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2008年10月03日

2008年度イグ・ノーベル賞発表。2年連続で日本人が受賞する。

「コカ・コーラの避妊効果」研究にイグ・ノーベル化学賞

 ノーベル賞の発表を控えた時期に恒例となった、イグ・ノーベル賞の第18回授賞式が2日夜、米ハーバード大学のサンダース・シアターで催され、「コカ・コーラの避妊効果」について研究し、真反対の結果を導き出した2つの研究グループに、化学賞が贈られた。片方は「避妊効果がある」との結論で、もう片方は「効果がない」としている。

 「コカ・コーラに避妊効果がある」との研究は、米ボストン大学医学部のデボラ・アンダーソン教授が1985年に、米医学誌の権威ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表したもの。コカ・コーラの中でも、特にダイエット・コークの避妊効果が最も高かったという。

 同様の研究は台湾の研究グループも行っており、同時受賞となった。しかし、台湾のグループは、コカ・コーラならびに他のソフトドリンクには「避妊効果がない」ことを確認している。

 一方、清涼飲料水大手コカ・コーラは、イグ・ノーベル化学賞についての問い合わせに、回答を拒否している。

 また、高価な偽薬(プラセボ)ほど、安い偽薬よりも効果が高いことを確認した米デューク大学のダン・アリエリー行動経済学教授が、医学賞を受賞した。

 同教授は体の70%以上をやけどして入院した3年間に、病院内の患者の行動を観察。やけどの痛みで夜に飛び起きる患者が、看護師から鎮痛剤を受けてすぐ眠る様子を何度となく見かけたが、看護師から注射は単なる生理食塩水だと聞かされ、偽薬とその効果に注目。

 「何かを期待すれば、人間の脳はそれを実現させるよう働く」と述べ、価格が安い後発医薬品「ジェネリック医薬品」も、名前と値段を変えれば高い効果が上がると主張している。

 このほか、脳を持たない真正粘菌が迷路の最短経路を見つけることを発見した、中垣俊之・北海道大准教授ら6人の研究が、認知科学賞を受賞。日本人の受賞は、昨年「牛糞からバニラ香料成分の抽出」研究で受賞した山本麻由さんに続き、2年連続となった。

 同賞は、「笑えるとしか言いようがなく、しかも記憶に残り、人々を考えさせる業績」に贈られる。授賞式には歴代のノーベル賞受賞者が出席し、化学賞受賞者に敬意を表して、壇上でコカ・コーラを飲んで祝福するなど、会場を盛り上げた。

今年の受賞一覧は以下の通り。

○栄養学賞:「同じ食べ物でも、名前の聞こえが良い方がおいしく感じる」ことを示したイタリア・トレント大学のマッシミリアーノ・ザンピーニ氏と英オックスフォード大学のチャールズ・スペンス氏に授与。

○平和賞:「植物にも人間と同様に尊厳がある」ことを法的に定めた、スイスの人間以外の生物工学に関する連邦倫理委員会とスイス国民に授与。

○考古学賞:考古学の発掘現場付近に生息するアルマジロが、発掘品をより深く埋めたり持ち去ったりすることで、発掘現場がメチャクチャになるだけではなく、歴史が変わってしまう可能性があることを示した、ブラジル・サンパウロ大学のアストルフォ・ゴメス・デ・メロ・アラウージョ氏とジョゼ・カルロス・マルセリーノ氏に授与。

○生物学賞:「イヌに寄生するノミは、ネコに寄生する個体よりも、より高く飛ぶことができる」ことを発見した、フランス国立トゥールーズ獣医大学のマリークリスティーヌ・カディエルジュ、クリステル・ジョベール、ミシェル・フランの3氏に授与。

○医学賞:「高価な偽薬(プラセボ)は安価な偽薬よりも効果が高い」ことを確認した米デューク大学のダン・アリエリー行動経済学教授に授与。

○認知科学賞:脳を持たない単細胞生物の真正粘菌が、迷路の最短経路を見つけることを発見した、中垣俊之・北海道大准教授、小林亮・広島大教授、石黒章夫・東北大教授、ハンガリー・セゲド大学のアゴタ・トス氏ら6人に授与。

○経済学賞:プロのストリッパーの排卵周期が、チップ収入に影響を与えることを発見した米ニューメキシコ大学のジェフリー・ミラー、ジョシュア・タイバー、ブレント・ジョーダンの3氏に授与。3氏らによると、ストリッパーが最も稼ぐのは、生殖能力が最も高い時期であるという。

○物理学賞:大量の糸や髪の毛は、外部要因がなくとも必ず絡まることを数学的に証明した、スクリップス海洋研究所のドリアン・ライマー氏と、米カリフォルニア大学サンディエゴ校のダグラス・スミス氏に授与。

○化学賞:「コカ・コーラの避妊効果」についての研究で、ボストン大学医学部のデボラ・アンダーソン教授、ならびに台湾の台北医科大学の研究グループに授与。アンダーソン教授らの研究は「避妊効果がある」で、台北医科大学の研究は「効果がない」と、全く正反対の結果となっている。

○文学賞:「バカ野郎:物語的手法を用いた、組織内で経験した憤慨についての分析」研究で、英カス・ビジネス・スクールのデイビッド・シムズ氏に授与。



粘菌の賢さ解明し「認知科学賞」=2年連続で日本人−イグ・ノーベル賞

 おかしくかつ意義深い独創的研究に贈られるイグ・ノーベル賞の授賞式が2日、米ボストンのハーバード大で行われ、脳を持たない原生生物である粘菌に迷路を最短ルートで解く能力があることを発見した北海道大の中垣俊之准教授ら6人が「認知科学賞」を受賞した。日本人の受賞は2年連続。

 広島大の小林亮教授、東北大の石黒章夫教授らも連名で同賞を獲得。小林教授は「狙っていても取れない賞。研究が『受けた』のはとてもうれしい」としている。日本人では、ウシのふんからバニラの芳香成分を抽出した山本麻由さんが昨年「化学賞」を受賞し、それ以前にもカラオケの発明者らが「栄誉」に輝いている。



 こういう賞をユーモアとして受け入れるような研究者ほど、将来大成しそうな気もします。

 ちなみに受賞した研究の詳細はこちら。

 理化学研究所(小林俊一理事長)は、アメーバ生物である真正粘菌変形体が迷路を最短ルートで解く能力があることを発見しました。この発見は、当研究所のフロンティア研究システム(FRS)局所時空間機能研究チーム・中垣俊之フロンティア研究員と、北海道大学電子科学研究所の山田裕康講師(FRS制御系理論研究チーム・フロンティア研究員[非常勤])らによって行われました。

 粘菌変形体には脳や神経系はなく、原形質と呼ばれる物質の塊のみからできているため、高度な情報処理能力は無いと思われてきました。ところが原形質の持つ物理化学的な性質(例えばリズムやパターン形成)が巧みに組み合うことによって、迷路を最短ルートで解くという高い情報処理能力を発揮していることが分かりました。

 この成果は、生物の情報処理機能を物質レベルから解明する糸口を与え、かつ新しい機能性材料の設計原理につながることが期待されます。


 ただのおばかな研究ではなく、かなり凄い研究なんです、実は。

 これからも日本人の活躍を期待したいところです。

日本人のイグ・ノーブル賞受賞者

1992年
医学賞:「足の匂いの原因となる化学物質の特定」という研究に対して - 神田不二宏(資生堂研究員)ら

1995年
心理学賞:ハトを訓練してピカソの絵とモネの絵を区別させることに成功したことに対して - 渡辺茂(慶應義塾大学教授)ら

1996年
生物学的多様性賞:岩手県の岩石からミニ恐竜、ミニ馬、ミニドラゴン、ミニ王女など1000種類以上に及ぶ「ミニ種」の化石を発見したことに対して。「ミニ種」はいずれもすでに絶滅しており、体長は0.3mm以下であったという。 - 岡村長之助(岡村化石研究所)

1997年
生物学賞:「人がガムを噛んでいるときに、ガムの味によって脳波はどう変わるのか」という研究に対して - 柳生隆視(関西医科大学講師)ら

経済学賞:「たまごっち」により、数百万人分の労働時間を仮想ペットの飼育に費やさせたことに対して - 横井昭宏(ウィズ)、真板亜紀(バンダイ)

1999年
化学賞:夫のパンツに吹きかけることで浮気を発見できるスプレー「Sチェック」を開発した功績に対して - 牧野武(セーフティ探偵社)

2002年
平和賞:犬語翻訳機「バウリンガル」の開発によって、ヒトとイヌに平和と調和をもたらした業績に対して - 佐藤慶太(タカラ)、鈴木松美(日本音響研究所)、小暮規夫(獣医師)

2003年
化学賞:「ハトに嫌われた銅像の化学的考察」。兼六園内にある日本武尊の銅像にハトが寄り付かないことをヒントに、カラス除けの合金を開発した。 - 廣瀬幸雄(金沢大学教授)

2004年
平和賞:「カラオケを発明し、人々に互いに寛容になる新しい手段を提供した」業績に対して - 井上大佑 (会社経営者、大阪府)

2005年
生物学賞:131種類の蛙がストレスを感じているときに出す特有のにおいを全部嗅ぎ分けてカタログ化した、骨の折れる研究『においを発するカエルの分泌物の機能と系統発生的意義についての調査』に対して - 早坂洋司(オーストラリアワイン研究所)

栄養学賞:34年間、自分の食事を撮影し、食べた物が脳の働きや体調に与える影響を分析したことに対して - 中松義郎(ドクター中松)

2007年
化学賞:ウシの排泄物からバニラの香り成分「バニリン」を抽出した研究 - 山本麻由(国立国際医療センター研究所研究員)

関連
医学処:「モスキート着信音」が2006年のイグ・ノーベル賞を受賞
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2008年10月01日

昭和大学が寄付金4億6000万円を申告漏れに。

昭和大 4億6000万申告漏れ

 医療系の学校法人「昭和大学」(東京都品川区)が、付属病院の医師を派遣した病院から寄付金として受け取った約6億円を収益事業に計上しなかったなどとして、東京国税局から2008年3月期までの5年間で約4億6000万円の申告漏れを指摘されたことがわかった。指摘の中には、大学の付属病院が外部からの委託研究費を収益から除くなど、1000万円を超す所得隠しも含まれるとみられる

 追徴税額は重加算税を含めて約1億1000万円の見込みで、昭和大は既に修正申告した。

 学校法人などの公益法人は原則非課税だが、法人税法で規定された収益事業から生じる所得に対しては、法人税の基本税率(30%)より低い22%の税率で課税される。昭和大の説明などによると、同大は全国の医療機関に医師を派遣する一方、医療機関から寄付を受けていた。

 同国税局は退職した医師を医療機関に紹介したケースは、収益事業の一つ「周旋業」にあたると認定。過去5年間に約120の医療機関から受けた約6億円については、医師派遣の見返りだったとして申告漏れを指摘した。

 これとは別に、昭和大学病院のある部門が、大学の認可を受けず外部機関の委託で試薬を開発した見返りに約150万円を受け取り、医局の互助会費に充てていたことも判明。ほかにも不正があり、所得隠しは1000万円を超えるとみられる。

 昭和大が同国税局から誤りを指摘された取引は総額で9億円に上るが、学校法人は収益事業から非収益事業に寄付した場合、50%を損金として所得から除外できるため、申告漏れ総額は約4億6000万円にとどまった。

 昭和大総務課の話「(寄付は)医療機関の意思によるもので、本学が要求したものではないため非課税対象としていたが、指摘を受けて修正申告した」



 単なる勘違い、でしょうねぇ。今更こんな所得隠しをしてバッシングされても、デメリット多すぎですし。

 しかし寄付金とやらだけで凄い額になるものですね。いくら大学病院から人事権がなくなったといっても、まだまだその親方根性はあるようです。仕方ないことかもしれませんけれども。医療機関の意思によるもの、とありますが、それを暗黙の了解のように受け取る風潮が本当にないのかどうか。
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2008年09月27日

日本人を遺伝子で分けると本土型と琉球型に大別できる。

日本人は「本土型」と「琉球型」…遺伝解析で明らかに

 日本人は、遺伝的に「本土型」と「琉球型」に大別できることが、理化学研究所が約7000人を対象にした遺伝解析で明らかになった。日本人の起源を知る手がかりになるもので、26日の米科学誌(電子版)に掲載される。

 理研の鎌谷直之チームリーダーらが、全国の病院から患者の遺伝情報データを収集。14万か所のDNAの個人差(SNP)を手がかりに分類したところ、「本土型」「琉球型」の大きく二つのグループに分けられた。

 両者を分ける最も大きな違いは「髪の毛の太さ」「耳あかのタイプ」に関係するSNPで、「本土型」の方が髪の毛が硬く、乾いた耳あかができる傾向にあった。「本土型」の方が、中国人と遺伝的により近かった。



 多分私は本土型・・・いや絶対本土型ですね、この基準で言うと。

 まあ顔のつくりとかも日本人というより東南アジア〜中東系だと言われますが。笑

 そういえば昔「縄文VS弥生」っていう催し物がありましたね。私は縄文の女性が好みです。

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医学処:選挙への投票をするかどうかは、遺伝子が関与している。
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2008年09月24日

ストーンヘンジは病気を治すための巡礼の場所だった?

ストーンヘンジ、病人の巡礼地だった可能性

 英国にある遺跡ストーンヘンジについて、英ボーンマス大の考古学者らは22日、石に病気を治す力があると信じた人々の巡礼の場所だった可能性があると発表した。

 遺跡を構成する石、ブルーストーンがウェールズからイングランド南部へと約250キロ運ばれた理由については、これまで解明されていない。

 4月に1964年以来となる発掘調査を行った科学者らは、ブルーストーンが治癒の石としてあがめられていたとの見方を示した。

 調査に携わった専門家の1人は、BBCラジオに対し、そう考える理由の1つとして、ストーンヘンジ周辺に埋葬された遺体の多くに外傷や奇形の兆候が見られることを挙げた



 はー。なるほど。

 何かの儀式に使われそうな感じの形はしていましたけれど、病気の人の巡礼地としての可能性も出てきたわけですか。

 その時代の医療の1つの形が現代にも残っているというのはなかなか感慨深いものではあります。

遺跡の目的については、太陽崇拝の祭祀場、古代の天文台、ケルト民族のドルイド教徒の礼拝堂など、さまざまな説が唱えられているが、未だ結論はでていない。


引用:wikipedia
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2008年09月20日

茨城県医師会が民主党支持。一方日本医師会は自民支持。

茨城医師連盟「民主支持」「後期高齢者」反対で自民離れ

 茨城県医師会の政治団体「茨城県医師連盟」は17日、次期衆院選で県内の7選挙区すべてで、後期高齢者医療制度に反対している民主党の候補を推薦すると発表した。

 県医師会は、制度の撤廃を求めており、従来の自民党一辺倒の支持を改めることにした。日本医師連盟によると、次期衆院選で民主党候補推薦の意向を示した連盟は初めて。

 茨城県医師会は7月下旬、後期高齢者医療制度の撤廃を求めて、20万人分の署名を厚生労働相に提出しており、連盟内部から「自民党の医療政策に反対しながら、自民候補を推薦するのは整合性が取れない」との声が出ていた。

 県医師連盟の原中勝征委員長(県医師会長)は「自民党とは、これまでの付き合いがあるが、今回は、患者や高齢者の目線で決めた」としている。これに対し、自民党茨城県連の新井昇副幹事長は「有権者は、推薦の有無でなく、候補者本人を見て支持を決める。医師や関係者から、『推薦と関係なく自民を支持する』という電話もたくさんもらっている」と話す。

 前回の衆院選では、県内7選挙区中、5選挙区で自民党の候補者が当選した。

医師会は自民支援

 日本医師会の政治団体「日本医師連盟」の羽生田俊常任執行委員は18日、都内での記者会見で、連盟の地方団体である「茨城県医師連盟」が17日に次期衆院選での民主党候補の推薦を発表したことについて、「我々は自民党中心の政権与党を押していく」と述べた。



 医療に政治が絡むとロクなことがない・・・というわけではないんですよね、案外。医師会の権力がドン底に落ちてからというもの、医療従事者は奴隷のように扱われるわ、わけのわからん医療政策を行われるやらで、そのツケが今になって大量に降りかかっているような状況。

 まあでも民主党は批判しまくってるだけですからね。後期高齢者医療制度に反対しているからといって、じゃあ具体的にどういうプランで現状を解決するのかという話です。

 結局政治家に任せると、医療は縮小傾向に進むような気もしますけどね。本気で考えたら、医療費を増やして然るべきなんですけどね。色んな企業や土建会社からの献金とか色々あるんでしょうねー。本気で高齢者のことを考えてるなら、そういう痛みわけをちゃんとすればいいのに。

関連
医学処:後期高齢者医療制度を批判する民主党は代案を明確に示すべき
医学処:東大の吉川洋教授が医療費抑制には限界があると主張。
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関節リウマチの原因遺伝子CD244を発見する。

関節リウマチの新たな原因遺伝子「CD244」を発見

 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、関節リウマチ(RA)の原因の1つがCD244遺伝子の一塩基多型(SNP: Single Nucleotide Polymorphism)であることを突き止めました。ゲノム医科学研究センター(中村祐輔センター長)疾患関連遺伝子研究グループ、自己免疫疾患研究チームの山本一彦チームリーダー、鈴木亜香里上級研究員、高地雄太研究員、山田亮客員研究員らの研究グループと東京大学大学院医学系研究科アレルギー・リウマチ内科との共同研究による成果です。

 関節リウマチは、関節に炎症を起こす病気で、自己免疫疾患と呼ばれる病気の1つです。関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患の発病には、遺伝子素因がかかわっていることが知られています。

 研究チームは、ゲノムワイド・ケースコントロール相関解析を行い、CD244遺伝子が関節リウマチの原因遺伝子の1つであることを発見しました。また、CD244遺伝子にあるSNPのうち、関節リウマチに関与する2つのSNPが、CD244遺伝子自体の発現量にかかわっていることを突き止めました。さらに、このSNPを2つとも持つ人は、持たない人に比べ、約1.5倍も関節リウマチになりやすいことを明らかにしました。また、別の自己免疫疾患の1つである、全身性エリテマトーデス(SLE:Systemic lupus erythematosus)でも同様の相関があることを発見しました。

 CD244遺伝子は、主にNK細胞で発現しており、さまざまな免疫反応において、重要な役割を持つと考えられています。今回の発見をもとに、CD244遺伝子が自己免疫疾患の発症にどのようにかかわっているのか、また、NK細胞におけるCD244遺伝子の機能や、CD244遺伝子による自己免疫疾患への関与を明らかにすることで、自己免疫疾患の新規治療法、画期的な治療薬の開発につながることが期待されます。

 本研究成果は、米国の科学雑誌「Nature Genetics」に掲載されるに先立ち、オンライン版(9月14日付け:日本時間9月15日)に掲載されます。



 新しいものを発見するプロフェッショナル集団、理化研がまたまた新発見。

関連
医学処:膠原病に悩む患者同士のネットワーク
医学処:抗がん剤で関節リウマチを治療する方法
posted by さじ at 03:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS

2008年09月19日

インドネシア人看護師を受け入れる病院側の声は

インドネシア人看護師来日1カ月 受け入れ病院側に後悔の声も

 インドネシアとの経済連携協定により、日本で働く看護師や介護福祉士候補のインドネシア人約200人が来日して1カ月あまりが経過した。慢性的な人手不足にある医療や介護の現場を支える新たなパワーとして期待を集め、日本側の斡旋機関は「外国人労働者に門戸を開く大きな一歩」という。しかし、受け入れた病院側は今になって「甘く見ていた…」と後悔しているところもあるなど課題も浮き彫りになってきている。

 「スーパーには何がありますか?」
 「卵とリンゴです」

 大阪市住吉区の「関西研修センター」で、看護師候補のインドネシア人たちの日本語研修の風景だ。教師の質問に、頭髪を黒いベール(ヘジャブ)で覆ったインドネシア人女性が答え、続いて他の研修生が覚えたての日本語で復唱した。

 センターの研修は合宿形式で半年間続き、月〜土曜の毎日3時間以上、日本語や日本文化を学ぶ。

 研修生たちは少しでも早く日本に慣れようと懸命だ。インドネシアで13年の看護師経験を持つピピット・サビトリさん(35)は「予習復習もして授業時間外も勉強しているが、それでもコミュニケーションをとるのは難しい」と言葉の壁に苦労する実情を話す。それでも「設備の整った日本で働けるのは名誉なこと。技術を磨いて、将来は日本とインドネシアをつなぐ架け橋になりたい」と意欲は高い。

 インドネシア人看護師の受け入れ施設は全国47カ所にのぼるが、研修終了予定の2月に向け病院側の対応はさまざまだ。

 受け入れ施設の佐藤病院(大阪府枚方市)では研修中の看護師候補2人と英語の手紙をやりとりし、医療用語などの日本語を教える“通信教育”を行っている。手厚いフォローアップを行う理由を、同病院人事課の佐藤善彦さんは「滞在中3回しか受けられない国家試験に試験に受かってもらうため」と言い切る。そのうえで、「外国にいる不安感を取り除き、長く働いてもらうためのモチベーション作りの目的もある」と一刻も早く病院の“戦力”になってもらうための手段であることを強調した。

 また、友愛会病院(大阪市住之江区)は、イスラム教徒の2人の看護師候補に配慮し4種類の食事メニュー中、2種類は豚肉を除くことを決めた。また、1日5回の礼拝のため屋上にスペースを設けることも検討中で、担当者の三谷貞敏さんは「生活習慣以外にも配慮する点は限りなくある」と話す。

 今回の協定では、受け入れ施設側に有形無形の“先行投資”が必要になっている。このためか、募集に手を挙げた後で辞退する病院も少なくなかった。

 関西の病院関係者は「思っていた以上に費用がかかる。契約上、飛行機代から下宿費用も負担しなければならない。通訳を雇ったり、試験をパスさせるための手間や時間、人件費を入れても3年で数千万円はくだらない。人材派遣会社に頼んで短期間でも日本人看護師を入れた方がコスト面でもよかったかも」と話す。

 西日本の病院関係者は「雇用契約書も日本語、インドネシア語、英語と3種類も用意した。慣れない中、短期間で膨大な書類を作って、資格を取れないまま1〜2年で帰国されたらすべてが水の泡だ」という。

 また、インドネシアの看護事情に詳しいNGO関係者は、「彼女たちは必ずしも資格をとりたいとは思っていない」と指摘する。日本で2、3年働いた実績を手に母国に帰ると、より良い条件で雇用されるというのだ。

 フィリピン人看護師らの調査をしている神戸大の中園直樹教授は「アジアの国々でも看護師は高い専門性を持つ仕事で日本人が思っている以上に優秀。アメリカやカナダなど英語圏からも募集がある中で、日本が国家試験合格を課す現状はナンセンス。今のままでは制度は定着しない可能性の方が大きいのでは」と話している。



 現実面が露呈し始めましたが・・・それはインドネシアやフィリピンから来る看護師全体の意識でカバーできると思います。

 日本側の最大の不安要素としては、「教えるだけ教えてすぐに母国に帰ってしまうのではないか」というものです。

 この場合、日本の病院にとっては何のメリットもない。せっかく人材を育てても、2,3年で母国に帰ってしまうようなことが続いてしまえば、制度は破綻してしまうでしょう。ローテーションが早いとはいえ、日本人の看護師を雇い続けたほうが即戦力になりますし。

 ですがここは、期待したいところです。やる気溢れる人は大歓迎ですから。日本側も受け入れたいんだというところを踏まえた上で、努力を重ね、臨床の場で活躍されることを願っております。

関連
医学処:外国人看護師、どの程度病院は受け入れますか。
医学処:インドネシア人看護師がいよいよ来日する。
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2008年09月13日

韓国の医療現場は不潔すぎるのか

外国人が不満を感じる韓国の医療事情

 「酒臭いまま診療する医師がいる」「医師たちは手をきれいに洗わない」「採血のとき医療用の手袋をしない医師もいる」

 ここ2‐3年にソウル市内の四つの大学病院の病棟や外来に届いた外国人患者からの主な不満の声だ。欧米の先進国からやって来た患者から見ると、韓国の医療水準には問題があるということだ。現在、韓国の健康保険に加入している外国人の数はおよそ30万人、海外から訪れる患者数は年間約1万7000人だ。

 外国人患者たちの不満で最も大きいのは、韓国の病院や医療陣が消毒や衛生に無関心という点だ。外来の診療室のドアを2‐3カ所開けっ放しにしておき医師たちが出入りして診察するのもおかしな光景だが、その際に医師たちは手を洗わないというのだ。

 「耳鼻咽喉科で鼻の内視鏡検査を行い、器具をガーゼで1回ふいてからすぐに次の患者の鼻に入れていた」「歯科医師が手袋もしないまま口の中の治療を行っているのを見た」「検査のために採血するとき、医師たちは手袋をしていない」などの指摘が相次いだ。

 米国の病院ではちょっとした採血を行う際にも、感染症の予防や消毒のために医療陣は使い捨ての手袋を使用する。ネットワーク病院協議会会長で歯科医師の朴仁出(パク・インチュル)氏は、「外国人が出入りする中国の病院では、小さな病院でも消毒や衛生管理を担当する専門の看護師を置くのが法令で定められている」と述べた。

 韓国では大きな関心は払われないが、外国人には不満と感じられるケースも多い。▲医師の顔を見る前から診療費が請求されるシステム▲コーヒーを飲みながら診療する医師▲酒臭い医師▲薬の処方で病気とは関係のない胃薬やビタミン剤などが交ぜられる慣行―などがその主な事例だ。



 本当ですかね?ごく一部の病院のことであってほしいとは思いますが。韓国の医療ってかなりレベル高いイメージあるんですけど。

 まあアメリカだって、感染症対策もクソもないような暴力的医療行ってますからねぇ。

 日本の地方の病院ではさすがにこのような病院はないとは思いますが、100%ない、とも言い切れないのが・・・。まずは信頼を高いレベルで維持し続ける、というのを医師の目標としましょう。
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患者に「様」をつけるのはおかしい。「さん」で統一。

患者の呼び方「様」を「さん」に 富士吉田市立病院

 山梨県富士吉田市立病院は今月から、患者の呼称を「様」から「さん」に変えることで院内統一した。医療もサービス業との考え方から、平成13年5月の新病院開院と同時に患者名に「様」をつけて呼んできたが、院内では「違和感がある」との意見があり、患者や職員にアンケートを行った結果、互いに親しみが持てる「さん」にすべきだとなった。

 病院関係者によると、国立病院機構が「様」で呼んだことが全国傾向となったという。市立病院でも7年間にわたって「様」を使ってきたが、患者と医師の間に上下関係があるように認識され、アンケートでは患者、職員とも6割が「様」より「さん」の方が聞きなれていて、親しみを感じると答えた。



 そうなんですよねぇ。

 一時期、医者が偉そうだという意見が出て、医者側も態度を改めるように、となって、そこまではいいんですけれど、サービスとして過剰になってしまった。

 でも良い医師患者関係があると、結局友人のようになったりもするんですよね。調子どう?いや先生この前からちょっと胸が痛くてさー。みたいなノリでね。

 それを否定してしまっては、良好な関係が築けるはずもない。○○様、はじめまして。ワタクシ、○○病院○○科の○○と申します。宜しくお願いいたします。まず始めに確認のためにお名前をフルネームでお伺いしても宜しいでしょうか?なーんてセリフからはじまっては、堅苦しいことこの上ない。距離を感じますよね。患者にとって医師は距離を感じたほうがやりやすい?いやそうではないでしょう。心の底では、「信頼できる医師」を求めているはずです。

 なんか一時期「医者は背もたれのあるいい椅子にふんぞりかえっていて、患者が丸いすなのはおかしい」という意見がありましたけれど、患者は常に動くわけですからね。医師は9時間近く同じ体勢で外来をこなし続けるわけで。。。そもそも聴診やるときに背もたれあったら不便でしょうし。

 過剰な医師バッシングから10年、そろそろお互いが妥協したところに落ち着いてもいいはずです。思いやる気持ちがあれば、円滑な医療を行えると思います。
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2008年09月12日

通院率が最も高いのは大阪の女性、最も低いのは沖縄の男性

「大阪のおばちゃん」は病院好き? 最少は沖縄県の男性

 病気やけがで最も多く医者にかかっているのは大阪市の女性−。厚生労働省が9日に発表した「平成19年国民生活基礎調査(概況)」で、人口1000人当たりの通院者数を示す「通院者率」が明らかになった。

 通院者率は47都道府県と政令市、東京23区を対象に、病院や診療所、はり、マッサージなどに通っている人の割合を表したもの。

 それによると、全国平均は333・7人(男性311・3人、女性354・7人)だったが、大阪市の女性は413・8人で全国トップ。2位は秋田県の女性(397・6人)で、3位は奈良県の女性(383・9人)だった。

 一方、最も少なかったのは沖縄県の男性で221・0人だった。



 何ででしょう。アクティブ&ポジティブだから、ちょっとした不調で病院に行き続けるからでしょうか。

 2位は秋田。秋田と聞くと自殺率No1の県であることを意識してしまいますが、それと関係あるのかないのか。

 沖縄は流石ですね。酒呑んでるんで調子悪い人もいるのかなと思いましたけれど、環境の勝利、でしょうか。あれだけいい環境も珍しいですし、食べ物も栄養豊富でバランスいいですからね。

 沖縄で暮らしたがる人が多い理由が何となく実感できました。

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医学処:「受診マナー」の向上を県民運動として行う広島県。
医学処:医師不足や経営悪化を理由に141の診療科が入院休止。
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2008年09月11日

免疫力を強烈に高める水→中身は水道水1本で5000円

免疫力うたい水道水販売 浜松の夫婦逮捕

 「免疫力を強烈に高める」などのうたい文句で、医薬品販売の許可を受けずに瓶入りの水を販売していたとして、薬事法違反(無許可販売)の疑いで天竜署と県警生活環境課は11日、浜松市中区幸、会社役員の男(60)と、同所、妻(60)の両容疑者を逮捕した。

 調べでは、2人は5月から6月にかけて、自分たちで経営する同市天竜区西藤平のレジャー施設「あたご島」で、医薬品販売の許可を受けずに、医薬品としての効能があるようにして水入りの瓶21本を客6人に販売した疑い。2人は「医薬品ではない」と容疑を否認しているという。

 同署などによると、2人は水道水の中に花こう岩を入れて煮沸した後、720ミリリットルの瓶に詰めて「あたご島健康水」と商品名を付け、1本5000円、3本で1万円で販売していたという。「悪玉菌を善玉菌に変える」などの効能をうたっていたという。健康被害は今のところ出ていない。

 同署に2月ごろ、「健康被害が出そうな水を売っているところがある」との投書が届き、捜査を進めていた。

 「あたご島」は、キャンプ場や露天風呂、食堂などがそろうレジャー施設。清流で知られる阿多古川が近くを流れ、夏休み期間中は大勢の親子連れが訪れる。



 720mlの水道水で5000円…。

 騙すやつが悪いのは当然とはいえ、あまりにも馬鹿すぎやしませんかねコレ。何で騙されるん…?

 原材料がただみたいなもので馬鹿みたいに高い価格を付けて効能やら何やら提示するだけで「売れる」ってのは、凄いことです。もうね、もうちょっと頭使って購入しようよ。

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2008年09月08日

外来の待ち時間を減らすためコンシェルジュを配属する

コンシェルジュの設置病院が増加

 コンシェルジュやエスコートスタッフを配置する病院が増えている。病院ごとに呼び名や役割は異なるが、「患者の満足度向上」「医師、看護師などの業務負担軽減」という狙いは同じ。患者からの評判も上々で、医師、病院にもメリットがあることが分かり、今後も広がっていきそうだ。

 大病院の外来でありがちな「3時間待ちの3分診療」をなくし、患者、医師、病院の三者それぞれにメリットのあるシステムをつくろうと、日本医療コンシェルジュ研究所は、「MA(メディカルアシスタント)」と「MC(メディカルコンシェルジュ)」の2つの民間資格と研修プログラムを創設した。今年4月までに、全国37病院の看護師、保健師、臨床検査技師、診療放射線技師、事務員ら約350人が資格を取得している。

 MAの研修プログラムは、今年4月の診療報酬改定で報酬の対象となった「医師事務作業補助者」の育成を目的としている。一方、MCは患者の不安や不満を解消し、満足度を向上させるコンシェルジュを育てるのが狙いだ。

 同研究所の深津博理事(名大医学部附属病院放射線部准教授)は「裏方だが、司令塔やプロデューサーのようなイメージで、病院、医師、患者間をつないでほしい。医師、患者双方の負担を軽減し、患者の待ち時間を減らしていくことで、病院経営の効率化にもつながる」と話す。

 深津理事は2005年6月、同病院放射線部で司令塔役として1人のコンシェルジュを試験的に配置。紹介状を持った初診患者と受診・検査予約などの調整を任せたところ、予想通り患者から好評を得た。その後、コンシェルジュをもう1人増やし、全診療科で調整して、効果の統計を取ったところ、平均の初診受付待ち時間は約26.8分から約7.9分に、外来での待ち時間は約67.1分から約7.2分に大幅に短縮されたことが分かった。一方、実診療時間は約82.5分から約101.8分と長くなったことから、患者満足度が大幅に上がった。現在、同病院では4人のコンシェルジュが司令塔として活躍している。

 コンシェルジュが間に入って調整することで、患者側が受けるメリットとしては、待ち時間と診察の終わりの時間が予測しやすくなり、ストレスが減る▽受診日に検査を受けられるため、通院回数が減る▽セカンドオピニオンや高度先端医療の適否などが相談できる−などがある。

 医師にも、▽紹介状を書いた医師と紹介を受けた医師の両方に対する患者の信頼度がアップする▽医師は「治療」という本来の業務に専念しやすくなる−などのメリットがあり、病院側は経営が効率化されることで、全体の収益が上がる。

 全国から患者が来院する亀田総合病院などを運営する医療法人鉄蕉会(千葉県鴨川市)は、1995年からサービスカウンターを設置して、患者の満足度向上のための取り組みを始めた。2005年から「コンシェルジュ」という呼び名を使うようになり、現在は「生活コンシェルジュ」と「メディカルコンシェルジュ」に役割を分担し、計25人のスタッフを配置している。

 「生活コンシェルジュ」は同年に設置したカスタマーリレーション部の所属で、▽遠方からの入院患者や単身入院患者の入院生活全般のサポート▽院内見学の案内▽買い物代行サービス▽問い合わせやクレーム対応−などを担当。一方、「メディカルコンシェルジュ」は診療部事務室の所属で、受診や検査などの事務手続きをサポートし、「日帰りで手術を受けたい」など、さまざまなリクエストを受けて調整する業務を行っている。



 大病院は、外来で時間単位の予約をとります。でもその時間どおりに行くことはほとんどありません。医師が真剣に診療しているからこそ、です。1日にこなさなければいけない人数を50人とすると、予約の段階で1時間に8人〜9人ほどいるとします。すると1人あたりにかけられる時間が数分になってしまいます。が、実際には何十分もかけるわけです。加えて新規の患者さんや緊急の患者さんも診ていると、あれよあれよという間に時間は過ぎ去っていきます。

 患者さんを3時間近く待たせてしまうのは本当に申し訳ないとは思います。そこでコンシュルジュの出番だそうですけれど、具体的に何をするんでしょうね。思いつく限りでいうと、まず必要と思われる検査を全部終えておくとか、あとは呼ばれる直前になったら電話で呼び出すサービスとか。でもこれってどこの病院でもやってるっちゃやってますよね。ただ看護師や医療スタッフの仕事みたいになってますけど。

 医師の外来状況を事細かに把握できるシステムが出来れば、それに合わせて携帯か何かで呼び出すサービス、というのが一番合理的かな。これだと近くの本屋とかで暇を潰せるし。病状が悪い人には結局厳しいままではありますが…。

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2008年09月06日

福島県立大野病院が加藤医師の懲戒処分を取り消す

医師減給処分取り消しへ=報告書見直しも検討−大野病院帝王切開死で福島県

 福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が大量出血して死亡した事故で、業務上過失致死などの罪に問われた加藤克彦医師(40)の無罪が確定、4日付で復職したことを受け、県病院局は同日、加藤医師の減給処分を取り消す方針を固めた。近く開かれる県病院局懲戒審査会で正式決定する。復職後の処遇については本人と話し合って決めるという。

 県の事故調査委員会が05年3月、加藤医師の医療ミスを認める報告書をまとめたことを受け、県は同年6月、加藤医師を減給1カ月の懲戒処分としていた

 県病院局はこの報告書についても、見直しを含めた検討を行うとしている。 



 個人的に、県の病院局には、医療ミスを認める報告書が提出されたとしても、懲戒処分にせず加藤先生のほうを信じ続けてほしかったですねぇ。

 まぁそうはいってもお役所仕事的な面もあるでしょうから、難しいんでしょうけれど。

 ただ加藤先生は、それでも病院に戻って下さるという。ありがたいことじゃないですか。

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2008年09月05日

「外来5分ルール」が医療従事者に不評な理由

医療関係者から批判の「5分ルール」、中医協が調査へ

 厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会(中医協)」が、医師が外来患者の問診や身体診察、指導などを5分以上行うと診療報酬を上乗せできる「5分ルール」について、調査を実施することになった。

 医療関係者から「医療機関の収入減につながる」などの批判が出ていることを踏まえたものだ。10月から調査を始め、来年1月にも調査結果を公表する。医療機関への影響を見極めたうえで、ルールの見直しも検討する。

 「5分ルール」は今年4月の診療報酬改定で、診療所と中小病院の外来の再診料に導入された。「3時間待ち・3分診療」などといわれる患者の不満を解消し、「患者を懇切丁寧に診察してもらう」との狙いがあった。診察時間が5分未満だと、「外来管理加算」(520円)という診療報酬が支払われず、5分以上だと支払われる。

 しかし、医療関係団体から、「不要なのに無意味に長く診察し、診療報酬をもらう医師が出てくる」「一日に診察できる患者の数が不当に制限される」などの批判が相次いでいる。

 調査は医療機関と患者を対象に実施する。医療機関については一日当たりの患者数や診療時間、患者への説明内容などを調べる。患者に対しては、医師の説明内容への理解度と満足度などを聞くことにしている。



 単に経過をみるだけで、検査データを確認して、投薬も前回と変わらないのであれば、5分以内の診療ということは十分考えられますよね。医療行為は患者に準じて行われるわけで、何故5分以上診察しなければならない、ということになるのか、理解に苦しみます。

 待ち時間が長いのは、予約患者以外にも緊急の疾患が出たり、人によってはかなり長い説明を要することもあるわけで…。そこらへんを理解してくだされば、と思います。

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2008年08月28日

患者2人に酸素と誤って二酸化炭素を吸入させ、死亡する。

酸素と誤りCO2吸入させる、危篤患者2人死亡…福岡

 福岡県八女市の公立八女総合病院で、危篤状態の患者2人に酸素と誤って二酸化炭素を吸入させ、その後2人が死亡していたことが27日、わかった。

 病院は「吸入したのはわずかな時間で、患者の死亡に影響したとは考えていない」としているが、経緯を県警八女署に届け出た。

 病院によると、24日午前3時50分ごろ、病気で危篤状態となった高齢患者に緊急手術を行うことになったが、手術室の入り口から手術台までの二十数メートルを運ぶ際、誤って二酸化炭素のボンベを接続したという。この患者は手術中に死亡した。

 さらに24日午後6時ごろ、病気で運び込まれた高齢患者を手術台に運んだ際にも、同様に二酸化炭素を吸入させてしまったという。この患者は翌25日朝に死亡した。

 病院は「2人は手術を行わなければ数時間以内に死亡することがほぼ確実で、手術中に死亡する可能性も高かった」としている。

 九州大病院救命救急センターの橋爪誠センター長は「医療現場で二酸化炭素を体内に注入するのは、内視鏡手術で腹の中にスペースを作るために使うくらい。口から二酸化炭素を入れたとしたら、窒息状態になる」と話している。



 まあ病院としては、二酸化炭素との因果関係を否定したいでしょうけれど、明らかにあってはならない医療ミスですからね。死因との関連はないかもしれませんが、やってしまったことが大きな問題なわけで。

 誰かも言ってましたけれど、酸素と二酸化炭素のボンベの口の部分の形を変えるとかの工夫をしたほうがいいと思うんですよね。いくら色が違うといっても紛らわしいですし、午前3時の切羽つまった状態だったらそこまで気をまわす余裕もないかもしれませんし。小さな工夫でミスがなくなるなら、やるべきでしょう。
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2008年08月26日

何故、モンスターペイシェントは増加しているのか。

「言わなきゃ損」意識が根底に?《増大するモンスター患者》

 非常識な動機で学校に親が怒鳴り込むモンスターペアレンツはテレビドラマの題材になるほど。似た現象は医療機関でもある。愛知県内の病院で「モンスターペイシェント(怒鳴り込み患者)の実態を調べた。

 ことし4月に院内で行ったアンケートでは医師や看護師の約半数が何らかの暴言・暴力を受けていたことが判明。以下は主な内容。

 通院患者が予約をせずに休日に来院。担当医が休みにもかかわらず「(担当医と)面談させろ」としつこく要求。

 患者の家族数人が廊下に座っていたため、医師が注意したところ逆切れして居直られた。

 死亡した患者の家族が「おまえを医者とは思っていない」と発言。

 クレーマーの特徴として副院長は「医師が一生懸命治療を行っても、患者が亡くなってしまうと医師も責任を感じて精神的に引き気味になる。クレーマーはそこに付け込む」と説明した。

 8歳の男児が骨折したケースでは治療後の骨が少し曲がっていることに対して「骨折する前と同じ状態に戻せ」と母親がクレーム。副院長は「骨折したら多少変形が残るのは仕方がない。(一部の患者やその家族は)当たり前のことが理解できない。事前にそこまで説明するのは難しい。ただし患者も不満が一つだけでは文句は言わない。三つくらいたまってから爆発する」と話す。

 結局、この母親はスポーツドクターの話を聞いてしぶしぶ納得したという。

 苦情を穏便に解決するため、同病院ではことし4月から、調停役を担う「メディエーター」を配備。初代メディエーターを務めるのは若松洋子さん(36)。実は9年前までは同病院の看護師だった。

 若松さんは「病院側と患者側双方の話を正確に聞き取るが、あくまでも仲立ち。白黒を決めてはいけないので難しい」と話す。正確に記録を取る点では看護師時代と似た作業だ。

 メディエーターには洞察力も求められる。「金が目的なのか、難癖をつけたいだけなのか。主張の裏に何があるのかをくみ取る能力が必要」(若松さん)。

 「医者の態度が悪い。でも本人には伝えないで」―。名古屋市内のある病院のケースでは苦情の手段として利用されるのが電話。それも医者に面と向かって言うのではなく、わざわざ担当者がいない時間外に病院へ電話をかけてくるという。

 電話は苦情だけに使われるわけではない。タクシー代わりに救急車を呼ぶ患者がいるのも事実。119番通報では詳しい病状まで確認できず、救急車は出動せざるを得ないのが現状。長い待ち時間が嫌で、待合室から救急車を呼んだというとんでもない患者もいたという。そういう患者に限って症状は重くない。先日、全国の救急患者の約7割が軽傷だという事実も明らかになった。

 同病院スタッフは「苦情の多くは診療内容に対するもの。今は権利主張の時代。言わなきゃあ損だという考えがクレーマーの中にあるのではないか。我慢できない人が増えた気もする」と分析。

 尾張北部の公立病院副院長は「患者やその家族との風通しを良くすることが大事。医療スタッフ、患者双方にとって快適な環境づくりが必要」と厳しい表情を見せた。

 「病院は本来、病人がいるところ。院内でもめている場面を患者が見て、気分がいいはずはない」と話す若松さんは今日も院内の環境づくりに奔走している。



 メディエーター、いいですね。全国の病院に配置…って赤字だらけの病院で予算が出るのかという気もしますけれど。

 結局暴力に出なくても、言葉での誹謗中傷ってすごいありますからね。しかも医者側は「申し訳ありません」としかいえないから、訴えるわけにもいかないし。そんなんで訴える医者がいたら、良好な医師患者関係は築けないでしょうしね。

 シビアな場所での問題なだけに、なんとか穏便に解決策を探っていきたいところですが・・・いつの世も、犠牲になるのは医療従事者か。

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利尿剤と血糖降下剤を誤って投与し、死亡。

利尿剤と誤り血糖降下剤、70代女性患者が死亡…青森

 青森県五所川原市の公立金木病院で6月、重い肝硬変で入院中の70歳代の女性患者が、利尿剤と誤って血糖降下剤を投与され、意識不明の重体に陥っていたことがわかった。

 患者は半月後に肝不全で死亡した。五所川原署は、遺体を司法解剖するなどして、投薬ミスと患者の容体が悪化したこととの因果関係などを調べている。

 金木病院によると、担当医は、女性患者の腹水を体外に排出させるために利尿剤を投与するようカルテに記載したが、病院職員がパソコンにデータを入力する際、誤って血糖降下剤を選択

 これに基づき、血糖降下剤が投与され、女性患者は血糖値が極度に下がったことによる意識障害で重体になった。

 データの入力結果は、投薬前に医師が確認する手順になっているが、今回はチェックしなかったという。

 金木病院の小野裕明院長代理は「薬の誤投与は、あってはならない重大なミス。関係者に心よりおわびする」と話している。



 あってはならないというか、ありえないミスでは。電子カルテの弊害ですかね、これも。簡単に似た名前の薬をポンと出せちゃいますからね。

 でも医者が最終的に送信しなきゃならないと思うんですけど、この病院ではそれをやってなかったんですね。これは大きな落ち度でしょうな。
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2008年08月17日

医療ヒヤリハット、過去最高の20万件を超える。

医療ヒヤリ・ハット20万件…昨年、過去最多

 国立病院や大学病院など主要240医療機関で2007年に、医療事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット事例」が計20万9216件起きていたことが財団法人「日本医療機能評価機構」の調査でわかった。

 06年を1万3607件上回り、統計を取り始めた05年よりも2万6318件増えている。

 同機構は国の医療事故報告制度に基づき国立病院などから、ヒヤリ・ハット事例の報告を受けている。

 事例を発生場面別にみると、薬の種類や処方量を間違える「処方・投薬」が4万6056件(22%)とトップで、「ドレーン・チューブ類の使用・管理」が14・5%、「療養上の世話」が9・2%などだった。

 原因別では、薬の名前などの確認が不十分だったことが24・5%。病室の見回り時などの観察が不十分も12・7%と初歩的ミスが目立った。



 ヒヤリとしたことや、ハッとしたこと、総称して「ヒヤリハット」です。

 数が増えたことが問題なのではなく、今まで内密に処理されていたヒヤリハットを、こうしてデータ化することが出来たのは大変誉れです。ミスしてしまったことを責めず、むしろどうしたらミスしないのかを皆で考え、その結果を各病院ごとに共有することで、ミスを事前に食い止めることができるようになります。

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代理出産の無国籍児を日本へ入国させることに。

代理出産無国籍児 日本入国を容認へ

 日本人の男性の依頼でインド人女性が代理出産した女児が無国籍になっている問題で、保岡法相は、15日の閣議後会見で、女児側が現地の日本大使館に日本への入国に必要な査証(ビザ)の申請をした場合には、入国を認める方向で検討していることを明らかにした。

 女児は先月25日、インドで生まれたが、出生証明書には母親名が記されておらず、インドの国籍やパスポートがとれない状況になっている。

 無国籍の女児がインドを出国し、日本に入国するには、インド政府の渡航証明書に加え、日本の入国ビザが必要とされる。



 まぁこれは妥当なところ。というより国としては「仕方ない」レベルの話でして…。子供のためにもこれが一番いいですからね。

 ただ、こういったことが認められてしまうと、国際問題になりかねないか、と少々心配ですが。法整備されるのを待つしかないか。

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ラットの脳細胞でロボットを操ることに成功する。

培養ラット脳細胞がロボット操る…英大学が開発成功と発表

 ラットの脳細胞から出る電気信号によって、障害物を避けながら動くロボットの開発に成功したと、英レディング大が14日発表した。

 ロボットは、人やコンピューターなどの助けなしで動いたという。

 研究グループは、ラットの胎児から採取した脳細胞を培養して増やし、脳細胞が発する電気信号を検出できる装置に組み込んだ。二輪走行するロボットは、この電気信号を無線で受けて動く仕組みで、ロボットに積んだセンサーが障害物を検知すると、ロボット側から無線で送られる信号が脳細胞を刺激する。

 ロボットは最初こそ障害物に接触していたが、障害物検知の信号で脳細胞が“学習”したとみられ、避けて動けるようになったという

 同大システム工学部のケビン・ワーウィック教授(自動制御学)は「培養した脳細胞が初めてロボットを操ったというだけでなく、脳が経験を蓄積して学習する仕組みの解明につながる成果だ」と話している。



 『スゲー』ですな…

 脳細胞をロボットに組み込むのも凄いですが、学習して避けられるようになったんですねぇ…。

 粘菌コンピューターとともに、将来どこまで発展していくのか、気になるところです。

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