[感染]の記事一覧

2009年02月01日

どのタイプのインフルエンザにも効く万能ワクチンを開発

インフルエンザ、万能ワクチン開発…厚労省研究班

 いろいろなタイプのインフルエンザウイルスに効くワクチンを厚生労働省研究班が開発した。

 従来のワクチンと違い、ウイルスが変異しても効果が続くのが特徴で、動物実験で確かめた。実用化までには数年かかるとみられるが、新型インフルエンザの予防にも役立つと期待される。

 研究班は、国立感染症研究所、北海道大、埼玉医科大、化学メーカーの日油。

 通常のワクチンは、ウイルス表面をとげのように覆うたんぱく質をもとに作る。接種後、ウイルスが体内に侵入すると、抗体がとげを認識して増殖を阻止する。だが、インフルエンザは、とげの形が異なる複数のウイルスが流行することが多いうえに、頻繁にとげの形が変異するため、毎年のようにワクチンを作り直す必要があった。流行する型の予測がはずれると、ワクチン接種の効果が薄れた。

 研究班は、表面に比べて変異しにくいウイルス内部のたんぱく質を人工合成。それに特殊な脂質膜をくっつけてワクチンを作った。このワクチンを接種すると、免疫細胞が、ウイルスの感染した細胞を攻撃する。

 実験では、新型インフルエンザウイルスに変異する可能性が高い高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1、Aソ連型、A香港型の3種共通の内部たんぱく質を調べ、ワクチンを作製。免疫に関与する人間の遺伝子を組み入れたマウスに接種した後、ウイルス3種をマウスに感染させても症状が表れず、増殖も抑えた。

 ただ、これまでにないタイプのワクチンなので、人間に使って重い副作用が出ないか、慎重に確認する必要がある。同じ仕組みのワクチンを英オックスフォード大も研究中という。

 研究代表者の内田哲也・感染研主任研究官は「人間に有効で安全な量を調べ、一刻も早く実用化につなげたい」と話している。



 今年も猛威を振るう結果となったインフルエンザ。変異しやすいウイルスなので毎年予防接種をしても流行したりしてしまいます。

 そんなウイルスの、変わらない部分を攻撃する万能ワクチンを開発したとのこと。副作用もなく成功すれば大きく抑えることはできそうです。いつかはその変わらない部分も変わってしまうのかもしれませんが、かなり期待できそうな研究です。

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2009年01月26日

福岡大病院で多剤耐性アシネトバクター菌の集団感染。

多剤耐性菌、23人感染…福岡大病院

 福岡大病院(福岡市城南区、内藤正俊院長)は23日、救命救急センターに搬送されるなどした入院患者23人から、ほとんどの抗菌剤が効かない耐性菌「多剤耐性アシネトバクター」を検出したと発表した。

 いずれも病院内で感染したとみられる。これだけ多数のアシネトバクターの集団感染が国内で確認されたのは初めてという。厚生労働省は国立感染症研究所の専門チームを派遣し、感染経路などを調べる。

 アシネトバクターは健康な人が感染しても発病しないが、抵抗力の弱い人が感染すると肺炎や敗血症などを起こすことがあるという

 発表によると、2008年10月20日〜今月15日、いずれも重症の内臓疾患などで入院していた10歳代〜80歳代の男性患者15人、女性患者8人のたんなどから検出。うち男性3人、女性1人が死亡した。男女2人は感染と死亡は無関係と判明したが、ほかの男性2人については「死因となった可能性は低いものの、断定はできない」とし、さらに詳しく調べる。

 同病院は当面、救命救急センターでの患者受け入れを中止する。感染者のうち22人が人工呼吸器を装着していたが、消毒して再利用していた人工呼吸器の装着器具からもアシネトバクターが検出されたため、6日から共用をやめた。



 普通の人なら何でもないのに、免疫力の低下した高齢者や免疫抑制剤を使っている人など、弱っている人に対して猛威を振るってしまう、それが日和見感染症です。

 最近この多剤耐性のアシネトバクター菌も注目を浴びるようになってきましたね。MRSAだけでなくアシネトバクターに関しても注意しなければならない…。人は菌の変異と一生戦い続ける運命にあるのでしょう。

 以下、アシネトバクターに関するニュースです。こちらも併せてどうぞ。

医療施設に広がる新たな脅威、薬剤耐性菌「アシネトバクター・バウマニ」

 「アシネトバクター・バウマニ」と呼ばれる薬剤耐性の強力な致死性細菌が、病院など医療施設で新たに広がりつつあり対策が必要だと、ギリシャの生物医学研究機関が18日、医療従事者らに警告を発した。

 これまで院内感染に関する世界の注目は、圧倒的にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に注がれてきた。しかし、「アシネトバクター・バウマニ」と呼ばれる耐性菌による脅威が拡大しつつあるとの研究報告が、英医学雑誌「ランセット(Lancet)」に掲載された。

 この細菌の流行を抑制するのはきわめて難しいことが証明されているという。またデータによると、アシネトバクター・バウマニに感染した場合、3分の1に近い感染例で、最先端の抗生物質に対する耐性がみられた。 

 この論文報告を行ったアテネ(Athens)の生物医学研究機関アルファ・インスティチュート・オブ・バイオメディカル・サイエンス(Alfa Institute of Biomedical Sciences)の2研究者は、「多剤耐性株が引き起こす施設での流行が公共衛生問題として拡大している」と語る。
 
 2004年の研究によると、米国での感染例2万4000件のうち、感染者の34%が病院内で血流感染して最終的に死亡した。集中治療を必要とした感染者では死亡者の割合は43%とさらに高かった。

 研究者らは、医療機関での緊急対策は不可欠で、細菌を制圧する薬剤や薬剤の組み合わせを突き止めることが必要だと訴えた。
 
 アシネトバクター・バウマニは健康な人を襲うことは少ないが、入院中の重症患者らの間でよく発見される。高齢者や重篤な基礎疾患を持つ患者、免疫システムの衰弱している人、大きな外傷性障害ややけどのある人などが感染しやすい。また、手術後の人やカテーテルや人工呼吸器の使用者も感染する可能性が高いという。

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2009年01月21日

粘膜が細菌感染を防ぐ仕組みはインターロイキン17Fによるもの

東大、粘膜が細菌感染防ぐ仕組み解明 たんぱく質が作用

 東京大学の岩倉洋一郎教授らは腸内などの粘膜が細菌の感染を防ぐ仕組みを解明した。体内にある「インターロイキン17F」と呼ばれるたんぱく質が細菌の活動を抑えていた。感染症を防ぐ新しい薬になる可能性がある。研究成果は米科学誌「イミュニティ」(電子版)に16日掲載した。

 このたんぱく質は黄色ブドウ球菌などが感染すると、免疫に関係する細胞や腸の上皮細胞から作られ、抗菌作用を持つ別の物質が作られるのを促していた。マウスの実験で効果を確認した。

 インターロイキンは複数の種類があり、これまでリウマチ治療薬などとして実用化している。今回働きを突き止めたたんぱく質は炎症反応は起こさないため、病気などで体力が落ちて免疫力が低下したときに細菌の感染を防ぐ薬になると期待される



 粘膜は主に抗体が免疫システムを担っているのかと思っていました。インターロイキン17Fといったサイトカインもその免疫に関与していると。

 2009年もたんぱく質関連の研究が発展しそうです。この分だと十数年後に一気に治療法が増えたりするんじゃないですかね。そうなると嬉しいんですが。

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2009年01月18日

町田の病院でインフルエンザの集団感染101人。

町田の病院でインフル101人集団感染、高齢患者3人死亡

 東京都は17日、町田市内の「鶴川サナトリウム病院」(日野研一郎院長)で、入院患者と職員の計101人がインフルエンザに集団感染し、77〜100歳の女性患者3人が死亡した、と発表した。

 都では「これだけの規模の集団感染は異例」としており、感染経路を調べている。

 発表などによると、同病院には高齢の認知症患者を中心に448人(17日現在)が入院、職員335人が勤務しており、今月3日、女性職員(24)が最初に発症。6日に患者4人が発症した。その後、感染者が増え続け、肺炎を併発した85歳と100歳の女性患者2人が11日夜に死亡。16日にも77歳の女性患者が亡くなった。

 これまでの感染者は患者77人、職員24人で、このうち患者32人と職員2人は発熱が続いている。死亡した3人はいずれもA型インフルエンザだった。

 同病院の入院患者の平均年齢は83歳。インフルエンザワクチンの接種率は入院患者が約89%、職員が約92%で、都は「接種率は比較的高い」としている。こうした状況での集団感染について、厚生労働省では「ワクチンはウイルスの感染ではなく増殖を防ぐもの。抵抗力が弱いお年寄りはウイルスの侵入を許しやすく、ワクチンを接種しても若い人に比べ重症化しやすい」としている。また、治療薬「タミフル」の投与で回復した患者が多く、都はタミフルが効くタイプのウイルスとみている。

 病院側は7日に町田保健所に報告。都と同保健所は13、14日に立ち入り検査を行い、感染経路のほか、発症者の隔離など病院の対応が十分だったか調査している。都によると、病院側は病棟内の湿度について15%と報告しており、湿度の低さが感染拡大の一因になったと都はみている。病棟内には、加湿器を使わず、ぬれタオルを掛けて対応していた場所もあったという。

 同病院では読売新聞の取材に「発症者が出た3日から、職員のマスク着用や、手洗い、うがいの徹底、発症者の隔離など院内のマニュアルに沿った対応は取った」と説明。17日夜に記者会見した日野院長は、集団感染について「患者やご家族におわびを申し上げたい」と謝罪した。また、自身も一時インフルエンザにかかっていたことを明かした。

 厚労省によると、今冬のインフルエンザの流行は先月初めから始まっており、ピークは今月末から来月初め頃とみられる。都も今月15日にインフルエンザの流行注意報を発令していた。



 感染対策マニュアルに則った対策を行っていたのであれば責めようがないですけどね。インフルエンザという猛威をふるう感染症と、高齢者という免疫能力の低下した患者さんがいれば、どうしてもこのような事態が起こってしまう。

 湿度がやはり重要なのか。最近じゃご家庭でも加湿器があるのが当たり前みたいになってますからね。保湿と手洗いうがいでインフルエンザ流行を予防しましょう。
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2009年01月09日

インフルエンザワクチンは不活化ワクチンなので妊婦もOK

インフルエンザワクチン「妊婦さんもOK」

 妊婦がインフルエンザワクチンの接種を希望する場合は接種してよいという日本では初の公式見解が、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が作った「産婦人科診療ガイドライン産科編2008」(日本産科婦人科学会発行)に明記されている。インフルエンザは妊婦がかかると重症化しやすいとされており、予防の選択肢の一つとして期待が高まりそう。

 3人目の子供を妊娠中の三重県に住む育子さん(36)=仮名=は12月、インフルエンザの予防接種を受けた。これまでは「妊娠中は予防接種なんて受けてはいけないと思っていた」。でも今回は、妊婦健診の時に医師に相談したところ、「打ったほうがいいですよ」と言われ、その場で接種した。「インフルエンザにかかったことがあり、とてもしんどかった。今年は予防接種できたので安心です」と話す。

 予防接種するワクチンには、病原性を弱めたウイルスや細菌などをワクチンにした「生ワクチン」と、培養したウイルスや細菌などを精製してホルマリン処理などをして病原体を無毒化した「不活性化ワクチン」がある。妊婦には、「生ワクチン」は原則として禁忌だが、「不活性化ワクチン」は接種可能だ。インフルエンザワクチンは「不活性化ワクチン」のため、禁忌ではない。

 厚生労働省は、インフルエンザワクチンの接種は、65歳以上の人に対しては推奨しているが、他の人は任意接種。「妊婦が接種することによる胎児への影響の有無など、安全性、危険性について治験が行われておらず、エビデンス(科学的根拠)がないため、勧めることはしていないが、妊婦も任意なので、個人の判断に任せている」と説明する。

 これに対し、「日本産婦人科診療ガイドライン」には、「インフルエンザワクチンの母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じて極めて低いと説明し、ワクチン接種を希望する妊婦には接種してよい」と明記されている。その理由として、妊婦は心肺機能や免疫機能に変化を起こすため、インフルエンザにかかると重篤な合併症を起こしやすいとされていることや、妊娠初期も含めた全期間においてワクチンを接種しても特別な副反応の報告はなく、胎児に異常の出る確率が高くなったとするデータもないことなどを挙げている。

 また昨年、世界で最も権威があるとされる医学専門雑誌「The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE」に「母体のインフルエンザワクチン接種が母親と乳児に与える有効性」(K・Zamanら)という論文が掲載された。それによると、ワクチンを接種した母親とその母親から生まれた子供は、接種していない母親とその子供と比べて、インフルエンザにかかった数は少なく、発熱を伴う呼吸器疾患の発症率も少なかったことが分かった

 元大阪府立母子保健総合医療センター母性内科部長で、ふじたクリニックの藤田富雄院長は「妊娠中に高熱が出る病気にかかることは、胎内での循環も変化し、胎児にとっても良いことではない」と指摘。この論文が要約された資料を院内に掲示し、妊娠初期を除き、接種を希望する妊婦に積極的に接種を勧めている。

 ただ、産婦人科以外の医師は、妊婦の全身状態、胎児の状況は把握できないため、接種を敬遠することもある。日本医師会は「接種によるリスクと、インフルエンザにかかったときのリスクを考えて、妊婦と話し合って、それぞれの医師が判断している。ただ、データがないため、現場の医師も判断には迷っているだろう」(事務局)としている。

 妊婦がインフルエンザにかかると、思いがけない合併症を引き起こす可能性もある。接種する際は、医師に相談してリスクをよく判断したうえで、受けるかどうか決めることが必要だ。



 根拠を念頭に考えて今の医療は行われていますが、それでもすべて分かっていることばかりではありません。今回のように、打ったほうがいいのか、よくないのか、というのも今のところ曖昧です。

 まぁ確かにインフルエンザにかかって40度近い発熱を出すことが母体にとっても胎児にとってもあまりよろしくないような気はしますね。できるだけ感染しないように気をつけているとはいっても。気になる方は医者に相談してみては。ガイドラインが決まっていない以上、本人の意思次第ですかね。

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2008年12月30日

フィブリン糊によるC型肝炎感染の和解が難航している。

「フィブリン糊」和解難航、因果関係解明できず

 薬害C型肝炎訴訟で、心臓手術などで縫合用接着剤として使用された「フィブリン糊」で感染したとされる原告らの和解交渉が難航している。

 1月の被害者救済法施行後、血液製剤「フィブリノゲン」による感染で国と和解し、給付金を支給された原告は約600人に上るが、「糊」の原告は因果関係が不明との理由で交渉が進まず、薬害肝炎全国弁護団によると、和解できた原告は4人。約160人が和解できないままで、政府の掲げる「全員一律救済」から取り残されている。

 神奈川県内の男性(27)は、5歳の時に心臓手術を受けた直後に急性肝炎を発症し、現在、慢性肝炎の状態となっている。長い間、感染源は分からないままだったが、昨年末、薬害肝炎問題が報道で大きく取り上げられたことで手術を受けた病院に問い合わせ、「糊」の使用が分かった。

 今年4月に提訴したが、和解交渉は一向に進まない。医師からはインターフェロン治療を勧められているが、生活に余裕がなく、月数万円が必要となる治療に踏み切れないでいる

 男性は、「糊のおかげで命が助かったかも知れず、病院に恨みはない。ただ、糊以外に感染原因が見当たらない以上、国には早く救済してもらいたい」と話す。

 フィブリン糊は、フィブリノゲンに他の薬剤を調合して作られ、手術時などに縫合用接着剤として使われた。1980年代に約7万9000人に使用されたとされるが、止血剤として静脈注射で使われたフィブリノゲンとは違い、「糊」は傷口に塗る方法で使われており、国は「直接血管に注射しているわけではないので、感染率が不明」として、因果関係が明白な人を除き和解を留保している。

 厚生労働省は「来年3月をめどに科学的なデータを集め、和解に対する一定の目安を設けたい。因果関係が解明されれば、速やかに和解手続きに入りたい」としている。弁護団は微量の「糊」を使ったケースでも感染を確認しており、今月26日、訴訟が続いている東京、大阪、名古屋、福岡、仙台の5地裁に、「糊の危険は明らかで、一刻も早く和解を進めるべきだ」との要望書を提出した。



 おそらく和解されるのでしょうけれども。確かに傷口に塗るだけのフィブリン糊の場合、因果関係は証明しづらいですね。でも、因果関係が証明されなくとも和解すべき内容だと思うので。ここらへん微妙なところですけどね。じゃあ他の疾患についてはどうなんだと言われるとなんとも。薬害関係なので進みやすいってのもあるでしょうけど。

関連:フィブリン糊を使用しただけで、C型肝炎ウイルスに感染する
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2008年12月29日

サルモネラ菌に感染した豚をそのまま出荷してしまう

サルモネラ症の豚出荷=検査で「保留」札外れる−沖縄

 沖縄県は28日、県食肉センター(南城市)でサルモネラ菌の一種に感染した疑いのある豚1頭が、検査の手違いで県内に出荷されたと発表した。県は食肉として販売したスーパーに自主回収を依頼した。

 県によると、この豚は同センターで24日に処理された際、内臓検査でサルモネラ・コレラエスイスに感染している疑いが判明。職員が「保留」と書かれた札を掛けていた。

 しかし27日、この豚を含む約4.5トンの食肉が県内のスーパー向け出荷されていた。県は、検査の過程で札が外れ、そのまま出荷されたとみている。

 大部分は販売前に回収されたが、21店舗で計703パックが約500人に販売されていた



 こわ。

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2008年12月13日

インフルエンザの流行はネット検索で分かる

インフルエンザ、ネット検索増えれば流行の兆し 米研究

 インフルエンザの季節、インターネットで関連の言葉が検索される件数を見ると、その流行がある程度予測できることが米国の研究でわかった。体の調子が悪くなった人が、医療情報をネットで探そうとすることを利用したもので、関連論文が相次いで発表された。

 アイオワ大などのチームは、検索大手ヤフーと協力し、今年5月までの4年分の統計から関連語が検索される件数の推移を追った。すると、ウイルス検査で陽性反応が出始める1〜3週間前、死者が増え始める5週間前ごろに、検索件数が急増していた。論文は10月、米感染症専門誌(電子版)に発表された。

 検索大手グーグルのチームも、米疾病対策センター(CDC)と協力して同様の研究を行った。統計を取る検索語をうまく選ぶと、CDCが毎週発表している患者発生状況を1、2週間前に予測できるとしている。論文は11月、英科学誌ネイチャー(電子版)に発表された。

 グーグルは、米国内での状況を示すウェブサイトも開設した。

 ただ、こうした手法が間違った予測を広めたり、検索の利用者のプライバシーを侵害したりする可能性がある、と指摘する声もある。

 国立感染症研究所によると、日本ではインフルエンザの定点調査が大規模に行われており、自主参加の医療機関によるほぼリアルタイムの患者受診状況報告もある。同研究所の安井良則主任研究官は「ネット検索は他の感染症にも応用できそうだ。特に、新しく流行する可能性のある感染症を、早く知るのに役立つ可能性がある」と話す。



 んー、そりゃあそうじゃないですかね。

 特に驚きを感じない。笑

 ただこれで予想するとなると、それも難しいでしょうねぇ。ただ流行してきたんだな、というのが分かるだけで。

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2008年12月09日

HIV研究でノーベル賞受賞者「HIVの感染を数年で根絶する」

HIV感染、数年内根絶も ノーベル賞のモンタニエ氏

 エイズウイルス(HIV)の発見で今年のノーベル医学生理学賞を受賞する世界エイズ研究予防財団のモンタニエ理事長(76)は6日、ストックホルムで記者会見し、ワクチンの開発により、HIV感染を数年以内に根絶することは「不可能ではないと思う」と述べた。ロイター通信が伝えた。

 モンタニエ氏は「生きている間に、エイズ根絶は無理としても、少なくとも感染の根絶は見届けたい。それは可能だろうと思う」と話した。

 同氏は長年エイズ治療ワクチンの開発に取り組んでおり、会見では4、5年以内に治療ワクチンを開発することを望んでいると述べた。



 HIVワクチンが出来たら革命的ですね。

 でも性行為感染症なのですから、一人一人が心がければ感染はなくなると思うんですよね・・・。感染力の甚大な天然痘ですら根絶できたというのに、何故粘膜感染なんていう非効率な媒介方法のウイルスが根絶できないのか。うーむ。

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2008年12月08日

福島県で、死者も出るほどのツツガムシ病による被害が続出。

ツツガムシ病 県内で被害多発 全国最多45件、1人死亡

 福島県内でツツガムシの被害が多発し、全国で最多となっていることが1日までに県医療看護課などの調べで分かった。ツツガムシ病は狂犬病や鳥インフルエンザなどと同じ感染症法の四類に指定され、死に至る危険もある。先週までに45件の被害が報告され、1人が死亡している。12月は例年、被害が多く、同課などは県民に注意を呼び掛けている。

 本県で発症が多い理由として、福島市の大原綜合病院付属大原研究所の藤田博己主任研究員は「県の面積が広いことと、(刺されやすい環境となる)農業が盛んなことなどが要因」とみている。

 県内の発症報告は4−6月と10−12月が多い。保健所別では県中が12件で最も多く、次いで郡山、県北がそれぞれ10件、県南9件、会津3件、南会津1件で、中通りを中心に発生している。刺された状況は「農作業中」が最多の28件、「森林作業中」が2件など。4月には、農作業中に刺されたとみられる県北地方の80代男性が死亡した。

 ツツガムシ病に予防ワクチンはないが、感染後に抗生物質を投与すれば完治する。藤田主任研究員は「死につながる危険な病気だということを認識してほしい。感染が疑われたら、すぐ病院に行くことが大事」と指摘する。県医療看護課の結城永子主幹は「山に入ったり農作業をしたりする際は肌の露出を少なくし、帰宅後は服から虫を払い、体を洗うことなどを心掛けてほしい」としている。



 オリエンタル・ツツガムシ。

 以前もこの記事で取り上げました。死に至る可能性があるということを認識した上で、「発熱、刺し口、発疹」の3主徴があったら、ツツガムシ病かもしれない、という意識を持ってください。

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新型インフルエンザ対策で注目を集める「ダチョウ抗体」

新型インフルエンザ対策で注目 「ダチョウ抗体」とは?

 「ダチョウ抗体」が、新型インフルエンザ対策の“目玉”として注目されている。京都府立大学大学院生命環境科学研究科の塚本康浩教授らは、ウイルスや病原菌を撃退する抗体をダチョウに作らせて、卵黄から分離、精製する大量生産技術を確立。低コスト化の実現に伴い、抗体を塗布したマスクも商品化された。世界規模の大流行(パンデミック)が懸念される新型インフルエンザ対策をはじめ、ダチョウ抗体はさまざまな感染症予防に威力を発揮しそうだ

 抗体は、外部から体内に侵入してきたウイルスや病原菌と結合し、感染力を奪う役割を果たす。

 従来は、マウスやウサギ、ニワトリに抗原(無害化したウイルスなど)を注射し、体内で作られた抗体を血液や卵黄から分離、精製していた。しかし、生産コストは極めて高く、これまでは医療、研究目的に用途は限定された。

 塚本さんは家禽の感染症を研究していた獣医師。ダチョウの病気治療や健康管理に携わったことが、ダチョウ抗体開発のきっかけだった。

 「感染症に強く、ニワトリの約25倍の卵を産むダチョウなら、抗体の大量生産が可能かもしれない

 着想から約10年、本格的に研究を始めてからは5年でダチョウ抗体の大量生産技術を確立。新型インフルエンザへの変異が懸念される高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)や従来型のインフルエンザ、食中毒を起こすノロウイルスなどの抗体を作り、従来の抗体よりも高い効果が得られることを確認した

 「1個の卵から、4グラムの高純度の抗体が採れる。半年で100個ほどの卵を産むので、ウサギ800匹分に相当する抗体が1羽のダチョウから半年で作れます

 注射する抗原の量はウサギと同じで、ダチョウは飼育コストも安い。最初は卵の大きさだけに着目していたが、できた抗体はウイルスや病原菌に対する感度が極めて高く、熱にも強い。さらに、1羽のダチョウから多くの抗体が作れるので、品質のばらつきも小さいなど「予想外の長所」を備えていた。

 これらのメリットを生かして、用途に応じて抗体を加工できるので、工業製品としても広く使える。塚本さんは今年6月、大学主導のベンチャー企業「オーストリッチファーマ」を設立し、ダチョウ抗体の商品化に乗りだした。その第1弾が抗体を塗布したマスクで、福岡県のベンチャー企業「CROSSEED」が今秋から一般向けにも販売を開始した。

 従来のマスクは、ウイルスや病原菌を網目で捕まえて侵入を防ぐだけだが、「抗体マスク」(商品名)では捕まえたウイルスの感染力を奪うので、通り抜けたウイルスによる感染リスクも低減される。「マスクは医薬品として扱えないので、感染予防効果を大きくPRするわけにはいかないのですけどね」(塚本さん)

 従来の抗体で同じようなマスクを作ると、1枚が数十万円になってしまう。約4000分の1という驚異的な低コスト化によって、1日ごとに使い捨てられるマスクへの利用が可能になった。

 マスクに限らず、これまで考えられなかった抗体の利用が可能になる。たとえば、病院などで空調設備のフィルターに使えば、院内感染の防止になる。食中毒をもたらすノロウイルスの抗体を錠剤に加工すれば、トイレの貯水槽などで使えそうだ。

 今後、新型インフルエンザの危険度が高まれば、抗体の需要は爆発的に高まると予想されるが、「ダチョウ抗体の生産能力は、全世界の需要にこたえられる」と、塚本さんは話している。



 凄い!久々の、目の付け所がシャープなニュース。

 身近にあるものを、着眼点を変えて応用することでこんなにも素晴らしい効果を得ることができるとはねぇ。そもそもダチョウが半年で100個も卵を産むことに驚きました。鳥類なんですねぇ、やはり。

 飛べない、でかい、しかし感染症の救世主になってくれそうなダチョウに医療業界の注目は集まりそうです。

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2008年12月07日

大都市での麻疹予防接種率が3,40%と非常に低迷している

はしか予防接種、大都市低迷

 はしか排除を目指して今春から実施している中学1年、高校3年生を対象にしたワクチンの9月末までの接種率が50%前後に低迷していることが2日、厚生労働省の調査で分かった。特に東京や大阪など大都市で接種率が30〜40%と低迷。流行を防ぐ目安となる95%を大幅に下回った。

 中1全体の接種率は、3か月前に実施した調査よりも17・6ポイント多い56・4%。都道府県別にみると、福井県が84%でトップ。しかし、50%に満たないところも7都府県あり、最下位の大阪は44・1%、東京都は47・1%だった。

 高3の接種率は3か月前より18ポイント増えたものの、47・6%と中1よりも低迷。トップは福井県で73%、佐賀県で71・3%だったが、最下位の東京(32・4%)、大阪(33・6%)、神奈川(35・5%)の大都市で、40%を下回った。



 麻疹大国、日本。

 他の先進国からみれば日本は麻疹ウイルスを飼っているようなもんです。またバッシングされるかもしれません。

 子供にはきちんと予防接種させるようにして下さい。自分だけの問題ではなく、周囲に感染させる危険性ももっているのですから。

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2008年11月17日

ソースの2度漬けで、ソース内の細菌は激増する。

食材の「2度漬け」でソース内の細菌数が激増 米研究

 ソースやサルサの器に、一度口をつけたクラッカーなどを「2度漬け」することで、ソース内の細菌数が急増するとの研究結果を、米大学の学生が発表した。まるで「口」そのものをソースにつけている様なものだと、気をつけるよう呼び掛けている。

 クレムソン大学で微生物学を学ぶ学部生が昨年、実験した。ボランティアを募って、小麦クラッカーを使い、複数の「ディップ」を用意。「2度漬け」を3─6回やったディップ内では、細菌数が1万まで増えていた。クラッカーをかじった人の口から、ディップ内へ移った細菌数だという。

 学生を指導したポール・L・ドーソン教授は、「結果に驚いた」と話している。「細菌の移動は、もっと少ないと考えていたのだが。2度漬けで細菌が移るのは、防ぎようがないようだ」と述べている。

 ドーソン教授は、「ソースやディップへの2度漬けは、パーティで出会う人出会う人みんなとキスするようなもの。2度漬けすることで、自分の口の細菌を、ソースに移していることになる」としている。

 学生の研究成果は、今後半年以内に、植物安全関連の学会誌に発表される予定。



 串揚げのソース二度漬け禁止は、理にかなっているのかもしれません。生理的なもんでしょうけど。笑

 でもまあ、細菌なんてそこらへんにいますし、常在菌なら免疫が弱りきっていない限り感染症を起こすことはないので、大丈夫だと思いますけれど。

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2008年11月16日

タミフルの効かないインフルエンザが鳥取で流行中

タミフル効かず、インフルエンザに異変

 国は新型インフルエンザの大流行、いわゆる「パンデミック」が現実となった場合、国内で最大64万人が死亡すると想定、対抗策としてインフルエンザ治療薬「タミフル」の大量備蓄を進めていますが、実は1つ問題が生じています。切り札であるはずのタミフルが、効かないウイルスが全国で見つかっているのです

 今年のインフルエンザは、早くも流行の兆しが出ています。大阪・堺市の東百舌鳥小学校では先月、1クラスが学級閉鎖されました。

 「まだ暑い時期だったので、本当にインフルエンザ?という感じ。30数年教師をやっているが、こういう経験は初めて」(東百舌鳥小学校 今井好隆校長)

 9月下旬、1人の児童がインフルエンザを発症し、2週間後には同じクラスで突然20人が欠席。そのうち10人がインフルエンザと診断され、学級閉鎖となったのです。毎年、学級閉鎖はありますが、こんなに早いのは初めてだと言います。

 「(学級閉鎖は)だいたい12月など寒い時期。2か月とはいかないが、1か月半程は早い感じ」(東百舌鳥小学校 今井好隆校長)

 9月下旬といえば、季節外れの冷たい風が日本列島を覆い、急に冷え込みました。その後また暑くなりましたが、この時期に風邪が大流行。気温が突然下がって、インフルエンザウイルスが活発になった可能性も考えられます。

 インフルエンザ治療薬として知られるタミフル。服用後の異常行動との関係がクローズアップされることが多かった一方で、小児科を中心に現場の医師からは薬としての効果が評価されています。それが・・・

 「鳥取県は30%以上も高かった。理由は分からない。本当に分からない」(国立感染症研究所 氏家誠研究員)

 国立感染症研究所がインフルエンザに感染した患者のウイルスを緊急調査した結果、なんとタミフルが効かないウイルスが増えていることが分かりました

 既に全国9県で確認され、特に鳥取県が30%以上の高い確率で見つかっていて、突出して多かったといいます。

 実はタミフルが効かないウイルスは、昨シーズン世界中で流行していました。最も発生率の高かったノルウェーから、瞬く間にヨーロッパ中に拡大したとみられています。このため、日本にも広がっている可能性が指摘されていました。

 「外から入ってきた可能性も否定できないし、鳥取県の中で新たに耐性株が発生したという可能性も、2つの可能性が考えられる」(国立感染症研究所・インフルエンザウイルス室 小田切孝人室長)

 全国的に見ると、問題のウイルスの発生頻度はまだヨーロッパなどよりははるかに低く、もしタミフルが効かないウイルスに感染したとしても、「リレンザ」などの別の治療薬が有効とされているため、急場をしのぐことはできます。



 前回の流行時のニュースですが、これですね、タミフル耐性インフルエンザが欧米で流行したというのは。

 早々に鳥取県で大流行。んー、全国的に流行するんでしょうか。

 やはりいつになっても、インフルエンザは予防が大事です。これから大流行シーズンですが、気ぃ張っていきましょう。

関連
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2008年11月07日

風邪ウイルスの機序が明らかになる。

風邪ウイルスの作用が明らかに

 普通の風邪の根本的治療につながる新知見が、カナダおよび米国の研究チームにより報告された。普通の風邪は、どこにでも存在するヒトライノウイルス(HRV)が原因だといわれてきたが、実はこのウイルスが鼻水、くしゃみ、咳などの不快な症状を引き起こしているわけではなく、ウイルスによってヒトの体内の遺伝子活性が変化し、それによって症状が引き起こされるのだという。この知見は、米医学誌「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine(呼吸器・クリティカルケア医学)」11月号に掲載された。

 一般的な風邪の30〜50%はHRVが原因であるとされ、喘息などの症状を増悪させることもある。「誰もが風邪には特に害はないと考えており、実際そうなのだが、喘息、気管支炎、肺気腫などの下気道疾患がある人の場合には、風邪のウイルスが急性発作の引き金となり、生命にかかわることもある」と、研究チームの1人、カナダ、カルガリー大学のDavid Proud氏は述べている。

 今回の研究では、35人のボランティアにHRVまたは偽ウイルスのいずれかを注入し、感染前および感染後に鼻上皮から擦過検体を採取した。DNAのマイクロアレイ分析の結果、感染後8時間では遺伝子変化は認められなかったが、2日後には約6,500の遺伝子に変化がみられ、活性が亢進するものもあれば鈍くなるものもあった。ウイルスの存在による影響が特に大きかったのは、気道炎症の一因となる抗ウイルス蛋白および炎症性化学物質を作る遺伝子であったという。また、最も活性の高かった抗ウイルス蛋白viperinの値は細胞内で2倍以上となり、HRVの複製がviperinによって妨げられることも示された。

 「これは、人体がウイルスから身を守るメカニズムとしてこれまで知られていなかった部分である」とProud氏は述べ、この知見が2通りの風邪の治療法につながるとしている。その1つは、症状を引き起こす炎症性遺伝子を特定し、その活性を阻害する方法、もう1つはウイルスとの戦いを助ける鍵となる分子を特定し、その分子の能力を上げたり、外部から補ったりする方法だという。なお、この研究には、米バージニア大学およびP&G社の研究チームが参加している。

 医学誌「Journal of Infectious Diseases(感染症)」11月15日号に掲載された別の研究では、小児の肺感染症による入院の主な原因となる呼吸器合胞体ウイルス(RSV)が、症状が治まった後も体内に残り続けることが判明した。このことが喘息などの慢性気道疾患の原因となるとも考えられ、新しい治療標的となる可能性もあると米テキサス大学サウスウェスタン・メディカルセンター(ダラス)の研究グループは述べている。



 へぇぇー。風邪の特効薬が出来ればノーベル賞、とはよく言われてきましたけれど、この研究も凄いですよね。まさか風邪で遺伝子が変異するとは。

 ウイルスによって症状が起こされていると思いきや、実はウイルスは遺伝子活性を変化させているだけだった、と。面白いなぁこれ。
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2008年10月29日

福岡大病院の医師が結核の徴候がありつつも勤務を続けていた

福岡大病院の医師が結核発病 職員・患者ら検査へ

 福岡大病院(福岡市城南区、内藤正俊院長)は28日、形成外科の40代の男性医師が肺結核を発病したと発表した。医師は昨年9月の健康診断で異常を指摘されたが、精密検査を受けておらず、今年9月の健診でも指摘されたという。院内感染は確認されていないが、同病院は接触の度合いの高かった職員や感染の危険性が高い患者を対象に調べるという。

 医師は昨年の健診で「要精密検査」と指摘され、今年4月ごろからせきなどの症状があったが、受診していなかった。9月の健診で「要治療」と通知があり、受診したところ菌が確認されたため10月1日に入院。現在の状態は安定しているという。

 病院によると、過去3カ月間で医師と接触したのは患者205人、職員294人、学生41人。このうち、接触の機会が多かった職員29人と、乳幼児など感染の危険性が高い患者や職員62人に検査を受けてもらい、陽性の割合が高ければ、さらに対象を広げるという。



 とんでもねえなあ。医療者としてあってはならないことです。

 知らずに結核に感染していて他者に近づいたのならまだしも、要精密検査と出た上に症状まで出ていてこの体たらく。医者のなんとやら、ですな。

 医療従事者が自覚して動かないと、いざ感染が発覚したときに、接触した人全員を検査して被害を最小限に食い止めるということも、出来なくなってしまいます。結核は過去の病気ではありません。未だに感染力・攻撃力を伴った病気なのだということを認知しなければ。

関連:医学処 女性看護師が肺結核に感染したまま4ヶ月間勤務していた。
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2008年10月25日

アフリカで未知のウイルスによる新たな感染症が発生する。

アフリカで新たな感染症

 南アフリカとザンビアで、未知のウイルスが引き起こす新たな感染症が発生し、3人が死亡したことが15日わかった。

 世界保健機関(WHO)は、病原ウイルスは、出血熱などを引き起こすアレナウイルスの仲間の可能性が高いとする予備的調査の結果を発表した。

 WHOなどによると、9月中旬に原因不明の病気で死亡したザンビアのサファリツアー従業員の看護にあたった南アフリカの医療従事者2人が死亡、1人が入院した。症状は、初期に発熱や頭痛、下痢などが見られ、悪化すると数日後に肝機能異常を引き起こして死亡するという。



 どうしてアフリカで、新しいウイルスが出てくるんでしょうか?熱帯だから?生物と密接に関わっているから?

 アレナウイルスというと、あれが有名ですね。ラッサ熱です。

 ラッサ熱は、「ウイルス性出血熱」と定義される疾患で、ウイルス性出血熱には4種類あります。ラッサ熱、マールブルグ病、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱です。ウイルス性出血熱の特徴としては、ウイルスがヒトに感染し、皮膚や内臓に出血を生ずるところにあります。

 症状は、発熱、全身倦怠感を初発症状とし、朝夕に39〜41℃の高熱を呈します。続いて3〜4日目に大関節痛、腰部痛が出現し、頭痛、咳、咽頭痛が大部分の患者でみられます。さらに後胸骨痛、心窩部痛、嘔吐、下痢、腹部痛がよくみられます。重症化すると、顔面、頚部の浮腫、消化管粘膜の出血、脳症、胸膜炎、心嚢炎、腹水、時にショックがみられます。いったん軽快し、2〜3 カ月後に再燃し、心嚢炎や腹水を生ずることも稀にある(1987年に日本へ輸入された例はこの再燃型であった)。

 また、重症例の約1/4にみられる種々の程度の不可逆性の知覚神経性ろうが最近注目されているそうです。妊婦の重症化はよくみられ、胎内死亡、流早産をおこす、と。

 日本では起こりにくいラッサ熱ですが、今回発生したウイルスが、感染力の強いものだとしたら?疾患の把握と、対処法の構築、そして、予防が重要です。

 ラッサウイルスは1本鎖RNAとエンベロープを持ち、アレナウイルス科に属する。このウイルスはアフリカにしか存在しないが、ヒトに病気を起こすアレナウイルス科のウイルスには他に、マチュポ(ボリビア出血熱)、フニン(アルゼンチン出血熱)、グアナリト(ベネズエラ出血熱)、サビア(ブラジル出血熱)の4種が知られており、いずれも南米に存在する。

 その他世界中に存在するものとしてLCM (lymphocytic choriomeningitis virus)が知られている。いずれも野ネズミが自然界の宿主であるが、前4者はレベル4に属し、ウイルスを増殖させるためには最高度安全実験施設(いわゆるP4実験室)が必要となる。


参考:感染症

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2008年10月23日

女性看護師が肺結核に感染したまま4ヶ月間勤務していた。

埼玉県立小児医療センターで、女性看護師が肺結核に感染したまま勤務

 埼玉県立小児医療センターで、女性看護師が肺結核に感染したままおよそ4か月間、勤務していたことが分かりました。

 埼玉県によりますと、肺結核に感染したまま勤務していたのは、埼玉県立小児医療センターの20代の女性看護師で今年6月ごろ、体調を崩したため複数の医療機関で診察を受けた結果、先月、肺結核と診断されたということです。

 この看護師は、肺結核と診断されるまでのおよそ4か月の間、0歳から6歳までの子供が入院する病棟で勤務していました。

 保健所と医療センターは、この看護師が接触した可能性のある患者や患者の家族426人と職員40人の検診を行う方針です。



 麻疹、水痘、結核は「空気感染」です。病原性を保ったままの粒子が空気中を浮遊し、他者に感染します。

 病院だと、結核患者から医療従事者が感染することも、稀にあります。ですので、排菌のある結核患者と接する時には、最強のマスクである「N95マスク」を着用して、感染予防を行う必要があります。

 ですが、結核であると診断されていなかった患者と接していた場合、もうこれはしょうがないです。感染している可能性を考慮して、今回のように「接触した可能性のある人」を検診する必要があります。

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2008年10月19日

ペットボトルのフタを回収してポリオワクチンを送れる?

エコキャップで地球と子どもに愛を

 ペットボトルのふたをリサイクル業者に売った収益で世界の子どもたちにワクチンを贈る運動に、葛城青年会議所(大和高田市)が取り組んでいる。小中学校や事業所などが協力し、今月末までに約20万個が集まる見込みだ。

 地域に根ざした活動をと考えていた会議所の西村俊伸理事(40)が、インターネットで運動を知ったのがきっかけ。7月、同市や葛城市、御所市、香芝市、広陵町の小中学校や事業所など約150カ所に回収箱を設置。今月末まで実施し、約20万個のふたを回収できる見込みという。

 ふたは会議所メンバーがゴミを取り去り、シールをはがして洗濯機で洗った後、会議所OBの運送会社が京都府城陽市のリサイクル業者に届ける。400個につき10円が、NPO法人「エコキャップ推進協会」(横浜市)を通してワクチン寄贈団体に贈られる。20円(800個分)で子ども1人分のポリオワクチンが購入できるという。

 葛城市南道穂の市立新庄小学校は、今月初めまでに約2万8千個のふたを集めた。当初、先生は「児童らが興味を持つだろうか」と心配したが、児童は通学路で捨てられたふたを拾い集めたり、親の事業所から大量にもらってきたり、積極的に取り組んだ。6年の唐川唯人君(11)は「世界には病院にも行けない子どもがいると知ってかわいそうと思っていた。ふたを集めるだけで助かるならうれしい」と話す。

 西村理事は「老若男女、誰でも気軽に参加できる。とりあえず期間は10月末までにしたが、予想以上に反響があるので来年度も検討したい」と話している。



 この運動、私の近くでもやってましたけれど、全国的な活動だったんですね。調べて見ると学校だけでなく会社などでもやられているようです。

 私がこの運動を目にした時に、「分別のためだとしたら、ペットボトルのキャップを開けた時に残る残骸も同じ素材なわけだから、外さないといけないんじゃないのか」とか色々不思議に思ったものです。

 この記事で、キャップ400個で10円と知りました。ちょっとまって、絶対輸送費のほうが高い

 いや、エコのためにやってるんですから、例えばペットボトル買うのを我慢して150円寄付したほうがマシという意見が的外れなのは分かります。ですが輸送費のほうが高いというのはちょっと問題なのでは?何というか、活動の意味がまるでない。1人1人の善意を、各団体が輸送量を払うことで有耶無耶にしているだけではないでしょうか。

 別のアプローチとしては、ペットボトルの蓋をとってリサイクル率が向上したのなら、各ペットボトルメーカーがその分を寄付すれば良い。キャップを外すことの最大の目的である「エコ」はそこですからね。(むしろペットボトルの蓋は回収のために当然外すべきで、それを認知させるための運動としてこういった赤字募金をやっているのだったら、それこそメーカー側が寄付金を払ってもいいような気もするし、輸送費を持ってもいい気がするのですが)

 エコキャップ推進協会にキャップを送った市民団体に話しを聞いてみました。

 すると16800個集まったキャップは重さにして40キロ、2回に分けてゆうパックで送ったそうです。その送料が4000円。宅配業者の中で一番安かったそうです。キャップを換金しても420円。梱包のためにビニール袋や段ボールが必要で輸送のために二酸化炭素も排出。となると全然エコでもなく、ワクチン代より輸送費の方が高くつくという活動です。


 あれを思い出しますね、ホワイトバンド詐欺。

(追記)ポリオワクチンというと、ドラえもん募金が有名です。電話をかけるだけで、何百円か寄付される。より現実的にワクチンを送り届けられます。
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1908年チンパンジーを撲殺した時に飛翔した血液からHIV初感染

エイズウィルスの発生起源は1908年前後、米研究者が研究発表

 遺伝子サンプルを用いた追跡調査によりエイズウィルスの発生起源は1884年から1924年(中心点は1908年)に遡ることができることが1日、米アリゾナ大学の研究者が科学雑誌「ネイチャー」に発表した論文により明らかとなった。

 この研究発表を行ったのはアリゾナ大学のマイケル・ウォロビー(Michael Worobey)博士を中心とする研究グループ。

 エイズは1980年代に入ってから公式に感染が認められたもので、これまでの研究ではウィルスの起源は1930年代頃と考えられていた。

 研究グループはエイズウィルスの遺伝子サンプルの追跡調査に加えて、エイズに似た症状の発症例を文献調査を行う行うことで、エイズは恐らく、1908年頃にアフリカの原住民がチンパンジーを撲殺した際に、飛翔した血液によって人間に感染したのではないかということを突き止めた

 研究グループによると、現在のエイズの症状に近い発症例としては1959年にアフリカのコンゴ民主共和国の首都なるキンシャサ市で死亡例が最初で、その後は同じく1960年にキンシャサ市で死亡例が見つかったとしている。

 その上で、研究グループでは最初はチンパンジーだけに認められていたウィルスが、1908年前後に人間に伝播、その後、このウィルスは突然変異を繰り返しながらアフリカの都市部で売春婦などを通して多数の人間に伝わったことが、今日に至る、エイズウィルスの蔓延の原因となったと論じている。



 そんなところまで分かっちゃうのかー。やっぱり文献は残しておくべきですな。

 しかし情報の氾濫している今の時代を100年後の世界が見たら、何が正しいんだか分からなくなるかもしれませぬ。

 ある日、チンパンジーから飛んだ血液が、100年経っても根治法の見つからない、世界中で蔓延するウイルスになろうとはねぇ。

 例えばなんかそこらへんの犬や猫から、人間に感染するはずのないウイルスが突然変異していて、人間に誤ってかかってしまったとして、そこからアウトブレイクが始まる危険性もなきにしもあらず、なわけですよね。いくら医学が発達しても終わることのないいたちごっこになるのかもしれません。

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