体内に銅が蓄積して肝機能や脳の障害などを起こすウイルソン病の治療薬、酢酸亜鉛水和物(商品名ノベルジンカプセル)が保険適用された。
ウイルソン病は、食事でとった銅が正常に排出されない先天性の病気で、肝臓や腎臓、脳などに蓄積されて重い障害を引き起こす。全国で約1500人の患者がいるとされる。
治療は、レバーなど銅を多く含む食事を制限し、銅の排出を促す銅キレート薬を服用する。しかし、食事制限には限界があり、銅キレート薬は長期に服用すると白血球の減少などの副作用が表れ、継続が困難になる場合がある。今回承認された薬は主に、銅の吸収を阻害する働きがある。
東邦大学長の青木継稔さん(小児科)は「従来の銅キレート薬に比べ、副作用がほとんどないとされる。薬の選択の幅が広くなった」と話している。
通常であれば、過剰となった銅は肝臓から胆汁中に排出されます。しかしこのウィルソン病は銅代謝が阻害されてしまうため、身体に銅が蓄積し、結果として全身の各臓器が障害されてしまう病気です。これは遺伝性の疾患で、常染色体劣性遺伝の形をとります。
ウィルソン病(Wilson病)の最も有名な症状といえば、Kayser-Fleischer角膜輪です。角膜の周囲に銅が蓄積することで色素輪がみられます。これが見られる以前に神経症状などを呈することが普通です。