[精神]の記事一覧

2009年10月07日

アメリカの大学生の間でリタリンが大流行している。

米大学生の間で「頭の良くなる薬」が流行、将来は試験前にドーピング検査?

 徹夜で勉強しやすくなり、記憶力が高まり、覚えたことを試験の本番で思い出しやすくなるといった、いわゆる「頭の良くなる薬」が米国の大学生の間で人気だ。この種の薬を服用する学生が急増していることから、将来、大学側は試験前に「ドーピング検査」を実施せざるを得なくなるかもしれない――1日発行の医学倫理問題をテーマにした専門誌「Journal of Medical Ethics」に、こうした「アカデミック・ドーピング」の可能性を指摘する研究論文が掲載された。
 
 論文を執筆したのはシドニー大学(University of Sydney)の心理学者ビンス・カキック(Vince Cakic)氏。同氏によると、全米の大学を対象に調査したところ、全学生の4分の1が中枢神経を刺激するアンフェタミン(商品名「デキセドリン」)やメチルフェニデート(商品名「リタリン」)を学業成績の向上を目的に使用していた大学もあった

 これらは従来、認知症や注意欠陥多動性障害(ADHD)、ナルコレプシーなどの患者に対して使われてきた薬だ。

 特に入学基準の高い学校では服用する学生の数が多いことが判明したという。現在、学生たちが用いている薬は適度に脳の認知力を高める作用があるとされているが、もっと高い効果を得られる薬が開発されつつあり、将来はこちらの人気が高まる可能性もある。

 脳の認知力を高める薬は、身体的にも精神的にも副作用があり依存症を起こす可能性があるだけでなく、薬の普及を抑制することはほとんど不可能だとカキック氏は指摘する。

「将来の試験会場では、監督官が紙コップを片手に持った学生たちに尿のサンプルを提出するよう求めるといった光景が見られるかもしれない」と同氏は話す。「バカげた考えに思えるかもしれないが、実際にそうなる可能性はかなり高い」



 アメリカはドラッグがさかんだとは言いますが、一体どうやって手にいれるんでしょうね。まあ日本と違ってお金さえ払えば手に入りやすそうな国ではありますが…。

 しかしリタリンを使わねばならないほどの詰め込み教育というのもアレですよね。

 エリック・シガールの医学部小説「ドクターズ」でも、ありえないほどの教育を強いられ、そのせいかどうか、1人が自殺するというシーンがありました。

 入りやすく卒業しにくいというアメリカの大学の特性上、大学入学後の勉強量は日本とは比べ物にならないほどでしょう。

 うーん、そういう中でリタリン規制というのも難しい。

 ですが勿論副作用はありますから、飲むべきではありません。日本では当分大丈夫だろうと流暢に構えているのではなく、今からしっかりとこういう薬が「頭の良くなる薬」として広がらないよう、ネット等でも購入できなくするようにする必要がありますね。

関連
医学処:脳の働きを増強する薬は何故合法化されないのか?
医学処:学者の5人に1人が、リタリンなどを服用していた。
医学処:ADHDの治療薬の乱用が増加している。
posted by さじ at 06:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年09月29日

2009年前半の自殺者が22362人と過去最悪ペースに。

1〜8月の自殺者2万2362人=最悪ペース続く−警察庁

 今年1〜8月の全国の自殺者数が、昨年同期比971人(4.5%)増の2万2362人となったことが28日、警察庁のまとめ(暫定値)で分かった。

 すべての月で昨年を上回っており、12年連続で年間3万人を超えるだけでなく、過去最悪だった2003年の3万4427人に迫るペースが続いている。



 半年で2万人超え。うーむ。。。

 国レベルでの緊急事態、だと思います。精神医療体制が他の国に比べて整っていないことは以前から指摘されていましたけれど、ここまで増えたのは、医療側というより国の啓蒙の問題と、一般人の鬱に対する理解の無さが露呈してしまったのではないか、と。

 いのちの電話などのボランティアが不足しているようです。協力したいという方がおりましたら、どうぞよろしくおねがいします。

 そして死にたいと考えている人は、「とりあえず」いのちの電話に電話してみるのも1つの手かとおもいます。

参考:日本いのちの電話連盟

関連
医学処:神奈川県で最先端の「うつ病専門病棟」を開設。
医学処:2007年度の全国県別自殺率・自殺者数表。
医学処:医学ちょっといい話2
医学処:うつ病と双極性障害の違いを判定する診察方法
医学処:自殺の原因となる鬱病の「不眠」を見逃さないことが大切
医学処:自殺を図る若い男性は、8歳の時点で情緒的問題が現れる
医学処:政治家こそうつ病を受け入れて偏見を無くすべきである。
医学処:かかりつけ医に、うつ病の早期発見のための研修を行う。
医学処:15%の人が経験するうつ病に対して理解を深めよう。
医学処:9月10〜16日は、自殺予防週間です。
医学処:自殺者の2割がアルコールに関する問題を抱えている
posted by さじ at 06:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年09月27日

日本精神科病院協会が新政権に対して指摘をする。

新政権「期待しつつ見守る」―日精協・鮫島会長

 日本精神科病院協会(日精協)の鮫島健会長は9月25日、東京都内で開かれた日精協の「第84回定期代議員会・第97回定期総会」であいさつし、鳩山新政権の政策に対して「一部では混乱がある」と指摘する一方、医療再生へ「新しい立場からの民主党改革」に期待を示した

 鮫島会長は冒頭、鳩山新政権について、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法の廃止が民主党のマニフェストに明記されていながら、それに代わる制度の骨格が確認できないと指摘。政策決定のプロセスやスケジュールについても、「従来の常識を超えたもの」で、混乱をもたらしているとも述べた。

 鮫島会長はまた、「新しい立場からの民主党改革は大きな期待を抱かせる一方、大きな不安も生じている」とし、改革に当たって現場の意見をくみ上げる必要性を強調。円滑な政権交代により医療再生へ向けた政策転換が行われるのを期待し、「当面は新政権の動きを重大な関心を持って見守りたい」と語った。



 誰しもが自民党時代に抱いていた不満を、民主党政権は解消してくれるのではないか、と期待していると思います。

 今までが今までだっただけに、その期待はかなり大きいものです。全部を解消してくれとはいいませんが、1歩でも前に進んで欲しい、と思います。

関連
医学処:日本医師会会長、民主党に「おめでとうございます」
医学処:民主・社民・国民新の連立政策で先進国並みの医療費確保を明記
posted by さじ at 02:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年09月23日

統合失調症の患者からiPS細胞の作成に成功する。

統合失調症、患者からiPS細胞 慶大・米大チーム、発症解明に活用

 精神疾患の1つ統合失調症の患者から新型万能細胞(iPS細胞)を作ることに、慶応義塾大学の岡野栄之教授と米ジョンズ・ホプキンズ大学の沢明教授の研究チームが成功した。神経細胞に成長させて、発症原因の解明や、患者の遺伝子タイプと治療薬の効きやすさとの関連性などを調べる。

 19日に都内で開かれた特定非営利活動法人(NPO法人)日本せきずい基金主催の再生医療に関するシンポジウムで発表した。

 米国で統合失調症と診断された4人の皮膚の細胞をもとに、慶応大学がiPS細胞を作製。iPS細胞から神経のもとになる神経幹細胞にまで育てた。



 さっすが!慶應の岡野教授ですね。

 統合失調症も、脳の伝達物質の異常であることが分かってから、治療薬によってかなり治療することができるようになりました。この統合失調症モデルのiPS細胞を用いて研究を進めれば、今以上に症状を落ち着かせることができるようになるでしょう。

 2010年も期待してます、岡野教授。

関連
医学処:統合失調症のラットのドーパミン放出についての研究成果
医学処:治療抵抗性統合失調症治療薬「クロザリル」を承認へ。
医学処:統合失調症はグリア細胞のわずかな変質でも発症する
posted by さじ at 02:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年09月21日

ADHDの治療薬の乱用が増加している。

ADHD治療薬の乱用が増加

 注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬の処方箋の発行数が増加するにつれて、薬剤の乱用に陥る若年者が増えていることが新しい研究で判明し、医学誌「Pediatrics(小児科学)」オンライン版で8月24日報告された。

 今回の研究は中毒事故管理センターのデータのみを対象としたものであり、問題の全体を把握するものではないが、この知見は、薬剤の利用増加に伴って乱用も増加傾向にあることを医師および患者に知らせるものだと、研究著者の米シンシナティ小児病院メディカルセンター(オハイオ州)のJennifer Setlik博士は述べている。

 世界では小児の8〜12%、成人の4%がADHDを抱えており、最もよく処方される薬剤は塩化アンフェタミンamphetamine salt(商品名:Adderall、日本国内未承認)および塩酸メチルフェニデート(商品名:リタリン、コンサータ)などの精神刺激薬。今回の研究では、ティーンエイジャーが快楽を得る(ハイになる)ために手を出す薬物で最も多いのは、マリファナに次いで処方薬であることも報告されている。この理由は、医師が処方しているのだから安全であるという思い込みによるものか、単に手に入りやすいためであると考えられる。

 今回の研究では、ADHD薬の利用が増えることによって薬物乱用も増えているのかどうかを検討するため、米国内各地の中毒事故管理センターからの情報が収録される米国毒物データシステムのデータをレビューした。1998〜2005年に発生した13〜19歳の少年によるADHD治療薬の意図的な乱用ないし誤用について調べた結果、中毒事故管理センターへのADHD薬に関する年間の相談数は、8年間で330件から581件へと、76%増加していた。同時に、小児およびティーンエイジャーに処方されたADHD薬は80%増加、10〜19歳を対象とする処方は86%増加していた。

 このデータには、ADHD薬の乱用者が処方された本人なのかどうかに関する情報は含まれていない。薬剤を処方されているかどうかにかかわらず、親は子どもの乱用の可能性に注意する必要があるとSetlik氏は述べている。小児がADHD薬を使用している場合は、使用量を常に確認するよう同氏は勧めている

 別の専門家もこれに同意。親は自分用の処方薬についてもしっかり管理するよう勧める一方で、「重要なのは自分のために処方されたのではない薬剤を使用することや、処方された用量を超えて使用することはいけないと子どもに教えることだ。子どもがストリートドラッグではなく処方薬を使用していることで、親は少し安心するかもしれないが、自覚の欠如と入手のしやすさを考えるとむしろ最悪の事態であるといえる」と述べている。



 アメリカらしい問題といえばそれまでなんですけれど、こういうのって日本にも遅れて入ってきますからねぇ。子供の処方薬は親が責任もって管理するようにしましょう。決して遊び半分のドラッグではなく、ADHDを治療する大事なものです。

関連
医学処:ADHDの治療薬「コンサータ」、いよいよ発売へ。
医学処:ADHDの治療に関して、親と医者の間で認識の差がある。
医学処:ADHDの小児新薬「ストラテラ」が承認される見通し
posted by さじ at 05:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

シャーリーズ・セロンが強迫性障害であることを告白する

シャーリーズ・セロン、強迫性障害(OCD)であることを告白

 シャーリーズ・セロンが強迫性障害のため、家がきれいになっていないとまともに生活を送れないとコメントした。

 「すごく深刻な問題よ。何百万人もの人が苦しんでいる本当の病気、強迫性障害なの」というシャーリーズ。

 WENNによると電源のスイッチを一定の回数、入切しないと気がすまないとか、何かをするたびに数を数えてからやるという症状はないものの、無秩序に問題があるらしい。「無秩序自体には対処できるんだけど、無秩序が隠れているのは本当にダメ。例えばキャビネットの中がグシャグシャだったり、キャビネットにものを放り込んでドアを閉めてしまうような人もダメ。そういうことはしちゃだめなのよ。キャビネットにあってはならないものを見ると夜も寝れなくってしまうの」とシャーリーズは語っている。



 なんか普通の綺麗好きみたいな感じもしなくもないですが、本人が苦しんでいるのならそうでしょう。

 強迫性障害では、本人が「おかしいと思っているのに、やめられない。その行為そのものをばかばかしいと思う」のが特徴です。何回も何か一定の動作をやりつづけなければいけなかったりしてしまうので、生活に支障が出てしまいます。

 治療法としては、日本でおなじみの「森田療法」がかなり有効です。

関連
医学処:強迫性障害をカミングアウトしたベッカム
医学処:男性にも、強迫的に買い物をしてしまう状況に陥る
posted by さじ at 02:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年09月19日

酒井被告の覚せい剤に対して行われる入院薬物治療について。

入院したけど…のりピー短期で退院も

 酒井被告の関係者は同被告が「メンタル治療を受けるために入院した」としている。湾岸署から出て来た際にはさわやかな笑みを浮かべ、ふっくらしたようにも見えたが、メンタル面を患っているとするなら今後、どのような治療があるのか-。精神科医は精神療法など3点を指摘。また、入院期間は「短期もある」と話した。

 精神科医は今後の治療について(1)精神療法(2)薬物療法(3)立ち直るために依存症について勉強する-の3点を挙げた。

 (1)の精神療法についてはカウンセリングが中心になると医師は指摘。「どのように進めるかは個々の患者の症状でまったく異なるが、対話の中でなぜ薬物に依存するようになったのか問題点を探っていく」と話した。

 精神科医や心理療法士が担当する。

 (2)の薬物療法について一般的に考えられるのは抗うつ剤と睡眠導入剤という。「40日におよぶ拘禁生活が大きなストレスになっている場合がある」とした。

 入院期間も、個別のケースで違ってくる。症状が比較的重ければ長期におよぶ場合もある。しかし、症状が軽ければ短期で退院し、在宅治療に切り替えることもあるとしている。

 これまで酒井被告は覚せい剤使用について「数年前から」と供述しているが、回復には使用期間の倍以上の時間がかかるとされる。覚せい剤からの離脱時には睡眠障害などが表れることが多く、酒井被告はこれから薬物との新たな闘いに入ることになる。決別するためには「ダルク」と呼ばれる依存者同士が共同生活を送る更生施設に入る場合もある。

 薬物治療の病院といえば鉄格子の病棟のイメージがあるが、酒井被告が入院した大学病院はそういった物々しさは見られない。入院できる病棟は7階から16階。6人部屋など通常の病室もあるが、数部屋ある特別室は保険がきかず、電話やテレビ、バス・トイレまで付き1日7万円近くする高額な部屋もある。

 酒井被告はプライバシーのため個室に入ると思われる。最低でも1日1万円以上の入院費用が発生するゴージャスな入院生活を送ることもあるが、専門の医師は「覚せい剤からの完全なる決別は本人の強い意志が伴わなければ難しい」と指摘した。



 薬の治療というのもまぁアレですね。

 覚せい剤のように精神依存も強く耐性も強い薬物となると、常習化していると大変でしょう。

 やはり麻薬や覚せい剤、シンナーなどには手を出さぬようお願いしたいところですね。そのときばかりは快楽あるかもしれませんけれど、ただそれだけなんで…。
posted by さじ at 14:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年09月14日

アムネスティが精神障害のある死刑囚への執行を批判する。

死刑:精神障害者にも適用 アムネスティが日本政府を批判

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)は10日、日本の死刑制度と死刑囚の精神衛生に関する報告書を公表、精神障害がある死刑囚に対しても日本政府が死刑を執行しており、国際的な基準に違反していると批判した。

 報告書は、日本では死刑制度の情報公開が非常に遅れている上、死刑囚が「非人道的」な状況に置かれているとした。

 アムネスティは、日本が順守するとしている国際的な基準は、精神障害がある死刑囚の刑を執行しないよう求めていると主張。日本ではこうした死刑囚の正確な数も不明な上、死刑囚の健康問題についても情報が公開されていないと指摘した。



 まあアムネスティのようにただひたすらに死刑反対、みたいな団体はあまり好きではないんですが、確かに指摘にあるように、日本は死刑の情報公開は遅れていると思います。死刑という刑を行っている以上、臭いものにフタをふるような制度ではなく、しっかりと一般に公示すべきではないでしょうか。アメリカのようにおっぴろげに、とは言いませんが、少しはそういう風にしてもいいと思います。

 精神障害がある死刑囚というのはよくわかりませんね。アムネスティはどうやってそれを調べたんでしょう。もし死刑囚が、死刑確定後に精神障害を来たしたのなら、それは治療すべきことではあると思いますが。
posted by さじ at 03:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年09月10日

自殺者の2割がアルコールに関する問題を抱えている

自殺者2割にアルコール問題=大半が40〜50代

 国立精神・神経センター自殺予防総合対策センターは8日、自殺者の23%がアルコール依存症など飲酒にかかわる問題を抱えていたことが、遺族への聞き取り調査で分かったと発表した。同センターは「これまでは自殺とアルコールとの関連はあまり指摘されてこなかった。精神科医の知識も少ない」として、精神科医のアルコールに関する診断能力を向上させるなど、対策強化が必要だと訴えた。

 同センターは2007年度から今年度末までの3年間に、自殺者100人について、自殺までの経緯を調べる計画。これまでに集計した43人のうち10人にアルコール依存症か、飲酒により周囲とトラブルを起こすなどの問題があったことが分かった。

 10人は全員が30歳以上の男性。大半が40〜50代で、自営業者が多かった。1日の飲酒量の平均は、日本酒に換算して3.5合。不眠状態で、眠るために飲んでおり、自殺時に飲酒していた人も4人いた。また、多くが離婚や借金のトラブルに見舞われ、6人がうつ病などの精神障害を併発していた。 



 現実からの逃避というと、やはりアルコールをまず頼ってしまうんでしょうね。そして酒によって睡眠の質が悪くなり、悪循環に陥ってしまうと。。。

関連
医学処:大酒飲みは自殺のリスクが著しく高い
医学処:酒を飲んで眠り込むのは「睡眠」ではなく「意識消失」
医学処:全く酒を呑まない人の脳は、脳容積の減少が最も少ない。
posted by さじ at 08:46 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年09月08日

勤務医の12人に1人が「うつ状態」になっている。

勤務医:「うつ」12人に1人 休日「月4日以下」46%

 日本医師会は、勤務医1万人を対象にした健康に関するアンケートで、勤務医の12人に1人が精神面の支援を要する「うつ状態」にあるとの分析結果をまとめた。休日や睡眠時間の少なさに加え、患者からのクレームなどの矢面に立たされることへのストレスが大きいとして、医療機関に医療事故や患者とのトラブルでは組織的な対応を取るよう求めていく。過酷な勤務実態を受けて、医師の健康面に特化した大規模な調査は初めてという。

 今年2〜3月、男性勤務医8000人、女性勤務医2000人に調査票を送り、3879人から回答を得た。

 最近1カ月の休日は46%が4日以下で、9%は「なし」。睡眠時間は6時間未満が41%を占め、20代では63%に上る。当直は45%が一度もなかった一方で、10%は1カ月で6回以上あった。患者対応では、46%が「半年以内に患者ら家族から不当なクレームを受けたことがある」と答えた。

 また、勤務医のメンタルヘルスについて「死や自殺を考えた」「自分を責めがち」など約30項目の質問の答えを点数化したところ、8・7%が「メンタルサポートの必要がある」と判定され、若い世代ほど割合が高かった。

 調査結果を受け、日医は近く、業務の効率化や院内暴力防止策などを促す冊子を作成して病院団体などに配布する。



 医者の過重労働、メンタル的に追い詰められるような職場は、最悪の結末を迎えるなら、それは「医療事故」です。医師にミスは許されないといいますが、それならば医師を追い詰めずに万全の体勢で医療を行えるよう、労働環境の改善や、患者やその家族から不当なクレームを受けないよう守るべきだと思います。

関連
医学処:過労死認定された小児科医の自殺に対し、「過労ではない」と認定
医学処:開業医はうつ状態になりながらも診療に従事している
posted by さじ at 01:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年09月04日

大地震の生存者の一部に、大脳機能の失調がみられた。

四川大地震 生存者の一部に脳機能の失調

 中国、英国、米国の研究者が8月31日に発表した研究レポートによると、四川大地震の生存者の一部に、地震後十数日間にわたり、大脳機能の失調が見られた。このことは、大災害後、被災者の心のケアをいち早く展開し、治療を行うべきであることを示唆していると、研究者らは考える。新華社が1日に伝えた。

 この研究は中国四川大学華西学院、英国ロンドン大学キングスカレッジ、米国イリノイ大学などの研究者が共同で行ったもので、論文は総合学術誌「米国科学アカデミー紀要」の最新号に掲載された。

 研究の指導を行った四川大学華西学院のコン啓勇・教授は「地震発生後13日目より、私たちは生存者に対して脳のMRIスキャンを開始した。結果、大脳内の情緒、記憶をつかさどるシステムに短期的な変化が見られた」と語る。

 研究者らは新型のMRI技術を利用し、震災後13日目−25日目にかけて、震災を経験した健常者の大脳スキャンを行った。その結果、前頭葉、辺縁系および線条体の活動が活発になり、またこれらのエリアでは、異なる脳構造間の接続性が弱まっていたことが分かった。

 研究者は、「このことは、大災害の生存者は短期的に見るととても健康に見えるが、実際には精神病のリスクを抱えているということを示す。しかも、生存者の一部は、大脳の関連エリアに構造上の変化が現れる可能性がある」と述べる。過去の研究によると、精神的な強度のプレッシャーは、大脳機能の変化を招くだけでなく、脳の構造にも変化をもたらすことが分かっている。



 大きなストレスというものは、劇的に変化を示すのかもしれません。それが心的外傷として残ってしまうのか、それとも脳が耐えられなくなって萎縮してしまうのかは、個々に拠るのでしょうけれども。

 外傷をトリアージしたあとは、やはり精神科的なケアも重要視されてくるのでしょうね。

関連
医学処:中越沖地震のストレスで「たこつぼ心筋症」を発症か。
医学処:中越沖地震で、アレルギーのある子供への対応が十分とられていない。
医学処:免震構造を施した病院と、地震の被害報告。
posted by さじ at 01:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年09月03日

9月10〜16日は、自殺予防週間です。

自殺予防週間

 9月10日〜16日の1週間は「自殺予防週間」です。

 自殺対策の推進に当たっては、自殺についての正しい知識を身につけていただくとともに、自殺を考えている人の心のサインに気づき、自殺予防につなげる国民一人ひとりの取り組みが大切です。

 このため、政府は、自殺総合対策大綱により、毎年、世界自殺予防デーにあたる9月10日からの1週間を「自殺予防週間」として、集中的な啓発活動を実施します。

 自殺防止対策の一環として、「いのちの電話」では、フリーダイヤル(0120-738-556)による相談を毎月10日に実施しています。一人で悩まずご相談ください。



 死にたいと思って苦しんでいるのに、電話なんて、と思うかもしれません。ですが、だからこそ、つらい気持ちを電話で話すことで、解消されることもあるかもしれません。

 とにかく、一人きりで悩む、ということをなくすために、いのちの電話は存在します。苦しくて苦しくてどうしようもない方、一度電話してみてはいかがでしょうか。

 全国のいのちの電話一覧はこちらをご覧下さい。


 また、苦しんでいる人をサポートしたい、と思う方はこちらもご覧ください。全国のいのちの電話では、ボランティアを募集しております。

医学処:徳島県いのちの電話、ボランティア数が足りず相談員募集
医学処:「いのちの電話」の相談員と寄付が不足しており苦境に立たされている。
医学処:神戸いのちの電話の役割と活躍について。
posted by さじ at 03:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

精神科通院中に自殺した女性、病院側に賠償命令が下る。

精神科通院中に自殺、病院機構に賠償命令

 仙台医療センター(仙台市)の精神科に通院していた山形県米沢市の女性が2005年、センター内で自殺を図ったのは担当医師の対応が不十分だったためとして、遺族が国立病院機構(東京都)に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で仙台地裁(沼田寛裁判長)は31日、約3300万円の支払いを命じた

 沼田裁判長は「女性はうつ病か人格障害とみられる症状があり、事故以前にも自殺を図ったことがあった」と指摘。「事故は予見可能で、病院職員に見守りをさせるべきだった」とした。

 判決によると、女性は05年10月、診察室で医師と1時間余り面談していたところ別の患者から「診療時間が長い」と叱責された。この後、女性の姿が見えなくなり、いったん発見した病院職員が目を離した間に、屋上の出入り口付近のドアノブにハンカチをくくりつけ、自殺を図った。蘇生措置が試みられたが女性は低酸素脳症で重体となり、今年1月に死亡した。



 入院していたわけではなく、外来で、ですよね。。。

 うつ病か人格障害か判断つかないような患者で、自殺しちゃったら病院側の責任になるんですかね。うーん。別の患者からのクレームというのも・・・。うーん。

 難しいですけど、病院側に3000万の賠償というのは個人的には納得いかないですね。地裁の判決理由がおかしいと思うので高裁で覆りそうではありますけど。

 自殺の予兆があって予見可能なら、もし自殺したらその自殺も「誰かの責任」になって「賠償」に繋がるのか・・・。

 いいんですかね、それで。

関連
医学処:総合病院の精神科病棟が緊急事態に。
医学処:自殺の原因となる鬱病の「不眠」を見逃さないことが大切
医学処:15%の人が経験するうつ病に対して理解を深めよう。
posted by さじ at 03:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年08月04日

15%の人が経験するうつ病に対して理解を深めよう。

【病院の実力】精神科 15%が経験するうつ病

 うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下、不安、焦燥、不眠、食欲不振などが続く病気。しびれや痛みといった異変が体に生じたり、「自分は価値がない人間」などと思い込んだりすることもある。

 発症時期は、20〜30歳代と50歳代前後の二つのピークがある。15%前後の人が一生のうちに1度はかかるとされ、自殺の大きな原因でもある。

 治療は抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬などで行うが、カウンセリングも重要だ。

 急性期の症状は1〜3か月で治まり、完治する人も多い

 統合失調症は、高校生や大学生など20歳代までに発症するケースがほとんど。幻覚と妄想が代表的な症状となって現れる。国内の患者は70万人を超える。

 幻覚では、誰かが自分の悪口を言っている声が聞こえてくるなどの幻聴が多く、幻が見える幻視はまれだ。

 妄想は主に被害妄想で、危害を加えられるなどと思い込むことがある。ほかに、まとまりのない会話や意欲の欠如などの症状もよくみられる。

 こうした症状は、ストレスによる一過性の可能性もあるため、1か月以上続いた場合に統合失調症と診断される。ただ、統合失調症は1度発症すると、完治することはない。症状は治まっても、安定した日常生活を送るためには治療を一生続ける必要がある。

 治療の中心は抗精神病薬。かつては便秘や手が震えるなどの副作用が出たが、ここ10年ほどで新薬が次々と登場し、副作用の心配は減った。

 精神の病気には、医師、看護師以外にも様々な人がサポートにあたっている。

 臨床心理士は、カウンセリングが主な仕事で、患者が困っている点や悩み事の相談に乗る。患者が病気について理解するための教育なども行い、患者が自分の病気に対処する力を養う手助けをする。

 精神保健福祉士は、社会保障や就労支援の手続きなど、主に患者の生活向上や社会復帰などを支援する。作業療法士が、リハビリや買い物の訓練にあたることもある。

 独立行政法人国立病院機構・花巻病院の石丸正吾医師(35)は、「精神の病気の治療には、薬だけでなく、周囲のサポートが大切」とアドバイスする。

 精神的な病気の多くは、最初に不眠に陥る。ショックな出来事の直後に眠れなくなるのは当然だが、1週間近く続いた場合は注意が必要。病気の場合もあるので、医師に相談してほしい。

 統合失調症の場合、前兆として「過敏性」が挙げられる。発言が自分に向けられていると意識したり、物音が人の声に聞こえたりするなど、音や視線に過敏に反応するようになる。

 もっとも、統合失調症の患者の幻覚や妄想は、年齢を重ねると徐々に弱まっていく傾向がある。反面、意欲の欠如などは加齢とともに進行しやすい。

 うつ病の場合は、胃潰瘍、円形脱毛症、手足のしびれなどの身体症状が先に現れ、内科を受診した後に発病がわかることも多い。

 意外なケースでは、会社での昇進をきっかけに発病する人がいる。うつ病は、きまじめで几帳面、仕事熱心な人に多い。周りからは幸せそうに見える状況でも、期待に応えようと1人ですべてを抱え込んでしまうためだ

 うつ病の患者に最も大切なのは、ゆっくりと休養をとること。「さぼっている」と負い目を感じがちだが、抗うつ薬などの薬物療法も休養をとるための手助けになる。周囲の人は、励まさずに、ゆっくりと休める環境を作ってあげてほしい

 大事なことは、精神科の受診をためらわないでほしいということ。受診しなかった結果、患者が自殺するなどの事態になれば、より多くの人が傷つく。近くのクリニックでも構わないので、疑わしい場合は思い切って足を運んでほしい。



 精神疾患、特に鬱病に関しては、ここ10年で飛躍的に認知度も高まってきた気はします。まだ漠然としたイメージでしかないので、誤解などもあり、難しいかもしれませんが。

 やはりポイントとなるのは、「自分自身で精神科に偏見を持たず、具合が悪かったらすぐに精神科に行くこと」と「周囲の人は理解してあげること」でしょうね。ただ薬で治るものではなく、社会的な側面もありますので。

関連
医学処:躁鬱病の原因となる遺伝子を名古屋大学が特定する。
医学処:映画「精神」でみる、精神障害者の素顔とは。
医学処:うつ病を血液検査で診断する方法を開発する。
posted by さじ at 00:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年07月24日

統合失調症の67%に抗精神病薬を多剤併用している現状。

統合失調症の入院患者、67%が抗精神病薬を多剤併用

 統合失調症患者に複数の抗精神病薬を投与する多剤併用が、今も67%の入院患者に行われていることが、精神科臨床薬学研究会の処方調査で分かった。

 統合失調症は、脳内の神経伝達物質ドーパミンの働きなどが過剰になって起こると考えられ、治療では、この働きを抑える抗精神病薬が用いられる。

 抗精神病薬は、効果を見極めるため1種類だけ使うのが国際的な原則。薬の切り替え時に一時的に2剤になることはあるが、国内では、複数の抗精神病薬を使って投与量を増やし、患者を過度に鎮静させて意欲を著しく低下させる使い方を続ける病院もある

 調査は、同会の薬剤師が働く病院などを対象に、昨年10月に行われ、96施設が回答。統合失調症の入院患者約1万5000人のうち、1種類の抗精神病薬で治療を受ける患者は33%にとどまり、06年の調査時の29%とほとんど変わらなかった。

 同研究会代表幹事で東邦大薬学部教授の吉尾隆さんは「多剤で薬の量が増えると、効果よりも鎮静ばかりが強まる。単剤処方を早急に広めるべきだ」と話す。



 うーん、よろしくない傾向。

 精神疾患って、薬の効果次第なところはありますが、その薬が効いているかどうかを見定めるためにも多剤併用は避けるべきでしょう。日本全体のガイドライン化が必要ですねぇ。おとなしくさせれば治療完了、という安易な考えは、もはや治療ですらありません。
posted by さじ at 05:00 | Comment(5) | TrackBack(0) | 精神

2009年07月23日

自身の四肢を失いたいと考える、身体完全同一性障害について

自分の四肢を切断したい人々:BIID症候群と「脳と精神」

 オーストラリア人男性Robert Vickers氏は、何年も悩み抜いた末のある日、大量のドライアイスを用意して意図的に自分の左脚を傷つけた。外科手術によって切断せざるを得なくするのが狙いだった。

 Vickers氏のこの行為は意図的なもので、同氏は病院で目が覚めたら片脚がなくなっていたその時の気持ちを、「究極のエクスタシー」と表現している

 Vickers氏は、精神医学界で近年「身体完全同一性障害」(BIID:Body Integrity Identity Disorder)と呼ばれる障害を持つ、数少ない患者の1人だ。この障害を持つ患者は、四肢の1本かそれ以上を切断したいとの願望を口にするが、その理由は、それらが自分の体の一部だとは思えないからだという。

 この障害については、このような精神状態が脳の生理的状態によって引き起こされるのか、それとも因果関係が逆なのかについて、精神医学の世界と神経科学の世界で議論の的となっている。両陣営とも、最近の研究によって新たな裏付けを得ており、生物学的現象と心理学的現象を切り離すことの難しさが浮き彫りにされている形だ。

 コロンビア大学のMichael First教授(精神医学)は、この障害の「発見」において先駆的役割を果たした1人だ。同教授の最新の研究では、ある種の精神障害の人は、身体障害を持つことに固執するようになり、BIIDはその一類型にすぎないことが示唆されている。

 その一方で、カリフォルニア大学サンディエゴ校のPaul McGeoch氏による最近の研究は、BIIDを、右頭頂葉の機能不全から来るまったくの神経疾患として説明しようとしているようだ

 脳のこの部位は、[自分の体の構造や機能、大きさなどのイメージについての]「ボディマップ」(「脳の中の身体地図」)をコントロールしていると見られている。同氏の研究チームが、機能的磁気共鳴映像法(fMRI)を使って、BIIDを自己申告した4人の患者を検査したところ、患者が切断したがっている身体部位を触っても、患者の右頭頂葉に反応が起きないことが確認された(一般の人の場合には右頭頂葉に反応が見られる)。

 McGeoch氏と共に論文を書いた大学院生David Brang氏は、「この現象は心理学的な問題だと考えられて来たが、神経的な問題であることが明らかになった」と語っている。

 これに対してFirst教授は、fMRI研究の重要性を無視するわけではないが、このことをBIIDの原因とする見方には異議を唱えている。「McGeoch氏の観察したものは、精神疾患が脳に及ぼした影響にすぎない」とFirst教授は言う。

 First教授は現在、四肢を切断したいわけではないが何らかの形でその機能を損ねたいと考えている少数の人々を対象に、新たな研究を進めている。この研究は、カリフォルニア大学で神経生理学の観点から観察された現象の背後に、根深い精神障害が存在することを示唆するものであるかもしれない。

 First教授が聞き取り調査を行なった47人の中には、例えば体に麻痺を起こしたいと考えている人がいる。こうした人は、自分の健康な身体が、内なる自己認識とは一致しないと感じているという。

 今回の研究は、四肢の切断を望んでいる人を対象にFirst教授が以前行なった同様の精神鑑定に連なるものだ。今回の被験者たちも、感じ方や願望に関して、BIIDの患者らと重なる部分が多いことが明らかになった。

 いずれのグループも、物心ついてからずっと、身体障害を得たいという願望があったと表明している。これらの人々は、障害のあるふりをしたり、時々は意図的に自分の体を傷つけて障害を得ようとしたりしている。First教授によると、自分の体を麻痺させるために、背骨にアルコール注射を試みたと報告した患者も1人いたという

一方、神経科学研究の成果が役立つ可能性のある分野の1つとしては、四肢切断を望むBIID患者の治療プログラムの改善が挙げられる。矯正トレーニングの追加により、脳が再び四肢を自身のものとして受け入れられるようにできるかもしれない。ただし、このような治療が、身体の麻痺を望む人々に対しても有効かどうかは不明だ。



 難しい問題ですねぇ。この話はx51.orgで数年前にも取り上げられていました。その時も、悩み苦しんだ患者は自身の手や足を氷に漬けて切断せざるをえない状況にまで追い込んだようです。

 もしこの、自分の体の一部が自分のものでないと感じ続けて、精神的に非常に重荷となるのなら・・・倫理的には許されないでしょうけれど、切断するほうが幸福なのかもしれません。

 というのも、性同一性障害の時も似たような議論はありました。脳を体と同じ性に近づけるのか、それとも体を脳に近づけるのか。結果的に、脳を体に近づけることは不可能で、体を脳に近づけるしかありませんでした。現在では性転換手術が広く行われるようになっています。

 脳をどうにかする治療法が確立されない以上、どうしても足を無くしたいという人がいたらなくすほうがその人の今後のためになるのかもしれませんねぇ…。健常者には到底理解できない考え方でしょうけれど。
posted by さじ at 03:03 | Comment(3) | TrackBack(0) | 精神

2009年07月16日

うつ病を血液検査で診断する方法を開発する。

うつ病、血液検査で診断 白血球の遺伝子反応に着目

 血液検査でうつ病かどうかを診断する方法を、厚生労働省の研究班(主任研究者・大森哲郎徳島大教授)が開発した。うつ病患者と健常者で白血球の遺伝子の反応が微妙に異なることを利用した。数年後の実用化を目指す。問診と併せて、数値化できる簡便な診断法が使えれば、患者の見逃しが減ると期待される。

 研究班は白血球の遺伝子がストレスで変化することに着目し、それをうつ病の診断に使えないか調べた。約3万個の遺伝子の中から、神経伝達や免疫などに関連する24の遺伝子が、うつ病患者と健常者で異なる働き方をすることを突き止めた。

 医師の面接によってうつ病と診断された17〜76歳の患者46人と健常者122人を分析した結果、うつ病患者の83%(38人)、健常者の92%(112人)で、特定の遺伝子が突き止めた通りに反応し、正しく判定できた。治療薬による影響で遺伝子が反応する可能性を除くため、うつ病の患者はまだ治療していない人を対象にした。

 研究班は今年から2年間、対象を増やして診断し、実用化できる精度か確かめる。うつ病以外の精神科の病気と、はっきり見分けることができるかも調べる。実用化されれば、患者から採った血液2.5ミリリットルを処理した液を、遺伝子チップという分析器具で反応させて診断できるという。

 厚労省の調査で、うつ病など気分障害と診断された人は、05年で92万4千人。6年で倍以上に急増している。うつ病は、医師が患者と面接し、症状から診断している。しかし、うつ病と他の病気との境目があいまいな例も多く、専門医でも診断に迷うことが少なくないという。

 大森教授は「血液検査による診断法が実用化されても、医師の面接による診断は必要だ。血液検査が実用化、普及すれば、一般の医師が診察する際に、これまで見過ごされてきた患者を治療に結びつけることが期待できる」と話している。

 国立精神・神経センターの樋口輝彦総長(気分障害薬理生理学)の話

 今回の診断法が高い確率でうつ病を見分けられることが明らかになれば、診断の手法として有効な方法といえるのではないか。可能性は十分にあると思う。今後、白血球の遺伝子の変化と、うつ病の原因とされる脳内の変化との関係がわかれば、うつ病の原因究明にもつながる。



 ほおお。こりゃー凄い。これが出来たらより簡便にうつ病を見出すことが出来るでしょうし、詐病も減るでしょうね。

 ストレスに起因した遺伝子の診断方法らしいですけれど、うつ病とうつ状態も区別することが出来るんでしょうか?まぁそこらへんは問診によるのか。
posted by さじ at 22:50 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

2009年07月15日

前向きな言葉を唱えると、逆に落ち込んでしまう。

前向きな言葉を唱えると逆に落ち込む場合も、カナダ研究報告

「わたしはだれからも好かれる人間だ」「わたしは成功する」などといった前向きな言葉を自分自身に繰り返し言い聞かせた場合、人によっては自信を持つのではなく、かえって落ち込んでしまうとの研究結果が、3日の心理学専門誌「サイコロジカル・サイエンス(Psychological Science)」に掲載された。

 研究を行ったのは、カナダのウォータールー大学のジョアン・ウッド博士とジョン・リー博士、そしてニューブランズウィック大学のエレイン・ペルノビック博士の3人。落ち込んでいる人が前向きな言葉を自分に言い聞かせると逆に気分が落ち込む結果になると、研究チームは指摘している。

 研究では、自信がない人のグループと自信がある人のグループを対象に、「私はだれからも好かれる人間だ」と自分に言い聞かせてもらい、その後どのように気分が変わり、自分自身についてどのように感じるようになったかを調べた。その結果、自信のなかった人のグループは前向きな言葉を繰り返しているうちに、気分が一層落ち込んだという。

「自信がない人が前向きな言葉を繰り返すことで、矛盾した感情が生じるのではないか」とウッド氏は分析する。

 心理療法の分野では、前向きに考えることは幅広い治療プログラムの一環としては効果があるとされているが、単独でそれだけを実行した場合、逆の効果をもたらす傾向があるとウッド氏は指摘。自己啓発本や雑誌、テレビ番組は前向きな言葉を唱え続けることで自分の自信を高められるというメッセージを伝えるのをやめるべきだと述べている。



 なるほど・・・これは分かる気がしますね。ネガティブな思考をしてしまう人は、自分にとって前向きな言葉を唱えてもあまり効果がないですね。私自身がそうなんで…。

 一流スポーツ選手などは、ここらへんのメンタルトレーニングも抜群なのでしょう。だからこそ、ミスをした後にすぐに立て直せる。

 メディアでがんばれがんばれ言うたびに、頑張れない人はないがしろにされているのでしょうか。

関連
医学処:イタコの口寄せを利用して、病の不安を解消する
医学処:医療ミスすると自身を追い込むため更にミスの確率が上がる
posted by さじ at 01:55 | Comment(2) | TrackBack(0) | 精神

2009年07月13日

映画「精神」でみる、精神障害者の素顔とは。

精神障害者の素顔淡々と 想田監督の映画「精神」 

 腕に無数のリストカットあとのある女性は診察室で「もう死にたい」と叫び、ある男性は「頭の中にインベーダーがいる」と真顔で語る。ドキュメンタリー映画「精神」(想田和弘監督)は、精神科診療所を訪れる統合失調症やうつ病の患者を淡々と追う。「実名と素顔」にこだわった作品に登場するのは、ごく普通の悩める人たち。「被写体の人生を預かる覚悟ですべてオープンにした」。何が精神障害者と健常者を隔てるのか。現実を伝え、観客にそう問い掛ける。

 舞台は岡山県にある小さな診療所「こらーる岡山」。精神科病院の病室の鍵を取り外す運動を進めた山本昌知医師が、1997年に設立した。診察だけでなく食事サービスや牛乳配達を行う作業所を併設し、病院ではなく地域社会で生きるための患者支援に力を注ぐ。

 「患者本人から了解を得る」。撮影の際、診療所側が出した条件は1点のみ。待合室で片っ端から患者やスタッフに声を掛け、何度も断られながらも応じてくれた人にカメラを向けた。

 テロップ、ナレーション、音楽は一切ない。ある男性は高校生のころ、1日18時間勉強する生活を半年続けた末に倒れた。以来、25年間診察を受けている。産後間もないわが子の口を押さえて死なせてしまった過去を吐露した女性もいた。

 赤裸々に語られる過酷な半生とは裏腹に、当事者の表情は拍子抜けするほど穏やか。「死にたい」と叫んだ女性も、別の場面では楽しげに軽口をたたく。精神障害者の日常は、健常者のそれと大きく変わることはなかった

 厚労省の2005年の統計によると、統合失調症や気分障害などに苦しむ人は約265万人で、うち32万人が入院している。想田監督自身、大学時代にうつ症状の一種とされる「燃え尽き症候群」を患い、精神科に駆け込んだ経験がある。それまで無関係と思い込んでいた精神障害が「身近な病」だと知り、以来テーマの一つとして温めていた。

 メディアが伝える精神障害者は時に、名前は伏せられ、映像はモザイク処理が施される。その「配慮」が、彼らを遠ざけてしまうのではないか。作品に出てくる男性はそれを「見えないカーテン」と語った。想田監督は言う。「カーテンの向こう側にいたのは、僕らと同じ悩める人間だった」

 2時間15分。18日から大阪の第七芸術劇場(TEL06・6302・2073)、県内では8月15日から神戸アートビレッジセンター(TEL078・512・5500)で公開。



 渋谷で観てきましたけれど、凄い映画でしたね。患者さんにモザイクも入らず本名で撮影。ただ淡々と精神科の日常を描いている、まさにドキュメンタリー。もし精神科ではなかったら、健常者と何が違うのか分からない、自分との違いは何なのか、それすらも分からない。それこそが想田監督の伝えたかったポイントなのではないでしょうか。

 それでもエンドロールの段階で、何とかしなければいけないな、と、思わされましたね。2時間という短い時間ながらも、現状が浮き彫りにされています。

 上映している映画館はかなり少ないようですが、お勧めです。渋谷はほとんど満席でした。途中で逃げるように退席した女性、映画を見ながら必死にメモを取り続ける若者が印象的でした。

関連
医学処:日本人の24人に1人がなる「むずむず脚症候群」について知る
医学処:精神科医の製作した映画「受験のシンデレラ」
posted by さじ at 01:09 | Comment(5) | TrackBack(0) | 精神

2009年07月12日

テーマパークで遊ぶと家族や恋人との絆が深まる。

脳が証明?「テーマパークで愛は深まる」

 テーマパークで遊べば、家族や恋人の「きずな」が深まる――。そんな脳科学調査の結果を、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が1日発表した。USJで遊ぶ前後に自分たちの集合写真を見せて脳の活動を調べたところ、遊んだ後は数値が最大10倍以上増え、より愛し合っていると感じることが確認されたという。

 調査の詳細は、USJと共同で研究を進めてきた杏林大医学部の古賀良彦教授(精神神経科)が1日、東京で開いた説明会で公表した。

 実験は先月、6組16人の家族や恋人、友人を対象に行った。USJで4時間半楽しんでもらい、その前後に、光トポグラフィーという装置を用いて、脳が活発に活動すると数値が高くなるオキシヘモグロビンの濃度を測定。あわせて心理状態を客観的に評価するためのテストも行った。

 脳の測定では、対象者にスライドで他人の顔を見せていき、家族や恋人同士で一緒に撮影した写真が出てきた瞬間の状態を記録した。

 結果は、右脳から左脳まで測定した16カ所のすべてで遊んだ後の数値が高かった。特に右脳の一部では、遊んだ後の数値が遊ぶ前の14倍に上昇。右脳は主に感情をつかさどっており、写真を見た瞬間に強い感情の動きがあったことが確認できるという。

 感情がどう変化したかを自己評価してもらうテストでは、家族やパートナーと「愛し合っているか」「理解しあっているか」という質問への肯定的な回答の割合が、遊ぶ前と比べて大幅に高かった。遊んだ後はストレスが大きく減ったことも分かった。

 古賀教授は「複数の脳活動を測定した結果、明らかに差が出た。脳科学の見地からテーマパークでの体験によってきずなが深まることが裏付けられた」と話している。



 テーマパークは疲れるだけではなかったんですよ、お父さん

 子供にとって、恋人にとってはやはり大型テーマパークは非日常を堪能できる夢の島、ですね。

 私も正直ああいうテーマパークは面倒で行きたくない、と思いますし、無理して行っても、っていうのはありますけれど、ああいうところに行ったら面倒に思わず思いっきりはしゃぐようにしています。そのほうが相手も嬉しいでしょうし、やっぱり自分も楽しいものですよ。

 この研究に携わった古賀教授、なかなか面白そうな研究が目白押しです。そういえば世界一受けたい授業にも出ていましたね。「研究テーマ:治療は精神医学全般にわたり行っていますが、特にてんかん、不登校の治療が専門です。また、アロマセラフィーを科学的に検証し臨床への応用を試みています。研究面では精神生理学を専門とし、特に事象関連電位を用いた研究を行っています。」

関連
医学処:CD38がオキシトシンの分泌を促すことで母親の愛情行動が現れる
医学処:相手への信頼感や絆を強めるホルモン「オキシトシン」について
医学処:キスをするとオキシトシンによってストレスが無くなる。
posted by さじ at 04:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神