[感染]の記事一覧

2007年09月01日

日本の蚊も西ナイル熱のウイルスを媒介させることが判明

西ナイル熱、日本の蚊も媒介力 ウイルス実験で確認

 重い脳炎を起こして死亡することもある西ナイル熱の原因となるウエストナイルウイルスが、日本在来の蚊の体内でも増殖し、哺乳類に感染させる力のあることが、農林水産省系の動物衛生研究所(茨城県つくば市)の実験でわかった。日本にウイルスが侵入した場合、日本の蚊が、人間などへの感染、媒介を担う可能性が示された。9月2日から北海道で開催される日本獣医学会で発表する。

 西ナイル熱は、ウエストナイルウイルスに感染した野鳥の血を吸った蚊が、人間や馬などの哺乳類を刺すことで広がる。

 ウイルスはアフリカ、中東が原産だが、航空機で蚊が運ばれるなどして北米などにも広がった。厚生労働省は成田空港で、ウイルスを持った蚊の上陸を厳重警戒している。その蚊が空港周辺の鳥を刺して国内で西ナイル熱が流行する心配があるからだ。

 そこで同研究所の人獣感染症研究チームは、アカイエカ、ヒトスジシマカなど日本在来の蚊を使い、ウイルスの感染実験をした。

 直接、ウイルスを腹に注射した蚊と、ウイルスに感染したジュウシマツを刺させた蚊を、1〜2週間室温で飼ったところ、どちらの蚊も体内でウイルスが増殖していた。

 さらに、蚊にマウスの血を吸わせたら、大半のマウスは8日以内に体の一部がマヒし、12日以内に死んだ。マウスの体内からはウイルスも見つかった。

 同チームは「日本にウイルスが入れば、野外で日本の蚊が鳥類から哺乳類へ媒介させてしまう可能性が示された」と分析している。

 米国では昨年、4000人以上が西ナイル熱を発症、177人が死亡。99年にニューヨークで流行したときはパニックも起きた。日本国内での感染例はないが、05年、米ロサンゼルスで蚊に刺されて感染したとみられる川崎市の男性が発症している。



 アメリカで流行しているので知っている方も多いのでは?今のところ日本には来ていませんが、おそらくくるのは確実であろうといわれています。

 鳥ならまだしも、蚊ですからね。どうやって防げるのだろうか、という感じです。日本にセアカゴケグモが入ってきた時も、何ともいえぬ戦慄を感じたものですが、西ナイル熱が入ってきたらそれ以上にパニックになるでしょうねぇ…。


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2007年08月30日

エキノコックスがペットのネコに感染しているのを発見する

国内で初、ペットのネコからエキノコックスの卵

 北海道のキツネやネズミに寄生し、人に感染すると重い肝機能障害を起こす寄生虫エキノコックスの卵を、北海道大などの研究チームが、道内のペットのネコのふんから国内で初めて発見した。

 ネコの体内ではエキノコックスは育ちにくく、人への感染源となる卵の排出はないとされていたが、今後は注意する必要がありそうだ

 欧州ではネコのふん便からもエキノコックスの卵が見つかる例が報告されており、同大の野中成晃講師(獣医寄生虫学)らは、道内で飼育されているペットのネコ約600匹を調べた。その結果、1匹のふん便から、エキノコックスの卵が見つかった。

 ネコは、よく野ネズミを捕まえていたことから、ネズミの体内にいた幼虫がネコの腸内で成虫になって卵を産んだ可能性が高いという。



 エキノコックスはキツネやイヌが終宿主であるとされてきました。しかしネコにも感染するということで…北海道の人は今まで以上に気をつけて下さい。

 キツネやイヌの便に含まれる虫卵が経口的に体内に入ると、門脈を経て肝臓に定着します。虫卵が孵化し、幼虫の一部が血流に乗って、脳、骨、肺などに転移します。これにより発熱、黄疸、浮腫、肝不全などを来たします。しかもこれらの症状が起こるのは数十年の間と言われており、10年後突然発症する可能性もあるわけです。

 ↓これに賭けるしか…

医学処:エキノコックスをわずか2年間で根絶する方法を北大が発見。
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2007年08月27日

毎年一種類のペースで、未知の病気が発生している。

未知の病気39、毎年1種類67年以降に発生…WHO報告

 世界保健機関(WHO)は23日、2007年の「世界健康報告」を発表、1967年以降、毎年1種類のペースで未知の病気が発生しており、一世代前には存在しなかった病気が少なくとも39種類見つかったことを明らかにした。

 同報告によれば、これらの新種の病気は、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)や鳥インフルエンザ、エボラ出血熱、エイズウイルス(HIV)など。

 また、同報告はグローバル化に伴い人やモノの移動が激増する中、世界各地で過去5年間、約1100件の伝染病の流行があったことも指摘した。

 既存の疾患が抗生物質への耐性を強める傾向もある。WHOは特に、既存の薬が効きにくいタイプの結核の流行を懸念している。

 さらに、過去半世紀で食物連鎖が大きく変化した上、グローバル化が進行しているため、安全ではない食物が国境を越え易くなり、食べ物にからんだ病気が一層、増える可能性があるという。すでに、BSE(牛海綿状脳症)のような食に関した疾患が世界的な問題になっている。



 挙げられている新種の病気って、どれも今現在の医学では根治不可能なものではないですか。

 人類と病気との闘いは、いくら医学が進歩してもなくならないのですね。

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非定型BSE(牛海綿状脳症)がマウスにも感染することが発覚

新型BSE マウスに感染

 日本など世界各地で発生している「非定型BSE(牛海綿状脳症)」と呼ばれる新しいタイプのBSEがマウスに感染することを、動物衛生研究所・プリオン病研究センターなどの研究チームが確認し、25日に新潟県津南町で始まったプリオン研究会で公表した。

 現時点では人への感染性は明らかではないが、従来のBSEと同様、非定型BSEの牛を見逃さないための十分な安全対策が必要になりそうだ。

 非定型BSEは、病原体とされる異常プリオンの構造が従来と異なっている。2002年にイタリアで、03年には日本でも感染牛が見つかり、そのほかフランス、ベルギー、オランダなどで確認されている。



 狂牛病という言葉も聞かなくなって数年。あの恐怖のBSEが再来か・・・?予防策も大切ですが、何より異常プリオンの除去方法が分からんというのが一番痛いところです。

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2007年08月26日

バリ島で2人目の、鳥インフルエンザの犠牲者が出る。

鳥インフルで2人目の死者…バリ島

 インドネシア保健省は22日、バリ島南部に住む女性(28)が鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染して死亡したと発表した。

 バリ島で人への感染が確認されたのは、12日に死亡した主婦(29)に続いて2人目。被害拡大の懸念が広がっている。イスラム過激派による2度の爆弾テロ事件(2002年と05年)から立ち直り、観光客が戻り始めていただけに、島民の衝撃は大きい。

 今回感染死した女性は、タバナン県バトゥガイン・ブラバン村で鶏の販売をしていた。14日から高熱など肺炎に似た症状が続き、21日に死亡した。人への初感染が確認されたジュンブラナ県は島西部の遠隔地だったが、今回は最大都市デンパサールの北西約20キロで、タナ・ロット寺院など観光スポットにも近い。インドネシアの死者はこれで計84人、感染者は105人となり、いずれも世界最多を更新し続けている。

 バリ州政府は、初の感染死者となった主婦の自宅から1キロ以内の家禽計6000羽以上を大量処分したほか、消毒作業などの対策を全島で実施。さらに島外からの家禽持ち込みを禁止するなど、被害の拡大阻止に全力を挙げている。

 ただ、島内各地で鳥インフルエンザウイルスに感染した家禽の死骸が見つかっているほか、新たに感染が疑われる患者も出ており、どこまで封じ込められるかは不明だ。



 じわりじわりと広がりつつ…

 バリ島は人気の観光スポットなだけに、我々としても気をつけなければなりませんね。日本に入り込んでくる可能性もあるわけですから。

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2007年08月13日

HIVの新規感染者、3ヶ月で270人と過去最多に。

★HIV新規感染者が最多 4−6月、270人

 厚生労働省のエイズ動向委員会(委員長・岩本愛吉東京大教授)は7日、今年4月からの3カ月間に国内で新たに報告されたエイズウイルス(HIV)感染者数は270人で、四半期ベースで過去最多だったと発表した。新規エイズ患者数は110人で過去2位。

 これまでの新規感染者数の最多は昨年4−6月の248人だった。

 今年4−6月の全国でのHIV検査件数は、3万7143件と前年同期に比べ大幅に増加。岩本委員長は「検査件数の伸びが感染者数を押し上げた面はあるが、検査が減少した時期も感染者は増え続けており、感染そのものが増えていると考えざるを得ない」と述べた。

 感染者270人の内訳をみると、性別では男性が251人と圧倒的に多く、感染経路別では日本国籍男性の同性間性的接触が175人と最多。年齢別では20−30代が76%と大半を占めた。



 昨年の、同様のニュースはこちらです。「3ヶ月で248人」から、「3ヶ月で270人」に膨れ上がっています。

 このニュースのインパクトの大きいところは、「HIVは治らない」ということです。麻疹で何万人感染とか、インフルエンザがどうのというのは1年に1度(麻疹に関しては1回感染すれば免疫がついて感染しないわけですから、一生に一度)ですから、まぁその時治療すればいいんですけれど、HIVは、治せない。つまり3ヶ月で270人というペースは非常に大きいことが分かります。1年でおよそ1000人近くの人が「新たに」感染が発覚し、そして彼らはエイズ発症を遅らせるしかできないのです。
 
関連
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2007年08月09日

500年前のミイラの肝臓から、B型肝炎ウイルスが発見される。

ミイラから肝炎ウイルス 韓国

 韓国で最近発掘されたミイラ化した遺体の一つ。約500年前のミイラの肝臓から世界で初めてB型肝炎ウイルスが発見された。

 ソウル大やイスラエル、ヘブライ大などの国際チームが調査した。



 なんとも不思議ですね。改めて、ウイルスと人間の繋がりを垣間見たといいますか。

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2007年08月06日

今年の夏も流行する見通しのアタマジラミについて知識と理解を深めよう

今夏も流行?アタマジラミ 発症8割が10歳未満

 頭髪にシラミがわき、頭皮のかゆみを伴うアタマジラミ症。毎年子どもたちの間で流行するが、兵庫県内では今夏も小学校で報告が増え始めており、感染拡大を心配してプール授業を一時延期する小学校もあった。予防やケアはどうすればいいのか。シラミ症に詳しい、西宮市の兵庫医科大学皮膚科の夏秋優准教授に聞いた。

 シラミは吸血性の昆虫。人に寄生するシラミにはアタマジラミのほか、衣類に付くコロモジラミ、陰毛に生息するケジラミがあり、頭皮などから吸血する際に注入するだ液腺物質によってアレルギー反応のかゆみが起こる。この病害をシラミ症という。第二次世界大戦後に強力な殺虫剤、DDTの散布でほぼ全滅したものの、抵抗性のものが生き続けているという。

 そのうちアタマジラミ症は主に子どもを中心に流行。県皮膚科医会が一九八七年から実施する調査では、発症は十歳未満が83・5%を占め、男児より髪が長い女児が圧倒的に多い。そして母親世代の三十歳代にも小さなピークがある。

 なぜ子どもに多いのか。夏秋准教授は「成虫は頭髪の間を素早く動き回り、人と人の髪が直接触れ合った際に移動する」とし、「子どもは頭を寄せ合って遊ぶことが多く、母親も子どもと同じ枕で寝ることなどで感染するのだろう」と話す。

 また、学校などではプール授業での感染が問題視されるが、夏秋准教授は「成虫は頭髪から離れると長く生きてはいられない。床をはったり水中を泳いだりはせず、プールでの感染は帽子の貸し借りや着替えなどの際の接触による」と説明。「シラミはチェックが厳しくなる夏に報告が上がりやすいだけで年中いる」とも話す。

 流行時の学校などの対応については「保護者に対し、保健だよりなどで流行を知らせ、正しい情報の提供を」と呼び掛ける。「感染は誰にでも起こり、毎日洗髪するかなど清潔さとは関係ない。いじめられることを心配して感染を隠す親もおり、不安を取り除くことが大切」と指摘する。

 家庭ではどうすればいいか。夏秋准教授は「治療には毛をそると効果的だが日常生活を考えれば難しい。シラミは普通の洗髪では死なず、殺虫剤のフェノトリンなら死滅する」と話す。フェノトリンは粉剤とシャンプーが薬局などにあり、副作用もまずないという。

 シラミの卵は約七日でふ化、吸血しながら十―十四日で成虫になり、その後二十―三十日生きる。雌は一日一―四個の卵を、主に後頭部や側頭部の髪の付け根付近に、一本に一個ずつ産む。「この生態から、薬剤は三―四日に一回の使用を三、四回繰り返せば全滅させられる」と夏秋准教授。卵には薬剤が効かないので、目が細かい「すきぐし」や手でこまめに除去することが有効という。

 感染の予防は「成虫が頭髪を一時的に離れ、衣類を介して移動することもあるので、寝具や帽子の共用などは避けて。洗濯では感染しない」とアドバイスする。

 「家庭では早期発見と処置を心がけ、正しい診断のために早めに皮膚科への受診を」と話している。



 シラミに関して言えば、インキンやSTDと同様に偏見に満ちた病気だと思います。戦後のシラミ大流行のイメージが未だに根づいているため、「頭を不潔にしていると感染する病気」という印象は誰もが持っていると思います。

 しかし、シラミは清潔にしていてもなる病気です。ここがとても肝腎。特に10歳未満の子供がかかりやすいことを考慮すれば、我々大人が配慮しなければいけない部分であると分かりますよね。大人たちの知識と理解が足りないせいで、子供を傷つけてはいけません。安心させた上で、皮膚科で適切な治療を受けてください。

関連
医学処:小学生間の、アタマジラミの感染が拡大。
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なぜか大人の間で年々広がっている、百日ぜきの流行。

大人に流行、百日ぜき 年々増加、報告中3割…「氷山の一角」

 乳児への感染に注意が向けられてきた百日ぜきが、大人の間で年々広がっている可能性が高いことが31日、国立感染症研究所感染症情報センターのまとめで分かった。同センターは「子供への感染源になり得るため、発生動向に注意する必要がある」と警戒しているが、大人の間での流行を把握するのは難しいのが現状だ。

 同センターによると今年、全国約3000カ所の小児科定点医療機関から、7月22日(第29週)までに報告された百日ぜき患者数は1197人。同時期までの報告としては、流行がやや大きかった平成16年の1091人を超え、流行が大きかった12年の2289人に次ぐ多さだった。

 患者の年齢別割合を調べたところ、6歳未満の乳幼児が年々減少する一方、小児科定点からの報告ではあるものの20歳以上の割合が高まっていることが分かった。12年は2.2%に過ぎなかった20歳以上が、16年に9.5%にまで増え、18年には24.3%、今年(第29週まで)は30.7%にのぼっていた。6歳未満は15年までは8割以上を占めていたが、今年(同)は46.2%で半数を割っている。

 百日ぜき患者の報告は小児科からの報告に限られるため、大人の患者の報告は本来まれなケース。子供と一緒に小児科を訪れた保護者が百日ぜきと診断された場合や、長引く患者のせきの症状に診断を迷った内科医が小児科医を紹介して診断される場合などに限られるとみられる。

 感染症情報センターの安井良則主任研究官は「患者報告が小児科定点医療機関からに限られいることを考慮すると、現れた数字は氷山の一角ではないか。大人の間で感染がどこまで広がっているか実態を把握するのは難しいが、子供の百日ぜきの感染源になり得ることから注意が必要だ」と話している。

 大人の百日ぜきをめぐっては、今年5月に香川大学で医学部を中心に集団発生が確認され、全学休講の措置がとられたほか、今月には高知大学医学部でも集団発生が確認され、休講措置が取られた。



 あまり話題に上らない百日咳ですが、先日起こった香川大学医学部の集団感染でトピックとなりました。

医学処 香川大学医学部で百日咳の大流行。職員にまで広がり休講に。

 何で流行しているのかは不明ですが、免疫能が弱っているとか、もしかすると、特定の時期だけ予防接種の効力そのものが弱かったのかもしれません。

 ■百日ぜき

 百日ぜき菌の感染を原因とする急性の呼吸器感染症。けいれん性のせき発作が特徴。乳幼児、特に6カ月以下の乳児が発症すると死に至る危険性があるが、大人は症状がまちまちで、長引くかぜの症状と誤解されやすい。昭和25年に百日ぜきワクチンの接種が始まるまで、国内で毎年約10万人の患者が発生し、うち約10%が死亡していた。乳幼児へのワクチンの定期接種があるが、いまでも小児科定点から年間1500人前後の発症が報告されている。
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2007年08月03日

2012年を目標に、国内の麻疹を制圧するプロジェクトを開始する。

2012年 はしか制圧計画…厚労省 中1、高3に2度目の接種

 厚生労働省の「予防接種に関する検討会」(座長=加藤達夫国立成育医療センター総長)は1日、2012年を目標に国内のはしか制圧を目指す計画案をまとめた

 計画の柱は
〈1〉免疫不足の若者に2回目の予防接種
〈2〉患者の全数調査
〈3〉計画の進行を評価する委員会の設置
――の三つ。

 具体的には、ワクチンを1回しか接種していない若者の間での流行が目立つため、中学1年生と高校3年生を対象に来年度から5年間、2回目の予防接種を実施する。

 流行状況を正確に把握するため、患者の全数調査も行う。現在は一部の医療機関に限った定点報告に頼っており、流行の経年変化は分かっても実態はつかめない。

 さらに、国に、感染症の専門家や都道府県担当者、ワクチン製造業者、学校関係者らからなる対策委員会を設ける。計画の実施状況を毎年評価し、必要なら提言を行う。各自治体も対策協議会などを設置する。



 日本は先進国の中でも麻疹患者が多いことで知られています。予防すれば食い止められる流行で、予防する金も知識もあるくせに何で本気でやらないんだ、と欧米あたりからクレームが来ていそうなほどですが、とうとう厚生労働省も本腰を入れたようです。

関連
医学処:麻疹にかかったことがなく予防接種もしていない妊婦は注意。
医学処:麻疹ワクチン、ただいま大増産中。
医学処:麻疹流行を受けて、中1から高3を対象に2度目の予防接種を行う
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2007年07月14日

タイのHIV感染者が、売春をしている女子大生に狂気の「復讐」

HIV感染者、売春女子大生に陰湿な「復讐」

 中部アユタヤ県ワンノイ郡在住のHIV感染者の男性(50)が売春婦に「復讐」をしている、との書き込みがアユタヤ県警ホームページの掲示板に掲載された。

 同掲示板によれば、この男性は売春をしている女子大生を専門に狙っており、手口は、相手がHIVに感染するよう予めコンドームに穴を開けておくというものだ。

 また、警察が、この人物は確かに実在するとコメントしたことから、同郡では、井戸端会議の話題のトップともなっている。

 その後、反響の大きさに驚いた情報提供者から警察に、「身の安全が危ぶまれる」として、削除を依頼する連絡が入ることになった。

 しかし、警察では「これが事実としたら、地域社会にとり大きな脅威となる。早急に逮捕しなければならない」として、情報提供者に対して、より詳しい情報の提示を求めている。

 一方、アユタヤ県保健所のラタナチャイ医師は、「個人データを公表することはできない」として、マスコミの取材を拒否している。



 これ日本だったら確かものすごく重い罪だったように思います。日本のHIV感染者も、既にものすごい数になっているので、現実にこういうことがあってもおかしくはないですよね。日本はHIVの無料匿名検査が受けられますし、HIVに感染しても発症しないようにするいい薬がありますので、不安な方はまず検査を!

関連
医学処:副作用の少ない新しいタイプの抗HIV剤を開発
医学処:遺伝子を組み替えたヒトのT細胞内のHIVを完全に消滅させることに成功
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順天堂大学医学部が、細菌学の実習で赤痢菌に集団感染。

順大生24人が赤痢症状…細菌培養実験中

 順天堂大医学部(東京都文京区)で、細菌学の授業で赤痢菌などの培養実験を行った医学生24人が発熱や下痢など赤痢の症状を訴え、このうち7人が入院したことが12日、分かった。いずれも軽症で快方に向かっているという。

 文京区文京保健所に11日入った連絡によると、同大医学部では今月3〜6日、3年生99人が学内の実習室で、平たい容器に赤痢菌などを散らし、増殖を試みる実験を行った。7日に、男子学生の1人が発熱や腹痛を訴え、9日に血便の症状が出たため入院。大学は赤痢の可能性があるとみて10、11日に学生から緊急アンケートを取ったところ、24人に赤痢の症状が出ていた。大学側はこのうち、5人の感染を確認した。

 保健所では実験中に菌が学生らの手や衣服に付き、体内に入ったとみている。



 正直、ありえない

 赤痢菌をシャーレで培養し、コロニーを取ってどうこうする実験だったんでしょう。学生の誰かが赤痢菌を触って、経口感染してしまったんですかね。普通こういう実験では感染に注意してやるはずですが。(そもそも実験の主旨の1つに、安全な器具操作などの感染対策も含まれている可能性が高いです)

 今後、無い様にして欲しいですね。学生の実習だったから良かったものの。

関連
医学処:腸の細胞を騙して体内に入り込む赤痢菌
医学処:インドから帰ってきた男子学生が細菌性赤痢に感染
医学処:院内感染への対応や医療事故の安全対策などを日本で学ぶ。
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2007年07月13日

院内感染への対応や医療事故の安全対策などを日本で学ぶ。

医療の安全習得へ ベトナム看護師 研修 滋賀医科大付属病院 

 滋賀医科大付属病院(大津市)で、ベトナムの国立病院から派遣された看護師2人が研修を受けている。ベトナムでは未成熟な院内感染への対応や医療事故に対する安全対策の知識習得のため勉強に励んでいる。

 グエン・ティ・ヒエンさん(34)と、グエン・ティ・オワンさん(35)。2人は国立チョーライ病院(ホーチミン市)の看護師で、同大と同病院が昨年12月に結んだ交流協定に基づき、6月1日に来日した。ベトナムではまだ不十分な看護管理システムと、新分野の医療安全管理法を国立チョーライ病院に導入するため、知識と技術の習得を目指している。

 研修期間は約6週間。2人は午前8時半から午後4時まで、講義や病棟での実習を行っている。安全管理と感染管理についてはそれぞれ1週間をかけて、みっちりと学び、また新人研修システムや能力評価、人事管理、各医療現場での看護管理なども勉強してきた。

 研修する2人の様子を同病院の小野幸子副看護部長は「意欲があり、非常に熱心」と評価する。14日の帰国を前に、ヒエンさんは「勉強するほどに学びたいことが増えた。ここで得たことをベトナムの事情に合わせ、生かしていきたい」と話している。



 医療現場は、医学の知識だけではどうにもなりません。病院として運営していく上で大切な、感染予防の概念や患者の肉体的・精神的なケアなどを考えなければなりません。それはどちらかというと、ノウハウに近いものなのでしょうけれど、日本はかなり確立されている気がします。院内感染などは、患者が易感染性の状態にあるのでどうしても起こってしまいますけど、それでも感染拡大を防ぐ術など迅速な対応が出来ていると思います。あと医療事故がおきないような工夫を施すことにかけても、秀でているのではないでしょうか。日本で構築したものを、世界中に広げることで、全体の医療レベルが向上するでしょうね。

関連:医学処 何故病院職員が手を洗うようになったのか。
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何故病院職員が手を洗うようになったのか。

病院職員が手を洗うようになったわけは……

 クアラルンプールのマレーシア国民大学病院(Universiti Kebangsaan Malaysia Hospital)はようやく医師、看護師などの職員に手を洗わせることに成功した。理由は職員自身の健康に悪影響を及ぼすという指摘を行ったからだ。地元紙『ニュースレーツタイムズ』が10日、報じた。

 患者の健康に悪影響を及ぼすという指摘は、効果がなかった

 今年の調査の結果、集中治療室で患者を治療する前に、規則で定められているにもかかわらず、手を洗わない職員が40%もいた。

 同病院の感染管理の責任者が、職員に衛生の大切さを訴え、治療室の入り口に、健康へ注意を促すテープを流したところ、規則遵守率は80%に上がった。

 感染管理の責任者は「患者の治療や診察を行う前に、手を洗うようになりました。自分の健康が心配だからです。自己中心的で、患者の健康を考えたわけではありません」と語った。



 日本の医療従事者は、どちらかというと「患者の健康に悪影響を及ぼす」から手洗いなどをしっかり行っていると思います。自分の感染にも充分気をつけていますが、それは他の患者さんにうつすかどうかを考慮してのことでもあるわけです。ニュアンスが違いますね、日本とマレーシアでは。

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2007年07月12日

麻疹流行を受けて、中1から高3を対象に2度目の予防接種を行う

はしか対策 中1・高3に予防接種

 若者を中心としたはしかの流行を受け、厚生労働省は9日、来年度から5年間の時限措置として、中学1年生と高校3年生を対象に、2回目の予防接種を実施する方針を明らかにした

 予防接種を1回しか受けていない世代の免疫を高めるための措置で、はしかの流行の抑制策などを検討する「予防接種に関する検討会」(座長=加藤達夫・国立成育医療センター総長)で原案が示された。はしかの全数報告制度の導入や、学校での集団接種などについても今後検討する。

 はしかの予防接種は、昨年3月まで生後12か月から7歳半までに1回接種することが勧奨されていた。先進国の多くではワクチンの2回接種が行われていることから、日本でも同年4月、生後12か月から24か月と、小学校入学直前の2回接種が導入された。しかし、現在の小学2年生以上では、1回の接種の機会しかなかった。

 ワクチン接種率の上昇に伴い、はしかの流行が減り、病原体にさらされる機会が少なくなった。そのため、1回接種しただけでは、免疫が強化されずに次第に弱くなり、今年のような流行が引き起こされた

 大学生以上の人についても、免疫の弱い人に2度目の接種を勧めて、患者が出ても流行までに至らない状態になる95%以上の免疫保有率を目指す。



 免疫の強い弱いというのは外見上は分かりません。血液検査で麻疹に対する抗体が規定値以上あるかどうか、で判断されます。なければもう一度打てばいいだけの話なんで、中1〜高3以外の人はお近くの医療機関にどうぞ。

 麻疹の感染者の年齢としては、1歳にピークがあり、約半数が2歳以下とされています。麻疹のワクチンは上記にも書かれているように生後12ヶ月から接種、となっていますね。なら1歳未満にワクチン打ってしまえばいいだろうと考えますよね。

 ところが、生後12ヶ月以前にワクチンを投与した場合は、1歳以降に再接種する必要があります。その理由としては、母親からの移行抗体が持続して残っている場合があって、ワクチンが母親の免疫で中和されてしまうため、十分な抗体が産生されない可能性があるためです。

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2007年07月08日

ピロリ菌の祖先は、深海底に広く分布する微生物だった。

ピロリ菌:先祖は深海底の微生物 ゲノム解析で判明

 胃かいようや慢性胃炎の原因となる細菌の一種「ヘリコバクター・ピロリ」(ピロリ菌)の祖先が、深海底に広く分布する微生物であることを、海洋研究開発機構の研究グループがゲノム解析によって突き止めた。これらの細菌が人の体に住み着くようになった進化の過程解明につながるという。3日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。

 研究グループは沖縄本島の北西約200キロ、水深約1000メートルの海底から熱水が噴出する場所で、「イプシロンプロテオバクテリア」と呼ばれる微生物2種を採取。ヒトの1000分の1以下の小さなゲノムに、それぞれ2466個、1857個の遺伝子が見つかった。解析の結果、ピロリ菌には残がいしかない、二酸化炭素から有機物を作り出す遺伝子を、微生物は完全な形で持っていた。

 この微生物は世界各地の熱水噴出域で見つかっている。光合成ができない暗黒で高圧の厳しい環境下でも、熱水中の水素や硫化水素をエネルギー源とし、二酸化炭素から有機物を合成する。

 グループの中川聡研究員は「環境変化が激しい胃の中にすむピロリ菌とこの微生物は、厳しい環境下で生きる戦略が似ている」と話している。



 深海という過酷なシチュエーションで生きてきた微生物が、その生活の場を強酸の海である人の胃の中にうつす、か。なかなかにロマンを感じなくもないですが、人とは共存できていないので、問答無用で除菌する方向でお願いしたい。

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2007年06月30日

インフルエンザワクチンが過去最多の640万本を廃棄へ。

インフルエンザワクチン 過去最多640万本余る 廃棄へ

 インフルエンザワクチンの使用量が06年度、10年ぶりに減少に転じ、過去最多の約640万本のワクチンが余ったことが、厚生労働省の調べでわかった。暖冬などで例年より流行が遅く、接種した人が予測より少なかったためとみられる。

 ワクチンは、厚労省が翌シーズンに流行するインフルエンザの型や必要量を予想し、それをもとに民間メーカーが製造する。厚労省は06年度のワクチン使用量を2200万本前後と予測し、メーカーは2518万本を製造した。これに対し、実際の使用量は1877万本にとどまった。未使用分はすべて廃棄される。

 06年度のワクチン使用量は05年度より55万本少なく、医療機関への調査から推定した全国民の接種率は27.9%だった。また、ワクチンの余った量がこれまで最も多かったのは04年度の431万本だった。

 同省は07年度について、使用量を2000万本前後と予想し、2350万本の製造を見込む。



 毎年ブレがありますからねぇ。今年は異常事態ともいえるほど、インフルエンザの流行が遅く、4月、5月でもインフルエンザ感染がみられたほどです。

 そういえば以前この記事で、インフルエンザワクチンを打たなかった私はどうなったか、というと、かかりませんでした。私自身の免疫機能が向上したのか、それともワクチンにそれほどの効果がないのかは分かりませんが、何にせよ十年以上毎年打っていた予防接種無しで感染しなかったので、個人的には誉れであります。

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ドイツの野鳥から、今年初の鳥インフルエンザを検出する。

独で今年初の鳥インフルエンザ、野鳥の死がいから検出

 ドイツ南部バイエルン州で野鳥の死がいから、高病原性鳥インフルエンザH5N1型ウイルスを検出したと、同州ニュルンベルクの保健当局が24日、発表した。ドイツで鳥インフルエンザが確認されたのは、今年に入って初めて。

 専門機関の調査結果によると、ニュルンベルク近郊の2カ所の湖で見つかった、白鳥2羽、ガン1羽の死がいから、ウイルスが検出された。

 当局はただちに、近郊の農家などに対し、飼育している家きん類が鳥インフルエンザに感染していないか検査するよう、指示を出した。同時に、生きた家きん類や家きん類から作られた製品の移動を、23日から21日間中止すると発表した。

 欧州連合(EU)諸国では昨年、ドイツやオーストリア、デンマーク、イタリアなど13カ国で、野鳥700羽以上から鳥インフルエンザが確認されている



 人類は、この広がりを止められるのか。しかし中世の大流行とは違い、今の人類には予防疫学という知恵がありますからね。もしかすると未然に食い止めることができるかもしれません。そのためには隔離などの迅速な対応が国のトップに求められますが。

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2007年06月19日

北京で温泉がブームになっているが、大半の温泉にバクテリアが多数。

北京でブームの温泉リゾート、大半は雑菌の温床

 北京では温泉リゾートがブームになっているが、衛生検査当局の調査では、全体の約3分の2の施設がバクテリア検査で不合格となり、衛生基準の改善命令を受けている。新華社が13日に報じた。

 それによると、北京の衛生当局はリゾート施設22カ所から水のサンプルを採取したが、バクテリア基準を満たしたのは全体のわずか27.3%だった。

 当局は、検査で見つかったのは「人体に害のないバクテリア」だったとし、「これまでに温泉に入って病気になったという報告は聞いていない」としている。ただ、入浴前後にはシャワーを浴びることを推奨している。



 ウヒィ。
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2007年06月18日

麻疹ワクチン、ただいま大増産中。

はしかワクチン 緊急増産

 10〜20歳代の若年層を中心にはしか(麻疹=ましん)が流行しているため、ワクチンの緊急増産が続いている。麻疹ウイルスはせきなどで感染するが、感染力が強いためマスクや手洗いでは防げず、ワクチン接種が最大の予防策。

 首都圏を中心に続いていた感染の拡大傾向には歯止めがかかり、わずかに減少に転じたことが国立感染症研究所のまとめで分かったが、ワクチンの需要が高まっていることには変わりない。

 製造元の一つ、北里研究所・生物製剤研究所(埼玉県北本市)では、備蓄が底をつき、今月から緊急増産体制に。「目視検査」の作業では、透明なガラス瓶に入ったワクチンの凍結乾燥粉末を職員が1本1本手に取ってチェックしていた。



 今年だけ流行するわけじゃありません。抗体を持っていなければ誰でも感染する病気なのです。ですから危険だということを認識して、他者に広めないためにも予防接種を徹底するよう心がけて下さい。

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