医師不足の中で、人材紹介会社に登録する非常勤の医師が、急速に増えている。完全なフリーランスの医師もおり、数千万円の年収がある人もいるという。収入がいいからフリーが増えるのか。
麻酔科医は1日あたり10〜20万円が相場
「非常勤のお医者さん」と題した求人サイトをのぞくと、ビックリするような数字が目に飛び込んでくる。それは、医師の高額給与ベスト5を特集するランキング表においてだ。
「日勤 1日当り 200,000円」
これは、東京・新宿のある美容外科で非常勤の医師に1日で与えられる給与の額だ。このほか、東京・葛飾の皮膚科で15万円、千葉の整形外科で12万円と続く。
このサイトを運営しているのは、医師の人材紹介会社「リンクスタッフ」。同社によると、給与額は専門分野の内容に合わせて高額になる。医師紹介事業部の部長は、「健康診断などに比べ、生きるか死ぬかという場に居合わせ、時間もかかる麻酔科などの医師の方が給与は高くなります」と話す。給与がトップクラスの麻酔科医では、1日あたり10〜20万円が相場になるという。
リンクスタッフによると、登録する医師の数は、年々増えている。理由の一つが、研修医の制度が2004年に変わったこと。研修医が自由に病院を選べるようになり、病院側が求人に頼るようになったためだ。現在の登録者数は、約1万人で、04年に比べて倍以上になったという。この中には、非常勤の仕事もこなす勤務医や完全なフリーランスも含まれている。
非常勤の医師が高収入なのは、医師不足という事情もある。登録者が増えている理由の一つは、この高収入にあるとみられるが、リンクスタッフ医師紹介事業部の部長は、別の理由を指摘する。
「一つには、女性医師が増えていることがあります。主婦や子育てもしている場合、非常勤でないと勤めにくい。また、激務続きの常勤で疲れ果ててという場合もあります」
特に高収入の麻酔科医は、完全なフリーランスの人も現れ始め、メディアで脚光を浴びるようになった。
毎日放送(大阪市)は、5月21日放送の番組で、勤務医時代に比べて収入が倍近くになったというフリー麻酔科医の男性を取り上げた。この男性医師は、掛け持ちした10か所以上の病院を飛び回る毎日。勤務は週4日だが、人手不足で緊急依頼も多く、休日も携帯電話を手放せない。「昼間でも時間関係なく手術が入ってくるんですよね」と男性医師。収入も倍になったが、仕事も倍になった。
なぜ麻酔科医がそれほど不足していて、引っ張りだこなのか。
医師紹介大手のメディカル・プリンシプルの広報担当者は、以前は外科医が代行する場合が多かったが、最近は麻酔科医の資格が求められるようになってきたことを挙げる。
さらに、麻酔科医のなり手がいない事情があるようだ。「登録者には、内科が一番多いのですが、外科や麻酔科よりも皮膚科や眼科の方が多いんですよ。当直業務もありませんし、人が死にません。産婦人科のように医療過誤の訴訟が増えているということもありません。つまり、手術のようなものは敬遠されつつあるということです」(広報担当者)。
ただ、完全なフリーランスは、まだごくまれにしか見られないという。メディカル・プリンシプルによると、登録医師は、時間のあるときに働く勤務医がほとんどだ、としている。
医療関係者の間では、非常勤やフリー医師は、必ずしも医師不足の解決策にはならない、と指摘する声も強い。常勤より非常勤の方がコスト高になることや、非常勤の場合、人数を多くしなければならず、不安定でもあるからだ。地方では、常勤が減ったために、閉鎖に追い込まれる病院も相次いでいる。
スキマ産業なんですよね、フリー医師って。かけもちして、値段の割高な場所(オイシイところ)をうまく手繰り寄せていく。
基本、地方の病院で当直すれば10万は貰えます。しかし自分の睡眠時間を削っているわけですし、日中業務は当然こなさなければいけませんから、オイシイかというとそういうわけではないでしょう。大きな病院だと当直しても1万程度と、かなり安くなりますし、それでもこなしている先生方には本当に頭の下がる想いです。彼らがいるから、日本の医療の水準は深夜でも保たれているわけです。
麻酔科医の給料が高いのは、いいと思うんですよね、個人的に。全身麻酔をかけている間中、傍で管理していなければならないわけですから、1つ手術に入ると6時間とか12時間とか傍で見てるだけという。『やり甲斐』、という面で、なり手が少ないのが最大の実情だと思いますからね。
と書いている間にも救急車の音。救急隊員の方、当直している医療従事者の方、お疲れ様です。
私は無給大学院生で、食うためにバイトをしています。本職のフリーランス医師ではないのですが、
「アルバイト医師の日記」というブログを書いています。よろしければご覧下さい。