[精神]の記事一覧

2009年03月20日

「いたずら書き」は逆に集中力を高めることができる。

「いたずら書きは集中力を高める」その理由は

 いたずら書きが好きな人たちよ、良いニュースだ。いたずら書きは、気を散らせ、時間の無駄となる習慣だと同僚たちは考えているかもしれないが、こうした習慣が実際には、集中力を促進することで周りから一歩先んじるのに役立つ可能性があるのだ。

 録音されたメッセージに登場する名前を憶えているようにと指示された実験では、耳を傾けながらいたずら書きをしていた人たちは、そうでなかった人たちよりも記憶が優れていた。これは、いたずら書きがわずかに注意力を逸らせるにしても、実際のところは、退屈なメインの仕事を行なっている間の集中力を向上させる、つまり、いたずら書きをしないとかえって気が散る可能性があることを示唆している。

 「人々は自分の集中力を高めるために、戦略としていたずら書きをするのかもしれない」と、研究の共同執筆者の1人である、英プリマス大学の心理学者Jackie Andrade氏は述べている。

 「意識的ではないかもしれないが、こうしたいたずら書きは、人々がわざわざ行なっているものである可能性がある。なぜならいたずら書きをすることにより、[メイン作業から気がそらされて]空想にふけることから人々を救ってくれるからだ

 『Applied Cognitive Psychology』誌に掲載されたAndrade氏の論文は、認知負荷理論に興味深い考えをもたらすものだ。認知負荷理論とは、頭脳には一定限度の量の注意力しかなく、その注意力が使われてしまうと、他の刺激情報の処理を停止してしまうというものだ。

 認知的負荷はマジシャンたちに利用されている。彼らは、華麗な身振り口振りにより、巧妙なトリックで人々の注意を逸らす。また認知的負荷は、ハンズフリー・ヘッドセットを使う場合でも、携帯電話を持って会話しながら運転することと同様に安全でないという理由も説明している。そしていたずら書きが、空想にふけることよりもはるかに良いということの理屈にもなりうる。

 「空想には大きな認知的負荷がかかり、自分が行なうべき作業に大きな影響を及ぼす。一方、いたずら書きには小さな認知的負荷がかかるものの、精神的能力を主要作業に集中させ続けるにはかろうじて充分だ」と、Andrade氏は説明している。

 Andrade氏の研究チームでは、40名の被験者に対し、人や場所の名前が出てくる留守番電話のメッセージを聴かせ、その後、記憶している名前を書き出してもらった。

 被験者のうち半数は、メッセージを聞いている間、紙の上の図形を塗りつぶすよう指示された。実験の結果、彼らは、メッセージを聞いている間にいたずら書きをしなかった被験者よりも、名前の記憶がおよそ30%優れていたという。



 最初この記事みたとき「私は無理だわ」と思いましたが

 なるほど、確かに電話応対で「何も聞いていないとき」というのは別の空想にふけっていたりするものです。いたずら書きをしているときはただ手を動かしているだけで特に何も空想していない、すなわち電話の声をしっかり聞いている状態、なのかもしれません。

 絵が幼稚園児より下手なのでいたずら書きの習慣はありませんけれど、今度試してみようかなと思いました。

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posted by さじ at 04:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

親から褒められた子供は、他人を思いやる気持ちが育つ。

ほめられる子は思いやりも育つ…科学の目が初めて証明

 乳幼児期に親からよくほめられる子供は、他人を思いやる気持ちなどの社会適応力が高くなることが、科学技術振興機構の長期追跡調査で明らかになった。育児で「ほめる」ことの重要性が、科学的に証明されたのは初めて。3月7日に東京都内で開かれるシンポジウムで発表する。

 筑波大の安梅勅江教授(発達保健学)らの研究チームは、2005〜08年、大阪府と三重県の計約400人の赤ちゃんに対し、生後4か月、9か月、1歳半、2歳半の時点で成長の度合いを調査した。調査は親へのアンケートや親子の行動観察などを通して実施。自ら親に働きかける「主体性」や相手の様子に応じて行動する「共感性」など、5分野25項目で評価した。
 
 その結果、生後4〜9か月時点で父母が「育児でほめることは大切」と考えている場合、その子供の社会適応力は1歳半時点で明らかに高くなった。また、1歳半〜2歳半の子供に積み木遊びを5分間させたとき、うまく出来た子供をほめる行動をとった親は半数程度いたが、その子供の適応力も高いことも分かった

 調査では、〈1〉規則的な睡眠習慣が取れている〈2〉母親の育児ストレスが少ない〈3〉親子で一緒に本を読んだり買い物をしたりする――ことも、子供の適応力の発達に結びつくことが示された。



 子供の時期にはより「褒める」ことは重要ということですね。

 まぁこれは子供に限らず、部下を育てる場合にも「褒める」ことは大事なことです。怒ってもしょうがない、「叱る」ことと「褒める」ことをうまく使って育てるのは人間を成長させる上で当然のことかと思います。

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posted by さじ at 04:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

幼少期に虐待を受けるとストレスと闘う遺伝子が変化する。

ストレスと闘う遺伝子が幼児虐待で変化

 幼少期に虐待を受けると、ストレスと闘う主要な遺伝子の機能が弱体化する可能性があるという研究が発表された。生涯を通じてストレスに弱くなる恐れも否定できない

 この新たな研究では、幼少期に虐待経験がある自殺者とない自殺者、そして自殺以外の死者の三者間で脳の比較が行われた。

 カナダ東部モントリオールにあるマギル大学に在籍し、今回の研究を共同で行ったモシェ・スジフ氏は、「幼少時に虐待を受けると、そのしるしがゲノムに残るようだ」と話す。この発見は今週、「Nature Neuroscience」誌で発表された。

 私たちが両親から受け継ぐ遺伝子は、その機能発現を制御する化学物質(メチル基)によってしるしが付けられる。研究では、虐待の被害者のDNA自体に変化は認められなかったが、特定の遺伝子の発現が脆弱化し脳内の鎮静ホルモン分泌が抑えられていたのである。

 環境がこの種の影響力を持つという考え方は、エピジェネティクスという新しい研究分野の重要なポイントである。エピジェネティクスとは、DNAの塩基配列変化を伴わない遺伝情報の変化を研究する学問である。「薬や毒などの化学物質ではなく社会環境が遺伝子の発現を変化させるという、非常に興味深い現象だ。この分野は生命現象の理解にますます重要となるだろう。」とスジフ氏は言う。

 アメリカ南東部ジョージア州アトランタのエモリー大学に在籍し、ハワード・ヒューズ医学研究所の研究者でもあるケリー・レスラー氏は、次のように説明している。「成人が患うあらゆる種類の精神疾患において、幼少期の虐待は最高レベルの危険因子であり、それらすべての精神疾患には遺伝的要因があることが判明している。そしていま、幼児虐待と遺伝的要因の相互関係が理解されつつある」。



 精神疾患も増えつつあるようですが、やはり子供の時期というのは大事なんですね。虐待が起こることで人格障害、その他の精神疾患も発症するリスクが高まると。

 うーん、子供を育てることって、ホント大事なことですね。昔と違って虐待が増えた、とは言いませんけれど、この近代社会において虐待という現象が全く減らないことにこそ危機を感じます。

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2009年03月15日

SSRIを服用した患者に暴力性が高まる。

抗うつ薬で暴力など42件 厚労省が因果関係調査

 抗うつ薬の「パキシル」など4種類のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を服用した患者に、他人に暴力をふるうなど攻撃性が高まる症状が表れたとの報告が2004年から昨年秋までに計42件、医薬品医療機器総合機構に寄せられ、厚生労働省は7日までに、因果関係の調査を始めた。

 メーカー側に見解を求めるとともに近く専門家の意見も聞き、攻撃性についての注意書きを盛り込む方向で、添付文書の改訂を指示することを検討する。

 厚労省によると、報告があったのはパキシル、ルボックス、デプロメール、ジェイゾロフトの4社4製品。42件のうち「人を殺したくなった」など他人を傷つける恐れのある言動をしたり、実際に暴力をふるったりした症例が19件。残る23件も、興奮して落ち着きがなくなるなどの症状が表れたという。

 因果関係は不明だが、うつ病を併発した認知症の70代の男性がパキシル服用後に妻を殺害するなど、刑事事件に発展したケースもあった。

 SSRIは、脳内の神経伝達物質セロトニンの濃度を調節して神経の活動を高める薬。三環系と呼ばれる従来の抗うつ薬よりも副作用が少なく、うつ病治療に広く使われており、国内でも推定で100万人以上が使用しているとみられる。

 厚労省は「うつ病以外の患者にも使われていなかったかなど慎重に調べたい」としている。



 薬による副作用なのか、それともうつ病以外の鬱状態の患者に投与してしまったために起こったものなのか、わからないのが問題ですかねぇ。

 うつ病に使う薬は、脳の伝達物質をどうこうするものなので、病気によって少なくなった物質を上げてやろうっていうものなんですけど、実際にそこに異常がない人に投与すると、こういった暴力性は出ないのかもしれません。
posted by さじ at 14:40 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

2009年03月10日

自殺の原因となる鬱病の「不眠」を見逃さないことが大切

自殺の原因 不眠見逃すな

 経済情勢の急激な悪化で働き盛り世代の自殺が増える恐れがあるとして、県は予防のための「睡眠キャンペーン」を展開する。新聞、テレビCMなどを通じ、自殺の前兆となる不眠を見逃さないよう呼びかける

 国内の自殺者は年間3万人を超え、県内でも2007年の自殺者は804人に上った。ここ10年は年間700〜800人台で推移し、交通死者の3〜4倍に上る。

 自殺の原因の半数を占めるとされるうつ病では、寝付きが悪い、朝早く目が覚めるなどの症状が2週間以上続く不眠がほとんどに見られる

 県はこの不眠に注目し、昨年2、3月、不眠への注意を呼びかける広報CMをテレビ、ラジオで放送した。

 06年度から、富士市をモデル地区に指定し、うつ病を早期発見する事業を全国に先駆けて展開している。

 県は不眠やうつ病への関心を高めようと、昨年放送したCMを10日から3月24日まで再放送するほか、新聞や地域FMで広報し、市町の窓口やハローワークなどで小冊子を配布する。

 県医師会に協力を求め、かかりつけ医から精神科医への治療につなげる紹介体制作りも目指す。

 新年度から、自殺予防対策の窓口となり、情報の収集や発信を行う「県自殺予防情報センター」を県精神保健福祉センター(静岡市駿河区有明町)に開設し、非常勤の自殺対策調整員を1人配置する。こうした自殺対策費として新年度予算案に約1800万円を計上した。

 県精神保健福祉室では「眠れているかどうかは家族や職場などでも分かりやすい。まず不眠に気づいてもらうことが重要」としている。



 うつ病の場合、周囲の人が気づきやすい自殺の兆候というと凄い不眠、ですね、やはり。一日の睡眠時間が極端に短かったりします。眠れないのはやはり辛いもの。適切な対処をすることが大事です。ヤバイなと思ったら気軽に病院へ。きっと助けになってくれるはずです。

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posted by さじ at 22:08 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

校長が職員の同意を得ずに精神科医に病状を聞きだす

無断で精神科医と面会の高校校長に勧告

 大阪弁護士会は9日、大阪市立の高校校長が、職員の同意を得ずに精神科医に病状を聞き出したのはプライバシーの侵害だとして、市教育委員会に勧告した。

 勧告書によると、校長は2004年5月、休みがちだった男性事務職員が通院していた病院に市教委の係長と行き、主治医と面会。「本人の同意を得た」と説明した上で病状を聞き出した

 職員は「了解していない」と8月に弁護士会に人権救済を申し立てた。

 勧告書で弁護士会は、健康情報の収集の際は本人の同意を得るよう求めている。



教員の「心の病」が止まらない

 文部科学省の調べによると、うつ病など「心の病」のために病気休職した教員は毎年数百人ずつ増え続け、2007(平成19)年度はついに10年前の3倍となりました。その数4,995人(前年度比320人増)で、約200人に1人の割合で教員が学校現場を離れたことになります。

 また、2007(平成19)年度は新人教員103人が「病気」を理由に1年以内に依願退職し、その多くが神経症やうつ病などストレス要因によるといいます。この4年前、病気理由は10人だったのですから、急増と言ってよいでしょう。

 こうした増加傾向は、何も学校に限ったことではなく、民間企業でも同じです。財団法人社会経済生産性本部のアンケート調査(2008<平成20>年)では、企業の56%が「心の病」は増加傾向にあると答えています。ただし、メンタルヘルス対策に力を入れていると答えた企業は64%に上ります。

 同じころ、文科省の委託で民間機関などが全国の教育委員会に聞いたところ、メンタルヘルスに「十分に取り組んでいる」が0.8%、「まあ取り組んでいる」が17.8%、合わせても2割に満たない結果にとどまりました。教委の79%が「必要である」と認識しながらも、「担当者の不足」(51%)、「予算がとれない」(50%)といった状況にあり、調査結果のまとめでは「基本的な体制づくりが現状ほとんどできていない」と厳しい評価を下しています。

 この調査では、ほかにも気になる数字が出ています。44%の教員が「1週間の中で休める日がない」と答え、62%が「児童生徒の訴えを十分に聴く余裕がない」「気持ちがしずんで憂うつ」「気がめいる」など、「うつ傾向」と関連が深い自覚症状を訴える教員が一般企業の2.5倍に上りました。教員のメンタルヘルス対策を急ぐ必要があると言えます。

 ただ、上述のように対策の進んでいるはずの民間企業でも、「心の病」は増加傾向にあります。メンタルヘルス対策を取り入れれば、すぐに解決する問題ではありません。うつ病には心因性・内因性・外因性とあってケースによって要因は違いますが、それが職場環境によるケースであれば、職場環境そのものを改善しなくては減らないという、ごく当たり前のことをもう一度見つめ直す必要がありそうです。



 完全なるプライバシーの侵害・・・。これはやっちゃいけないことです。精神科医も「本人の了解を得た」程度で教えてしまうのはいかがなものかと思いますが。

 ネットでもいえることですけど、なんかヤタラと患者さんのことを書きまくる医者ってのもいますよね。正直なところモラルがねぇなと思いますが。患者側が医者のことを書くならまだしも。

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2009年02月27日

独りぼっちの寂しさは、健康にも害を与える。

孤独の寂しさは健康に被害を与える。

 心理学者によると、独りぼっちの寂しさは喫煙や肥満と同じく健康に害があるとのこと。

 他人とのつながりの欠如が、我々を不幸にするだけでなく、身体や精神にも悪いことが発見された。拒絶されたという感覚や孤立が、血圧やストレスのレベル、一般的な消耗と同様にアルツハイマー病を発症する確率も引き上げる。また、力や耐久力も減少するため、健康的な生活を送る能力も影響を受けるという。

 この研究は、シカゴ大のJohn Cacioppo教授がAAASの年次総会で発表したもの。

 独りぼっちの寂しさは行動を変えるだけでなく、心血管系を通る血流の高い圧力にも関係する、と同教授は述べる。ストレスホルモン・コルチゾールを朝のレベルにまで引き上げ、免疫システムや高血圧、鬱の段階の引き上げに影響する。また、深い睡眠の取りづらさや、アルツハイマー病の早い進行にもつながる。

 同教授は、健康に関して、孤独な人と人気者の違いを、喫煙者と非喫煙者の違いにたとえる。「この結果は、私を含め、研究チーム全員を気絶させるほどのものでした。それだけ強力なのです」

 「孤独な人は病弱になります。運動せず、静かにすることが多く、多くのカロリーを摂取します。彼らはより多くの脂肪や砂糖を摂取して自らを慰めるのです

 「孤独は自分自身のコントロール能力を引き下げます。辛い日の後、慰めに二杯目、三杯目のスコッチに簡単に手を出してしまうのです」

 「社会的神経科学」という新しい分野の創設者の一人でもある同教授は、他人とのつながりの必要を追求し、進化論的ルーツに辿り着いた。古代において生き残るためには、人々は子供を育てるためにつながりを持つ必要があった。栄えるためには、利他主義や協力を広げる必要があった、と結論付けた。

 同教授は、火から指を遠ざけるなど、物理的な痛みが行動を変えるきっかけになるように、独りぼっちの寂しさという感覚が行動のきっかけとして進化したのではないか、それが他人との関係性の修復という先祖代々の必要性を示すものなのではないか、と考えている。

 同教授は、さらに、この社会的孤独という問題が、従来の家族構成が死に絶えるに伴って深刻化するだろうと言う。なぜなら、人々はより長く生きるようになり、出産も遅く、子供も少なくなり、より世界中を動き回るようになったからだ。また、調査によると、一世代前に比べ、人々は親しい友人の数が有意に減っているとのことである。



 この領域は今の日本にこそ必要な学問なのではないか、と思います。

 確かに孤独の寂しさ、それによるストレスは計り知れないものがあります。人は一人では生きていけない、ということは医学的にもいえるのではないでしょうか。人間は強くありません。それゆえに別のほうほうで補おうとした結果、生活がすべてよろしくない方向へ傾いていく、と。

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2009年02月25日

35歳以上で初めて子供を産んだ女性は産後精神病になりやすい

35歳以上の初出産、産後精神病になる率は若い母親の2倍超

 35歳以上で初めて子供を産んだ女性が産後精神病になる確率は若い母親の2倍以上との研究結果をスウェーデンのカロリンスカ研究所が明らかにした。

 同研究所は1983年から2000年までに国内で初めて子供を産んだ母親約75万人の調査データを基に、35歳以上で初出産した母親が出産後90日以内に産後精神病になる率は19歳未満で初出産した母親の2.4倍だと指摘した

 産後精神病は重い精神疾患で、妄想、幻覚、過食、睡眠障害などを伴ったり、自殺傾向がみられたりし、生まれた子供に危険が及ぶ恐れもある。このため、薬の投与や入院などの措置を直ちに取る必要がある。

 同研究所によれば、初出産した母親の8割は精神的不安、軽いうつなどを経験するものの、産後精神病になるのはおよそ1000人に1人。また、精神病になる女性の大半は以前に精神病の病歴があるが、産後精神病になる女性の約50%は精神病での入院歴がないという

 同研究所は一方で、喫煙や父親不在といった要素が産後精神病の発症に影響することはなかったほか、糖尿病を患っていたり、高体重児を出産したりした場合は産後精神病になる率が低かったとしている。



 誰でもなるもんだとは思いますが、喫煙の有無、父親不在といったリスクになりそうな因子があっても、産後精神病の発症には関係ないとする点や、糖尿病、高体重の子供を出産した場合にはむしろ低くなるという点が不思議ですねぇ。

 出産後も含めて、周産期のケアを施すのも、これからの医療の形かもしれません。もちろん看護師や助産師などを中心とした新しい形を全国的に普及できれば、少なくとも一人で抱えることはないかな、と。

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2009年02月24日

統合失調症のラットのドーパミン放出についての研究成果

統合失調症の治療に道 ラットの脳、薬剤で正常に

 幻覚や妄想を伴う精神疾患「統合失調症」の治療薬開発や発症要因の解明につながる脳の研究成果を、放射線医学総合研究所(千葉市稲毛区)の樋口真人博士(40)らのチームが、十一日付の米科学誌に発表した。覚せい剤を与えて統合失調症を模したラットに特定の薬剤を投与すると、脳内が正常な状態に戻ることを、陽電子断層撮影(PET)で画像化することに成功。同種の薬剤が統合失調症の治療薬として利用できる可能性や、この画像化技術が診断に応用できる道を示した。

 統合失調症の発症メカニズムは未解明だが、脳内での神経伝達物質「ドーパミン」の異常放出が原因の一つとみられている。

 ラットに覚せい剤を投与すると、統合失調症に似た異常行動を示し、脳内のドーパミン放出は増加する。研究チームは、この状態のラットに、脳内の「グルタミン酸神経系」を阻害する薬剤を与えることで、ドーパミンの異常放出を完全に防げることをPETで確認。ドーパミンを出す神経系を、グルタミン酸神経系が制御していることが分かった。

 動物実験では麻酔を使うことが多いため、測定結果に影響が出る可能性が高いが、今回は麻酔をせずにPET測定に成功。より人に近い状態で検証できたため、診断への応用も期待できるという。

 同チームで実験を行った徳永正希博士(37)は「治療薬開発や診断に役立てたい」と展望を語った。



 脳内が正常に戻ることが確認されたのは大きな進歩か。

 統合失調症はごらんのように、脳の分泌の異常です。幻覚が見えるからといって何も狂った人ではありません。医学が進歩していくのと平行して、一般の方々の偏見も、取り除かれていくと良いと思います。

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しかしアメリカでは進化論が受け入れられていない。

ダーウィン生誕200年、米国では「進化論」浸透せず

 進化論の祖として知られる英科学者チャールズ・ダーウィンが誕生して200年を迎える12日、英国の生誕地などでは記念行事が行われた。進化論は現在、生物学でも重要な位置を占めるが、米国では宗教上の理由などから進化論を否定する人が多く、授業で扱うかどうかについて訴訟に発展する場合もある。

 米ギャラップが実施し、近ごろ発表された世論調査結果によると、米国で「進化論」を信じる人は39%にとどまり、全く信じない人が25%だった。36%は進化論に対して意見を持っていなかった。

 また、昨年5月に実施した調査では、人間が何万年もかけて進化してきたと考える人はわずは14%に過ぎず、過半数に近い44%の人は、「過去1万年の間に、神が一晩で人間を創り出した」と考えていた。

 チャールズ・ダーウィンは1809年2月12日生まれ。ケンブリッジ大学卒業後に英海軍の測量船「ビーグル号」に乗船して、約5年にわたって世界各地を訪問。エクアドル太平洋沖のガラパゴス諸島にも立ち寄り、ここで生物の多様性について考えるきっかけを得たとされている。



 日本だったら常識がないと笑われるレベル

 でも宗教って案外大事だったりするんですよね。「心のよりどころ」としての機能で考えるならベストオブベストといったろころでしょう。

 日本ではそういう逃げ道がないために、若者が一人で悩んだり、行き場がなかったりして、社会問題にまで発展しているのが現状か。昔だったら寺がそういった機能をもっていたんでしょうけれど、今はそういう道もないですからねぇ。。。宗教のありがたみか。

 しかし新興宗教はそこにつけいるんですよねぇ。何と言っても金を要求してくるところなどが恐ろしい。詐欺みたいなもんですからね。それならば伝統的なカトリック教や、古くからある仏教などのほうがまだ信用できるといいますか・・・。むしろそういう方向に社会的に誘導してやれば、安らぐ若者も増えるのではないか、と思います。
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2009年02月20日

イタリアでも「hikikomori」が目立つ。日本と類似と指摘

イタリア:「引きこもり」目立つ 有力紙指摘「日本と類似」

 イタリアの有力紙「コリエレ・デラ・セラ」が同国で目立つ「引きこもり」を特集した。精神科医らの証言を基に、原因を探っている。

 記事(11日付)は「イタリアの引きこもり(hikikomori)、東京のよう、何年も孤立する少年たち」と題され、社会面に大きく掲載された。刀を持った日本人の少年が乱雑な部屋でくつろぐ姿をイメージ写真として使っている。

 ミラノ発で、「昼は寝て、夜に冷蔵庫をあさり、インターネットと漫画だけの生活」、「過去半年、親に話したのは『ほっといてくれ』の一言」と約10人の事例を紹介。複数の精神科医が「100万人を数える日本ほどではないが、外の世界から逃れ、閉じこもる子が多い」、「頭が良く創造性があるが内向的な10代に多い」と特徴を報告。著名な精神分析医が「私が知る事例では、過去2年で5倍に増えた」とする。

 要因としては「母親との密着や過保護が、自己愛の強い、もろい子にしている」、「日本では厳しい学校制度、親の過剰な期待が一因だが、イタリアでは学校で(友達)グループとの関係を築けない子の逃避が多い」とまとめている。「小さい時から、共によく遊び、時に外に一人で出し、自己評価の高い子に育てなければならない」と結んでいる。



 日本が世界にリードしているのか、引きこもり関連は…。イタリアと日本の共通点というとママ大事にする点?いやでもそれは全世界共通のような気もするしなぁ。アニメが盛んとかそういう点ですかね。引きこもる要因があるというか何というか。

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2009年02月16日

集中力を高める色と、想像力を高める色について。

集中力を高めるには赤色、自由な発想を促すには青色を選択

 赤色や青色は、単に見た目だけにとどまらない。これらの色は、集中力や創造性に影響を及ぼす可能性がある。

 この新しい色彩連想研究の結果が、『Science』のオンライン速報版『Science Express』に掲載された。

 主要な結果は以下のとおりである。赤色は細部への注意力を、青色は創造性を高めるが、それらの色彩効果は気づかれないことが多い。

 ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)Sauder School of BusinessのRavi Mehta, MBAおよびRui (Juliet) Zhu, PhDは、赤色と青色の効果を比較する6つの色彩研究を実施した。

 Mehta博士およびZhu博士は、6つの研究において、赤色と青色を比較検討した。各研究において、色覚異常のない学部生に、スクリーンセイバーが青色または赤色のコンピュータ・スクリーンに表示された単語の暗記、青色または赤色の物体からの子供のおもちゃのデザイン、住所録の編集など、さまざまなタスクを実行させた。

 各研究において、タスクが赤色モードの場合に学生の集中力が高まり、青色モードの場合に創造性が高まった。

 例えば、スクリーンセイバーが赤色の場合、学生は、より正確に記憶し、より優れたコピー・エディタであった。また、赤色の物体からデザインしたおもちゃは、より実用的であった。それは、一時停止の標識(赤信号)など、赤色が注意の合図であるためであろう、とMehta博士およびZhu博士は述べている。

 創造性を高めるには青色が効果的であった。青色の物体から作ったおもちゃは、それほど実用的ではないにしても、より独創的であった。また、スクリーンセイバーが青色の場合、動物の爪とぎ柱としての使用など、独創的であるが不可能ではない、れんがの使用法をうまく考え出した。

 集中力を高めるのは、赤色または青色のいずれか、創造性を高めるのは、赤色または青色のいずれか、という質問に対して、学生は両質問ともに青色と答えた。研究者らによれば、おそらく青色の方が好きであるという理由で、青色を選んだのであろう。

 「油断のない注意を要するタスク(重要な情報の暗記、新薬の副作用の理解など)には、赤色が特に適切であろう」と、研究者らは記している。

 「しかし、創造性および想像力を要するタスク(美術店のデザイン、新製品アイデアブレインストーミング・セッションなど)には、青色がより効果的であろう」と、Mehta博士およびZui博士は付け加えている。



 警戒を促すような、本能によるものなんでしょうかね。

 白い紙に赤色で書くのではなく、赤字をバックにして、文字を白抜きにした参考書とか、もしかしたら売れるのかもしれません。
posted by さじ at 23:31 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

2009年02月15日

偽りの鬱病で5500万円を詐取した社員らを逮捕する。

「ニセ鬱病」で5500万詐取…“共犯者”が明かした巧妙手口

 国民の約15人に1人が生涯に経験するとされる「鬱病」。自殺など悲劇に結び付かないよう全国での取り組みが本格化する中、鬱病になったと偽り健康保険の手当金をだまし取っていた男らが、秋田県警などに詐欺容疑で逮捕された。病気を装うためのマニュアル、大量のニセ社員…。男らの“共犯者”が産経新聞の取材に応じ、短期間で荒稼ぎした組織犯罪の一端を明らかにした。医師を手玉に取り、制度を悪用した前代未聞の手口とは−。

 「札幌市にあるアクアという小さな会社の社員が、次々と鬱病になって傷病手当金を受給している。経営実態も怪しいようだ」

 昨年、北海道や東北地方の社会保険事務局の担当者の間で、こうしたうわさがささやかれていた。

 そうした中の昨年6月、秋田社会保険事務局の担当者が“異変”に気付いた。「アクア」秋田支店長の男が「鬱病になった」として手当金の支給を同事務局に申請し、事務局は「支給決定通知書」を男の自宅に送付した。ところが、「転居先不明」として書類が返送されてきたのだ。

 うわさを耳にしていた担当者は不審に思い、秋田支店が入居するアパートの一室に出向いてみた。すると案の定、人の出入りは一切なく、営業している気配もなかった。

 秋田支店長の「転居」の理由は不明だが、書類返送の“ヘマ”が端緒となり、事務局から被害相談を受けた秋田県警が内偵に着手。今年1月下旬に立件にこぎつけ、組織的な犯罪が明るみに出た。

 詐欺容疑で逮捕されたのは、札幌市豊平区の雑貨販売業「アクア」代表社員、S(41)、同市東区の無職、N(28)ら3容疑者

 3人は共謀し、昨年3月中旬、秋田社会保険事務局に会社の実体があるように装って虚偽の届け出をし、アクア秋田支店として健康保険の適用を受けた。支店長の七尾容疑者は5月に鬱病で働けなくなったと申請、同事務局から1カ月分の傷病手当金約66万円をだまし取った疑い

 秋田県警は内偵段階で札幌のアクア本店も実体がないと断定し、ほかに被害のあった北海道、青森、宮城、福島の各警察と共同捜査班を設けて捜査した。

 これまでの調べで、アクア社は平成18年2月から昨年12月までの間、7都道県の社会保険事務局から計約5500万円をだまし取った疑いが浮上している

 S容疑者らが詐取した傷病手当金は、欝病を含め病気やケガで休職を余儀なくされた中小企業サラリーマンの救済制度である。社員が払う健康保険料が原資となっている。

 社会保険庁の地方組織である社会保険事務局(組織改正のため昨年10月から全国健康保険協会に部門移管)が窓口。申請には休職前の勤務状況を証明するタイムカードや実際の月給を示す賃金台帳の写し、医師の傷病証明などが必要だ。

 申請できる月給の上限は121万円で、基本支給額は日給の3分の2。10日前後の審査を経て、休職者の口座に入金される。

 申請書類の中で最も重要なのが医師の傷病証明だが、S容疑者はいとも簡単に突破している。

 「医者をだますのなんて簡単だ

 秋田県警の取り調べに、こううそぶいているという。

 その武器は“欝病なりきり”マニュアルだった。

 厚生労働省が作成した欝病対策の「国民向けパンフレット」によると、欝病とは一般的に意欲の低下や不眠、倦怠感などを伴う病気で、自殺原因にもつながるという。10年前の同省の調査では、欝病を含む気分障害の総患者数は44万人で、年々増える傾向にあるとされる。

 S容疑者はこうした情報をインターネットや書籍で入手し、紙1枚にまとめていたのだ

 県警が押収したマニュアルには鬱病の症状が列挙され、アクア社の“ニセ社員”が診察を受けに行く際には内容を覚え込ませた。ときには実技指導をし、総合病院より開業医に行くようにも指示。その結果、大半のケースで欝病と診断させることに成功したというのだ。

 「確かに、数人でチェックする総合病院に比べて一般的に開業医はチェックが甘い。最近は、同業者との競争激化で患者に迎合する傾向もみられる

 北海道内の精神科医はこう話す。S容疑者は病院の実情をよく把握していたようだ。

 北陸地方の別の精神科医は、こんな打ち明け話をする。

 「鬱病はレントゲンなどで発見するようなことはできず、結局、患者側の言い分に頼るのがほとんど。病気の特徴としても、症状の初期と治る直前に自殺するケースが多いため、初診の際に『鬱病ではありません』と言い切ることはなかなかできない

 “ニセ社員”の一人で、昨年8月に「東京支店長」となった男性(39)は事件発覚後の2月上旬、産経新聞の取材に応じた。男性は秋田県警に任意で事情聴取されたという。

 −−S容疑者と出会った経緯は?

 「昨年8月ごろに、S社長のもとで働いていた自分の幼なじみから電話で、『おいしい話があるよ』と声をかけられ、今住んでいる渋谷のアパートを東京支店にしただけ」

 −−具体的にどんな指示を受けたのか

 「自分はマニュアルはもらわなかったけど、医者に診断してもらう際には鬱病の症状を言うように指示された。『もし医者が診断書を書いてくれなかったら、おれが説得する』とも話していた」

 −−病院はどうやって探したのか

 「自分で探すように言われたが、総合病院よりも開業医を選ぶよう指示された」

 −−だまし取った金額は?

 「2カ月分で35万円くらいかな。最初は半信半疑だったけど、実際に手当金が入金されて驚いた」



 許さん。

 これはもう悪質極まりない手口です。そりゃ肺炎とか胆嚢結石とかと違って、精神科の領域は患者の言い分に準じて診断が下り、治療として薬が処方されます。鬱病の知識さえあれば誰でも診断されるでしょう。決してこの悪質な詐欺は頭が良いから成功したわけではありません。ただ非人道的ともいえる悪意がないと出来ないだけです。

 こういうことが横行してしまうと、実際に鬱病になった社会人を補償することが難しくなってしまいます。福祉を根底から揺るがしかねないほどの悪質な詐欺です。ホント何考えてるんでしょうかね。長期の実刑でも更正しないんじゃないですかね、こういう人は。

 やはり医学的に、鬱病も何らかの検査で診断できるようになればいいんですけれども…。難しいですね。最初から患者さんが鬱病を騙ってるんじゃないかと疑うような診療も嫌ですし。

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2009年02月10日

内気な魚はペアになった相手の勇敢さを引き出すことができる

内気な魚は相手の勇敢さを引き出す、英研究

 水草などに隠れている魚をおびき出すには、内気な魚とペアを組ませればいい――。科学誌『カレント・バイオロジー(Current Biology)』で29日に発表された、英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の研究チームによる魚の生態に関する研究で、そのような結果が判明した。

 研究チームが小型のトゲウオの生態について調べた結果、1匹の場合よりもペアでいる方が危険を冒して餌を探しに出てくることが多いとわかった

 魚には集団防衛する傾向があることを考慮すれば、目新しいことではないかもしれないが、研究チームはさらに、トゲウオが「リーダー」と「部下」の役割に分かれ、内気な魚が部下に、勇敢な魚がリーダーになる傾向があるのを発見した

 ケンブリッジ大のAndrea Manica氏は、「魚は行動的な過程でリーダーと部下の関係になることが分かった」とし、「個体は生まれつきリーダーまたは部下なのではなく、社会的な反応の結果でペアにおける役割は決まり、それは大きな集団にも当てはまるのではないかとわれわれは考えている」と述べた。

 研究チームはまず、安全地帯である水槽の底の水草を離れ、隠れる場所のない水槽上部の空間に餌をとるために出てくる魚を調べて、勇敢な個体と内気な個体を選別。次に不透明な仕切りを取り除いて2種類の魚が互いに見えるようにし、魚が水草の陰から出てくる頻度と順番を調べた。

 その結果、どの魚も餌をとりに出てくる回数がそれまでよりも大幅に増え、また常に同時に出てきたが、大半の場合は勇敢な方が先に出てきたという。

 最も内気な魚とペアを組んだ勇敢な魚は、陰から出てくる回数が著しく増え、内気な魚が水草に戻った後も、その場にとどまったという

 リーダーシップは、多くの種類の動物がよく示す行為だが、魚の場合は、個々の魚がパートナーの動きに対しどのように反応するかで生じることが今回の研究で示されたと、研究チームは述べている。

 Manica氏は、「内気な個体が非常に勇敢な個体とペアとなったら、勇敢な方は内気な方を忠実な部下になろうという気にさせ、逆の場合も、非常に内気な個体は勇敢な相手のリーダーシップを引き出しているとみられる」と説明した。



 面白い。人間も一緒ですね、これ。社会で使えそうなアレです。どう使うのかは分かりませんけれど。

 私などは内気な魚側なんで、リーダーシップとれる人をうらやましく思う反面、自分では裏方仕事なら結構できると思っているので、まぁいいかなと。人それぞれ適した役割があって、それを無理に変える必要もないと思いますしね。ただビビリなだけですけど。

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若いうちにテレビなどの電子メディアに接すると鬱になりやすい

若年期に電子メディアに接しすぎるとうつになりやすい?米研究

 若年期にテレビやビデオゲームなどの電子メディアに接する時間が長いほど、うつを発症しやすくなるおそれがあるという研究が2日、医学誌「Archives of General Psychiatry」に掲載された。

 研究を行ったのは米ピッツバーグ大医学部の研究チーム。まだDVDやインターネットが広く普及していなかった1995年。当時うつの症状がなかった10代の若者4142人について電子メディアに接する時間を調べた。その結果、1日の総接触時間は平均5.68時間で、内訳はテレビが2.3時間、ラジオが2.34時間、ビデオが0.62時間、コンピューターゲームが0.41時間だった。

 調査対象者の平均年齢が21.8歳に達した7年後に再調査したところ、308人(7.4%)にうつ病の症状がみられたという。

 研究チームは、統計モデルによる分析の結果、テレビの視聴時間が長いほどうつの発症頻度が高まることが分かったとしている。さらにテレビ以外も含めて電子メディアに接触した時間が長いほど、発症頻度が高かかったという

 性別では、電子メディアへの接触時間が同じ場合、女性のうつ発症頻度は男性よりも低かった。

 調査チームは、電子メディアに長時間接することで、スポーツや社会活動、知的活動の時間が少なくなったのではないかと指摘し、達成感や社会との関わりを実感できるような活動をすることで、うつになりにくくなる可能性があるとしている。

論文要旨

 一定のメディアとの接触が、精神的な症状の存在と関連付けられてきているのに、メディアとの接触と鬱病の関係はほとんど調べられていなかった。そこで、本研究では、国内の代表的なサンプルを用いて、思春期のメディアとの接触と青年期の鬱病との関連を評価することを目的とした縦断的コホート研究を行った。

 我々は、思春期には鬱病の兆候が見られなかった4142人における、続く7年の間の発症とメディアとの接触の関連性を調べるため、National Longitudinal Survey of Adolescent Health (Add Health)を用いた。鬱病については9アイテムのCES-Dで評価した。

 追跡調査をした4142人(女性47.5%、白人67.0%)のうち308人から、鬱病と一致する症状が報告された。ベースラインのCES-Dのスコアを含めた共変量をコントロールした結果、1日あたり1時間単位のテレビ使用の増加に伴い、鬱病進行の確率が有意に上昇した。(オッズ比[95%信頼区間], 1.08[1.01-1.16])さらに、1日あたり1時間単位の全メディアとの接触の増加に伴い、鬱病進行の確率が有意に上昇した。

 しかし、ビデオ、コンピューターゲーム、ラジオとの接触と鬱病の進行との間に一貫した関係性は見つけられなかった。若い男性と比べ、若い女性は同程度のメディアとの接触では鬱病が進行しにくい。

 思春期におけるテレビや全メディアとの接触が、青年期、特に若い男性の鬱病発症の確率の上昇と関連付けられる



 テレビをよく見るような内向的な人がうつ病になりやすいとかそういうわけではないんですかね。テレビをみることで活動性が低下し、更に考える機会が減ることでうつ傾向になるのでしょうか。

 まあ確かに若いうちは学校活動や運動に夢中になったほうがよさそうですけれども。

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2009年02月08日

抗うつ剤ごとの効果に大きな開きがあることが判明する

抗うつ剤、効果に3割の差 日英伊研究
  
 「薬の種類による差はない」とされてきた抗うつ剤が、効果に30%以上の開きがあることが日英伊の大規模な国際研究でわかった。効果と副作用のバランスをもとに薬の順位づけもした。世界各国の抗うつ剤に関するガイドラインを書き換える可能性がある。29日付の英医学誌ランセットで発表した。

 抗うつ剤は、20年ほど前に「新世代」と呼ばれる副作用が比較的軽い薬が登場し、12商品(日本では4商品)が主に流通している。しかし「効果には大差がない」というのが通説。世界の精神医療を先導している米精神医学会の治療指針も効果に差はないとしたうえで、患者の意向や費用などをもとに選ぶよう求めている。日本でも医師の考えで薬が決められていた。

 今回の研究で、うつ病治療でどの薬を第一選択肢とすべきかが初めて明らかとなり、薬の選択がしやすくなる

 研究には、名古屋市立大の古川壽亮教授(精神医学)のほか、英オックスフォード大やケンブリッジ大、伊ベローナ大の医師12人が参加。12の薬を対象に、91〜07年に世界各国で行われた効き目に関する比較臨床試験のうち、科学的信頼度の高い117試験を選んで解析。8週間後の効き方と、副作用のため薬をやめた率を比べた

 効き目だけでみるとミルタザピンが最も高くレボキセチンに比べて患者に効く率が34%高かった。日本で承認販売されている薬を比べると、セルトラリンはフルボキサミンに比べ、11%高かった。

 一方、副作用などもあるため、その要素を加味。その結果、効き目と副作用のバランスがよく、患者にとって使いやすい薬の順番がわかった

 日本では現在、ミルタザピンとデュロキセチンが販売承認申請中のほか、エスシタロプラムなどが臨床試験中。厚生労働省調査では、うつ病や躁うつ病など気分障害により通院している人は90万人以上いる。



 抗うつ薬の使い方ってホント難しいと思います。効果に個人差はありますし、副作用の考慮もしなければなりませんし。

 でも今後、抗うつ剤の向き不向きや、遺伝子検索などで誰に合うかといったことも明らかになってくるような気はしますね。うつ病の適切な治療のためにも、こういった大規模のデータ収集を適時行ってもらえれば、有効な治療法の確立につながるかなと思います。

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2009年01月19日

グルココルチコイドの濃度が高すぎると、神経伝達物質が減る

脳神経伝達物質の減少、一因解明=うつ病新薬に応用期待−国立精神センター

 ストレスに対抗するために副腎皮質から分泌されるホルモン「グルココルチコイド」の血中濃度が慢性的に高くなり過ぎると、脳神経細胞からの神経伝達物質の放出量が減るメカニズムが見つかった。

 国立精神・神経センター神経研究所の沼川忠広室長らが17日までに米科学アカデミー紀要に発表した。うつ病の新たな薬や治療法の開発に役立つと期待される。 



 ホルモンの微妙なバランス加減について、またひとつ新たに厄介なまでに細かい機序が。

 まぁでもこれの発見のおかげで、新たな治療法が出来るかもしれませんし。副腎皮質ホルモンが出すぎるためにうつ病になりやすくなっていたりするかもしれませんしね。

関連:リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンは脳神経の再生を促す
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2009年01月18日

テトリスをプレイするとPTSDの治療として効果がある。

テトリスはPTSD治療に効果あり、オックスフォード大学

 英オックスフォード大学の研究者による実験によりテトリスはPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療に効果があることが学術専門誌「PLoS ONE」に掲載された論文により明らかとなった。

 この論文発表を行ったのはオックスフォード大学精神神経学科のエミリー・ホームズ(Emily Holmes)博士を中心とする研究グループ。

 研究グループはボランティアの被験者に対して精神的動揺を与えるような飲酒運転事故によって怪我を負った人の映像を30分間に渡って見せた後で、今度は10分間、TVゲームをプレーさせるという実験を実施。その結果、テトリスが一番、事故映像によるトラウマ軽減に役立ったとしている

 ホームズ博士はテトリスの単純な映像と音の繰り返しが、脳内の記憶域にあるトラウマ映像の崩壊につながったのではないかと述べている。

 ホームズ博士によると同等な実験からオンライン・ロール・プレイング・ゲーム「World of Warcraft(ワールド オブ ウォークラフト)」はコミュニケーション能力の向上に効果があるとも述べている。



 テトリスというゲームはかなり奥が深いらしく、もう軌跡が見えないほどの早いスピードでもプレイすることが出来るとか。

 あと、「テトリスハイ」という心理状態も存在するようです。もしかするとPTSDに効果があるという点も、テトリスハイが関係している?(プレイ時間10分程度では起きないと思いますから、やはり単調な作業が利いているのかも)

 『テトリス』に慣れ、瞬間的な判断・操作を数多くこなすようになると、次第に思考が自動化されてくる。ゲームが進むにつれ、テトリミノは次第に高速で落下し、もはや目にも留まらぬ速度で落下してくるのであるが、数十分から数時間もゲームが続けられるようになるのである。

 人間の脳はこのような状態に置かれると、一種の催眠状態となり快感が引き起こされる。この快感は「テトリス・ハイ」と呼ばれ、ときには中毒的にもなる。

 ちなみに、日本大学教授の森昭雄はこの中毒的な状況を元に、『テトリス』などのコンピュータゲームを行なっているプレイヤーの脳波の特徴が痴呆(認知症)患者のそれに似ているとして「ゲーム脳」仮説を提唱した。

 しかし、これは科学的根拠に乏しい点が多いことや、コンピュータゲーム以外の作業も、慣れればゲーム脳と同様の状態になるといったゲームに限定された現象ではないとする指摘もあることから、専門家の多くはこの仮説を支持していない。

 さらに、森は各地の講演で「『テトリス』はソ連の軍隊で人を殺すための教育の一つとして開発されたもの」と発言しているが、これは事実ではない。逆に、このゲームを用いて資本主義国家の生産能力を落とすというデマが流れたこともあった。

 テトリスを長時間やりこむことで、周りの箱状のものがテトリスに見えてきたり、テトリスのような図形が落ちて行く夢や幻覚を見ることもある。これはテトリス効果と呼ばれる。


参考:wikipedia テトリス
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2009年01月17日

精神科医に人格を否定されPTSDを再発したとして賠償命令

人格否定でPTSD再発 精神科医発言に賠償命令

 関東中央病院(東京)の精神科で人格を否定されるなどして、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、東京都の女性が病院を開設する「公立学校共済組合」に約700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は14日、請求棄却の1審判決を変更し、約200万円の賠償を命じた。

 富越和厚裁判長は「女性はストーカー被害に遭ったことがあり、PTSD再発の可能性があった。医師は人格障害と短絡的に診断し、人格を否定する発言で再外傷体験を与えた」と判断した。

 判決によると、同病院精神科の男性医師は2004年1月、女性の診察で一方的に「あなたは普通じゃない」などと拒絶的に激しい発言をして「境界性人格障害」と病名を告知。女性は診察後、PTSDを発症した

 5月の1審東京地裁判決は「医師の人格障害という判断に誤りはなく、発言が違法と言えるほど威圧的で人格を否定するものだったか明らかではない」としていた。



 人格障害という判断そのものは適切なものだったのかもしれませんけれど、それを告げるときに攻撃的になってしまったり、患者自身に受け入れられないようなときに、こういう訴訟になってしまうのですね。

 まー、精神科医療の難しいところですね。しかし精神科というのはケアをするところなので、患者を見極めて適切なアプローチをする必要があるわけで。PTSDを再度発症してしまったのなら、医師のやりかたに問題があったと言われても仕方ないといえば仕方ない。

 人格障害の人に「あなたの人格は通常とは異なる」といっても受け入れることは無理なのでしょう。そこらへんが人格障害の難治性ともいえるところではありますが…。人格障害という診断そのものが人格を否定することになるのなら、精神科的にはどうすればいいのか、と。

医学処:社会不安障害と行為障害、人格障害の名称を変更する
医学処:自己愛性人格障害の特徴と診断について
医学処:PTSDの治療と称して女性を殴った医師に賠償命令
posted by さじ at 03:33 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

2009年01月06日

社会参加していない精神障害者は50万人に上る

精神障害者:社会不参加、50万人

 精神科に通院する以外に社会参加をしていない65歳未満の精神障害者が推定で50万人程度いることが、社団法人・日本精神神経科診療所協会の研究班による調査で分かった。

 研究班長の平川博之・日本精神神経科診療所協会副会長は「通院先に精神保健福祉士などの専門職を配置し、精神障害者に対する相談機能を強化することで、社会参加へ向けた支援を進めるべきだ」と話している。

 同研究班は、全国の精神科診療所400カ所を抽出して調査票を送った。うち109カ所が、昨年12月中旬の任意の一日に受診した障害者計3768人について回答。

 その結果、594人(15・8%)が半年以上にわたって「就学・就労」「共同作業所などへの通所」「主な家事の担当」−−のいずれもしておらず、通院以外に社会参加していなかった。期間が半年未満または不明だった人も加えると779人(20・7%)に上った。この割合を全国の精神科通院患者270万人(厚生労働省の05年調査)と比較すると、推計で42・7万〜55・9万人が社会参加していないことになるという。



 どう読むか。

 社会生活が出来ないような状態なのか、それとも社会へ入っていくまでのプロセスが構築されていないのか。

 おそらく日本では、後者なんでしょうかね。精神疾患に関する理解が進んでいるとはいえませんし、なんかいまだに平気で差別されているような気がします。

 しかし社会への適応というのは、なかなか難しいものですからねぇ。。これ解決できたらノーベル賞ものですよ。何かいいアイディアはないものか。

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