フランス海岸松の樹皮エキスを原料に開発した機能性食品「ピクノジェノール」に心不全の症状改善に一定の効果があることがわかった。10日から国立京都国際会館(京都市左京区)で開催される「国際心筋症・心不全学会」で、京大と独ミュンスター大が共同研究成果として発表する。循環器系内科の学会で食品の効能が取り上げられるのは極めて珍しい。
ピクノジェノールは、フランス南西部海岸地域に生息する松の樹皮から抽出したエキス。強い抗酸化作用や血糖値低下など幅広い機能性が実証されている。海外では盛んに研究され、多くの科学的論文や科学的実証データが蓄積されている。
同素材の、心不全に関する効果が発表されるのは今回が初めて。会期中、12日のセミナーで、学会理事長でもある松森昭・京都大大学院医学研究科循環器内科学助教授と、独ミュンスター大薬科学部名誉教授のピーター・ロドワルド氏が、心血管疾患に対してピクノジェノールを用いて実施した試験とその効果を公表する。
日本では今年1月に「ピクノジェノール臨床研究会」(会長・鈴木信孝氏=金沢大大学院教授)が設立され、本格的研究が始まったばかり。最近は機能性食品の医療への活用について肯定的な見方をする医療関係者が増えている。
自然の物質からも、まだ医学に応用できそうなものが発見されていますね。特に学会で発表されるほどですから、その効果に期待できますね。往々にして自然物からの医薬品は、副作用が少ないので、これも臨床に応用できるかもしれません。
ピクノジェノール
フランス南西部海岸に生息する松の樹皮から抽出したエキスで、スイス・ホーファーリサーチが独占的に製造。強力な抗酸化作用をもつプロアントシアニジンや40種類以上の有機酸などが含まれ、血糖値低下や抗アレルギーなど幅広い機能性をもつ。海外では35年以上も前から研究され、その安全性と有効性が実証されている。
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