2006年07月27日

採血時に混入した黄色ブドウ球菌で敗血症を来たし死亡

輸血血液に黄色ブドウ球菌混入、男性死亡

 今年5月、黄色ブドウ球菌が混入した血小板製剤を輸血された70代の男性が、敗血症で死亡していたことが25日、日本赤十字社の調査で分かった。日赤によると、採血した際に供血者の皮膚などに付着していた菌が偶然に針などから混入し、輸血までに増殖したとみられる。厚生労働省によると、血液製剤に黄色ブドウ球菌が混入したことによる死亡例は国内では初めて。同省は特異なケースとみているが、日赤に再発防止を指示した。

 日赤によると、男性は5月1日、血液疾患などの治療で血小板製剤の輸血を受けた後、間もなく発熱などの症状を起こし、敗血症とみられる症状で翌日死亡した。男性の血液と残っていた製剤などから黄色ブドウ球菌が検出され、遺伝子の型も一致したという。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 確かに採血の際に菌が混入する可能性はありますが、まさか本当に起こることだとは。実際国内では初めてのケースだったようです。

 難しいようですが再発防止を心がけるしかないですね。


posted by さじ at 23:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年07月26日

豪雨による湿気で菌が増殖し、ビブリオ感染症で死亡

記録的豪雨で菌増殖か=ビブリオ感染症で男性死亡−熊本

 熊本県の70代男性が今月、ビブリオ・バルニフィカス感染症で死亡していたことが25日、分かった。

 食べた魚介類が原因とみられ、県内ではほかにも数人が感染しているという。医療関係者らは、記録的な豪雨などが原因で海中のビブリオ科の細菌が増殖した可能性を指摘。注意を呼び掛けている。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 有名な「腸炎ビブリオ」とは親戚のようなものです。ビブリオ・バルニフィカスは2〜3%の濃さの塩分を好み、海岸の近くの海水中や海水と淡水が混じりあうような場所に住んでいて、海水の水温が15℃以上になると増えます。また、この菌は海水中や海の底に生きている魚や動物性のプランクトン、それに貝類、カニなどの節足動物に付着しています。

 普通の状態ならば感染することはありませんが、免疫機能が弱い人や、肝硬変、肝臓がんなどの肝臓の疾患のある人、鉄欠乏貧血などで鉄剤を内服している人はハイリスクグループです。さらには、糖尿病の人、アルコールを大量に飲む人、喘息などの治療で使うステロイド薬剤を使用している人なども注意が必要です。

posted by さじ at 23:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

インフルエンザと自殺の増加で日本人の平均寿命が短くなる

日本人の平均寿命やや短く インフルエンザ流行で

 05年の日本人の平均寿命は女性が85.49歳、男性が78.53歳で、前年より女性が0.10歳、男性が0.11歳下回ったことが25日、厚生労働省がまとめた05年の簡易生命表で分かった。

 前年を下回ったのは99年以来6年ぶり。厚労省によると、インフルエンザの流行で発病した高齢者肺炎を併発したり、心臓病など持病を悪化させたりして死亡するケースが増えたのが主な原因で、自殺の増加も影響しているという。ただ、インフルエンザの流行などがない年は男女とも平均寿命は延びており、今後も寿命が延びる傾向は続くと見られる。

 厚労省が把握している各国の最新データと比較すると、女性の平均寿命は21年連続の世界一だったが、男性は04年の2位から4位となった。日本よりも男性の平均寿命が長いのは香港(04年で79.0歳)、アイスランド(01〜05年で78.9歳)、スイス(04年で78.6歳)。

 日本の場合、がん、心臓病、脳卒中の三大疾患で死亡する確率は、男性が56.3%、女性は54.2%。三大疾患が克服されれば、男性の平均寿命は8.49年、女性の平均寿命は7.68年延びる見込みという。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

関連:医学処 季節外れのインフルエンザが全国で大流行中
posted by さじ at 14:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年07月24日

沖縄県で犬ブルセラ症。人へも感染するので注意が必要

県内でも犬ブルセラ症確認 注意呼びかけ

 23日に那覇市の自治会館で開かれた第37回県獣医学会(主催・県獣医師会)で、家畜衛生試験場の又吉正直主任研究員(獣医学博士)が、県内で初めて犬ブルセラ症が確認されたことを発表した。2005年10月から06年1月にかけて、少なくともプードル、パピヨン、ヨーキー、チワワの八頭の犬ブルセラ症が確認されている。外国では殺処分される事例も多いという。又吉主任研究員は「人への感染で重症になった例はなく、神経質になることはないが、獣医師にも疾病を念頭に置いて検査してほしい」と訴えた。

 犬ブルセラ症は、細菌性の人獣共通の感染症。1962年にアメリカで初めて確認されて以来、南米やヨーロッパなど世界各地で確認されている。国内では、1972年と03年に静岡県で発生した。県内では中部の犬繁殖施設で、今回初めて確認された。

 流産した犬から娩出された胎児で薬剤感受性検査や抗体検査なども実施され、又吉主任研究員のほかに、県家畜衛生試験所の屋富祖昇さん、高木和香子さん、くどう動物病院の工藤俊一さんも調査に携わった。

 犬ブルセラ症の症状としては、妊娠45日から50日での流産や不妊、睾丸炎などがある。交配のほかに尿やペット同士で鼻をこすり合っても感染するという。県内で犬ブルセラ症が確認された犬は現在、治療が順調に進んでいるというが、又吉主任研究員によると「諸外国の例から言っても犬ブルセラ症に100%効果のある治療法がない。治療でよくなるが、場合によっては再発する可能性があるため、感染が見つかった場合、殺処分をすることが多い」と話した。

 今回確認された犬ブルセラ症の感染の原因については、菌の汚染を受けた県外の雄犬からの交配による可能性が考えられると推測されている。又吉主任研究員は「インターネットで犬を他府県から気軽に買える時代になった」と話し「一回の流産でも症状が出たら動物病院で検査してほしい」と注意を呼び掛けた。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 ブルセラというと十数年前に流行ったアレを思い浮かべる人がいるかもしれませんが、ここでいうブルセラとは、菌の属称です。注目すべき点は、犬から人に感染するというところでしょう。

 人への感染経路としては接触、もしくはその菌を飛沫で体内に取り込んでしまった場合など。ブルセラ属菌は、あらゆる臓器に感染を起こし、その症状に特異的なものはなく、発熱、発汗、疲労、体重減少、うつ状態などの症状がみられます。典型的な場合、発熱の経過が特徴的で波状熱を呈し、身体所見では、発熱(数週間〜数か月続くことがある)、リンパ節腫脹、肝脾腫大がみられます。

 犬を飼っている方、ブルセラ症にご注意を。

ブルセラ症の臓器別症状の特徴

○骨・関節系:腸骨座骨関節炎、膝及び肘関節炎、椎間板炎、骨髄炎、滑液包炎
○消化器系:悪心、嘔吐、体重減少など
○呼吸器系:極めてまれに咳、労作呼吸困難がみられる。
○泌尿器系:精巣炎など
○神経系 :うつ状態、髄膜炎など、頻度は2%程度
○心血管系:心内膜炎など、頻度は2%程度

参考:ブルセラ症
posted by さじ at 23:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年07月19日

O-157の恐怖。京都で4歳児が死亡。

O157:4歳女児が死亡 京都

 京都府山城北保健所(宇治市)は18日、管内の4歳女児が、病原性大腸菌O157のため死亡したと発表した。府によると、8日に39.5度の高熱が出て下痢も伴ったため12日に入院、14日にO157が検出された。溶血性尿毒症症候群を発症し17日夜に死亡した。

 女児は父母と3人暮らし。父母に症状は出ておらず、母の病気で預けられていた親せき宅にも発症者はいない。女児は通っている保育所を6月下旬から欠席していた。同保健所は「潜伏期間(2日〜1週間)からみると集団感染の可能性は極めて低い。感染ルートは調査中」としている。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 溶血性尿毒症症候群は血小板数が突然減少し、赤血球が破壊されて腎臓が働かなくなる病気です。O-157に感染後、発症してきて、しばしば重篤になる場合もあります。大半は自然に治りますが、今回のように死亡してしまう場合も。大腸菌が作る毒素によって赤血球や腎臓がヤラれてしまうために起こるとされています。

参考:メルクマニュアル

関連:医学処 O-157の恐怖、再び
   医学処 O-157集団食中毒の慰霊モニュメント、作ったはいいけど廃棄処分に
posted by さじ at 02:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年07月13日

副作用の少ない新しいタイプの抗HIV剤を開発

副作用少ない抗HIV剤

 細胞に感染したウイルスが増殖する際、従来の薬とは違う過程でその働きをブロックする新しいタイプの抗ウイルス剤を、東京医科歯科大、国立感染症研究所、岐阜大などの研究チームが開発した。

 エイズウイルス(HIV)のほか、SARSウイルスやサイトメガロウイルスなどで効果が確認できた。従来の薬と比べ副作用が少なく、理論的には耐性ウイルスも出現しにくいといい、感染症の新たな治療に道を開くと期待される。11日の米国科学アカデミー紀要電子版に発表する。

 HIVは、1本のRNA(リボ核酸)から複数のたんぱく質を作って増殖する。研究チームは、増殖を制御する特殊な酵素に着目し、その働きを阻害する物質を合成。HIVに感染した細胞で試したところ、ウイルスが3分の1以下に減った。

 HIVの場合、細胞への感染から「逆転写」や「たんぱく質の分解」といった複雑なステップを踏んで増殖する。従来の治療薬はこうした過程を邪魔していたが、薬としての副作用が強かった。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 良い機会ですので、上の2つの薬の機序を説明しておきますか。まず、DNAが増殖するとはどういうことなのか。DNAが増殖するには、まず元となるDNAを「鋳型」として、mRNAを作ります。このmRNAからDNAを作るわけですが、DNAからmRNAを合成する過程を「転写」といいます。つまり鋳型のコピー情報を作ることですね。

 で、ですね。元来この転写というのは「DNAからRNAへ」の一方方向のみだと思われていたわけです(フランシス・クリックという偉い人が「セントラルドグマ」として提唱したのがそれです)。ところが、実はRNAからDNAへも出来たんです。このことを「逆転写」と呼びます。

 さてHIVに戻ります。HIVは、RNA型のウイルスです。逆転写してDNAを作り出したい!そこで用いられるのが「逆転写酵素」です。逆転写酵素の存在により、HIVは増殖することができるのです。

 では逆転写酵素にくっついて活性を阻害して逆転写起きないようにしてやればええやん?ということで作られたのが「逆転写酵素阻害薬」です。デラビルジン、ネビラピンなどがあります。

 ではプロテアーゼ阻害薬とは?HIVのウイルスが合成される時、ウイルス単体が大量に作られるわけではありません。まず、連なった大きなタンパク質が合成されます。それを、プロテアーゼと呼ばれる酵素によって切断してやることが必須となってくるのです。じゃあプロテアーゼを阻害してやればええやん?ということで作られたのが「プロテアーゼ阻害薬」です。

 従来の治療法では、この2つを組み合わせるカクテル療法が良い効果を上げていました。今回のコレは、プロテアーゼ阻害薬や逆転写酵素阻害薬とは違った形の薬ということでしょう。更に向上する治療法になるであろうことを願って。
posted by さじ at 23:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

O-157集団食中毒の慰霊モニュメント、作ったはいいけど廃棄処分に

集団食中毒の慰霊碑処分 堺市、遺族の了解得られず

 1996年夏に堺市で起きた病原性大腸菌O157による集団食中毒で、死亡した女児3人の慰霊のモニュメントを堺市が制作したが、遺族の了解が得られずに昨年末、廃棄処分にしていたことが12日分かった。

 モニュメントは「慰霊と誓いの碑」と名付け、追悼や再発防止の決意を刻んだ碑と、女の子3人の像を組み合わせたデザイン。地元の医師会などの要望で制作し、99年7月にほぼ完成した。費用は970万円

 市によると、2遺族はデザインや市内にある府立大型児童館の敷地に設置することに同意。1遺族は明確な同意はなかったが、市は制作に踏み切った。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 同意なしに作っちゃったのか、堺市。しかも970万円をドブに捨てるなんて。税金じゃなきゃこんな無駄なことできませんな。それだけの費用あるなら対策ポスター代とかにまわせばいいのに。。
posted by さじ at 22:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年07月11日

蚊に刺されにくい人の身体から出ているにおいで虫除け剤を作る

「人間香水」で強力虫よけ 英研究者らが開発

 蚊に刺されにくい人の体から放出される「におい」の成分を突き止め、これを利用して蚊を撃退する研究に、英ローザムステッド研究所とアバディーン大学の共同チームが取り組んでいる。約2年後には、強力な虫よけ剤が発売される見通しだという。

 蚊は人間のにおいを感知して集まってくると言われるが、刺されやすさには個人差がある。同研究所のジョン・ピケット教授によると、「刺されにくい人は蚊の嫌うにおいを発している。これが通常のにおいを覆い隠し、蚊は『刺す相手として適していない』と判断するのだ」という。

 研究チームでは、人間のにおいの成分を分離し、蚊の触角の反応を調べる実験を繰り返して、「蚊の嫌う成分」を特定。近く科学専門誌に成果を発表する。さらに、この成分が虫刺されを防ぐ効果を、既存の虫よけ剤と比較する研究も実施。チームによれば、すでにほかの薬品をはるかにしのぐ効果が確認されているという。「かなり強力なので、皮膚に塗らずにシャツのそで口やズボンにつけるだけで蚊を寄せ付けないはずだ」と、ピケット教授は語る。

 虫よけの効果が確認されれば、マラリアやデング熱、黄熱病など、蚊が媒介する伝染病の予防に大きく貢献することになる。また、チームでは蚊だけでなく、ダニなどの害虫についても、同様の研究を進めているという。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 刺されやすい人、刺されにくい人は確かに存在しますね。この虫除け剤が無香料なものになったら、かなり売れそうです。熱帯地方への貢献度も相当なものになるでしょう。蚊が媒介する病気って結構ありますから。
posted by さじ at 03:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

生卵を食べ、サルモネラ菌による食中毒で女児死亡

サルモネラ菌で女児死亡、生卵が原因か

 大阪府東大阪市は10日、同市に住む小学4年生の女児(9)がサルモネラ菌による食中毒で死亡した、と発表した。

 市によると、女児は4月8日午前、下痢や腹痛の症状が出て大阪市内の病院に入院。意識不明の状態が続いていたが7月9日に死亡した。

 女児は発症前夜に生卵を食べており、市は「疑わしいが、断定はできない」としている。女児の妹からもサルモネラ菌が検出されたが、既に回復したという。

 サルモネラ菌による死者は、昨年8月、鹿児島県の男性が死亡したケース以来。また96年以降、子供の死者は4人目という。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 サルモネラ

 主な症状は、嘔吐、水様性下痢などの消化器症状、発熱(高熱)などで、抵抗力のない者は菌血症を起こし重症化することがある。まれに内毒素によるエンドトキシンショックで死亡することがある。

 鶏卵のサルモネラ汚染は、かつてはニワトリの消化管内に寄生したサルモネラが総排泄腔で卵殻の外側を汚染するためと考えられた。そのため、汚染防止には鶏卵の洗浄が有効とされた。しかし、今日ではこうした卵殻の外側からの汚染のみではなく、S. Enteritidisなどがニワトリの卵巣や卵管に寄生し、ここから鶏卵の卵細胞そのもの、つまり卵黄の部分に細胞内寄生したり、その外側の卵白などが保菌することによって鶏卵を汚染していることも知られるようになった。
posted by さじ at 00:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年07月08日

プール熱、手足口病、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎などの夏の感染症

プール熱、手足口病… 夏の感染症流行

 都感染症対策課は六日、咽頭結膜熱(プール熱)や手足口病など、夏に流行する感染症が例年より増加傾向にあるとして、手洗いやうがいの励行、タオルの共用を避けること、水泳の前後にシャワーを浴びることなどを呼びかけた。

 プール熱は発熱やのどの痛み、結膜炎などの症状がある。

 今年は国立感染症研究所が大流行の恐れを指摘。都内百四十二カ所の小児科医療機関の平均患者発生数は、六月二十六日−七月二日に一・五六人で、過去十年で最多のペースだという。

 突然発熱し口の中に水疱ができるヘルパンギーナや、手のひらや足の裏に水疱ができる手足口病も例年、七月に流行のピークを迎える感染症で、すでに流行が始まっている。

 このほか一年を通じて発生し、高熱やのどの痛みなどの症状があるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎が例年より高い水準で発生しており、同課は注意を呼びかけている。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 きましたね。大流行です。手足口病だけ、聞いたことないなぁと思う方が多いと思われます。手足口病は、コクサッキーウイルスA16やエンテロウイルス71によって引き起こされる感染症で、手足口病の名のとおり、手や足や口に水泡のような発疹が出来ます。対症療法しかないので予防を心がけましょう。感染者の鼻、喉、肛門からの分泌物内に含まれるウイルスが経口・飛沫・接触によって体内に入り込まないようにすればOKです。

関連:医学処 プール熱(咽頭結膜熱)大流行。高熱や喉の痛みにご注意

 医学処(いがくどころって読みます)の記念すべき最初の記事が、A群溶血性レンサ球菌に関するものでした。医師の指示どおりに薬を飲むことが重要ですので注意して下さい。

関連:医学処 A群溶血性連鎖球菌咽頭炎が急増
posted by さじ at 02:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年07月06日

鳥インフルエンザの恐怖。インドネシアの死亡者が40人に

インドネシアの鳥インフルエンザによる死者、40人に

 インドネシア保健省は4日、東ジャワ州で6月中旬に死亡した5歳の男児が、毒性の強い鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染していたことが世界保健機関(WHO)の検査で確認されたと発表した。

 同国での鳥インフルエンザによる死者は合計40人となった。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 前回の記事はこちら

鳥インフルエンザの恐怖。インドネシアでは既に35人死亡

 およそ一ヶ月で5人が死亡。このまま少数で留まれば良いのですが…。
posted by さじ at 01:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年07月04日

MRSAの詳細な構造を解明。新薬開発へ期待

院内感染の原因菌・MRSA 酵素の立体構造解析 北大グループ

 北大大学院先端生命科学研究院の田中勲教授(57)=構造生物学=のグループが、院内感染の原因菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が持つ酵素の立体構造の解析に成功した。この酵素の働きを抑える研究が進めば、MRSAの治療に有効な薬の開発につながる。研究成果は三十日発行の米科学誌「サイエンス」に掲載される。

 グループが解析した酵素は、「Gat(ガット)CAB」というタンパク質複合体。MRSAを形作る数千種類のタンパク質を合成するのに必要不可欠な酵素の一つだ。

 田中教授らは、この酵素を構成する「GatA」「GatB」という二種類の酵素がどのように結合しているかを解明。二つの酵素の間にトンネルのような機構が存在し、その中に、タンパク質をつくるのに重要な役割を果たすアンモニアの浪費を防ぐ栓のような仕組みがあることなど、詳細な構造を突き止めた。

 MRSAは近年、特効薬とされる抗生物質も効かない耐性菌の報告例もあることから、田中教授は「この酵素の働きを抑える化合物の開発が進み、MRSAに効く新薬開発につながれば」と期待している。

 筑波大大学院人間総合科学研究科の太田敏子教授(分子微生物学)は「MRSAの生存のしくみを明らかにする糸口となり、これを征圧する薬をデザインできるようになる」と評価している。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 MRSAは病院の天敵みたいなものです。こいつがいなければどれだけ死者を減らせることか。田中教授に期待しましょう。

参考:MRSA裁判
posted by さじ at 22:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年06月23日

埼玉医大で多剤耐性緑膿菌の集団感染。100人中6人が死亡

埼玉医大 新細菌感染6人死亡

 埼玉県毛呂山町の埼玉医科大学病院で、2年間に入院患者100人余りが抗生物質の効かない新しいタイプの細菌「多剤耐性緑膿菌」に感染し、6人が死亡していたことがわかり、厚生労働省は院内感染の疑いもあるとみて調査に乗り出しました

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 多剤耐性緑膿菌の集団感染か。。免疫力が落ちている以上仕方ないといえば仕方ないのですが。。。

 下記記事にもあるような、「ヤバい緑膿菌」でないことを祈ります

関連:医学処 多剤耐性緑膿菌の院内感染の原因は、トイレのブラシだった
posted by さじ at 00:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年06月21日

E型肝炎ウイルスを使った経口ワクチンを開発

ウイルス使い経口ワクチン 三重大助教授が新手法

 三重大の保富康宏助教授(生体防御医学)は21日までに、遺伝子組み換え技術を用いてE型肝炎ウイルス(HEV)の無毒化した外殻だけを大量に作り、この中にインフルエンザなど別の感染症のワクチンを入れることに成功した。

 予防接種は皮下注射が一般的だが、口から入って小腸の粘膜に直接働き掛けるHEVの性質を利用したこの手法だと、経口ワクチンへの応用が可能。安全性が確認できれば、医師や設備が不足する途上国の感染症予防への貢献が期待される。

 保富助教授は、遺伝子を組み換えて作ったHEVの外殻の粒子を、ワクチンの中でばらばらにして固め直す方法で、直径20−30ナノメートル(1ナノは10億分の1)の外殻内部にワクチンの分子を取り込むことに成功。インフルエンザワクチンと実験用のエイズワクチンで試し、マウスに飲ませて抗体が増加するなどの効果を確認した。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 これ凄いですね。E型肝炎ウイルスはブタや汚染された水などから経口感染しますが、そのプロセスを逆手に取り、利用してしまおうというこの研究。人類は転んでもタダでは起きません。
posted by さじ at 22:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

C型肝炎訴訟、原告側が勝訴!

C型肝炎訴訟、国・製薬会社に賠償命令…大阪地裁

 出産時の止血剤として血液製剤「フィブリノゲン」などを投与され、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染したとして、主婦ら13人が、国と製薬会社「三菱ウェルファーマ」(大阪市、旧ミドリ十字)など2社を相手に、損害賠償を求めた「薬害肝炎大阪訴訟」の判決が21日午後、大阪地裁であった。

 中本敏嗣裁判長は、国や企業の過失責任を認め、原告13人のうち9人に計2億5630万円の支払いを命じた。全国5地裁で係争中の集団訴訟で初の判決は、他の訴訟に影響を与える一方、約150万人に上るC型肝炎患者の救済を求める声はさらに強まりそうだ。

 原告らは、81〜88年にフィブリノゲンなどを投与された。このため、1人当たり6600万〜3300万円、総額7億5900万円の賠償を求めていた。

 訴訟は、〈1〉フィブリノゲンは、感染の危険性を上回る有効性があったか〈2〉危険性は予見可能だったか〈3〉国はどの時点で規制すべきだったか――などが争点となっていた。

 国は1964年、旧ミドリ十字の製剤製造を承認したが、国内外で数千人〜2万人の売血をプールした血漿が原料で、ウイルスを弱める不活化処理も不十分だったため、混入したHCVが製剤の投与で感染。

 87年には青森県の産科医院で大量感染が発覚し、同社は同年4月、非加熱製剤を自主回収したが、新たに承認を受けた加熱製剤でも感染者が続出し、同社推計で、少なくとも80年以降に約1万人が感染した。

 原告側は、製造承認時点で、感染の危険性はすでに知られていたとし、「治験などの客観的なデータが不足し、そもそも産科などでの大出血に対する有効性はなく、先天的な血漿疾患以外にも適応を承認したのは違法」と主張。

 77年にはアメリカで製剤の承認が取り消され、さらに、遅くとも82年までにC型肝炎が肝硬変、肝がんに悪化すると実証されたにもかかわらず、「国は、88年6月に緊急安全性情報が出されるまで、製剤の適応承認を見直さないなど危険性を放置した」と訴えた。

 一方、被告側は、多くの産婦を失血死の危機から救ってきたと強調。「国内外で有効性が認められ、専門家が当時の科学的知見に基づき製造承認した。88年のHCVの発見まで、C型肝炎は一過性の疾患と考えられており、重篤な病に移行するとの認識はなかった」などと反論していた。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 まあ日本は認可取り消しが遅いですからね。本当にフィブリノゲンが効果ないのかどうかもあやふやなままですし(風邪薬を飲んだら治った気がするようなものかもしれません)。その場合医療側としては「使わないで死んでしまったら」と考えてもおかしくありませんよね。

 国としても、まさかC型肝炎がこんなことになるとは思っていなかったために対応が遅れたのでしょう。もし麻疹ウイルスや風疹ウイルスが何十年も継続して害を及ぼすようなものだとしたら、ワクチンを任意接種にした国は何十年後かに訴えられる可能性があるわけです。そういう意味で危険性を予見する分、国側は重大な責任をもっていると思います。

 しかし優先すべきは人であり国民であり患者であるわけです。少しでもリスクがあるのならもみ消さずに緊急宣言を出しておくべきだった。時代が時代だったこともあり、インフォームドコンセントがあまり行われていなかったため、このような悲劇が起こってしまったと思いますが、繰り返さないためにも、医療者(厚生労働省)は患者優先であるという意識を再度持たなければいけないと思います。

参考:
薬害肝炎・大阪訴訟、21日に地裁判決
薬害肝炎 大阪訴訟結審…6月21日判決
薬害を問う C型肝炎大阪訴訟(上)「25年でがんに」 “死の恐怖”と闘い
薬害を問う C型肝炎大阪訴訟(中)「人生狂わされた」
薬害を問う C型肝炎大阪訴訟(下)「多くが泣き寝入り」
posted by さじ at 21:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年06月19日

O-157の恐怖、再び

O157感染、女性死亡=動物から感染か−秋田

 腸管出血性大腸菌O-157に感染し、先月から入院していた秋田県横手市の70代の女性が死亡していたことが19日、分かった。直接の死因は不明だが、県健康推進課は「動物に接触し経口感染した患者から感染した可能性もある」としている。

 同課によると、県内では17日までに腸管出血性大腸菌の感染者が42人出ており、うち十数人は、横手市の「秋田ふるさと村」で先月開かれた動物と触れ合うイベントの参加者だった。家族らが参加した人も含めると38人に上るという。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 動物からの感染か。まぁ何にせよ手洗いうがいをきっちりとしましょう。
posted by さじ at 23:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年06月13日

季節外れのインフルエンザが全国で大流行中

中南部の2校で新たに学級閉鎖 インフルエンザ拡大傾向

 流行注意報が8日に発令されたインフルエンザについて、新たに南部地区の1中学校1学級で12日に学級閉鎖が出るなど、流行が拡大傾向を見せている。沖縄市でも新たに1中学校1学級で学級閉鎖があった。インフルエンザによる学級閉鎖は5月以降、那覇市と沖縄市に加え、南部地域にも広がった。

 12日に学級閉鎖が出た南部地区の1中学校では全生徒数501人中、インフルエンザと診断された生徒が5人で、インフルエンザの疑いがある高熱による欠席が26人、午前中の早退者が25人だったという。
 南部地区の別の中学校でも学級閉鎖には至らないものの、5月22日以降、多い時で全校生徒393人中22人がインフルエンザの症状で欠席しており「流行が長引いている」という。同校では、熱がある場合は早期の帰宅と受診を呼び掛けるなど注意を促している。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 全国的に大流行中のインフルエンザです。ご注意を。かくいう私も昨日38.9度という高熱と悪寒、そして喉の痛みが。インフルエンザなのか咽頭結膜炎なのか扁桃炎なのか判断つかないところですが、安静にして、水分沢山取るのが一番です。

関連:インフルエンザ:滝沢村、奥州など学級・学年閉鎖 /岩手
   インフルエンザ:玄洋中が休校に /福岡
posted by さじ at 16:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年05月29日

ノロウイルスが何故カキに蓄積されるのかを探る

当たらない生ガキ育てる…「ノロウイルス」実態解明へ

 農水省は、生ガキによる食中毒の主因となる病原体「ノロウイルス」がカキに蓄積される経路の解明に乗り出すことを決めた。調査結果を基に、危険度の予測法や汚染防止策を確立し、「当たらない生ガキ」の実現を目指す。

 ノロウイルスは人間の腸管で増殖、下水で海に運ばれ、プランクトンなどを経由してカキの体内に入ると考えられているが、詳しい実態は分かっていない。

 下水からウイルスが検出された際などに、河口付近に浮かぶ養殖施設を移動させて汚染を回避するといった対策が可能かを検討する。さらに、養殖地周辺の患者発生状況、降雨などの気象、海水温、潮流など、ウイルス汚染との関連が考えられる要素を調査。汚染が起きる前に危険度を予測する手法を確立する。

 出荷前に水槽で浄化する手法の研究も進め、従来よりもウイルスの危険を減らした生ガキの実現を目指す。

 ノロウイルスは激しい下痢や腹痛を起こし、年1万人前後の患者が発生している。ウイルスが付いた手で調理した食品でも感染するが、生食することの多いカキが主原因。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 いつの日か、カキを安全に食べられるときが来るかもしれません。天気予報みたいにスーパーで表示されたりして。「宮城産生カキ、5%!」みたいに。

 それもヤだな。

関連:90歳代の男性がノロウイルスの集団感染で死亡
posted by さじ at 01:43 | Comment(1) | TrackBack(0) | 感染

鳥インフルエンザの恐怖。インドネシアでは既に35人死亡

鳥インフルエンザ、インドネシアの死者35人に

 インドネシア保健省は28日、ジャカルタで今月中旬に死亡した29歳の男性が、毒性の強い鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染していたことが世界保健機関(WHO)の検査で確認されたと発表した。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 このまま収束するとは思えませんが…なんとか今のうちに治療方法を見つけておきたいところです。
posted by さじ at 00:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染

2006年05月26日

HIVの起源はカメルーンのチンパンジー

“エイズの起源”カメルーンに、チンパンジーから感染

 世界的に流行しているエイズウイルス(HIV)は、アフリカのカメルーン南東部に生息するチンパンジーから人間へ感染した可能性の高いことを、欧米とカメルーンの研究チームが初めて突き止めた。

 各地のチンパンジーが保有しているウイルスを比較して分かった。治療薬やワクチン開発につながる成果と期待される。

 HIVの起源は、チンパンジーに感染するサル免疫不全ウイルス(SIV)といわれていた。研究チームは、カメルーン国内の10か所でチンパンジーのふんを採取。5か所のふんからSIVの遺伝子を検出した。分析の結果、遺伝子の構造(塩基配列)には地域差があり、同国南東部の2か所で検出されたSIVが、世界的に流行しているHIV(Mタイプ)と酷似していた。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 感染源となるチンパンジーからワクチン作り……映画「アウトブレイク」を思い出します。あれはエボラ出血熱級の危険なウイルスでしたが。
posted by さじ at 23:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 感染