[循環]の記事一覧

2009年10月29日

魚を食べても心不全の予防にはならなかった。

魚食べても心不全予防ならず?

 過去の研究では魚を食べると心不全の予防に役立つと考えられてきたが、魚を摂取しても心不全を食い止める作用はないとの調査結果がオランダの研究者らから示された。

 ウェブサイトの「アルファガリレオ」に掲載された発表文書によると、1990年からロッテルダム近郊に暮らす55歳以上の男女5299人を対象に実施した調査から、魚を食べる人と食べない人の間で心不全になるリスクに影響がないことが浮かび上がった

 調査を実施したオランダ・ワーゲニンゲン大学のマリアンヌ・ヘレインセ氏は、発表文書で「たとえ少量であっても魚を摂取すれば、致命的な心筋梗塞、つまり心臓発作のリスクを軽減できると信じる医学関係者や保健当局がますます増えている。だが、魚の摂取が心不全を抑えるという強固な証拠は何一つない」と指摘する。

 心不全は心臓発作のように偶発的に起きるものではない。心臓のポンプ機能が徐々に弱まることで血行の悪化、息切れ、痛みを伴う足のむくみなどを引き起こし、肺の流れを弱めていく。欧州では心不全の患者数は約3000万人に上るという。

 研究者らは魚に含有される脂肪酸やビタミンが、摂取した人の心不全を防止し、心臓発作を抑える働きがあるかどうかを調査した。11年以上にわたり追跡調査を行ったところ、心不全が悪化していたのは699人だったという。

 さらに、対象者に魚を食べる頻度や量、摂取する魚の種類を個別に質問。食べ方についても温かいメーンディッシュとしてなのか、サンドイッチなどにして間食として摂取するのかを聞いた。オランダでは魚の摂取量は非常に少なく、回答者の1週間の平均摂取量は1食に満たなかった。1日当たりでは20グラムを上回る程度で、心不全の予防効果は見られなかったと研究者らはまとめている。ヘレインセ氏は「もしかすると魚をもっと大量に摂取すれば、心不全の予防に役立つのかもしれない」とも述べている。



 魚は身体に良いとは思いますけれど、医学的根拠としては乏しい、という結果。

 これ日本でやったらどうなるんでしょうか?

 日本は海産物を、生で食べることが多いので、もしかすると心不全の予防に役立っているのかもしれません。

 食の欧米化によって魚の摂取量が減っているので、大規模的に考えれば将来日本人の心不全は増えるのかもしれませんが。
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中性脂肪やコレステロールが高い人のほうが脳梗塞を起こしにくい。

脂質高い人、脳卒中リスク低い=4万8000人データ分析

 コレステロールや中性脂肪の値が高い人の方が脳卒中を起こしにくく、発症した場合も状態が良いとのデータを、大櫛陽一東海大教授らがまとめ、24日までに日本脂質栄養学会誌に発表した。

 同教授らはこれまでにも、これらの値が低いほど死亡率が高いなどの研究結果を発表。「(悪玉とされる)LDLコレステロールも中性脂肪も実は善玉なのに、リスクが強調され、無駄な治療がなされている」と問題視している。

 同教授らは、脳卒中患者のデータベースに登録された男性約2万8000人、女性約2万人のデータと、福島県郡山市の一般住民のデータを比較。計約4万8000人のうち、脳梗塞を起こした患者を見ると、高脂血症でない人と高脂血症を治療している人の比率が一般住民より高く、高脂血症(未治療)の人の割合は低かった。

 年齢や性別の影響を除いて解析したところ、高脂血症(未治療)の人の脳梗塞発症リスクは、高脂血症でない人の約4分の1にとどまり、治療している人のリスクは、未治療の人の4.6倍だった。



 脳梗塞にも色々な原因があります。心臓でできた大きな血栓が飛んで詰まったり、小さい血栓が飛んだり。

 高脂血症はどんな疾患のリスクにもなりうるほど、という認識でしたけれど、中性脂肪やLDLコレステロールといった害となる因子にも何らかの役割を担っていた、と。

 まあ確かに、食事して中性脂肪が上がるというのは、生物にとっては自然なことですからね。

 高すぎるのは良くないと思いますけれど、何もしないでもこのような結果になるという。

 おそらく個人差というか、その人その人にとっての適切な中性脂肪の量というのはあるんでしょうね。今は、高脂血症を予防するためにも、メタボリックシンドロームという基準をつくって、スクリーニングしているわけですけれど、将来的にはその人の基準、を簡単に判定することができる時代になるのかもしれませんね。
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2009年10月12日

iPS細胞の初実用化。心臓への副作用を予測する検査へ。

iPS細胞 初の実用へ 万能細胞で副作用予測成功

 人工的に作った心臓の細胞を使って、医薬品の心臓への副作用を予測することに、東京医科歯科大などのチームが成功した。新薬開発のカギとなる副作用の把握を、動物実験よりも正確に行える手段となる。一部の製薬会社は、臨床試験の開始に必要な安全性検査にこの技術を使うことを検討し始めた。予測に使う心臓細胞は、新型万能細胞(iPS細胞)から量産することができ、iPS細胞の世界初の本格的な実用技術として期待される。

 東京医科歯科大の安田賢二教授と山梨大の杉山篤・准教授らは、心臓の細胞に電極をつなぎ、心電図のような電気信号の波形を測る装置を開発。これに不整脈を引き起こす薬剤を加えて細胞への影響を調べる研究に昨年から取り組んできた。異常な波形はこれまでも見られたが、不整脈を確実に見分けるのは難しかった。

 波形の分析技術を改善した結果、今回は致死性の不整脈に必ず直結する波形の乱れを観測できた。他の五つの不整脈を起こす薬剤でも、同様の傾向をとらえた。

 製薬会社は、新薬候補の副作用を調べるために動物実験を行う。しかし、人間への副作用を見つけきれず、臨床試験や販売開始後に副作用がわかり、開発中止や回収となるケースがある

 今回の試験に使った細胞は人の胚性幹細胞(ES細胞)から作製したが、大量に作れる人間のiPS細胞を使えば、動物実験を大幅に減らし、検査の精度も上がると見込まれる。安田教授は「適正な投与量や、人種による副作用の違いも調べられる」としている。



 お。とうとう実用化ですか。

 iPS細胞の、人体への応用以外の利用法の1つです。

 動物に実験を行っても、、やっぱり人間と違う以上、あくまで予測の域を出ませんでした。しかしこれを使えば、細胞レベルではありますが、人体そのものに投薬しているのと同じ作用を把握することができます。こういった検査法の普及で、新薬の開発の短期化・確実化も容易になるのではないか、と言われておりますね。

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やせすぎは循環器疾患による死亡リスクが上昇する。

やせ、太りすぎより短命 40歳の余命で6年の差

 40歳の人の平均余命は、肥満度別にみると「やせ」の人が最も短く、最も長い「太りすぎ」の人より6年程度短命との研究結果を、東北大公衆衛生学の研究グループが10日までにまとめた。

 肥満度は体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)。研究グループは世界保健機関(WHO)の基準に基づき、18・5未満を「やせ」、18・5以上25・0未満を「普通」、25・0以上30・0未満を「太りすぎ」、30・0以上を「肥満」と分類。宮城県内の40〜79歳の男女約4万4千人を1995年から2006年まで追跡調査し、分析した。

 40歳の人の肥満度ごとの平均余命は、男女とも順序は同じで、「太りすぎ」が最長(男性40・5年、女性47・0年)。以下は「普通」(男性38・7年、女性46・3年)、「肥満」(男性37・9年、女性44・9年)、「やせ」(男性33・8年、女性41・1年)の順。

 分析した大学院生の永井雅人さんは「やせすぎると細胞の機能低下などで血管の壁が破れやすくなるなどして、循環器疾患による死亡リスクが上昇するとの報告があるし、栄養不足が体の抵抗力を減少させるため、やせでは肺炎などにかかるリスクが高まるとの研究もある。今回の結果は、そうした影響によるのではないか」と話している。



 痩せているってことは、完璧な栄養管理と運動によって健康的に痩せている場合以外は、何かしらの障害のようなものが出るのかもしれません。特に今のような時代においては。

 運動によってカロリーを消費していたらいいんですけれど、今の社会で運動するのも難しいですからねぇ。

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大動脈瘤の手術時に脊髄を冷却する技術を開発する

大動脈瘤手術に新技術 下半身まひ危険低減 県と慶応大共同開発

 県立循環器・呼吸器病センター(熊谷市)は9日、胸部大動脈瘤手術で併発しやすい下半身まひの回避手段として、脊髄を局所的に冷却するカテーテル(体内に挿入する治療用の細い管)を世界で初めて開発、臨床応用に成功したと発表した。脊髄損傷の危険と隣り合わせの大動脈瘤手術。その安全性を格段に高める治療器具として注目されそうだ。

 同センター実験検査部と慶応大学医学部心臓血管外科が共同研究した。

 同センターによると大動脈手術は国内で年間6500の症例があり、手術ではこぶのように膨らんだ部分を切除して人工血管につなぎ換える。この間、大動脈の血流を遮断するため脊髄への血液の流れも激減。脊髄はほかの臓器に比べて血流の減少に弱く、手術患者の約5〜10%に下半身まひの症状が残るとされる。

 これを防ぐ処置として現在は、全身を32〜34度の低体温にして代謝を抑える方法が主流。だが、呼吸不全や免疫機能低下などの副作用が生じる危険性があった。

 同センターは1998年から、循環回路を内蔵した冷却カテーテル(外径1・5_)の開発に着手。脊髄と背骨のすき間にカテーテルを挿入、カテーテル内部に冷却液を流して脊髄部分だけを25〜30度に冷やすことに成功した

 さらに、慶応大医学部で昨年12月から今年9月にかけて10例の臨床応用を行い、手術患者全員に脊髄障害が出なかったことを確認した。

 今後は高度先進医療の許可を得るための治験を50例ほど行い、2年後の申請を目指す。厚生労働省が許可すれば保険診療との併用が可能になる。同センターの壁井信之専門員(工学博士)は「将来的には脊髄損傷の治療にも活用したい」と話している。



 血流の途絶えやすい脊髄を冷却してやることで、機能低下を減らそうというもの。脳の冷却法は有名ですが、それを脊髄に応用しようということですね。

 確かにこれを使えば、脊髄障害は出にくくなりそう。大動脈瘤という疾患はどうしても起こってしまうものなので、その根治手術を行う上では必要な技術です。全例に行うべきものだと思うので、保険適用も早急にお願いしたいところです。

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2009年09月21日

大麦黒酢の抗酸化作用で血液の流動性が改善される

大麦黒酢で血流改善 キユーピーが研究

 キユーピーは10日、大麦黒酢の摂取で血液の流動性が改善されることを確認したと発表した。大麦黒酢の抗酸化作用が関与していることをつきとめた。11日に愛知県内で開かれる日本食品科学工学会で発表する。

 健康増進目的で黒酢を愛飲する消費者が増えていることから、グループ会社のキユーピー醸造と協力して、黒酢の研究に着手した。黒酢の原料はコメと大麦があるが、大麦由来の黒酢については、研究報告がほとんど存在していないのが現状という



 日本が昔から愛するお酢も、調味料としての側面ではなく健康的意味合いが強くなってきました。黒酢も飲料として愛飲されるとは思ってなかったでしょうねぇ。

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2009年09月16日

心筋幹細胞を増やして心不全に移植する臨床研究を開始する。

心臓幹細胞使い、心筋再生へ…年内にも臨床

 京都府立医大と国立循環器病センター(大阪府吹田市)などは14日、重い心不全の患者から心臓の幹細胞を取り出して増やし、元の心臓に移植して心筋を再生させる治療の臨床研究を年内にも始めると発表した。

 幹細胞で人に心臓の治療を試みるのは世界で初めて。

 ブタを使った実験で、心臓幹細胞増殖因子という物質をしみこませたゼラチンシートを移植部に張ると、幹細胞が長生きすることを確認し、一定の安全性が確保できたと判断。10日に厚生労働省の審査委員会で臨床研究実施の承認を得た。



 お!!とうとう臨床研究が!!

 この方法は、心臓の機能が衰えた人にたいして、心臓細胞シートを巻きつけてやることで、動きを良くしてやろうというものです。実際に動物にやると劇的に改善するとのことで、次世代循環器の治療だと考えられていました。

 この方法が成功したら、心不全も治療して日常生活を送ることが出来るようになるかもしれません。かなり期待の研究です。是非とも頑張ってもらいたい。

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2009年09月14日

魚を食べて血管病を防ぐ-北国健康生きがい支援事業-

魚食べて血管病防ぐ 北國健康生きがい支援事業・金大プログラム

 北國健康生きがい支援事業の今年度第1回金大プログラム「知っておきたい血管病のあれこれ」(金大、北國新聞社主催)は12日、金沢市の北國会館10階ホールで開かれた。金大の山岸正和臓器機能制御学・循環器内科教授と高村雅之循環器内科講師が、血管病を予防するための心構えや治療法を分かりやすく解説した。

 山岸教授は動脈硬化性血管病について、高コレステロールや糖尿病、ストレスなどが危険因子であると指摘。予防や再発防止のために、日ごろの生活習慣の見直しが必要と強調した。

 食事については、魚を中心としたタンパク質や炭水化物の割合を増やすことや、塩分を取りすぎないことなどを助言し、「食事は自分でコントロールできる。健康のために心掛けてほしい」と呼び掛けた。

 虚血性心疾患の治療法について講演した高村講師は、狭くなった血管を風船で押し広げたり、ドリルで硬化部分を削り取ったりして血流を再開させる「冠インターベンション」について説明した。

 このほか、血管内手術に外科のバイパス手術を組み合わせた最新の治療法なども紹介し、「担当医と話し合って、より負荷が少なく、確実な治療を受けてほしい」と語った。



 和食は世界的に見ても大変身体に良い食事だとは思います。近年は食の欧米化によって、日本人であっても他の国と同様に疾患のリスクが上がってきています。そうならないためにもヘルシーさをみなおす必要があるでしょう。

 和食の最大の欠点としては、やはり塩分過剰摂取でしょうか。味噌、醤油など日本人にとって馴染みの大きい発酵食品の多くは、思っている以上に塩分を含みます。塩分に慣れた体にとって、味気ない食事になるというのは大変つらいものです。カロリーがどうの、脂質がどうのというより、塩分の問題がつらいところです。塩気を感じつつも身体にとって無害で吸収されない物質が生成されたらかなり売れそうですしニーズもありそうですけれども。

 最終的に年をとって、動脈やらがやられると、心臓や脳血管に障害を起こす可能性が高い。誰もそうなりたくないでしょう。ならば、「今」から。今から気をつけていきましょう。

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2009年09月04日

人生に絶望すると頚動脈に異変が起こりやすくなる。

人生に絶望、動脈に伝わる? 「脳卒中などの危険」説

 人生に絶望する気持ちがあると、頸動脈に病変が起き、脳卒中や心臓病を起こす危険が高いことが米ミネソタ大の研究でわかった。米心臓協会の医学誌「ストローク」の最新号に論文が掲載された。

 研究チームは、循環器病にかかったことがない中高年女性559人を対象とした研究で、人生に対して前向きかどうかを質問。この回答と、超音波検査で測った頸動脈の壁の厚みのデータを分析した。

 頸動脈は脳に血液を送る血管。動脈硬化で壁が厚くなると、脳卒中などの原因となる血栓ができやすくなる

 分析の結果、人生に最も前向きな集団と、最も絶望感が強い集団とでは、壁の厚みに0.06ミリの差があった。研究チームは「この差は、臨床的に重要である可能性があり、絶望感が強い集団は将来、心臓病や脳卒中になる危険が高い」と分析している。

 絶望感と頸動脈の壁の厚みとの間の生理学的な関係ははっきりしていないが、研究チームは、絶望感が強い人にはカウンセリングなどを勧めている。



 ストレス、ですねぇ。いわゆるA型気質だとこういう疾患になる可能性はあります。

 気が滅入った時の対処法とか、自分なりの休日の過ごし方とか、そういうのを決めるのが日本人は不得意ですからねぇ。生活も欧米化したことですし、オンオフのメリハリもうまいぐあいにつける術を身につけることが大事だと思います。
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2009年07月24日

お年寄りと小さな子供は、室内での熱中症に注意。

お年寄り、室内の熱中症に注意

 厳しい暑さが続き、熱中症に注意が必要な時期になってきた。きちんとした予防法や対処法を知っておきたい。

 「お年寄りや小さな子どもは、家族が注意して見守ることが必要です」と話すのは、東京消防庁救急指導課の梁田宜明さんだ。

 国立環境研究所のまとめでは、昨夏、熱中症で救急搬送された65歳以上のお年寄りのうち、43・7%が自宅での発症だった。「温度変化に適応しにくいお年寄りが、閉め切った部屋で冷房をつけずにいて熱中症にかかることがあります」と梁田さん。

 一方、車内に置き去りにされた子どもが死亡する事故が毎年のように全国で相次いでいる。「炎天下に駐車した車の車内温度は30分で50度以上になる。車内に子どもを置き去りにするようなことは絶対にしないで」と訴える。

 一般的な予防法は、スポーツドリンクや食塩水(水500ミリ・リットルに塩1グラム)をこまめに補給し、外出時には、帽子や日傘を持ち歩いて直接日光に当たらないよう注意する。炎天下での長時間の作業や運動は避ける。

 暑さの中で、吐き気、嘔吐、めまい、筋肉のけいれんなどの症状が出たら、熱中症の可能性がある。衣服をゆるめて楽な姿勢になり、風通しのよい日陰や冷房の利いたところに移動する。「冷たい水で絞ったタオル、中身が冷えたペットボトルを、両わきの下や、ももの付け根に当てるのも有効です」と梁田さん。その後、早めに医療機関を受診する。



 今年もずいぶんと暑くなってまいりました。子供もご老人も、暑さに対する調節能力が低くなっています。できるだけ水分を多く摂取するよう心がけて活動してください。室内でも要注意です。
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2009年07月22日

心筋梗塞に、幹細胞を注入して損傷を修復する治療法

患者自身の幹細胞を用いた心筋梗塞治療を初めて実施

 患者自身の心臓幹細胞を注入することにより、心筋梗塞(心臓発作)による損傷を修復する治療が米国の医師らによって初めて実施された。

 米シーダーズ・サイナイCedars-Sinai心臓研究所(ロサンゼルス)で実施されている第I相臨床試験では、16人にこの治療を施行、別の8人を対照群とする予定となっており、今回39歳の男性に最初の治療が実施された。被験者はいずれも、登録前4週間以内に心筋梗塞を起こし、損傷および瘢痕のある患者。処置後6カ月間観察し、結果は2010年後半に発表される予定。

 この治療では、まず画像により瘢痕の位置と程度を明らかにした後、低侵襲性の生検処置によって心臓組織の小片を採取し、これを専門機関に搬送して幹細胞を培養する。治療に必要な数(1,000万〜2,500万個)まで細胞が増えるのに約4週間を要するという。こうしてできた幹細胞を、カテーテルを用いて患者の冠動脈に注入する

 研究を率いた同研究所のEduardo Marban博士は「この方法は心疾患の理解と治療の新時代の到来を告げるのだ。5年前には心臓に幹細胞があることさえ知られていなかった。今、われわれはその幹細胞を利用して損傷された心臓を修復する方法を探究している」と述べている。成功すれば、数年以内にこの治療法が世界的に利用可能となり、心疾患患者にさらに広く適用されることを期待していると同氏はいう。

 第1号の患者となったのは、米カリフォルニア州の小さな建設会社でオペレーターを務めるKenneth Milles氏。5月10日に主要冠動脈の99%が閉塞される大規模な心筋梗塞を起こし、心筋の21%が瘢痕化した。5月24日に組織が採取され、先ごろ治療が実施された。



 この手の分野は日本のほうが先行しているかと思ったんですが、アメリカに先にやられましたねぇ。アメリカの医療の強みって、こういう新しい手法の認可が比較的早いところにあるんでしょう。

 しかしこれで成功すれば、心筋梗塞の治療法として新しい分野が確立されるのは間違いありません。心筋梗塞は、起こした後に数日、数週、数ヶ月の単位で別の合併症が起こる可能性がありますからね。

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2009年06月20日

睡眠不足な中高年は高血圧の危険性が高まる。

睡眠不足の中高年、高血圧の危険が高まる=米研究

 米シカゴ大学の研究チーム8日、睡眠時間が不足している中高年は高血圧になる可能性が強まるとの調査結果を発表した。平均年齢40歳の578人を対象に実施した今回の調査では、5年にわたって睡眠時間が平均1時間少ないと、高血圧になる確率が37%高まることが判明したとしている。

 調査対象となった人の平均睡眠時間は6時間で、睡眠時間が少なかった人は高血圧になりやすく、睡眠時間が1時間減るごとにそのリスクが高まるという。

 同研究チームのクリステン・ナットソン氏は、医学専門誌「Archives of Internal Medicine」の中で、「5年間にわたり、十分な睡眠をとらなかった人々は高血圧になる危険が増大する」と述べている。

 米疾病対策センター(CDC)によると、一般的に成人は7─9時間の睡眠が必要。しかし実際には、多くの人の睡眠時間がそれよりもかなり少なく、睡眠不足による健康被害を指摘する研究も出始めている。



 個人的にもこの因果関係は気になるところ。やはり影響あるんですかねぇ。

 やはりいくらがむしゃらに働こうとも、最後には「体様」なんですよね。予防に勝るものはない。

 特に高血圧や動脈硬化などのリスク因子は将来に繋げるためにもできるだけ予防しておきたいところ。健康な老後を送るためにも睡眠などの生活リズムから見直していきたいですね。

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2009年06月07日

バッハの生演奏を行うことで白血病患者の症状が改善する。

バッハの生演奏が、白血病患者の症状を改善

 世界的に有名なウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のバイオリニストらが白血病患者の病室で生演奏する実験を行ったところ、血圧の低下が持続するなど症状が大幅に改善したとウィーン医大の研究チームが発表した。ストレス軽減効果があったとみられる。地元メディアが6日までに伝えた。

 実験は2年前に始まり、骨髄移植を受けた患者15人とバイオリニストら楽団員6人が参加。移植手術の数日後、楽団員がそれぞれ病室を訪ねてベッド脇で約20分間、バッハなどの曲を演奏した。患者の緊張は音楽とともにほぐれ、演奏中から血圧が下がったほか、心拍数も安定し、その状態は演奏後も続いた。演奏はCDに録音され、患者がCDを聴いて演奏を思い返すたびに良好な結果が出たという。患者からは精神的な効用を強調する声が上がった。  



 ウイーンならではの研究という感じ。

 やはり音楽は有効なんでしょうかね。No music No life。

 日本でもこういった病院ボランティアは結構さかんに行われていますけれど、個別に演奏するというのはないかもしれませんね。移植手術という大きな治療法を行った後に演奏することで、脳が無駄な抑制をせず、音楽が直接心に入ってくるのかも。

 その後演奏を聞くたびに効果があるというのも大きなポイントか。日本で行う場合、集団を対象に演奏した後にCDを配ることでより効果が挙げられるかもしれませんね。

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2009年06月01日

好きな音楽を聴くと血管が拡張する作用がある。

「好きな音楽」に血管拡張の作用 米研究者が報告

 好きな音楽を聴いて楽しい気分になっている時、私たちの体内ではどんな変化が起きているのか。米メリーランド大医療センターで循環器医学を研究するマイク・ミラー博士によれば、血管が拡張し、血液の流れがよくなる効果が確認された

 ミラー博士らは、高機能の画像機器を使い、音楽を聴いている人の血管の変化を調べた。同博士によれば、本人の好きな曲がかかると「血管の内壁が弛緩して血液が通りやすくなり、心臓を保護する作用のある化学物質も分泌される」ことが分かった。

 ただ、それほど好きでない曲になるとこの効果はみられず、血管は収縮し始めた。また、たとえ好きな曲でも何度も繰り返して聞くうちに、効果が薄れる傾向も明らかになったという。

 血管は慢性的なストレスなどで硬くなり、その結果高血圧や心臓発作、脳卒中のリスクが高まることが知られている。ストレスには免疫力を低下させたり、老化を速めたりする影響もあるとされる。

 それでは逆に、楽しい気分で過ごすことで血管などを健康に保つ方法もあるのではないか。ミラー博士はそう考え、まず「笑い」の効果を研究した。その結果、コメディー映画を見て笑うことにより血管が拡張することが分かった。博士らはこれに続くテーマとして、音楽を選んだという。

 音楽でストレスや痛みを和らげる「音楽療法」は、すでに多くの病院で取り入れられている。米スタンフォード大の最近の研究では、うつ病と診断された高齢者らが音楽療法士の訪問で自信を取り戻し、症状が改善した例が報告された

 ミラー博士は「音楽のリラックス効果で老化を遅らせることもできるはず」と、今後の研究に意欲を示している。



 へえー。リラックス状態に陥ることで末梢の血管までも。

 日々つらいことばかりではなく、適度に仕事、適度に休息、が一番ですね。積み重なったストレスはいずれ高血圧という形で襲い掛かってくるかもしれませんし。

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2009年04月12日

乳児の拡張型心筋症にペースメーカーを用いた新療法を行う。

乳児の拡張型心筋症に効果 ペースメーカー使う新療法

 長野県立こども病院(同県安曇野市)は3日、心臓移植でしか救命できないケースもある乳幼児の拡張型心筋症の患者に、成人患者に行われているペースメーカー治療を5例実施し、うち4例で退院できるまで回復する治療効果があったと発表した

 同病院は「日本では認められていない小児の心臓移植を回避できる可能性もある」としている。

 同病院が行ったのは、心臓再同期療法と呼ばれる方法で、ペースメーカー(縦約3・5センチ、横約4センチ、厚さ約1センチ)を手術で体内に埋め込む。心臓の右心房、右心室、左心室に電気刺激を与えることで、心不全の改善を目指した

 同病院は2004年9月から今年3月、入院時生後2カ月から13カ月の患者5人に実施。うち男児1人が小学校(2年生)に通えるまでに回復するなど4人が退院した。1人は感染症などで死亡した。

 同病院循環器科の安河内聡部長は「拡張型心筋症は重症な心不全を起こす病気で、薬で改善しないことが多い。こうした治療法もあることを知ってほしい」と話した。



 いわゆる対症療法ですかね。拡張型心筋症という病気はチームバチスタの栄光や医龍などで一躍有名になりました。

 その治療法は心臓移植などですが、日本では乳児に心臓移植することが出来ないので、代替的にこういった治療法の確立がなされたわけです。しかしそれでも小学校に通えるほどに回復するとはかなり劇的な改善ではないでしょうか。

 こういう治療法とともに、心臓移植も認められるといいんですけどね。。。幸運なことに健常に生まれ育った人たちが政治家として今の社会を動かす立場にいて、もしかすると大人になるまで生きていられないかもしれない重篤な病気を抱えた子供を助けられないというか、助ける技術があるのに認めようとしないという部分に、やるせなさを感じます。

 最近強く思うんですけれど、例えば飛行機に乗っていて、1人だけ助けることができるとしたら、そりゃもう小さい子供を助けるべきだと思うんですよね。生きている以上、次の世代を救っていくのは当然だ、と。国を良い方向へ導く可能性のある子供を救わずにいて、どうして医療先進国と謳っていられるのでしょうか。

 この画期的治療の選択肢とともに、心臓移植という選択肢を選ぶことができれば、より多くの子供たちが助けられます。正しい判断を、社会の人々にしてもらいたいと願ってやみません。

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心筋細胞も再生することを確認する。

心臓細胞の自己再生を確認

2009年4月、1950年代の地上核実験に伴う放射性物質を分析することにより、成人のヒトの心筋細胞が再生されることを突き止めたとする研究論文が発表された。

 体内の放射性物質を手掛かりに、心臓の細胞が自己再生する事実を確認したとする研究論文が発表された。一般に、心臓は損傷を受けると回復が困難とされるが、この研究によって、心臓治療に新たな道が開かれるかもしれないと期待されている。

 成人のヒトの場合、心臓についても細胞が定期的に分裂・再生して入れ替わっているのかについては、長い間はっきりしたことはわからなかった。だが今回の研究により、全身に血液を送り出す際に心臓を伸縮させる心筋の細胞が、実際に自己再生していることが確認された。また心筋細胞の再生率は、25歳では年に1パーセント、75歳ではかなり低く、年に0.45パーセント前後であることもわかった。

 共同研究者の1人で、スウェーデンのカロリンスカ研究所で細胞生物学を研究しているヨナス・フリーセン氏によると、「心筋細胞が自己再生するという事実を証明できなかった背景には、この再生率の低さがある」と話す。「寿命の短い細胞であれば、頻繁に自己再生されるため、その研究も容易だが、再生率の低い細胞を研究する場合には従来の手法は役に立たない」。

 そこで今回の研究では、画期的な手法が用いられた。1950年代に地上核実験が行われていたことに着目した研究チームは、核実験より前に生まれたヒトを対象に、その体内に含まれる放射性物質を詳しく調査し、被ばくした心筋細胞が被験者の誕生後に生まれたものであることを突き止めた

 アメリカ心臓協会の会員で、メリーランド州ボルチモアにあるジョンズホプキンス大学のゴードン・トマセリ氏は次のように話す。「これまでにも心筋細胞が自己再生するという証拠はいくつか発見されていたが、それについてはあまり議論がなされなかった」。その上で同氏は、「今回得られたデータは、心筋細胞の再生が心臓内部で行われることを示唆するものだ」と指摘する。

 1950年代、地上で核実験が行われていた影響により、大気中に含まれる放射性炭素(炭素14)の量は飛躍的に増加した。そのため、当時既に生存していた人々の組織からは微量の炭素14が検出される。この事実を利用すれば、DNAに含まれる炭素14の量から、その細胞が生まれた時期を特定することができる。

 フリーセン氏らは、カロリンスカ研究所で死亡した患者14人の心筋細胞と、イギリスのヒト組織バンクに保管されていた心筋細胞から、それぞれ細胞核に含まれるDNAを抽出した。研究の詳細は3日、「Science」誌で発表される。

 ヒト組織バンクに保管されていた心筋細胞はすべて、1950年代の地上核実験が始まる最長22年前に生まれたヒトのものである。分析の結果、一部の心筋細胞で炭素14の濃度が高い値を示した。これはその心筋細胞が、提供者の誕生後に発生したことを示唆している。

 フリーセン氏によれば、心臓以外の臓器でも細胞は再生されているが、そのほとんどは心筋細胞よりも活発に行われるという。例えばヒトの白血球は、1年間ですべて生まれ変わる。

 今回の研究結果は、ヒトの心筋細胞の成長を促進する新薬や治療方法の開発に光明を見いだせるかもしれないとフリーセン氏は指摘する。ヒトの心臓は損傷を受けると回復が難しいが、その原因は心筋細胞の再生に時間が掛かることにある。

 現在、心臓の再生治療は、心臓以外の臓器や骨髄から取り出した細胞を心臓に移植するのが一般的だ。幹細胞(あらゆる組織に分化できる万能細胞)を使った治療方法もあるが、幹細胞は抽出するだけでも手間と費用が掛かる上、さまざまな副作用を招く恐れもある。

 トマセリ氏は、「今回の発見がきっかけとなって心筋細胞の自己再生を速める治療方法が開発されれば、これまで移植に頼ってきた心臓の再生治療は一変するだろう」と話す。研究チームは既に、心筋細胞の再生速度の低下が心疾患の発症に関係しているかどうかを解明する新しいプロジェクトに取り掛かっている。



 研究の対象となる着眼点が素晴らしすぎる。

 20代でも年に1%しか再生しない心筋。年をとると更に再生率は減る。しかし再生しているのは事実ですから、どういうメカニズムで再生するのか、といった点を研究し、賦活化することができれば、新たに内服治療として心筋を再生し、心臓をサポートすることが出来るようになるかもしれません。

 心臓移植は数も少ないですし、心臓をサポートするにも限界がありますし、根本的な解決はなかなか容易ではありません。少しでも再生率を上げることができれば、薬だけで助けられる人たち、日常活動を向上させることが出来る人たちは大勢いると予想されます。
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2009年04月01日

暑がり遺伝子を発見。人間にも同様のものがあることを確認。

「暑がり遺伝子」を発見 ハエで実験、京大チーム

 温度が高い所を避けて低い所で活動するのを好むようになる「暑がり遺伝子」を、京都大の梅田真郷教授のチームがショウジョウバエの実験で特定し、27日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 エネルギー代謝が活発になり、低温に向いた体の仕組みになるらしい。なかには零下2度の極寒で生存できるハエもいた。梅田教授は「人にも同じ遺伝子があり、人体での働きを解明する糸口になるかもしれない」と話している。

 チームは、遺伝子操作したハエの幼虫で好みの温度を研究。その結果、人では筋ジストロフィーに関係するDmDGという遺伝子の活性が下がると、通常より温度が5度程低い場所に好んで移動することを突き止めた

 遺伝子は代謝機能に関係している可能性があるが、人の病気との関係は不明。梅田教授は「生物がさまざまな温度環境に適応するための仕組みにかかわっているのでは」とみている。



 ああ…

 暑がりな人っていますよね

 ってまあ私がそうなんですけれども。

 結局この冬は3枚以上着たことがなかったですね。今日も半袖Tシャツに薄手のパーカーのようなものを羽織っただけでしたけれど、電車に乗ると汗ダクダクでした。

 病棟って患者さんのためにかなり温度高く設定されているんですが、そんな中白衣を着ようものならもう暑くて暑くてたまらんという感じです。

 是非暑がりの人のためにもこの研究は推進してほしいですね。暑がりを治す薬なんてものも将来できるんでしょうか。社会で生活するうえで暑がりの人は何かと不利なこともあるので是非(例えば夏のスーツとか)

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2009年03月29日

心臓の動きに同調して手術サポートするロボットを開発する

心臓手術を支援するロボットの開発に成功

 狭心症などの心臓手術を支援するロボットの開発に、早稲田大と岐阜大が成功した。心臓の動きに同調して動き、遠隔操作で血管を正確に縫い合わせることができるという

 狭まった冠動脈のバイパス手術をする時、治療個所が動かないように押さえつけることが多いが、患者に負担がかかる難点があった。支援ロボは、手術針を持つアームが心臓の拍動と同じリズムで動くので、治療個所を固定する必要がなくなる

 ブタの心臓で実験済みで、藤江正克・早大教授は「精度を高めて実用化を目指したい」と話している。



 進歩し続けるものですねぇ。昔の手術に比べて、ヒューマンエラーが起こらないような工夫が施され、術者の腕をサポートするようになってきました。

 未来的には、術者の生理的な震えとかもサポートするような、補助アームみたいなものも出来るのでしょう。より細かいオペが可能となれば、精度の高いオペも安全に確実に行うことが出来るように。すぐそこの未来かもしれません。

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東京女子医科大学の心臓手術事件、2審も医師無罪となる。

手術死、2審も医師無罪…東京女子医大事件

 東京女子医大病院(東京都新宿区)で2001年、心臓手術中に人工心肺装置の操作を誤り、平柳明香さん(当時12歳)を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた同病院元循環器小児外科助手・佐藤一樹被告(45)の控訴審判決が27日、東京高裁であった。

 中山隆夫裁判長は、1審・東京地裁判決と同様に無罪を言い渡したが、死亡の原因については、佐藤被告とは別の執刀医のミスを示唆するなど、1審とは異なる判断を示した。検察、地裁、高裁がばらばらの原因を指摘したことになり、医療事故を刑事司法の世界で裁くことの難しさを改めて印象づける結果となった。

 佐藤被告は01年3月、明香さんの手術の際、同装置の吸引ポンプを高回転にした過失により回路のフィルターを水滴で詰まらせ、血液がうまく抜き取れない「脱血不良」状態を招き、脳障害で明香さんを死亡させたとして、起訴された。

 05年11月の1審判決は、フィルターの目詰まりという装置の不具合が原因で脱血不良となったとした上で、目詰まりについて「当時の医療水準では危険性を予測できなかった」として無罪を言い渡したため、検察側が控訴していた。

 この日の判決は、「佐藤被告とは別の執刀医が血管に挿入した管の位置が悪かったことで、脱血不良が続き、致命的な脳障害を招いた」と1審とは異なる原因を認定。「人工心肺装置の問題が原因になったとは言えない」と佐藤被告の責任を否定した。

 判決は、1審判決の認定通りフィルターの目詰まりが原因だった場合に、佐藤被告の責任が問えるかについても検討。当時、目詰まりの危険性について指摘した論文がないことから、「被告に予見可能性があったとは言えない」と述べた。

 この事故では、カルテを改ざんした同病院元循環器小児外科講師(53)が証拠隠滅罪に問われ、04年3月に懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受け、確定している

 渡辺恵一・東京高検次席検事の話「検察側の主張が認められず、遺憾である。判決内容を精査して、今後の対応を決めたい」

 判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した佐藤一樹被告は、無罪の結論にも笑顔はなく、「私の主張をすべて認めていただいた。裁判所としては、どういう原因で亡くなったのかを、必ず知らせなければならないと考えたのだと思う」と、静かに話した。

 この日の法廷で、中山隆夫裁判長は、「手術チームによる過誤で明香さんが亡くなったことは事実で、正面から受け止めてほしい」と述べた。この点について、佐藤被告は「自分も子どものころ(明香さんと)同じ病気だったので、ご家族の気持ちはよく分かる。私もチーム医療の一員であったということを重く受け止め、今後は学会などで、再発防止に向けた発言をしていきたい」と話した。

 一方、明香さんの両親も会見し、父の平柳利明さん(58)は「今日まで非常に長かった。1審と2審で結果が違い、改めて医療過誤を刑事で立件するのは難しいと思いました」と沈んだ声で話した。ただ、中山裁判長の言葉については、「私たちが本当に言いたかったこと。あの言葉で十分だったとも思う」と話した。



 こういった事件が起こったことは、患者側にとっても、医療者側にとっても不幸でした。もっともいけなかったことは「カルテを改ざんした」ことですけれど、そちらは既に罪として確定していますので。

 医療過誤があったことを認め、そして二度とこのようなことが起こらぬように、マニュアル作りを徹底するとか、ダブルチェック、トリプルチェックを行うようにするとか、そういう工夫と意識の持ちようが、大事だと思います。

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2009年03月24日

塩は人の気分を高揚させ、麻薬のような熱望を引き起こす。

研究者たちが、健康に害を及ぼすにもかかわらず、何故我々がしょっぱい食べ物を好むのかを解明した。

 研究者らによると、塩は、人々の気分を高揚させ、麻薬中毒に匹敵するような熱望を引き起こすとのことだ。これは、我々が何故チップスやゆで卵に塩を加えざるを得ないと感じるのかを説明していると言えるだろう。

 アイオワ大の研究者らによる研究で、塩なしで過ごさせると人々の気分が落ち込むことが分かった

 ヒトは、体内に液体が循環するのを助けるために塩を必要とするが、塩分の取りすぎは高血圧、心臓病など様々な問題の原因となってしまう。政府の調べによると、イギリス人の一日平均の塩消費量は8.6gで、1990年代の9.5gから低下している。しかし、大人は6g以下、子供は2g以下に留めることが推奨されている。

 この実験をラットで行ったキム・ジョンソン教授は、ラットが塩を減らされた時、甘いドリンクを飲むことなどの、いつもなら楽しんでいることに対する楽しみを失ってしまうことを発見した。

 同教授は言う。「ラットにとっていつもなら楽しいことが同程度の楽しさを引き出さなかったことは、我々に、塩の欠乏や塩への渇望が鬱に関連した主要な兆候の一つを引き起こしうるのではないかと信じさせるのです。」

 journal Physiology & Behavior誌に掲載された論文では、ラットの脳内で、薬物を我慢している時と、塩が欠乏している時で似たような脳活動が記録されることを発見している。

 「これは、塩の必要性と渇望が、薬物中毒や濫用に関連した脳内の回路と繋がっているかも知れない、ということを示唆しています」と、同教授は付け加えた。



 へぇー。何でなんでしょうね。不思議です。身体にとって塩分が必要だからこそ、脳はそれを十分に欲するような信号を与えているのでしょうか。

 高血圧の治療のまず第一として塩分制限がありますが、これが本当にツライらしいです。塩分を使わない食事というものがいかにおいしくないかを考えると想像に難くないですが。

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