[大学]の記事一覧

2007年06月26日

地方の医師不足を解消するためにも、医学部の定員を早急に増やすべき。

医師の確保―医学部の定員を増やせ

 医学部の定員という蛇口を閉めたままで、あれこれやりくりしても、焼け石に水ではないか。 与党が参院選向けに打ち出した医師確保策を見て、そう思わざるをえない。

 医師は毎年4000人程度増えており、必要な数はまかなえる。問題は小児科や産婦人科などの医師不足のほか、地域による医師の偏在だ。こうした偏りを正せばいい。これが厚生労働省の方針だ。

 その方針をもとに、与党は選挙公約でこれまでの偏在対策に加えて、新たに次のような項目を追加した。

 政府が医師をプールする仕組みをつくり、医師不足の地域へ緊急派遣する。大学を卒業した医師が研修で都市の人気病院に集中しないように定員を改め、地方の病院にも回るようにする。

 確かに、偏在の是正にはすぐに手をつけなければいけない。

 しかし、医師不足は全国の病院に広がっている。都市でもお産のため入院できない地区が増えている。深刻な実態が進んでいるのに、偏在対策だけでは安心できると言えないだろう。

 いま求められているのは、時間はかかるが、医学部の定員を増やし、抜本的に医師不足の解消を図ることだ。

 政府は1982年と97年の2回、医学部の定員を減らす方針を閣議決定した。これに基づき、ピーク時には約8300人だった定員が約8%削られた。特に国立大学が大きく減らされた。

 医師が多くなれば、診療の機会が増え、医療費がふくらむ。だから、医療費の伸びを抑えるには、医師を増やさない方がいい。そんな考えからだ。

 いまの危機的な医師不足はその結果といってよい。

 経済協力開発機構(OECD)の調べでは、人口1000人当たりの医師数が日本は2人で、先進国の平均の2.9人を大きく下回る。しかも、このままでは韓国やメキシコ、トルコにも追い抜かれる可能性があるという。

 政府・与党はこうした状況を招いた責任をどう考えているのか。

 もうひとつ考えなければならないのは、最近の医療はかつてよりも医師の数を必要としていることだ。技術の高度化に伴って、チーム医療が大勢となった。患者に丁寧に説明することが求められ、患者1人当たりの診療時間が増えている。医師の3割は女性が占め、子育てで休業することも多い。

 おまけに高齢化はますます進み、医師にかかるお年寄りは増える。

 医師の偏在さえ正せばいい、という厚労省の楽観的な見通しは、医療の新しい傾向を踏まえたものとは思えない。

 医療のムダは今後ともなくしていかねばならない。しかし、医療費の抑制のため発想された古い閣議決定にいつまでもこだわるべきではない。そんなことをしていたら、日本の医療は取り返しのつかないことになる。



 20年前、10年前、5年前とも違う「今の医療体制」を考えてみると、今は明らかに医師不足です。地方の医師が不足しているとありますが、別に地方に限ったことではなく、大都市の大病院でも医師は不足しています。ですから記事中にもありますように、医師数を増やすのがてっとりばやい。

 しかし国立大学医学部だけでなく私立大学医学部でも、医学生1人あたりン千万円の補助が国から出ます(私立大学はそのうちのン千万を家庭が出しているに過ぎません)。ついに1000兆円にまで膨らんだ国の借金を眺めると、医師を増やすことが国の財政を圧迫することは目に見えています。まぁ、政治家と役人が自分の利益をとらず国のことを考えれば余裕で国民医療費なんぞ増やすことはできるんでしょうけれど。

 昔は医師が儲けていたりだとかいう時代もありましたけど、今は一部の開業医以外そこまでバカ稼ぎできないのが現状です。サラリーマンの数倍働いて、サラリーマン+αぐらいの給料しか出ていないと思います。しかし医者は不当に儲けているだの、いらない薬をおしつけて利益を稼いでるだの、まったく見当ハズレな偏見をもった方々のせいで、今現在医者は奴隷のように働いています。

 しかし…思うんですけど、医者になる人ってみんながみんなモチベーションが高いというわけではありませんからねぇ。成績が良いから医学部いくような人たちが医療に熱心になると思いますか?そういうモチベーションの低い医者をみんな地方にやってしまえばどうでしょう。医療における都心のメリットといえば、高度で最先端の医療を行っている点です。給料だけでいったら地方にいったほうが高いわけですし、都心のようにめまぐるしく働く可能性も少ないですし。彼らは目の前の患者を親身に診ればいいわけですよ。別に研究やりたいわけでもないのに都心に残る必要もなかろうに。医学を究めたいと思う人が大病院に残り、それ以外の人は全国に散らばれば、地方の偏在は解消できると思うんですけどね。まあそううまくいかないのが世の中で。プライドがそうさせるのか知りませんが。

関連:医学処 医学部の学生が馬鹿すぎてとても落ち込んだ人の手記
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2007年06月22日

東京医科大学病院で不適正な診療報酬請求が発覚。

東京医大が診療報酬を不適正請求 都など返還を指導

 厚生労働省と東京社会保険事務局、東京都は19日までに、東京医科大学病院(岩本俊彦院長)で不適正な診療報酬請求があったとして、報酬の自主返還と診療、事務の改善を指導した。昨年5〜6月に受診した患者の診療報酬明細書(レセプト)などを調べた結果、診断根拠がない病名が記載されているなどのケースが見つかった。病院は05年11月〜06年10月の不適正な報酬の返還額を調べ、7月末までに東京社保事務局に報告する。

 厚労省などが定期的に実施する「特定共同指導」で明らかになった。指導は、健康保険法などに基づき、東京都の場合、毎年少なくとも1病院ずつ、診療内容や報酬請求が適正かどうかを調べている。

 その結果、診断根拠がなく、投薬や検査目的でつけられた病名(レセプト病名)や、カルテに長期間、病名に「疑い」や「急性」がついたままのケースが多数あった。このほか、差額ベッド代も、患者の同意書にある同意日より前から徴収した例などもあった。土田明彦・副院長は「意図的に不正をしたということはない。指摘の多くがカルテの記載漏れで、仕事量が増大する半面、医師や職員は減ってカルテの管理に手が回らない実情もあった」としている。



 むむうー。一般の方からすればとんでもない話だと思いますし、医師サイドからみてもやっちゃいけないことだとは思うんですが、医者がカルテ記載などの雑用業務をこなせないほど忙しいのが大学病院ですからねぇ。そこまで完璧にやれないのが現状といいますか。今の医師の不足や過労状態を考えると「不可抗力」であって、病院側の責任って結構軽いのではないでしょうか。むしろそんな医療体制にした国の責任か。
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2007年06月12日

福島県立医大の推薦枠を倍にして、県外からも推薦受け入れを行う。

福島医大に推薦枠拡大要請 2倍程度を目安

 福島県が福島医大に対し来年度入学者の推薦枠を2倍程度増やすよう要請し、両者が協議に入ったことが11日までに分かった。県外からの推薦受け入れも求めている。県は同大の設置者で、要請の意味は重い。

 福島医大の今春の入学者の推薦枠は8人程度で、12人が合格した。県は推薦枠を15、6人程度にまで増やした上で、県内高校在籍者という条件を緩和するよう求めている。県外出身者が推薦入学した場合には、県が新たに創設し、卒業後に一定期間の県内勤務を求める奨学金を利用してもらうシステムも検討する。



 県内を増やすわけではなく県外を増やすんですか。んー、

 推薦制度って、あまりメリットないと思うんですよね、特に医学部では。結局六年間頑張って勉強する人って、高校時の成績が良い人ではなく医学に興味がある人、モチベーションの高い人ですから。某国立大学では、推薦合格者はあまり良い目で見られないなんていう笑えない噂も。

 しかし大学側にとっては、推薦制度は無くしたくないんでしょうね。生徒の質が安定しているという点で。学校のお墨付を得られているので、生徒の将来性は無難なものでしょう。ハズレを引くより良いと思いますし。

 県の要請の狙いとしては、卒後も福島県に留まってほしいという思いがあると思われます。さすがに県内高校だけで15人近く推薦で取るのは体裁が悪い。そこで県外も増やし、奨学金制度を設けることで福島県の医師数を少なからず安定させたい、という狙いではないでしょうか。

関連
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2007年06月09日

岡山大学で患者2000人分の情報の入ったパソコン18台が盗難に

岡山大、患者情報2千人分入りのパソコン盗難

 岡山大は5日、大学院医歯薬学総合研究科の臨床研究棟(岡山市鹿田町2丁目)などから、患者約2000人分の臨床研究データと、学生65人の氏名、成績が入ったパソコン計18台などが盗まれた、と発表した。データの大半は二重のパスワードで保護されているが、助教の個人用ノートパソコン内の患者約70人分の氏名、年齢、病名などは保護されていないという。同大学は警察に被害届を出すとともに、該当する患者と学生に文書で謝罪する。

 同大学によると、2日午前8時ごろ、教員から「研究室からパソコンがなくなっている」と連絡があり、調べたところ複数の研究室からパソコンやデジタルカメラなどがなくなっていた。その後も4日までの間に、同研究科旧基礎医学棟などからパソコンや携帯電話などが盗まれているのがわかった。盗まれたパソコン内の臨床研究データは、検査結果などのほか、大半に患者の氏名が入っていた。

 同研究科では4月にも817人分の学生の成績などを記録したパソコン用ハードディスクが盗まれた。教員に施錠の徹底とテンキー型の錠への交換を指示していたが、今回、未交換だった一般錠の部屋が被害にあった。

 同大学では、津島キャンパス内の工学部1号館(岡山市津島中3丁目)でも4日までに、研究室からノートパソコン計4台と映写機2台、十数台のパソコン内部のハードディスクなどが盗まれたが、個人情報は記録されていなかったという。



 岡山大学は一体どんなセキュリティを施しているんでしょうか。個人情報も大事ですが、そちらのほうが気になります。パソコン18台って相当なものですよ。

関連
医学処:長崎大学病院でパソコン内の患者データが盗難に
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2007年06月07日

脳死肺移植が失敗したのは京都大学病院の責任だとして病院長らを告発

脳死肺移植死亡…京大病院長ら3人に告発状

 京都大学病院で昨年3月に脳死肺移植を受けた女性が同年10月に脳障害で死亡した問題で、同病院の患者2人が、5日、手術中に脳の異常を発見するモニターを設置していなかったことが死亡につながったとして、内山卓院長ら病院幹部3人について、業務上過失致死容疑で京都府警川端署に告発状を提出した。

 告発状などによると、内山院長らは、脳死肺移植を行う際、病院管理者として適切な医療機器を設置する義務があるのに、脳内の酸素量を測定する「脳機能モニター」を設置せず、脳の異常を見過ごして女性(当時30歳)を死亡させた、としている。



 京大病院、荒れに荒れていますねぇ。西日本最高の医学部を持っているというのに。まあ医学部と大学病院の実力はあまり相関していませんが。こういった告発を真摯に受け止めて発展していく大学病院であってほしいと思います。

関連
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慈恵医大青戸病院事件のM被告を減刑することに決定。

慈恵・青戸病院事件…助手の医師、2審も有罪

 東京慈恵会医科大付属青戸病院(東京都葛飾区)で行われた腹腔鏡下手術のミスで男性患者(当時60歳)が死亡した事件で、業務上過失致死罪に問われた元同病院泌尿器科医師、M被告(36)の控訴審判決が5日、東京高裁であった。

 長岡哲次裁判長は「被告は手術チームの助手として執刀医を補佐する立場で、その責任は主治医や執刀医と同じとは言えない」と述べ、禁固2年、執行猶予4年(求刑・禁固2年6月)とした1審・東京地裁判決を破棄し、禁固1年6月、執行猶予4年を言い渡した

 控訴審で、弁護側は「被告は患者の死亡を予見することはできず、その義務もなかった」などと無罪を主張したが、判決は「安全に手術を行う知識や、技術、経験がなく、手術を行えば被害者を大量出血させる可能性があることは十分、予想できた」として退けた。

 一方で、判決は、〈1〉病院の上司や麻酔医にも責任があった〈2〉手術をした医師の中では最も後輩だった〈3〉手術中の止血処置の失敗などは執刀医の責任が大きい――などとして、刑を軽減した。

 判決によると、M被告は2002年11月、主治医や執刀医とともに、助手として男性患者の前立腺がんを摘出する腹腔鏡下手術を実施。誤って静脈を傷つけて大量の出血を招き、男性患者は1か月後に低酸素脳症で死亡した。この事件では、主治医と執刀医を合わせ計3人の医師が起訴され、東京地裁は昨年6月、3人に執行猶予付きの禁固刑を言い渡した。主治医と執刀医は控訴を取り下げ、有罪が確定している。



 責任が重いことに変わりはありません。確かに上司に逆らえないとか、一番若いとか、そういうのはあるでしょう。ですがそんなことに拘っていて患者さんを死なせてしまうなどもってのほかです。大いに反省してもらいたい。

関連
医学処:青戸病院腹腔鏡事件でH、M、Mに執行猶予付きの禁固刑
医学処:慈恵医大付属青戸病院で60cmのワイヤーを体内に1年も放置
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2007年06月06日

信大が、高校生を対象にした外科手術の体験セミナーを開く。

地域支える医師めざし 信大で高校生が模擬手術

 松本市の信大病院は2日、院内の手術室を使って高校生が模擬手術を体験する「手術体験キッズセミナー」を開いた。医療行為を身近に感じてもらい、地域医療で活躍する医師を増やそうと初めて企画。長野(長野市)、松本深志(松本市)、上田(上田市)など県内9高校の医師志望の生徒34人が鶏肉を使い、外科手術の基本となる切開や縫合を体験した

 病院側は、外科を中心に医師や看護師計約30人が参加。5つの手術室に分かれ、手術用ガウンやゴム手袋、マスクを着けた高校生を指導した。

 鶏肉の縫合は、手術用の針やピンセットを使用。医師が一人一人に「糸を結ぶ力を考えないと組織がちぎれてしまうよ」などと助言した。生徒たちは「実際もこんな感触ですか」と質問。手本を示す医師の指の動きを真剣に見つめた。手術台のマネキンに鶏肉を乗せ、超音波メスで切開する体験などもあった

 伊那北高校(伊那市)3年の登内麻帆さん(17)は「縫合は均等にできず、難しかった。気さくに教えてもらえたので、医師を目指す思いが強くなった」と話していた。

 同病院は3日、松本市内の中学生を対象に同様のセミナーを行う。



 人体に興味をもってくれればいいんですけど。まぁ外科を目指すかどうかは、医学部での勉強次第かなあという気もしますが。

関連
医学処:何故あなたは医学部を受験するのですか
医学処:外科医の7割は、当直明けに手術をしており、約1割が訴訟を経験
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2007年05月31日

医師が不足しすぎていて、緊急医師派遣制度をわずか半年で中止する

昨秋スタートの国立病院間の医師派遣、半年で打ち切りに

 国立病院でも深刻化する医師不足に対処しようと、全国146病院を管轄する独立行政法人・国立病院機構が「緊急医師派遣制度」を昨秋導入したものの、半年で中止に追い込まれていたことがわかった。一方、31日に医師確保対策を決める政府・与党は、「即効性のある対策」として、国立病院の医師らを地方の病院に派遣する制度を打ち出す。同機構は「国立病院間でも難しかったことなのに」と困惑している。

 同機構は昨年9月、都市部などの国立病院から地方の国立病院に医師を派遣する制度を導入した。東北などの病院で、医療法で定められる標準医師数に届かずに、病院収入となる診療報酬をカットされかねない恐れが出てきたためだ

 派遣元となったのは、東京医療センター(東京都)など29病院。派遣医師に1万円の日当を上乗せするなどした

 だが病院側からは、「医師が担当する患者のケアが途切れる」「チーム医療が維持できなくなる」などと断るケースが続出。それでも、応じた病院から、米沢(山形県)、釜石(岩手県)、八戸(青森県)の3国立病院に派遣された。

 政府・与党が描く確保対策は、都道府県の拠点病院が地域の自治体病院などに医師を派遣しても足りない場合に、国立病院機構などがプールした医師らを数カ月〜1年間派遣する。国立病院の医師らを登録して派遣医師をプールする計画。さらに定年退職して間もない医師らも公募して登録してもらう。

 さらに医師への動機付けとして、派遣終了後のポスト確保や留学・研修といった「特典」も検討している。自民党幹部は、6月中にも最初の医師派遣をさせたい考えを示しているが、機構は「国立病院同士の調整すら難しい」としており、必要な医師数を集められるかは不透明だ。



 国立病院の医師を地方に派遣するといっても、別に国立病院の医師が暇だというわけじゃありませんからねぇ。そもそもこのような制度がうまくいくと思っていたあたり、政府の認識は浅いなぁと。自分の病院でさえ激務なのに、加えて他の病院の面倒まで見ろといわれても、出来る医師はいないでしょう。むしろ開業医に義務づけるとかしたほうが良いのでは?金も暇もあるような開業医から。
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2007年05月29日

細菌性髄膜炎で両足と右腕を切断した女性がUCLA医学部を卒業

両足義足、左手だけの女性が医学部を卒業へ 米国

 少女期の病気により右腕と両足を失った米国の女性が近く、大学の医学部を卒業する。義足を使って歩き回り、注射を含むほとんどの医療行為を左手だけでこなすこの女性は、今後研修医として経験を積みながら小児科医を目指す。

 女性は、ミシガン州出身のケリー・リムさん(26)。デトロイト郊外で盲目の母親に育てられた。細菌性髄膜炎による毒性ショックで、8歳のときに四肢のうちの3つと、残る左手の指先3本を切断した。

 切断から5カ月後には通常どおりの生活に戻った。長年にわたって車いす生活を送りながら、痛みに耐え治療を続けた。右利きだったが、努力によって左手で文字を書き、作業ができるようになった。

 高校を卒業すると、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に入学。来月1日に同校医学部を卒業する。

 指導教授や同級生たちは、リムさんには身体的な特徴を意識させない沈着な雰囲気が漂っていると話す。指導に当たるワッソン教授は「最初は腕がないことに気が行くが、彼女があまりに落ち着いていて有能なので、5分も経てばありのままを受け入れるようになる」と話す。



 凄いですね。本人がよほどエネルギッシュでパワフルでないと、とても出来ないことだと思います。

 しかし知識は蓄えることが出来ても、手技は片手ではできないことばかりのような気もしますが。採血1つとっても、どうやって片手で行うのか大変疑問です。小児科という、最も過酷な科の1つを選んだことに挫折せず、頑張っていいお医者さんになってもらいたいと思います。

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医学処:投票所にエレベーターが無く、車椅子の女性が投票できませんでした
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2007年05月20日

研修医の受け入れ先を地域の拠点病院に限定する方針をかためる

研修医、拠点病院に集約 修了後へき地に 政府与党検討

 政府・与党は18日、医師の不足や地域間の偏在を解消するため、大学卒業後の研修医の受け入れ先を地域の拠点病院に限定し、拠点病院にへき地への若手医師派遣を義務づける方向で検討に入った。従来、医師を割り振る役割を担ってきた大学医学部が、04年度の新しい臨床研修制度の導入をきっかけに機能しなくなってきたため、地域医療の中心になる拠点病院に代替させる狙いだ。

 これまで新卒医師の7割以上は大学医学部の医局に在籍して研修を受け、強い人事権を持つ教授と地元病院などとの話し合いで決められた医療機関に派遣されることが多かった。

 だが、新臨床研修制度の導入で原則として医師が自分で研修先を決められるようになり、実践的な技術を学べる一般病院を選ぶ医師が急増。都市部の病院に研修医が集中する一方、地方では定員割れの病院が続出し、へき地に医師を派遣するゆとりがなくなった。

 政府・与党は、現在年1万1300人分ある研修医の定員総枠を、研修医の総数8600人程度に削減することを検討。都市部を中心に定員枠を大幅に削減することで、地方への研修医の流入を促進するとともに、受け入れ先を地域の拠点病院に限定する

 そのうえで、拠点病院に対して、研修の終わった若手医師を医師不足が深刻な地域に派遣することを義務づける。勤務を終えた医師には拠点病院でのポストを約束することで、若手医師の理解を得たい考えだ。都道府県が条例などで拠点病院に医師派遣を義務づけられるようにし、医師の供給を確実にすることを目指す。

 このほか、長期的な対策として、一定規模以上の医療機関の院長(管理者)になる条件にへき地勤務の経験を盛り込むことや、都道府県が地元出身の医学部生に出す奨学金に国が財政支援する案も浮上。卒業後、地域医療に10年程度携われば、奨学金の返済を免除することなども検討する。



 んんー?実質的にマッチング制度が縮小する方向にあるということでしょうか。

 また、教授の強力な人事権が復活すると、医療における封建社会がますます強くなりますよね。誰も教授に逆らえないといいますか、そんなんで医療が良くなるとは思えません。

 加えて、大学入学時の偏差値も大きく変わってくると思います。もし医師として最先端を目指したいのであれば、都心の大学に入学するほうが良いですよね。今は少しずつ、研修後の病院選びに学歴は必要なくなっていますが、これでは昔のような状態に戻ってしまうかもしれません。学歴関係なく、向上心溢れる人が最先端の病院で研修をうけられるシステムこそ必要と感じます。

関連:
医学処 研修医後の進路の選択肢を広げる、マッチングプラザを開催
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医学処 地方の医学生のうち、県内に残るのは33%しかいない。
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2007年05月17日

医学部全体に、僻地などへの地域勤務枠を設け、授業料を免除する

医学部に地域勤務枠…全国250人、授業料を免除

 政府・与党は12日、へき地や離島など地域の医師不足・偏在を解消するため、全国の大学の医学部に、卒業後10年程度はへき地など地域医療に従事することを条件とした「地域医療枠(仮称)」の新設を認める方針を固めた。

 地域枠は、47都道府県ごとに年5人程度、全国で約250人の定員増を想定している。地域枠の学生には、授業料の免除といった優遇措置を設ける。政府・与党が週明けにも開く、医師不足に関する協議会がまとめる新たな医師確保対策の中心となる見通しだ。

 地域枠のモデルとなるのは、1972年に全国の都道府県が共同で設立した自治医科大学(高久史麿学長、栃木県下野市)だ。同大では、在学中の学費などは大学側が貸与し、学生は、卒業後、自分の出身都道府県でのへき地などの地域医療に9年間従事すれば、学費返済などが全額免除される。事実上、へき地勤務を義務づけている形だ。

 新たな医師確保対策で、政府・与党は、この“自治医大方式”を全国に拡大することを想定している。全国には医学部を持つ国公立と私立大学が計80大学ある。このうち、地域枠を設けた大学に対し、政府・与党は、交付金などによる財政支援を検討している。

 医療行政に影響力を持つ自民党の丹羽総務会長は12日、新潟市内での講演で、「自治医大の制度を全国47都道府県の国公立大などに拡大したらどうか。5人ずつ増やせば、へき地での医師不足は間違いなく解消する」と述べ、“自治医大方式”の拡大を提案した。

 医学部を卒業した学生にへき地勤務を義務づけることは当初、「職業選択の自由に抵触する恐れがある」との指摘もあった。だが、「入学前からへき地勤務を前提条件とし、在学中に学費貸与などで支援すれば、問題ない」と判断した。



 うまくいくのならいいんですが…。確かに自治医大のシステムは成功していますが、最近では問題も出てきているようです。その問題というのが、卒後に親が全額授業料を払ってしまうケース。つまり在学中は、僻地医療に携わるフリをさせておいて、卒後にそのシガラミから逃れるために授業料を全額払ってオサラバしてしまうという、まぁ正直なところあまりお勧めしないというか、ある意味裏切ってるわけですからねぇ。

 この地域枠も、その大学のある地方の人なら入りやすくなったというだけで、開業医の息子とかだったりしたら大学の意向に反することしませんかね。金はあるからとりあえず入りやすいところに入っとけみたいな感じで。

 地域出身者というのではなく、僻地医療をやりたいという熱意を面接か何かで見極めるのが一番良いかなーと思います。それが僻地医療をずっと行う良医を育てることにもつながるのではないでしょうか。現に僻地医療をやりたいっていう人はいますしねぇ。

 ぶっちゃけ受験の偏差値なんて、大学入学後の知識吸収量とは関係ありませんからね。センター試験の勉強はできなくても、僻地医療に対する熱意があれば医学部の勉強はやっていけると思います。いやむしろ受験で選んだより有能な医師が誕生するのでは?そういう人材をとらないのは国全体の損失と考えますが。

医学処:自治医科大学卒業生の地元定着率は7割
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2007年05月09日

東京医大に留学していた中国人が医師免許無しで縫合などを行う

日本の医師免許ない留学生が縫合

 東京医科大学病院に留学中の中国人の大学院生が、日本の医師の免許がないにもかかわらず、手術で縫合などを行っていたことが分かりました。

 病院側によりますと、医師免許なしで縫合などを行っていたのは、去年4月に中国から留学してきた大学院生です。大学院生は、去年4月から今年の1月中旬にかけて、腹腔鏡手術に研修として立ち会い、そのうち25回ほど縫合などを行ったということです。

 大学院生は、中国の医師免許を持っていましたが、日本の医師免許は所持していませんでした。こうした縫合は、母国で3年以上の診療行為がある場合、認められていますが、この大学院生は2年8カ月しか診療行為をしていなかったということです。病院側は、すでに警視庁と都に届け出をしていて、「教育の一貫として縫合などを行わせたが、認識が甘かった」としています。



 これは…

 んー、正直、よくあることでは?という感じです。まぁ法的には勿論いけないことなんでしょうけど、これが明るみに出たために大きく取り上げられたのでは?とすると内部リークか。
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2007年05月03日

群馬大学病院で動脈損傷の医療ミスが起こる.

群馬大病院・医療ミス死:動脈損傷、なぜ? 病院「日常的な処置」 /群馬

 群馬大学医学部付属病院が2日明らかにした医療事故で、60代の女性患者の死因に関連したとされる処置は「日常的に行われている」(同病院)カテーテルの挿入だった。主治医の30代の女性医師についても「(操作に)習熟していた」とし、この処置が死亡に結びついたのは同病院では初のケースだったという。

 同病院では昨年6月にも、心臓カテーテル手術で男性患者が死亡。同年7月には生体肝移植で女性ドナーに重大な後遺症が残ったことを公表した。度重なる不祥事に、石川治院長は「医師は患者のために最善を尽くそうとしている。だが、起きたことは残念」と声を振り絞った。

 同病院によると、女性は入院から約1週間、意識障害や摂食障害が生じ、食事を口から摂取できない状態だったため、血液から栄養摂取しようと首付近に中心静脈カテーテルを挿入。局所麻酔で挿入部の痛みを緩和し、心臓付近まで差し込んだ。その際、直径約2ミリのカテーテルが静脈を突き抜けて動脈を損傷したとみられ、大量の出血が生じた。主治医は直後に首付近の皮下血腫に気付いたが、既に手遅れだったという。

 この処置は病室内でも実施できるもので、特段困難な処置ではないとも説明する。主治医はいつも通り、触るなどして血液の拍動を予測して針を挿入した。現時点では司法解剖が済んでおらず、直接の死因が判明していないため、野島美久・医療安全管理室長は「明らかな操作ミスとは考えていない」と話している。

 病院は内部の調査委員会で原因究明を進め、「早急に再発防止策を講じたい」としている。



 群馬大学荒れてますね。医療ミスが頻繁に起こる大学病院というのもしゃれにならんので,なんとか改善を期待したいところ。医者にとっては1件の医療ミスでも,患者にとっては一生もののことですからね.

関連:医学処 群馬大学病院の生体肝移植で後遺症が残ったのは、腕が未熟だから

 
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2007年05月02日

日大医学部の三木基弘が爆弾を作った理由は大学への復讐

日大医学部5年、爆弾に走った理由は…

 さて、今回の傍聴記は4月19日に行われた三木基弘被告人の初公判。罪名は、激発物破裂・脅迫。事件は07年2月14日、日大医学部5年三木基弘(当時24)が医学部本館地下1階にある5年生用準備室で、ロッカー内に置いたガスボンベを爆発させ、また、医学部に脅迫文を送りつけたというもの。爆発物はガスボンベ2本と電気コンロ、タイマーなどで作った時限発火式だった。爆発があった3日後には「デモンストレーションだ。今度はすごいことになる」などと書いた医学部宛の脅迫状を郵送した。

 弁護人 「犯行の2週間前、医学部の教授と会食があったんですよね? それは全員が行うんですか?」
 被告人 「3人ずつ。全員行います」
 弁護人 「そこで、教授に何て言われたんですか?」
 被告人 「“基礎医学をやるなら、ある程度の頭のレベルが必要だ。そのレベルに達してるのか?”と。そして、自分が基礎医学を極めたいという主旨を伝えると“そういうことをこの大学でやられても困ってしまう”と」
 弁護人 「そう言われてどう思いました?」
 被告人 「自分が今までやってきたことが否定されたような…悲しい気持ちになりました」
 弁護人 「学生の7割以上は臨床医学の方をやるそうだけど…」
 被告人 「臨床医学は大事ですが、それを支えるのは基礎医学なんだ、と問題意識を持ってました…」

 弁護人 「その後の脅迫状は?」
 被告人 「翌日、病院の図書室で(他の生徒が)バカにしてるような感じで話してまして、自分がバカにされた気がしてしまって…」

 結局、大学は自主退学したそうな。理性が吹っ飛んで、ガスボンベで教室内を吹っ飛ばし、将来まで吹っ飛ばしてしまうとは。それにしても、これだけ勉強してきた被告人が「バカだった」と述べる姿は物悲しいもんだ。バカって知識量じゃなく、社会性があるかないかってことなんだな。



 日大医学部は基礎医学に否定的か。まー確かにそういうことをやるなら国立の病院に勤めないとダメかなって気もしますが。私立はやはり結果を出さないと世間に評価してもらえませんからね。

 でも基礎医学はとても大事です。

 自分がバカにされたような気がする、というのは被害妄想ですね。おそらく自分の将来のこととか考えるうちにストレスが溜まり、軽い抑うつ状態になっていたのではないかと。発散のさせ方を間違えてしまいましたが。

 詳しい裁判内容は記事リンク先をご覧下さい。

関連:
医学処 日本大学医学部の三木基弘が、自身の大学を時限爆破装置で爆破
医学処 日大付属病院の女性研修医が過重な労働を苦に自殺
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2007年04月21日

日大付属病院の女性研修医が過重な労働を苦に自殺

女性研修医の過労自殺、労基署が労災認定…日大付属病院

 昨年4月、日本大学医学部(東京都板橋区)の付属病院で研修期間中に自殺した埼玉県内の女性(当時26歳)に対し、池袋労働基準監督署が今年2月に労災を認定していたことが16日、わかった。2004年に国が新しい臨床研修制度を導入してから、研修医の過労自殺が明らかになるのは初めて。

 新制度は、従来の劣悪な労働条件の改善などを目指してできたものだったが、女性は法定労働時間を大きく超えて勤務しており、依然として研修医の過酷な労働実態があることを浮き彫りにしている。

 女性の父親(58)によると、別の大学出身の女性は05年3月に医師免許を取得し、同4月から、都内に3か所ある日大医学部付属病院で順次、研修を始めた。

 しかし、女性は、同9月ごろから疲労感を訴えてうつ状態となり、06年4月下旬、自宅で筋弛緩薬や鎮静薬を自ら注射し、死亡した。

 父親が給与明細などで調べたところ、1週間の平均労働時間は、法定労働時間(週40時間)を大幅に超える72・8時間で、夜間や休日の当直は多い時で月に10回、1年間で計77回に上っていた。このため、父親は「娘の自殺は研修中の過重な労働が原因」として、06年8月に池袋労基署に労災を申請。同労基署は労災と認定し、今年2月、遺族に通知した。厚生労働省によると、「新制度スタート後の過労自殺は聞いたことがない」という。

 新人医師の研修は従来、主に出身大学の医局で行われていたが、少ない給料で雑務や診療に追われ、1998年に関西医大病院(大阪府守口市)で研修医が過労死したほか、00年には横浜市大病院でも研修医が過労自殺するなど過酷な労働環境が問題化。国が04年から導入した制度では、各病院が給与や労働時間などの処遇を改善した上で、内科や外科など幅広い診療能力の習得を目指した研修プログラム(2年間)を公表し、新人医師が研修先を選ぶ方式になった。だが、今回、新制度下で過労自殺者が出たことで、国は実態調査などを迫られそうだ。

 女性の父親は「新制度でも研修医は相変わらず酷使されている上、数か月ごとに指導医が変わるため、心身の不調が見落とされやすい。大学は責任を認め、二度と同じ悲劇を起こさないでほしい」と訴え、日大側に謝罪や改善策の提示などを求めている。

 ただ、日大側からは明確な回答がないといい、遺族側代理人の朝倉正幸弁護士は「大学が反省しなければ再発防止につながらず、大変問題だ」と指摘している。

 日大医学部庶務課は「個人情報なのでコメントできない」としている。



 そりゃ新制度といっても、単に研修医が研修先を選べるようになっただけで、大学病院そのものの体質は何も変わってないでしょう。そのため、民間の病院で研修する人が多くなっているようです。民間病院のほうが、医学に対して情熱もあり色々教えてくれるという意見もあるようです。年齢のいっている医者ほど、「研修医はこき使う存在」という意識が強いような気がしますね。体育会的といいますか…。研修医を保護したいのならば、厚生労働省がそういう制約(何時間以上働かせてはいけない云々)を定めればいいと思いますが、折りしも日本は医者不足、研修医をこきつかわなければ大学病院がやっていけなくなるのも実情なのでしょう。

関連:
医学処 横浜市立大学で、医学生のための自殺予防講座を実施
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2007年04月17日

兵庫医大病院で、研修医に違法アルバイトをさせていた。

研修医9人違法バイト、当直として単独勤務…兵庫医大

 兵庫医大病院(兵庫県西宮市)の臨床研修医9人が研修期間中、別の病院で少なくとも計46回にのぼりアルバイトをしていたことがわかった

 2004年度から施行された新医師臨床研修制度で研修医のアルバイトが禁止されてから、多数の違反が判明したのは初めて。厚生労働省近畿厚生局は「研修医の管理が不十分」として昨年、兵庫医大病院に厳重注意していた。

 同省によると、研修医は国家試験に合格して医師免許を持っているが、指導医の管理下でなければ診療行為を行えない。ところが、9人はアルバイト先で当直医などとして1人で勤務していた。

 兵庫医大病院によると、9人は研修2年目だった05年7〜12月、神戸市、岡山市などにある12の民間病院と診療所で夜間当直や休日の日直などをしていた。うち1人は3病院で計25回の当直を重ね、別の1人は4病院をかけもちしていた。

 報酬は当直で1回3万〜8万円。院長らと連絡できる態勢はとられていたが、医師は院内に1人だけだった。

 民間病院への保健所の立ち入り検査で発覚。兵庫医大病院が全研修医76人を調べ、9人が事実を認めた。

 9人の多くは「研修後に入る予定だった兵庫医大病院の医局の上司から頼まれた」と説明したが、兵庫医大病院は依頼者を特定せず、調査を打ち切った。医師法に罰則規定はなく、9人は口頭注意だけで、昨年3月に研修を修了した。



 バレないと思ったんでしょうねぇ。でも、バイト禁止にするならば、食っていけるだけの労働時間に見合った給料を提示しろと思うんですが。研修医っていう存在をいつまでこき使う気でしょうか。兵庫医大がいくらなのか知りませんが、大抵激安ですよ。時給数百円なんてザラです。

関連:
医学処 過酷な労働条件を撤廃するため産婦人科医が1億円を要求
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2007年04月12日

医学系予備校、野田クルゼが早稲田アカデミーに買収される

早稲田アカデミー:野田学園を買収、完全子会社に

 首都圏で小中学生の進学塾と大学予備校を展開する「早稲田アカデミー」(東証2部上場、本社・東京)は9日、医学・理工系の大学予備校「野田クルゼ」を経営する「野田学園」(非上場、同)の発行済み株式を全株取得し、完全子会社とすることを決めた。取得価格は9億2000万円。株式の取得は5月30日までに終了する。

 文系学部への受験生を主な対象とする早稲田アカデミーが、医学系予備校の野田クルゼを傘下に入れることで、「大学全入時代になっても、根強い人気がある医・歯・薬学部志望の受験生をターゲットとする事業展開ができる」という。野田クルゼの名称は今後も存続する予定。



 なんと。野田クルゼが買収されてしまうとは。名前が残るんじゃ早稲田アカデミーというブランドにとってはあまりおいしい話ではない…ということでもないんですねぇ。でも最近医学系の予備校もキツいみたいですね。特に非大手の、少数精鋭をウリにしているところは。人数が来ないととんでもなく赤字になってしまうようですし。
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2007年04月06日

地方の医学生のうち、県内に残るのは33%しかいない。

地方医大生:地元に残った医師は約3割…毎日新聞調査

 医師不足が深刻な10県にある大学医学部の04、05年の卒業生で、地元の病院に残った医師は約3割にとどまったことが毎日新聞の調べで分かった。各医学部には県内高校出身者が平均で約2割しかおらず、多くを占める県外高校出身者の大半が県外の病院へ流出しているためだ。国は医師確保対策の柱として、この10県の大学医学部に対し、08年度から最大10人の定員増を認めているが、各県の担当者からは「県内高校出身者が少ない中で、どれほど効果があるのか」と疑問の声が上がっている。

 調査は3〜4月、定員増を認められた青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、山梨、長野、岐阜、三重の10県にある大学医学部を対象に実施。05、06年度入学者の出身内訳は全県から、04、05年度卒業生の進路状況は5県から回答があった。

 卒業後の進路については、回答のあった5校の平均で、04年度は35%、05年度は33%しか県内に残っていない。出身高校別で見ると、県内出身者は約7割が県内に残るが、県外出身者は約2割しか残らなかった。

 入学者のうち県内高校出身者が占める割合は10校平均で、05年度が22%、06年度が25%。福島県立医大が06年度に40%となった以外は、2割前後の大学が大半を占めた。山形大と信州大は2年連続で2割未満だった。

 弘前大医学部(青森県弘前市)では、県内高校出身者が県内に残る割合は、04年度が74%、05年度が77%。一方で、県外高校出身者は、04年度17%、05年度12%と非常に低い。佐藤敬医学部長は「他県から入ってくる学生は地元に帰る傾向が強い。県外出身の人も県内に残ってくれればありがたいが、今のところ地元出身者に頼るのが現状だ」と話している。



 やはりマッチングシステムの弊害ですかね。マッチングというのは、卒後の研修先を学生が選べるシステムなのですが、それで都内の大学病院や有名病院を選択できるようになったんです。もちろんいいところに行くためには高い学力(学歴ではない)を要求されるわけですが。

 はっきり言って、大学病院のレベルが同じ程度だったら、地方より都内のほうを選ぶ人が多いと思います。それは社会で生きるうえでどうしようもない部分といいますか…。もちろん田舎ならではの良さはありますが、地方で勉強した学生ほど、都会という憧れ意識は強いのではないでしょうか。誰しも遊びたい心は持ちますし、田舎の良さを認識できるほど達観してはいないでしょうし。別にどこで医療しても変わらない……いや、むしろ医療を行う環境でいえば地方こそやりやすいように思うんですけどね。どうしてもストレスが溜まってしまいがちな医療従事者を支える環境づくりとか、何かに特化した良い医療現場とか、そういった工夫が求められます。

関連:
医学処 弘前大学の産婦人科入局者は0人
医学処 研修医後の進路の選択肢を広げる、マッチングプラザを開催
医学処 大学病院に不満あり。研修医は市中病院のほうが満足度が高い
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2007年04月01日

京大病院が心臓血管外科長の米田正始氏を解任する

心臓血管外科長を京大病院が解任へ

 京都大病院の心臓血管外科が昨年末から新規の手術を差し止められている問題で、同病院は29日、米田正始(こめだまさし)教授(52)を4月1日付で心臓血管外科長の職から解き、同16日から手術を再開すると発表した。

 内山卓院長らは記者会見で「米田科長では安全を確保できない」と説明した。

 後任の科長は、脳神経外科が専門の橋本信夫副院長が兼任する。米田教授は、すでに大学を相手に科長の地位保全を求める仮処分を京都地裁に申し立てており、「不当な人事だ」と反発、30日には地位確認と3300万円の損害賠償を求める訴訟を起こす。



 ありゃ。とうとう解任されてしまいました。脳外専門の人が兼任するというのもよくわからん話ではありますが…。科長をやめさせれば手術ミスが減るというわけではないでしょう。

 混乱しておりますねぇ、京大も。通常業務に支障を来たさなければいいんですが。

関連:
医学処 京大病院の心臓血管外科が、心臓血管手術を自粛している。
医学処 京大病院心臓血管外科の米田正始教授が、大学相手に仮処分申請
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2007年03月30日

第101回医師国家試験 学校別ランキング 新卒編

 さてお待たせしました。第101回医師国家試験合格発表、学校別の、新卒者限定のランキングです。卒業して受けられる、その年の大学の実力がはっきりと分かるこのランキング。果たしてどの大学がどれだけ動いたのか、みていきましょう。新卒編では今年もBEST13について取り上げていきたいと思います。


第100回医師国家試験 学校別ランキング 新卒編
第100回医師国家試験 学校別ランキング 総計編
第101回医師国家試験 学校別ランキング 新卒編
第101回医師国家試験 学校別ランキング 総計編
第102回医師国家試験 学校別ランキング 新卒編
第102回医師国家試験 学校別ランキング 総計編
第103回医師国家試験 学校別ランキング 新卒編
第103回医師国家試験 学校別ランキング 総計編


 既卒者も含めた総計編はこちら。

第101回医師国家試験 学校別ランキング 総計編


第1位

防衛医科大学校 100.0%

滋賀医科大学 100.0%


 堂々の100%合格を見事達成したのは、100%の常連、知識だけでなく精神も鍛え抜かれている防衛医大と、昨年の新卒ランクでは93.6%で51位だった滋賀医科大学です。おめでとうございます。テストで100点を取るのが難しいように、医師国家試験のクラス全員合格となるとこれがまた相当厳しい。誉れ高い快挙です。しかし防衛医大は磐石ですねぇ。総計編でも100.0%を達成していますし。滋賀医大は総計編では4位。足を引っ張った既卒の人、もう少し頑張って下さい。

第3位
東京大学医学部 99.0%


 天下の東大が実力を見せつけてきた!!昨年度新卒編54位の東大が堂々の3位入賞!本来東大生はやればできるんですよね、それをあえてやらない人が多かったというか、そもそも国家試験に興味がないのかは分かりませんが、例年合格率は悪い傾向にありました。しかし今年は違う、圧巻の99%。そして既卒者も全員合格しており総計ランクも2位に位置づけています。おめでとうございます!

第4位
浜松医科大学 98.8%


 惜しくも東大同様の1人落ちで98.8%。東大の新卒が97人受験したのに対し浜松医大は86人受験です。ちなみに合格率では順天堂大学と同じなのですが、順天堂大学は新卒が85人なので、浜松医大を第4位としました。数年後に静岡大学に吸収されるのではないかと言われている浜松医大ですが、昨年度の新卒ランクでは59位とかなり悪かったです。何らかの対策を講じたのでしょうか、大きく伸し上がりました。中堅どころの国公立大学の躍進に期待します。

第5位
順天堂大学医学部 98.8%
 

 惜しくも浜松医大に1人足りなかった、順天堂大学です。新卒は85人中84人合格。順天堂大学は私大ながらも毎年いい位置につけますね。ここまでよかったのは初めてでしょうか、いやいや、伸びていますねー。非常に良い傾向です。私大は成績で頑張ってもらわないと。

第6位
新潟大学医学部 98.0%
 

 惜しくも2人落ちで第6位となりました、新潟大学です。しかし新卒受験者100人という点からも、留年させた人数は少ないのでは?実力の現れ、そして今後に期待です。

第7位
自治医科大学 97.9%
千葉大学医学部 97.9%


 いつもながらの優秀な成績で、総計ランクでも5位におさまっている自治医科大学と、千葉大学が同位入賞。しかし…自治医科大学に関しては、大学の特性上、防衛医大のように100%を目指してほしいところです。落ちてはいけないという意識が低くなっているのでしょうか?千葉大学は相変わらず安定しています。今年も昨年同様、既卒者の合格率がかなり悪く、総計ランクも低くなっているのが哀しいですね。

第9位
慶応義塾大学医学部 97.1%


 私立の名門、慶應です。残念ながら3人落ち。しかしランクそのものは昨年より上がっています。大学入学時は確かに他者より高い能力を持っていたのですから、それを大学在学時に生かせば当然高い位置にランクインするはずです。更なる高みへ進んで他の私大を引っ張っていってもらいたいと思います。

第10位
東海大学医学部 97.0%


 こちらも3人落ち。しかし私立大学が軒並み悪くなったのに対し東海大学は大きく伸びました。昨年の新卒ランクでは71位だったのに、今年は堂々のトップ10入り。おめでとうございます。

第11位
名古屋大学医学部  96.9%
広島大学医学部 96.9%


 この2校は98人中95人合格で96.9%。第11位です。名古屋は毎年悪くない位置にいますが、広島大学は昨年度75位と、最悪な成績をとってしまいましたからねぇ。この結果は嬉しいでしょう。来年度も、この位置の成績を取り続けて安定して下さい。

第13位
三重大学医学部 96.9%


 僅差ですがBEST13入りを果たしました、三重大学です。97人中94人合格です。今年は関西勢が頑張ったという印象がありますね。

14 山形大学医学部 96.9%
15 信州大学医学部 96.8%
16 横浜市立大学医学部 96.7%
17 佐賀大学医学部 96.7%
18 福島県立医科大学 96.3%
19 岐阜大学医学部 96.3%
20 日本医科大学 96.2%
21 京都府立医科大学 96.0%
22 富山大学医学部 95.8%
23 金沢大学医学部 95.8%
24 旭川医科大学 95.7%
25 山口大学医学部 95.4%
26 大阪大学医学部 95.3%
27 弘前大学医学部 95.2%
28 東北大学医学部 95.2%
29 札幌医科大学 95.1%
30 愛媛大学医学部 95.0%
31 岡山大学医学部 94.9%
32 産業医科大学 94.9%
33 大分大学医学部 94.9%
34 秋田大学医学部 94.8%
35 島根大学医学部 94.4%
36 藤田保健衛生大学医学部 94.1%
37 名古屋市立大学医学部 94.0%
38 大阪市立大学医学部 94.0%
39 群馬大学医学部 93.9%
40 福井大学医学部 93.9%
41 奈良県立医科大学 93.7%
42 東邦大学医学部 93.6%
43 神戸大学医学部 93.5%
44 昭和大学医学部 93.1%
45 東京慈恵会医科大学 93.1%
46 東京医科歯科大学医学部 93.0%
47 香川大学医学部 92.5%
48 岩手医科大学 92.4%
49 京都大学医学部 92.4%
50 鳥取大学医学部 92.4%
51 和歌山県立医科大学 92.3%
52 高知大学医学部 92.2%
53 北里大学医学部 91.7%
54 筑波大学医学専門学群 91.6%
55 獨協医科大学 91.5%
56 杏林大学医学部 91.4%
57 山梨大学医学部 91.3%
58 徳島大学医学部 91.3%
59 関西医科大学 91.2%
60 東京女子医科大学 91.1%
61 琉球大学医学部 91.0%
62 長崎大学医学部 90.7%
63 九州大学医学部 90.2%
64 大阪医科大学 89.6%
65 兵庫医科大学 89.4%
66 北海道大学医学部 89.2%
67 熊本大学医学部 89.1%
68 福岡大学医学部 88.7%
69 日本大学医学部 88.2%
70 東京医科大学 88.0%
71 久留米大学医学部 86.4%
72 宮崎大学医学部 86.3%
73 金沢医科大学 85.1%
74 埼玉医科大学 85.0%
75 鹿児島大学医学部 83.3%
76 愛知医科大学 81.0%
77 聖マリアンナ医科大学 80.9%
78 川崎医科大学 79.8%
79 近畿大学医学部 77.3%
80 帝京大学医学部 74.2%


 ランクインされた大学の方、おめでとうございます。今現在の実力を強く見せていただきました。今年は私立勢があまり健闘していませんねぇ。昨年度BEST13入りを果たしたのに落ちてしまった昭和大学医学部、東京慈恵会医科大学、関西医科大学、聖マリアンナ医科大学、久留米大学医学部には来年度、もう一度浮上してもらいたいところです。やれば出来る。むしろ医者になるというのに「やらない」というのは何事かという話ですね。妥協するのではなく出来るところまで、頑張ってほしいと思います。
posted by さじ at 10:45 | Comment(7) | TrackBack(0) | 大学
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