東京の「マツモトキヨシ銀座5th店」では、売り場中央にシミ治療薬がドーンと20種近い品ぞろえ。「1日50個以上出ます。シミ対策化粧品やサプリメントとのセット買いも多く、悩みの切実さを感じる」と志田睦店長。治療薬のなかでも女性特有の「肝斑」に特化した「トランシーノ」はリピーターが8割近くを占め、売り上げを牽引。志田店長は「あきらめていた人たちに、治療を意識させたことが大きいですね」。
有効成分はトラネキサム酸。CMでは人気ヘア・メイクアップアーチストの藤原美智子さんが「肝斑なら治せます」と語りかけ、昨年9月の発売から1カ月で出荷額14億円の大ヒット。今年度は50億円を見込む。
肝斑は左右のほお骨に沿って薄く広がるシミだ。女性ホルモンバランスやストレスが原因とされ、家庭や職場で働き盛りの30〜40代女性に多く発症する。「国内に約560万人いるとみられ、そのうちおよそ8%がトランシーノのユーザー。まだまだ需要は掘り起こせる」とは、販売元・第一三共ヘルスケアのマーケティング担当。肝斑を自己診断するためのリーフレットを100万部発行。肝斑モデルオーディションも行い、約80人から選ばれた「わかりやすい肝斑シミ」を持つ女性5人を使っての普及活動も6月末から展開予定だ。
気になる効果は? 同社の臨床試験では8週間内服したモニターの76・8%に改善がみられたという。「化粧時間が短縮できた、自信が持てて明るくなった…などの声を多数いただいている。シミひとつで女性の生活の質は大きく変わるんですね」と開発担当の輪竹麻美さん。
医療現場でもシミ治療は大衆化。「シミ治療相談の来院は1カ月あたり約250人で、昨年より3割増えています」とは、東京のシロノクリニック銀座、卯辰哲也院長。保険適用外の光治療も一般的な老人斑なら、5ミリ以内で1個2500円からと手が届きやすくなってきた。レーザーは禁忌とされている肝斑も光治療や薬液導入などで積極的な治療を展開。「以前はあきらめるしかなかったシミも治療可能になり、成果を出している」と卯辰院長。男性患者も1、2割。社会的地位や収入が高い人が中心とはいえ、営業マンや定年後に再就職を目指す普通のおじさんたちまでが、痛くもかゆくもないシミの治療に精を出しているのだ。
隆起したシミ(老人性いぼ)を炭酸ガスレーザーで取った男性にきっかけをたずねたら、「気持ち悪いと孫に言われたから」と心中察するお答え。見た目に容赦のない時代になったものだが、確かにシミは老け具合だけでなく清潔感も左右する。トランシーノの冊子では前出の藤原さんが、「(魅力的なしわと違って)残念ながら魅力的なシミはありませんね」の追い打ち…。シミの大敵、紫外線が強まる季節。せいぜい予防はしっかりと!
肝斑!
妊娠すると50%以上に出現するといわれています。まぁ妊娠性のものは数ヶ月でなくなるのでいいんですけど。
要するに女性ホルモンや黄体ホルモンによってメラノサイトが活性化されるために起こるそうです。あとメラノサイトを活性化させる日光も増悪因子。
境界明瞭な淡褐色の色素斑が額、頬、口の周囲に左右対称にみられ、目の周辺が抜けるのが特徴です。慢性の経過をとりますが、高齢になると軽快、消失します。
まぁ出来てしまったものをどうこうするというより、日光などのリスクをいかに防ぐか、ですね、肝斑は。