2008年08月22日

北京でデング熱の感染者が出る。

北京でデング熱患者 蚊に刺されることで感染

 中国紙、京華時報(電子版)によると、北京市衛生局が22日までに、五輪開催中の北京市に住む男性(30)が蚊が媒介する感染症、デング熱に感染したことを確認した。

 男性は今月9日に発症し、16日にデング熱と診断された。

 デング熱はウイルスを持つ蚊に刺されることで感染。高熱などの症状が現れ、通常は1週間程度で回復する。まれに出血を伴う重症となり、死亡することもある。



 オリンピックに影響でないといいですが。

 そういえば蚊嫌いで知られる医学処管理人のさじさんですが、今年の夏はまだ1匹にしか刺されておらず、しかもかなり治りが早かったので、ご機嫌なようです。

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医学処:蚊を中途半端に駆除するほうがデング熱は重症化する。


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2008年08月02日

カエル・ツボカビ症の原因菌を単独分離することに成功する

カエル・ツボカビ症、原因菌分離に成功 発症解明に期待

 世界各地で両生類の激減を招いているカエル・ツボカビ症の原因菌を単独分離することに、宇根有美・麻布大准教授(獣医病理学)らのグループが成功した。ツボカビ症は06年末、日本に上陸、生態系の危機だとして16の関係学会などが非常事態を宣言しているが、発症の仕組みや対策を探るための原因菌の分離が進んでいなかった。19日に大阪市である野外保全活動の研究会で発表した。

 麻布大に集められた感染したカエルを、研究グループの製品評価技術基盤機構に提供。今年1月、同機構バイオテクノロジー本部の稲葉重樹研究員が、国内でペットとして飼われていた外国産のカエルから原因菌を単独分離した。別のカエルでも成功した。他の微生物などの混入が多く、培養が難しかった。

 海外でも原因菌は分離されているが、今回とは遺伝子配列が違っており、これで国内のカエルへの影響を見極める研究に着手できる。原因菌を分離したことで、感染ルートや潜伏期間、脳や内臓へのダメージの大きさ、自然界への影響度など具体的な研究ができるようになる。

 カエル・ツボカビは、両生類だけに感染する真菌の一種。人には感染しない。ただ、カエルが発症すると致死率は90%にのぼるともいわれるが、発症しない種類もある。パナマやオーストラリアなど世界各地でカエルが激減した原因とされ、国内では06年末に外国産のペットのカエルで初めて確認された。環境省の調査で、国内の自然界にも原因菌が広がっていることがわかっている。



 人間には関係ないことですが、カエルくんたちの一大事ということで取り上げてきました、カエルツボカビ症です。

 ようやく原因菌の単独分離に成功したようで。カエルくんたちを救うプロジェクトも一歩前進というところ。これが人間だったら映画1本撮れるぐらいのものですけどね。

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ヘモグロビンを分解し貧血を引き起こすバベシア症について。

ダニの体内から特効薬?=貧血起こす「バベシア症」−酵素発見・鹿児島大など

 家畜やペット、ヒトの赤血球に寄生し、重い貧血を起こす「バベシア症」を媒介するマダニが、自らの体内では病原体を増殖させずに、動物などに感染させる仕組みを、鹿児島大と農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県つくば市)の共同研究チームが解明した。血液を吸うダニや昆虫が媒介する感染症には、マラリアなど重い症状を伴うものも多く、抑制の仕組みの解明は、治療薬開発にもつながるという。

 バベシア症は、マダニの体内に住むバベシア原虫が、マダニが血を吸う際に動物の体内に入り込み、赤血球に寄生。ヘモグロビンを分解し、重い貧血になる。牛や犬などで死亡する例が増えているほか、欧米ではヒトへの感染例も増えており、有効な治療薬がないため、死者も出ている。

 鹿児島大の藤崎幸蔵教授らは、マダニの腸で作られ、吸った血液の中の赤血球を消化する過程で使われるたんぱく質分解酵素を発見し、「ロンギパイン」と名付けた。



 主原因のマダニ自身から抽出した酵素で、治療薬を作ろう、と。細かいレベルでの操作が可能になりつつあるので、こういったことも可能なんでしょうね。

 バベシア症そのものは全くといってほど耳にしない病気ですが、欧米ではヒトへの感染も増えている、ということで、こういう病気は爆発的に増えるまえに治療法を確立しておきたいものです。

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2008年07月24日

蚊を中途半端に駆除するほうがデング熱は重症化する。

蚊の駆除で重症者が増加? デング熱、意外な研究結果

 蚊が媒介するデング熱の流行地域で蚊を中途半端に駆除すると、駆除しない場合に比べ、重症化して死に至ることもある出血熱の発症が増える恐れがあるとの研究結果を、大阪大やタイなどの国際チームがまとめ、16日付の米科学誌に発表した。

 絶えず蚊に刺されていると免疫が高い状態で維持されるが、刺される間隔が空くと危険なタイプの再感染が起きやすくなるのが原因らしい。

 調査した八尾徳洲会総合病院の長尾吉郎医師(熱帯病学)は「東南アジアなどの流行地域では、徹底した蚊の駆除とワクチン投与を併せて行うなど工夫が必要かもしれない」と指摘している。

 デング熱は多くが軽症で済むが、4タイプある原因ウイルスの別の型に間隔を置いて再感染すると、激しい出血熱が起きることがある。

 研究チームは2002-04年にタイの100万世帯を調査。貯水槽などに蚊の幼虫がいる世帯の割合が地域内で増えるにつれて出血熱の発症が増えるが、割合が30%を超えると逆に出血熱が少なくなることを確認した

 蚊の密集度によって出血熱が起きやすい条件が変わり、タイの住宅地では30%前後が最も高くなるとみられる。



 公衆衛生的問題。

 免疫の問題となると、麻疹と同じで、やるなら一気に根絶しないといけませんよね。ですが蚊という生物を一気に根絶することなど、遺伝子操作でもしないと無理ですし、生態系が狂ってしまう可能性もありますので、実行にうつすのは難しい。

 となると「現状維持」か?

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2008年07月08日

外国人「いい加減日本は麻疹対策をしろボケナス」

洞爺湖サミット襲う!?国際的大問題“ウイルス恐怖”

 いよいよ各国首脳を招いた北海道洞爺湖サミットが開幕した。駅や公共施設はテロ対策でピリピリムードが漂うが、油断できないのは、目に見えないウイルスの“襲撃”である。

 環境問題が大きなテーマとなる今回のサミット。日本は議長国としてリーダーシップを存分に発揮してもらいたいところだが、実は華々しい会議の裏側で困った問題が起きている。昨年来、国内で流行している「はしか(麻しんウイルス)」だ。今年の累積報告数を見ると、神奈川の3234例に次いで北海道は堂々の第2位(1302例、24週時点)。

 「これまでの発生動向でみると流行のピークはだいたい5月末から6月頭。今後は減少するとみられるが、まだ完全に流行が収まっているわけではない。そんな中、北海道でサミットが開かれるとあって心配する声もある」と話すのは感染研感染症情報センター・安井良則主任研究官。

 はしかは、欧米など先進国ではほぼ絶滅に近く、日本だけが後れを取っている状態である。昨年、10−20代を中心に大流行し、大学や高校など約260校が休校した“はしかパニック”は記憶に新しい。その後も米国をはじめ、カナダ、オーストラリア、スイス、台湾で日本人旅行者が感染源となって流行を広めた事例が相次ぎ、「はしか輸出国」として国際的に大問題に。

【15歳以上は重症化】

 麻しんウイルスの感染力はインフルエンザの約6倍とすさまじい。発熱や発疹などの自覚症状が出る前でも空気感染し、免疫のない人が感染すればほぼ100%発病する。肺炎や脳炎を併発する可能性もあり、15歳以上で感染すると7、8割は重症化するといわれる。

 過去に罹患していたり、予防接種をして免疫を獲得できていれば感染の心配はないとされているが、来日する関係者は20数カ国、4000人以上。お国も違えば事情も違う。特に危ないのは、米国やカナダ、韓国など、麻しん対策が進み、『麻しん患者は国内にいない』と宣言している国から来日する若年層の関係者だ。

 こうした事態に、日本側の対策としては、事前に「北海道洞爺湖サミット道民会議2008」のサイトで、予防接種を受けてない人への来日前のワクチン接種を呼びかけている程度。洞爺湖現地でも「宿泊先ホテルなどで注意喚起のチラシを配る」(道庁保健福祉部)ぐらいで、ウイルス“襲撃”から諸外国の要人を守る防護策はとられていないのが現状だ。

 国内では2012年の制圧を目指し、今年から中学1年と高校3年を対象に2回の予防接種の実施をはじめたばかり。各国から「とんだ“土産”を持たされた」なんて皮肉られないことを願いたい。



 日本でいうところの中国や、東南アジアの発展途上国のようなイメージですかね。「あそこに旅行に行くと必ず下痢をする」とよく言います。飲み水が汚染されていたりと、口にするものに大量の菌が入っているために具合を悪くするとか。「旅行者下痢症」なんて呼ばれてますね。

 アメリカやカナダから見れば「日本に行くと麻疹にかかる。オークレイジー!」という、先進国にあるまじきレッテルが貼られているわけです。レッテルというか、まさにそのとおりだから申し訳なさすぎて恥ずかしい思いなんですが。

 徹底すれば麻疹感染者をアメリカ並に下げることはできそうなものですけれど、予防接種に対する理解のなさや偏見で、こんなにも麻疹が蔓延しているのが今の日本です。他者を想う心を持っているならば、予防接種はしましょう。子供にも、しましょう。それは親の責任です。

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医学処:麻疹の予防接種が遅れている日本にアメリカがブチ切れる
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2008年06月28日

食中毒菌を3分で検出する手のひらサイズの装置を開発。

食中毒菌 3分で調べます 福岡のベンチャー企業 手のひらサイズの装置開発

 約3分で食中毒の原因となる細菌やインフルエンザウイルスなどを検出できる、超小型装置を福岡市のベンチャー企業が開発した。従来の検出装置は大型で数千万円前後したが、手のひらサイズで価格も150万円までコストダウン。食中毒防止や医療分野での活用が期待される。

 開発したのは、バイオテクノロジーの研究開発を手掛ける「IBC」(釘宮雄一代表、福岡市)。福岡県久留米市の久留米リサーチパークで、同県の育成事業の支援を受け研究を進めた。

 金属製の薄い膜の表面に光を照射すると、特定の角度で光が吸収される「表面プラズモン共鳴」(SPR)が起きる。この原理を適用し、「小型SPR検査装置」の製品化に成功したという。

 縦5センチ、横約10センチ、高さ5センチで、重さは約300グラム。乾電池でも駆動する。従来、菌の検出には約24時間かかって寒天培養していたが、小型SPRは約3分で可能。爆薬や麻薬など化学物質の検出も可能という。

 同社は「学校給食や病院食の現場に導入すればその場で測定でき、食中毒の防止につながる」と話している。



 これ欲しい。笑

 どの程度の性能なのでしょうか。ディスプレイに「サルモネラ菌です」とか表示されるんでしたら、全学校に導入される気も。笑

関連:ノーベル賞田中耕一さんの、血液1滴で病気を分析できる技術。
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2008年06月25日

寄生虫治療薬ニタゾキサニドがC型肝炎にも効く。

寄生虫の治療薬、C型肝炎にも効果 エジプトで臨床試験

 寄生虫病の一種である住血吸虫症の治療薬が、C型肝炎にも効くことが、エジプトでの臨床試験でわかった。エジプトでは住血吸虫とC型肝炎ウイルス両方に感染する患者が多く、住血吸虫症の治療薬がC型肝炎にも効くと言われてきたが、米バイオテクノロジー企業「ロマーク研究所」の試験で裏づけられた。同社がイタリアで開かれた欧州肝臓学会で発表した。

 治療薬はニタゾキサニド(商品名アリニア)。住血吸虫やクリプトスポリジウムなどの寄生虫病の治療に使われている。

 同社のジャン・フランソア・ロシニョール博士らが、エジプトのC型肝炎患者で試験した。標準治療を受けた40人のうち、C型肝炎ウイルスが消えたのは半数の20人だったが、標準治療にニタゾキサニドを加えた28人では約8割の22人になった。ニタゾキサニドがC型肝炎ウイルスに効く理由ははっきりしていない。

 C型肝炎ウイルスは、日本国内でも200万人以上の感染者がいるとされ、肝臓がんの大きな原因になっている。

 大阪大学の林紀夫教授(消化器内科)は「数年前からC型肝炎に効くとの報告があったが、信用されていなかった。明らかなデータが出たことで、治療法の研究が進むのではないか」と話している。



 凄い。なんか不思議です。

 こういう寄生虫って、身体に寄生してから、肝臓に入る「門脈」などの静脈系に寄生することが多いんですけれど、それとの関係もあるんですかね。

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黄砂にはカビや細菌も含まれている。

黄砂に乗ってカビや細菌、日本に飛来か 金沢大調査

 大気汚染の原因となる化学物質を中国大陸からもたらすと疑われている黄砂が、カビや細菌を運ぶ「微生物の箱船」にもなっている可能性が出てきた。金沢大の小林史尚准教授(環境生物工学)らが、黄砂に付着した微生物を確認、中国・ウルムチであった国際会議で発表した。人の健康や生態系への影響が心配されるという

 研究グループは、中国・敦煌や金沢市などで気球をあげ、上空の黄砂を採取。培養やDNA分析で含まれる微生物の種類を調べた。

 その結果、昨年8月に敦煌上空700メートルで黒カビやこうじ菌の一種を検出。06年には50〜100メートルの上空で、セレウス菌という食中毒菌の仲間なども見つけている。一方、金沢大学(金沢市)の上空約500メートルで07年4月、放線菌の仲間を検出した。黄砂が観測された日に採取されたことから、中国大陸から渡ってきたとみられるという。

 台湾や韓国では、黄砂が多い時に心臓や肺の病気などで入院患者や死者が増加するという報告がある。国内でも鳥取大学などが、黄砂がぜんそく患者の症状を悪化させるという研究を発表。黄砂の粒が細胞を刺激するほか、含まれる化学物質や微生物がアレルギー反応を誘発するのではないかと考えられている。

 研究グループの岩坂泰信・金沢大特任教授(大気物理学)は「微生物は紫外線や乾燥に弱いが、黄砂にくっついて守られ、大陸からたくさん運ばれて来ると考え直さなければならない。健康被害の調査も必要になるだろう」と話している。



 恐ろしい。しかし自然災害のようなものですから防ぎようもないですね…。

 黄砂って、単に日光をさえぎる程度のものかと思っていましたが、菌まで飛来してくるとなると、中国から日本へ渡ってくる新たな経路として確立されるかもしれません。新種の菌とかももしかすると来ているのかも。
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2008年06月02日

遺伝子操作を加えた蚊を自然界に離す計画。

マレーシア、遺伝子操作を加えた蚊の自然界放出を計画

 マレーシア政府が蚊を媒介とした伝染病対策のために遺伝子操作を加えたオスの蚊を自然界に放出する計画であることが25日までに地元紙の報道により明らかとなった。

 26日付けのニューサンデータイムズ紙の報道によりと、マレーシア政府は近くクタム島(Ketam island)で遺伝子操作を加えた蚊の放出実験を行う予定だ。

 報道によると蚊に対する遺伝子操作は英バイオテクノジー企業、Oxiter社が製作したもので、このオスの蚊と交配した自然界のメスの蚊が生んだ幼虫は生後まもなく死亡するとしている。

 遺伝子操作を加えた穀物は一部で生産や食用が認められているが、遺伝子操作を加えた生物を自然界に意図的に放出するというのはこれまでに行われたことはない。



 漫画でありそうな話が、実際のものとなる日も近いのかもしれません。

 しかし100%の安全性がないと、厳しいのでは。全世界が反発すること必至な気もします。だって下手したら絶滅するわけですよ。人がそこまでやっちゃっていいものかという気も。天然痘ウイルスとは違うのですから。

 ですがマラリアの被害が深刻というのも事実。大勢の人が亡くなっている現状を考えれば、被害を受けている国民にとってはそれでも蚊の根絶を願っているのかもしれません。日本でぬくぬくと暮らしている私には何も言えないですね。

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2008年05月31日

血液型によって、かかりやすい病気が異なる?

A型は子宮がん・乳がん・糖尿病、AB型は梅毒に注意

 人間の血液型は、何十億年もの月日を経て、腸内細菌からの遺伝子移入で決まったという。結果として、血液型によって病気に対する抵抗力も異なり、それが性格を左右する。今回は、A型とAB型について紹介しよう。

 ここでちょっとおさらい。細菌類は、ABO式の血液型物質を持っていて、中でも多いのはA型血液物質。A型の人は、自らを攻撃しないように、A型血液物質に対する抗体を持っていない。だから、B型やO型に比べて、病気にかかりやすいのだ。

 「A型の人は、慢性の感染症をはじめ、糖尿病やがんなど多くの病気になりやすいことが知られています」と、人間総合科学大学の藤田紘一郎教授(東京医科歯科大学名誉教授)はいう。

 A型は、肺結核といった伝染病にかかりやすいため、他人に移さないように周囲を気にする。糖尿病などの生活習慣病は、ストレスが症状を悪化させるゆえに、周囲の人たちとの協調性を重んじる。

 そんな習慣が、長い月日に身体に刷り込まれていったというのが、藤田教授の考えである。

 「血液型によって人間の性格が決められたのは、人類と病気との間で繰り広げられてきた長い闘いの結果」(藤田教授)

 たとえば、米国先住民の90%がO型なのは、米国大陸を発見したコロンブス一行が、ヨーロッパから梅毒を持ち込んだため。梅毒に強いO型が生き残った結果と、考えられるという。このような長い歴史の病気との闘いにより、自衛策がいつの間にか性格にも結びつくようになったというわけ。

 一方、A型とB型のどちらの血液物質に対する抗体を持たないAB型は、病気に対する抵抗力が他の血液型の人に比べて弱い。そのため、どちらかといえば、人付き合いは苦手。感受性が強く芸術肌で、コツコツ1人で取り組むのを好むそうだ。 

 このように、性格をも左右する血液型と病気。では、パンデミックが恐れられる新型インフルエンザはどうだろうか?

 「ウイルスは血液型物質を持っていませんが、好みはある。たとえば、中南米で流行しているノロウイルスは、O型の血液物質を好むタイプです」(藤田教授)

 中南米はO型の人が多く、その人たちにアタックできるウイルスが流行を広げているという。つまり、多い血液型を好むウイルスが増殖する可能性が…。日本人の血液型の多い順は、A型、O型、B型、AB型。新型インフルエンザのパンデミックが起こったら、日本人の血液型の構成は、将来変わるかもしれない。


【かかりやすい病気】

A型…肺結核、マラリア、胃がん、食道がん、子宮がん、乳がん、糖尿病、心筋梗塞、リウマチ熱、肝硬変

AB型…梅毒、肺炎、インフルエンザ(A1型)



 本当でしょうか。

 血液型占いなどの性格判断系はうそ臭さ満載ですが、確かに血液の違い、そして細菌が体液性免疫に関与してくる、という事実を踏まえた上では、無下に否定できないというか・・・。

 とはいっても、何十パーセントとか、そんな大きな数値ではないでしょう。「そういう気がする」だけだと思います。

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ガーナの人々は誰もが野口博士を知っており、貢献を忘れない

「野口博士の貢献忘れず」ガーナ大統領、横浜で講演

 横浜市で28日から開催されるアフリカ開発会議に出席するため来日したガーナのクフォー大統領が27日、横浜市議会で講演し、ガーナで黄熱病の研究中に感染して死亡した野口英世博士の功績をたたえ「ガーナの人々は誰もが野口博士を知っており、貢献を忘れない」などと熱弁を振るった。

 大統領は、ガーナ最大の病院に野口博士の銅像が立っていることや、大学の研究所に博士の名前が使われていることを紹介した。

 アフリカ開発会議では、28日に第1回野口英世アフリカ賞の授賞式が行われる。



 個人的な野口英世のイメージとしては、人柄の良い温厚な人というよりは、野心家でエゴイスティックで医学への情熱溢れる人物、というものです。

 東大学閥に冷遇されて色々と辛酸を舐め、以後日本に戻ることはなかったり、海外留学中にもヘビー・ドリンカーやプレイボーイと言われていたり。人のために病気を治療しようとする、というよりは、医学界に自分の名を轟かせたい、誰もに認めさせたいとする野心が先行し、そして成功したのではないでしょうか。

 それでも並ならぬ努力をして成功した人です。その医学への情熱だけみても、偉大な学者であると思います。

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医学処:野口英世賞は賞金1億円。5年に1度授与
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2008年05月27日

九州大学病院が新型インフルエンザ治療施設を計画する。

九州大、新型インフルエンザ治療施設を計画

 九州大学病院(福岡市東区)は、新型インフルエンザの治療機関を設立する検討を始めた。福岡都市圏では、発症が懸念されるアジア便を持つ国際空港がありながら治療機関が少ないため、現状での対応には限界があると懸念されていた。

 久保千春病院長によると、研究施設を併設した数十規模のベッドのある治療施設を病院敷地内に新築する方向。九大大学院感染環境医学の林純教授が中心となり、今年度末までに具体的な計画を練る。新型肺炎SARSの治療も視野に入れる。

 新型インフルエンザやSARS患者の治療には第2種感染症指定医療機関の資格が必要で、福岡都市圏には福岡市立こども病院・感染症センター(中央区)しかない。しかし建て替えを控え、福岡市は感染症指定医の資格を返上する予定で、13日午後に開かれる市病院事業運営審議会でも議題となる見通しだ。

 久保院長は「新型インフルエンザ対策は喫緊の課題。素早く手を打つ必要がある」と話す。



 確かに九州に訪れるアジア圏の人はかなり多いかも。都心なら多くの大学病院があり、大学病院でなくともハイレベルな総合病院があるので対応は可能かもしれませんけれど、九州ではなかなか。

 そこで動いたのが旧帝国大学の九州大学病院。起こる可能性のある疾患に早急に対応する点など、流石です。予算もあるでしょうに、実行に移す点は誉れです。
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2008年05月23日

島根県おちハートクリニックが採血用の針を使い回していた。

島根の診療所で14人が肝炎感染、採血針37人に使い回し

 島根県益田市の診療所「おちハートクリニック」が3月末から約1か月間、患者計37人に対して、血糖値測定のために指先などに針を刺して採血する器具を使い回していたことがわかった。

 県医療対策課によると、クリニックの検査の結果、因果関係は不明だが、うち14人がB、C型肝炎ウイルスに感染していることが確認された。複数の看護職員が自動的に針が交換されると誤解したのが原因という。厚生労働省は同様の器具の使い回しを禁じる通知を出しており、県は同クリニックを行政指導するとともに、今月中にも立ち入り検査する方針。

 同課によると、器具は、糖尿病患者が自己管理のために使うペン型の製品で、交換可能なドラムに6針が入っており、1針使うごとに自分でドラムを回して新しい針にする仕組み。赤い字で「複数患者使用不可」と書いたシール(縦1・5センチ、横3・5センチ)を本体に張っている。

 同クリニックでは、3月までは使用の度に針を取り換える別の器具を使っていたが、故障したため、3月28日以降、今回の器具を使用。内科、循環器科、心療内科で複数の看護職員が使用方法を誤解して、複数の患者に、使用済みの同一の針で採血したという。

 4月30日に看護師が誤りに気付いて保健所に連絡。同クリニックは5月1〜9日に対象者全員に肝炎やエイズウイルス(HIV)などの検査を実施、B型肝炎の抗原保有者1人、同抗体保有者11人、C型肝炎の抗体保有者2人がいることが判明した

 厚労省によると、B型肝炎はウイルス感染の直後から約半年後までに抗原が、感染の約1か月後〜約1年後までに抗体が確認されることが多い。C型肝炎では感染後1〜3か月で抗体が陽性になるという。同課は、以前に感染していた可能性もあるとしているが、同クリニックは患者に経緯を説明して謝罪、一部患者にワクチンを接種した。

 同様の医療機器による肝炎感染は2005年に英国で発生。厚労省は06年3月、医療機関に同様の器具の使い回しを禁じる通知を出した。今回の器具の添付文書にも、「個人の使用に限り、複数の患者に使用しない」「使い捨てで再使用しない」などと記載している。




使い回しの採血器具、延べ200人に

 島根県益田市の診療所「おちハートクリニック」が血糖値測定用の針付き採血器具を糖尿病患者37人に使い回していた問題で、越智弘院長(50)が22日、同市で記者会見し、「昨年6月に納入業者から説明を受けていたが、詳細な操作方法を忘れてしまった」と説明した。

 同クリニックが昨年3月の開業直後から、別の個人使用限定の採血器具延べ約200人の患者に使い回していたこともわかり、ずさんな実態が明らかになった。

 肝炎感染は新たに1人が確認され、計15人に。うち、使い回し以前にB型肝炎に感染し、現在もウイルスを持っている1人に加え、別の1人がC型肝炎ウイルスを持っていることも判明。ウイルス感染が確認されなかった患者も今後感染が明らかになる可能性がある。島根県は23日、医療法に基づき、同クリニックへの立ち入り検査を実施する。




採血針使い回し1か月、先が丸くなり痛み訴え発覚

 島根県益田市の診療所「おちハートクリニック」が血糖値測定用の針付き採血器具を糖尿病患者に使い回していた問題で、同クリニックの看護師が器具の針6本のうち1本を1か月以上使い続けたため針先が丸くなり、患者が痛みを訴え、使い回しが発覚していたことがわかった。

 県は23日、越智弘院長からこれらの経緯などについて事情聴取し、午後には医療法に基づき、同クリニックへの立ち入り検査を行う。

 県医療対策課によると、同クリニックでは別の採血器具が故障したため、3月28日から、問題の採血器具を使用した。この器具は本体部を回して6本の針が交換されるが、看護師は自動で交換されると誤解。4月30日に使用した際、患者が「痛い」と訴え、看護師が針先が丸くなっているのに気付いたという。

 一方、故障した採血器具も使い回していたことがわかっており、立ち入り検査でカルテの確認や看護師からの聞き取りで使い回しされた患者の特定を急ぐ。



 こんなに知識のない看護師って存在するんですね。まずそこに驚きました。一体何を学んできたんでしょうね。凄いわあー。

 血糖値測定用の針ということは、おそらく、ほんの小さな針をペンライトみたいな器具につけて、パチンと指先にほんの少し打つことで痛みをほとんど感じず、1滴程度の血を採血できる器具でしょう。あれは当然、使い捨てです。そんなことは全国の、自分で血糖を測っている糖尿病患者やその家族でさえ当然知っているべき「常識」です。何故それを医療従事者が知らないというのか。

 しかも単なる「誤解」といってはいますが、以前使っていたといわれている器具(使用の度に針を取り換える、オーソドックスな器具)ですら使いまわしていたというからもう駄目駄目ですね。あれはどうしたって針を取り替える仕組みになっていますから。

 恐るべし
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2008年05月19日

医療の事故防止キャンペーンを開催。

「いのちをまもるパートナーズ」医療事故防止運動

 医療の安全確保と質の向上を目的に、病院や関係団体が共同で対策に取り組む全国キャンペーン「いのちをまもるパートナーズ」が17日、始まった。

 米国で2004〜06年に実施し、事故防止に成果を上げたキャンペーンの日本版で、医療の質・安全学会、日本病院団体協議会、日本医師会など5団体が提案した。2年間で全病院の3分の1に当たる3000病院の参加を見込み、医療行為に伴う何らかの傷害(有害事象)30万件、入院死亡者1万人の低減を目指す。

 行動目標として、〈1〉危険薬の誤投与防止〈2〉医療関連感染症の防止〈3〉急変時の迅速対応――など8項目を掲げ、参加する各病院が取り組む目標を選んで実践。定期的に実施状況と入院死亡数、死亡率を報告する。

 米国では、有害事象の半分以上が、ミス防止策が整っていれば避けられた事例で、年間4万4000〜9万8000人が本来は死なずに済んだケースだと推定されている。

 日本では、厚生労働省研究班が03〜05年度の調査で、入院患者の6・4%に有害事象が起こったと報告している。

 参加登録は19日から。詳細は、ホームページ



 近年ではミス防止のために、医療器具なども改良を重ねられています。医療従事者を感染から守るためにも、針1つにしても様々な工夫が施されていますし、患者さんへの誤投与や感染予防などの対策もかなり幅広く行われています。

 しかしそれでも、どうしてもおこってしまうものです。日本はアメリカよりは酷くないとは思いますけれど、まだまだ突き詰めれば減らせるところだと思います。そのためにはまず事故の報告をしっかりすること、そして事故を起こした当事者を責めないこと、改善策を考えること、その策を全国の病院で共有すること、これに尽きます。

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風疹の免疫のない若い女性が増えている

風疹への免疫不十分 妊婦4〜5人に1人

 風疹に対する免疫が不十分な妊婦が4〜5人に1人の割合でいることが、武蔵野赤十字病院産婦人科の神部友香理医師たちの調査でわかった。特に25歳以下の若い妊婦では半数近い人が免疫が不十分だった

 妊娠初期に風疹に感染すると、胎児に感染して、心臓病や難聴、白内障などを引き起こす先天性風疹症候群になる危険があり、神部さんは「妊娠前に風疹の抗体検査をして、免疫がなければ予防接種を受けてほしい」と呼びかけている。

 神部さんたちは、2005年4月から08年2月までに、武蔵野赤十字病院で妊娠初期検査を受けた1743人の風疹の抗体の保有状況を調べた=グラフ=。うち49人(2・8%)が抗体がない「陰性」で、342人(19・6%)が抗体が十分でない「弱陽性」であることがわかった。特に25歳以下では、87人中10人(11・5%)が陰性、30人(34・5%)が弱陽性で、免疫が不十分な妊婦が半数近くに上ることがわかった。

 風疹の定期予防接種は、1994年度まで中学生の女子に行われていたが、95年度以降は乳幼児の男女に切り替わった。新制度への移行で、風疹の抗体のない若い女性が増えていることが問題とされていた。

 大人への風疹の予防接種は、予防接種を扱う病院の内科などで受けられる。実費が必要で1万円程度かかる。中学1年生、高校3年生については、今年4月から5年間、はしかと風疹の混合ワクチンを自治体の助成で受けることができる。

 ただ、妊娠後の検査で免疫が不十分だとわかった場合は予防接種を受けることはできない。神部さんたちは、感染者との接触を避けるなど、妊婦に感染防止に努めてもらい、出産後に予防接種を受け、次の妊娠に備えるよう指導している。

 万一、妊娠中に感染しても、すべての胎児が先天性風疹症候群にかかるわけではなく、感染した時の妊娠週数によって、その確率は大きく違う=表=。神部さんは「不安になって中絶を考える人もいますが、その前に十分、医師に相談してください」と話している。

◇先天性風疹症候群にかかる確率

 妊娠4週まで 50%
 妊娠5〜8週 25%
 妊娠9〜12週 10%
 妊娠13週以降 1%未満



 妊娠前に、風疹の免疫をちゃんと確立しておくことが大切です。

 たかが風疹とあなどるなかれ、胎児の段階で感染してしまうと、本当に重篤な後遺症が残ってしまいます。

 できることなら、10〜30代の女性は、今すぐにでも病院に行って、検査をしてもらいたいです。もし抗体がないようでしたら、ちゃんと打たないと。妊娠後に発覚しても遅いですからね。赤ん坊には罪がないわけですから、そこらへんはきちんとしてほしいと思います。

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2008年05月07日

中国で手足口病が大流行し、死者も出る。

手足口病感染、1万2000人に=浙江省でも1人死亡−中国

 新華社電によると、中国浙江省衛生庁は5日、同省で手足口病に1198人が感染、1人が死亡したことを明らかにした。手足口病による死者は全国で26人目。感染者は1万2000人以上に拡大している。中国衛生省は、手足口病の発症ピークは6〜7月とみて、警戒を呼び掛けている。

 手足口病の感染は主に6歳以下の子供に広がっており、これまでに安徽省で22人、広東省で3人が死亡している。感染者は安徽で4日までに5840人、広東で5日までに1692人に増えているほか、北京市(1482人)、江蘇省(582人)など計12の省・直轄市・特別行政区から感染が伝えられている。

 中国外務省の秦剛副報道局長は6日の定例会見で、感染拡大について、「中国政府は極めて重視しており、関係当局が有効な対策に着手している」と強調した。

中国で手足口病が拡大、24人死亡

 中国安徽省で3月初めに発生した「エンテロウイルス71」(EV71)による手足口病が周辺地域に拡大し、死者が24人に達するなど中国全土で警戒が高まっている。EV71は消化管の中で増殖するウイルスで、主に手足口病を起こし、髄膜炎、肺炎、脳炎、肺浮腫などで死に至るケースもある。

 国営新華社通信によると、安徽省ではこれまでに同ウイルスによる患者4529人が発生し、患者が集中した阜陽市では22人が死亡した。このほか、978人が入院しており、48人が重症だという。

 阜陽市によると、3月初めから手足に水泡や発しん、腫れによる痛みや高熱を訴える子供が増え、3月27日に最初の死者が出た。死亡した子供は主に脳、肺、心臓などに重い症状を起こした。

 その後、同ウイルスによる感染病発生地域は先月20日までは2つの県にとどまっていたが、その後拡大し、3日までに北京市で1010人、湖北省で340人、江蘇省で288人、広東省で273人、陝西省で118人の患者が出たと集計されるなど、全土で患者数は5355人に達した。

 中国衛生省はまた、南部の珠江デルタにある広東省仏山市で生後1歳6カ月の男児が同ウイルスへの感染が原因で死亡し、同じ地域で先月25日に死亡した子供も同ウイルスが原因だったことが確認されたと発表している。これにより、同ウイルスによる死者は24人に増えた。

 中国では8月8日に開幕する北京五輪を控え、世界の注目が集中している。こうした中、同ウイルスの感染は通常6−7月に最も広がりを見せるため、中国政府は五輪関係者の迎え入れに影響が出るのではないかと懸念している。

 エンテロウイルス71(EV71)とは、大便、鼻水、唾液などを通じて伝染し、感染すると高熱、発しん、口の中や手足がただれる。普通は手足口病を起こすが、髄膜炎、肺炎、脳炎の原因にもなり、重症の場合には肺浮腫で死亡することもある。1997年にマレーシアで6000人の患者が発生し31人が志望。翌年には台湾で12万9000人余りの患者が出て、78人が死亡した。予防ワクチンは開発されていない。



 五輪前に問題の絶えない中国です。正直なところ、オリンピックと政治とはあんまり関係ないのであまりツッコめませんが(アピールする機会だからこれだけ騒がれているのでしょうけれど)、さすがに中国の劣悪な環境だけはほっとけません。現地に選手や応援団が行くわけですし…。

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2008年04月15日

熱帯の魚を食べると発症する、シガテラ中毒について

熱帯多発のシガテラ中毒、本州でも…魚食べ発症

 熱帯や亜熱帯地域で魚を食べると発症し、被害者数では世界最大規模の食中毒と言われるシガテラ中毒。

 日本でも沖縄や奄美大島などでは昔から知られているが、近年、本州でも発生するようになった。理由ははっきりしないが、魚を毒化するプランクトンの生息域が海水温上昇などで広がった可能性も指摘されている。中毒の「北上」に、温暖化などが影を落としていると言えそうだ。

 シガテラ中毒の原因となるプランクトンの分布や生態は謎に包まれたままだが、水温上昇や沿岸開発でサンゴが死滅した後、大量発生することが分かっている。このプランクトンの毒が食物連鎖で魚に蓄積して「毒魚」となり、バラフエダイやオニカマスなど数百種にも及ぶという。こうした魚の多くは市場価値がなく、ほとんど出回らないが、漁師や釣り人が口にすることがある。

 日本では2002年以降、18件のシガテラ中毒が報告されたが、ほとんどは沖縄県内で、本州ではあまり知られていない。しかし、一昨年に茨城県で、昨年には大阪府で報告された。18件には入っていないが、神奈川県でも昨年、診断例がある。こうした状況を受け、静岡市で先月開かれた日本水産学会では「原因プランクトンの生息域拡大の可能性がある」として緊急シンポジウムが行われた。シンポジウム世話人の四国大短大の西尾幸郎教授は「温暖化などとの関連に確証はないが、温帯域への広がりは懸念される」と指摘する。

 福代康夫・東大アジア生物資源環境研究センター教授は「海藻に付着して流れてきたり、船のタンクにためる海水に混じって運ばれたりし、地球温暖化による海水温上昇で定着したなどの可能性は考えられる。しかし、プランクトンの分布調査などが進まないと、断定するのは難しい」と話す。



 シガテラ中毒は、嘔吐、下痢などの消化器障害、血圧降下や心拍数の減少などの循環器障害、知覚異常、縮瞳などの神経の障害脱力感、関節痛などのその他の障害が現れるそうです。

 日本では死亡例はありませんが、回復が遅く、酷いときには1年ぐらいかかることもあるとか・・・。

 よく漫画とかで、熱帯魚をとって食べたりしていますけれど、今ああいうことをやるとシガテラ中毒になってしまうかも?
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2008年04月10日

ツツガムシ病の調査で和歌山県医学研究奨励賞を受賞

健やかわかやま:県医学研究奨励賞 「ツツガムシ病」調査で知事表彰

 07年度の「県医学研究奨励賞」の受賞者に、田辺市医師会恙虫(つつがむし)病調査班(9人、代表者・玉置幸子医師)が選ばれ、県庁で表彰式があった。

 同調査班は、89年に紀南地方におけるツツガムシ病の第1例を確定。06年までに県全体の9割に当たる94例を診断した。ツツガムシ病に関する学会報告や講演活動などを精力的に行い、広く一般市民に啓発したことなどが評価された。

 賞は、医学に関する調査や研究を通じ、県民の保健医療の向上に努めた個人や団体に贈られる。70年に創設され、06年度までに39人と14団体が表彰された。



 ツツガムシというダニによって、ツツガムシリケッチア(orientia tsutsugamusi)に感染することで、ツツガムシ病になります。

 症状としては高熱、全身性の紅斑・丘疹状の発疹、筋肉痛、リンパ節腫脹などで、酷い場合にはDICで死に至ることも。中でも「発熱、刺し口、発疹」は、主要3徴候とよばれます。

 年間何百人かが感染する病気ですので、ダニに刺されたぐらいだと安易に考えず、症状が出たら病院へ。

関連:耳の中に大量のダニが生息していて騒音と痒みに悩まされる。
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2008年04月09日

変異型ヤコブ病で2人が死亡する。

変異型ヤコブ病で2人死亡 スペイン

 スペイン北部で昨年12月と今年2月、牛海綿状脳症(BSE)の牛の脳などを食べて感染するといわれる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病で2人が死亡した。地元自治体が7日、明らかにした。

 死亡したのは40歳と51歳の患者で、いずれも北部のカスティーリャ・イ・レオン州に住んでいた。同国でこれまでに報告された変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の死者は、2005年に首都マドリードで死亡した26歳の女性のみ。

 記者会見した同州の農業局長によると、今回の2人が感染したのは2001年より前と見られる。現在は当時に比べて畜産品に対する規制がはるかに厳しくなっているため、牛肉を食べても安全だと強調し、平静を呼びかけた

 スペインではBSEが初めて見つかった2000年以来、これまでに700件以上の症例が報告されている。



 さすがにもうないでしょうね。次に、騒動後の牛肉による感染が明らかになったら、それこそ壊滅的な打撃を受けるのは畜産業界ですから。

 とはいうものの、異常プリオンについては未だに未知数なところもありますしね。たんぱく質が何故ここまで…。硬膜移植などの、医原性のものでなければ大丈夫だとは思いますが、、、

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2008年04月08日

野生イノシシの5〜10%がHEVを保有している

野生イノシシ肉がE型肝炎感染源に 厚労省「火通して」

 E型肝炎の感染源の一つが野生イノシシ肉であることが、国内で初めて遺伝子レベルで確認されていたことが分かった。

 全国的にE型肝炎ウイルス(HEV)感染者が急増するなか、野生イノシシの5〜10%がHEVを保有している可能性があるとされ、厚生労働省は「野生動物の肉を食べる際は十分に火を通すなど注意してほしい」と呼びかけている。

 HEVの感染源が遺伝子レベルで確認されたのは、05年1月に福岡県筑豊地方で夫が捕ってきた野生イノシシ肉を焼き肉にして食べた当時50代の女性。同年3月、倦怠感や食欲不振を訴えて病院に行ったところ、E型肝炎に感染した疑いがあると診断された。

 自宅の冷凍庫にイノシシ肉が保管してあったことから、国立感染症研究所(東京)が肉と女性の血清から検出したHEVの塩基配列を比較。配列がほぼ一致し、イノシシ肉が感染源と特定された。十分に火を通していなかったなどの理由が考えられるという。

 E型肝炎は従来、開発途上国を旅行した人が水などから感染するケースが多いとされてきたが、02年以降、国内での感染が疑われるケースが急増している

 朝日新聞社が各都道府県などに尋ねたところ、99〜01年の3年間で全国で3件しか発生していなかったE型肝炎は02年約20件、03年約30件、06年には約70件と大幅に増加。このうち国内での感染が疑われるケースは02〜04年が20件前後、06年は44件になった。

 地域的には北海道が最も多く71件。ついで東京が23件、愛知16件、神奈川13件と続いた。一方、秋田、石川、岐阜、島根、香川などでは感染の報告はなく、青森では今年2月に1件報告があった。

 福岡県保健環境研究所は06、07年度の2年間、県猟友会の協力を得て野生イノシシなどを対象にHEV遺伝子について調査した。07年度分は検査中だが、06年度分はイノシシ77頭のうち1割強にあたる9頭からHEV遺伝子が検出された。

 厚労省によると、各地の同様の調査では地域差はあるものの、野生イノシシの5〜10%からHEV遺伝子が検出されているという。イノシシ以外にも03年に兵庫県で冷凍したシカの生肉を食べた4人がHEVに感染したほか、北海道では市販の豚レバーからHEV遺伝子が検出されたケースもあるという。

 感染の報告数が増えたのは、高感度なHEV遺伝子の検出法などが広まったことが背景にあるとされる。厚労省食品安全部監視安全課は(1)野生動物の肉の生食は避け、しっかり火を通す(2)生肉に触れたまな板やはしは熱湯消毒する――ことなどを呼びかけている。



 イノシシ食べたことないんで分からないんですけど、イノシシを獲る地域ではイノシシ鍋以外に調理法があるんでしょうか?まさか馬刺しならぬ「猪刺し」とか?

 ダメですぜ!

 よく豚には火を通せって言われますけど、イノシシにはもうガンガン火を通すぐらいでいいです。豚は、一応寄生虫とかがいる可能性などもあるので、火を通しますけれど、イノシシ肉で怖いのはHEV、つまりウイルスですから。焼肉とかで「もう焼けたし食えるだろう」ではなくて、十分すぎるほど火が通るぐらいで構いません。

 シカ肉なんて生で食べちゃダメ!やくそく!

 E型肝炎については下記リンクも参考にして下さい。

医学処
E型肝炎は富国強兵政策の一環で持ち込まれた

 〈E型肝炎〉
 HEVに汚染された水や食べ物から経口感染し、吐き気や食欲不振などの症状が出る。通常は一過性で慢性化しないが、まれに劇症化し死亡することがある。約100年前に英国から輸入された豚と一緒に国内に入ってきた可能性があるとの研究結果があり、シカ肉や豚レバーによる感染例や、輸血で感染した例も報告されている。加熱すると感染性を失う。
posted by さじ at 23:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染