[精神]の記事一覧

2010年03月07日

大麻の長期使用と精神病に関係がある

大麻の長期使用、精神病に関連 米専門誌

 大麻使用者について、使用期間が長いほど幻覚や妄想を体験したり、精神病に悩まされる傾向があるとの研究報告が27日、米精神医学専門誌「アーカイブズ・オブ・ゼネラル・サイキアトリー」に掲載された。

 平均年齢20.1歳の計3801人を対象にしたオーストラリア・クイーンズランド大学の調査によると、大麻を最初に使用した年齢が15歳以下の被験者が統合失調症を含む非感情性精神病を発症する割合は、大麻をまったく使用したことのない被験者に比べて約2倍高かった

 被験者の大麻使用期間は、3年以下が17.7%、4〜5年が16.2%、6年以上が14.3%だった。

 3801人のうち65人が統合失調症を含む非感情性精神病と診断されたことがあり、233人が少なくとも一度は幻覚を経験したことがあると答えた。

 報告では大麻の使用開始年齢の早さと、複数の精神疾患を発症する可能性には関連があると論じている。さらに幻覚を体験し始めた年齢が低い人ほど、大麻使用期間が長く、またより頻繁に使用していたことが分かった。

 しかし精神病と大麻使用の関係は複雑だとも指摘されている。報告は、精神病になりやすい人、つまり単発性の精神病症状を呈しやすい人ほど大麻に手を出しやすく、そこから大麻使用によっていっそう非感情性精神病に発展するリスクが高まりやすいと結論している。

 これまでの研究でも大麻使用と精神病の関連性は指摘されてきたが、交絡変数の取り扱いが適切でない問題があったという。クイーンズランド大学のジョン・マグラス(John McGrath)氏が今回の研究を率いた



 大麻は今のところ、害は少ないので解禁すべきであると言われていますが、実際はどうか分かりません。

 この研究にあるように、精神疾患になりやすい人ほど手を出しやすいということは、やはり規制しておいたほうがいいような気もします。
posted by さじ at 05:30 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

2010年03月03日

医師による、患者の希望する薬剤に対する断り方

患者が希望する薬剤に対し医師が「ノー」と答える方法は多数ある

 医師が無効と考える薬剤を患者に要求された場合、経験豊富な医師は非常に慎重にそれを断る。処方薬のテレビ広告などにより、不適切と思われる薬剤を要求する患者は多いが、患者のニーズや希望に配慮することが「ノー」という最も有効な方法であることが、新しい研究によって示された。

 米カリフォルニア大学デービス校内科・社会学臨時准教授のDebora A. Paterniti氏らは今回、患者が抗うつ薬を要求した199件のプライマリケア医受診を検討。抗うつ薬については、顧客(患者)への直接広告、友人や親戚からの口コミが行われているため、医師はこの種の要求に慣れているという。

 研究の結果、88件で要求が拒否されたが、医師が単純に「ノー」と断ったのは5件のみであった。53件では、医師が患者の見方を重視し、薬剤の情報源や有用と思う理由を患者に尋ねるか、カウンセラーやメンタルヘルス専門医の受診を勧めるか、うつ以外のものが原因かもしれないと説明した。26件では、生化学的アプローチをとり、抗うつ薬の代わりに睡眠導入薬を処方するか、甲状腺疾患や貧血などの問題を見つけるための診断精査を依頼した。

 Paterniti氏は「医師は以前に比べて患者を微妙に異なる方法で扱っている。今回の研究は、医師が難しい患者と話をし、その治療に不適と思う要求を断るさまざまな方法を示している。患者は、自分が要求するようになった状況に注意を払ってくれる医師により満足を覚える。この抗うつ薬での研究が他の要求にも適用できるかは不明であるが、少なくとも検討すべき有望な仮説を示している」と述べている。

 米アルバート・アインシュタイン医科大学(ニューヨーク)精神医学・家庭医学・内科准教授のCharles E. Schwartz博士は「患者の扱いにおいて判明したのは、同意できなくとも患者がそう思ったきっかけから始めなければならないということである。今回の研究で示された方法はいずれも、患者を中心としたものである」と述べている。同氏は、新人医師に患者とのコミュニケーションスキルのトレーニングも行っている。研究結果は、医学誌「Archives of Internal Medicine(内科学)」2月22日に掲載された。



 コミュニケーションスキルの問題ですね。

 実際、患者さんをみて、疾患を疑って、検査を行い、治療をする、というのは、出来て当たり前のことです。それ以上に、個々の患者さんに対して、どういうアプローチをするか、どうやって同意してもらうか、など、人対人のコミュニケーションが重要視されるようになってきています。

 それによって患者さんの満足度も上がりますし、医師との信頼関係も構築されるというものです。
posted by さじ at 05:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

自分は双極性障害、と自己診断する人が増えている

「自分は双極性障害」と言う人が増えている、英論文

 双極性障害であると自己診断する人が増えているという新たな現象について英国の精神科医が分析した論文が、医学誌「The Psychiatrist」3月号に発表された。

 双極性障害は、「正常な」期間をはさんで、そう状態とうつ状態を繰り返す気分障害を指し、かつては「躁うつ病」と称されていた。生涯で1回以上発症する人は100人中1人とも、100人中11人ともいわれる。

 双極性障害であると自己診断する人が増えていることについて、ロンドンの2人の精神科医、ダイアナ・チャン博士とレスター・シアリング博士は、俳優のメル・ギブソンやロックスターのアクセル・ローズといった有名人らがテレビ番組などで双極性障害の体験を赤裸々に告白したことと関連しているのではないかと指摘している。

 博士らによると、この病気への認知度は、ネットやラジオ、MTVの「True Life: I'm Bipolar(実話:わたしは双極性障害)」や英BBCの「The Secret Life of the Manic Depressive(躁うつ病患者の秘密の生活)」といったテレビ番組を通じて高まっていったとしている。

 だが、博士らは、BBCの同番組について、「精神疾患の比較的穏やかな側面が描かれており、メディアでよく報道されるようなリスクや暴力との強い結びつきについてはほとんど言及されていない」と注意を促した。



 日本でも、お昼の情報番組や本当は怖いなんちゃらかんちゃらといった番組を放映した翌日には、全国の病院に「私はこの病気ではないか」と視聴者が殺到するという現象が起こっています。

 病気に対する正しい知識を報道するのは良いことなのですが、過剰な報道はかえって不安を煽ることになりますからね。難しいところです。病気を見逃さない、という意味では良いのでしょうけれども。
posted by さじ at 05:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2010年03月02日

神戸市で精神科医とかかりつけ医を連携する取り組みを開始

自殺食い止めへ一般開業医と精神科医連携 神戸 
 全国の自殺者が12年連続で3万人を超える中、神戸市医師会は3月から、一般のかかりつけ医と精神科専門医の連携を緊密にする「神戸G‐Pネットワーク」を稼働させる。自殺の大きな要因となっているうつ病などをかかりつけ医が早期発見し、専門医や総合病院と連携し、自殺を食い止めるのが狙いだ。

 兵庫県内では1998年、自殺者が1000人を超えて以降、高止まりの傾向が続いている。2008年、1300人を切ったが、09年は再び増加し、1354人になった。このため、同市医師会は08年12月から、神戸市や県精神科病院協会、県精神神経科診療所協会などとともに検討委員会を設置し、同ネットワーク設置を決めた。

 同医師会によると、情報を集約するセンターを、精神科専門病院内に設置精神保健福祉士が、一般のかかりつけ医と専門医のつなぎ役を務め、患者の治療状況などについて追跡調査もする。

 具体的には、同医師会会員の1500開業医を受診した患者に、幻覚、妄想などの訴えがある▽自殺念慮が強い‐などの症状が出た場合は、同センターを通じ計20カ所の専門診療所、専門病院に患者の容体や生活状況を記した「G票」を送り、患者を紹介する。また、約130カ所はうつ病などの早期治療を施す「登録かかりつけ医」に指定する。

 専門医は患者を治療するとともに、病名や治療計画、薬の処方内容を記した「P票」を作り、かかりつけ医と情報を共有。そのほかの病気との合併症がある場合などは総合病院とも連携する。

 同医師会の近藤誠宏理事(55)は「将来的には、産業医や企業、学校にもネットワークに入ってもらい、県内全域の取り組みにしたい」と話す。

 同医師会は、同ネットワークの稼働に合わせ、3月20日午後2〜4時半、同市中央区橘通4の市医師会ホールで「神戸自殺総合対策拡大会議」を開き、民間団体との連携を考える。入場無料。定員100人。申し込みは同12日まで。神戸市医師会TEL078・351・1410



 これは良い試み。神戸市の、自殺者を減らそうとする意志が強く感じられます。

 自殺を食い止めるためには、早期発見が何より大事で、そして早期の適切な治療に結びつける必要があります。

 開業医の先生方と、精神科専門医との連携がうまくいけば、自殺企図のある患者さんを見つけ出して、すぐに必要な治療を行うことができるでしょう。こういう地道な試みで、命を絶つ人は減らせるのではないでしょうか。全国に先駆けてのモデルケースとなるか。
posted by さじ at 07:07 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

2010年02月25日

ナルコレプシーの原因は自己免疫疾患の可能性も。

ナルコレプシーの誘因を究明、スイス研究チーム

 日中に突然強い眠気に襲われる睡眠障害のナルコレプシーの誘因を突き止めたと、スイスの研究者らが研究結果を医学誌「Journal of Clinical Investigation」に発表した。新たな治療法につながると期待される。

 ナルコレプシーは、日中に繰り返し倦怠感や睡魔の発作に襲われ、眠り込んでしまうという睡眠障害で、患者数は平均して人口の0.05%程度と推定される。

 通常は、ニューロンにより生成されるタンパク質「Trib2」が、人間を目覚めた状態に保つ働きを持つオレキシン(ヒポクレチン)という物質も分泌する。これまで、ナルコレプシーはこのオレキシンの欠乏と関連付けられてきたが、正確な誘因は特定されていなかった。

 今回ジュネーブ大とローザンヌ大の研究チームは、ナルコレプシー患者120人から採取したサンプルを調べ、Trib2抗体の濃度が高いことを発見。Trib2抗体は、オレキシンのニューロンを破壊してしまうことから、「ナルコレプシーは体内の免疫系の攻撃で誘発される」と結論付けた。

 なお、神経系の自己免疫疾患の治療に使われる免疫グロブリンをナルコレプシー患者に投与したところ、「並外れた効果」が得られた。初期症状の出現直後にこれを投与されたナルコレプシー患者の大半で、睡眠障害がなくなったという



 ナルコレプシーが自己免疫疾患だったとは。今ある薬物療法以上に効果のある治療法ができるかもしれません。もし自己免疫疾患ならば、自分の体の免疫を抑えてしまえば治るわけですからね。今後に期待の持てそうな結果。
posted by さじ at 07:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2010年02月21日

色々なことにハマる現象を研究する「依存学」が誕生

京から発信「依存学」

 熱中したり依存症になったり…、物事に「はまる」ことの功罪を多角的に研究する国内初の「依存学」が京都を拠点に立ち上がる。京都大の西村周三副学長(医療経済学)が中心になって「依存学推進協議会」を近く設立する。「はまる」「のめり込む」ことの意義をきちんと評価し、依存症との違いを科学的に解明することで、カウンセリングなどに応用していく。

 飲酒やギャンブル、ゲームなど、はまる対象になるものは、適度に楽しむとストレス発散や脳の活性化などの効果がある。文化の創造や科学的発見も、何かに没頭して達成されることが多い。ただ、度が過ぎると、生活に支障の出る依存症に陥ることもある。

 依存学は、依存症の治療をはじめ現代日本の風潮がはまることの病理やマイナス面ばかりに注目してきた反省に立って研究する。はまることの功罪を総合的に見直すことで、依存症に陥ることなくプラス面を引き出す狙いがある。

 協議会のメンバーには、京大こころの未来研究センターや高次脳機能総合研究センターの教授のほか、ギャンブル社会学の第一人者として知られる谷岡一郎大阪商業大学長も加わり、医学や人文学など幅広い手法を採る。

 例えば、何かにはまっている時、脳にどんな変化が起きているのかを科学的に分析し、日本の教育や法制度が趣味、嗜好、依存症とどんな関係にあるのかも探る。依存症の人をサポートする団体と連携、カウンセリングや提言もしていく。

 西村副学長は「簡単に言えば、阪神ファンとして野球を楽しんでいる人と、仕事も手に付かず周囲に迷惑を掛けている『阪神依存症』の人は何がどう違うのか。そんなことも研究対象になる。依存学を通して、何かに没頭することで発揮できる人間の力を最大限に伸ばしたい」と話す。

 協議会は4月にもNPO法人として発足する。発足に先立って「依存学ことはじめ」と題したシンポジウムを3月14日に京大で開く予定だ。



 なるほど。結構面白そう。

 パチンコやパチスロにはまるのは、手軽にできるギャンブルという以上の何かがありそうですからね。

 あの、あの小説なんでしたっけ。「千里眼」でしたっけ?心理学をマスターした女性の出てくる。あれでもパチンコにはまるのはあの音量と光のせい、って言ってましたね。本当かどうかは定かではありませんが。
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2010年02月05日

不眠症治療薬エリミンを横流ししていた開業医を書類送検

不眠症治療薬「エリミン」30万錠を不正販売か 開業医を書類送検

 不眠症治療薬を元暴力団組員の男に不正に販売したとして、関東信越厚生局麻薬取締部は、麻薬取締法違反(営利目的譲渡)の疑いで、東京都新宿区の男性開業医(52)を書類送検した。送検は昨年10月28日付。同部によると、開業医は「怖くて販売を断れなかった。平成18年以降、この男に約30万錠を販売した」と話している。

 送検容疑は、昨年1月27日ごろ、処方の必要がないのに不眠症治療薬「エリミン」約5千錠を、計約12万5千円で販売したとしている。

 同部によると、エリミンは通称「赤玉」と呼ばれる赤い錠剤。「他の薬物やアルコールと一緒に摂取すると、陶酔感が得られる」とされ、密売されているケースもあるという。

 開業医は「自分の父の時代から同じ男に販売していた。男は『外国人に転売している』と話していた」と説明しており、同部が詳しく調べている。



 なんかホント勝手なイメージで申し訳ないんですけど、「また東京都新宿区の精神科か」って思いました。横流し事件ばかり起こしてませんかね。前もリタリンがどうとかありましたよね。

 まぁ恐ろしい街だということでしょうか。

 ベンゾジアゼピン系の抗不安薬ですけれど、いやー、どうなのか。これは。父親の代からずっと横流ししてきて30万錠。何でこんなことになってしまったんですかね。怖いわぁ。
posted by さじ at 18:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2010年01月30日

うつ病患者増加の背景には新しいタイプの薬が関与している?

うつ病100万人超す、10年で2・4倍に

 抑うつなどの症状が続くうつ病の患者数(躁うつ病を含む)が、初めて100万人を超えたことが3日、厚生労働省が3年ごとに実施している患者調査でわかった。

 長引く不況などが背景とみられる一方、新しい抗うつ薬の登場が患者増につながっていると指摘する声もある。

 患者調査によると、うつ病が大半を占める「気分障害」の患者数は、1996年に43万3000人、99年は44万1000人とほぼ横ばいだったが、2002年調査から71万1000人と急増し、今回の08年調査では、104万1000人に達した。

 10年足らずで2・4倍に急増していることについて、杏林大保健学部の田島治教授(精神科医)は、「うつ病の啓発が進み、軽症者の受診増も一因」と指摘する。

 うつ病患者の増加は、新しいタイプの抗うつ薬が国内でも相次いで発売された時期と重なる。パナソニック健康保険組合予防医療部の冨高辰一郎部長(精神科医)は、「軽症のうつは自然に治るものも多い。しかし日本ではうつを早く発見し、薬を飲めば治るという流れが続いており、本来必要がない人までが、薬物治療を受けている面があるのではないか」と話す。



 実際、うつ病ではなくうつ状態であってもうつ病のごとき診断・治療をしている開業医の先生も数多くおられます。

 というのも開業するにあたって、いままで内科や外科で勤務してきたにもかかわらず、儲かるから、と「心療内科」を掲げるお医者さんが大勢いるからです。

 これははっきりいって医療従事者側の責任です。ろくに診断できない上に治療もただ抗うつ剤を適当に出しているだけ、では、うつ病なのかそうでないのかを見極められずに治療を円滑に進められません。

 どうすればいいか、というと、患者さん側の対処法としては、駅前の心療内科クリニックみたいなところにいくのならばそこのお医者さんが精神科で勤務していた経験があるのかどうかを調べるとか、もっと確実なのは「精神科」としてちゃんと一本立ちしているところに行ってみるのがいいんじゃないでしょうか。内科も精神もなんでもみれる心療内科医よりは、精神科医を名乗っているほうが信用度が高いのではないかと。

 日本人はどうしても「精神科」に良いイメージがないようですが、精神科こそ医者と患者の良いめぐり合わせが治療に直結すると思いますので、精神科といっても気にせずにいってみて下さい。(心療内科ってそもそもうつ病やうつ状態を治すためのところじゃありませんからね)
posted by さじ at 05:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2010年01月26日

社会不安障害が原因で、社会的にひきこもる大人たち

失敗をきっかけに「引きこもる」大人たち

 ある一部上場企業の50代前半の部長は、朝の重役会議で、1週間の営業報告をしようと大勢の前で話し始めたとたん、30秒くらいで動悸が激しくなり、緊張で声が上ずって、話がしどろもどろになった。結局、話がまとまらずに、自分でもいたたまれなくなって、途中で発言を辞めてしまう。大失態だった。

 元々、人前で注目されるのが怖くて、会議の席ではなるべく発言することを控えていた。しかし、ここまでひどく緊張したことはなかったという。

 その後、部長は役員に叱責され、ひどく落ち込んで、会社を退職していった。

 20代後半の会社員は、職場で「うつ」になって休職。上司から「完全に治ってから、出てこいよ」と言われたが、もうダメかなと思い、1年後に退職した。その後、何とかしなければいけないと思い、人材派遣会社に登録。紹介されると、面接に出かけるものの、退職原因などを追究されるうち、面接で緊張するようになって、不採用が続いた。

 結婚式のとき、受付でサインすると、手が震える。きちんとした場で会食しようとすると、吐き気を催す。大勢の前で挨拶しようとすると、視線が気になって、頭が真っ白になる。声がひきつる。のどや口が渇く。しばらく黙ってしまって、ますます視線が感じられるので、上がってしまう。大量の汗をかく…。

 引きこもりの原因の1つとして、最近、指摘されるようになったのは、そんな「社会不安障害」(SAD)の症状だ。

「最近、3年間くらい勤めると、つらくて退職する人が増えてきました。引きこもり気味の人を調査すると、約7割に社会不安障害が認められるのです」

 こう指摘するのは、社会不安障害に詳しい、東洋英和女学院大学人間科学部教授で、横浜駅前にある「横浜クリニック」の山田和夫院長だ。

 社会不安障害のメカニズムは、失敗などのトラウマが、脳内で恐怖を司る「扁桃体」に記憶され、その傷が残ってしまうという。扁桃体の記憶は、同じような状況に置かれたとき、無意識的に心身に反応して、体が硬くなったり、心臓がドキドキしたりする。

 山田教授が、社会不安障害患者約300人を調査したところ、初診年齢の平均は、なんと33歳だった

「共通する傾向は、職種は技術系で、1人でパソコンに向かっているような仕事が多い。しかも、無職が20%いました。その大半が、会社を辞めてしまった人たちだったんです」

 山田教授によれば、初診患者の6割は、冒頭の部長のような“スピーチ恐怖”、次に多いのが、名刺を差し出したり、受付などで名前を書いたりする時に手が震える症状だ。

「それでも、ここに来れる無職の人は前向きで、将来再就職したいと思っている。逆に、あきらめちゃって、ずっと家に引きこもっている限り、緊張がまったくない。安定した快適な生活が送れて、社会不安障害もうつの症状も出ないのです。診断に使う調査票の24項目すべてで緊張して回避している人は、全般性といって、引きこもる人たちなんです」

 バブル崩壊後、日本式の家族主義的な雇用体系がガラリと変わった。自由化によって、派遣社員が製造業などあらゆる分野に進出。企業は、収益が下がったときに派遣切りでしのぎ、スリム化が進んでいる。働く側にとって、このような不安定な環境になったことも大きい。

「20〜30代の2人に1人が非正規社員の時代。定年まで働くイメージはなくなり、企業の中がきつくなってきている。成果主義になり、上司との関係もメール上でのやりとりだけになった。そんな中で、若い社員がプレゼンなどで失敗して、きつく言われると、だんだんと落ち込んでくる。それを何度か繰り返すうちに、退職を余儀なくされていくんです」
何度も苦い体験を経験し、落ち込んでくるなど、社会不安障害の症状がひどくなると、7割がうつになるといわれる。うつ状態になると、朝、起きられない。会社に行けなくなる。億劫になり、働く意欲もなくなる。

 会社を休み始めると、復職できないまま、2〜3年の休職期間を経て、退職していく。そして、前出の20代の会社員のように、面接で緊張して、しどろもどろになり、半年以上の空白期間があると、言葉が出なくなる。その後も再就職できないまま、引きこもりになるケースは、多いらしい。

 これまでは、「あがり症」とか「内気」や「神経質」など、こうした症状は個々の性格的な問題と言われ、自らの努力で克服することが求められた

「日本では1920年頃から、対人恐怖症と呼ばれていました。慈恵医科大精神神経科の森田正馬教授が名付けられた診断名です。恥の文化の延長線上に、対人恐怖があると考えられ、不安や恐怖を排除するのでなく、あるがまま受け入れようとしました。だから、避けたい場面でも逃げないで行動する、日本独特の認知行動療法に近い森田療法が有効と考えられたのです」

 しかし、1981年に米国で「不安障害」の「社会恐怖」という診断名で、社会不安障害が初めて登場。薬などで治療できることがわかってきた。

 実際、抗うつ薬の「SSRI」(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を使うことによって、セロトニンが脳の扁桃体に作用し、過敏性を落ち着かせ、傷を癒して記憶を消すことができる

 SSRIの中で、社会不安障害の国内適応薬として、厚労省に数年前から認可されてきたのが、「フルボキサミン」。アステラス製薬の「ルボックス」と、明治製菓の「デプロメール」の2種類が発売され、国内でも「社会恐怖」という社会不安障害の診断名が医療機関などに広がった。また、昨年10月には、グラクソ・スミスクラインの「パキシル」も、厚労省から適応の承認を得ている。

場数を踏んでも、傷は変わりません。だから、その状況に置かされると、体が勝手に反応して、顔が紅潮してくるのです。しかし、SSRIを半年から1年飲むと、完全に消えますね。どんなに緊張しやすい場所へ行っても、体が冷静なんです。だから、大人としての対応もできるようになって、本来の脳の状態に戻れるんです」



 精神疾患の認知度が低い日本でも、近年「不安障害」として一般にも広まりつつあります。

 もともと日本の風土上、根性という言葉がまかり通っていますので、内気やあがり症は根性で治すべきだという考え方が、今でも根強く残っています。

 ですがこの不安障害も、精神疾患の1つなのです。根性や努力でどうにかなる類ではない。

 むしろそういう「何とかしなければいけない」と焦ることが、かえって症状を悪化させてしまいます。

 そんな中、日本人が強迫性障害や不安障害の治療として考えたのが「森田療法」です。

 神経症を「異常」と捉えず、人前であがったり、手が震えたりするものを、当たり前のことだと認識させる治療法です。時間はかかりますが効果は抜群です。

 近年では、欧米で「ネオ森田療法」なる治療法が大人気だそうで。SSRIなどの抗うつ薬による異常を減らす治療法と、森田療法による正常を延ばす治療法。不安障害によって社会生活が困難な人、またはいま不安障害を抱えつつも何とかしようとして苦しんでいる人、まずはお近くの精神科へ。
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2010年01月19日

人生がもっと幸せになる9つの方法について。

<体のフシギ>もっと幸せになれる9つの方法

 中国紙・生命時報は、米国の健康情報誌プリベンション(Prevention)が近日掲載した記事をもとに、「半分以上を実践できれば、あなたはもっと幸せになれる」として9つの方法を紹介した。


(1)写真を撮るときは歯を見せて笑う

 米ドゥポー大学が発表した最新の研究結果によると、小さい頃から写真撮影の際に歯を見せて笑っていた人は、数十年後の離婚率が他と比べて5分の1にとどまっているという。「類は友を呼ぶ」というが、笑顔が人を呼び、穏やかな結婚生活が送れるのかもしれない。


(2)旅行の思い出を飾る

 旅行した時の写真や記念品を目の届く場所に飾っている人は、飾らない人より幸福感が強いという。米カリフォルニア大学の心理学教授は、旅先での楽しかった思い出がよみがえり、「また旅行したい」という気持ちになるためだと説明している。


(3)あまりテレビを見ない

 米メリーランド大学が34年にわたって約4万5000人を対象に調査した結果によると、心が満ち足りている人は、普通の人よりテレビの視聴時間が30%少ないという。彼らはこうした時間の大半を人付き合いや読書、社会活動などに活用している。


(4)冷たい飲み物より温かい飲み物を

 マグカップになみなみと注がれた温かいお茶やコーヒー。体や心が温まれば、思考も活発化し、やる気が促される。温かい飲み物が好きな人は、冷たい飲み物が好きな人よりも友好的で、他人を信頼しやすいという研究報告もあるという。


(5)どんなに忙しくても運動は欠かさない

 ジョギングなど運動が好きな人は、座ってばかりの人よりストレスが70%少ないという。毎日17〜34分程度の運動を心がけることで、心の充足感が格段にアップするという。


(6)親友を2人作る

 既婚者654人の精神状態を調査したところ、「親友と呼べる友人が2人いる」と答えた人が最も安定している結果になった。ただし、友人を2人以上作ったからと言って、幸福感が増えるわけではない。


(7)調和のとれた性生活を送る

 英ウォーリック大学の博士によると、肉体的な触れ合いは、幸せの重要なファクターだという。既婚者の性生活は未婚者より30%多く、心の充足感も強いそうだ。


(8)明るい人の近くに住む

 明るい気持ちになるためには、明るい人と付き合うこと。その人の800m圏内に住むと幸福感は42%上昇するが、3200mを超えると反対に低下するという。


(9)姉もしくは妹がいる

 英心理学会が発表した最新の研究結果によると、家族のなかに姉もしくは妹がいる女性は、社会でより多くの支持を得ているという。彼女らに共通しているのは、楽観的で問題解決力が高いという点。姉妹は兄弟よりも「支え合う」関係を上手く築く。したがって団結心も強いという。



 いかがですか。

 ちなみに参考までに私の例を。


(1)写真を撮るときは歯を見せて笑う ×

 歯ぁ見せて笑ってるときはホントに楽しいときですねー。普段は歯をみせてないですね。あんまり「めちゃくちゃ楽しい!」と思うことが少ないので…。


(2)旅行の思い出を飾る ○

 あんまり写真撮らないんで、人からもらうばかりですけど、貰った写真は飾ったりしてます。


(3)あまりテレビを見ない ○

 というか部屋にテレビないんで。まぁその分ネットやってますけれど…。ある意味コニュニケーションということで無問題。笑


(4)冷たい飲み物より温かい飲み物を ×

 冷たいほうが好きですね。暖かいので好きなのはコーヒーのみ。

 そういえばこんなニュースを以前取り上げたこともあります。

 ホットコーヒーかアイスコーヒーかで持たれるイメージが異なる


(5)どんなに忙しくても運動は欠かさない ○

 卓球は忙しくてもします。相手さえいれば最高のストレス解消法です。


(6)親友を2人作る ○

 私の中の親友の定義というかハードルって、ホント高いんで、ちょっとどうしようか迷ったんですけれども。親友って、こちらが思うだけじゃなくて向こうがどう思っているだろうかっていうのもあるじゃないですか。そこらへんの塩梅で迷いましたけど、多分いる。


(7)調和のとれた性生活を送る ×

 全然とれてませんわ。

 なんか汚い話でまことに申し訳ないんですけど、ずーっと使ってなかったコンドームがあって、この前の大掃除の時に「どうなんだこれは」と思って開けてみたら、腐ってました。ゴムとローションだけなのにこんな異臭を放つんだと、個人的にかなり驚いて。一生誰にもこの衝撃の事実を言うことなく死ぬだろうとフト思ったんで、とりあえずここに書いておきます。まあそれぐらいアレだということです。


(8)明るい人の近くに住む ○

 住むってのが分からんですけど。私自身ネガティブなんで身近にいる大勢の明るい人と会話することで助けられてます。


(9)姉もしくは妹がいる ×

 弟が一人いますけれど、仲はいいんでまぁまぁ。確かに姉がいたほうが人生は幸せだと思えるようになったかもしれませんけれど、その分こんなにしっかりしなかったと思います、自分で言うのもなんですが。笑


 ということで9個中5個のマル。まあ妥当なところでしょうかね。みなさんも幸せを感じるために、出来ることから始めてみてはいかが?
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2010年01月13日

映画「アバター」の世界を体験し、現実で鬱状態になる人が続出

「アバター」で現実に絶望のファン続出、ネットで相談も

 世界で公開され大ヒット中のSF映画「アバター」を見た観客から、3Dの映像があまりにもリアルで、その美しさにあこがれるあまり「うつ状態になった」「自殺を考えた」といった訴えがインターネットに相次いでいる。

 観客は3D効果でパンドラの世界に入り込む感覚を味わい、映画館を出る時はその美しい世界から離れることの不安感にとらわれるという。

 映画を見て人類を憎むようになった、現実に絶望したというファンも多く、インターネットのファンサイト「アバター・フォーラム」には、「パンドラの夢がかなわないという絶望感に対処する方法」というコーナーが登場。うつ状態に陥ったというファンや、対処方法を指南するユーザーから1000件を超す投稿が寄せられた。

 スウェーデンの学生、アイバー・ヒルさん(17)はこのサイトに仮名で投稿。「アバターを見た翌日、目覚めると世界が灰色に見えた。自分の人生すべてが意味を失ってしまったようだった。このままやっていく理由がいまだに見出せない。私が生きているのは死に行く世界だ」と書き込んだ。

 別のファンサイト「ナビブルー」では、自殺さえ考えたというユーザーが「アバターを見た後、ずっとうつ状態にある。パンドラの素晴らしい世界とナヴィの人たちを見て、自分もその1人になりたいと思うようになった。もし自殺すれば、パンドラのような世界に生まれ変われるのではないかとさえ考えてしまう」とつづった。

 こうした状態から抜け出す方法としてファンサイトには、現実の人々とかかわって前向きな活動に取り組む、アバターのゲームをする、映画のサウンドトラックをダウンロードする、といったアドバイスが寄せられている。ヒルさんも、掲示板で同じような人たちと話し合えたことにより、うつ状態から解放されつつあるという。

 ニューヨークの病院に勤務する精神科医のスティーブン・クェンツェル氏は「他者との関係を確立することは人が幸福になる鍵であり、ネット上の人間関係でも何もないよりはずっといい」と話している。



 奇しくも私が彼女と付き合う直前に見た映画。

 3Dの迫力は凄かったですね。今まで映像革命だとされてきた映画は
カメラの撮り方やらCGやらを工夫してたんですけれど、これは映画というものを進化させている。

 アバターの最もいい点っていうのは、映画館でみることに意味があるってところだと思うんですよ。今までは、よく「この映画の迫力は映画館じゃないと堪能できない」とか言われてたと思うんですけど、アバターは映画館クラスの大画面で、3Dめがねをかけてみないと、その良さが半減してしまう。仮にアバターをDVDでみても、たとえ3Dだとしても、大したことはないと思います。

 ストーリーは平凡極まりないものですけれど、映画=ヒネッたもの、じゃないですからね。そして記事にもあるように、別の星の風景は壮大です。リアルな非日常、それも中世の人が空を飛ぶことを憧れたように、現代人が原始的ながら雄大な生活に憧れるのです。

 鬱な人って、要するに今の社会では経験できない生活をすることができれば、何割かは回復するのかなぁ、と時々思います。地中海かどこかの港でまったりとした生活を送れたとしたら、ふさぎこむことも自殺することもないのかなぁ、と。そういう究極の理想が、アバターの世界で満たされるのかもしれません。
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2010年01月12日

栃木県の自殺者が初めて600人を超える。

09年県内自殺者 最悪の600人超え 経済問題など顕在化

 県内で昨年1年間(2009年)の自殺者は630人に上り、初めて600人台に達し過去最悪となったことが8日までに、県警のまとめで分かった。過去最多だった前年の08年と00年(いずれも591人)を大幅に上回った。長引く不況などの影響もあり、全国の自殺者は昨年1〜11月までに3万181人。12年連続で3万人を超えた。厳しい経済情勢が続く中、今後も自殺者の増加が懸念される。

 県警捜査1課などによると、県内自殺者は05年570人、06年577人、07年575人などと98年(577人)以降、08年まで11年連続で500人を超えた。いずれも高水準で推移し高止まり状態だったが、09年は前年に比べ39人増え、初めて600人を超えた。

 09年の630人のうち、男性は457人、女性は173人。いずれも前年より増えており、男性は18人、女性は21人増加した

 年代別にみると、19歳以下は前年比5人増の12人。20歳代は同6人増の66人、30歳代は同6人減の90人、40歳代は同5人増の91人、50歳代は同4人減の117人、60歳代以上は同8人増の225人だった。最多は60歳代で138人、次いで50歳代が多かった

 職業別では無職者が目立つ。384人に上り、前年に比べ84人増加した。会社員も多く75人。不詳も同比24人増の34人に上った。

 原因や動機は現在統計中だが、「健康問題」のほか「生活経済問題」が顕著になっているとみられる。08年秋から続く経済情勢の悪化、それに伴う景気低迷の影響が深刻化しているとみられる。

 県内自殺者をめぐっては昨年上半期(1月〜6月)の時点で、既に前年同期比を上回り、過去最悪のペースで推移。自殺者の急増が危惧されていた。



 60代が多いんですね・・・。生活や経済状況の問題に悲観して自殺、というのは国としてかなり末期といいますか、対策が必要だなぁと思います。

 確かに今の日本は、「老後にまったり暮らせる国」ではなくなっていますからね。その福祉的な面をどうするか、今後の国づくりの課題になりそうです。
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2010年01月07日

寝る時間の遅い若者は、うつ病になるリスクが高い。

就寝時間が遅い若者はうつ病のリスクが高い、米研究

 就寝時間が遅い若者はうつ病になるリスクが高いとする論文が、専門誌スリープ(Sleep)1月1日号に掲載された。

 米ニューヨークのコロンビア大学メディカルセンターの研究チームが、1万5659人の高校生と大学生を対象に調査を行った。

 これによると日常的に深夜零時より遅く就寝しているグループは、午後10時までに就寝するグループに比べ、うつ病になるリスクが24%、自殺を考えるようになるリスクが約20%高かった

 また睡眠時間が5時間以下の若者はうつ病になる割合が71%、自殺を考えるようになる割合が48%も高かったという。

 米国睡眠医学会(American Academy of Sleep Medicine、AASM)は若者には毎日9時間の睡眠を推奨している。午後10時までに床に就く人の平均睡眠時間は8時間10分で、深夜零時を越えて就寝する人の睡眠時間はさらに短いと報告されている。



 太陽を浴びるということもそうですけれど、規則正しい生活を送る、ということが何より大切ですかね。

 体と心は別物、ではなく、密接に関わっているものです。心も、体様があってこそ正常に機能するのです。ささ、今宵はお早めに布団の中へ。
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2009年12月28日

子供の110人に1人が自閉症スペクトラム障害を持つ

「自閉症」が増加?子供の1%近くに…米推計

 米疾病対策センター(CDC)は18日、米国の子供の110人に1人が、社会性や意思疎通の能力の発達が遅れる「自閉症スペクトラム障害」(ASD)を持つとの推定を発表した

 2007年発表の推定値「150人に1人」(0・66%)から大幅に増加した。診断が広まったことで発見される件数が増えた効果も考えられるが、CDCのキャスリーン・ライス博士は記者会見で「自閉症などが実際に増加している可能性も排除できない。公衆衛生上の緊急の問題だ」と話した。

 CDCは全米11州で、30万人以上の8歳児について病院や学校の2006年の記録を調査した。その結果、0・9%に当たる2700人以上が自閉症やアスペルガー症候群などASDに該当すると判断した。

 自閉症などの人は、先天的な脳機能の障害で他人とうまくコミュニケーションがとれない。詳しい原因は不明で、日本でも増加が懸念されている。



 増えているというより、スクリーニングできるようになったんだと思いたいですねぇ。それとも何らかの因子が働いて、先天的に障害を負わせるアレがあるんでしょうか。大気汚染とか・・・。
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2009年12月16日

精神病院に頼りすぎな日本の社会について

精神病院を捨てたイタリア―捨てない日

 著者は元新聞記者で、1970年にアルコール依存症を装って精神病院の鉄格子の中に入り、その体験を朝日新聞に「ルポ・精神病棟」として連載した。それは地獄のような世界であった。その後も著者は、この“地獄”をなくすにはどうすればよいかを模索してきた。いろんな改革案に出合ったが、それらはあくまで精神病棟の存在を前提にしたものだ。80年代に、著者は画期的な方法を知る。それは精神病棟そのものを廃止し、そのかわりに、地域精神保健センターを作るというものである

 これは、イタリアの精神科医フランコ・バザーリアが60年代に始めた運動である。精神病棟の廃止に対して、病人が凶暴になったらどうするのか、という反論がある。しかし、それは概して、精神病院に強制的に入れられたり拘禁服を着せられたりする結果、生じる反応である。原因と結果がとりちがえられている。また、精神病院がなければ病人は治癒しないのではないか、という反論がある。しかし、精神病院でも病人が治癒するわけではない。大切なのは、たとえ病気がなおらなくても、彼らが一般社会で生きていける環境を作りだすことである。バザーリアが始めた運動は、それを実現した。

 地域精神保健システムは、イタリアだけでなく、60年代に世界的に広がった傾向であった。たとえば、68年にイギリスの医師デービッド・クラークが世界保健機関(WHO)から委嘱されて来日し、精神病棟を減らすように勧告している。日本側はこれを無視した。その結果、日本は現在、経済的先進国の中で人口当たりの精神病棟が格段に多い国となった。最近は「地域精神保健の時代到来」と叫ばれているが、本質的には何も変わっていない。

 一方、イタリアでは、20世紀の末には保健省管轄のすべての精神病院が閉じられた。この本の表題は、日本とイタリアの違いがいかにして生じたかを示すものである。しかし、本書には、日本にも、数少ないながら、地域精神保健センターの試みが各地でなされていることが紹介されている。



 精神医療においては日本は圧倒的に遅れているんでしょうねぇ。まぁ風土的にも「臭いものにフタをする」ことで何とかしようとしてきたところがありますからね。

 なんかこの記事読んでいると「ブラックジャックによろしく」の精神科編を思い出しますが、ひょっとして同じ人?

 今後日本が福祉的にも先進国並になって、何と言うか、まったりとした社会をつくることができれば、欧米のように精神病院数が減って入院患者が減り、他の障害者と同じように社会の中で生活することが可能になるのでしょうけれど。

 偏見がなくなれば、「バリアフリー」と同じ考え方で、精神障害者に対しても社会的「バリアフリー」が行われるのでしょう。それこそが日本の目指すべき社会なのです。
posted by さじ at 04:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

2009年12月09日

うつ病患者が初めて100万人を越す。

うつ病100万人超す、10年で2・4倍に 

 抑うつなどの症状が続くうつ病の患者数(躁うつ病を含む)が、初めて100万人を超えたことが3日、厚生労働省が3年ごとに実施している患者調査でわかった。

 長引く不況などが背景とみられる一方、新しい抗うつ薬の登場が患者増につながっていると指摘する声もある。

 患者調査によると、うつ病が大半を占める「気分障害」の患者数は、1996年に43万3000人、99年は44万1000人とほぼ横ばいだったが、2002年調査から71万1000人と急増し、今回の08年調査では、104万1000人に達した。

 10年足らずで2・4倍に急増していることについて、杏林大保健学部の田島治教授(精神科医)は、「うつ病の啓発が進み、軽症者の受診増も一因」と指摘する。

 うつ病患者の増加は、新しいタイプの抗うつ薬が国内でも相次いで発売された時期と重なる。パナソニック健康保険組合予防医療部の冨高辰一郎部長(精神科医)は、「軽症のうつは自然に治るものも多い。しかし日本ではうつを早く発見し、薬を飲めば治るという流れが続いており、本来必要がない人までが、薬物治療を受けている面があるのではないか」と話す。



 実際どうなんでしょうかね。

 難しいところなんですけど、昔からいる総数は変わってないのではないか、という気もしないでもないです。

 ただ、鬱病に対する理解が深まった分、医療機関を受診するようになったのではないか、と。

 あと、認めたくないことですが、鬱状態なのに、鬱病と診断されているケースもあるのではないか、という気もします。

 それは医者の能力の問題なんですけど、よく駅前に「心療内科クリニック」とか、ありますよね。最近増えてきてますけど。アレ、本当に精神科医がやってるのならいいんですけれど、実際は、ずっと内科をやっていた人が、開業するにあたって儲かるから、という理由で心療内科をやっているケースもあります。稀だと信じたいですが。

 そういうところで能力のない医者が、鬱病とちゃんと診断できているのか、といわれれば、疑問です。

 まあそれでも、鬱で苦しんでいる人が多いというのも事実ですし、治療の機会が増えたのも事実。社会現象になって、より認知度が高まれば、治療もしやすくなるでしょう。



 呉秀三という精神科医が言った有名な言葉があります。


わが国十何万の精神病者はこの病を受けたるの不幸のほかに、この国に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし


 日本もそろそろ、偏見を無くさなければ、前に進めないのです。
posted by さじ at 16:47 | Comment(1) | TrackBack(0) | 精神

2009年11月20日

あなたの身体の痛みは、もしかしたらうつ病かもしれない。

うつ病による身体的な痛み、認知度低く

 診断前に自分の身体的な痛みがうつ病の症状の一つであることを知っていたうつ病の患者が約2割にとどまることが、塩野義製薬と日本イーライリリーによるプロジェクトチーム「『うつの痛み』情報センター」の調べで明らかになった。同センターでは、「うつ病の症状としての『痛み』の存在を周知していくことで、患者さんが医師に『痛み』の症状を話し、うつ病のよりよい治療につながることを願い、情報活動に努めたい」としている。

 調査は昨年12月、インターネット上で実施。過去5年以内にうつ病と診断され、うつ病治療薬を服用している有職者297人と、うつ病やうつ状態の患者を1か月に1人以上診察している経験年数3−30年の一般内科医と精神科医309人から回答を得た。

 調査結果によると、患者の身体的な痛みの経験については、「痛みあり」が59.9%、「痛みなし」が40.1%だった。

 このうち、「痛みあり」と答えた人に「身体的な痛みで最もひどくわずらわしかった症状」を聞いたところ、「頭痛」が33.7%で最も多く、次いで「身体全体の漠然とした痛み」25.8%、「背中の痛み」24.7%、「胃腸などの消化器系の痛み」15.7%の順だった。

 また、診断を受ける前に身体的な痛みがうつ病の症状だと思っていたかどうかを聞いたところ、「はい」21.9%、「いいえ」60.1%で、「分からない」は18.0%だった。

 一方、医師に対し、診察するうつ病患者のうち、痛みを伴う身体症状がある患者をどれくらいの頻度で診るかを聞いたところ、「時々」が55.0%で最も多く、以下は「多くの場合」33.0%、「まれに」10.4%、「分からない」1.0%、「常に」0.6%、「全くない」ゼロの順だった。



 痛みを主訴に病院に行っても、確実にコレだと断定できないことはしばしばあります。色々な検査を行ったり、問診をする過程で、もしかしたらうつ病かもしれない、と思うことも。

 ここで難しいのは、患者さん本人は、身体のどこかが悪いから痛みがあるんだと思っているということですね。日本特有というわけではないんですけれど、自分自身がうつ病であると認めたくないということもあるのかもしれません。

 ですがうつ病の治療をするにつれて、痛みは解消されます。痛みで悩んでいる方、もしかするとその痛みは、うつ病からくるものかもしれません。色々な症状を呈する病気であると認識する必要があるでしょう。
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2009年11月18日

【日本ピンチ】11年連続で、自殺者が3万人を超える。

昨年の自殺は11年連続3万人超 自殺対策白書

 政府は17日の閣議で、平成21年度版の「自殺対策白書」を決定した。それによると、昨年の自殺者数は3万2249人で、平成10年以降11年連続で3万人を超えた。今回の白書では初めて、自殺予防と遺族支援のための基礎調査についても掲載。「働き盛りの中高年の自殺にはアルコールが関係している可能性がある」として、自殺予防には鬱病だけでなく、アルコール問題も含めた心の健康対策が必要と指摘している。

 昨年の自殺者数は、男性は2万2831人(前年比647人減)、女性は9418人(同197人減)。このうち無職者は半数を超える1万8279人だった。小学生から大学生・専門学校生の若者の自殺者数は、調査を始めた昭和53年以降最多の972人に及び、平成14年から7年間連続で増加している。

 自殺の原因・動機でもっとも多いのは「健康問題」(64・5%)。次いで「経済・生活問題」(31・5%)、「家庭問題」(16・7%)など。19歳以下の男子では「学校問題」が、男性中高年(40〜50代)では「経済・生活問題」がそれぞれ最も多かった。



 20代から中年までの最大の死因は病気ではなく「自殺」です。

 特に女性よりも、男性のほうが自殺者が多いという点が特徴です。

 自殺者の多さは先進国でも有数の日本ですが、秋田大学が日本1位から抜け出したように、県レベルで対策を講じることで、少しずつ減らしていけるような気はします。

 国民の正しい理解と、ボランティアと、正しい治療法によって、減らしていける問題だと思います。
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2009年11月02日

睡眠1、2時間の女子大生、勉強のし過ぎで過労死する。

女子大生が勉強のし過ぎで過労死、睡眠はたったの1〜2時間

 今月21日、中間試験に向けて勉強していた女子大生が、自身が住む学生寮で急死した。ソウル新聞によると、有名私立大学の経営学部4年に通うYさん(23歳)は、専攻の経営学のほか、第二専攻として経済学と法学を選択し、ロースクール入学のための準備をするなど、とても優秀な学生であったという。学校関係者は、「3つの科目を専攻する複数専攻者は非常に珍しい」と述べ、普段から熱心に勉強する学生であったことを明らかにしている。

 同じ部屋に住む学生Hさん(19歳)は、「事故当日、机に向かって勉強していたYさんは『疲れた』と言っていた。40分ほど隣の部屋にいて戻ってくると、Yさんが息をしていなかったので警察に通報した」と述べたという。Yさんは死亡する前日、母親に「試験勉強で大変。1日1〜2時間くらいしか寝られない」と語っていたそうで、韓国では過度な試験勉強による過労死であると見られている。

 ネット上では、このニュースに衝撃を受けたネチズンたちが、「狂ったように勉強に励む学生たちの姿が思い浮かぶ」「問題が起ってからでは遅い。無理はよくない」「教育政策の犠牲者」「3つ複数専攻なんてしたら、過労死してしまう」「椅子に座ったまま過労死をしないためにも健康には気をつけよう」といったコメントを寄せている。

 以前、韓国ではゲームのし過ぎで死亡したケースが報告されている。これも、やはり食事をあまりとらないまま睡眠もとらずにゲームをし続けた結果、突然死亡したというものである。勉強にしろ、ゲームにしろ、何事もやり過ぎはよくない。「取り返しのつかない事故」が起きる前に、運動をするなり買い物に行くなり対策をとることが必要だろう。



 1日1,2時間睡眠で勉強していては、そりゃ過労死にもなろうというもの…。

 日本ではまだここまではいかないとはいえ、勉強のしすぎで鬱になって自殺、というパターンは多いように思います。

 人間には色々な性格があります。

 その中には、やってもやっても不安が募ってきて、勉強しまくってしまうというものも。

 勉強という行為を強迫的に行うようになっている人は、社会がしっかりみて注意していかないと常々思っています。

 本来、大学というのは学問を学びたいからいくところであって、順位とか成績とかは関係ないですよね。無理せず楽しく学んで、好成績をおさめることが本来の意味での「勉強」だと思います。

 そう出来ていないのは、やっぱり受験勉強のせいなんでしょうかねぇ。でも受験勉強で優劣つけないと受験の意味ないですしね。難しいところですけれど。
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2009年10月18日

統合失調症やADHDの原因遺伝子HB-EGFを特定する。

精神疾患に関与の遺伝子特定 岐阜薬科大グループ

 統合失調症や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの精神疾患の発症に関与する遺伝子を新たに特定したと、岐阜薬科大(岐阜市)の原英彰教授(神経科学)らの研究グループが14日付の米科学誌に発表した。

 遺伝子の機能が失われると、社会性低下や記憶障害、多動性行動など幅広い症状の発症に関与するとみられる。原教授は「既に特定されている原因遺伝子の中でも、これほど包括的な症状に関与するものはほとんどない。発症メカニズム解明や新薬開発につなげたい」としている。

 遺伝子は「HB―EGF」。細胞の増殖・分化を促し、死亡した統合失調症患者の脳や血中では減っていることが既に分かっていた。

 原教授らは今回、前頭葉からHB―EGFを取り除いたマウスを作成。その行動を正常なマウスと比べると、仲間同士で接触する頻度が約3割減るなどの症状が現れ、統合失調症の薬を投与すると改善したという。

 作成したマウスの脳組織を調べると、神経伝達物質の分泌が減少、神経回路も正常に形成されていないことが分かった。



 統合失調症とADHDというと脳の器質的に全然違うようなイメージがありましたが、この遺伝子に異常があると、行動(特に他者との関連)に異常が出るようです。
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