島根県益田市の診療所「おちハートクリニック」が3月末から約1か月間、患者計37人に対して、血糖値測定のために指先などに針を刺して採血する器具を使い回していたことがわかった。
県医療対策課によると、クリニックの検査の結果、因果関係は不明だが、うち14人がB、C型肝炎ウイルスに感染していることが確認された。複数の看護職員が自動的に針が交換されると誤解したのが原因という。厚生労働省は同様の器具の使い回しを禁じる通知を出しており、県は同クリニックを行政指導するとともに、今月中にも立ち入り検査する方針。
同課によると、器具は、糖尿病患者が自己管理のために使うペン型の製品で、交換可能なドラムに6針が入っており、1針使うごとに自分でドラムを回して新しい針にする仕組み。赤い字で「複数患者使用不可」と書いたシール(縦1・5センチ、横3・5センチ)を本体に張っている。
同クリニックでは、3月までは使用の度に針を取り換える別の器具を使っていたが、故障したため、3月28日以降、今回の器具を使用。内科、循環器科、心療内科で複数の看護職員が使用方法を誤解して、複数の患者に、使用済みの同一の針で採血したという。
4月30日に看護師が誤りに気付いて保健所に連絡。同クリニックは5月1〜9日に対象者全員に肝炎やエイズウイルス(HIV)などの検査を実施、B型肝炎の抗原保有者1人、同抗体保有者11人、C型肝炎の抗体保有者2人がいることが判明した。
厚労省によると、B型肝炎はウイルス感染の直後から約半年後までに抗原が、感染の約1か月後〜約1年後までに抗体が確認されることが多い。C型肝炎では感染後1〜3か月で抗体が陽性になるという。同課は、以前に感染していた可能性もあるとしているが、同クリニックは患者に経緯を説明して謝罪、一部患者にワクチンを接種した。
同様の医療機器による肝炎感染は2005年に英国で発生。厚労省は06年3月、医療機関に同様の器具の使い回しを禁じる通知を出した。今回の器具の添付文書にも、「個人の使用に限り、複数の患者に使用しない」「使い捨てで再使用しない」などと記載している。
使い回しの採血器具、延べ200人に
島根県益田市の診療所「おちハートクリニック」が血糖値測定用の針付き採血器具を糖尿病患者37人に使い回していた問題で、越智弘院長(50)が22日、同市で記者会見し、「昨年6月に納入業者から説明を受けていたが、詳細な操作方法を忘れてしまった」と説明した。
同クリニックが昨年3月の開業直後から、別の個人使用限定の採血器具を延べ約200人の患者に使い回していたこともわかり、ずさんな実態が明らかになった。
肝炎感染は新たに1人が確認され、計15人に。うち、使い回し以前にB型肝炎に感染し、現在もウイルスを持っている1人に加え、別の1人がC型肝炎ウイルスを持っていることも判明。ウイルス感染が確認されなかった患者も今後感染が明らかになる可能性がある。島根県は23日、医療法に基づき、同クリニックへの立ち入り検査を実施する。
採血針使い回し1か月、先が丸くなり痛み訴え発覚
島根県益田市の診療所「おちハートクリニック」が血糖値測定用の針付き採血器具を糖尿病患者に使い回していた問題で、同クリニックの看護師が器具の針6本のうち1本を1か月以上使い続けたため針先が丸くなり、患者が痛みを訴え、使い回しが発覚していたことがわかった。
県は23日、越智弘院長からこれらの経緯などについて事情聴取し、午後には医療法に基づき、同クリニックへの立ち入り検査を行う。
県医療対策課によると、同クリニックでは別の採血器具が故障したため、3月28日から、問題の採血器具を使用した。この器具は本体部を回して6本の針が交換されるが、看護師は自動で交換されると誤解。4月30日に使用した際、患者が「痛い」と訴え、看護師が針先が丸くなっているのに気付いたという。
一方、故障した採血器具も使い回していたことがわかっており、立ち入り検査でカルテの確認や看護師からの聞き取りで使い回しされた患者の特定を急ぐ。
こんなに知識のない看護師って存在するんですね。まずそこに驚きました。一体何を学んできたんでしょうね。凄いわあー。
血糖値測定用の針ということは、おそらく、ほんの小さな針をペンライトみたいな器具につけて、パチンと指先にほんの少し打つことで痛みをほとんど感じず、1滴程度の血を採血できる器具でしょう。あれは当然、使い捨てです。そんなことは全国の、自分で血糖を測っている糖尿病患者やその家族でさえ当然知っているべき「常識」です。何故それを医療従事者が知らないというのか。
しかも単なる「誤解」といってはいますが、以前使っていたといわれている器具(使用の度に針を取り換える、オーソドックスな器具)ですら使いまわしていたというからもう駄目駄目ですね。あれはどうしたって針を取り替える仕組みになっていますから。
恐るべし