスのクリックを繰り返すことにより、指の腱鞘を傷めるもので、加齢とともに指の腱鞘が硬くなっていることが発症の一因という。専門の医師は、マウスの長時間連続使用を控えるよう呼びかけるとともに、症状に気づいたときの早期の治療を促している。
 
 「パソコンが趣味」という二日市誠さん(61)は、今年3月に勤務していた会社を退社し、東京都内の学生寮の管理人として再就職をした。会社員時代よりも自分の時間ができたため、暇さえあれば、インターネットの検索機能を使って株価やニュースをチェック。トランプゲームやマージャンゲームにも熱中し、ついマウスを連続して握る時間が長くなったという。1日平均で約3時間はパソコンの前に座り、ひとさし指でマウスをクリックする動作を繰り返していた。

 ところが7月ごろから、朝になると、ひとさし指の指先が硬くなり、動かしにくい感触を覚え、鈍痛も走るようになった。整形外科で受診したところ、「腱鞘炎」と診断され、指の第3関節に注射を打つ治療を受けた。しかし、3日後には痛みが再発。9月に「東京手の外科・スポーツ医学研究所 高月整形外科」(東京)を訪れ、腱鞘を部分的に切り開く手術を受けた。

 「最近、パソコンのマウスを使う動作を繰り返すことが影響して、従来腱鞘炎にかかることがなかったはずの、ひとさし指の第2関節と第3関節の間にある腱鞘を傷める腱鞘炎が増えているようだ」と話すのは同整形外科の山口利仁医師。
 
 指の骨には間隔を置いて輪状の腱鞘が付いている。そして、指の骨に沿うように、腱が腱鞘の中をくぐり抜ける。腱はいわば操り人形のひものような役割を果たし、筋肉とともに指を動かすのには欠かせない。
 
 腱鞘炎は、手や指を使いすぎたことにより、この腱や腱鞘が腫れ、互いにこすれあって痛みを感じる病気だ。キーパンチャーやピアニストの職業病として知られるが、長時間にわたり草むしりをしたり、ペンを握ったりしても症状が起きる。その場合、親指や中指、薬指の付け根に症状が起きるのが一般的だ。
 
 ところが二日市さんの場合、従来腱鞘炎になることはないとされていた「ひとさし指の第2関節と第3関節の間」の腱鞘を傷めた。パソコンのマウスを操るときに動かす部位だ。
 
 山口医師は今年、二日市さんのほかにもう1人、同じ部分の腱鞘炎にかかった患者に施術した。この腱鞘のそばには神経や動脈が走り、手術は簡単ではないという。「いずれもパソコンのマウスクリックの繰り返しを原因とする、新しい腱鞘炎だ」と話す。
 
 □長時間使用は×

 第一生命経済研究所が8月に発表した「シニアの情報機器使用に関する調査」によると、現在パソコンを使用していない50歳以上のシニア世代のうち、44%が「今後、パソコンを使ってみたい」と回答した。大量退職を迎える団塊の世代を含め、中高年がパソコンと接する時間は今後確実に伸びていくとみられる。
 
 加齢とともに指の関節が硬くなると、腱鞘も硬くなり、腱鞘炎になりやすくなるといわれ、山口医師は「(中高年がパソコンと接する時間が長くなるとともに)今後、過度のマウスクリックによる腱鞘炎患者は増える可能性がある」と予測する。特に二日市さんが腱鞘炎になった部位は、これまで、あまり知られていなかっただけに、病院に行っても見逃される恐れもあり、注意が必要だ。山口医師によると、早期の適切な診断があれば、注射での治療も可能という。
 
 山口医師は(1)マウスを長時間連続しようしない(2)少しでも自覚症状があれば、早めに診察を受けるよう呼びかけている。

 ■中高年の女性は携帯メールも注意

 中高年、とりわけ女性の場合、携帯メールに夢中になりすぎないよう注意が必要だ。「特に出産後や更年期の女性は、女性ホルモンの低下により腱鞘が硬くなる携帯メールを打ちすぎると親指の腱鞘炎を起こしやすくなります」と山口医師。携帯メールといえば若い女性にヘビーユーザーが多いが「若い人は、軽い腱鞘炎になっても一晩寝れば回復します」と話している。

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 はー、これは誰もが予期していなかった新しい疾患ではないでしょうか。パソコンを使うと指の運動になるから脳にもいいとか何とか言われていた時代から一転、腱鞘炎を引き起こすようになるとは。確かにマウスクリック数ってばかになりません。この記事を編集するだけでも100回はクリックしていると思います。キーボードで文章を打てば更に腱を痛める結果に。

 若者は心配ないでしょうが、高齢者ユーザーはご注意を。何事も、ほどほどが一番です。
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2006年10月07日

診療報酬改正で療養病床のある病院のうち7割が収入減

療養病床ある病院、7割が収入減 新診療報酬で

 病状が安定したお年寄りが長期入院する療養病床を減らすために7月から新たな診療報酬が実施されたことに伴い、療養病床がある病院の7割が収入減となっていることが4日、日本病院会(2702病院加盟、山本修三会長)の調査で分かった。同会は「経営が成り立たない療養病床が閉鎖され、行き場を失うお年寄りが続出するおそれがある」としている。

 調査は会員の1015の病院を対象に実施、216病院から回答があった。今年7月の病院収入を昨年同期と比べると、療養病床のうち医療保険から支払われる病床をもつ病院の68.5%で収入が減っており、約2割は20%以上の減収だった。

 今回の診療報酬改定では、患者を医療の必要度で三つに区分し、病状が重い人の入院料を引き上げる一方、病状が軽い人の入院料は大幅に引き下げた。このため、病状の軽い人の割合が多い、療養病床を持つ病院が収入減となったとみられる。

 療養病床には、医療保険から支払われる「医療型」と、介護保険から支払われる「介護型」があり、合わせて全国に約38万床ある。厚生労働省は医療費削減のため、12年度までにこれらの約6割を削減する方針で、リハビリを中心とした介護施設への転換を狙っている。

 同会は「厚労省の基準で病状が軽いとされた入院患者でも、多くは持続的な治療が必要だ。療養病床の廃止によって医療の質が低下するのは確実だ」としている。

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 汚いっすわぁ、厚生労働省。病気に個人差があるなんて当たり前なんだから、症状が軽いと規定されても入院しなきゃいけない状態の人は当然いるわけなのに、それを完全に無視している。いかに診療報酬改定が浅い議論によって行われたかが容易に想像つく結果となりました。

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2006年09月17日

従来の2倍の性能をもつ、燃料電池式車椅子が完成。

世界初の燃料電池車いす完成 走行距離、従来の2倍

 クリーンな次世代エネルギーとして研究が進む燃料電池を搭載した電動車いすを、障害のある人たちに使ってもらう実験が、今月末にも大阪府で始まる。鉄管大手の「栗本鉄工所」(大阪市)が世界で初めて開発。充電池で走る従来型の2倍を超す連続10時間走行が可能で、障害者やお年寄りがもっと気軽に外出できるようになると期待されている。

 新型車いすは、大阪府が運営する大阪障害者職業能力開発校(堺市)の学生数人に校内での移動で使ってもらう。発電や走行のデータを集め、安定性や耐久性を確認する。来年度以降に自治体への貸し出しを始め、その後は一般利用者向けにレンタルも検討する。

 燃料電池は、自動車や携帯電話などでの実用化をめざし、大手メーカーが開発を進めている。栗本鉄工所は、高齢化で需要拡大が予想される電動車いすに着目し、03年から試作を重ねてきた。

 実験機は、専用の小型ボンベ4本に水素を充填すれば、連続10時間の走行が可能。普及している充電池型は3〜5時間なので、行動範囲は大幅に広がるという。また、充電池は定期的な交換が必要だが、燃料電池はその必要がない

 実用化に向けた課題は、コストダウンと重い水素ボンベの改良だ。実験機は1台数百万円で、普及させるには従来型の40万〜45万円に近づける必要がある。ボンベも1本4.5キロと、障害者らが扱うにはまだ重すぎるという。

 電動車いす安全普及協会(静岡県浜松市)によると、05年度の電動車いすやカートの国内出荷台数は約2万7000台。担当者は「50万円程度になれば、多くのユーザーにとって選択肢になる。走行時間が伸び、移動の自由が広がることは大きな魅力だ」と指摘する。

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 なるほどねー。盲点でした。充電型だから、遠出できなかったんですね。つまりこの、燃料電池型には環境が云々というよりも、外出のしやすさという点がとても大きいメリットとなって生きてくる。

 しかしコスト面が厳しそうです。これさえクリアーできればおそらく全ての車椅子が燃料電池式にとってかわると思うのですが。開発者側の努力だけというより、介護者側の努力も必要となってくるかもしれません。予約注文として大量に確定すれば、ある程度安くなると思います。良い製品なんで、「皆で安くする」道を選ぶのが最良ではないですかね。

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2006年09月13日

パースジャパン、病院ベッドに電子新聞を配信

パースジャパンなど、病院ベッド端末に電子新聞を配信実験

 パースジャパン(東京都文京区、高西正博社長、03・3814・6838)と高知新聞、日本IBMは12日、病院向けのベッドサイド端末へ日々の新聞記事を配信する実験を14日から3日間実施すると発表した。

 輪転機で印刷する直前の新聞紙面をデジタルデータのまま自動的に「電子新聞化」し、ストリーミング配信する。対象は高知医療センター(高知市)が持つ590床のベッドサイド端末。同実験は国内で初めて。配信する電子新聞は読みたい個所を画面上でタッチして拡大でき、タッチしたまま指を動かすと紙面が移動する

 これにより、歩行が困難な入院患者や高齢者らが売店に行かなくても簡単な操作で新聞購読できるようになる。読み終わった新聞の処分も不要となる。

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 やりおるのう。実現不可能な技術ではないですし、あとは新聞社との話し合い次第ですかね。ホラ、その、広告とか大事だし。広告問題さえクリアーできれば電子配信も普及すると思うんですけどねぇ。検索とかもできれば便利そう。ネットでいいじゃんってところもあるけど、高齢者で新聞を買いにいけないような人には嬉しい技術。

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2006年09月12日

水洗トイレ一体型の車椅子を開発。

<水洗トイレ>一体型車いすを開発

 洗浄、乾燥、防臭の三つの機能を備えた「水洗トイレ一体型車いす」を長崎市のベンチャー企業、ジャパン・オアシスが開発した。専用のズボンと下着をつけ、座席に開いた穴から用をたす。

 ノズルから出た水がお尻を洗い、風を送って乾燥。防臭液入りの水が便器を洗浄する仕組み。特許を出願中だ。

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 実物を見ていないので何ともいえませんが、もしこれでQOLを維持できるようでしたら、素晴らしい発明ではないかと。

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2006年09月11日

フィリピン人看護師と介護士に日本就労の国家資格を設定

日比EPA:小泉首相が締結 比看護師など条件付受け入れ

 小泉純一郎首相は9日午後(日本時間同日夜)、宿泊先のホテルでフィリピンのアロヨ大統領と会談、経済連携協定(EPA)に署名した。EPA締結はシンガポール、メキシコ、マレーシアに次ぎ4カ国目。フィリピン人の看護師や介護士を一定条件で受け入れることを盛り込んだのが特徴で、初めて労働市場の一部開放に踏み切る。

 臨時国会で承認を得て、07年春の発効を目指す。

 協定によると、フィリピン人の看護師と介護士に対し、日本の国家資格を取得するための就労をそれぞれ3年と4年を上限に許可。日本の国家資格を取得した場合は引き続き就労を認める。日本で介護福祉士の資格を取得する制度も新たに創設する。ただ、受け入れ人数などは掲げておらず、人材の移動の規模は今後の運用次第だという。

 貿易面では、フィリピン側が自動車部品や電気・電子製品などほぼすべての鉱工業品について、日本側もほぼすべての鉱工業品と一部の農林水産品について、それぞれ関税を撤廃。日本とフィリピン間の貿易総額の約94%が無税化される見通し。

 EPAは国家間で投資や貿易の自由化ルールを定め、経済交流の活性化を図るもの。世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が7月に凍結されたこともあり、政府は「EPA拡大は日本の死活問題」と位置づけ、取り組みを進めている。

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 こういう国家的な人員受け入れは歓迎すべきところだと思います。個人的な主観ですが、特にフィリピン人の女性はストイックというイメージがありますので、医療従事に向いているような気も。

 国家の職なのだから安々と首に出来まいとふんぞりかえって怠けるフィリピン人を帰国させる工夫と、フィリピン人だからと過剰にこき使うバカけた日本人をどうにかする工夫。そこらへんを上手く現実的なプランで詰めていけば、現在の日本人医療従事者の負担は劇的に減ると思います。

 要は信頼関係ですね。日本とフィリピンの。国際問題にならないことを願います。
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