[大学]の記事一覧

2012年01月10日

当直明けの外科医に手術をさせない病院の診療報酬をアップする。

当直明けの手術、やめれば診療報酬加算 厚労省方針

 厚生労働省は7日、当直明けの外科医に、手術の予定を入れないよう取り組む病院について、来年度から診療報酬の加算対象に加える方針を固めた。勤務医の負担軽減策の一環。診療報酬改定に向けて議論する中央社会保険医療協議会(中医協)に提案し、大筋で了承された。

 厚労省は、当直明けに手術を行う頻度を985人の外科医に尋ねた日本外科学会の調査結果を中医協に報告した。「いつも」が31%、「しばしば」が26%、「まれに」が15%であわせて7割に上った。

 当直による疲れが原因で「手術時に医療事故や、事故には至らないミスの経験がある」のは4%、事故経験はないが手術の質が低下することが「多い」「まれにある」と答えたのは83%に達し、医療安全に影響があると判断した。

 勤務医の負担減対策としては、長時間の連続勤務を減らす取り組みなどに加算する仕組みがある。当直明けに手術を入れないことも追加する。



 え、だって人が足りないんだからしょうがなくないですか?

 手術しない科の給料を0.9割ぐらいに下げて、外科医の給料を1.2ー1.3倍に上げて、外科医志望を増やしたほうが良くないですかね?

 当直後の手術をやめるって、手術する人が少なかったらどうすりゃいいんですかね?この案は外科医も納得づくなんでしょうか。それとも机上の話なんでしょうか。


posted by さじ at 02:34 | Comment(0) | 大学

2012年01月08日

京都大学病院、iPS細胞の臨床開発部を創設し、研究に全力を尽くす。

京大病院にiPS細胞臨床開発部創設へ 診療へ基盤整備

 京都大病院(京都市)は18日、再生医療や創薬への応用が期待される人工多能性幹細胞(iPS細胞)を診療に役立てるための基盤整備に向け、新たに「iPS細胞臨床開発部」を12月1日に創設する、と発表した。難病患者から細胞の提供を受けて、iPS細胞を作製する専用外来などを設ける。iPS細胞を開発した山中伸弥京大教授は会見で「臨床応用を進めるための最初の1歩。10年以内に臨床試験の段階まで入りたい」と話した。

 同開発部は、山中教授が所長を務める京大iPS細胞研究所(CiRA)と共同で立ち上げる。初代部長には京大大学院医学研究科の平家俊男教授(発達小児科学)が就任。京大病院とCiRAの医師、研究者約80人が所属する。

 同開発部には、iPS細胞外来と品質管理技術開発室を設置。外来では、パーキンソン病や筋ジストロフィーなど難治性疾患を抱えている患者の窓口となり、皮膚などから細胞を採取してiPS細胞を作製する。1年に50人程度の採取を見込み、難病の原因解明や新薬の開発などさまざまな研究に役立てる。

 開発室では、データを蓄積した「iPS細胞バンク」の設立準備を進め、移植などの再生医療に向けた品質管理を担当する。

 京大病院ではこれまでもCiRAと協力し、難病患者の細胞からiPS細胞を作製しており、平家教授は「協力関係を深め、より多くの種類のiPS細胞の研究に生かせるよう支援していきたい」と話した。



 世界最先端の発見ですからねぇ、それ相応の設備で、惜しげも無くお金使って、ガンガン研究してもらいたいです.

 やっぱり、いい研究にはお金が必要ですからねぇ。そこをケチっていい研究はできず、そうすると医療後進国になって、アメリカに薬やら何やらで頼らないといけなくなってしまいますからね。
posted by さじ at 05:20 | Comment(0) | 大学

2011年12月08日

医療費の窓口負担100円制度では、日本の医療は何も解決しない。

「窓口100円」非常に難しい=医療費の受診時定額負担―民主・長妻氏

 民主党の長妻昭元厚生労働相は4日のNHK番組で、外来患者が支払う医療費の窓口負担に1回100円程度を上乗せ徴収する「受診時定額負担」について、「党内の議論では非常に難しい方向性になっている」と述べ、実施は困難との見方を示した。長妻氏は同党の「社会保障と税の一体改革調査会」の事務局長を務めている。

 長妻氏は、政府・与党が検討している年金支給額の引き下げに触れ、「2.5%年金を下げ、消費税率を2010年代半ばに10%にすると大変な負担になる。社会保障で負担ばかりをお願いすると、何のために消費税を上げるのかと取られかねない」と語った。 



 なんか根本的解決にならないんですよねぇ、窓口負担って。

 これって何、開業医にとって優遇されるやつなんじゃないんですか?診た患者分増えるっていうのは。

 もっとこう、総合病院の赤字をいかに減らすかとか、勤務医の給料を上げる方向にならないもんですかね。

 あとこう、なんだ、診療科ごとの変動ってのも、もっと必要だと思う。

 具体的に言うと、外科の勤務医は他の科の1.5倍ぐらい給料払ってもいいと思う。

 今の外科って、ホントボランティアですよ。なり手も少なくなってますし。オカシーですよね、一番「スキル料」をとるべきところが、なってない。逆に、スキルも何もない開業医が患者をさばけばさばくだけ儲かるシステム。オカシー。

 そもそも、なんていうの、医者全体の認識だと思うんですけど「儲けたいなら開業」って考えが浸透するぐらい、開業が儲かるってのがおかしいんじゃないですかね。
posted by さじ at 01:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

2011年11月08日

開業医の平均月収は231万、勤務医の平均月収は102万。

開業医の月収231万円=国立病院勤務医の2.3倍に―中医協調査

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は2日、全国の開業医や病院の経営状況を調べた医療経済実態調査の結果を公表した。今年6月時点の医師の平均月収は開業医(個人経営の診療所)が231万6500円で、国立病院の勤務医102万9500円に対し、約2.3倍の格差があった。

 2010年度の年収ベース(ボーナスを除く)でも、開業医の2753万7300円に対し、国立病院勤務医は1206万5900円にとどまり、大きな開きがあった。 



 全部の科で言えることですけど、何で開業医のほうが働いている時間短くて儲かるんでしょうかね。

 そりゃぁ地域医療やってる人とか、その科の経験をめちゃくちゃ積んで開業している人とか、往診などの総合病院ではやってないことをやっている先生とかは、それだけのお金をもらっていいと思うんですけど、現実違う場合も多いじゃないですか。それなのに「平均月収」が勤務医より倍以上あるって、オカシーですよね。開業医の儲けを減らして勤務医に増やすべきですよね。勤務医が増えたら解決する問題なんてたくさんあると思うんですけどね。現実そうはいかないんですかね。オカシーですよね。
posted by さじ at 22:46 | Comment(4) | TrackBack(0) | 大学

2011年11月07日

医師の3割がスマートフォンを所有。医療系アプリで色々と捗るぞ。

医師の約3割がスマートフォンを所有―ケアネット調査

 医師・医療従事者向け情報サービスサイトを運営するケアネットは2011年10月26日、同社医師会員1,000人に対して行った、スマートメディアに関する調査結果を発表した。同調査は、スマートフォンとタブレット型端末の所有状況および利用実態を調査したもので、2010年11月に実施した同様の調査と比較して臨床の場で活用が進んでいる実態を示した。

 発表によると、医師の約3割がスマートフォンを所有しており、2010年の調査結果と比較して6ポイント増となった。iPhone/Android 端末の両方を所有する医師も全体の1%存在。また、医師の間でもiPhoneが48%、Android 端末が47%(その他、両端末所有者が5%)とほぼ二分。タブレット型端末所有者は昨年比8ポイント増の21%。医師の約2割が所有する結果となった。

 一方、スマートフォン/タブレット型端末共に「購入するつもりはない」とした医師も増加。「院内で通信が確保されていない」「老眼のため小さい文字が見えにくい」などのほか、「PC で事足りているため必要性を感じない」といった声が上げられた。

 スマートフォン所有者の約4割が、医療関連の情報収集に利用。その他、「医療に役立つアプリの利用」40%、「医師・医療従事者とのコミュニケーション」も昨年比3倍の15%と高い伸びを示した。また、具体的な利用シーンを尋ねた自由回答では、情報収集・予定管理など一般的な用途のほか、「小児の気を引いたり、泣き止ませたりに使っている」「往診先、診療中に薬剤を調べる」「患部の写真撮影」など医師ならではの活用法が多く見られた。



 まぁ世間と同じというか…。

 医療に便利なアプリが多いのも事実ですね。腎機能系の面倒な計算アプリとか、入れている人結構多いのでは?今日の治療薬などの参考書系統も導入されてて面白いですからね。




 全然関係ない話ですけど、最近医学生で、ベッドサイドにiPadをもってきて、ドヤ顔している人が時折いますけど、さすがに回診中にiPadは無いだろうと・・・。
posted by さじ at 02:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

タッチの岩崎良美、53歳大学病院内科系医師と結婚。

タッチの岩崎良美、医師と結婚

 「タッチ」などのヒット曲で知られる歌手の岩崎良美(50)が1日、 先月10月に一般人の男性と結婚していたことを公式HP、ブログなどで発表した。 お相手は都内の病院に勤める医師で、芸能活動はこれまで通り続けていく。会見の予定はない。

 「私ごとでございますが、10月吉日、私、岩崎良美は、都内の大学病院に勤務する医師と入籍をし、 新たな人生の第一歩を踏み出しましたことを、ここにご報告いたします。 歌や演技のお仕事に関しましては、いつも応援してくださる沢山のファンの方々と、 新たに心強い支えを得て、今後ますます頑張って参りますので、これからも何とぞよろしくお願いいたします。岩崎良美」



岩崎良美結婚

 都内の大学病院に勤務する医師と10月に結婚していたことを発表した歌手で女優の岩崎良美(50) が1日、詳細を所属レコード会社を通じて明らかにした。お相手の男性は53歳の内科系医師といい、 今年5月ごろ、医者と患者の関係ではなく知人の紹介で知り合ったという

 10月中旬の大安に都内の区役所に婚姻届を提出し、現在のところ挙式は予定していない。 岩崎は同日、自身のブログで「新たな人生の第一歩を踏み出しました」と結婚を発表。

「歌や演技のお仕事に関しましては、いつも応援してくださる沢山のファンの方々と、新たに 心強い支えを得て、今後ますます頑張って参ります」と報告していた。5日には東京・六本木STB139スイートベイジルでニューアルバム発売ライブを開催、そこで改めてファンに報告する。



 岩崎良美って50歳だったんですね。にしては若さと美貌がありますよねー。

 なんか記事に「医師と患者の関係ではなく・・・」って、当たり前なんですけどね。むしろその関係で付き合ったら医者としてプロ失格というか…。

 53歳の大学病院勤務ということはかなりの実力をもったベテランですからねぇ。ホイホイ20代の子と結婚するより好感持てます。おめでとうございます。
posted by さじ at 02:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

2011年10月04日

2011年度の医学生が選ぶ初期臨床研修大学病院は東京大学が初の1位に

東大強し、研修先人気トップ、震災の影響は軽微か

 2012年4月からの臨床研修先を決める2011年度医師臨床研修マッチングの「中間公表」の結果が9月30日発表された。

 79の大学病院本院について、1位希望として登録した人数(1位希望人数)でランキングすると、トップは東京大学。2位が東京医科歯科大学。2010年度のマッチングでは、両者の順位は逆だったが、両大学が1位と2位を占める構図は変わっておらず、「二強」は健在だ。

 3位は東京女子医科大学(2010年度4位)、4位九州大学(同9位)、5位大阪市立大学(17位)で、いずれも順位がアップした。

 今回のマッチングでは、東日本大震災の影響から、被災地の大学の希望者数が注目されたが、いずれも震災以前から上位に入る大学ではなかったこともあり、「中間公表」の時点ではその影響はあまり見られない。福島県立医科大学は71位、1位希望人数は13人(2010年度の中間公表時点の1位希望人数10人)、東北大学は74位、1位希望人数は11人(同15人)、岩手医科大学は79位、1位希望人数5人(同6人)だった。

 今後、希望順位登録の変更は可能で、10月13日が最終締め切り。マッチングの最終結果は10月27日に公表される。



 初期臨床研修医として2年間研修する病院を決めるマッチング。

 万年2位だった東京大学が、今年初の1位に。

 1位を維持し続けてきた東京医科歯科大学ですが、119人の枠に96人しか集まらず、残念ながら2位に。

 (東大病院は、まぁ規模も大きいということもあり、募集人数が134人と全大学病院中最高の募集人数というカラクリもあります)

 注目は最近人気の高い東京慈恵会医大でしょうか。51人枠に57人が1位希望というなかなかの人気っぷり。関連病院もあるし私立なのに伝統があってフレキシブルな研修が出来るんでしょうかね。

 各々の大学でその良さはあると思うんですけれど、それを活かして自分の学生にアピールすれば、かなり残ってくれるんじゃないかなぁと思いますけれどもね。ここで勉強したら絶対モノになるっていう強みのある大学(研修医の教育を考え、そこに人材と費用としっかりと使っている大学)には、やっぱり集中しますよ。
posted by さじ at 20:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

2011年10月02日

外科医の7割が当直後に手術をし、8割は手術の質が低下していると。

外科医の7割、当直後にも手術 「待遇改善必要」と学会

 外科医の約7割が、過去1〜2年に当直明けにも手術に参加した経験があり、このうち約8割は手術の質が低下することがあると感じているとのアンケート結果を、日本外科学会が29日発表した。

 07年に発表した同様の調査と比べ、当直明けの手術経験の割合も勤務時間もほとんど変化がなく、同学会は「外科医療は医師の頑張りで支えられているが、危機的な状況にある。待遇改善をしなければならない」と訴えている。

 3月に約3万8千人の会員の1割を抽出してアンケートの対象とし、約千人から回答を得た。

 当直明けの手術の参加は「いつも」31%、「しばしば」26%、「まれに」が15%だった。



 まあ、辛いですよねぇ。

 そもそもこの当直制度ってのが末恐ろしい。

 夜通し、眠れない可能性もある当直をして、その次の日に通常勤務を行うって、睡眠不足状態で働けってことですからね。

 今までは「努力」「根性」で片付いていたところもあるかもしれませんけれど、それによるミスも今までは軽視されてきたわけで。

 患者優先の医療を提供するためには、やはり万全の体調で手術に臨むべきです。そのためには外科医の負担を何としても減らさなければいけないのですけれど、マンパワー不足からも、なかなか難しい。

 そしてそんな多忙な外科に行きたいと思う若手医師が多いはずもなく、というところでしょうか。外科に興味があっても、最終的に外科を選ばない研修医を大勢みてきましたが、分からないでもない、と思うぐらい外科医は多忙です。他の科の1.5倍ぐらいの給料でも払えばある程度まかなえるかもしれませんけれど、国や国民は『医療費は削減しろ』と言うし。

 泥沼。

医学処:どうしたら当直明けの勤務がなくなるのか。偉い人たちで議論してみた。
posted by さじ at 12:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

2011年09月25日

早稲田大学医学部新設に奮闘する茨城県と医師会の対立

早大に医学部新設打診 茨城県、医師不足解消狙う

 県が早稲田大(東京都、鎌田薫総長)に対し、医学部の新設誘致に乗り出すことが関係者の話で分かった。既に県関係者が笠間市の県畜産試験場跡地を候補地として提案しており、今後、誘致活動が具体化するとみられる。県は医師確保を最重要課題としており、医学部誘致が医師不足解消につながることが期待されるが、国は約30年間、医学部新設を認可しておらず実現に向けて課題は大きい。

 関係者によると、早大医学部の新設誘致は、早大と縁があるベテラン県議がパイプ役を務め、協議を進めている。既に笠間市平町の県畜産試験場跡地を候補地とする具体的な案も示している。

 厚生労働省の調査によると、平成20年の県の医師数は人口10万人当たり153・7人と全国ワースト2位で、県内には医療過疎地域も多い。

 県は昨年、ドクターヘリを導入して救急医療体制の充実を図ったが、根本的な医師不足は解消されていないのが現状だ。

 橋本昌知事は21年の知事選で、マニフェストに大学医学部誘致を掲げた。早大医学部誘致にも積極的な姿勢を示しているとされる。

 ただ、文部科学省などは医学部新設に慎重姿勢。昭和54年以降、新設は認められていない。今後、橋本知事をはじめ県幹部が早大への働きかけを強めていくとみられる。



茨城県の医学部誘致に反対する県医師会幹部

 医学部誘致を公約とする茨城県の橋本知事が早稲田大学(鎌田薫総長)に新設医学部の誘致を打診したことについて、県医師会(斎藤浩会長)は21日、水戸市の県メディカルセンターで記者会見を開き、教員確保で全国の医師不足に拍車をかけるなどとして、医学部の新設・誘致は不適当と批判した

 斎藤会長は18日に知事に会い、「おやめなさい」と進言したことも明らかにした。

 医学部の新設・誘致に反対する理由として、県医師会は「教員確保のために医師を集めれば全国の医師不足に拍車をかける」「既存医学部で入学定員の増加を図っている」「中小医療施設や有床診療所などの経営に影響する」「医学生は卒業後に出身地へ戻る可能性もあり県の医師不足解消にならない」の四つを挙げた。

 県医師会によると、医学部の入学定員は、1981〜84年度に年8280人だったが、その後の抑制政策で2003〜07年度は年7625人に減少した。04年度に始まった臨床研修制度で大学に医師が残らず、都市部の医療機関などに流れたことで地方の医療機関への医師配置システムが崩壊し、各地で医師不足が顕在化した。

 県内の医師数(2008年)は人口10万人当たり162・1人で、埼玉県に次いでワースト2位。二次医療圏別では、筑波大のあるつくば医療圏の同342・3人に対し、県北の常陸太田・ひたちなか医療圏は同90・9人と3分の1にも満たず、偏在も問題になっている。医師確保を県の喫緊の課題とする橋本知事は、09年8月の知事選で医学部誘致を公約とした。

 一方、国は08年度から医学部の入学定員の増員や、地域枠などを設ける医師確保策を講じており、県医師会の小松満副会長は「ハコモノを造れば壊すことはできない。融通性のある既存のシステムを維持すべき」と述べた。また、少子高齢化や人口減少の影響にも触れ、斎藤会長は医学部を新設すれば医師過剰になる恐れもあるとし、「大きな禍根を残す」と批判した。

 早大誘致を巡っては、橋本知事が6月下旬、鎌田総長に宛てて、医学部新設の際の県内立地を求める文書を提出。中央病院、こころの医療センター、リハビリテーションセンターなど県立の医療施設が近接する笠間市の県畜産試験場跡地(約35ヘクタール)をキャンパス候補地に挙げ、教育、研究に各施設を活用してほしいとの協力姿勢を示している。



 難しいところなんですけどね、こういうの。

 簡単に考えれば、医学部をたくさんつくればそれだけ医者が増えるじゃないか、というのは、まぁ分からんでもない話です。

 ですが大学病院の運営というのはとてつもない労力(=医者)がかかるわけでして。大学の生徒数以上の教員が必要となるのです。

 そして医学部というのは知識の蓄積ですんで、例えば今早稲田大学医学部を作ったとしても、最初の20年ぐらいは教育レベルも十分でない気がします。

 早稲田大としては、そりゃ己のブランド力を高めるために医学部は喉から手が出るほど欲しいでしょう。ですが、早稲田に医学部を作っても、良い医者がすぐに出来るかというと微妙ですね。個人的には国際医療福祉大学と聖路加国際病院の提携しての教育ぐらいのインパクトがないと難しいのではないかと。

 あと言われているように、早稲田ブランドだと、茨城に作ったところで医師不足は解消できないんじゃないかと思いますねぇ。それならば茨城にいまある病院を使って、育てられる医師の数を増やした方がいいと思いますけれどね。

 と、いうマイナスの面と、早稲田大学医学部というありそうでなかったものが誕生するかもしれないワクワク感。いいですね。
posted by さじ at 04:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

2011年09月19日

初期臨床研修医の被災地離れが深刻。前年の半分程度。

焦点/研修医被災地離れ/医師確保募る危機感

 東日本大震災の影響で、若手研修医の「被災地離れ」が懸念されている。震災の混乱で沿岸部の病院は来年度の研修医の募集活動が十分できず、被災地のマイナスイメージで応募が減ったケースもある。研修医の確保は医師が地域に定着するための大きな要因になっており、将来の医師不足につながりかねない深刻な事態。自治体や各病院は復旧状況や研修内容をアピールし、人材確保に躍起になっている。

 「来年度の研修医の応募は昨年同時期の半分。震災の影響は懸念していたが、これほど少なくなるとは」。宮城県内の総合病院の担当者は危機感を募らせる。

 「病院は復旧し、研修体制も通常通り整っている。しかし情報が十分に伝わらず、被災地として敬遠されてしまった面がある」とみる。

 大きな被害を受けた被災地の病院では震災から1カ月以上、災害対応や交通の寸断などで医学生の病院見学を受け入れられなかった。予定していた説明会も開けなかった。

 「正確な情報の発信や復興に向けた人材の必要性のアピールに力を入れないと、地域の医師不足を加速させかねない」とある病院の担当者は危惧する。

 2004年度に導入された「新臨床研修制度」により、新人医師らは指定された全国の研修病院の中から研修先を自由に選択できるようになり、医師が都市部の病院に集中する傾向が加速した。

 岩手、宮城、福島の被災3県をはじめ東北各県では、震災前から研修医が募集定員を大幅に下回る状況が目立ち、医師不足に拍車を掛ける大きな問題となってきた。

 中でも福島県は福島第1原発事故の影響で、人材流出が深刻。福島県立医大病院は「放射線への懸念もあり、来年度の研修医の応募は低迷している。本人が希望しても、家族が反対するケースも少なくないようだ」と悩む。

 8月には県内外の医学生を対象に、浜通りの病院で現地の医師の体験談を聞くなどの「災害・放射線被ばく医療研修」を実施するなど、福島の医療を支える人材の確保に懸命だ。しかし原発事故がいつ収束するか見通しが立たず、対策は長期に及びかねない。

 厚生労働省の調査で、必要な数に対する実際の医師数が全国で最も少ない岩手県も危機感は強い。県は本年度、県内の研修病院を見学に訪れる医学生に対し、交通費を全額支給するなどの対策を打ち出した

 来年度分の研修医の人数は最終的に、病院側の選考と学生側の希望順位を合致させる「マッチング」を経て10月末に確定する。厚労省は「被災地の研修医確保は重要な課題。マッチング結果を見た上で、対策を検討したい」(医師臨床研修推進室)と説明している。

 研修医の「被災地離れ」を防ごうと、東北の病院は医学生らを対象とした実習などを企画し、復興に向けた人材の必要性を訴えている。東北大病院は8月、全国の医学生らを招いて沿岸部の研修病院を見学したり、宮城県南三陸町で訪問診療を体験したりする「被災地医療実習」を開催。計32人の参加者が被災地の医療現場の最前線を経験した。

 「体温を測りますよ」。8月29日、南三陸町の仮設住宅。被災地医療実習に参加した医学生ら5人が南三陸診療所の訪問診療に同行し、90歳の女性の健康状態をチェックした。

 「高齢者が多く、被災地の医療ニーズの高さを痛感する」。終了後、関西地方から参加した医学部4年の女子学生はこう感想を話した。

 東北大病院は被災した東北地方で働く医師の確保につなげようと、8月1日から計4回、全国の医学生を対象とした3日間の実習を企画した。被災地の医療現場を自分の目で見てもらい、医療の必要性を感じてもらうことが狙いだ。往復の交通費は全額、東北大病院が負担した。参加者らは南三陸診療所のほか石巻赤十字病院、東北大病院を訪問し、実習を通じて一線で働く医師らと交流した。

 参加者の大半は首都圏などの出身者だったが、終了後のアンケートで回答者31人中5人が「被災地で働いてもよい」と回答。25人が「条件が合えば働きたい」と答えた。

 企画を担当した東北大病院卒後研修センター助教の田畑雅央医師は「被災地にまず来てもらい、被災しながら頑張っている医師や患者に直接接することで何ができるか考えるようになる。何もしなければ医師は減っていくだけだ」と強調。「参加者には東北の情報を発信し続け、宮城や東北で働くことを意識してもらいたい」としている。



 まぁ分からんでもないですけどねぇ。安易に考えちゃったら、まともな研修は出来ない、と思ってしまいがち。

 ですけど、医療の普及は最優先で行われてきたはずですし、相当回復していると思うんですよね。というのが一点と

 初期研修の2年間を、被災地の医療として、医者的経験値にしてしまう絶好の機会なのでは。というのがあるんですよねぇ。総合診療医を目指す人だったら普通以上に経験になるのでは。そこらへんを分かっていて首都圏から行く人は結構いそうですね。
posted by さじ at 00:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

2011年09月18日

日大医学部付属練馬光が丘病院撤退問題、練馬区側と日大に翻弄される住民

病院撤退 溝深く

 来年3月末に撤退する日大医学部付属練馬光が丘病院を巡って、誘致した練馬区と同病院を運営する日本大学(本部・千代田区)との間で、不信感が広がっている。区は16日にも後継の医療機関を公表する予定で、土地建物の無償貸与や、開院にあたっての工事費負担などを好条件を提示して選定作業を進めているが、現段階で応募しているのは2団体だけ。地元住民からは「撤退する日大並みの医療水準が確保できるのか」と不安の声も上がっている。

 「撤退理由が分からない」。区がそう不快感を表明するのは、区側への説明が不十分と感じているからだ。

 区によると、日大側が区に撤退を初めて持ち込んだのは昨年2月。「弁護士同席で『赤字なので来年3月で撤退する』と言われ、非常に驚いた」。区地域医療課の新山博己課長はそう振り返る。

 同病院の土地と建物は区が所有しており、賃貸契約は30年。開業は1991年で、「契約通り30年間は運営すべきだ」とする区側に対し、日大側は「民法上の契約期間は20年で終了した」と通告したという。

 日大側は09年9月、病院経営が悪化しているとして、区に支援を要請。区は09、10年度の建物賃料、計1億3200万円の免除などを決定しており、新山課長は「年4〜5億円の赤字と言うが、昨年度は1億円に圧縮された。今年度は黒字化が見込まれている」と語る。

 日大側は、区が行った病院への支援格差に不満を表明した過去がある。

 同病院は91年、医師会立病院が経営悪化で撤退後に設立。区は日大側に対し、当初5年間の賃料免除のほか、工事費用33億円を支出する支援を行っている。

 しかし、慢性的に区内の病床数が不足している練馬区では、同病院の開業後も事態が改善しなかった。都が設定する、区西北部保健医療圏(練馬、豊島、板橋、北区)の病床数は人口10万人あたり789床だが、練馬区内はその約3分の1で、23区内では最低水準。

 このため、区では新病院の誘致を決定、05年に同区高野台に順天堂大医学部付属練馬病院が開院した。この時に区が病院建設資金など行った補助は計約70億円に上った。日大側が09年に、区に経営支援を依頼した際、「近年開設された区内の他大学病院の取り扱いとは大きな差がある」と指摘し、不公平感をにじませた。

 7月15日の撤退公表を受け、区は8月に急きょ、後継運営主体の公募に踏み切った。公募条件は「日大と同水準の医療提供」で、日大病院が撤退した後の土地、建物の無償貸与や、開院のための刷新工事費用の区負担なども盛り込んだ。

 8月5日に行われた説明会には15団体が参加したが、応募したのは4団体。その後、「医療スタッフを確保できない」として2団体が応募を取り下げ、残るのは、都内の公益社団法人と、医療法人の2団体だけだ。

 医療関係者は、区側の公募条件について、「必ずしも好条件とはいえない」と指摘する。ネックとなるのが、「日大並み」の規模を求めている点で、関係者は「応募したのが2団体しかなくても、『引き受けたい』という病院があるだけでもありがたいのでは」と指摘している。

 日大医学部付属練馬光が丘病院について、7月15日に日大や区が行った撤退の公表が唐突だったとして、地元住民などの間では反対の声が高まっている。

 同病院の撤退を巡っては、地元住民のほか区医師会などから反対の声が上がり、同病院関係者や日大医学部の関係者も加わり、「病院の存続を求める区民の会」を結成。撤退に反対する約1万5000人の署名を集め、区長に提出した。

 同会事務局長の神津真久さんは「区長と理事長の話し合いさえされていない。区は撤退の意思を変えようと、本当に努力したのか」と語る。また、駿河台日大病院の小児科医局長を務める斎藤宏さんは、「撤退で地域の医療水準が下がってしまう」と懸念する。

 日大広報課は「撤退の方針に変更はない」としている。



 うーむ、これは日本の抱える問題を今まで無視してきた結果だと思う…。

 そもそもこれだけ必要とされていて、かつ、多くの患者をひっきりなしに対応している病院が、何故赤字なのか。色々免除された上で、年4、5億の赤字。これじゃヤバいと思って努力を重ねても年1億の赤字。

 それってつまり、医療費が安すぎるんじゃないの?

 赤字が日大の落ち度だったとは思えないんですよねぇ。一番解せないのは、練馬区側が住民に伝えたのが、撤退直前になってからというところ。そういう意味で住民は被害者だと思います。

 あのー、まぁ細かいところは、日大が悪いとか練馬区が悪いとか、色々あるでしょうけれど、今後こういうことのないようにするには、やっぱり医療費を増やさなきゃいけないと思うんですよね。正当な報酬を病院に与えるべきというか。

 そのためにどうすりゃいいかっていうと、増税はやむをえないかと。開業医へのメリットではなく、こういう総合病院を経営することのメリットとして。

 細かいことは、情報が少なすぎて何ともいえませんけれど、ここのコメントのところが結構面白かった
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2011年05月12日

どうしたら当直明けの勤務がなくなるのか。偉い人たちで議論してみた。

医師の長時間勤務、交代制の評価で解決可能か 実態調査の実施へ、「診療報酬での対応は限界」との指摘も

 厚生労働省の中央社会保険医療協議会総会が3月2日に開催され、「病院医療従事者の負担軽減(その1)」について議論した。

 中でも重点課題として上がったのが、長時間連続勤務への対応。同省保険局医療課長の鈴木康裕氏は、各種調査などを基に、勤務医の長時間労働や当直明けの勤務などが問題になっている現状を紹介、特に産婦人科、救急、外科などで厳しい状況が続いているとした。その上で、「特に、リスクが高い業務に長時間連続勤務を行うことについて、どう考えるか。まずはこれをきちんと把握し、それにどんな対応をすべきなのかを検討したい」と説明した。

 具体的対応策として、(1)勤務が交替しても、主治医は変わらない「主治医制」で、夜勤後、十分な休息を確保する方法、(2)勤務の交替に伴い、主治医も代わる「グループ担当医制」で、勤務後の休暇を確保する方法――などがあるとした。(1)の「主治医制」の例としては聖マリア病院産科を、(2)の「グループ担当医制」として、藤沢市民病院小児科、徳島赤十字病院小児科を例示。それぞれメリット、デメリットがあるものの、例えば、藤沢市民病院では小児科医が13人いるなど、3病院とも医師が比較的豊富なために、こうした対応が可能だと言える。 

 もっとも、長時間連続勤務の実態調査には同意が得られたものの、その対応策については様々な意見が出た。総括すれば、長時間連続勤務だけでなく、勤務医の負担軽減には、総合的な対策が必要であり、それを講じるには、診療報酬上の対応だけでは限界があるという指摘だ。

 診療側からは、まず日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏が、「交代制勤務は、一つの科に多くの医師がいないとできない。交代制勤務への対応では、極めて限られた施設の評価に終わってしまうのではないか」と指摘、その上で、(1)2010年度診療報酬改定の評価を行い、効果がある施策の拡充、(2)診療以外の業務の負担軽減、医療クラークの慢性期分野への導入、(3)大病院の日中の外来負担軽減のための、中小病院や診療所との連携推進、(4)女性医師対策の実施、(5)時間外の選定療養費の徴収――など、「現実的な対応からまずやっていくべき」と提案した。

 国立がん研究センター理事長の嘉山孝正氏は、「調査に当たっては、都市部と地方では事情が違うので、この点を調べることが必要」と指摘、「特に勤務医の負担になるのが当直だが、交代制勤務の導入は、(対応可能な患者数が減少することから)アクセスの制限、つまりは制度設計を変えることにつながる。そのことも国民も覚悟しなければならない」とつけ加えた。厚労省は、こうした点まで踏まえて提案しているのかを質した格好だ。さらに、「非常に重要な患者を診ている際に、軽症の患者に、『先に診てくれ』など医学的に理不尽なことを言われるという精神的な負担感も大きい」とし、単に診療報酬上での対応にとどまらず、国民の理解を得ながら、勤務医の負担軽減策を検討していくことが必要だとした。

 専門委員の日本看護協会副会長の坂本すが氏も、「急性期病院で一緒に働いてきたものとして、勤務医の長時間勤務問題の解決は急務であり、今この時期に本当に手を打たないと問題」とコメント。例えば産婦人科では、帝王切開が増えているため、24時間オンコール体制も多いなどの現状を例示し、実態調査を行い、議論を進める重要性を強調した。

 一方、支払側からも、健康保険組合連合会専務理事の白川修二氏は、「長時間勤務に関する調査はやってほしい。地域、診療科、病院の規模によっても異なるので、この辺りの実態把握も必要」と述べ、その上で、「長時間勤務になるのは、簡単に言えば、医師が少ないからではないか。それを当直明けの勤務免除といった、診療報酬で対応をするのは限界があるのではないか」と指摘、まずは実態を把握し、国の政策として総合的に取り組むことが必要だとした。



 難しいですよねー実際。

 当直っていうシステムそのものをもっとうまくできないものですかね。どうでもいい軽症患者が来るだけで1時間は最低費やされますし、そういう患者が4人もこようものならほとんど眠れなくなりますからね。

 それってもう、普通だったら「夜勤」として対応するところじゃないですか。

 でも医者は「当直」。その前の日中も働き、当直あけも働くという、わけのわからないシステム。

 どうしたらいいんですかね。

 開業医に手伝ってもらうってのが、一番マンパワーが稼げる現実案かもしれません。

 もしくはベッドフリーの大学院生に、外のバイトではなく夜勤をやってもらうとか。

 いい案ありませんかね。現実的な。
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2011年05月10日

初期研修を出身大学の県で行うという案の撤回を表明する

初期研修は出身大学の県で」との提案を撤回、日医

 日本医師会は、医師養成制度の改革案について、2011年1月に発表した「初期臨床研修は、原則、出身大学の所在する都道府県で行う」との提案を撤回し、「出身大学に設置された臨床研修センターに軸足を置きつつ、研修希望者の意思を勘案し、地域を定めず研修先を決定する」との方針に転換したと発表した。

 三上裕司・常任理事は、初期臨床研修を原則、出身大学の所在都道府県で行うとした案に対し、都道府県医師会や関係団体から反対意見が多く上ったと説明。また、一般教養を「医学教養」として見直すとの提案にも、リベラルアーツの重視を求める指摘があり、見直しを行ったとした。

【石川県代議員・紺谷一浩氏の質問(個人質問)】

 医師は、患者・地域住民の健康と命を守る極めて倫理性の高い職業であり、医学教育においては、広くリベラルアーツを学ぶことが極めて重要。日医の医師養成改革案では、一般教養を見直し、医学教養とするとしている。リベラルアーツに充てる時間が全く担保されておらず、深い思索・探求力を陶冶することが事実上困難。

 また、医学部教育6年間、初期臨床研修2年間を出身大学の所在都道府県で行うとのことだが、大学医学部の設置状況と国民の生活区域、住民数はミスマッチしており、さらに高等学校終了時という未成熟な若者に、8年間の行動様式を強要することになる。現在の医師不足・偏在を解消するために、研修医の行動を拘束することはナンセンスである。医師偏在の解消が大きな動機であり、医師の生涯教育の観点が抜け落ちている。

【三上裕司・常任理事の回答】

 医師養成についての日医案は、1月に提示した段階では、今後、検討を深めることを前提としていた。しかし、その説明が不十分であり、成案として受け止められ、混乱を来たしたとすれば、誠に遺憾であり、お詫びする。都道府県医師会・関係団体から様々な批判を含む意見をいただいた。

 リベラルアーツの重要性について、立花隆氏は、「リベラルアーツはバランスの取れたジェネラルな知識を与えることで、物事をトータルに見ることができる人間を育てようとすること」(1997年『知的亡国論』)と述べている。また、病院団体からも、「面接の際、研修医にリベラルアーツが欠けていることを実感する」との意見があった。そこで、医師がリベラルアーツを学ぶことの重要性に鑑み、「一般教養のあり方を見直し、大学6年間を通じたリベラルアーツ教育により、医師としての資質を涵養する」と変更した。

 出身大学の所在都道府県で医学部・初期研修の8年間を過ごすことについては、医師の地域偏在を解消し、若手医師が地域医療を担ってくれることを期待したものだった。しかし、これには賛成もあったが多くの批判もあった。そこで、「研修希望者は、出身大学に設置された臨床研修センターに登録し、臨床研修センターは研修希望者の意思を勘案し、地域を定めず研修先を決定する」との内容に修正した。研修希望者は、母校に軸足を置きつつも、希望する研修機関で体系的な研修を受けることができる内容の提案とした。

【北海道代議員・畑俊一氏の質問(ブロック代表質問)】

 次の3点について、どのように考えるか。(1)将来の状況変化を踏まえた適正医師数、(2)女性医師の活用、(3)医師の地域偏在・診療科偏在にいかに取り組むか。

 (1)日医は、昨今の医学部定員増、またわが国の人口減により、医療需要に対処できる一定の医師数は確保できると推計している。しかし、高齢化による有病率・重症率の上昇、医療の高度化、在宅医療推進、プライマリケア医・臓器別専門医の割合、女性医師の活動度合いなど、従来の人口1000人当たり医師数という概念を超えた考慮が必要となり、医師養成数のあり方について弾力的な対処が求められる。

 (2)女性の医学部入学者・29歳以下の医師に占める割合が増加しているが、ワーク・ライフ・バランスの確率していないわが国において、女性医師の勤務環境は過酷。現実に、地方で勤務しない、ハードな科を選択しないなど、医師不足・医師偏在の問題に、女性医師の問題が大きく関わっていることは事実。女性医師が希望を持って働く環境を整備しなければ、医師養成数は確保されても、実働医師数は増えない。

 (3)医師養成制度改革案における、「原則として出身大学の所在都道府県で初期臨床研修を行う」との考えは、医師の地域偏在解消の糸口となる、説得力のある案と思われる。しかし、現状では、地方では優秀な学生が中央を目指し、地元医学部受験を避ける可能性が危惧される。また、既に都道府県の枠組みを越えて医療連携が進んでいる地域もあり、時代に逆行しているとの意見もある。

【羽生田俊・副会長の回答】

 (1)適正な医師数の基準は、総論的には人口1000人当たり医師数であり、現在日本は2.2人(OECD加盟33カ国中30位)。OECD平均の3.1人をまずはクリアしたい。地域における必要医師数は、年齢構成、疾病構造、面積・地形、人口分布、医療機関数・形態、診療科分布、患者ニーズの変化などによって異なる。複数因子を考慮しつつ、必要医師数の見直しを適宜行っていく。必要医師数の実態把握について、日医の「医師確保のための実態調査」(2008年)、厚生労働省「病院等における必要医師数実態調査」(2010年)では、いずれも「現状の1.1倍程度の医師数が必要」との結果だった。しかし、これらはあくまで現状の必要数の調査。勤務医の過重労働を緩和し、あるべき医療を提供するための必要医師数については、今後、継続的に調査・把握し、それに応じた見直し・提言を行っていく。

 (2)今年度の医師国家試験では、女性医師の割合は32.5%。女性医師が妊娠・出産・育児を理由に離職してしまうことがないよう、勤務環境整備・支援策が肝要。女性医師の勤務環境改善は、男性医師の勤務環境改善にも繋がることは周知の事実。確かに、女性医師の診療科別医師数比率では、外科系・救急医療などが低い傾向となっている。しかし、医師不足、勤務医の過重労働、不確定要素の多い医療への国民の過剰な期待、医療事故責任追及への恐れなどから、若い世代の男性医師も、勤務が過酷であり、リスクの高い診療科を回避するようになってきており、仕事よりも自身の生活を優先する傾向がある。そもそも医師偏在は、長年の医療費抑制策が主因。今後も医師の勤務環境改善に全力で取り組む。

 (3)改革案発表後、各都道府県医師会などから意見をいただき、見直しを行った。当初、「原則、出身大学の都道府県で初期臨床研修を行う」としていたが、「出身大学に軸足を置きつつも、研修希望者の意向を勘案し、出身大学の都道府県以外も含めて研修先を決定する」と、弾力性を持った内容に変更した。初期臨床研修を成果あるものにするために、医師会・大学・医療機関・行政・住民の参加による「医師研修機構」の創設、卒業生の軸足となるべき出身大学の臨床研修センターを置くとの方針には変わりはない。また、臨床研修の定数は卒業生と概ね一致させる必要があると考えている。



 まあどこで研修しても大学病院ならば同じだと思いますが、研修医がそこを選ぶような魅力的な病院づくりが必要ではありますね。

 女性医師問題は難しい。出産後に受け入れる体制が整っているかというと、そうではないですよ、実際。いくら「頑張ってる」といっても、そこまで気にかけられないという病院は多いのでは。

 まあそれは病院のせいではないんですけどね。病院が赤字になってしまうような医療政策なのがいけないのであって。保育施設を作るとか、そういう費用を当たり前のようにどんどん使えるような病院ならば女性医師もそこで働けるんですけれどもね。難しいが。
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慶應大学初の女性臨床教授。何と慶應大出身ではなかった。

慶應大初の女性臨床教授、「迷いはない」 - 慶應義塾大学呼吸器内科教授・別役智子氏に聞く

 この4月、慶應義塾大学に二つの意味で異例の臨床系教授が誕生した。この3月まで、北海道大学呼吸器内科准教授を務めていた、別役智子氏だ慶應大で女性の臨床教授は初めて。また、慶應大出身者の教授が多い中で、北海道大学出身、その後も北大に勤務し、慶應大には今回の教授就任を機に初めて所属する点でも異例と言えよう。

 「慢性の呼吸器疾患の難しさ、そして患者さんの願いを叶えることができないもどかしさを日々感じている」と語る別役氏は、「呼吸器疾患の基礎と臨床の両輪で進め、良き臨床医、研究者を育てていきたい」との抱負を語る。

 ――まず先生のご略歴をお教えください。

 1989年3月に北海道大学を卒業し、第一内科に入局、北大やその関連病院で研修をしています。最初から呼吸器内科を専門にしていました。その後、1996年から2000年までの4年間、米国ミズーリ州セントルイスのワシントン大学に留学しています。帰国後は北大に戻り、第一内科の助手、講師、2008年4月には准教授になりました。

 ――留学先ではどんな仕事をされていたのでしょうか。

 留学前は、仕事のほぼ100%は臨床でしたが、留学先では基礎研究に従事しました。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)やCOPDの病態などの研究です。4年間の留学期間はやや長い方かもしれませんが、このまま米国で仕事を続けようかとも考えてくらいです。

 ――その後は、研究と臨床の両輪で。

 多くの先生方もそうだと思いますが、平日の日中は診療し、夜や週末に研究する日々でした。平日でも時間が空けば、論文を書いたりする。いつも患者さんのことを考えている一方で、「あの研究はどのように進めようか」などと常に思案しています。

 ――先生は、呼吸器疾患でも、COPDや肺気腫を専門にしています。これらの患者さんの臨床上、心がけていることは何でしょうか。

 日々の臨床では、慢性疾患の難しさ、そして患者さんの願いを叶えることができないもどかしさを感じています。

 慢性呼吸器疾患の患者さんの場合、10年以上のお付き合いになることも少なくありません。患者さんの中には、「20年以上も前に禁煙したのに、なぜCOPDがよくならないのか」、「間質性肺炎の原因となった薬の服用をやめているのに、進行していくのか」などと嘆く方もおられます。慢性呼吸器疾患の場合、徐々に進行したり、突然何らかのきっかけで急性増悪することがあります。しかし、そのきっかけが分からない。これは私のリサーチのテーマでもあります。

 患者さんとしては、元の体に戻りたいために、私を信頼して受診してくださるのに、それができない。さらに患者さんが高齢化すると、合併症も生じてくる。この意味で、慢性呼吸器疾患は、「Aging医学」とも言えます。

 最近では長年診ている患者さんが、がんになるケースも増えています。COPDや間質性肺炎などがベースにあると、肺がんのリスクが高まります。せっかくCOPDをコントロールしていたのに、がんが発見される。しかも、これらの疾患があると、手術、放射線療法などが難しく、新薬も使えないことが多いなど、治療上、様々な制約があります。こうした状況は、肺がんを早期発見した場合でも、患者さんにとっては非常にショックなことです。

 私はオンコロジストではありませんが、2010年3月から、またワシントン大学のDepartment of Developmental Biologyに留学したのは、これまで慢性疾患を診ていた立場から、がんについて研究するのが目的でした。肺がんの臨床のほか、臨床研究の手法を学び、肺がんのモデルマウスを使った研究などもしていました。

 ――2010年3月に留学した時点では、北大に戻る予定だったのでしょうか。

 はい。その後、慶應大の教授就任のお話をいただきました。

 ――お話を聞いた時、どう受け止められたのでしょうか。

 正直、驚き、北大の所属医局の教授に相談しました。そうしたら、「ありがたいお話」だと。その後、履歴書を提出し、今後の展望などをプレゼンテーションするために昨年6月に一時帰国しました。その際、質疑応答もしています。

 ――どんな質問を受けたのでしょうか。

 幾つか質問されましたが、例えば、「初の女性の臨床教授になることに、覚悟はありますか」、「不安は」などです。でも私自身、様々なところに行き、友人を作ったり、違う世界に入り、仕事をすることが苦手ではありません。だから迷いはありませんでした。最終的に今年2月末の教授会で決定しました。

 ――先生は長年、北大に所属していたわけですが、慶應大のことをどのように見ておられたのでしょうか。

 私たちは、他施設の先生方と学会などで知り合いになっても、その大学の仕組み、制度、教育方針などについては、意外に知りません。ですから、慶應大のことについても、一般の方と同じくらいのイメージ、知識しかなく、あまり詳しくは知りませんでした。

 ――例えば、どんなイメージでしょうか。

 そうですね。例えば、いい意味でも、またそうでない意味でも、慶應大の教授は、慶應大を出身された方が多い。

 ――それはどのような意味でしょうか。

 北大には、様々な大学の出身者がいました。他大学から来た先生がきっかけとなり、新たな交流が生まれたりしていました。また、北大に来て、新しいことを始める人も多い。だから、今度は、私がこうした役割を慶應大で果たせれば、と考えています。

 また国立大学と私立大学の違いもあります。教授選考過程で感じたのですが、先生方の慶応大に対する愛情、思い入れは非常に強い。自分たちの大学をさらに発展させていこうという姿勢を感じ、非常にすばらしいことだと感じました。

 ――今後の抱負をお聞かせください。

 教室のスタッフには、呼吸器疾患の基礎と臨床、どちらかに偏ることなく、両輪で進めていきたいとお話しました。例えば、一人ひとりの医師の日々の仕事で、あるいはその医師のライフサイクルの中で、さらには当教室の中で、両者をバランスよくやっていきたいということです。こうした姿勢で取り組むのは、私自身がこれまでこのようにやってきたからです。私は、自分がやってきたこと以外は、スタッフに指示することはできない人間です。私自身が身に付けたことを後進に伝えていくのが私の役割。

 また私は、“箱を作りたい”と考えているわけはありません。外から見て立派な箱でも、仕方がありません。そうではなく、人が育つ環境を作り、ここから優秀な研究者、臨床医が育ってほしい。スタッフには、成長し、充実した日々を送ってもらいたいと考えています。

 もっとも、ここに来てまだ約2週間(インタビューは4月19日に実施)。私にとってすべてが新しいことですが、スタッフにとっても同様でしょう。私の前任の教授は、病気療養を経て、約1年半前にご逝去されています。教授不在の期間が続き、いろいろと不安に思っているスタッフもいると思います。お互いに心を開いて話し合い、私は何とかいい形でリーダーシップを発揮し、皆がいい仕事ができる環境を作っていきたいと考えています。

 先ほどもお話しましたが、私は、「背中を見せて」、育てるタイプ。知り合いのドクターは、私は自分自身に厳しいタイプだと思われているようです。でも先ほどもお話しましたが、自分がやらないこと、手を抜いていることを、若いドクターに押し付けることはできません。私が研究しないことを、研究者として強要することもできません。とはいえ、人をいかに育てるかは永遠の課題。私のやり方が正しかったのかどうかは、定年を迎えた時に振り返ってみて評価したいと考えています。



 初の女性臨床教授というのも確かに驚きですが、それ以上に「慶應が慶應卒以外の医師を教授にした」というほうが驚きです。

 結構閉鎖的な大学だと思ってたんですけど、ここまでするというのは。

 「慶應の卒業生だけを優先させることが自大学の繁栄に繋がらない」ということをが分かったのでしょうか。より優秀な人材をどんどん吸収していかなければ、叶いっこないですからねぇ。無駄な学歴主義やプライドは捨て置いて、患者のため、医学の発展のために進んでいただきたい。

 この教授を全力で応援します。陰湿なイジメみたいのが起こらないことを祈ります。まぁさすがに慶應といえど大人でしょうから、そのあたりは。
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2011年04月20日

リウマチや乳癌などの早期診断に使える超高感度のエックス線撮影装置を開発

東大と兵庫大とコニカミノルタがスーパーX線装置を開発

 東京大、兵庫県立大とコニカミノルタエムジーなどの研究チームは、従来より約1000倍も高感度のX線撮影装置を開発したと発表した。

 骨など硬い組織に比べ、従来のX線装置では撮影が難しかったがん細胞や軟骨などを画像化することができ、指先を動かす細い筋肉まで判別できる。実用化すれば、乳がんのより早期の発見や、関節の軟骨の異常からリウマチの早期診断が可能になるという。

 従来の装置は、X線が体を透過する時に吸収される量が多いほど濃い画像になる仕組みで、X線をあまり吸収しない軟骨などの撮影は困難だった。

 百生敦・東大准教授(X線光学)らは、X線が透過時にわずかに屈折することに注目。体の組織による屈折率の違いを識別し、画像にする技術を開発した。この方法なら軟らかい組織でも鮮明に写せるうえ、特にがんの診断に重要な線維組織や石灰化した組織が見分けやすいという。

 埼玉医科大と名古屋医療センターで献体の指やひざ、切除した乳がんの標本を撮影したところ、関節部分の軟骨が判別できたほか、乳管内にとどまっているごく初期のがんを見つけることができた。チームは今年中に生体の患部などを撮影する試験を始める方針だ。さらに開発を進め、集団検診などで使えるような装置の実用化を目指すという。

 百生准教授は「開発した新装置は、超音波診断装置やMRI(磁気共鳴画像化装置)より細かい部分まで撮影できる。造影剤も不要で、患者の負担軽減になる」と話す。



 画期的すぎる。

 造影剤いらずで、軟部組織も評価できるというのが凄い。しかもMRIよりも高感度とは。椎間板とか甲状腺の評価もしやすくなるんでしょうか。実用化が待ち遠しい。
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2011年04月18日

自治医大のOBで構成される「東日本大震災支援プロジェクト」とは

東日本大震災:首都圏から 自治医大OB、独自の診療活動 「患者、受け皿足りない」

 避難生活の長期化に伴い東日本大震災の被災地では、一時的な応援だけでなく、長期的に被災者を診る医療スタッフが求められている。全国の地域医療を支える自治医科大(栃木県下野市)の同窓会は、OB医師を約2週間ずつ交代で半年間派遣し続ける「6カ月プロジェクト」に取り組む。自治体などからの要請を待つのではなく、現地に入り医師不足の地域を調べて重点配置するなど「自立型」の支援が特徴だ。

 自治医大を卒業した医師は、それぞれの出身地でへき地・地域医療に携わることが義務付けられ、被災地でも多数の卒業生が働いている。震災直後、同大の同窓会(会員約3400人)は「東日本大震災支援プロジェクト対策本部」=本部長・尾身茂教授(公衆衛生学)=を設置。卒業生を対象に、被災地での医療ボランティアを呼び掛けたところ、全国から100人以上が名乗りを上げた。震災4日後の3月15日から、医師を7人ずつ約2週間交代で送り込み、既に計30人に達した。

 コーディネーター役の医師が「先遣隊」として被災地入りし、医療状況を独自に情報収集。医師が足りない地域へ重点的に医師を送り込む手法で、被災者や現場の医療関係者をサポートしている。機動性を重視しており、被災地での拠点地域も刻々と変化する。震災から1カ月が過ぎた4月中旬の現時点では、岩手県釜石市、宮城県登米市、南三陸町の3カ所で、病院・診療所での診察や避難所の巡回などに当たっている。

 「環境の良い2次避難所へ、被災者を移動させることも重要な任務ではないか」。今月9日、同大であった報告会。南三陸町や登米市で診察に当たった小橋孝介医師(30)=千葉県鴨川市立国保病院=はノロウイルスなどの感染症によって、避難所の環境悪化が拡大している点を指摘。「病院の復興計画など、医療も含めた被災地の復興ビジョンを話し合い、通常の保険診療に移行する方法を考える必要がある」と述べた。

 さらに、精神的なケアの課題も指摘。家族を失うなど精神的なダメージを負った被災者が避難所にはあふれているが、長期的に診療に当たる精神科医師はいない。「お互いに(被災者同士で)支え合うピアカウンセリングの方法などを、自治会長らまとめ役の人たちにレクチャーするのが良いのでは」と提言した。

 報告会では、北海道や沖縄から被災地に派遣された医師ら7人が被災地の医療態勢の現状を報告した。

 それによると現地では今、比較的被害の少なかった内陸部の病院へ、沿岸部から転院の受け入れ依頼が殺到している。大規模避難所から2次避難したり、救急病院で急性期を脱した患者が急増したためだ。しかし、内陸部で後方支援に当たる病院も満床状態で、受け入れができない状況だという。

 また、寝たきりや認知症などの療養患者は、入所していた福祉施設や自宅が被災し、帰る場所を失っている。香川県綾川町国保陶病院の柴崎嘉医師(41)は「患者を避難所に帰すわけにはいかず、病院はパンク状態。後方病院に加え、受け皿となる病院や福祉施設など生活の場が必要だ」と強調した。

 被災地で活動した医師のこうした体験や教訓は、交代で後に続く医師に伝えられ、支援の質向上に役立てられる。対策本部長の尾身教授は「卒業生は皆、医療の谷間を照らすDNAを持っている。地域医療への強い熱意を持った卒業生たちが被災地のニーズにどう応えるのか。その思いを示したい」と話す。



 大学の特性として、地域への派遣を行うのは今後の自治医大のためにも良いかもしれませんね。自治医大は国立とも私立とも違う、地域密着型を実践している優秀な大学です。今度医学部新設があるみたいですが、自治医大システムを採用した大学を西のほうに作ってみるのもいいんじゃないでしょうかね。
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2011年04月17日

難病研究のために欧米と連携する必要があると主張したい

難病研究、「欧米と連携した対応を」

 民主党の障がい者政策プロジェクトチームの「難病対策ワーキングチーム」は3月4日の第6回会合で、国立保健医療科学院政策科学部の金谷泰宏部長からヒアリングを行った。この中で金谷部長は、特に症例の少ない難病研究には、欧米と連携した対応などが必要だと指摘した。

 金谷部長は、難病に関する臨床試験の課題として、日本だけでは数例程度の症例しか集まらないケースが相当数ある点を挙げ、欧米と連携して対応する必要性を指摘。具体的には、欧州諸国を中心に30以上の国が参加している希少疾患研究のネットワーク「Orphanet」(オーファネット)が研究者と患者に向け、5000以上の疾患情報や治験・医薬品開発の最新情報を一元的に提供していることを踏まえ、日本国内でも難病研究情報を統一することや、欧米との研究協力を進めることが大事だと強調した。

 また、症例が少なくても適切に統計学的な処理を行えるよう、研究者にアドバイスできる人材の育成も必要だと訴えた。

 このほか、日本が参考にすべき点として、米国での臨床試験が希少疾患の患者団体と協議しながら行われることを挙げた。日本での臨床試験は、医師と患者の個人同士で行うために、患者がリスクなどについて十分な説明を求めづらく、患者が集まりづらいという。



 確かに難病といえど日本の場合どこで統一されているかというと正直よくわからない部分はありますね。もちろん大学によって得手不得手が違いますので、口コミによって、もしくは病院同士の紹介によって、集まる傾向にはありますけれど。

 やはり難病の研究のためには「症例数」がないとだめなわけで、研究のため、ひいては治療のためにも、難病患者をどこで治療するかという面で統一する事が必要になってくるでしょう。
posted by さじ at 23:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

全国の病院が、消費税の負担で苦しんでいる理由

消費税アップなら医療が崩壊する 「損税」になる制度の不公平訴え

 全国の病院が「消費税」の負担で苦しんでいる。医療機関の「損税」問題だ。複雑な制度の下で、年間の損害額は1病院平均で3000万円、私立医大では3億6000万円にものぼっているという調査がある

 借金財政さらに今回の大震災に必要な膨大な復興資金を考えると、消費税アップが現実味を帯びてくるなか、2011年3月中旬、兵庫県尼崎市で「医療と消費税〜不公平な消費税で医療機関が崩壊する」と題した初めての市民公開セミナーが開かれた。医療関係者は、現行のしくみのままで消費税率が上がると、医療崩壊を招きかねないと、悲痛な声を上げている。

 主催したのは兵庫県民間病院協会(吉田耕造会長)。協会に加盟している4医療法人が代表して10年9月、「消費税は不公平だ」として国に対し、各病院1000万円、計4000万円の損害賠償を求める訴訟を提起している。会長の吉田病院、副会長の尼崎中央病院の地元であることから尼崎市が会場になった。

 消費税は流通の各段階で取り引きに関係した業者が預かり、それぞれの「預かり金」を国に納税、最終的には消費者が負担する仕組みになっている。ところが、保険医療費、介護料などは公共料金や学校授業料などと同様、非課税になっている。非課税だと消費者である国民が助かる、ということで日本医師会も設計・実施の時点で了承したのだが、実際に運用してみて病院が大きく損をする「損税」であることがわかった

 病院が医療機器や医薬品をメーカー、商社から買ったり、設置したりする時に消費税がかかる。ところが医療費の大部分は非課税なので、その分を消費者(患者)から取れず、大部分が病院の負担になる、というわけだ。

 独自に価格改定可能な公共料金や授業料などと違い、保険医療費や介護保険の介護料などは公定価格になっている。厚生労働省は「その分(損税分)は診療報酬で配分した」との建前だが、病院団体などの調査によると年間の損害額は決して小さくない。

 セミナーでは、私も4人の基調講演者の1人だった。私と今村聡・日本医師会常任理事は消費税の現状を解説し、海外の消費者から取れないこと、似た条件の輸出企業には国が2兆円もの払い戻しをしていること、などを挙げて不公平を指摘した。梅村聡・参議院議員は「診療報酬で配分したということなら(それは)非課税ではなく、国の説明は矛盾している」、田中康夫・衆議院議員は「消費税は業者によって損税になったり、益税になったりする。上場企業の7割は法人税ゼロ。消費税に限らず日本の税制度そのものが不公正だ」と訴えた。



 なるほど。盲点だったんでしょうなぁ。

 しかしいくら盲点とはいえ、対策せんことには進みませんね。そもそも病院側が税金で損をすることが国民皆保険制度として間違っているわけで。

 兵庫県民間病院機構に全国が協力すれば、話はスムースに進みそうですけどね。
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医者は自分が病気になった場合、患者に行うアドバイスとは一致しない。

医者自身の病気治療、患者へのアドバイスとは一致せず=調査

 医者は自分が病気になった場合、患者に行うアドバイスとは必ずしも一致しない治療方法を選ぶという米国の調査結果が、医学誌「Archives of Internal Medicine」で発表された。

 医者は自分自身に対しては、死亡リスクが高い半面、副作用の少ない治療を選ぶ傾向にあるという。

 デューク大学のピーター・ウベル氏率いる研究チームは、米国内のかかりつけ医に対し、さまざまなタイプの大腸がん手術を想定した質問と、鳥インフルエンザの治療に関する質問を実施。医者は自分が患者になった場合、もしくは患者にアドバイスする場合のどちらかについての質問を受け取った。

 大腸がんの質問では、死亡リスクは高いが副作用の少ない方法を選んだのは、自分が患者と想定した場合は38%だった一方、患者へのアドバイスとしては25%にとどまった。鳥インフルエンザの治療法では、その割合は63%対49%だった。

 ウベル氏は「患者にとっては予期せぬ結果だったと思う。このことを知ったら、多くの疑問を持つだろう」と語った。



 んー、まぁ、これは、あるかもしれないですね。

 特に大きい組織であればあるほど、死亡リスクは大きな問題です。まぁリスクって、医者しか知らないことというか、それも含めて説明するときはちゃんとしてるんでしょうけれど、どうしてもリスクが少ないほうを推してしまう印象を与えますかね。

 医者ってそもそも自分が治療されることには慣れてないから、だからこそ死亡リスクが高くても関係ないんでしょうかね。本来なら平等に話すべきなんでしょうけれども。難しい問題です。

 いつの時代も「1%の可能性に」というのはありますけれど、本当に1%だったとして、やるべきかやらざるべきか、というのは現実問題として立ち上がってくるわけで。
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監察医七浦小夜子〜法医学者の事件プロファイル〜

菊川怜 監察医役に挑戦 フジ系22日の2時間ドラマで主演

 女優の菊川怜(33)がフジテレビ系で22日放送のドラマ「監察医七浦小夜子〜法医学者の事件プロファイル〜」に主演することが11日、分かった。監察医役に初挑戦する菊川のほか、俳優の袴田吉彦(37)、田村亮(64)、女優の原田美枝子(52)ら豪華な顔ぶれが法医学の現場をリアルに演じる。

 ヤングチャンピオンに連載されていた安富崇史氏のミステリー漫画「監察医SAYOKO」が原作。ドラマでは法医学とプロファイリングを駆使して“散弾銃連続殺人事件”の解決に挑む監察医らの活躍を描く。

 菊川演じる主人公の小夜子は、ふだんはそそっかしいが事件解決への思いが人一倍強く、あるトラウマ(心的外傷)を抱えながらも使命感をもって仕事に取り組む女性。解剖を行う監察医で、犯人の特徴を推測するプロファイリングの専門家でもある小夜子の役作りのため、菊川は実際に法医学者を取材し、解剖の資料映像を見たり解剖室を訪問したりしてイメージを膨らませた。

 「解剖の本を初めて見たとき、リアルな写真が載っていて『大丈夫かな』と不安に思った」と菊川。「メスの持ち方や傷を触る手つきなど、わからないところがたくさんありましたが、先生に細かくご指導していただきながら演じました」と難役に挑んだ苦労もにじませた。

 小夜子について菊川は「真摯に法医学という仕事に向き合ってきた努力型の秀才」とコメント。「実際の解剖の現場はふだんは明るいらしく、ドラマも明るく楽しいシーンと緊張感のあるシーンが交互にあり、とても楽しんでご覧いただけると思います」と見どころをアピールした。

 ドラマは驚がくのトリックや二転三転する犯人像、ラストには想像を絶する結末が待ち受ける。同局の小池秀樹プロデューサーは「単なるエンターテインメントではなく、主人公のトラウマや被害者たちの声なき悲しみ、凶悪犯罪への怒りや事件の裏側にあるやるせない真実を丁寧に描いたドラマです」と話している。



 何度もこのブログで言ってますが、法医学という学問は本当に面白い。医師になり、法医学の道に進む人は変わり者、と思われがちで、まぁ確かに変わり者が少なくはないですが、それでも「生きている人を治す医者」と同じように、大事な学問なのです。

 ただ対象が、「死者」であったり「生きている人の創傷に絡む事件性」などで、どちらかというと警察的なほうにも関与してますけども。

 当然昔からドラマや漫画にはなりやすいですね。名作といえば「きらきらひかる」でしょうか。特に漫画きらきらひかるは何度読んでも面白い。法医学とは何ぞや、という人の入門書でもあります。
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