[循環]の記事一覧

2011年11月07日

スダチの皮が体重減少に効果があると、ご当地徳島大学が発表

スダチの皮に減量効果 徳島大、活用に期待

 徳島県名産として知られるスダチの皮が、メタボリック症候群の患者の体重減少に効果があるとの研究結果を、徳島大の赤池雅史教授(循環器内科)のグループがまとめた。

 スダチ生産農家の大仲保さんは「果汁を搾ればいや応なく皮が残る。有効活用して、みんなに喜んでもらえたらうれしい」と期待している。

 グループは、メタボリック症候群などと判定された男女計39人のうち、19人にスダチの皮の粉末が入った錠剤、残りに皮の入っていない錠剤を、それぞれ毎日5錠、約3カ月間与えた。



 またスダチの皮か

医学処:徳島名物スダチ、血糖値を抑制する働き。
医学処:スダチの果皮に長寿物質のレスベラトロール作用がある。

「先生、徳島ということでスダチの皮、何とかなりませんかね」

「えぇー、皮?皮ですか?」

「スダチの果汁は、使うじゃないですか。青魚と抜群の相性じゃないですか」

「まぁ」

「ですので私たちも、心配してないんですわ。スダチの売れゆきには」

「ならいいじゃん」

「でもほら、健康に良いっていったほうが、もっと売れるじゃないですか」

「え、でも、料理に皮は使わないんじゃ」

「そうですよ」

「えっ」

「えっ」

「どういうことですかね」

「いやだから、先生に、スダチの皮が健康に良いって証明してもらったら」

「え、でも、スダチ買った人は、スダチ搾るだけで、皮は食べませんよね」

「そうですよ」

「えっ」

「えっ」

 みたいな会話繰り広げてるんでしょうかね。でもスダチの皮は年間2000トン近く出る産業廃棄物みたいなんで、そこから成分抽出してサプリにすれば結構売れるんじゃないですかね。効果は分かりませんが、教授はきっと何とかしてくれる。
posted by さじ at 01:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

2011年10月31日

佐賀大学病院が心臓の裏にガーゼを置き忘れるミス。

佐賀大病院が医療ミス 体内にガーゼ置き忘れ

 佐賀大医学部付属病院(宮崎耕治院長、佐賀市)は7日、6年前の心臓手術で当時50代(現在60代)の男性患者の体内にガーゼを置き忘れるミスがあったと発表した。患者が今年9月に体調不良を訴えて発覚。再手術による摘出は当面見送り、投薬治療を行っている。男性は入院中だが快方に向かっており、近く退院予定という。

 同病院によると、男性は2005年4月、心臓の大動脈付け根に人工血管を移植する手術を受けた。その際、医師が心臓裏側に置いた止血用の綿製ガーゼ1枚(20センチ四方)を除去しないまま縫合したという

 今年9月、男性が発熱や全身の倦怠感を訴え、胸部のコンピューター断層撮影(CT)で検査した結果、ガーゼと直径約7センチの腫瘤が確認された。男性と話し合って抗生剤投与で対処。医療費は全額、病院が負担する。

 同病院では手術の後、看護師がガーゼの枚数をチェックし、胸部エックス線検査を行ったがミスを発見できなかったという。宮崎院長は記者会見で「患者に多大な苦痛を与えたことをおわび申し上げます」と陳謝し、「退院後も男性の経過を観察し、適切な対処をしていく」と説明。再発防止策として、ガーゼの枚数測定器の導入などを検討するとしている。



 はるか昔のガーゼ置き忘れなら分からなくもないですけど、2005年の手術でもこういうことが起こるんですね。

 看護師がちゃんとチェックして、その後にレントゲンとっても分からないというのは不思議すぎますけど、気を引き締めていかなければなりませんねぇ。
posted by さじ at 01:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

2011年10月12日

神経幹細胞の移植で血糖値を大幅に下げる事に成功

神経幹細胞 移植で血糖値減少

 鼻の奥の粘膜にある「神経幹細胞」と呼ばれる細胞をすい臓に移植し、血糖値を大幅に下げる技術を茨城県つくば市の研究機関などが開発しました。この技術が、今後、人間に応用されれば、糖尿病の新たな治療法につながるものと期待されます。

 糖尿病の新たな治療技術を巡っては、血糖値を下げるインスリンを生成することができる「幹細胞」の研究が世界各地で進められています。つくば市にある産業技術総合研究所の桑原知子研究員のチームは、アメリカの研究チームと共同で鼻の奥の粘膜にある「神経幹細胞」に着目して研究を進めてきました。

 研究では、糖尿病を患っているラットから神経幹細胞を取り出して培養し、インスリンを作る能力を活性化させ、すい臓に移植しました。その結果、神経幹細胞を移植しなかった糖尿病のラットは8週間後に死亡しましたが、移植を行ったラットの血糖値は8週間で半分になり、15週間後には健康なラットとほぼ同じレベルまで血糖値が下がったということです。神経幹細胞は人間も鼻の奥の粘膜から採取することができるということで、この技術が人間に応用できれば糖尿病の患者が自分の体の神経幹細胞を使って血糖値を抑えることが可能になります。産業技術総合研究所の桑原研究員は「今後は豚など、人間に近い動物を使って研究を進め、糖尿病の新たな治療法につなげていきたい」と話しています。



 糖尿病もいずれ完治する病気になるんでしょうかねぇ。理論的にインスリンさえ持続的に間欠的に分泌されていれば何とかなりそうですけど。それを生体内でうまいことやるのが難しいんですけどねぇ。ホント臓器って奥深い。
posted by さじ at 18:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

2011年09月18日

高血圧のリスクを高める28種類の遺伝子を愛媛大が特定する

高血圧リスクの28種の遺伝子特定 愛媛大など

 愛媛大学プロテオ医学研究センターの田原康玄講師(遺伝学)らの研究グループは、高血圧のリスクを高める28種類の遺伝子を特定したと発表した。新薬の開発のほか、遺伝子の違いに合わせた予防や治療法の開発につながるという。英科学誌ネイチャー(電子版)に掲載された。

 欧米など海外の研究機関と共同で、国内外の約26万人を対象とした遺伝子解析を実施。患者とそうでない人との違いを調べた。

 日本人を含む東アジア人では、28種類のうち9種類の遺伝子が関係していた。このうち4種が高リスク型だった場合、そうでない人に比べて、高血圧にかかるリスクが最大で2倍ほどあるという。



 大規模な研究ですねぇ。

 高血圧は、コントロールが大事です。予防が一番。なぜなら高血圧をほっておくと血管にダメージがあるからです。

 遺伝子による差だとすると、遺伝子さえ特定できれば、より予防することが出来るでしょう。降圧薬の服薬コンプライアンスも上がるかも。
posted by さじ at 04:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

2011年08月12日

熱中症で重症化する人は遺伝子によるものかもしれない

あなたの熱中症は遺伝かも…重症化遺伝子あった

 熱中症で高熱や意識障害に陥った患者の約半数が、特定の遺伝子の型を持っていることを、東京医科大と徳島大の研究チームが突き止めた。

 熱中症の重症化にかかわる体質がわかったのは初めて。予防や治療につながると期待される。

 この遺伝子は、エネルギー産生に関係する酵素を作る「CPT2」。研究チームは、遺伝子の塩基配列が1か所だけ違う型に着目した。この型を持つ人は40度以上の高熱が続くと、酵素が不安定になってエネルギーを作れなくなり、インフルエンザ脳症になりやすいことを徳島大の木戸博教授らが明らかにしている

 東京医大病院に40度の高熱、意識障害または熱けいれんの重篤な熱中症で運ばれた11人を調べた結果、死者1人を含む5人(45・5%)がこの型だった。

 重いインフルエンザ脳症(46%)とほぼ同じ割合で、日本人全体の保有率(14〜21%)に比べて高かった。



 暑さに弱い酵素を作り出してしまう、ということでしょうかね。

 体温が40度になる前に、冷房をいれる、水分をとるなどの工夫をして乗り切りたいものです。
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2011年08月05日

動脈硬化の新メカニズム「小胞体ストレス」を東北大学が解明

動脈硬化の新たな仕組み解明=予防・治療法開発に期待―東北大

 心筋梗塞や脳卒中の原因となる動脈硬化が起きる新たな仕組みを解明したと、東北大大学院医学系研究科の片桐秀樹教授らが1日付の米医学誌サーキュレーション電子版に発表した。この仕組みには、細胞内で生み出されたたんぱく質をひも状から立体的な構造に折り畳む小器官「小胞体」の異常が関与しており、心筋梗塞などの新たな予防・治療法の開発につながる可能性があるという。

 小胞体に正しく折り畳めないたんぱく質がたまる「小胞体ストレス」と呼ばれる状態が悪化すると、「CHOP」というたんぱく質が働いて細胞自体が死んだり、血管に炎症を起こしたりする。

 片桐教授らは、動脈が硬化した部分でCHOPが増えていたため、CHOPを作れない高コレステロール血症のマウスを遺伝子操作で生み出した。その結果、血管の炎症が抑えられ、コレステロールが高くても動脈硬化になりにくくなることが判明。CHOPの合成を妨げる方法が見つかれば、新予防・治療法になると考えられる。 



 動脈硬化予防薬としてCHOP抑制薬なんてのも将来できるのかもしれませんね。
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食物繊維を多く取ると脳卒中予防になる。

食物繊維、脳卒中予防に=喫煙で効果相殺も―8万7000人調査・がんセンターなど

 国立がん研究センターと国立循環器病研究センターなどは4日、40〜70代の男女約8万7000人を調査した結果、女性では食物繊維を多く取る人ほど脳卒中など循環器病の発症リスクが減る一方、男性では効果がなかったと発表した。男性は喫煙率が高く、予防効果が相殺されたとみられる。

 研究チームは1995年から2004年まで、全国9地域の45〜74歳の男女約8万7000人を追跡調査。約10年の調査期間中、2553人が脳卒中を、684人が虚血性心疾患を発症した。チームは食物繊維の摂取と発症の関係に着目し、アンケートを基に、摂取量によって男女を各5組に分類した。

 摂取量が最も少ない第1組の発症リスクを1.0とすると、女性では第2組はリスクがやや減少、第3組から最多摂取の第5組までは0.79、0.70、0.65と低下傾向が見られた。男性の場合、3組は1組より低いが、4、5組は3組より高いなど、相関関係が確認できなかった。

 一方、男女を喫煙の有無に分けて分析したところ、非喫煙者では男女とも食物繊維の摂取量が多い組で発症割合が減少。特に男性では、食物繊維を多く取るグループの発症リスクが0.6前後に減った。喫煙者では男女とも、こうした傾向は見られなかった。



 要はやさい食べましょうと。

 食物繊維が脳卒中に関与しているんですかねぇ。それとも生活習慣が良いから脳卒中になりにくい?
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2011年08月03日

血圧調整たんぱく質を京大が発見。高血圧の発症率に関与。

血圧調節たんぱく質発見…高血圧発症率を左右

 血管細胞で血圧の調節にかかわっているたんぱく質を、京都大薬学研究科の竹島浩教授や山崎大樹・特定助教らのグループがマウスを使った実験で突き止めた。

 このたんぱく質を作る遺伝子タイプのわずかな違いで、高血圧の発症率が上がることもわかった。米医学誌セル・メタボリズム電子版に2日、発表する。

 グループは、血管内の細胞で情報伝達役を務めるたんぱく質群に着目。これらのたんぱく質のうち、「TRIC―A」を作れなくしたマウスは血管収縮の調節がうまくいかず、高血圧状態になった。

 TRIC―Aの遺伝子について、30〜59歳の高血圧患者と45歳以上の健康な人をそれぞれ約1100人ずつ調べたところ、高血圧患者の7%と健常者の4%に、遺伝子の特定部位にわずかな変異がみられた。この変異がある人は、ない人と比べて、高血圧の発症率が18%も高かった。



 人間の体の解剖が解明されて

 今はその細かい構成成分である「たんぱく質」までかなり多くのことが分かってきました。

 将来は人間の体のたんぱく質を特定して、病気のなりやすさを測定したりできるんでしょうねぇ。
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2011年07月14日

7月に入って既に4500人の熱中症患者が病院に運ばれている。

7月4日からの7日間で4,520人を熱中症で病院搬送 前年同期比で約5倍

 7月4日から10日までの7日間に、全国で4,520人が熱中症で病院に搬送された。

 2011年は梅雨明けが記録的に早く、すでに真夏の暑さの中で、節電という影響もあり、2010年の同じ時期に比べて、およそ5倍の多さとなっている。また、東京都心では、12日夜も熱帯夜の予報だが、電力に余裕のある夜間にも冷房を使わず、熱中症になる高齢者なども増えているという。

 専門家は、無理は禁物と呼びかけている。

 猛烈な暑さが続き、全国21カ所で猛暑日となった日本列島。東京・新宿区にある戸山団地は、2,300戸のうち、65歳以上の高齢者世帯が半数を占めるという。午後8時すぎ、気温はまだ30度と蒸し暑い。団地では、多くの部屋ですだれがかけられていて、窓をよく見ると、開いてる部屋が多く見られた。

 さらに、ある部屋では、節電のためか、部屋の電気を暗くして、テレビだけがつけられていた。節電ムードが高まる中、エアコンをつけずに窓を開けて暑さを我慢する高齢者たち。団地に住む76歳の男性の部屋では、節電対策としてエアコンは使わず、窓を開け、扇風機を回すだけだった。

 76歳の男性は「大体10時ごろまでは開けて。だから、風通しはいいですから」と話した。手元の温度計では、部屋の温度が31度となっていた。76歳の男性は「そんなに温度高いと思わなかった」と話した。

 部屋の温度は、外の気温よりも高い31度。男性は熱帯夜にもかかわらず、寝るときにもエアコンはつけないという。76歳の男性は「(暑さで体調崩されたこととかないですか?)今まで。ないねぇ。きょう午前中、庭の花壇の草取り1時間ぐらいやったけど、別に」と話した。

 節電のためと、エアコンの使用を我慢してしまう人が増えると、懸念されるのが、いわゆる「節電熱中症」の増加。2日、総務省消防庁が発表したデータによると、熱中症による救急搬送は、2010年より大幅に増加している。6月の搬送人数は、およそ3倍となっている。先週の搬送は2010年の同じ時期のおよそ5倍となる4,520人となり、そのうち8人が死亡したという。

 熱中症にくわしい、昭和大学病院・救命救急センターの三宅康史准教授は「電力需給がやっぱりひっ迫した状態が続いてですね、運悪く暑い夏が長くなれば、あの暑かった去年以上の患者数に達する危険性はあります」と話した。電力不足で2010年とは熱中症をめぐる環境が違うと指摘する三宅准教授。特に高齢者は節電のための過度の我慢は禁物と指摘している。

 昭和大学病院・救命救急センターの三宅准教授は「夜はですね、電力需給がひっ迫してませんので、エアコンを十分効かせて、涼しい環境にして、ぐっすり眠る、十分休む。そういうことで体力を温存できて、猛暑日の熱中症予防を心がけるということができると」と話した。電気の使用量は夜になると下降し、比較的余裕ができる。熱中症を防ぐためには、夜は我慢せずにエアコンなどを使用した方がよいという。



 いやぁ、とにかく暑い。例年になく暑いのに、節電ということで冷房をつけることをためらうようになってしまい、熱中症も増加中です。

 特に高齢者の人は、汗をかきにくいということもあり、また、喉の乾きを感じにくいということもあり、熱中症になりやすいのでしょう。

 ある程度の温度でいいので、しっかり涼しい環境を作るようにして下さい。

 そして定期的に飲み物を飲むようにしてください。

 毎日3回ご飯を食べるように、毎日5回前後、「水分補給する時間」をもうけてください。
posted by さじ at 19:57 | Comment(7) | TrackBack(0) | 循環

2011年05月11日

国内で補助人工心臓が臨床使用可能に。60歳以上にも適用できるか。

60歳以上にも補助人工心臓を 心臓移植の対象外で、現状は適用にハードル

 「いよいよ国内でも補助人工心臓が臨床で使用可能になる。重要な問題は、60歳以上の患者にも使えるかどうか。最低限65歳までの心不全患者には積極的に適用できるようにしていくべきだ」。東京大学重症心不全治療開発講座特任教授の許俊鋭氏はこう話す。

 今年、人工心臓の領域に、大きな変化が起きる。国産の埋め込み型補助人工心臓が相次いで保険適用され、臨床現場に登場する見込みだからだ。体内にポンプを埋め込み、ポンプの力で大動脈へと血液を持続的に駆出する。従来の体外式の補助人工心臓を付ける場合とは異なり、患者は従来よりも自由な行動ができる。

 埋め込み型補助人工心臓の適用条件は、心臓移植の待機リストに載っているか、登録申請中であること。国内の埋め込み型補助人工心臓の考え方は、心臓移植までのつなぎとしての利用となっている。人工心臓で心機能を代替する延命治療としての用途では適用されない。

 この場合に問題となるのが、60歳以上の患者に埋め込み型補助人工心臓が適用できるか否か。というのは、従来、心臓移植の適用条件は、実質的に60歳未満に限定されてきたからだ。日本循環器学会心臓移植委員会は、心臓移植の適応条件として「60歳未満が望ましい」と規定。国内では2010年の実績で心臓移植が年間23人にしか行われない中で、若年層への移植を優先しようとの考えがあったからだ。この記載もあり、60歳以上の心不全の患者が、日本臓器移植ネットワークの移植待機リストに登録されるのは難しかった。

 埋め込み型補助人工心臓の適応条件で従来の補助人工心臓と大きく異なるのは、待機リストの登録者だけではなく、申請者も対象となったことだ。60歳以上の患者が申請さえしていれば、適応される道が開かれたのは大きな変化となる。

 許氏は、「補助人工心臓は大量生産が可能で、心臓移植のような量的制限は問題になりにくい。これからは心臓移植を受けるチャンスがなかった60歳以上の患者にこそ、補助人工心臓を適用する方向に持っていくべき。最低限、現役世代と言える65歳までは適応になる」と話す。6学会、2研究会で構成する日本臨床補助人工心臓研究会は2010年11月、埋め込み型補助人工心臓の実施基準案の患者の選択基準として「65歳以下が望ましい(身体能力によっては65歳以上も考慮する)」と掲げた。

 医療費について許氏は、「問題ないのではないか。米国の人工心臓に関わる医療費は600億円から800億円と見られる。日本では、5分の1から8分の1になるのではないか。金額は年間100億円ほどと推定する。現在、渡航移植や体外式補助人工心臓に使われている費用を当てれば賄える規模。今後、最大で年間300例ほどが恩恵を受けるのでは」と見る。透析医療にかかる経費は2兆円を超えるが、そうした規模に高まることはないとの考え。

 「国内では認定組織で治療が行われる。「J-MACS」という枠組みで全例登録もされる。60歳以上に対して闇雲に補助人工心臓が適用されることはない」と許氏は説明する。

 補助人工心臓を60歳以上の高年齢層に適用していくことには慎重な考えも根強いようだ。

 一つには、医療コストへのインパクトに対する懸念が行政側にあると見られている。国内には心不全の患者が100万人から200万人と推定されており、大多数が60歳超と推定される。こうした患者層に補助人工心臓が延命治療として実施されたとすれば、透析医療に並ぶ規模の医療費がかかるかもしれないという見方がある。

 加齢に伴って、日常生活が強く制限される重症心不全に至るケースはある。無症状であったり、薬物療法で改善が見られたりすればよいが、症状が悪化していけば心臓移植の適応条件の範疇にも入る。

 埋め込み型補助人工心臓の登場は、心臓移植を受ける機会がなかった60歳以上の心不全患者にとっては福音だ。

 従来、60歳以上で心不全が進行した場合、心臓移植への道は選べない。国内で2010年、心臓移植が年間23人にしか行われていない。日本循環器学会心臓移植委員会の適応条件では、「60歳未満が望ましい」と記載、60歳以上の心不全患者は日本臓器移植ネットワークの待機リストに登録することが難しい。移植心臓は若年層に優先的に回ることになる。

 治療の選択肢がなかった60歳以上の心不全患者が、埋め込み型補助人工心臓の適用を受けたいと希望してきて不思議はない。移植希望の待機リストに申請をすれば、適応の可能性はある。

 もっとも、埋め込み型補助人工心臓の適応条件は、心臓移植までの待機期間をつなぐ目的のみに限るとされる。その前提に立てば、国内の移植心臓のドナーが急増しない状況で、60歳以上の心不全の患者に補助人工心臓を適用するのは筋が通らないとの見方はあるだろう。60歳以上の患者に対して、心臓移植が行われる見込みがないからだ。



 なるほど・・・いいことばかりじゃないですね。

 確かに現実問題として、この適応範囲を広げてしまったら、どうなってしまうのか。透析クラスの医療費が必要になってしまう。

 いやそもそもそれ以前に高齢で心不全で、となったら、その寿命という話もありますし。希望すれば誰でも受けられる医療、とするわけにはいかなそうです。

 とはいえ移植後進国の日本にとってはこれは大変有用です。心臓移植までの待ちの間、これがあれば病院で何年も入院しなければならないということもなくなるでしょうし、患者さんのQOLも飛躍的に上がるはずです。
posted by さじ at 01:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

2011年05月10日

水と高分子が混じった中間水に人工血管内の血液凝固を防ぐ働きがある

「中間水」の新機能発見 山形大大学院・田中教授

 水が特定の高分子と混じった際に出現する「中間水」と呼ばれる特殊な水に、人工血管内の血液凝固を防ぐ働きがあることが、山形大大学院理工学研究科・田中賢教授(41)=バイオ化学工学=の研究で明らかになった。ほかにも、がん細胞や、再生医療に不可欠な幹細胞を血液中から選択的に抽出する機能があることも判明。次世代医療を支える基盤になり得る新たな知見として注目され、田中教授の研究は日本学術振興会の最先端・次世代研究開発支援プログラムに採択された。

 一般的な高分子材料に水を含ませると、運動性が高く自由に動き回る「自由水」と、他の物質と強く結合する特性の「不凍水」に分かれる。さらに材料の種類によっては、両者の中間の性質を持つ「中間水」が出現する。

 人工血管内で血液が固まる前段として、血液中の水分子が、内壁をコーティングする材料に吸着する。田中教授は、コーティング材料の違いによる血管のつまり具合の差を、材料に吸着した水の成分に着目して解析した。その結果、血栓ができにくい材料には共通して「中間水」が存在することを突き止めた。

 田中教授によると、「不凍水」が材料と強く結合すると、それが生体にとっての異物と認識され、血液が固まる反応が起きる。だが、そこに「中間水」がある場合、適度に結合するという性質で異物を覆い、凝固反応をしにくくさせるとみられる。「自由水」は材料と結合せずに動き回るので、異物を被覆する役割を果たせないという。「中間水」の存在は知られていたが、その機能を見いだした点が大きな成果だ。

 血栓対策は人工血管の最大の課題。特に医療現場では直径4ミリ以下の細い人工血管の需要が高く、各国が開発競争を繰り広げるが、細いほど血液が詰まりやすく、まだ実現できていない。田中教授の研究は、こうした状況を大きく変え、生体親和性の高い医療材料の開発を飛躍的に進展させる可能性がある。

 さらに、材料の「中間水」含有量を制御することで、血液中のがん細胞や幹細胞を選択的に吸着させられることも分かった。がん細胞を抽出できれば副作用のない治療技術の開発に役立ち、幹細胞を集めることができれば再生医療の進歩につながる。

 最先端・次世代研究開発支援プログラムには5618件の申請があり329件が採択された。本県では田中教授の研究のみ。「生体の70%は水。最大成分であり重要であるとされてきたが、どう重要かは分からなかった」と田中教授。今後「中間水」と細胞との関係性をさらに深く追究し、医療用材料の設計技術の基盤を確立させたい考えだ。田中教授は「材料開発の研究から生命の本質にかかわっていくことになった。根本を抑える研究であり、そう簡単に結果は出ないかもしれないが、ある程度の見通しはある」と話している。



 人工血管の分野が発達すれば、例えば手術の際にどこの血管を注意しようとか、どこから血管もってこようかといった悩みがなくなります。

 この技術が確立されて、数ミリの細い人工血管、しかも詰まらないものが作られれば、手術の成功率というか、「手術までもっていける」疾患が飛躍的に上昇するでしょう。この分野の研究、大いに期待できそうです。

医学処:絹の繊維と織物の技法を用いて作った人工血管の世界。
医学処:第50回国際脈管学会に学ぶ、最先端血管治療法。
医学処:絹を使った人工血管などの再生医療技術を東京農工大が研究。
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2011年05月04日

大動脈解離を見逃し死亡したとして1億円の賠償を求める

「疾患見落とし死亡」遺族が1億円賠償求め提訴

 北九州市立八幡病院(八幡東区)で2009年、男性患者(当時31歳)が死亡したのは男性内科医が大動脈解離の疾患を見落とした医療ミスが原因として、患者の妻と両親が市と内科医を相手取り、慰謝料など約1億円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁小倉支部に起こしたことがわかった。

 提訴は7日付。市などによると、患者は09年4月14日、胸の痛みや呼吸困難を訴え、同病院に搬送された。内科医は心因性の過換気症候群(過呼吸)と診断して内服薬を処方、呼吸法を指導した。

 男性は翌日も背中の痛みを訴えて来院したが、同じ内科医が心因性と診断して院内の精神科を紹介していた。男性は同19日に症状が悪化し、市内の別の病院で大動脈解離と分かったが、その日に死亡した。

 市は昨年7月、「2回目の来院時に心因性以外の疾患を疑い、コンピューター断層撮影法(CT)検査などを行っていれば、救命できた可能性がある」と誤診を認めて公表し、遺族側と示談交渉を開始した。遺族側は「男性は約35万円の月収があった。約1億円の賠償が必要」と主張、市側は「男性は別の持病があり、当時の収入を証明する書類もない。4千数百万円が妥当」としていた。



 まあ・・・確かに・・・これは・・・

 翌日も痛みを訴えてきているのに、除外診断であるはずの「心因性」としてCTの検査を行わなかったのが・・・痛いですねぇ。
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2011年05月01日

肥満の子供の手首のサイズが心血管系の発症リスクと関連している。

肥満児の手首サイズが心血管疾患を予測

 過体重または肥満の小児やティーンでは、手首のサイズによって心血管疾患の発症リスクが高いかどうかが判明することが、新しい研究によって示された。

 イタリア、ローマ大学サピエンツァSapienza校のRaffaella Buzzetti博士らは、平均年齢10歳の過体重または肥満の小児477人の手首周囲長を測定した。また、小児約50人に対して無痛の核医学画像技術を用いて手首の脂肪および骨領域をさらに正確に測定した。その後、血液検査を実施し、インスリン濃度とインスリン抵抗性度を測定した。

 研究の結果、同氏らは、手首周囲長はインスリン抵抗性の全分散(total variance)の12〜17%を説明すると結論付けた。インスリン抵抗性は、心血管疾患の既知の危険因子(リスクファクター)である。最近の研究では、血中インスリン濃度高値と骨量増加との関連が示されている。

 Buzzetti氏は「これは、手首周囲長がインスリン抵抗性のエビデンス(科学的根拠)と強く相関していることを示す初めてのエビデンスである。手首周囲長は容易に測定することができ、今回の結果が今後の研究で追認されれば、いつの日かインスリン抵抗性および心血管疾患リスクの予測に使用できる」と述べている。同氏らは、インスリン抵抗性を説明するのは手首の脂肪組織でなく骨組織であるとしている。



 面白ー。

 確かに手首ってよほどのことがないと太くなりませんよね。筋トレしても鍛えられない場所ではありますし・・・。

 そこが太くなるってことは脂肪、ということか。
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ミイラから世界最古の動脈硬化病変を発見する

古代エジプト王女に世界最古の動脈硬化

 およそ3500年前、40代で死亡したとみられている古代エジプトの王女アーモセ・メリエット・アモン。カロリーを控えて適度な運動を行っていれば、“世界最古”の動脈硬化にならず、もっと長生きしたかもしれないという。

 この王女のミイラが埋葬されていたのはナイル川西岸に位置するハトシェプスト女王葬祭殿(デル・エル・バハリ)。現在はカイロのエジプト考古学博物館に安置されている。このほど同博物館のミイラ52体をCTスキャンしたところ、彼女を含めほぼ半数で動脈血栓症(動脈硬化)が見つかった。とりわけ王女は「冠状動脈アテローム性動脈硬化」の最古の症例と目されている。動脈プラーク(血管内膜に付着した脂質)の蓄積が原因で、心臓発作などにつながる疾患だ。

 研究の共同責任者で、カリフォルニア大学アーバイン校の循環器学教授グレゴリー・トーマス氏によると、「月の子ども(Child of the Moon)」、「アメン神に愛されし者(Beloved of Amun)」とも言われるアーモセは、脳や心臓に血液を送り込む動脈を含めた主幹動脈5本にプラークがあったという。「私がいま王女を診断できたとしたら、脂肪分の摂取を控えて適度な運動を行うよう指示したうえで、心臓手術を行う。2カ所のバイパス手術が必要な状態だ」。

 CTスキャンしたミイラは埋葬前に心臓が取り除かれていたが、体のいたるところにカルシウムが蓄積していることから、動脈の問題を突きとめた。とは言え臓器が原型をとどめていない場合が多く、すべてのミイラが心臓疾患で命を落としたのかどうかは確証がないという。しかし王女が生きていた紀元前1580〜1550年の医療関係の文献には、重篤な心臓発作の予兆と考えられる腕や胸の痛みに関する記述がある

 共同研究者で、カリフォルニア大学サンディエゴ校医科大学院に所属するマイケル・ミヤモト氏は、動脈血栓症や心臓発作は一般に現代の生活習慣や食生活と関連が深いと考えられており、古代エジプトとは結びつきにくいと語る。「アテローム性動脈硬化の主な要因とされているのは、喫煙をはじめ、糖尿病率や肥満率の高さ、トランス脂肪酸(食用油の加工時に発生する脂肪酸)の多い食事などだ。古代エジプト人の生活との関連性は薄い」。

 だが、テーベ第17王朝のファラオに名を連ねる「セケネンラー・タア2世(Seqenenre Tao II)」の娘である王女は、調査対象の他のミイラと同様、高い地位にあった。通常より心臓病にかかる確率は上がると言えるだろう。「地位が高いため、欲しいものはなんでも手に入るような生活を送っていただろう。特に体を動かす必要もなく、肉類に代表される高カロリーな食事を摂っていたはずだ」。

 研究の共同責任者で、エジプトのアル・アズハル大学の循環器学教授アデル・アラム氏も、「彼女はエジプトが栄えた時代に生きていた」と付け加えている。「貧困層の人々でも豚肉をたくさん食べ、パンにハチミツを使うようになった時代だ。一般人でさえ糖質や脂質を多量に摂取していたとするなら、王女たちの食生活は相当に不健康だっただろう」。

 一方で、古代のミイラからは脂肪が喪失しているものの、生前のアーモセ王女は小柄で、特に太っていなかったとも考えられるという。実際に研究チームは、食事や生活習慣以外の要因が動脈硬化を引き起こした可能性もあるとみている。「例えば彼女の家系には、アテローム性動脈硬化をそろって発症した親子もいる。遺伝的要因の可能性は無視できないだろう」とアラム氏は話す。



 今と違って動脈硬化すらもよくわからなかった時代であれば、高貴な家庭はものすごいごちそうばかり食べていたんでしょうね。

 いや、今の日本も、当時からみればごちそうだらけなわけで・・・。気をつけないといけませんな。
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2011年04月18日

被災地の静脈血栓症、数ヶ月後にピークがくる恐れも

被災地の血栓、半年後に再度ピークも

 新潟大大学院の榛沢和彦助教(医歯学総合研究科呼吸循環外科学分野)は、4月13日に開かれたグラクソ・スミスクライン主催のプレスセミナーで、東日本大震災の被災地で避難所生活をしている人のうち血栓がある人の割合について、「三陸では初めは3割くらいいたが、今では10%くらいに落ちている」としながらも、「恐らくいろいろな医療班が手を引くのが3か月後くらいで、そこで医療の手が抜けてしまうため、少し危険がある」と述べ、5、6か月後に再度ピークが来る可能性を示した。

 足などに血栓ができていても、通常、症状が出ないことが多く、小さなものは自然に消える場合もあるが、残った場合は肺血栓塞栓症や脳梗塞のリスクにもなるという。

 榛沢氏によると血栓は、▽血液の流れが悪くなる▽脱水などにより血液が固まりやすくなる▽血管が傷つく―ことが原因となる。被災地では、避難所生活で動かずにじっとしていることや、寒さから十分な水分を取らないこと、津波の影響から足に打撲を負っていることが多いため、「非常に血栓ができやすい」という。

 また、榛沢氏は血栓の初発する場所について、ふくらはぎ内部のヒラメ筋にあるヒラメ筋静脈が多いとして、「ふくらはぎのケアが大事」と指摘。その上で、ふくらはぎを覆い、足を圧迫することで血液の流れを促進する弾性ストッキング4万足を被災地で配布していることを紹介した。

 また、避難所の状況にも言及し、「先進国で雑魚寝の避難所は日本だけ」と強調。雑魚寝状態の避難所では、床冷えやストレスといったさまざまな要因から血栓ができやすいと指摘し、欧米の避難所で利用されている簡易ベッドを取り入れるべきとした。さらに今後、学校の再開などに伴う避難所の集約化により、深部静脈血栓症のほか、感染症の問題が出てくるなどと懸念を示し、「被災地以外の場所へいったん(避難所を)移すなどの対応が、今はいいのではないか」と述べた。



 確かに避難所=雑魚寝というイメージが強くありました・・・。

 すぐにでも簡易ベッドを導入する必要があるかもしれません。

 被災地は静脈血栓が出来やすい、好条件が整いすぎています。今少しずつ血栓が大きくなったとして、それが数ヶ月後にポンと飛んでしまうだけで、命に関わる事もあります。弾性ストッキングによる予防、大事ですね。災害がいざおこったときの対策として弾性ストッキングがあるととてもいいかもしれません。近くのスーパーとかで売り出さないですかね。
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2011年04月17日

東日本大震災で、たこつぼ心筋症の多発の恐れがある。

東日本大震災 「たこつぼ型心筋症」注意を 女性被災者に多発 専門医が警鐘

 東日本大震災の被災者に「たこつぼ型心筋症」と呼ばれる心臓病の発症が懸念されている。強いストレスを受けた後に心臓の筋肉が収縮しにくくなり、正常に血液を送り出すことができなくなる病気で、平成16年の新潟県中越地震の際、中高年の女性被災者に多く発症し注目された。専門医は「今後、発症例が増えることが予想され、注意が必要」と指摘している。

 国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)心臓血管内科部門の野々木宏部門長によると、たこつぼ型心筋症の発症には大きなストレスが関与。自律神経が極度に混乱し、心臓の一部が硬直して動かなくなってしまうという。症状は心筋梗塞に似ており、「心臓の筋肉が気絶したような状態」(野々木医師)で、動きの悪くなった心臓の形がたこつぼのように見えるため、この病名がついた。

 同センターは、被災地で診療にあたる医療者から、たこつぼ型心筋症や肺血栓塞栓症(エコノミー症候群)に関する電話相談((電)090・5668・9407、090・5668・9417)を受け付けている。4月30日までの午前8時から午後5時まで、専門医が対応する。



 東日本大震災によるストレスで心臓にダメージが生じてしまうのが「たこつぼ心筋症」。心臓エコーでたこつぼのような動きをするためにそう名付けられました。

 でも被災地では心エコーなんぞろくにできないでしょうから、実際このたこつぼ心筋症でなくなっている方は大勢いることも予想されます。大事なのは今後早期発見して治療することですね。幸いにもたこつぼ心筋症は治るものですので・・・。

大地震の生存者の一部に、大脳機能の失調がみられた。
中越沖地震のストレスで「たこつぼ心筋症」を発症か。
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医療における信念を抱き続ける病院、藤沢駅徒歩3分の山内病院

「医療はモノ作りではない」という信念

 JR東海道線、小田急線、江ノ電の各線が交わる藤沢駅。その南口から徒歩3分の好立地に位置する山内病院は、病床数こそ91と小規模ながら、地域密着型の民間病院。理事長の平井寛則医師は、日本における心エコー(心臓超音波)検査の第一人者として知られる循環器内科医だ。

 長年にわたって大学病院などで臨床と研究に当たってきたが、それまでできなかった夢を実現するため、地域医療に身を投じる決意をする。

 「大学病院でつねに考えていたのは、患者が納得するまで話を聞き、説明するという診療。大学では不可能な夢ですが、ここなら不可能ではないだろうと思ったんです」

 もちろん限度はあるが、それでも自身の専門である心臓に問題のある患者には、極力時間を割く。外来でその日最後の患者ともなれば、次の患者を待たせる心配もないので30分以上にわたって話し込むこともあるという。

 小泉政権下で断行された医療制度改革で、中小民間病院はどこも経営がひっ迫している。そんな中で平井医師の病院が地域から高く評価される背景には、同医師の理念の存在が大きな役割を果たしている。

 「医療はモノ作りではない。病院はサービスを提供する場。財政的に困窮しても患者を思うと職員を減らすことはできない。医療経営者にとって、病院で働く職員はみな病院の財産なんです」

 理事長のその思いが医師やスタッフに伝播するからこそ、親切、丁寧、適切な医療が実現する。内視鏡、糖尿病、循環器など各分野のベテランがそろい、平井医師の指揮の下、全科横断的なチーム医療が展開される。

 ■ひらい・ひろのり 1937年福島県生まれ。東邦大学理学部を卒業後、同医学部に転入。70年卒業。同大第三内科入局。自衛隊中央病院、東邦大学医療センター大橋病院、国立療養所東京病院(現国立病院機構東京病院)、米インディアナ大学メディカルセンター等に勤務の後、98年東邦大学医学部第三内科教授。2005年山内病院院長。08年理事長。医学博士。趣味は「釣り」と「歩くこと」。



 かっこいいー。日本のすごいところは、こういう地方の中小民間病院であっても安定かつ最新の医療を受けられるところですね。

 今の日本のネックとしては、「医療費削減」が叫ばれているがゆえに、こういうすばらしい病院のほうが、財政的に圧迫されているという現実でしょう。患者さん想いになればなるほど、病院は赤字になる、というのが、国民皆保険制度の限界なのかなと感じたりもします。

 医療費を増やし続ければいいんですけどね、理想論としては。でも医療という分野においては、常に理想論を掲げつづけていきたい。
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2011年01月18日

腎臓の動脈硬化の認知度は1割未満

腎臓の動脈硬化、認知度は1割に満たず

 ジョンソン・エンド・ジョンソン(本社=東京都千代田区)がこのほど実施した動脈硬化に関する意識調査によると、「心臓」や「頭」以外の「足」や「首」に動脈硬化が起こることを知っている人は全体の約3割で、「腎臓」は1割未満にとどまった。また、「高血圧」や「肥満」など動脈硬化の危険因子を一つでも持っている人は6割以上だった。

 調査は昨年12月上旬、国内の40−70歳代の男女800人を対象に、インターネット上で実施。

 調査結果によると、動脈硬化が起こる部位として知っているのは(複数回答)、「心臓」86.9%、「頭」77.6%だったのに対し、それ以外では「足」32.1%、「首」29.8%、「腹部」17.1%、「腎臓」8.9%と低い水準となった。

 また、動脈硬化の危険因子の中で自分自身に当てはまるものを聞いたところ(複数回答)、「高血圧」が30.4%で最も多く、以下は「肥満」(24.1%)、「脂質異常症」(18.1%)、「喫煙習慣がある」(15.6%)の順。これらの危険因子を一つでも持っている人は64.5%(516人)となった。

 さらに、この516人に足の冷えや痺れといった閉塞性動脈硬化症(足に起こる動脈硬化)の特徴的な症状を感じたことがあるかと聞いたところ、42.2%が「ある」と回答。このうち、47.7%が「病院に行くような症状ではないと思うから」などの理由で、病院を受診しなかった。

 一方、病院に行ったと回答した人に、どの診療科を受診したかを聞いたところ(複数回答)、「整形外科」が25.2%で最も多く、次いで「内科」が22.0%となり、適切な診療科である「循環器内科」や「血管外科」を選んだ人はそれぞれ9.6%、1.8%だった。



 血管の硬化というとやはり心臓、脳血管がメジャーです。一発で命取りになる可能性があるからですかね。

 でも腎動脈の硬化も、怖いんですわ。

 まあどこの血管でも怖いんですけども、腎動脈も「大血管」の1つでして、ここが硬化して腎臓に負担でもかかろうものなら。
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2010年12月26日

低血圧の定義って何?ほっといていいの?

低血圧 生活リズム整えると症状軽く

 若い女性に目立つ低血圧。大病を招きかねない高血圧と違って軽く見られがちだが、めまいや頭痛、疲労感などの症状に悩む人にはつらいもの。症状を和らげるには生活習慣の見直しが欠かせない。

 低血圧は一般に、高い方の血圧(収縮期血圧)が100(単位はミリ水銀柱)以下の状態をいう。しかし実は明確な基準はなく、90や110が目安とされることもある。

 日本医科大名誉教授で血圧異常に詳しい長澤紘一さんによると、血圧が低めなこと自体は悪いことではないという。高血圧のように心筋梗塞や脳卒中など深刻な病気を引き起こすわけではない。

 また、低血圧は20歳代から30歳代の女性に圧倒的に多いそうだが、血圧が低くてもなんの不調も感じない人がけっこういるという。

 「血圧の数値が低いだけなら治療の必要はありません。症状を伴い、生活の質が下がってしまう場合だけが問題なのです」

 症状はさまざまだ。大阪医科大の田中英高准教授が低血圧に悩む男女419人の症状を調べたところ、めまい・立ちくらみが3割以上と最も多かった。頭痛、疲れやすい、朝起きられないという回答も目立った。耳鳴りや下痢を訴える人もいた。

 低血圧には、背景に病気があるものと、ないものがある。背景に病気がない低血圧は体質的なもので、心臓や血管の働きをコントロールする自律神経の乱れが影響すると考えられている。

 低血圧の人はもともと、朝から日中にかけて活発になる交感神経と、夜間やリラックス時に優勢になる副交感神経の切り替えがうまくいっていないのだと長澤さんは説明する。

 朝が苦手だからと夜型の生活を送っていると、自律神経のバランスをさらに崩してしまう。

 「生活リズムを整えるのが一番の治療。血圧そのものは上がらなくても、症状は軽くなります」

 夜はなるべく静かに過ごす。パソコンやテレビを控え、照明も暗めに。朝は一定の時刻に起きる。朝食で体を目覚めさせ、日中は15分間の散歩程度でもいいから体を動かす。

 東京女子医大東医療センター病院長の大塚邦明さんは、めまいや立ちくらみがしたときや起床時に、即効性のある対策として水を500cc(コップ2杯ほど)飲むことを勧める。5分後から上の血圧が10以上は上がり、約90分間持続するという。

 生活習慣を改善しても体調不良が続くようなら、循環器内科などへ。昇圧剤や自律神経調整薬、抗不安薬などが使われることもある。自覚症状が治まれば、医師の指導のもと薬はやめられる。

 低血圧には背景に病気が隠れているものもある。「最近、急に血圧が下がった」という場合は要注意。原因として心臓病や消化管からの出血などが考えられる。元の病気を早期発見し治療するためにも循環器内科などを早めに受診しよう。長澤さんらによると、低血圧のつらさを理解せず、診察に消極的な医師も少なくない。医療機関に問い合わせをしてから受診する方法もある。



 出血とかで血圧が下がったんなら、早急に治療は必要としますけれども、

 もともと日常生活を送っていて、低血圧な人というのは、症状が辛くなければ大丈夫なことが多いです。

 症状がなくても高血圧、というのは要注意なんですけれどもね。

 この記事勉強になるなぁ。なかなか、低血圧というものの対処法って、医師によっても曖昧ですからね。基本、大丈夫でしょうーって言うだけで。
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2010年12月23日

冬の間は献血する人が激減するらしい。

血液センター奮闘中 献血者激減する冬季迎え

 医療を支える献血。善意で提供される健康な血液は、手術や大量出血の際に生命維持のために用いられる輸血だけでなく、がんなどの治療でも必要になる。採血のほか、24時間態勢で血液製剤などの供給をする県赤十字血液センターの仕事を取材した。

 2009年度に献血した人は全国で延べ約530万人、県内では延べ約3万5千人。必要な血液型など日々の需要に合わせ、主に近県と量を調整はするものの、県内50以上の医療機関で使用する血液は、ほぼ県内の献血者によって支えられるという。

 県内で唯一の常設の献血施設「甲府献血ルーム」(甲府市丸の内1丁目)を中心に、移動献血車が企業や学校を回り、採血をする。移動車は短時間で採血でき、血液中のすべての成分を採取する400ミリ献血(約30分)が中心だ。400ミリ献血は輸血用血液の90%以上を担う。一方、体への負担が少なく、血小板や血漿など特定の成分だけを採取する成分献血(約1時間)は、献血ルームのみで行っている。

 同センターの新田敏規渉外係長によると、毎年冬季は献血者数が激減する。「寒さで体調を崩したり、年末年始は学校や企業が休みに入ったりと、(献血者数の約6割を担う)移動車の採血数が落ち込むため」だという。

 献血からつくる製剤を必要とするのは高齢者が多い。そのため、少子高齢化の影響も無視できない。才間俊郎業務課長は「今後も血液の需要は増える見込みだが、県内の献血者数は減少傾向にある」と懸念する。

 必要な献血を集めるためのイベント開催なども同センターの役割の一つで、年間計画をたてている。今月18日は、中央市山之神のショッピングセンターで「全国学生クリスマスキャンペーン」(県学生献血推進連絡会主催・同センター協力)を開く。1月の「はたちの献血キャンペーン」でも、若年層の献血者を増やそうと躍起だ。「若いうちに1度でも献血を経験してもらえれば、その後も献血をしてもらえる可能性が広がる」と新田さん。

 また、献血を集めるだけでなく、効率的に使用するために管理することも必要になる。たとえば、赤血球製剤の有効期間は21日、血小板製剤は4日だ。「21日というのは長いようで短い」と新田さん。一般的な手術など、事前に必要数が予想できるもののほか、夜間救急で緊急に「B型の血液を(200ミリリットル換算で)30人分」という注文が来ることもある。注文がない日もある夜間は配送の担当との2人体制だが、人命に直結するため、24時間気が抜けない。

 採血の拠点、甲府献血ルームはこれまで駐車場の不足が課題だったが、今では160台駐車可能な甲府市の複合ビル「ココリ」の駐車場も無料で利用可能になった。望月和文所長は「献血者には、(400ミリ献血や成分献血では)糖尿病の指標となる数値や肝機能、コレステロール値など15項目の検査結果を送っている。自らの健康管理にも役立つ献血にぜひ協力して欲しい」と呼びかけている。


 甲府献血ルームは12月31日と1月1日をのぞく午前10時から午後5時まで。移動車の予定は同センターのホームページに掲載されている。



 最近献血してないなぁ

 忙しくていけないというのもあるし、わざわざ献血しに外へ行くのも、という気がするし

 そういう人向けの「移動車」なんですけども

 6割も担ってるとは知らなかった。
posted by さじ at 16:02 | Comment(1) | TrackBack(0) | 循環