[循環]の記事一覧

2007年07月28日

心臓震盪を防ぐ、野球・ソフトボール用の胸部保護パッドを発売

ゼット、野球・ソフトボール用の胸部保護パッドを発売

 ゼット株式会社(スポーツ用品の製造・販売 本社:大阪市天王寺区烏ヶ辻1−2−16 代表取締役社長 渡辺 泰男)は、野球・ソフトボール用胸部保護パッドを発売します。

 野球やソフトボールをしている最中に、ボールが胸部に当たり心臓震とうを起こして死亡するケースが少なくありません。心臓震とうの危険を予防・低減し、安心して練習や試合ができるようにと、野球・ソフトボール用胸部保護パッド(硬式・軟式・ソフトボール兼用)を開発。ベルト式と違い、着圧衣料による固定のため自然なフィット感で、長時間の使用でも疲れにくく、正しい位置に確実に固定できるので、安心して練習や試合に集中できます。

◆名称
 野球・ソフトボール用 胸部保護パッド(硬式・軟式・ソフトボール兼用)

 <適応身長/適応品番・カラー/価格>
 175cm以上 BHP10L ブラック(1900)  ¥4,935(本体¥4,700)
 155cm以上175cm未満  BHP10M ブラック(1900)  ¥4,725(本体¥4,500)
 155cm未満 BHP10S ブラック(1900)  ¥4,515(本体¥4,300)

◆発売日
 2007年7月30日より販売開始



 これは売れるといいますか、AEDみたいに普及してもらいたいものですね。野球ボールが胸にポンと当たっただけで不整脈を起こして死亡するケースは有名です。心電図上の、T波の頂点のちょっと前ぐらいのところでボールが直撃すると、心室細動が誘発されます。これを「心臓震盪(しんぞうしんとう)」または「R on T」といいます。(野球のボールが当たることで起こるので、Boll on Tとも言われます)

 将来的には着用義務もできるかも?

関連
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被災した住人にエコノミークラス症候群の集団検診を行う。

中越沖地震:4避難所でエコノミー症候群の集団検診

 新潟県中越沖地震で被災した住民に静脈血栓塞栓症エコノミークラス症候群)の発症の恐れがないかどうか調べようと、県や県医師会などが28日、被害の大きかった柏崎市と刈羽村の4避難所で集団検診を始めた。

 エコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢を続けたり窮屈な場所で手足を縮め続けることで、静脈内に血栓ができ血管を詰まらせる疾患。死亡する場合もあり、早期発見が不可欠だ。

 この日は、医師や看護士ら36人が1班9人体制で、車中泊や避難所生活を送るお年寄りらを検診。血栓が見つかった被災者には、医療機関での受診を勧める。

 約140人が避難する柏崎小学校で検診を受けた同市松美、無職、中村キヨさん(71)は、地震発生から11日間、自宅車庫に止めたワゴン車内で夫(77)と2人で寝泊りしてきた。検診で異常はみられず「心配していた娘に安心して報告できる」とほっとした表情を見せた。検診は29日も行われる。

 04年10月の中越地震では、同症候群が原因とみられる疾病で少なくとも3人が死亡。今回の地震でも、新潟大医学部などが24日までに被災者437人を調べたところ、31人から血栓が見つかっている。



 437人中31人って結構な割合ですね。狭い空間に滞在せざるを得ない場合、更に水分不足やストレスも重なるんでしょうが、震災後に静脈内血栓の起こる頻度は高そうです。未然に防ぐためにも、まず知識を。

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2007年07月26日

中越沖地震のストレスで「たこつぼ心筋症」を発症か。

中越沖地震のストレスから、たこつぼ心筋症

 新潟県中越沖地震の被災地で、精神的ストレスで発症しやすい心臓病「たこつぼ心筋症」の患者が3人発生したことが25日、相沢義房・新潟大医学部教授(循環器内科)の調べでわかった。

 2004年の中越地震直後にも多数の患者が発生しており、相沢教授は「息苦しさや鈍痛など胸に異常を感じたら、すぐ循環器専門医の診断を受けてほしい」と注意を呼びかけている。

 たこつぼ心筋症は、心臓から血液を送り出す際、左心室の下部がふくらんだまま収縮しない病気で、左心室がたこつぼのような形にみえる。血流不足で胸の痛みや圧迫感が続く。約1か月ほど入院して安静にしていれば治るのが普通だが、原因がわからない突然死の中に、たこつぼ心筋症が含まれる可能性も指摘されている。

 心筋梗塞と違って血管に異常はなく、発症原因は不明だが、様々な精神的ストレスで発症しやすく、患者は高齢女性に多い。1990年に日本で最初に報告された。中越地震発生後3週間で、被災地で25人(うち女性24人)の患者が発生したことが相沢教授らの調査でわかり、広く注目されるようになった。

 相沢教授によると、今回の地震では、発生から1週間以内に柏崎市内の病院で3人の患者が確認された。全員が高齢女性で、入院して安静状態にある。

 今のところ、中越地震後ほど患者は多くないものの、相沢教授は「避難した住民同士で口論などして、ストレスをためないでほしい」と話している。



 不思議な現象ですね。血管に異常はなく左心室が膨らんだままになるとは。ストレスによる影響で刺激伝導系がうまく機能しなくなった?

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2007年06月30日

4時間以上動かない姿勢で、血栓ができる可能性が通常の約2倍に高まる

4時間以上のフライトで血栓の可能性2倍に WHO

 世界保健機関(WHO)はこのほど、「エコノミークラス症候群」について、「4時間以上動かない姿勢で飛行機や列車などに乗っていると、血栓ができる可能性が通常の約2倍に高まる」との調査結果を発表した。

 長時間同じ姿勢でいることで静脈内に血栓ができ、場合によっては肺動脈をふさいでしまうエコノミークラス症候群。WHOは血栓ができる確率自体は比較的低いが、長旅をする時は足の血行をよくする運動などを心がけるよう呼びかけた

 報告書はさらに、短期間に4時間以上の航空便を乗り継ぐなどした場合には、血栓ができる可能性がさらに高まると警告。肥満や経口避妊薬の服用者、もともと血液疾患がある人もリスクが高いとしている

 WHOは01年にエコノミークラス症候群の研究に着手。第1段階として飛行機旅行と静脈血栓の因果関係などを調べた。今後、第2段階として予防策の研究を進める。



 一度起きてしまうと、死亡率がものすごく高い病気ですので、飛行機内では救命は難しいと思います。特に中高年の方は、ただでさえ肥満や血圧、高脂血症など、リスクをかかえやすいですからね。何の用事もなくても立つとか、トイレにいくとかしたほうがいいかもしれません、ってこんなこと書くと飛行機のトイレがより混雑する事態に。

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2007年06月16日

コレステロールは、脳の機能増進には欠かせない。

コレステロール、脳に必須 伝達機能高める 実験で確認

 血液中や肝臓で増えると厄介者扱いされるコレステロールが、脳の機能増進には欠かせないことを、産業技術総合研究所関西センターの小島正己・主任研究員や科学技術振興機構の鈴木辰吾研究員らのグループがネズミ(ラット)を使った実験で明らかにした。小島さんは「アルツハイマー病の脳内では、コレステロールの合成異常がみられるという研究もあり、治療薬の開発に役立てたい」と話す。13日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス電子版に掲載された。

 神経細胞とコレステロールの関係を探るため、ネズミの大脳皮質の神経細胞を培養し、BDNFという脳の機能増進を促すたんぱく質を加えた。すると神経細胞のコレステロールの量が増えることが分かった。また、コレステロールが増えた神経細胞を調べると、情報伝達物質を受け渡ししやすい状態になっていた。一方、コレステロールの合成を妨げる薬剤を入れると脳の情報伝達機能が抑制された。

 ただし、体と脳のコレステロールは別々につくられており、血液中のコレステロール量が多ければ、脳の働きがいいというわけではないという。



 脳と身体を切り離して考えないといけませんね。糖分取りすぎは良くないからといっても、脳は糖分を栄養としているわけですから摂らなければいけないようなもんでしょう。

 卵を控えればコレステロールが下がるという話でもないみたいですしね、適度にバランスのとれた食事を取るのが一番です。

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2007年06月09日

カテーテルを心臓側面に縫い付け、抜き取ろうとした時に大量出血

群馬大病院・医療ミス死:執刀医を書類送検へ

 群馬大学医学部付属病院で昨年6月、心臓手術を受けた男性患者(当時70歳)が意識不明になり死亡した事故で、県警捜査1課と前橋署は、執刀医の過失が死亡の原因だったとして、執刀した40代の男性外科医を業務上過失致死容疑で近く前橋地検に書類送検する方針を固めた。

 調べなどによると、男性は昨年6月8日、同病院で心臓弁膜症の手術を受けた。翌日、外科医がカテーテルを抜き取ろうとしたところ心臓が破れて大量出血して意識不明に陥り、8日後に死亡した。

 病院は記者会見で「患者が高齢で心臓機能が低下し、壁がもろい状態だった」と説明していたが、県警は県外の病院に依頼した鑑定や他の心臓手術例などを検討。外科医が誤って男性の心臓壁面に血圧などを測るためのカテーテル(直径3ミリの管)を縫い付けた疑いがあり、この過失が死亡の原因だったと判断した。

 執刀に立ち会うなどした他の医師らについては「カテーテルを縫いこんだことまでは予測できない」として立件を見送る。



 西は京大で荒れ、東は郡大で荒れています。

 特に群馬大学病院では、色々な分野で医療ミスが起こっているなぁというのが印象的です。体制の問題というよりは、1人1人の不注意によるものではないでしょうか。

関連
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医学処:脳動脈瘤手術による後遺症で群馬大学医学部付属病院を提訴する
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2007年06月06日

手術中継の際に動脈瘤が破裂し患者が死亡。今後の在り方について。

愛知の病院で実演手術の患者死亡、学会が調査報告

 愛知県豊橋市の循環器系疾患の専門病院「豊橋ハートセンター」で昨年9月、医師の研修を目的としたテレビ中継の実演手術をしている最中に、患者の容体が急変し、2日後に死亡していたことが5日わかった。

 病院によると、昨年9月23日、愛知県内の男性患者(63)が、心臓に近い血管にこぶができる胸腹部大動脈瘤の手術を受けた様子が、神戸市内の会場に集まった医師らにテレビ中継された。しかし、手術の最中にこぶが破裂し、中継をやめて処置が行われたが、男性は2日後に死亡した。

 調査委員会では会場から執刀医に質問ができる形式だったことなどから、報告書で〈1〉見学の医師から質問が出たことで、執刀医の集中力を損なった可能性がある〈2〉ショー的な要素があったことが否定できない〈3〉運用指針作成の必要性――などを指摘。調査委員長の八木原俊克・国立循環器病センター副院長は、「技術や知識の普及は大切だが、ストレスのかかる難度の高い手術が中継に適しているかどうかを判断する基準などについて、慎重に考える必要がある」としている。

 これに対し豊橋ハートセンターの大川育秀・副院長は、「心臓血管外科の第一人者といわれる医師が執刀しており、実演手術との因果関係はないと信じている。手術の危険性については事前に患者に説明して納得してもらっていた。あくまで医師の研修を目的とした実演手術で、ショー的要素はない」と話している。



 あー。でも実際難しいところですが、医師のための研修といえど、手術を別の会場で流すとなると普段のオペとは違った姿勢もみられるんじゃないでしょうか。緊張するタイプの人ならば、よりストレスのかかる環境で手術にのぞまなければならないわけですし、逆に人の注目を浴びるのが好きな人は、いつもより集中力が散漫になってもおかしくはないかなと。

 とはいえ手術中継は必要なことだと思うので、どこまで「規制するか」がポイントになるでしょうね。例えば会場と執刀医とは直接コンタクトをとれないようにするとか、質問に答える人は手術に関わる人以外にするとか。医学発展のためとはいえ、患者さんが亡くなっては元も子もないですからね。

関連
医学処:ステントグラフトによる腹部大動脈瘤治療が拡大中
医学処:動脈瘤の拡大因子を抑制する「おとり拡散」で破裂予防
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2007年06月05日

和歌山刑務所の受刑者が、肺血栓塞栓症で死亡していた。

受刑者死亡:40代女性がエコノミー症候群 和歌山刑務所

 和歌山刑務所(和歌山市加納、武田豊所長)で、40代の女性受刑者が肺動脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)で死亡していたことが31日、分かった。10日ほど前から服役し、数日前に体調不良で病院で受診したが、同症候群の可能性は指摘されていなかったという。

 同刑務所によると、女性受刑者は30日午前8時35分ごろ、独房から所内を移動中に突然倒れた。職員の呼びかけに応じず、病院に搬送されたが間もなく死亡。司法解剖で死因は同症候群と分かった。

 女性受刑者は今月28日ごろ、歩き方がゆっくりになり、「首筋が痛い」などと訴え、29日に受診。痛み止めの薬をもらったという。服役では軽作業に従事し、昼ごろに約30分の運動時間があったが、女性受刑者がどの程度運動をしていたかは不明という。

 同刑務所の木下登志美・処遇部長は「病死のケースで、刑務所の処遇に不備はないと考えている」と話した。

 同症候群は、狭い空間で長時間座るなどの影響で足の静脈に出来た血栓が肺で詰まることで起き、呼吸困難や胸痛などの症状が表れる。今年1月には、大阪府警平野署(大阪市平野区)の留置場に拘置されていた男性被告(当時26歳)が同症候群で死亡した。



 足の静脈に血栓ができるかどうかは、人によって差があります。粘稠度が高ければそれだけ出来やすいです。飛行機の滞在時間、ほんの十数時間だけでもできてしまう人もいるわけですし。サッカー選手のようなよく運動する人でもなってしまうことがあります(高原直泰選手が何度かなってますね)

関連
医学処:刑務所の常勤医師が不足しており急患に対応できなくなる
医学処:大分県名物カボス、血小板凝固作用を抑える働き
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2007年05月22日

iPodを使用すると、心臓ペースメーカーに悪影響が出る。

iPodが心臓ペースメーカーに悪影響

 iPodなどの携帯音楽プレーヤーが、心臓ペースメーカーの誤作動をもたらす可能性のあることが米国の高校生による研究で示され、デンバーで開催された米国不整脈学会(HRS)年次集会で発表された。

 今回の研究に取り組んだのは、米ミシガン州Okemos高校の生徒Jay Thaker君のチーム(ミシガン州立大学およびミシガン大学の医師らを含む)で、患者83人に対し胸部から2インチ(約5cm)の位置にiPodを近づけ5〜10秒間維持した。その結果、29%にいわゆる「遠隔干渉」、20%に「過感知(ペースメーカーによる心機能の読み取りミス)」が生じたほか、1例でペースメーカーが作動を停止した。また、数例ではiPodを胸部から18インチ(約46cm)離した状態でも干渉が検知された。

 Thaker君によると、特に問題となるのはペースメーカーに心拍の履歴が記録されることで、この履歴を調べた医師が、不整脈があったと思い込み不要な治療を行ってしまう危険があるという。さらに、ペースメーカーに完全に依存している患者の場合、iPodによってペースメーカーの作動が止まれば心停止に陥る可能性もある。多くの電気機器が同じような影響をもたらす可能性があり、医師はペースメーカーに電気機器を近づけないよう患者に指示している。

 ペースメーカーを装着する患者がiPodを使用することは少ないものの、この種の音楽プレーヤーの利用者は極めて多いため、そのリスクを知っておく必要があるとThaker君は述べている。iPodを腕に装着したり、シャツのポケットに入れたりする人が多く、iPodがペースメーカーに近づきすぎる状況も極めて多くみられるという。Thaker君の父親は電気生理学者、母親は医師で、本人も医学部を目指している。

 米マサチューセッツ総合病院の心臓電気生理学者Edwin Kevin Heist博士も、iPodがペースメーカーに影響を及ぼし、意識消失などの重篤な反応をもたらす可能性があると認めている。Heist氏によれば、携帯電話やiPodはペースメーカーに近づけなければ安全に使用できるという。また、iPodが埋め込み型除細動器(ICD)に障害をもたらす可能性もあり、不適正な電気ショックが生じて患者に強い痛みと衝撃を与えることもあるとHeist氏は指摘している。



 どうなるかな。高校生の研究ということで、若干信憑性は薄らぎますが、電子機器を使えばペースメーカーに影響が出るというのは当たり前の話なんで。それが「どこまで影響出るのか」という点に注目。たとえ高校生が行った実験とはいえ1件の作動停止があったという点は大きな意味を持つでしょう。ペースメーカー全体にいえることではないと思いますが、装着されている方はご注意を。そしてiPodを使用している方は、ペースメーカーには悪影響だという認識を持ちつつ、マナーを守って使用してください。

関連:携帯の電磁波は天井や壁で反射するので優先席付近だけ警戒しても無駄
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2007年05月20日

国内初の、血液型の異なる生体肝腎同時移植が成功。

国内初の生体肝腎同時移植を実施 国立成育医療センター

 国立成育医療センター(東京都世田谷区)は19日、生まれつき胆管と腎臓に重い病気を持つ4歳の女子に30代の父親の肝臓と腎臓を同時に移植する手術を実施したと発表した。センターによると、1人の提供者(ドナー)からの肝臓と腎臓の生体同時移植は、海外で複数の報告があるが、国内では初めて。今回は女子と父親の血液型が異なっており、こうしたケースは世界で例がないという。

 会見したセンターの松井陽病院長らの説明では、手術は18日午前から同日深夜まで約14時間かけて行われ、父親の肝臓の一部と右の腎臓が移植された。女子の経過は良好で、順調なら2カ月後に退院できる見通し。父親は「早く子どもに会うために歩きたい」と話しているという。

 女子は、腎臓内に水のたまった袋(嚢胞)がたくさんできる「多発性嚢胞腎」という病気で生後7カ月で左の腎臓を、9カ月に右の腎臓を摘出して、透析を受けていた。また、先天性の肝内胆管拡張症による胆管炎が原因とみられる敗血症を繰り返し起こし、入院生活を続けていた。

 1人のドナーから複数の臓器を同時に摘出すれば、ドナーに大きな負担がかかる。ドナーになれるのが父親しかおらず、センターの倫理委員会などで審議した結果、「手術に十分に耐えられる」と判断したという。松井院長は「小児の場合、現状では脳死提供者からの移植が望めない以上、生体ドナーに頼らざるを得ない。今後、同様の手術が増える可能性がある」と話している。



 国立成育医療センター凄いなぁ。おめでとうございます。

 こういった生体移植術の場合、ドナー側の体力の問題なども検討しなければいけません。できることなら脳死による臓器移植が増えてもらいたいんですが…日本の現状を考えると非常に厳しい。今後はこういった生体移植の「手術できるぎりぎりのライン」を広げる方向に動く気がしますが、それは人命を左右することです。難しい問題だからこそ、色々議論していきたいと思います。

関連:医学処移植ニュース
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2007年04月14日

心筋に伸びる神経が偏っていることで、不整脈を防止している

心筋神経偏り、不整脈を防止 慶応大グループが発見

 突然死の原因となる不整脈を起こさないようにしているのは、心臓の筋肉(心筋)を制御する神経の分布の偏りであることを慶応義塾大学の家田真樹・前助手、福田恵一教授(再生医学)らが突き止めた。9日発行の米専門誌ネイチャーメディシン電子版に発表する。

 心臓の拍動数は交感神経によって調節されている。交感神経は心臓の「部屋」である心室の内側よりも外側に多く分布するが、この分布の偏りがどんな意味をもつのかはわかっていなかった。

 福田さんらは、この偏りが、胎児の段階でセマフォリン3aという遺伝子が働いてできることを見つけた。セマフォリン3aには神経細胞の突起が伸びるのを抑える働きがあり、心室の内側で活躍していた。

 この遺伝子を働かなくしたマウスでは交感神経の分布に偏りが生じず、心拍が一時的に止まる異常がみられた。逆にこの遺伝子が心臓で過剰に働くようにしたマウスでは心筋につながる交感神経が全体に少なく、2割が不整脈によると考えられる突然死を起こした。交感神経の適切な分布が不整脈防止に重要なことを示唆する結果だ。

 「将来、心筋再生が可能になった時は、交感神経のことも十分考えて治療をする必要がある」と福田さんはいっている。



 へぇー、均等に分布していても逆にダメということですか。不均等になるように神経を調節している遺伝子って凄いですね。もしこういったことが「進化」なのだとしたら、どれほどの確率でここまでに達したんでしょうか…。生命の神秘ってやつですね。

関連:
医学処 名古屋大学病院で、不整脈に8分間気づかない医療事故発生
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2007年04月11日

適度な飲酒は、急性心筋梗塞を予防する効果がある

心筋梗塞予防、やっぱり「お酒に効果」 厚労省研究班

 お酒を飲むと顔がすぐ赤くなる人でも、適度な飲酒は急性心筋梗塞を予防する効果がある――。厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)は6日、こんな調査結果を発表した。

 アルコールには血液を固まりにくくするなどの作用があり、適度な飲酒が心筋梗塞のリスクを減らすことは欧米の研究で知られていた。だが、日本人に多くみられる飲酒で顔が赤くなる人は、逆に飲酒で心筋梗塞になりやすいという報告もあるため、調べていた。

 調査は、93年に茨城、新潟、高知、長崎、沖縄の5県に住んでいた40〜69歳の男性2万3千人に、飲酒習慣や顔が赤くなるかなどを尋ね、発症率を9年間追跡した。

 急性心筋梗塞になったのは170人。うち39人が亡くなった。酒を飲まないグループの心筋梗塞のリスクを1とすると、1日に飲む量が「1合未満」「1〜2合」のグループのリスクは、顔が赤くなるかどうかに関係なく0.5前後だった。

 研究に加わった中村保幸・京都女子大教授(循環器内科学)は「飲酒量が増えると全体の死亡率が高くなり、飲み過ぎはよくない。もちろん飲めない人が無理して飲む必要はない」と話している。



 言うまでもありませんが、適度、がポイントです。日本人のアルデヒド脱水素酵素が弱いために、お酒を飲むと顔が赤くなります。しかし適度であれば、飲んだほうが効果的ということです。顔が赤くなる人でも大量に飲めばいいという話ではありませんし、顔が赤くならない人がこれを口実に大量飲酒するのも誤りですから。ほんの少し、おいしく飲む分には良いでしょう。

関連:
医学処 心筋細胞は血流が止まるとまだら模様に死んでいく
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2007年04月09日

1146g男児の完全大血管転位症の手術、見事に成功。

心臓動脈入れ替え、1146グラム男児の手術成功…日赤医療センター

 日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)は7日、1146グラムという低体重で生まれた男児に心臓手術を行い、成功したと発表した。

 男児は双子の二男。生まれつき心臓の大動脈と肺動脈の位置が逆になっている「完全大血管転位症」で、手術時には1103グラムまで体重が減少していた。

 心臓の動脈の位置を替える手術としては、世界で最も小さな体重での成功例となる。従来の最小記録は、米カリフォルニア州で行われた、体重1340グラムの赤ちゃんへの手術だった。経過は順調で、1、2週間後には退院できるという。



 心臓移植などの、法整備されていなくて不可能なものを除けば、日本も世界に誇れる医療技術を持っているんですよね。

参考:完全大血管転位症の低体重児、心臓手術に成功

 上記は、昨年、日赤で行われた手術です。更に少ない体重の赤ん坊の心臓も治療してしまうとは。まだまだ医学は病気と闘って負けることも多いですが、それでも以前より確実に、多くの命を救えるようになっていると感じます。勿論それは、闘って亡くなった患者さんから授かった経験や技術が蓄積されて育っているんだということを忘れてはなりません。

関連:医学処 完全大血管転位症を治療するためアメリカへ向かう途中の日本で手術成功
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2007年04月06日

高額なブレスレットやネックレスを買っても健康に良いわけがない

悪徳商法にご注意…「血液ドロドロ」実はウソ

 医師免許を持たない業者が血液の検査を行い、「血がドロドロです。サラサラにしなければ…」などと不安をあおって、高額なブレスレットやネックレスを買わせる悪質商法に関する相談が増加している。高まる健康志向とともに広がる不安心理につけ込んだ手口で、専門家は「医療機関以外での安易な検査は避けるように」と注意を呼びかけている。

 国民生活センターによると、同様の相談が平成17年度だけで、589件寄せられたという。年々増加傾向にあり、8年度(132件)の約4.5倍に上っている。

 50歳代女性のケース。健康器具販売店を訪れた際、「血液を調べませんか」と店のスタッフに勧められた。スタッフは採った血を顕微鏡で見せながら、「血が動かないですね。70歳代(の血液)です」と説明。

 そのうえで、女性に磁気のある腕輪を身につけさせ、再び血液を調べると、「サラサラになりましたよ」と語ったという。腕輪の効果を信じた女性は、勧められるままに約20万円で購入した。

 ところがその後、病院で検査してもらうと、「血液に異常はなく健康体です」と告げられた。このとき初めて、女性は「だまされた」と気づいたという。

 別の60歳代の女性のケース。業者から「無料で健康チェックをする」という電話があり、自宅に招くことにした。やってきた業者は女性に対し、体に微電流を流し、悪い個所をチェックするという検査を実施。結果、業者は「1カ所だけ悪い値が出た」と語った。

 彼女は脳梗塞を患い、健康を気にしていただけに不安を感じた。血栓を溶かして血液をサラサラにするという32万円の健康食品を業者に勧められると、つい飛びつき、購入してしまったという。

 センターによると、売りつけられるものとして特に多いのは、磁気ネックレスなどの医療用具(22.4%)や健康食品(21.7%)。ほかにも、ブレスレットなどのアクセサリー、ふとんなどの寝具類、浄水器などがあった。

 「そもそもこれらの悪質商法では、医師免許を持たない業者が検査などを行っているケースが多い」と、センター情報分析部の渡辺優一さん。その行為は、医師法に反する。また、「注射針にしても、こういった業者では使い回しされている可能性も否定できず、危ない」と渡辺さんは注意を呼びかける。

 センターに相談を持ちかける人の平均年齢は51・9歳。相談件数が増えていることについては、「健康ブームの高まりを背景に、過去に(比較的大きな)病気をしたことがあるなど健康に強い関心がある人が、トラブルに巻き込まれることが多いようだ」と話す。

 「病院などの信頼できる場所以外で血液検査を受けてはいけない。もし健康に不安があるのなら、かかりつけ医に診てもらってほしい」と渡辺さん。

 また、かりに高額商品を契約してしまってもクーリング・オフなどが可能なケースも多い。「あきらめず、早めに最寄りの消費生活センターに相談してほしい」とアドバイスする。

 そもそも、何かを身につけて血液がサラサラになることなどは、科学的な根拠はない

 慶応義塾大医学部中央臨床検査部の村田満教授(血液学)は「そもそも血液の“サラサラ”“ドロドロ”に、はっきりした医学的な定義はない」としたうえで、「一般的にブレスレットやアクセサリーを身につけて、血液の状態が改善することはありえません」と話している。」



 あのなんちゃらいう金属で作られたブレスレットですとか、ネックレスですとか、大流行でしたね、2006年は。さすがに2007年になっても騙されるバカな人は少ないと思いますが。そもそも医療機関でもないところで営業マンによくぞまぁ採血なんぞさせますね。そこからC型肝炎に感染してもまるでおかしくないのに。もうその段階で「騙されやすい人」と認識されてしまうのでしょう。

 わけのわからん金属を身につけただけで血液がサラサラになるとか、体が軽くなるとか、そんなわけないじゃないですか。水に言葉をかけるとおいしくなったりまずくなったりするとか…。非常識な人というのは搾取され続ける運命にあるのかもしれません。もう少し自分の頭で考えるということをしないと。

関連:
医学処 ブレスレット商法詐欺は、血液検査に細工がしてあるだけです。
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2007年04月01日

キムチを食べ過ぎると肥満、高血圧、高脂血症など慢性疾患にかかる

キムチの食べ過ぎで生活習慣病の危険

キムチを食べ過ぎると肥満、高血圧、高脂血症など慢性疾患にかかる危険が高くなるという研究結果が出た。

牛乳を飲まなくても同じような危険にさらされることもわかった。

これは韓国保健産業振興院が40〜64歳の男女6112人を対象に慢性疾患と食べ物の関係を分析した研究から明らかになった。

調査の結果、キムチを平均値(78グラム)の3倍程度食べる50、60代の女性は平均摂取者より肥満になる危険が27.8%、高血圧は20.5%、高脂血症は30.4%高かった。40代の女性がキムチをそれだけ食べた場合は、肥満、高血圧には大きな影響を与えなかったが、高脂血症の危険は50%近くにまで上った。

男性の場合も高脂血症の危険(50、60代58%)が高くなった。

食品医薬品安全庁ウ・ゴンジョ食品評価部長は「キムチに入ったナトリウムが高血圧を引き起こす」と話している。保健産業振興院キム・チョイル栄養管理支援センター長は「キムチをたくさん食べるとご飯や他の穀類も一緒に食べることが多いので、慢性疾患の危険が高くなるようだ」と明らかにした。

また今回の調査で牛乳を飲まなければ慢性疾患にかかる危険が高いものと明らかになった。牛乳を飲まない40代男性は1日に200ミリリットル飲む人に比べて肥満にかかる危険が38.6%、50、60代の男性は高血圧の危険が31%高くなった。

女性も同じだ。牛乳を飲まない40代女性は肥満の危険が22%、50、60代の女性は高脂血症の危険が32%、高血圧は40%高くなった。



 そりゃーキムチも漬物みたいなものですからね。塩分の過剰摂取になりがちなのでしょう。ただ辛いだけなら体にもよさそうですが…。高血圧気味の人、一度塩分をほとんど摂らない食事をしてみてください。結構それだけで血圧は落ち着くものですよ。

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2007年03月20日

名古屋大学病院で、不整脈に8分間気づかない医療事故発生

<名大付属病院>不整脈8分間気づかず、患者は昏睡状態

 名古屋大学(名古屋市昭和区)医学部付属病院(井口昭久院長)は19日、心臓手術で入院していた70代の患者が、不整脈を起こしたのに8分間気づかない医療事故が今月上旬に発生したと発表した。患者は依然、昏睡が続いているという。

 同病院によると、患者は心不全と腎不全の合併症で2月下旬に入院。翌日、心臓の緊急手術を受け、集中治療室で処置していたが3月上旬、不整脈を発症した。しかし患者のモニターが警報を出さず、結果として8分間、対応が取られない状態が続いた。病院は患者の異常に気づき、ただちに心臓マッサージなどを行ったが、患者は現在も昏睡状態が続いている。

 病院は「患者には人工呼吸器などが取り付けられており、モニターが患者の異常に反応しなかった可能性もある」としている。病院は患者の家族に経緯を説明し謝罪。近く外部有識者を交えた事故調査委員会を発足させ原因究明と再発防止に当たる。



 機械の不調?取り付けの誤り?何はともあれ再発防止を。8分間不整脈になっていただけで血流は相当途絶えますからねぇ。。。

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心停止後120分経ってから奇跡的に生還。

世界記録?120分の心停止から奇跡の生還!―浙江省温嶺市

 浙江省温嶺市第一人民病院に入院中の王さんは、120分も心臓と呼吸が停止していたのに奇跡的に生還した

 3月10日、通りに倒れた王さんは市民らの手により温嶺市第一人民病院に運ばれて来た。だがしかし、その時彼の心臓はすでに止まっていた。呼吸も停止し、瞳孔が開き、死亡の徴候が出ている。当番の許国斌(シュー・グゥオビン)副主任は病院の医師を集め、王さんに人工呼吸機を着け、電動ショックを繰り返し彼の心臓に与えた。

 だが、30分経っても王さんにまったく反応はない。中国では、心臓や呼吸が停止してから医療処置を施して30分経過しても回復しないなら、死亡宣告を下すことができる。しかし、許国斌医師はまだ望みがあると直感。医師に引き続き電気ショックを与えるように指示し、人工呼吸も続けた。そのかいあってなんと120分後、王さんの心臓は鼓動し始め、呼吸も始まった。

 現在、王さんの意識ははっきりしており、自力で呼吸もできるようになった。許国斌副主任は、「今回の奇跡的な生還は、王さんの倒れた場所が病院のすぐ近くであったことと、たくさんの通行人に発見されてすぐに病院に運ばれたことが幸いしたもの。少しでも遅れていたら生還は難しかっただろう」と説明している。



 中国はたまに凄いですね。医療面での奇蹟がいくつ生まれたことか。心臓と呼吸が停止しても、すぐに処置を行えば、脳へ酸素を送ることはできます。そのための心臓マッサージ&人工呼吸なのです。この奇蹟は、心臓が再度動き始めたってことですよねぇ。何らかのきっかけで、動き始めるというのは考えられなくはないですが。医師の直感がなければ間違いなく「死亡」していたわけで、いやはや…。

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2007年03月19日

動脈瘤の拡大因子を抑制する「おとり拡散」で破裂予防

動脈瘤肥大を抑える物質 阪大、ネズミで効果確認

 腹部や胸部の大動脈がこぶのように膨らむ大動脈瘤は、破裂すると突然死する恐れが高い。その大動脈瘤が大きくなるのをとどめる物質を、大阪大の三宅隆医師や森下竜一教授(ともに遺伝子治療学)らが開発し、ネズミで効果を確認した。小さいままにできれば破裂の恐れが低くなる。脳動脈瘤などへの応用も考えられ、森下さんは「患者の不安が和らぐ。安全性を確かめ臨床応用につなげたい」という。

 動脈瘤は、加齢や動脈硬化に伴って、炎症が起きたり組織が壊れたりして血管の壁がもろくなった動脈が、血圧の影響で膨らんで起きる。

 炎症や組織の破壊は、それぞれ誘因物質が知られている。森下さんらは誘因物質を直接壊したりするのではなく、誘因物質が働きかける核酸とよく似た「おとり核酸」を合成し、動脈瘤の近くに入れる戦略をとった。誘因物質の大半が「おとり」に引っかかって、炎症や組織の破壊が進まなくなると考えた。

 腹部大動脈瘤を発症させたネズミで実験したところ、「おとり核酸」を大動脈近くの腹腔内に注入した場合のこぶの断面積は、1週間後で平均3平方ミリ(注入しなかったネズミでは5平方ミリ)、2週間後で6平方ミリ(同13平方ミリ)と膨らみ具合が抑えられ、4週間後も維持された。

 近年、健康診断で直径3センチ前後の小さな腹部大動脈瘤が見つかるケースが増えている。治療に危険を伴うこともあり、破裂の恐れが高まる5〜6センチになるまで待ってから手術やステントという器具で治療することが多い。その間、患者は不安と隣り合わせになる

 胸部大動脈瘤や脳動脈瘤などへの応用をにらみ、静脈内に注入できるよう「おとり核酸」の微小粒子化に取り組んでいるほか、薄膜状や寒天状にして細い管(カテーテル)で患部に入れることも検討している。



 記事中にもありますように、大きくなるまで様子見、ということが多くなりつつあります。技術の進歩ですが、お腹に瘤があっていつ破裂するかわからない、なんて言われた日にゃ眠れなくなりますよね。

 そこで対策として、「おとり核酸」ですよ。一度入れただけで、結構長い間維持されるみたいですね。月1で注射してもらうだけで瘤を抑えられる治療とあらば、喜んで受けさせていただきますってなもんです。

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鎮痛剤をほぼ毎日服用する人は高血圧になるリスクが3割増える

鎮痛剤常用 高血圧リスク3割増

 アスピリンなどの鎮痛剤をほぼ毎日服用する男性は、全く服用しない人に比べ、高血圧になる危険が3割増えるという調査結果を、米ブリガム・ウイメンズ病院などの研究チームが、米医師会の専門誌「内科学アーカイブズ」(電子版)に発表した。

 当初は高血圧の症状がなかった50〜70代の男性1万6031人を対象に、健康状態を2〜4年間追跡した結果、1968人が高血圧になっていた。

 鎮痛剤を週6日以上服用した人に着目し分析したところ、アセトアミノフェンでは34%、アスピリンでは26%、その他の非ステロイド系抗炎症剤では38%も、服用しない人より高血圧になりやすかった。また、いずれかの鎮痛剤を週に15錠以上服用した人は、高血圧になる割合が48%も高かった

 女性については、既に鎮痛剤の常用で高血圧が20〜35%増えるというデータが出ている。研究チームは「鎮痛剤が血管の柔軟性に影響を与えるためではないか」と推定。

 アスピリンには心臓発作などの予防効果があるが、「注意して使うべきだ」と指摘している。



 あまりよろしいものではないですからね。ある意味、痛みを誤魔化してるだけなんで。肝臓も解毒のために負担を強いられるでしょうし。それでも必要とする患者さんはいます。医師の指示に従って、正しく使用して下さい。

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2007年03月17日

北大が、サケの皮のコラーゲンから人工血管を作ることに成功。

コラーゲン:サケの皮から抽出し人工血管作成 北大チーム

 北海道大などの研究チームが、サケの皮のコラーゲンから人工血管を作り、ラットの大動脈部分に移植したところ、2週間以上の生存が確認された。13日から横浜市内で始まる日本再生医療学会で発表する。海洋性動物のコラーゲンから人工血管を作成し、機能が確認されたのは世界初という。研究チームは、サケからヒトに感染するウイルスが報告されていないことなどから、安全性も高いとみている

 水産加工後に大量に廃棄される天然のサケの皮は北海道で年約2000トンに上る。ここからコラーゲンを抽出した場合、年約600トンを採取できるという。また、従来の人工組織は、牛やブタのコラーゲンを使っていたが、BSE(牛海綿状脳症)など感染症による危険性も懸念されている。

 このため、研究チームは廃棄量が大きく、安全性も高いサケの皮に注目し、再生医療への応用を目指した。

 課題はサケのコラーゲンが熱に弱く、19度で溶けてしまうことだった。そのままではヒトの体内に移植できないため、コラーゲンの構造を糸状の塊に変えたり、構成する分子間の結合を強めるなどの処理を行い、溶け始めの温度を55度まで上げることに成功した。

 耐熱性が上がったコラーゲンで内径1.6ミリ、厚さ0.6ミリのチューブを作り、今年2月下旬にラットの腹部の大動脈へ移植した。その結果、チューブは心臓の拍動に合わせて伸び縮みし、元の大動脈同様の強度と伸縮性が確認された。

 研究チームの永井展裕・北大創成科学共同研究機構特任助手(移植医療)は「今後イヌなどの大型動物で実験し、将来はヒトの心筋梗塞治療に使える細い口径の人工血管開発を目指したい」と話している。



 ウシやブタなどの、比較的人間に近い臓器をもつ動物でなくても、人工血管ならばサケなどの魚からも作り出せるとは…恐るべし。構造が異なる分、BSEの心配もないでしょう。案外いいところをついていると思います。人工血管の応用が効けば、心臓系の疾患をサポートするだけでなく、下肢の静脈瘤などに対しても使うことができるかもしれません。

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