へその緒の血液(さい帯血)を静脈に注射する手法で、アルツハイマー病の原因物質を脳内で蓄積しにくくすることに、埼玉医科大総合医療センターの森隆准教授と米国・南フロリダ大のチームが成功した。
さい帯血移植は白血病などの治療に広く使われているが、高齢社会で増加しているアルツハイマー病の治療にも有効である可能性がでてきた。成果は、米医学誌「ステム・セルズ・デベロップメント」(電子版)に掲載された。
アルツハイマー病は、脳にアミロイドベータ(Aβ)と呼ばれるたんぱく質が異常に蓄積することで神経細胞が死に、認知障害が出る病気。そのため、Aβの蓄積を抑える薬の開発が世界中で進められている。
研究チームは、生まれつきAβが蓄積しやすいマウス10匹の静脈に、2〜4週間おきに人のさい帯血細胞を10万個ずつ計8回注射した。すると、さい帯血細胞を注射しなかったマウスに比べ、脳内のAβ量は約7割減少した。
アルツハイマー病の恐ろしいところは、なんと言っても人格が崩壊してしまう点です。本人は、発症してから病気について苦しむ、といったことはないかもしれませんけれども、自分の人格が変わってしまう、認知機能が低下してしまうということは、人生何十年も歩んできたわれわれにとっては大きなリスクとして不安になりますね。
βアミロイド沈着を、臍帯血細胞移植で防ぐことができる、そうです。もし人格が失われずにすむなら、と考えると、この実験の成功と臨床への早期応用を願わずにはいられません。
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