風疹に対する免疫が不十分な妊婦が4〜5人に1人の割合でいることが、武蔵野赤十字病院産婦人科の神部友香理医師たちの調査でわかった。特に25歳以下の若い妊婦では半数近い人が免疫が不十分だった。
妊娠初期に風疹に感染すると、胎児に感染して、心臓病や難聴、白内障などを引き起こす先天性風疹症候群になる危険があり、神部さんは「妊娠前に風疹の抗体検査をして、免疫がなければ予防接種を受けてほしい」と呼びかけている。
神部さんたちは、2005年4月から08年2月までに、武蔵野赤十字病院で妊娠初期検査を受けた1743人の風疹の抗体の保有状況を調べた=グラフ=。うち49人(2・8%)が抗体がない「陰性」で、342人(19・6%)が抗体が十分でない「弱陽性」であることがわかった。特に25歳以下では、87人中10人(11・5%)が陰性、30人(34・5%)が弱陽性で、免疫が不十分な妊婦が半数近くに上ることがわかった。
風疹の定期予防接種は、1994年度まで中学生の女子に行われていたが、95年度以降は乳幼児の男女に切り替わった。新制度への移行で、風疹の抗体のない若い女性が増えていることが問題とされていた。
大人への風疹の予防接種は、予防接種を扱う病院の内科などで受けられる。実費が必要で1万円程度かかる。中学1年生、高校3年生については、今年4月から5年間、はしかと風疹の混合ワクチンを自治体の助成で受けることができる。
ただ、妊娠後の検査で免疫が不十分だとわかった場合は予防接種を受けることはできない。神部さんたちは、感染者との接触を避けるなど、妊婦に感染防止に努めてもらい、出産後に予防接種を受け、次の妊娠に備えるよう指導している。
万一、妊娠中に感染しても、すべての胎児が先天性風疹症候群にかかるわけではなく、感染した時の妊娠週数によって、その確率は大きく違う=表=。神部さんは「不安になって中絶を考える人もいますが、その前に十分、医師に相談してください」と話している。
◇先天性風疹症候群にかかる確率
妊娠4週まで 50%
妊娠5〜8週 25%
妊娠9〜12週 10%
妊娠13週以降 1%未満
妊娠前に、風疹の免疫をちゃんと確立しておくことが大切です。
たかが風疹とあなどるなかれ、胎児の段階で感染してしまうと、本当に重篤な後遺症が残ってしまいます。
できることなら、10〜30代の女性は、今すぐにでも病院に行って、検査をしてもらいたいです。もし抗体がないようでしたら、ちゃんと打たないと。妊娠後に発覚しても遅いですからね。赤ん坊には罪がないわけですから、そこらへんはきちんとしてほしいと思います。
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