2008年05月15日

順天堂大学がベトナムで白内障の手術を指導する。

白内障での失明防ぐ ベトナム 順天堂大と国際NGOが連携

 順天堂大学医学部(東京都文京区)と国際NGO(非政府組織)「ヘレンケラー・インターナショル」(米ニューヨーク)が連携し、白内障による失明者が多いベトナムで、眼科医師の育成事業に乗り出すことになった。今夏以降、ベトナムの地方都市などで活動する眼科医の技能向上を目指し、講師役となり得るベトナム人の医療従事者を対象にしたプログラムを軌道に乗せる計画で、高齢者らの失明予防に役立てたい考えだ。

 ヘレンケラーではこれまでにアフリカで、失明の原因として多い感染症の「オンコセルカ症」などによる失明の予防事業を展開してきた実績がある。一方、順大はWHO(世界保健機関)の失明予防協力センターに指定され、タイを拠点に東南アジア各国の眼科医の育成に取り組むなど国際的な医療協力で実績を積んできた。今回、ヘレンケラーがベトナムでの失明予防事業を企画し、同国の医療事情に明るい順大が協力することとなった。

 事業初年度の平成19年度には、ヘレンケラーが日本財団(東京都港区)から助成金約4000万円を受けた。支援総額は未定だが、日本財団は3年間、支援を続ける予定。

 白内障は眼球の水晶体が混濁して視力が低下する病気。ひとつの老化現象であるため、誰でもなりえるが、最悪の場合、失明の恐れもある。

 順大によると、日本では50代の40%、60代の70%、70代の80%が白内障にかかっている。ただ、医療水準が高く、白内障による失明はほとんどないという。

 一方、ベトナムでは50歳以上に限ると、その人口の5%に相当する51万8000人が失明しており、うち約7割は白内障が原因とされる。また、白内障で失明する人は毎年、8万人にも上る。手術などの適切な治療を受ければ失明を防げたにもかかわらず、手術を受けられないなどの理由からだ。「首都ハノイやホーチミンなどの都市部を除く地方では白内障の手術を受けられないケースが目立ち、特に地方での対策が急務とされてきた」(ヘレンケラー)。

 ベトナムは近隣国のカンボジアやラオスなどと異なり、地方にも医療従事者が存在し、医療へのアクセスが比較的整っている。こうした医療従事者に感染症の予防策など公衆衛生の知識を身につけてもらえれば、医療水準の底上げが見込めるとして、ベトナムが事業対象地に選ばれたという。

 事業計画では、手術などの技能を指導できる地方の眼科医650人を育成。順大の平塚義宗准教授(眼科学)らが現地入りし、ハノイのベトナム国立眼科病院(VNIO)の協力も求める。

 順大によると、世界全体で失明者は3700万人おり、うち3分の2は白内障やビタミンA欠乏症など治療可能な疾患が原因。また、3700万人の9割以上は開発途上国に集中し、順大は「避けることのできる失明の撲滅」を国際協力の目標に掲げている。



 なんといっても現地の技術レベルを向上させることで、その地域でまかなえるようにしている点が素晴らしい。相手のことを考える日本人向きの企画ですよね。戦時中に、他国の識字率や文化レベルを著しく向上させてきたように。

 眼科医はいわゆる内科や外科と区別され、マイナー科と称されていますけれど、眼科の最大の誇りは「人の生活の質を劇的に向上させること」だと思います。

 目が見える・見えないでは大きな生活の質の差があります。特に単なる老化現象で水晶体が混濁している人や、不慮の事故で網膜剥離が起こった人など、視力や視野に異常が出てまともに生活できなかった人が、手術やレーザーなどの治療で著しく回復するというところはもっと評価されていいと思います。

 視力さえあれば不自由せずに生活できる人は、医療水準の低い国にだって大勢いるのです。今までは日本人医師が海外に行って治療したりしていましたけれど、このプロジェクトは、その国だけでまかなえるようにしようという大変素晴らしいものです。白内障の手術は、設備と器具さえあれば、経験を積んで実行できるものです。(しかし高価ですので、そこらへんが課題か…)。この国際的な取り組みを、応援したいと思います。

 ちなみに。オンコセルカ症は、いわゆる寄生虫が目に入り込むことで白内障を引き起こします。媒介昆虫はブユです。ブユがミクロフィラリアを吸血時に摂取すると、ブユの体内で感染幼虫に発育します。そのブユがヒトを刺す時に、オンコセルカの感染幼虫がヒトの体内に注入され、新たな感染が成立します。 

 ミクロフィラリアはヒトの眼の組織に移動します。球結膜から角膜へ、さらに網膜視神経へと侵入します。初めは結膜炎や角膜炎を起こし、次第に網膜の変性や視神経の萎縮を起こし、遂には失明するというわけです。

参考:オンコセルカ症

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posted by さじ at 23:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 眼科
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