未熟児の脳性まひの一因になる脳症によって失われた神経細胞を、新型万能細胞の「iPS細胞」や、脳内にもともと存在する幹細胞を使って再生させる研究に、名古屋市立大の沢本和延教授(神経再生医学)らが6月から乗り出す。
この脳症は、主に妊娠33週未満の早産児に起きる「脳室周囲白質軟化症(PVL)」。
脳への血流障害が原因で、脳室の周囲にある運動神経が失われる。生後2週間ごろから画像診断できるが、足のまひなどの症状が出るのは生後4、5カ月ごろから。33週未満で生まれた新生児の約1割がPVLを発症しているという。
現在は治療法がないが、沢本教授は症状が出る前に正常な神経細胞を移植すればまひを防げる可能性がある点に着目。
計画では、慶応大と共同で、ネズミやサルのiPS細胞から神経細胞のもとになる神経幹細胞を作製。それを、脳への血流を一部止めPVLの症状を再現した生後数日のネズミやサルの脳に移植して神経再生を目指す。
iPS細胞の概念上、「新生児+iPS細胞」の組み合わせは、まさに何でもアリな状態だと思います。
神経細胞のもとになる細胞を移植してやれば、生まれたての赤ん坊と同じように、外界からの多数の情報を得て成長していくにつれて、iPS細胞も正常の神経細胞になりうるのでは。
ただ実際はなかなか厳しいんでしょうけれどね。どうやってそれをコントロールするのか、未だに不明ですし。しかし1筋の光であることには違いありません。
関連
医学処:iPS細胞を用いて、脊髄損傷の症状が改善する。
医学処:難病の解明のために、iPS細胞を用いる。